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異常発見師サトル ~ Chapter 04 :誰かを守りたい気持ち

提姆奧瑟 | 2022-06-06 13:39:26 | 巴幣 0 | 人氣 97


この服、似合うかな
 
こんな地味でつまらない私、彼がこんな私を受け入れるかな
 
それに
 
名前のこと、あまり深入りさせたくないです
 
私は普通の人として生まれて、学校を通って成長してきたから
 
ごく普通の女子高生です
 
誰も疑いを持たない
 
私自身も疑わない
 
けれども、この鋭い彼には、見破られるのでしょうか
 
Chapter 04
誰かを守りたい気持ち
 
動画の中のこの男、神定尊也が、狂ったことを言いやがった
 
「これはつまり、」俺は動画を一時停止させて、「恋に迷う黒ヶ埼の市民たち全体を、強制的に告らせるという異常現象を仕掛けたわけだ。いや、強制的なわけじゃないけど、コクなければ、いろいろ面倒なことになりそうだな……ティコさん?」
 
「狩魔さん……」
 
ティコは、俺の意表に付いて、涙ぐんできた
 
「ああああ、な、泣かないで……」
 
こっちも非常に複雑な気持ちだ。こんな異常なこと、会ったことない。ティコさんはもし俺のことが好きだったら、彼女の性格からすると、俺にそんなに早くバレたくないだろう
 
乙女心に関して、俺はとある文章を読んだことある。女の子の恋は、無意識的な状態に近い。ほとんどは、自分が恋に落ちた自覚はない。もしティコさんはこの類なら……
 
あああああ、気まずい
 
こんなことして、どういうつもりだよ
 
人の恋、人の気持ちのプライバシー、無視するなよ
 
ちょっと躊躇う時間をくれよ!俺らはまだ何も話してないだろ、まだ何も遊んでいないだろ
 
女の子を泣かせてはいけないんだろ。貴様らも、俺も
 
彼女の手を力強く握って、俺は言う
 
「最後まで動画を見よう。安心しろ、今日のデート、お前を楽しませてやるからな」
 
俺の言葉を聞いて、泣きそうになっているティコさんは目をぱちくりさせる。そして、その顔に眩しい笑いが現れた
 
「やさしいね、狩魔さんは」
 
可愛い。守りたくなる笑顔だ。俺は絶対お前のために、神定のやつをぶったおしてやるよ
 
心の中でそう誓って、ぽちっと、再生ボタンを押す
 
『いや、申し訳ございませんが、皆さんはさぞ混乱しているでしょう。ではこの教育政策を実行するまでの経緯の話をしましょう。実は、この政策はすでに昨日から実験的にやってみました。黒ヶ埼高校で、いくつかのサンプルを採用してましてね』
 
『事前の混乱を避けるため、髪色の変化という事実を、「常識化」させていただきました。実験の結果は良好でした。恋しているが、まだコクっていない学生や教師たちは確実に髪色が変わりました』
 
『順調であったため、今日は本格的に政策を全市に導入しました。これもまた大成功だ。恋してる皆さんは髪色変わっていました、そして皆さんも自分と他人の髪色に気づくでしょう。例えすでに人工的に髪を染めた皆さんも、もっと自然的な髪色になってしまいましたわけです』
 
『さて、皆さんは聞きたいことはわかります。なぜ我が国が、わたくしたち「サイキック.コーポレーション」にこのことを頼みましたわけです?理由はいくつあるんですが、まず一番な理由は……』
 
『この国に起こっている少子高齢化を、改善するためです』
 
この言葉が終わった途端、動画が急にざわつき始めた。画面の角で写された街中の人々が、物騒になってきた
 
『最初は、皆さんこういう政策に慣れないと存じます。でも、近いうちに、これが告白する勇気の源になります。わたくしたちの政策は、必ず皆さんの幸せになります。それでは、新しい生活を送れるように』
 
自信な笑顔で、神定尊也は締めを付けた
 
……なんて無茶苦茶だ
 
サイキック.コーポレーション。全日本最大の会社である。脳の研究などに努めていると知られている。けど今回はさすがに魂消た。国家命令を受けて一つの都市を異常化させるということは、政府がこのコーポレーションを公認しているわけだ
 
「前からヤバい会社だと思ってたけど、本当にそうだったのか……」
 
これで黒ヶ埼市の市民全員、影響を受けてしまった
 
ティコさんには憂いが見える。やっぱ、先ほどこっちにデートしに来る間だけで、こんなことが起きてしまうとは思わなかっただろ。よく見れば、今、俺たちがいる灰色町にも可笑しい髪色している人々が増えてきてる。が、それほど多くはない。つまり、隣の黒ヶ埼市から来た人たちかもしれない
 
未だ灰色町には影響を受けていないらしい。本当にここにも異常起こったら、すごく困ることになりそうなぁ……でも、今日はそんなことに悩む時間はない
 
「よし、デートの続きだ」
 
この可笑しい事件が起きたせいかな、まるで先ほどの緊張を忘れたように、俺はこのデートをリードすることに決意した
 
「続き……ますか?」
 
「当たり前だ、そんなことに動揺される俺ではない、さあ、行こうか」
 
「うん!」
 
まずはゲーセンへ遊びに行った。もちろん定番として、キャッチャーでぬいぐるみをゲットしてティコさんに男魂を見せてやる!
 
「あの、そのテディのぬいぐるみほしいです」
 
「どれどれ、よし、じゃあこれやるか」
 
それで、俺らはティコさんの指さしたキャッチャーを挑戦することになった。このテディのぬいぐるみには3つの種類があって、赤色と黄色と青色と別々の鮮やかな色に別れている
 
このとき
 
俺は潜在意識的に、思った
 
違和感を覚えづつも、思ったことを言葉にしちゃった
 
「……赤色は空野のイメージかな、ってこの黄色はナナコが好きそう」
 
とぼそっと、俺は言ってしまった。だが、ふっと思い出せば、今はティコさんとデートしている最中……!他の女の子の名前を出すんじゃない!
 
「いや、けど空野は女の子っぽくないし、普通の友達、もとい、知り合いとしか認識がない。一方、ナナコは俺の可愛い妹にすぎない」
 
弁解っぽく聞こえるけど、俺は「本心」を「言っているだけ」
 
「そう……ですか?」ティコさんは不安そうで、けどちょっぴり安心したそうで
 
「まぁ、いい奴らだから、今度ちゃんと紹介してやるよ。ってティコさん、どれがほしい?」
 
「……狩魔さんに任せます、知らないです」
 
プンスカっと、俺から背を向けた
 
しまったあああああ、デートが始まってばかりなのに
 
「ごめん、怒った?」
 
「怒ってないです」
 
「まぁ、取ってやるよ」
 
俺で決めるしかない。これはティコさんの髪色のやつにしたほうが正解だと思う
 
ささっとコインを入れて、狙いの青色のテディの近くにクレーンを動かせる工夫をする。クレーンが結構揺れて、それと爪が細長いので、うまく捕まえるかが疑問だが、とにかく試してみようとボタンを押して
 
クレーンが降りて、その大きいな爪が収束し、ガバーっと俺のターゲットを掴めそうこの刹那
 
青いテディの胴体がうまく引っかかて、持ち上げられそうだ。よし、このまま、このまま行け!
 
そして俺の予想通りに、青いテディが宙ぶらりんにされて持ち上げられた!
 
が、その後ろに、黄色いしっぽも見えた
 
黄色いテディのしっぽもクレーンにひかかって持ち上げられ、青いテディと共に、出口まで運ばれ、落ちてしまった
 
いや、一石二鳥は嬉しいんだが、神様よ、俺はただ青いやつがほしいさぁ……ほら、ティコさんがすごい微妙な表情してる……
 
「結局ゲットしたからいいじゃないか、ティコさん、はい」
 
かっこつけて、ティコさんに青いテディのぬいぐるみを差し出す
 
「……ありがとう、狩魔さん」
 
嬉しくてぬいぐるみを胸に抱きしめるティコさん。この光景を見た俺は、デート誘って本当に良かったと思えた
 
ところが、この黄色のはしばらく俺が持っていくしかなさそうだな
 

 
キャッチャーで勝利を取ったおかげか、このことがその後俺とティコさんの会話の潤滑剤にもなって、話すのが楽になってきた
 
露天カフェで、フルーツサンデー二つ注文して、俺たちの駄弁りが繰り広がれていく
 
だが、突拍子もなくティコからこんな言葉が俺に投げつけられた。
 
「ねぇ、狩魔さん私といるのつまらないでしょう」
 
「そんなことないだろ、今俺が浮かべている笑顔が最高の証拠になるだろ」
 
「そうですけど……、狩魔さんは嘘は言わない人だと信じてますけど、私生来冴えない子でして」
 
「まだ周りの男子の目線に気づいてないの?」
 
「!?」
 
驚きのあまり慌てて頭を急回転するティコ、そんな彼女と視線合った男たちは恥ずかしさで目線を控えた。
 
「だろ?だから自分に自信持ったっていいで」
 
「こういうこと、初めて言われた気がする」
 
ティコさんは嬉しさのあまりか、天使のようにはにかんでこちらを見た。
 
「まったく、どんなやろがティコに好かれてんの、そいつはラッキーだぜ」
 
「好きです。」
 
「え。」
 
「私狩魔さんのことが好きです。」
 
素直で真剣な眼差しが光り輝き、ティコさんの髪色がどんどん黒くなっていき、まるで魔法の効果が切れたようで。
 
どういうことだ。俺もまだ心の準備もしていないのに、いきなり可愛い女の子から告白されたぞ。先ほどの異常現象からみるに、髪色が戻ったティコさんの言葉は偽りないのが明らかだ。
 
しかし依頼を受けた俺としてはどうすればいいか?これはただの個人的依頼で、しかも目の前にいる顧客が悩んでいた異常現象が解けた以上、この先俺が何もしなくたっていい。
 
この告白に対する返事は、何と言おうと俺次第だ。
 
だから俺はこう言ってやった。
 
「ごめん、ちょっと考える時間くれないか?まだ二回しか会ってないので」
 
やや気まずさのままで頭を上げて彼女を見つめると、なんと。
 
一滴の涙がこぼした。そして異常なほど、、滝のように涙が溢れて。
 
「お、おい、どうしたんだよ、泣くなよ」
 
良心が攻められてるように俺が急に立ってて周りを見回すと。
 
その異常な光景にびっくりした。
 
周りの男たちが、突然狂うほど、こちらに手を伸ばしたまま突っ込んできて。
 
「サトルくん!ティコさん!」
 
俺とティコさんがきょどんとしている真中、背後、一つ小さい影が現れ、俺たちの手を引っ張ってこの場から逃げ出そうと走り出した。
 
「ナナコ!?どうしてここに」
 
「説明は後だよ!早くこっちのタクシーに乗って!」
 
カフェの間近に止まってあるタクシーに乗り込んで俺たちを見た途端、運転手さんがアクセルを踏んだ。タクシーが煙を立てたと思えるように騒音を立てゾンビ男たちを振り切ってアスファルトの道路に逃げ切った。
 
「はぁ……はぁ……、なんだよさっきのは」
 
「私のせいです」
 
喘ぎながらも涙ぐんで、悔しそうに言葉を吐き出したティコが俺の隣で恐怖で震えている。
 
「私が、自分の封印を解けたからです」
 
「どういう……ことだ」
 
「小さい頃ずっと続いてきた、この『異常』なほど、男を引き付ける性質です」

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