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TERRA BATTLE活動劇情歸檔——復讎殘像(A路線)

一騎 | 2017-02-03 21:51:13 | 巴幣 0 | 人氣 126

這篇貼文單純是把活動〈復讎殘像/復讐残像/ Vengeful Heart〉 的日文劇情歸檔
如標題,是A路線。







残 像

悲しみの涙と怒りの涙は、
最も近い存在である。

本当の近道は遠回りであるように、
涙は憎悪と絶望を最大限に膨張させ、
そして萎ませる。



赤き杖によって情熱と力をもたらされた
赤の国があった。

青き杖によって安らぎと力をもたらされた
青の国があった。

その力は魔界伝来ではあるものの、
今日では人々に生きる術を与える
神の杖として崇められていた。

これは、その杖をめぐる――――
混沌と秩序のページ。




クララ・ネブラグ。

幼くして母を亡くし、
父と兄と、手を携えて生きた少女時代。

鮮やかに見えたその生活は、
突如幕を下ろされた。

将軍であった父。
その父のもとで勇名を馳せる兄。
クララが愛するそのふたりは、
国家を欺く罪に問われ処刑されたのだ。

押さえつけていたはずの
烈しい炎が唸り声をあげる。

「どうして世界は
私からなにもかも、奪っていくの?」

虚無は答えを決して返さない。



私の内から湧き出る
復讐の炎たち…



クララは「復讐心」が、
汚れた精神の穂先であることを、
十分に理解している。

その行き着く先に、得るものはない。
直感と直情で、判断してはならない。

思考と思惑が折り重なり、
編み出される論理によって物事は進む。
父と兄の死によってクララは、
そんな大人の論理世界があることを
身を以って知った。

皮肉ではあるが、
今にも破裂せんばかりの復讐心に
冷水をかけたのは死別によってもたらされた
孤独だった。

だが…
別の何かが彼女を蝕み、溢れ出す。
復讐の炎は瞬く間に少女を包み込む。
真空でも燃えさかる強い火の力は、
何者をも焼きつくす。




II

女たちは、艶やかな服装で。
男たちは、重厚な鎧を着込んだまま、
宮廷楽士たちが奏でるメロディに身を委ねている。

今、私は蝶。

みごとに輝きを反射し、さらに拡散させる
魔導の布で編まれたドレスに身を包み、
クララは、この空虚に満ちた舞踏会場に
迷い込んだふりをする。

父ジャイナスの部下であった騎士ウライは、
薄ら笑いを浮かべて腰を振る。

「あの現場」に居合わせたはずのお前が
なぜ、そうも生きられるのか?

青い国へ平和交渉に赴いたセナーラ姫が
暗殺されたその時、父と兄とその場に
居合わせた、お前が…



結果、私の父と兄は、
セナーラ姫暗殺を企て、
国家に楯突いた反逆者として処刑された。
すべては、騎士ウライの証言によって。

父と兄が、
そんな愚かなことをするはずがないのに。
騎士ウライ…
生き残ったのが奴だけなのだとしたら
答えは簡単じゃないか。

ウライがセナーラ姫を殺したに違いない。

そして、祖国にのうのうと戻ってきて、
罪のすべてを父と兄になすりつけて…
名誉を傷つけて…

「ウライ…
私は、おまえを、ここで…」



踊ろう!
戦いの前に…
踊り明かそう!

ウライ!?

ウライ、
どこにいる…
急いで探す!…

違う…

ウライはどこだ!

父の部下だった者、
裏切り者…



ウライにとって、死は、救いだった。
心の闇に隠蔽しつづけたことを
ようやく手放せる。
心に抱え続けた耐え難き苦しみを
吐き出せる。

うつろな眼差しでウライが呟く。

「ようやく、終わるんだ…これで自由に…」

「自由…?
貴様は罪を認めずこの後に及んで――」
「ジャイナス将軍…私を、お許しください…」
「ウライ…?」

致命傷を負ったウライの視点は定まらない。

「ああ、将軍…遅くなりました…
あなたとともに、逝きたかったんです………」

ウライの言葉は、そこで、途切れた。
柔らかい微笑みをたたえて。




III

赤の国の王、ゼルの声が轟く。

約一万の兵を見下ろして、
彼の声はいやに澄んでいた。

「我らが寵愛した、愛娘セナーラは死んだ。
我らの祈り。平和への切願。遥かなる友愛。
美しき重責をその小さな背に乗せた彼女は、
二度と我らに微笑むことはない。

この耐え難き怒りは、どこへ向けるべきか?
そう、青の国だ!奴らが殺した!
国土拡大を図り、いたいけな生命をも弄び、
いたずらに権力を求め続ける青の国によって」



「今や青の国は我らの領土を狙い、
挙兵したと聞く。

これ以上、その横暴を見逃してよいのか?
否、断じて、許されることではない!

連綿と受け継がれてきた我らの赤き血潮を今、
過去、類を見ないほどの怒りとともに
燃え上がらせるべきなのだ!

我、赤の国の王ゼルは、ここに宣言する。
天地と精霊と、そして平和を祈る民とともに、
青の国に道理と慈しみを授けるべく、
粛清せしめんことを!」

王の叫びに同調し、
兵士たちも高揚の声を轟かせる。



怒れる群衆の中で、
クララは鎧兜に身を包み、
愛すべき飛竜にまたがった。

空を見据える瞳は、暗く、揺らぐ。
朝陽が昇り、
深い谷間の隙間から城に鋭い光が差し込む。
兜の目庇越しでも痛みを感じる。

「ウライではなかった…。では、誰だ…?」

すると進軍を告げる、銅鑼が鳴った。
大地を分かつように連なる、無意識の縦列進行…
そして、突拍子もなく戦いは始まった。

怒涛のように進む赤の国の兵士。
一瞬、その波に乗り遅れたクララ。
その耳元で誰かに囁かれた言葉が、
いやにクリアに響いた。

「恥を知れ、逆賊の子」

その言葉に、クララの視界が真っ赤に染まる。



クララは敵の将軍と対峙していた。

まだ赤と青の国々が友好であった時分より
父が親交を深めていた、穏健派と目される
キオン将軍だ。

「クララ…クララだな…?」

論理など、知らない。
怒りに身を任せて、クララは目の前の「敵」を
完膚なきまでに叩く。

「怒りに身を任せては
何も知ることはできない…」

クララの槍が、ようやく止まった。

「そなたの国の、赤の魔導師…
奴に騙されるな、そして王に問え…
お前の父は……ガハッ!」

キオン将軍はそこで、事切れた。




IV

クララは、王のテントに
足を忍ばせながら近づいていく。
弱々しく揺れる灯火は、王の末路だろうか。
それとも…?

キオン将軍の言葉を思い起こす。
王に真相を訊かなければならない。
赤の魔導師は何を企み、
王はいったい何を知っているのか…?

そして父は、兄は…
いったいなぜ死ななければならなかったのか。

証言次第では…王殺しも厭わない。

気づけば、王のテントは目の前だった。

居眠りや怠慢、
そしてなにより恐ろしい、裏切り。
人間の護衛隊は、本当に必要な時ほど
役に立たなくなる。

王は自らの防備を
忠実なるしもべ、魔導狼に任せていた。



王の寝床は、もぬけのからだった。

「何者だ?」

背後から声がした。
クララは「しまった」と思う間もなく、
首筋に刃の切っ先を感じ取り、固まる。

「答えよ、何者だ」

王の声には余裕が感じ取れた。
だがクララも動じない。

「父と兄の死について、
聴かせていただきたい…!」

クララは、振り返りざま
首に当てられた剣を弾いた。
見事なまでの体捌き。

金属と金属が
ぶつかり合う音が王のテントで鳴れば、
重装の近衛兵たちがドカドカと雪崩込んでくる。
そして、反逆者であるクララに幾多の槍を向けた。



クララは跪かざるを得ない。
まだ、死ねない。
王はクララが言葉をつむぐまえに、
その場を支配した。

「殺すな。
この者の腕はよく知っている。
ネブラグ家の忘れ形見、クララ・ネブラグだな?」

「ならば、
私がここに来た理由は
わかりますね?」

王は、その質問を歯牙にもかけず告げた。

「お前を最前線に配置する。
攻城戦の決死隊となれ」

王はそう言い放つと、その場を離れた。
槍越しに見えた背中に、クララは暗い影を感じ取った。
どこかで見たことのある虚ろな眼差し…





そびえ立つ青の城を、クララは見上げる。
難攻不落の城塞。
青の杖の力により、幾重にも張り巡らされた
シェルバリアが不気味な光を放っている。
だがそれを相殺するように、
赤いエネルギーバリアが襲いかかる。
偉大なる魔術師、大臣エラが手にした
赤き杖の力だ。

赤き稲妻と青き稲妻が相克し、
死を招くフィールドを生み出す。

魔導の戦場だ。



赤の国と青の国。
この大地を二分する大国同士。
彼らの国が栄えた理由に、
魔界よりもたらされたという
双子の杖がある。

赤の国の大臣、
偉大なる赤の魔導師エラはその杖を使い、
ときに脅威から国を守り、
時に恵みの雨を作物に降らせ、
国を富ませた。

国民から慕われる、優しき大臣。

しかし…
――――魔導師に騙されるな。

クララの脳裏に刻まれた
キオン将軍の最後の言葉。



赤の国の軍を指揮する大臣エラこそが、
真の敵かもしれない。
大臣エラがクララの名を呼ぶ。
クララが応えると、大臣と目が合った。

その目は、禍々しく見える。
清らかにも見える。
何か不可思議なものがぐるぐると
とぐろを巻いて、クララの心を
絡め取るようだった。

クララの脳内で燃え上っていた
復讐が飛び去り、残像となって搔き消える。

エラの声が、とてもクリアに
頭の中に入り込み、刻まれた。

「青の国の杖を手に入れよ。砕ける前に…
それが、お前の果たすべき役割…」

クララは、はい、と答えた。




VI

いまや、赤と青のふたつの杖が作り出すバリアは
最大の力を撒き散らしている。

そして赤と青の兵士たちは
交錯し、殺し合いを果たし合う。

凄惨な現場は、無限の阿鼻叫喚に包まれていく。

クララは、屍を踏みしめながら
杖が安置されているという塔を駆け上がる。

『青の国の杖を手に入れよ。砕ける前に…
それが、お前の果たすべき役割…』

その言葉に、手足が突き動かされる。



「これだ…」

クララは、青の杖に辿り着いた。




VII

クララの肉体が、精神が、
幸福で満たされる。
クララが杖に手を触れると、
ビリビリと痺れるような感触があった。

そこへ禍々しき姿の鳥が舞い込む。
その名は、悲喰鳥。

その様を視界に捉えたクララの口から
呪詛の如き響きを伴って、言葉が這い出た。

「邪魔を、するな…!」



ふたつの杖は最大の力を解き放つ。
輝きを増し、ぶつかりあう赤と青が混ざり合い、
力を増幅させて…
そして…絡み合い、光が螺旋を描き、
天へと昇りつめた末に、
青と赤のシェルバリアは臨界を迎えようとしていた。

砕け散ろうとする青の杖をクララは
しっかりと握る。

「青の杖!」



杖からほとばしるエネルギーを全身に浴びながら、
杖とともに…

クララは、塔から身を投げた――――



そして、わずかな月日が流れた…

復讐心を抱き、
飛竜を駆ける少女の姿はもうどこにもない。

戦場の中で散ったかもしれない
ひとつの生命など、
誰も気を留めることはなかった。

劇的な勝利を手にした
赤の国王ゼルもまた、急死した。

その後、覇気を失う赤の国と
憔悴した青の国は継戦を断念。
平和条約が電撃的に調印され、
混迷を極めた時代は、平安を取り戻した。



民はなんの疑いもなく、
新たに台頭した指導者を受け入れ、
崇め、褒め称えた。

ふた振りの、奇跡の杖をもった女王エラ。

その後の彼女の統治は、
輝かしき時世であったと語り継がれている。

復讐残像

――了――

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