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阿魯庫雷姆公爵領篇二 二百五十四話 阿魯庫雷姆

作者:SPT草包│2018-09-18 01:02:50│巴幣:10│人氣:513
四度目は嫌な死属性魔術師
討厭第四次的死屬性魔術師
作者:デンスケ
第十一章 アルクレム公爵領編二 二百五十四話 アルクレム
第十一章 阿魯庫雷姆公爵領篇二 二百五十四話 阿魯庫雷姆
原文連結

 蟲の魔物は本能が強すぎて、若しくは知能が低すぎてテイムする事が出来ない。魔物と縁の無い一般人はともかく、騎士や冒険者には常識だ。
 蟲的魔物本能太強,或智力太低無法馴服。與魔物無緣的一般人姑且不論,對騎士或冒險者是常識。
 しかし、蟲の特徴を持つヴィダの新種族であるアラクネは当然その常識から外れる。何故なら、彼女達は蟲の魔物ではなく、蜘蛛の特徴を持つヴィダの新種族だからだ。
 可是,身為擁有蟲的特徵的維達新種族的阿剌克涅當然會從那種常識偏離。要說為何,因為她們並非是蟲的魔物,是擁有蜘蛛特徵的維達新種族。

 だから、アラクネを「テイムした」と言うのは理解できる。
 所以,說「馴服了」阿剌克涅是能理解的。

「しかし、こことモークシーの町の間にアラクネやスキュラの自治区があるとは、聞いた事がないのだが」
「可是,在這裡與摩庫希之城之間有阿剌克涅及斯庫拉的自治區,沒聽過這種事就是了」
 何故か衛兵の代わりに手続きをしている年配の騎士が、困惑した様子でギザニアと馬車から出てきたプリベルを見比べる。
 不知為何代替衛兵辦理手續的是老騎士,比較著以困惑的樣子與吉薩妮亞從馬車出來的普莉貝爾。
 ちなみに、プリベルも本来は触腕の先端が竜の頭部になっているスキュラオリジンなのだが、ギザニアとミューゼと同じように、マジックアイテムで普通のスキュラに見えるよう変装している。
 順帶一提,雖然普莉貝爾本來也是觸腕的前端變成竜的頭部的斯庫拉始源,但和吉薩妮亞與繆澤一樣,用魔法道具為了看起來像普通的斯庫拉變裝了。

「旅の間にテイムしたのが本当なら、念のために事情を聞きたいのだが、いいかね? いや、テイムしたと言い張ってヴィダの新種族を違法売買する闇奴隷商とか、過去に色々事件があったからね。
「在旅行的期間馴服是真的話,雖然為了慎重起見想聽聞情況,但可以嗎? 不,違法買賣硬說是馴服的維達新種族的黑暗奴隸商之類,因為在過去發生了各式各樣的事件呢。
 勿論、君達がそうだと疑っている訳ではないよ。あくまでも、念のためだ」
 當然,並非是懷疑你們是那樣的喔。完完全全,是為了慎重起見」
 年齢のせいで頬が垂れ気味の騎士が、丁寧に尋ねる。ヴァンダルー達が列に並んだ時、駆けつけてきた騎士とは別の騎士で、彼は始終穏やかな態度で彼らに対応していた。
 因年齡的關係感覺臉頰下垂的騎士,仔細地詢問。與范達魯他們排在隊伍時、跑過來的騎士是別的騎士,他始終用平穩的態度對應著他們。

「……拙者達は物心ついた頃、気がついたら三人一緒だった。恐らく、騎士殿の言う闇の奴隷商に浚われたのだと思う」
「……在下們懂事的時候,注意到後就是三個人一起的。恐怕,想必是被騎士下殿說的黑暗奴隸商拐走的」
「でも奴隷商が出先で死んじゃったかどうかして、ボク達三人は洞窟に放置されていたんだよ。それで三人で協力して洞窟から逃げ出したの」
「但是奴隸商是不是因外出而死了呢,我們三人被放置在洞窟裡了唷。因此三個人合作從洞窟逃了出來」

「それからは某達三人、身を寄せ合って生きて来たのでござる。人里を避け、森や魔境を旅して転々としながら。しかし、ある森で山賊の張った罠にかかって捕まってしまったのでござる」
「然後余某人們三位,互相依偎身體生活了下來。儘管避開村落、旅行輾轉於森林及魔鏡。可是,在某森林落入山賊張設的陷阱被抓住了」
「それで、別の闇奴隷商に再び売られかけたのよ。ちなみに、あたしは山賊が別口で捕まえた元人種の女グールでーす」
「因此,再次被賣給了別的黑暗奴隸商了唷。順帶一提,我是山賊另外捉住的前人種女食屍鬼」

 ギザニア、プリベル、ミューゼ、そしてカチアが順々に「何故アルクレムとモークシーの町の間にある森に居たのか」、事情を説明する。
 吉薩妮亞、普莉貝爾、繆澤、然後是卡奇亞依序地「為何會居住在阿魯庫雷姆和摩庫希之城之間的森林裡呢」,說明著情況。

『そして私達が森を移動していた時、ファングが臭いで隠れていた山賊を捕まえ、アジトまで案内させました』
『然後我們移動到森林的時候,梵古抓到被臭味隱藏的山賊,讓其帶領到藏身處』
「そして山賊団を一掃し、捕まっていた四人を助け出したのです!」
「然後掃蕩山賊團,救出了被抓到的四個人!」
「四人とも良い娘さんだし、皆と意気投合したから一緒に行く事になったの」
「四個人都是好女孩,因為與大家意氣相投就變成一起走了」
「以上ですが、何か質問はありますか?」
「就是這樣,有什麼問題嗎?」

 更に、「テイムされた、若しくはした理由」をサム、ユリアーナ、ダルシアが説明し、最後にヴァンダルーが年配の騎士に確認を求める。
 並且,薩姆、尤莉亞娜、妲露希亞將「被馴服,或者做了的理由」說明了,在最後范達魯向老騎士尋求確認。
 促された年配の騎士は、「う~む」と呻くと、ヴァンダルーではなくサイモンとナターニャに顔を向けた。
 被催促的老騎士,「嗯~」地呻吟後,將臉著向並非范達魯的賽門和娜塔嬢。

「今の話は事実かね?」
「現在的話是事實嗎?」
「勿論事実です」
「當然是事實」
「右に同じく」
「同右」
 騎士に質問されるという事で緊張した様子の二人だが、慌てることなく事前に決めてあった事を硬い口調で述べた。
 雖然因所謂被騎士提問的事而緊張著的樣子的兩個人,但沒有驚慌用強硬的語氣述說在事前決定的事。

 年配の騎士はそれを見た後溜め息をついて、ヴァンダルーに向き直った。
 老騎士看到那個之後嘆了一口氣,重新轉向范達魯。
「では、念のために聞くがその闇奴隷商や山賊達はどうしたのかね?」
「那麼,為了慎重起見聽到的那個黑暗奴隸商及山賊們怎麼了嗎?」
「皆殺しにしました」
「全部殺光了」
「アジトの場所は?」
「藏身處的地方是?」

「襲撃する時に母さんが攻撃魔術を何度か唱えましたし、ギザニア達を助けた後、アジトを他の山賊が再利用しないよう念入りに燃やして来たので、今から行っても燃えカスしか見つからないと思います。
「在襲擊的時候媽媽詠唱了好幾次攻擊魔術,救了吉薩妮亞她們之後,由於為了其他山賊不再利用藏身處細心地燒掉了,我想現在開始去了也只能看到灰燼。
 それでよければお教えしましょう」
 那樣也可以的話會說的」

 年配の騎士の追及は、この場に居ないアイラや今も彼の周囲に潜んでいるチプラス達の想定の範囲内だった。そのためヴァンダルーは【ゴーレム創成】スキルで森の木々を使った適当な小屋や壁を態々建て、更にそれをレビア王女に焼いてもらって、「燃え落ちた山賊のアジト」の偽装工作をしていた。
 老騎士的追究,是不在場的愛菈及現在也潛伏在他周圍的奇普拉斯他們預估的範圍內。為此范達魯用【哥雷姆創成】技能使用森林的樹木特地建造適當的小屋及牆壁,並且將那個請蕾碧亞公主燒了,做出了「燒垮的山賊藏身處」的偽裝工作。

 死体も、以前山賊を倒した時にとっておいた食べ残しの人骨を、幾つか埋めておくという念の入りようだ。
 屍體也是,似乎是所謂將在以前打倒山賊的時候預先留存的吃剩的人骨、事先埋藏起幾個的細心。
 年配の騎士から報告を受けたアルクレム公爵が調査の為の人を派遣したとしても、恐らく誤魔化せるだろう。
 接到來自老騎士的報告的阿魯庫雷姆公爵就算派遣為了調查的人,恐怕也能欺騙到吧。
「何でしたら、山賊が持っていたお宝を見せましょうか? 冒険者の端くれとして所有権は主張しますが」
「要做什麼的話,能展示山賊擁有的寶物嗎? 作為微不足道的冒險者主張著所有權就是了」
 勿論、お宝も偽装用の物である。
 當然,寶物也是偽裝用的東西。

「いや、それには及ばんよ」
「不,不到那地步喔」
 しかし、年配の騎士はそう言って確認はしなかった。確認しても意味はないと分かっていたのかもしれない。
 可是,老騎士那樣說沒有做確認。或許是明白就算確認也沒意義。
 その代わりに、彼は何か言いたげな顔でユリアーナに視線を向けた。そのまま、暫くじっと見つめる。
 取而代之,他用想要說什麼的臉將視線朝向了尤莉亞娜。就那樣,暫時凝視著不動。

「騎士様、私の顔に何か?」
「騎士大人,我的臉上有什麼嗎?」
 そう尋ねるユリアーナは、何故見られているのか分かっていた。年配の騎士は、自分が前世の人種だった頃のユリアーナ・アルクレムと似ている事に気がついたのだろうと。
 那樣詢問的尤莉亞娜,是明白為何會被看著的。老騎士是,注意到自己與前世是人種的時候的尤莉亞娜.阿魯庫雷姆相似的事情吧。

「いや、なんでもない」
「不,什麼都沒有」
 しかし、年配の騎士は結局何も言わず首を横に振ると、ヴァンダルーに視線を戻した。
 可是,老騎士結果人麼都沒說左右搖著頭後,將視線返回到范達魯上。

「分かった。そう言う事ならアラクネやスキュラをテイムしていても問題は無い。だが、今日中にテイマーギルドに登録し、従魔用の印を付けるように」
「知道了。如果是那樣的話就算馴服了阿剌克涅及斯庫拉也沒有問題。但是,在今天之內要在馴獸師公會登記,為了加上從魔用的記號」
 年配の騎士がそう言うと、ギザニア達に対する取り調べを止めた。他の騎士、特に列に並んだ時に駆けつけてきた騎士が、「そんな馬鹿な!?」と言う顔をしているが、年配の騎士は何も言わず黙殺した。
 老騎士那樣說後,停止對吉薩妮亞她們的調查。其他的騎士,特別是排在隊伍時跑過來的騎士,雖做出像在說「怎麼可能!」的臉,但老騎士什麼都沒說置之不理。

 年配の騎士もヴァンダルー達の説明が怪しいのは分かっている。分かっているが、年配の騎士にはこの疑惑を追求し、真実を明らかにする意味が感じられなかったのである。
 老騎士也明白范達魯他們的說明很可疑。雖然明白,但老騎士感覺不到要去追求疑惑、查明真實的意義。
 何故なら、恐らく法律に違反していないから。
 要說為何,恐怕是因為沒有違反法律。

 確かに、自治区で生活するヴィダの新種族が許可を得ず外に出る事は、多くの公爵領で違法だ。しかし、自治区で生活していないヴィダの新種族に関しては、何処に居ようと自由である。……単に、管理下に無いだけだが。
 的確,在自治區生活的維達新種族沒有獲得許可來到外面的事情,很多在公爵領是違法的。可是,有關沒有生活在自治區的維達新種族,住在哪裡是自由的。……僅僅,只是沒有在管理之下就是了。
 そして、ギザニア達はテイマーであるヴァンダルーにテイムされていると言う。なら、ギザニア達はヴァンダルーの所有物、法律的には冒険者が所持している武具と同じ扱いになる。
 然後,所謂吉薩妮亞她們是被身為馴獸師的范達魯馴服的。那麼,吉薩妮亞她們就是范達魯的所有物,在法律上變成與冒險者所持有著的武具同樣對待。

 だからギザニア達を拘束し、それぞれの自治区等に護送する等の行為は、冒険者の武具を奪うのと同じなのだ。
 所以拘束吉薩妮亞她們,護送到各自的自治區等之類的行為,與奪走冒險者的武具同樣。
(それに話が嘘で、本当は別の場所でアラクネやスキュラのお嬢さんと出会っていたとしても、町の治安には関係なさそうだしなぁ。
(而且話是謊言,就算真的是在別的地方與阿剌克涅及斯庫拉的小姐相遇,似乎在城鎮的治安上也沒有關係呢。
 これがヴィダの新種族を『テイムした』と言い張って町に連れ込み、他の貴族のお抱えテイマーに『譲渡した』という名目で売買する不法行為だったが問題だが……このお嬢さんたちは調教や薬、魔術で操られているようには見えんし)
 這個是以所謂主張『馴服了』維達的新種族帶進城鎮裡,『轉讓』給其他貴族雇傭的馴獸師的名目做買賣的非法行為雖然是問題……這些小姐們看不出是被用調教或藥、魔術操縱搬)

 年配の騎士の経験豊かな目には、ギザニア達が演技をしている事は見抜いていた。しかし、彼女達が脅迫や薬物によって自分の意志に反して嘘をつく事を強制されているようには、見えなかった。
 對老騎士經驗豐富的眼光來說,看穿了吉薩妮亞她們做著演技的事。可是,看不出來,她們像是經由脅迫或藥物被強制說了違反自己意志的謊言。
 それに、テイマーであるヴァンダルーは『変身装具の守護聖人』で、母親のダルシアもヴィダの御使いをその身に降臨させる事が出来る『勝利の聖母』だ。ヴィダの新種族に無体な事はしないと、信じるには十分すぎる評判である。
 而且,身為馴獸師的范達魯是『變身裝具的守護聖人』,且母親妲露希亞也是能做到讓維達的御使降臨到那身上的『勝利的聖母』。不要對維達的新種族做不合理的事,且相信就是過於充足的評價。

 これ以上調べるのは、ただ難癖をつけているのと変わらないだろう。そう判断したためだ。
 在這之上的調查,就只是刁難是不會改變的吧。因為那樣判斷了。

「最後に確認だがこの二頭の馬も、魔馬だったね。御者さんはテイマーじゃないそうだが、ヴァンダルーがテイムしているため大人しいと……」
「雖然是最後確認的但這兩匹馬,也是魔馬呢。車夫先生似乎並不是馴獸師,但因為范達魯馴服了而很老實……」
 そう言いながら年配の騎士は、無遠慮な手つきでメーネとホーフの首筋を撫でる。
 一邊那樣說老騎士一邊,用毫不客氣的手撫摸著梅涅和霍夫的脖子。

 他の騎士や衛兵達はその瞬間緊張したが……。
 其他的騎士及衛兵們在那個瞬間緊張起來……。
「ブルル」
「噗嚕嚕」
「……フッ」
「……呼」
 メーネとホーフは特に気にした様子もなく鼻を鳴らしている。
 梅涅和霍夫沒有特別在意的樣子鳴響了鼻子。

「うむ、本当に大人しいようだ。騎士団のよりもがっしりした、良い魔馬のようだね。
「嗯,似乎真的很老實。比騎士團的還粗壯,似乎是好的魔馬呢。
 では御者さんの分の通行税を払ったら、通って良し!」
 那麼支付車夫先生份的通行稅的話,就可以通過!」
 従魔は通行税を課されないので、ヴァンダルー達の中で唯一ギルドに入っていない、サムの分のみ税を払う事になる。
 由於從魔不會被課通行稅,變成要支付在范達魯他們之中唯一沒加入公會、薩姆的份的稅。

「待ってください。ちょっと甘いんじゃないですかね?」
「請等下。不是有點天真嗎?」
 だが、それまで年配の騎士の取り調べを黙って見ていた四角い顔つきの騎士が、突然割って入って来た。
 但是,在那之前沉默看著老騎士調查的四方臉騎士,突然擠了進來。
「こんな大型の、それもランク5のヒュージヘルハウンドやそれと同等の魔物を何匹も町に入れるのです。もっと念入りに調べるべきだと私は思いますがね」
「將這樣大型的、而且是位階5的巨型地獄獵犬或與那個同等的魔物好幾隻放入城鎮裡。我認為應該更加詳加調查呢」

「いや、これ以上は、その――」
「不,這以上,那個――」
「ご質問があれば、答えますが?」
「有問題的話,要回答嗎?」
 立場が四角い顔つきの騎士の方が強いのか、年配の騎士は彼を止めきれないようだ。そう見て取ったヴァンダルーが訊ねると、彼はギザニアやユリアーナ達従魔であると主張する者達を見まわし、ファングに近づいて行く。
 立場是四方臉騎士比較強嗎,老騎士似乎完全無法阻止他。如此看穿的范達魯詢問後,他環視主張著吉薩妮亞及尤莉亞娜她們身為從魔的人們,往梵古靠過去。

「いや、質問は無い。ただ、見せてくれれば……十分だっ!」
「不,沒有問題。只是,能展示的話……就夠了!」
 そして突然、ファングの前足に殴り掛かった。四角い顔つきの騎士の、それなりに鋭い拳がぶつかり、それなりに重い音を立てた。
 然後突然,對梵古的前腳揍了上去。四方臉的騎士,凶狠的拳頭相應地碰撞著,發出相應地沉重的聲音。

「…………っ!」
「…………!」
 だが、ファングは驚いた様子で硬直したが、それだけで自分に殴り掛かった騎士に反撃するそぶりは見せなかった。
 但是,雖然梵古以吃驚的樣子僵直了,但就因那樣而沒展現對自己揍了上來的騎士反擊的態度。
「良し、合格だ」
「很好,合格了」
 四角い顔つきの騎士は、ファングの反応に満足気に頷く。
 四方臉的騎士,對梵古的反應一臉滿足地點頭。

「粗っぽくてすまんが、高ランクの魔物を連れたテイマーを初めて町に入れる時は、こうして我々騎士が身体を張って試すのが決まりでな。
「雖然很粗糙,但讓帶著高位階的魔物的馴獸師第一次進入城鎮的時候,我們騎士像這樣挺起身體測試是規矩呢。
 このヒュージヘルハウンドは多少臆病なようだが、良く躾けられて……何をやっているんだ?」
 這隻巨型地獄獵犬似乎有點膽怯,被好好教育了……在做什麼啊?」

 騎士が振り返ると、何故かプリベルがヴァンダルーを下半身の触腕でぐるぐる巻きにしていた。触腕の間から、片腕だけが見えている。
 騎士回頭後,不知為何普莉貝爾用下半身的觸腕將范達魯一圈圈捲起來。從觸腕之間,只能看見一隻手。
「あ、アハハハハ、ボクもファングみたいに怖がりだから、驚いてヴァン君に抱きついちゃった!」
「啊、啊哈哈哈哈,因為我也像梵古那樣害怕,嚇到抱住了范君!」
 プリベルはそう答えながら、更にヴァンダルーを触腕の中に引きずり込もうとする。
 普莉貝爾一邊那樣回答,一邊更進一步打算將范達魯拖進觸腕之中。

「騎士殿がいきなりあんな事をするからでござるよ。ビックリしたでござるな~、も~」
「因為騎士殿下突然做了那樣的事情唷。嚇了一大跳呢~,真是的~」
 更に、ミューゼがヴァンダルーの手を押し込んでプリベルを手伝う。
 並且,繆澤將范達魯的手塞進去幫忙普莉貝爾。

「手続きが終わったのなら、拙者らは失礼しよう。いつまでも門を占領して居ては迷惑だからな」
「如果手續結束了,在下們失禮了。因為一直佔據著門會添麻煩呢」
 そしてやや急いだ様子で、ギザニアがプリベルごとヴァンダルーを持ち上げるとそのまま八本の脚で門の内側に歩いて行ってしまった。
 然後用稍微急促的樣子,吉薩妮亞與普莉貝爾將范達魯拿起來後就那樣用八隻腳走進了門的內側去了。

「あ、これ、通行税です。それでは失礼します」
「啊,這個,是通行稅。那麼失禮了」
「ウォン!」
「汪!」
 そしてダルシア達も税を払うと、慌ただしく去っていく。その後ろ姿に、年配の騎士が声をかけた。
 然後妲露希亞她們也付了稅後,慌慌張張離去了。對那背影,老騎士喊出了聲音。
「最近は『顔剥ぎ魔』って義賊気取りの殺人鬼が出て、色々物騒なんだ! そのせいで門の手続きもいつもより厳重になっていてね! すまんなー!」
「最近假冒叫『剝臉魔』的義賊的殺人鬼出現了,似乎有各種騷動! 由於那個緣故門的手續也變得比以前嚴重呢! 抱歉了!」

 そして年配の騎士は、深く安堵のため息を吐くと、困惑した様子の四角い顔つきの騎士の背を軽く叩いた。
 然後老騎士,深深地嘆了一口安心的氣後,輕輕拍著做出困惑樣子的四方臉騎士的背。
「命拾いしましたな」
「撿回一條命呢」
「ん? ああ、ヒュージヘルハウンドの事か。何、私が最も頑丈な鎧を身に着けているし、ここでは最も【鎧術】スキルのレベルが高い。もし暴れ出していても、私なら暫くは耐えられる」
「嗯? 啊啊,是巨型地獄獵犬的事嗎。沒啥,我將最堅固的鎧甲穿在身上,在這裡【鎧術】技能的等級也是最高的。假如就算發生了胡鬧,我的話也能暫時忍耐」
「いえ、そうではなく……貴方があのヒュージヘルハウンドを殴った瞬間、襲いかかろうとしたのは従魔ではなく、テイマーの少年の方でした」
「不,並不是那樣……你毆打那隻巨型地獄獵犬的瞬間,打算襲擊過來的並非是從魔,而是馴獸師的少年」

「な、何っ!? そんな気配は感じなかったぞ!」
「什、什麼!? 沒感覺到那種氣息喔!」
 年配の騎士の言葉に驚いた四角い顔つきの騎士は、他の騎士や周囲の衛兵に視線を向けるが、彼等の顔にも困惑が浮かんでいる。
 對老騎士的話語吃驚的四方臉騎士,將視線朝向其他的騎士及周圍的衛兵,他們的臉上也浮現著困惑。

「ええ、気配どころか動きも私には見えませんでした。他の者も同様でしょう。ただ、貴方があの魔物を殴った瞬間少年の姿が視界から消え、かと思ったらあのカマキリのような娘さんがいつの間にか前に出ていて、スキュラのお嬢さんが触腕で少年を絡めとっていた。
「對,氣息的點或行動我也看不見。其他人也一樣吧。只是,你毆打那隻魔物的瞬間少連的身姿從視野裡消失了,剛那樣想之後那位螳螂般的女孩不知不覺出現在前面,斯庫拉的小姐用觸腕捆住了少年。
 私に分かったのはそれだけです」
 我明白的只有那個」

 四角い顔つきの騎士がファングを殴りつけた瞬間、ヴァンダルーは彼に気配を消したまま襲いかかろうとした。それを防ぐために、ミューゼが騎士との間に割って入り、ヴァンダルーは反射的に動きを止めた。その刹那の隙を突いたプリベルが、背後からヴァンダルーを絡めとった。
 四方臉騎士毆打梵古的瞬間,范達魯打算消除氣息般對他襲擊過去。為了防止那個,繆澤擠進了與騎士的之間,阻止范達魯反射性的動作。攻進那個剎那的間隙的普莉貝爾,從背後捆住了范達魯。
 ファングが硬直していたのは、騎士に怯えていたからではない。騎士の背後で起きた高速の攻防を見て、驚いていたのだ。
 梵古僵直著,並非是因為害怕騎士。是看到在騎士背後發生的高速攻防,驚訝著。

 そう推測する年配の騎士に対して、四角い顔つきの騎士はそんな馬鹿なと、苦笑いを浮かべた。
 對於那樣推測的老騎士,四方臉騎士浮現出怎麼可能的、苦笑。
「考え過ぎだろう。確かに、噂ではあのダンピール自身もそれなりにやるそうだが、母親と一緒に魔物の暴走に立ち向かった訳ではないだろう。
「考慮太多了吧。的確,在傳聞裡那個半吸血鬼本身似乎也能做到相應的,但並不會與母親一起對抗魔物的暴走吧。
 離れた所から毒や薬で魔物を惑わし、火事場泥棒を狙った山賊を撃退した程度だ。我々に気配を悟らせず、目にも止まらぬ速さで動くなど、無理だろう」
 是從遠離的地方用毒或藥迷惑魔物,擊退瞄準趁火打劫的山賊的程度。用不讓我們察覺到氣息、無法停留在眼中的速度行動之類,是不可能的吧

 四角い顔つきの騎士が言ったように、噂ではヴァンダルー自身の戦闘能力は高くないと推測できる。それは、賊がオリハルコンを装備したA級冒険者以上の実力者だった事を、モークシー伯爵が一般には隠しているからだ。
 就像四方臉騎士所言般,在傳聞裡能推測范達魯本身的戰鬥能力不高。因為那是,摩庫希伯爵將裝備了歐里哈爾肯的A級冒險者以上的實力者,普通地隱藏起來。

「……考え過ぎですか。だと、良いのですが」
「……考慮太多嗎。是的話,就好了」
 そう年配の騎士が言うと、四角い顔つきの騎士や衛兵達はそうだそうだと頷き、次の旅人の審査に取りかかった。
 老騎士如此說後,四方臉騎士及衛兵們是的是的地點頭,著手下個旅人的審查。
(考え過ぎだったら、あの御嬢さん達の妙な態度はいったいなんなのでしょうな。まあ、どの道あの従魔だと言うユリアーナ様そっくりな魔物の娘同様、儂の手には余る事だ。
(考慮太多的話,那些小姐們微妙的態度到底是怎樣呢。算了,結果說起來那個從魔活像尤莉亞娜大人的魔物女孩同樣,對老夫是太困難的事。
 それに、上への報告はもう行っているようだし)
 而且給上頭的報告似乎已經去了)

 年配の騎士が視線を巡らせると、いつの間にかヴァンダルーが街道に現れた時馬に乗って駆けだした騎士の姿がなくなっていた。
 老騎士巡迴視線後,不知不覺間范達魯現身街道時乘著馬跑起來的騎士的身姿變不見了。



 アルクレムの町に入ったヴァンダルー達一行は、町の人々から注目されていた。
 進入阿魯庫雷姆之城的范達魯他們一行,被來自城鎮的人們關注著。
 人口百万人の大都市であり、拠点にしている冒険者も多いアルクレムには、獣人種や巨人種だけではなく、ダークエルフや竜人等も珍しいが存在している。
 身為人口百萬人的大都市,作為據點的冒險者也很多的阿魯庫雷姆,並非只有獸人種及巨人種,暗黑精靈及竜人等也很稀奇的存在著。

 テイマーも同様で、モークシーの町とは違いランク3や4の魔物を従魔にした者が数十人ギルドに所属している。更に、レッサーワイバーンを駆って空を飛ぶ竜騎士達が組織されており、大きな祭りでは編隊を組んで町の上空を飛び、アルクレム公爵家の威厳と武力を誇示している。
 馴獸師也一樣,與摩庫希之城不同將位階3或4的魔物當作從魔者從屬於數十人的公會。並且,驅使小飛龍飛於天空的竜騎士們被組織著,在大的祭典上會組成編隊飛在城鎮的上空,誇示著阿魯庫雷姆公爵家的威嚴和武力。

 しかし、流石にアラクネやスキュラを見るのは多くの人々にとって初めてであるため、思わず足を止めて一行を見つめ、指差し、ざわめいていた。
 可是,因為畢竟看到阿剌克涅及斯庫拉對很多人們來說是第一次,不由得停下腳步凝視著一行人,用手指著,人聲嘈雜著。

「気持ちは分かるけど、ダメでしょ。ファングが我慢していたのに、あなたが動いたら」
「雖然心情很明白,但不行吧。明明梵古忍耐著,你卻動了」
「そうでござるよ。幾ら気がつかれずに仕留める自信があったとしても、あの場では忍耐が肝要でござる」
「就是那樣唷。就算有著多少不被注意到地打死的自信,在那當下忍耐也是很重要的」
「くぅん、べろべろべろ……」
「咕,舔舔舔……」
「わぷ、へぶっ、ちょっ、舌がっ!」
「我噗、是咘,等、舌頭啊!」

 そうした注目を無視して、ダルシアとミューゼが穏やかな口調でヴァンダルーに言い聞かせ、ファングが慰めるように舐めまわしている。
 就那樣無視關注,妲露希亞和繆澤用溫和的語氣勸說著范達魯,梵古為了安慰到處舔舐著。
 ヴァンダルーはまだプリベルの触腕に首から下が絡みついているため、大きなファングの舌が舐めているのは、主にプリベルの方だが。
 因為范達魯還是被普莉貝爾的觸腕從頭纏繞到尾,大大的梵古的舌頭舔舐著,雖然主要是普莉貝爾那邊。

「……俺も、別にあの騎士を闇に葬ろうとした訳ではありません。【格闘術】の武技を使ったならともかく、ただのパンチでファングを傷つけられるはずがありませんから」
「……我也是,並沒有特別打算將那位騎士葬送於黑暗裡。如果使用了【格鬥術】的武技姑且不論,因為只是用拳擊應該是無法傷到梵古」
 殺気を放たなかったヴァンダルーだが、それは彼があの四角い顔つきの騎士を殺すつもりが無かったからだ。
 因為雖然范達魯沒有放出殺氣,但那是他沒有打算殺死那個四方臉騎士。

「では、何をしようとしたのだ?」
「那麼,是打算要做什麼啊?」
 そうギザニアに訊ねられ、ヴァンダルーは答えた。
 如此被吉薩妮亞詢問,范達魯回答了。
「自分でも驚くほどの激情を覚え、それを抑えられなかったので、真正面に回り込んで睨もうとしました」
「發覺到自己也吃驚般的激情,由於無法抑制那個,打算繞進正面瞪視」
 あの騎士がファングを殴りつけた瞬間、何故かヴァンダルーは激怒した。彼の、【格闘術】の武技を使った訳でもないただのパンチでは、ファングを傷つけられるはずがない事は分かっている。
 那位騎士毆打梵古的瞬間,不知為何范達魯激怒了。明白他並非、使用了【格鬥術】的武技只是用拳擊,應該沒有傷害到梵古。

 しかし、今思い出しても不可解だが、あの騎士に対する激しい怒りを覚えてしまった。
 可是,雖然就算現在回想起來也不可理解,但感受到了對那位騎士的激烈憤怒。
 なので、騎士の正面に回り込んで睨みつけようとした。……対象に恐怖心を覚えさせる【魔王の魔眼】で。
 所以,打算繞進騎士的正面瞪視著。……用讓對象記住恐怖心的【魔王的魔眼】。
 ヴァンダルーは周囲に人がいるので何で睨もうとしたか口に出さなかったが、魔眼を使おうとした事を察したダルシア達は苦笑いを浮かべた。
 雖然范達魯由於周圍有人在沒有說出口為什麼打算瞪視,但查覺到打算使用魔眼的妲露希亞她們浮出了苦笑。

 ちなみに、以前ダルシアを娼婦扱いした成金風の男は、ヴァンダルーがかなり加減して【魔王の魔眼】で睨まれた途端、悲鳴をあげながら逃げ出している。
 順帶一提,以前將妲露希亞當娼婦對待的暴發戶風男子,剛被范達魯用相當斟酌的【魔王的魔眼】瞪視,就一邊發出哀鳴一邊逃出去了。

『坊ちゃん、それは下手をすると恐怖のあまり発狂しかねなませんぞ』
『少爺,那個搞不好會過於恐怖而只能發狂了吧』
「そうね。あの人は騎士だから、普通の人よりは耐えられるかもしれないけれど……大騒ぎになっていたわね」
「是啊。因為那個人是騎士,雖然或許會比普通人還能忍受……會變成大騷動呢」
 サムとダルシアがそう囁き合う。実際、あの騎士があの場で廃人になったり、失禁しながら逃げ出していたら、大騒ぎになっていただろう。
 薩姆和妲露希亞如此互相低語。實際上,那位騎士會在當場變成廢人,一邊失禁一邊逃出去的話,會變成大騷動吧。

 その場合、ヴァンダルーが騎士に何かした物的証拠は無くても、話を聞かれるなど更に足止めされていたはずだ。
 那個情況,就算沒有范達魯對騎士做了什麼的物證,被聽到對話之類應該也會更加被禁足。
「はい、誠にすみません。プリベル、ミューゼ、止めてくれてありがとう」
「是的,實在對不起。普莉貝爾、繆澤,謝謝來制止」
「何の何の、ヴァン殿の気性は分かっているでござるからな」
「哪裡哪裡,因為明白范殿下的性情呢」
「うん、気にへぶっ、しなくふぇっ、ファングっ、そろそろ止めて~!」
「嗯,不用咘、在意呼,梵古,差不多該停止了~!」

「では、あの騎士は私が始末しておきましょう」
「那麼,那位騎士我來收拾吧」
「……グファドガーンの姉御、始末はちょっと。今奴に何かあったら、師匠が疑われちまう」
「……古法德岡大姊,收拾就有點。現在那傢伙發生什麼的話,師傅會被懷疑的」
 空間の狭間に潜んでいるため声だけのグファドガーンを、サイモンが止めた。突然声が聞こえても驚かず、冷静に対処できるようになっている。彼も、短期間で随分と染まって来たようだ。
 將因為潛藏在空間的縫隙裡只有聲音的古法德岡,賽門制止了。突然聽到聲音也不吃驚,變得好像能冷靜地應對。他也是,似乎在短時間裡相當沾染到了。

「それにほら、弁護する訳じゃないけど、あの騎士も仕事だからさ。手続きに時間がかかったのも、『顔剥ぎ魔』のせい……つまり……だし」
「而且你瞧,雖然並非是辯護,但因為那位騎士也是工作啊。花費在手續上的時間,『剝臉魔』的緣故……也就是……是」
 ごにょごにょと、誰のせいなのかの部分を口の中で呟くナターニャ。彼女の言う通り、『顔剥ぎ魔』がいなければ、門に何人もの騎士が配備される厳戒態勢はとられなかったはずだ。
 碎碎唸著,將是誰的錯呢的部份在口中嘟噥的娜塔孃。如她所言,『剝臉魔』不在的話,應該就不會被採取在門配備好幾位騎士的嚴密警戒態勢。

「あと、あの四角い顔の騎士は、性根が腐ったような人ではないと思います」
「還有,那個四方臉騎士,我認為並非是本性惡劣般的人」
 そしてあの騎士を最も弁護したのは、前世では広い意味で同僚だったユリアーナだ。
 還有最為辯護那位騎士的,是在前世廣義上的同事的尤莉亞娜。
「あの騎士は殴る対象を選ぶことが出来ました。触れたら体毛が熱かったり、手に刺さったりしそうなマロルやスルガを避けるのは当然ですが、あの騎士が選んだのは凶暴なヒュージヘルハウンドだと偽ったファングでした。
「那位騎士能夠選擇毆打對象。雖然避開又是被碰到的話體毛會發熱、又是似乎會刺手的洛瑪魯是當然的,但那位騎士選擇的是冒充凶暴的巨型地獄獵犬的梵古。
 一番弱そうに見えるはずの、私ではなく」
 並非是應該看起來最弱似地、的我」

『もしあの騎士がその気なら、反撃されても平気そうなユリアーナさんを選ぶことが出来たが、敢えてファングを選んだのだから、悪意があった訳ではないだろう。そう言いたいのですな?』
『假如若是那位騎士有那個心,雖然能選擇就算被反擊也能沒事般的尤莉亞娜小姐,但因為敢於選擇梵古,並沒有惡意吧。是想那樣說嗎?』
「はい、そう言う事です」
「是的,就是那樣」
「言われて見れば確かに……いや、それなら拙者でも良かったのでは?」
「經妳這麼一說確實……不,那樣的話在下也可以呢?」

「ギザニア殿はただの大型種のアラクネ(と、偽っている)でござろう。あの騎士から見て、ギザニア殿はランク4、ファングはランク5。ファングの方が丈夫だと思ったのでござろう。
「吉薩妮亞殿下只是大型種的阿剌克涅(那樣、冒充著)吧。從那位騎士來看,吉薩妮亞殿下是位階4,梵古是位階5。想必是梵古更結實吧。
 それに、ギザニア殿は女子でござるし、あの騎士殿も殴るのは気が進まなかったのでござろう」
 而且,吉薩妮亞殿下是女子,那位騎士也沒有毆打的心思吧」
「なるほど。確かに、良い人かは分かりませんが、悪い人では無さそうですね。改めて止めてくれてありがとう、プリベル、ミューゼ」
「原來如此。確實,雖不明白是好人嗎,但似乎不是壞人呢。謝謝來重新制止,普莉貝爾、繆澤」

 あの騎士は悪い人ではない。そう纏まったのを確認して、グファドガーンの声も「では、生かしておきます」と言って途切れる。これで謎の四角い顔つきの騎士失踪事件は、未然に防がれたのだった。
 那位騎士並非壞人。確認如此總結,古法德岡的聲音也說了「那麼,先活著吧」就切斷了。因此謎之四方臉騎士失蹤事件,被防範於未然了。

「そう言えば、あの騎士ってもしかしてユリアーナさんの知り合い?」
「如此說來,那位騎士難道是尤莉亞娜小姐的熟人?」
「いえ、全く記憶にありません。前世の私の立場は微妙だったので、あまり人脈を広げると周囲に疑心暗鬼を煽る者がでる可能性があったので、私が率いていた隊以外の騎士とは、仕事以外ではあまり交流しないようにしていましたから」
「不是,完全沒有記憶。由於前世的我的立場很微妙,因為過於拓展人脈的話有煽動在周圍疑神疑鬼的人出現的可能性,因為與我率領著的隊伍以外的騎士,在工作以外不太做交流」

 ユリアーナはそう答えたが、「ですが」と続けた。
 雖然尤莉亞娜如此回答,但「不過」地繼續著。
「騎士達の方は全員私の事を知っていたと思います。継承権は無くても公爵家の一員ですし、女性だけで構成された騎士の一隊は私の隊だけで、何かと有名でしたから。ですが、やはり深く面識がある訳ではないので……気がついたのは、あの年配の騎士だけだったようです」
「我想騎士們那邊全員都知道我的事情。因為就算沒有繼承權也是公爵家的一員,就只是被只有用女性構成的騎士一隊是我的隊伍,有些有名。不過,由於果然並沒有很深的面熟……注意到的,似乎就只有那位老騎士」

 今のユリアーナの姿は、角や尻尾を除けば生前の彼女が子供だった頃とそっくりだ。だが、騎士達は彼女を幼少期から知っている訳ではなく、公爵家に少女時代の彼女の肖像画が飾られている訳でもない。
 現在的尤莉亞娜的身姿,去除角及尾巴的話活像生前的她小孩子的時候。但是,騎士們並非從幼年期就知道著她,在公爵家少女時代的她的肖像畫並沒有被裝飾著。
 二十歳前後の女性の十歳前の姿を見ても、似ていると気がつかない者もいる。その程度である。
 就算看到二十歲前後的女性十歲前的身姿,沒有注意到相似的人也有。是那種程度。
 ……今は九歳程に見えるユリアーナが、更に成長を続ければ似ているどころかそっくりだと気がつく者は、どんどん増えるだろうけれど。
 ……現在看起來九歲左右的尤莉亞娜,更加持續成長的話注意到相似的地方或活像的人,雖然會不斷增加吧。

 そう言う意味では、ユリアーナが成長しきっていない今の内にアルクレムに来たのは正解だったかもしれない。
 在那層意義上,在尤莉亞娜沒有成長起來的現在之內來到阿魯庫雷姆是正確答案也說不定。

「じゃあ、ヴァンダルーも落ち着いたようだし、まずは飢狼警備の人達が用意してくれた倉庫兼住宅で、ビビさん達と合流しましょう。あたし達は、今日中にヴァンダルーとテイマーギルドに行かないといけないし」
「那麼,范達魯似乎也冷靜下來了,首先在惡狼警備的人們給準備的倉庫兼住宅,與畢碧小姐她們會合吧。我們,必須要在今天內與范達魯去馴獸師公會」
 カチアがそう言って出発を促す。するとファングが、やっとヴァンダルー(主にプリベルだが)を舐めるのを止めた。
 卡其亞那樣說催促著出發。於是梵古,終於停止舔舐范達魯(雖然主要是普莉貝爾)。

「や、やっと止った。じゃあ行こうか、ヴァン君」
「終、終於停止了。那麼要去了嗎,范君」
「プリベル、もう落ち着いたので放してくれませんか?」
「普莉貝爾,由於已經冷靜下來了不放開嗎?」
 未だに触腕でグルグル巻きのヴァンダルーだった。
 還是以觸腕一圈圈捲著的范達魯。



 タロスヘイムをはるか上空から監視している……監視していると偽っていた『雨雲の女神』バシャスが、自身の英雄であるアーサーの耳に届いた人々のざわめきから、時が来た事を悟った。
 從遙遠的上空監視著塔洛斯海姆……謊稱著在監視著的『雨雲的女神』巴夏絲,因為傳到身為自身的英雄亞瑟耳裡的人們的嘈雜聲,領會到時機來臨了。

『来た……凶兆の体現者が』
『來了……凶兆的體現者』
『アルクレムに、闇夜の先触れが……』
『在阿魯庫雷姆,暗夜的前兆……』
『影の化身たるものが……現れた』
『作為影子的化身……顯現了』
 同時に、彼女の周囲に二柱の神が現れる。本来ならそれを見て驚くはずの他の監視役の神々は、二柱の神々が司る力によって、意識を他の事に向けており気がつかない。
 同時,在她的周圍出現兩柱之神。本來的話看到那個應該會驚訝的其他監視擔當的眾神,根據兩柱眾神司掌的力量,事先將意識轉向其他事情不會注意到。

『貴女が囁いた通りアルクレムに姿を現しましたね。ああ、早く直接お招きしたい……』
『妳透過低語在阿魯庫雷姆顯現身姿了呢。啊啊,想要快點直接招待……』
 一柱は女神で、黒く艶やかな髪と瞳をし、顔以外の全ての肌を黒い衣服で覆った、しかしそれでもエルフらしからぬ豊かな胸や腰着きを隠せていない。
 一柱是女神,有著黑色艷麗的頭髮和眼眸,將臉以外全部的肌膚用黑色衣服覆蓋,可是儘管如此也隱藏不了不像是精靈的豐滿胸部及腰圍。

 彼女が『闇夜の女神』ゼルゼリア。
 她是『闇夜的女神』潔露潔莉亞。

『耐えよ、ゼルゼリア。我等が欲に負け、魔王に下らんとする企み事、まだ知られるわけにはいかぬ。せめて神としての務めだけでも果たさねば……』
『忍耐唷,潔露潔莉亞。吾等輸給慾望,對魔王做了無聊的策劃,還沒有被知道。至少即便只有作為神的任務不完成的話……』
 一柱は、一見すると邪神の類と見間違いかねない姿をしていた。目も鼻も輪郭さえもなくのっぺりとした頭部の、黒い人影。
 一柱是,乍一看的話有著與邪神之類容易看錯的身姿。無論眼睛或鼻子連輪廓都沒有作為扁平的頭部的,黑色人影。

 彼が『影の神』ハムル。
 他是『影之神』哈姆爾。

『そうね……魔王が仕掛けた罠に魅入られ、本当に正しい事なのか確信もないまま欲に負け、信者に加護を与え、使者に仕立てた。おおよそ神の行いとは思えない、最低の所業を犯しているのだもの。
『也是呢……被魔王安裝的陷阱迷住,輸給依然無法確信真的是正確的事嗎的慾望,給予信徒加護,培養使者。大概不認為是神的行為,是犯下最差勁的行為的東西。
 果たすべき役割を果たし続けられるようにしないと』
 必須要持續完成應該完成的職務』
 そしてゼルゼリアとハムル、二柱の神を巻き込んだ『雨雲の女神』バシャスはいつもの陰気な、しかし熱を含んだ口調で話す。
 然後潔露潔莉亞和哈姆爾,將兩柱神捲進來的『雨雲的女神』巴夏絲總是陰鬱的,可是用飽含熱氣的語調說話。

『まずは、私のアーサーに――』
『首先是,對我的亞瑟――』
『愛しいカリニアに――』
『可愛的卡麗妮亞――』
『我がボルゾフォイに……ところで、もう一人は如何にする?』
『吾對波魯佐佛伊……話說回來,另一人要怎麼辦?』

『……アーサー達に任せようと思うの』
『……我想交給亞瑟他們吧』
『……そうね、あれもこれもと指図するのは良くないわ』
『……也是呢,那個或這個都指示也不好哇』
『では、ボルゾフォイ達の自主性に任せよう』
『那麼,交給波魯佐佛伊他們的自主性吧』
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留言共 5 篇留言

夜羽
精靈好身材是稀有呢~

09-19 10:02

SPT草包
我以為妳會關注被普莉貝爾一圈圈捲起來的范達魯XD。09-19 14:49
夜羽
在餵食的慶生大會中已出過同級的了(152還是153左右,那時倘算正常的)

09-19 16:17

SPT草包
我只看到熟肉第七章前面一些,後面都沒看過所以不知道(遮臉。09-19 17:28
夜羽
那邊未刪的都有可以看(算是正常的時間)

09-19 17:53

SPT草包
我記得熟肉只看到螳螂她們發現范達魯是男孩子的地方(137),
後面好像就都是會吃壞肚子的三分熟了,反正從第七章後就很亂了T^T。09-19 18:08
夜羽
到145為止仍可安心享用(未吞的話)

09-19 21:51

KL
三位有魔物血統的維達新種妹子全速阻止才能壓制住范君,可見范有多生气。

07-02 13:38

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