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第一部士兵的女兒 反對與說服

作者:SPT草包│2017-07-19 21:10:20│贊助:2│人氣:131
本好きの下剋上~司書になるためには手段を選んでいられません~
以下犯上的書癡~為了成為圖書管理員而不擇手段~
作者:香月美夜
第一部兵士の娘 反対と説得
第一部士兵的女兒 反對與說服
原文連結

 神殿長の目の前でぶっ倒れたわたしは、神殿長に呼び出された灰色の神官によって宿泊室に戻され、勝手に出歩かないように巫女が監視として置かれた。
 在神殿長的眼前趴倒下去的我,由被神殿長傳呼的灰色神官返還投宿室,為了不擅自外出走動巫女做為監視被設置了。

 結果として、一人でこっそりトイレはできず、巫女の世話になってしまった。
 作為結果,做不到一個人偷偷地上廁所,變成了由巫女來照料。
 他人様に監視されながらの行為に涙目になり、後始末をさせてしまった申し訳なさと恥ずかしさに巫女とは顔を合わせることができず、頭まで布団を被ってゴロンゴロンとのたうちたかったけれど、身体に力が入らない状態ではそれもできない。
 變成了一邊被別人監視一邊行為而淚目,讓她清理非常抱歉丟臉到不能與巫女面對面,雖然說想將棉被直蓋到頭滾來滾去,但以力量無法進入身體的狀態連那個也做不到。

 でろんとベッドの上で伸びながら、できない尽くしの自分にガッカリしていると、洗礼式を終えたルッツが様子を見に来くれた。綺麗な部屋に監視が付いている物々しい様子にルッツはぎょっと目を剥いて、ベッドの傍らに駆け寄ってくる。
 一邊在床上癱軟伸展著,一邊對盡是做不到的自己洩氣著時,結束洗禮式的路茲過來看情況了。路茲對漂亮的房間附加了監視的森嚴樣子驚嚇到瞠目結舌,往床的旁邊跑了過來。

「何やらかしたんだよ、マイン!?」
「妳是做了什麼唷,瑪茵!?」
「えーと、水場を探して迷子になって……倒れた」
「呃,變成尋找水源處的迷路小孩……倒下了」

 ベッドからのっそりと頭を持ちあげて、大まかに答えると、じっとりとした視線でわたしを見ていたルッツが腕を組んで、首を振った。
 從床上遲緩地抬起頭,粗略地回答後,用死盯著的視線看著我的路茲交叉著手,搖了搖頭。

「それだけじゃないだろ? 全部言え」
「並不止是那樣的吧? 全部都說」
「うぐっ……。えーと、図書室見つけて、興奮して……」
「嗚咕……。呃,發現了圖書室,興奮了……」

 言葉の途中でルッツが目を細めて首を傾げる。
 在話語的中途路茲瞇起了眼睛歪頭不解。

「図書室って何だ?」
「圖書室是什麼啊?」
「神が作り給いし、この世の楽園」
「神給予製作的,人世間的樂園」
「はぁ?」
「啥?」
「……本がいっぱいある部屋」
「……有滿滿書本的房間」
「あぁ……。もういい。全部言わなくても大体わかった」
「啊……。已經夠了。就算不用全部說也大致明白了」

 ルッツは片手で額を押さえながら、もう片方の手をパタパタと振った。話が打ち切られてしまったので、わたしは帰り支度をしようとベッドサイドにある髪飾りを手に取る。
 路茲一邊用單手壓著額頭,一邊啪嗒啪嗒地揮舞著另外一邊的手。由於話題被打斷了,我將在床邊的髮飾拿在手上做回去的準備。

「大事な事言ってないでしょ? 神殿長に直訴して倒れたのよ、このお嬢様は」
「重要的事情沒有說對吧? 直接上訴神殿長時倒下了喔,這位大小姐」

 くるくると髪をまとめていると、わたし達の会話を聞いていた監視役の巫女が呆れたような顔で肩を竦めた。
 捲啊捲地盤起頭髮後,聽著我們的對話的監視者巫女用吃驚般的表情聳了聳肩。
 気色ばんだルッツが、ぐにっとわたしの頬を摘まんで引っ張る。
 面帶怒氣的路茲,使勁地捏著我的臉頰拉了起來。

「何やってんだ、バカ!」
「妳幹了什麼呀,笨蛋!」
「ごめん。さすがにちょっと興奮しすぎたなぁ、とは思ってるんだけど」
「抱歉。到底是稍微興奮過頭了呢,我是那麼認為就是了」

 もうちょっと冷静に理性的に事が運べればよかったのだが、結果オーライ。神殿巫女になれそうな目途も付いたし、神殿長の部屋で聖典を読ませてもらえることにもなった。反省はしているが、後悔はしていない。
 雖然再稍微冷靜地裡性的推進事情的話就好了,但結果很好。好像要成為神殿巫女的目的也附加上了,接受在神殿長的房間閱讀聖典也達成了。雖然有在反省,但沒有後悔。

「これ以上、余計な事をする前に帰るぞ」
「這之後,在做出多餘的事情之前回去吧」

 ルッツに背負われて、巫女の先導で神殿を出ると、神殿前の広場では父が苛々した様子でわたし達が出てくるのを待っていた。
 被路茲揹著,因巫女的前導出來神殿後,在神殿前的廣場是父親以焦急的樣子等待著我們出來。

「……迎えがいるのね。じゃあ、わたしはこれで」
「……有迎接的呢。那麼,我就到這了」
「お世話になりました」
「謝謝妳的關照」

 そのままわたしは父に背負われて家に帰ることになった。道中でルッツが父に本日あったことを簡単に報告しているのを聞きながら、揺れに任せていると眠たくなってくる。
 就這樣我變成被父親揹著回到家。在路途中一邊聽著路茲向父親簡單地報告今天發生的事情,一邊任憑搖晃著變得想睡了起來。

「オレ、店で契約済ませてから帰るから」
「我,因為要在店裡辦完契約之後才回去」

 ルッツの声にハッと意識が戻ると、ベンノの店の前だった。さすがにこの状態ではベンノの店に寄ることもできない。今日の報告と見習いとしての契約に行くルッツとは、ベンノの店の前で分かれることになった。
 因路茲的聲音突然恢復了意識後,已是班諾的店前面了。畢竟以這個狀態是無法順道去班諾的店。變成與去做今天的報告跟做為實習的契約的路茲,在班諾的店前面分開。
 わたし達に気付いたマルクが店から出迎えに来てくれる。わたしはマルクに父の背中から手を振った。
 注意到我們的馬爾克從店裡過來迎接了。我從父親的背後向馬爾克揮著手。

「今日はありがとう、マルクさん。店に寄るのは無理だから、また来るね」
「今天謝謝你,馬爾克先生。因為無法順道去店裡,會再來的呢」
「お大事に」
「務必」
「ルッツ、契約、しっかりね」
「路茲,契約,要好好做呢」
「おぅ。ちゃんと休めよ」
「喔。要好好休息唷」

 見送ってくれるルッツとマルクに手を振りながら、わたしは父と一緒に家に帰った。
 一邊向目送的路茲與馬爾克揮著手,我一邊跟父親一起回到家。


 お祝いのためのちょっと豪勢な夕飯を終え、家族でお茶を飲みながら、わたしは父を見た。巫女見習いになりたい、という話をしなければならない。
 結束為了祝賀的有點豪華的晚飯,由家人一邊喝著茶,我一邊看著父親。所謂想要成為實習巫女,的話題必須要提起。

「ねぇ、父さん」
「喂,爸爸」
「なんだ?」
「怎麼了?」

 父がコップに口をつけて一口含む。
 父親將嘴靠上杯子含了一口。

「わたし、神殿の巫女見習いになろうと思うんだけど」
「我,是想著要成為神殿的實習巫女就是了」

 父の笑顔が一瞬で消えた。
 父親的笑容一瞬間消失了。
 次の瞬間、ダン! と大きな音を立てて、コップがテーブルに打ち付けられた。ビクッと竦み上がったわたしと同じように、コップの中で飛び上がったお茶がパタパタとテーブルに落ちる。
 下個瞬間,嗒! 地發出大大的聲音,杯子被打到桌子上。像是跟嚇到縮成一團的我一樣,在杯子裡飛出來的茶啪嗒啪嗒地落到桌上。

「……何だと? もう一度言ってみろ」
「……妳說什麼? 再說一次試看看」

 父の凄むような低い声に驚いて、わたしは目を瞬いた。背筋が震えるほどの怒りと嫌悪感を剥きだしにされて、心臓が嫌な音を立てる。
 驚恐於父親威嚇般的低沉聲音,我眨著眼睛。背肌顫抖般的憤怒與毫不掩飾的嫌惡感,心臟發出討厭的聲音

「……神殿の、巫女見習い」
「……神殿的、實習巫女」
「ふざけるな! 俺は自分の娘を神殿になど入れはしない」
「別開玩笑了! 我不會讓自己的女兒進入神殿什麼的」
「と、父さん。なんでそんなに怒ってるの?」
「爸、爸爸。為什麼那麼樣的生氣呢?」

 いきなり豹変した理由が全くわからず、わたしはただ戸惑うしかできない。反対はされるだろうと思ったけれど、父がここまで嫌悪感を剥きだしにして怒るとは全く考えていなかった。
 完全不知道突然驟變的理由,我僅僅除了驚慌失措以外都做不到。雖然認為會被反對吧,但父親至此做出毫不掩飾的嫌惡感的憤怒完全沒考慮過。

「神官や巫女見習いは、孤児がなるものだ! 親がおらず、庇護する者がいない孤児が生きていくために、仕方なくなるものだ。マインがなるものじゃない!」
「神官或實習巫女,是當了孤兒的呀! 是父母不在了,沒有庇護者的孤兒為了生存下去,沒辦法而去當的東西啊。並不是瑪茵該去當的東西!」
「孤児がなるもの、なの?」
「去當孤兒、嗎?」
「あぁ、そうだ。親が揃っているマインがなるようなものじゃない。二度と言うな!」
「啊,沒錯。並不是父母健在的瑪茵該去當的東西。別說第二次!」

 取りつく島もない父の態度にただ呆然とした。そして、その一方で父の言葉に納得もできた。
 只是對於愛理不理的父親的態度發楞。然後,另一方面也能理解父親的話語。
 ほんの少し引っ掛かっていたのだ。巫女見習いの希望者が存在することを考えていなかったような神殿長の反応や「君のような家庭の子供」という言葉に。
 稍微有點卡住了。像是沒考慮到實習巫女的自願者存在或所謂「像妳般的家庭小孩」的話語。

「ギュンター、マインは知らなかったんだから、そんなにきつく言わないで」
「君泰,因為瑪茵不知道,所以別說得那麼嚴厲」
「……あぁ、そうだな」
「……啊,說得也是」

 苛立った感情を吐きだすように、ゆっくりと呼吸した父がわたしの頭をぐしゃりと撫でる。そして、ポツポツとお茶が飛んだテーブルを軽く拭きながら、母が少し首を傾げた。
 像是吐露出了焦急的情感,慢慢地呼吸著的父親胡亂撫摸著我的頭。然後,一邊輕輕擦拭著星星點點地飛出的茶的桌子,母親一邊疑惑歪了頭。

「それにしても、何故マインは突然巫女見習いなんかになりたいと言い出したの?」
「不過,為何瑪茵會突然說出想要成為實習巫女呢?」

 両親の言葉の端々から神官や巫女に対する差別意識が透けて見える。神官や巫女はどちらかというと敬われる職業だと思っていたので、ビックリだ。
 從雙親的話語端倪中看透了對神官或巫女的歧視意識。由於認為神官或巫女所謂哪一邊都是被尊敬的職業,所以嚇到了。

「わたしね、洗礼式で倒れた後、水場を探して迷子になったの」
「我呢,在洗禮式倒下之後,變成了尋找水源處的迷路小孩」
「宿泊室にいたんだろう? 大体は部屋を出れば水場があるじゃないか」
「在投宿室對吧? 大致上離開房間的話不是就有水源處了嗎」

 ルッツから簡単に事情を聞いていた父が首を捻る。確かに、平民が利用する大部屋はすぐ近くに水場があることが多い。
 從路茲那簡單聽到事情的父親扭過頭。確實,平民利用的大房間水源處就近在附近的很多。
 わたしは小さく首を振った。
 我小小搖了搖頭。

「……わたし、晴れ着が豪華だったから、本当にお嬢様と間違われたみたいで、貴族の紹介状を持ってくる商人が泊るような部屋に通されたの。だから、すぐ近くになくて……」
「……我,因為盛裝很豪華,由於被跟真正的千金小姐搞錯了,被帶進了拿著貴族的介紹信過來的商人住宿般的房間。所以,不在附近……」
「あぁ、あの服なら仕方ないな」
「啊,如果是那件衣服沒有辦法呢」

 父が何度か頷いた。母もトゥーリも納得の表情だ。
 父親點了好幾次頭。母親跟圖麗也是理解的表情。

「迷っている間に貴族の人が使うような場所に入り込んじゃったの」
「在迷路期間進入到了貴族的人使用般的地方」

 ザッと両親が青ざめた。身分社会だからこそ、住み分けは徹底的にされている。ふらふらと迷子になって、貴族に難癖をつけられたら、人生そこで終了になる可能性は高い。
 雙親唰地臉色鐵青。正因為是身分社會,住所區分是被徹底實行的。變成搖搖晃晃的迷路小孩,被貴族刁難的話,人生變成在那裡結束的可能性很高。

「巫女さんが見つけてくれたから、お貴族様と会うことはなかったんだけど、図書室があってね。すごくいっぱい本があったの。読みたくて、読みたくて、堪らなかったのに、わたしは入れなくて……」
「因為巫女小姐發現了,雖然沒有跟貴族大人見到面,但有圖書室呢。有著非常滿滿一堆的書本。想要看,想要看,明明忍耐不住,我卻無法進去……」
「本、だと?」
「是書本、嗎?」

 父の眉がピクリと動いた。
 父親的眉毛微微動著。

「どうしたら入れるか聞いたら、巫女見習いになれば入れるって言われたから……」
「因為打聽要怎麼做才能進去呢之後,被說了成為實習巫女就能進去了……」
「それで考え無しに見習いになろうと考えたのか。……ハァ。本は諦めなさい。今まで通り自分で作ればいい」
「就那樣毫無考慮地成為實習是有在考慮嗎。……唉。」書本請放棄吧。如同往常自己做就好了
「え?」
「咦?」

 本を諦めろと言われたことが信じられなくて、わたしは父を見つめた。父は笑みを一切浮かべていない真剣な表情でわたしを見据える。
 無法置信被說了放棄書本,我凝視著父親。父親用笑容統統都沒有浮現的認真表情盯著我看。

「マインは家族と縁を切り、本を読むために孤児院で巫女見習いとして生きていくのと、家族と一緒に今まで通り過ごすのとどちらを選ぶんだ?」
「瑪茵與家人斷絕關係,為了看書在孤兒院作為實習巫女活下去跟,與家人一起如同往常度過要選哪一邊啊?」

 家族と本とどちらかを選べ、と言われて、頭が真っ白になった。
 被說了,家人與書本要選擇哪一邊,腦袋變得一片空白。
 身食いで朽ちるギリギリまで家族と過ごしたい。その時間の中で少しでも本を作って、読んで満足したいと思っていた。
 因身噬想直到逼近腐朽為止跟家人度過。有想過在那時間之中想要多少也要製做、閱讀書本就滿足了。
 今日、図書室を見つけて、本が読めるかもしれないことに浮かれて、興奮していたけれど、家族と離れることは考えてもいなかった。
 今天,發現了圖書室,雖然浮現搞不好能讀書了,而興奮著,但跟家人離開就算思考也沒用。

「……家族と、縁を切るの?」
「……跟家人,斷絕關係?」

 唇が震えて、まともな声にならない。掠れた声で問いかけると、父は重々しく頷いた。
 嘴唇顫抖著,發不出正經的聲音。用嘶啞的聲音詢問後,父親重重地點頭。

「そうだ。巫女見習いは神殿で暮らすことになる。仕事はきついし、一緒に仕事をする相手は孤児ばかりだ。身食いのマインになれるはずがない。体調管理さえ自分でできなくて、洗礼式で倒れるのに、一体何の仕事ができる? それに、本は高価だ。見知らぬ者が入らないように、魔術具か何かで守られているほど、希少な物なのだろう? 見習いになったところで、すぐに触れる物なのか?」
「沒錯。實習巫女是變得要在神殿過生活。工作費力,一起做工作的對象盡是孤兒。對身噬的瑪茵應該是當不了的。連身體狀況管理自己都做不到,明明在洗禮式倒下,到底能做什麼工作? 而且,書本很昂貴。像是不認識的人無法進入,被用魔術具什麼的保護般,稀少的東對吧? 是在成為了實習後,能馬上碰觸到的東西嗎?」

 父の言葉はいちいちもっともで、反論の余地がない。
 由於父親的話語一一正確,沒有反駁的餘地。
 巫女見習いになるのは無理だと、わたしの頭は答えを出している。けれど、あれだけの本を見せられて諦めることはしたくない。
 成為實習巫女是不可能的,是我的腦袋得出的答案。但是,不想要去放棄被看到的那些書本。
 泣きたい気分でグッと唇を噛みしめていると、トゥーリがわたしの手を取った。目にいっぱい涙を溜めて、わたしの手を離すまいときつく握る。
 用想哭的心情使勁地咬緊著嘴唇後,圖麗牽起了我的手。眼裡積存了滿滿的淚水,緊緊握住不放開我的手。

「マインは巫女になりたいの? 一緒にいるって、わたしと約束したのに、約束破るほど、巫女になりたいの?」
「瑪茵想成為巫女? 說要在一起,明明跟我約定了,是要打破約定般,想要成為巫女嗎?」

 トゥーリの言葉がスコンと胸に当たった。身体から力が抜けていくのを感じながら、首を横に振った。
 圖麗的話語重重地打在胸口上。一邊感覺力量逐漸從身體裡脫離,一邊左右搖著頭。

「……ううん。わたしは目の前にあった本を何とかして読みたいと思っただけ。別に巫女になりたいわけじゃない」
「……不是。我只是認為想要想辦法去讀存在在眼前的書本。並不是特別想要成為巫女」

 巫女見習いはただの手段で目的ではない。家族を泣かせ、家族と離れてまでなりたいものではないのだ。
 實習巫女只是手段而不是目的。不是讓家人哭泣、甚至跟家人離開也想成為的東西。
 わたしの答えにトゥーリは顔を輝かせながら、それでも、一抹の不安を覗かせる。
 圖麗一邊對我的回答喜上眉梢,即便如此,也一邊露出了一抹的不安。

「よかった。……マインは一緒にいてくれるよね? 約束したもんね?」
「太好了。……瑪茵會在一起呢? 約定好了呢?」
「うん。……体調が良くなったら、神殿長にお断りしてくるよ」
「嗯。……身體狀況變好的話,會去跟神殿長拒絕唷」

 わたしの下した答えを聞いて、父は胸のつかえが下りたように安堵の息を吐いて、ぎゅっとわたしを抱きしめた。
 聽到我做出的回答,父親像是放下胸中的鬱悶呼了一口安心的氣,緊緊地緊抱著我。

「わかってくれてよかった。お前は俺の大事な娘だ。神殿なんかにはやらん」
「能明白真是太好了。妳是我重要的女兒。不會去什麼神殿的」

 家族を悲しませずに済んで良かったと、思う心は確かにあるのに、自ら図書室に繋がる道を閉ざした瞬間、身食いの熱が身体の中で広がり始めた。
 沒讓家人悲傷而結束真是太好了,那麼想的內心明明確實有著,但親自關閉聯繫圖書室道路的瞬間,身噬的熱開始在身體裡面擴散。

「マイン、熱が上がり始めたぞ?」
「瑪茵,開始發燒了喔?」
「一日に何度も倒れたんでしょ? 話が終わって緊張の糸が切れたのよ。もう寝なさい」
「一天裡倒下好幾次了對吧? 是結束談話緊張的絲線斷掉了吧。已經該睡了」

 ベッドに入れられたわたしは、ゆっくりと身食いの熱が広がっていくのを感じながら、軽く目を閉じた。
 被放入床上的我,一邊感覺身噬的熱緩緩擴散,一邊輕輕閉上眼睛。

 本を選ぶことができなくなるなんて、思いもしなかったな。
 變成無法選擇書本什麼的,想都沒想過呢。

 今まで、わたしの中に本を選ばないという選択肢は存在しなかった。麗乃時代なら即答で本を取って、家族と離れたはずだ。何を置いても、まず本だった。
 至今,在我體內部存在所謂無法選擇書本的選項。如果是麗乃時代應該會立刻回答選取書本,跟家人開離。就算放下了什麼,首選也是書本。
 それなのに、今は即答で本が選べなくっている。本が周りに存在しないから、家族が一番大事なのだと思っていたけれど、いつの間に家族が本と同じくらい大事になっていたようだ。
 儘管如此,現在立刻回答則無法選擇書本。因為書本不存在於周遭,雖然認為家人是最重要的,但不知不覺間家人似乎變成跟書本同樣般的重要。

 でも、せっかく見つけたんだもん。本、読みたい。
 但是,難得發現了咩。書本,好想看。

 家族と本とどちらかを選ぶことができなくて、でも、本を切り捨てるなんてできるわけがない。そんな状態で熱を押し込もうとしても、いつもと違ってうまくいかない。図書室に未練を残す不安定な精神状態を嘲笑うように、身食いの熱が勢いを増していく。
 無法做到家人與書本該選擇哪一邊,但是,並非是能割捨掉書本。就算以那樣的狀態打算壓制熱,但與平時不一樣無法很順利。像是嘲笑在圖書室裡殘留有依戀的不安定精神狀態,身噬的熱逐漸增加了氣勢。
 思った通りに動かない熱に苛立ちを感じながら、わたしは家族と本の両立で自分なりの妥協点を探り始めた。
 一邊感到如同所想地無法動彈的熱而焦躁,我一邊開始尋找在家人與書本並存間盡己所能的妥協點。

 巫女見習いにならずに本を読める方法はない? 寄付金の話をしたら態度が変わったし、もうちょっと稼いで、お金を積み上げて入室許可を取ってみる? お金で人の頬を叩くような真似は気が進まないけど、背に腹は代えられないよね?
 有沒有不成為實習巫女而能讀書的方法嗎? 說了捐款的話題的話態度會改變,再稍微賺一些,試著堆積起金錢取得進入房間的許可? 雖然並不願意模仿用錢打人的臉頰,但卻是以小博大呢?
 差し当たり、神殿長の部屋に行って、聖典だけでも読ませてもらえば、ちょっとは満足できるかな?
 暫且,去神殿長的房間,即便只有聖典也能讀的話,是否能稍微滿足呢?

 結局、身食いの熱を抑え込むのに2日かかった。やっと熱が下がって起き上がれるようになったけれど、まだ身体がだるい。身食いの熱が引いたので、今日一日寝ていれば回復するだろう。
 結果,抑制住身噬的熱就花了2天。雖然說變得像是終於退燒而能爬起來,但身體還倦怠著。由於身噬的熱退了,今天睡一天的話就會恢復了吧。

 様子を見に来てくれたルッツが、わたしの顔を見て難しい顔をした。
 過來看情況的路茲,看了我的臉卻面有難色。

「まだ顔色悪いぞ。旦那様がマインと話をしたいって言ってたけど、今日は無理そうだな」
「氣色還不好喔。雖然老闆說想跟瑪茵說話,但今天似乎是不可能呢」
「ルッツ、明日の予定はある? わたし、神殿に行って、その後、ベンノさんのお店に行きたいんだけど、一緒に来てくれない?」
「路茲,有明天的預定嗎? 我,要去神殿,那之後,雖然說想去班諾先生的店鋪,但不會一起來嗎?」

 わたしの問いかけにルッツは少し首を傾げた。
 路茲對我的提問稍微歪頭不解。

「神殿? 別にいいけど何しに行くんだ?」
「神殿? 沒什麼不可以但要去做什麼啊?」
「聖典を読みに。……ついでに、巫女見習いの話を断ってくる」
「去看聖典。……順便,去拒絕實習巫女的話題」
「はぁ? 巫女見習い? どこから出てきた?」
「啥? 實習巫女? 從哪冒出來的?」

 そういえば、神殿長に直訴して倒れたとは巫女が言ったけれど、どんな直訴をしたのかは話をしていなかった。
 這麼說來,雖然說直接上訴神殿長而倒下是巫女說的,但沒有說做了哪種直接上訴呢。

「洗礼式で図書室を見つけたって言ったでしょ? 入れるのは神殿関係者だけだって言われたから、神殿関係者になろうと思ったんだよ。巫女見習いが一番簡単だと聞いて飛びついちゃったの」
「在洗禮式發現了圖書室有說過對吧? 因為被說了進去的只有神殿關係者,而想著要成為神殿關係者唷。聽到實習巫女是最簡單的就飛撲過去了」
「オレが旅商人になるより無謀だぞ? ちょっとは現実見ろよ。一足飛びに突き進むんじゃなくて、実現可能な回り道を探せって、オレに教えたのはマインだろ?」
「比我成為旅行商人還魯莽呢? 稍微看一下現實唷。並不是一躍地就能突破,要尋找可能實現的繞路,教我的是瑪茵對吧?」

 自分にとって都合のいい夢を見る少年から、地に足のついた夢を追いかける少年へと変わったルッツの言葉は痛いほど胸に刺さった。
 從對自己來說方便的做夢的少年,往腳踏實地地追逐著夢想的少年改變的路茲的話語疼痛般地刺入胸中。

「……最短ルートで本を読むことしか考えてなかった」
「……只考慮到以最短的途徑讀到書」
「本のことになるとマインは本気で周りが見えてないからな。もう神殿に行くの、止めておいた方がいいんじゃないか? 期待と失望の連続で身体に悪そうだ。身食いの熱が暴れ出すんじゃないのか?」
「因為變成書本的事情後瑪茵會認真到看不見周遭呢。夠了不是先制止去神殿、會比較好嗎? 似乎是因期待與失望的連續而身體不好。身噬的熱騷動起來了不是嗎?」
「せめて、聖典だけでも読もうって考えて、身食いの熱を抑え込んだところなの」
「考慮到至少,即便只有聖典也要讀,而抑制住了身噬的熱」

 ルッツは何とも言えない顔でわたしを見下ろして、苦笑しながら頭をポフポフと叩いた。
 路茲用無法形容的表情俯視著我,一邊苦笑一邊輕輕敲著頭。

「自分で折り合いつけたのか。本に関してマインが譲るなんて思わなかった。よく頑張ったな。……まぁ、神殿に通うだけで気が済むならいいけどさ。どう考えてもマインが神殿で生活するのは無理だと思うぜ」
「是自己互相讓步嗎。沒想到有關書本瑪茵會退讓什麼的。很努力了呢。……也好,如果只是進到神殿就滿意也是可以的啊。我認為就算如何考慮瑪茵也不可能在神殿過生活」
「うん、わかってる」
「嗯,我明白的」

 次の日、わたしはルッツと一緒に神殿へと行った。ベンノの店に行くので、新しい綺麗な服を着ている。神殿長の部屋の辺りは豪華なので、普段の服よりこちらの方が良いだろうと思ったせいもある。
 隔天,我與路茲一起去往神殿。因為要去班諾的店,而穿著嶄新漂亮的衣服。由於神殿長的房間附近很豪華,也有想過比起平時的衣服這邊的會比較好。
 門番に名前を告げて、神殿長に会いたいことを伝える。すでに話が伝わっていたようで、灰色の神官が現れて、神殿の中を案内してもらえることになった。
 將名字告訴門衛,傳達想要見神殿長。似乎話語已經轉達了,灰色的神官出現了,變成接受帶領到神殿裡面。

「ルッツはどうする? 一緒に来てもやることないでしょ? ベンノさんのお店で色々勉強してきたら? 神殿での用件が終わったら、お店に行くよ?」
「路茲要做什麼? 一起來也沒有能做的事情對吧? 在班諾先生的店鋪學習各式各樣的? 在神殿的要件結束之後,去店鋪吧?」
「5の鐘が鳴ったら迎えに来るから、待ってろ。勝手にフラフラするなよ?」
「因為5之鐘鳴響之後會來迎接,等著吧。別擅自搖搖晃晃了唷?」
「わかった」
「知道了」

 灰色の神官に案内されて神殿長の部屋に行ったけれど、神殿長は不在だった。代わりに青い服を着た神官長が出迎えてくれた。
 雖然是被灰色的神官帶領去神殿長的房間,但神殿長不在。取而代之的是穿著藍色衣服的神官長出來迎接。
 父と同じ世代くらいで、薄い水色の髪を肩ほどまで伸ばしている。神殿長は威厳のあるちょっと恰幅の良いおじいちゃんだが、神官長はかなり背が高く、やせ形だ。実務レベルで人をまとめ、奔走しているやり手な人に見える。
 以宛如跟父親同世代,留長著直到肩膀左右的淡水色的頭髮。雖然神殿長是有著威嚴稍微體格好的老爺爺,但神官長長得相當高,身形消瘦。看起來像以務實階級來歸類的人,是奔走著的幹練的人。

「君がマインか? 神殿長から話は聞いている。さぁ、入りなさい」
「妳是瑪茵嗎? 從神店長那聽聞過了。好了,請進吧」
「ありがとうございます」
「非常感謝您」
「神殿長が戻るまで、聖典を読んでやってほしいと頼まれている」
「直到神殿長回來之前,被委託了希望能讀聖典」

 神官長がわたしに読み聞かせてくれるらしいけど、神官長自らのおもてなしを受けるなんて、わたし、何かしたっけ? あ、寄付金か。
 雖然神官長似乎要讀給我聽,但接受神官長親自的款待什麼的,我,做了什麼嗎? 啊,捐款嗎?

 高額寄付をしてくれる相手だから、丁寧に接してくれているのだろう。どうやら、提示した寄付金の金額は相当インパクトがあったようだ。これなら、交渉次第で図書室への道が開けるかもしれない。
 因為是給了高額捐獻的對象,所以給予了謹慎地接觸對吧。看來,似乎提示了的捐款金額相當有衝擊。因此,根據交涉前往圖書室的道路說不定會開啟。

「では、そこで聞いていなさい」
「那麼,請在那邊聽著」

 部屋の中央のテーブルで神官長は読み聞かせを始めてくれたが、正面に座らされたわたしには本の表紙が見えるだけだ。どうやら本には触らせてはくれないらしい。わたしが一体何をするのか、何を考えているか、警戒しつつのおもてなしである。
 雖然神官長在房間的中央桌子開始讀給我聽,但對於坐在正面的我只能看見書本的封面。看來似乎不給觸碰書本。我到底會做什麼呢,在考慮什麼呢,一面警戒著一面款待著。

「あの、神官長。話が聞きたいんじゃなくて、わたし、本が見たいんです」
「那個,神官長。並不是想聽故事,我,是想看書本」
「それは何故だ? 君は神の話を知りたいのではなかったのか?」
「那個是為神呢? 妳並不是想知道神的故事嗎?」
「話も知りたいけれど、知らない単語を覚えたいんです」
「雖然故事也想知道,但想記住不知道的單字」

 わたしの言葉に神官長は虚をつかれたような表情になった。少し考えた後、深く頷く。
 神官長因我的話語變成了空洞般的表情。稍微思考之後,深深點了頭。

「……なるほど。ただ、これは貴重な聖典だ。決して触らないと約束できるか?」
「……原來如此。只是,這是貴重的聖典。能約定絕對不會碰嗎?」
「します」
「能」

 神官長はわたしを自分の膝に乗せて、聖典が見えるようにしながら、読んでくれる。端の方やページを捲る時に触るところが黄ばんだ羊皮紙に、流れるような美しい字が綴られている。古い紙の匂いを胸一杯に吸い込んで、ほぅ、と感嘆の溜息を吐いた。
 神官長將我放到自己的膝蓋上,一邊能讓我看到聖典,一邊讀起來。在邊緣或翻頁時碰觸到的地方帶有黃色的羊皮紙上,被點綴著流暢般的美麗文字。將古老紙張的氣味滿滿吸入胸中,呼、地吐了一口感嘆的嘆息。

 やはり洗礼式の話はずいぶん簡単な言い回しに噛み砕いてくれていたようだ。かなり雰囲気が違って聞こえる。
 果然洗禮式的故事似乎是給予了簡化十分簡單的說法。聽起來氛圍相當不一樣。
 神官長に聖典を読んでもらいながら、新しい単語を覚えていく。ずっと知りたいと思っていた一般名詞や動詞が次々出てくるのが面白い。
 一邊請神官長閱讀聖典,一邊逐漸記住新的單字。正想著一直想要知道的一般名詞或動詞一個個出現了非常有趣。
 見覚えのある単語を聖典には触れないように気をつけながら指差しては読み上げていると、面白がった神官長が単語を教えてくれるようになった。
 一邊注意為了不要觸碰到有認識的單字的聖典一邊用手指出並朗讀後,感覺很有趣的神官長轉為教導著單字。

「君はずいぶんと覚えが良いな。これほど吸収が良いと教え甲斐がある。……君は貴族ではないのか? 両親どちらかが貴族の血を引いているという可能性は?」
「妳記憶十分地好呢。這樣吸收良好很直得教。……妳不是貴族嗎? 雙親哪方有名為繼承貴族血統的可能性嗎?」
「全くないと思います」
「我認為完全沒有」
「そうか、残念だ」
「是嗎,真可惜」

 何故神官長が残念がるのか全くわからない。ただ、この神官長はマルクと同じように神官や巫女の教育も受け持っているのではないかと思う。教師っぽいというか、人に物を教えることに慣れている雰囲気が、マルクと似ている。
 完全不知道為何神官長會覺得可惜。只是,想著這個神官長是不是像跟馬爾克一樣神官或巫女的教育也擔當著呢。所謂教師的樣子嗎,還是習慣了教人事物的氛圍呢,跟馬爾克很像。

「あぁ、来ていたのか。待たせたようだな?」
「啊,已經來了嗎。讓妳久等了呢?」

 神殿長が戻ってきたので、わたしは椅子に戻るよう言われ、聖典は神官長によって丁寧に綴じられて棚の上へと返された。
 由於神殿長回來了,我被說了回到椅子上,聖典由神官長謹慎地闔上歸還往架子上。

「神官長が聖典を読んでくださったので、とても有意義で楽しい時間を過ごせました。ご厚意に感謝します」
「由於請了神官長閱讀聖典,度過了非常有意義且快樂的時間。非常感謝您的厚意」

 神殿長がゆったりとした動作で神官長が座っていた椅子に座り、神官長が傍らに立った。
 神殿長用悠緩的動作坐到神官長坐著的椅子上,神官長站到了旁邊。

「それで、親御さんは何と?」
「於是,親屬怎麼說?」
「巫女は孤児がなるものだから、ダメって言われて叱られました」
「因為巫女是當了孤兒的東西,被說了不可以而責罵了」

 期待に目を開かせて身を乗り出す神殿長の言葉にわたしはしょぼんと肩を落とした。
 我無精打采地對期待著睜著眼睛探出身子的神殿長的話語垂下了肩膀。
 神殿長はハァと溜息を吐き、頭を振った。神殿長の傍らから、神官長が口を開く。
 神殿長唉地嘆了一口氣,搖了搖頭。從神殿長的旁邊,神官長開口了。

「別に孤児がなるものだとは決まっていない。貴族の子もいる。確かに神官や巫女は孤児の確率が高いが、それは他の職業に就けないからだ。孤児はどうしても就ける仕事が限られ、神官や巫女見習いになるしか道がないんだ」
「並沒特別決定是當了孤兒的東西。貴族的孩子也有。確實神官或巫女是孤兒的機率很高,但那是因為無法就任其它的職業。孤兒無論如何能就任的工作很有限,就只能成為神官或巫女實習啊」

 神官長の言葉にわたしは何度か目を瞬いた。
 我對神官長的話語眨了好幾次眼睛。

「どうして他の職業に就けないんですか?」
「為什麼無法就任其它職業呢?」
「紹介をしてくれたり、面倒を見てくれたりする人がいないからだ」
「因為沒有給予介紹、給予關照的人啊」

 ものすごく納得した。親戚や身内の紹介で、見習いになれるかどうか決まるこの街の就職制度は確かに孤児には優しくない。親の紹介する仕事以外を選ぶだけで一苦労なのに、伝手を探すことさえできない孤児の苦労は想像もできない。
 非常地能理解。以親戚或自己人的介紹,來決定是否能成為實習的這座城市的就業制度確實對孤兒並不溫柔。明明只是選擇父母介紹的工作以外就費了一番力氣,連尋找門路都做不到的孤兒的辛苦無法想像。

「孤児でなくとも巫女にはなれる。それは理解してほしい」
「不是孤兒而是成為巫女。那個希望能理解」
「はい。でも、見習いは神殿に住むもので、虚弱なわたしには見習いのきつい仕事もできないから無理って言われました」
「是的。但是,由於實習是住在神殿裡,因為對於虛弱的我是做不到實習的費力工作而被說了不可能」
「体調が悪かったわけではなく、普段から虚弱なのか?」
「並非是身體狀況不好,從平時就很虛弱了嗎?」

 神殿長が少し眉を寄せながら、白いひげをなぞる。冬になったらサンタの衣装を着せてみたいと頭の隅で思いながら、わたしは大きく頷いて肯定した。
 神殿長一邊稍微皺起眉頭,一邊撫摸白色的鬍子。一邊在腦袋的一角想著到了冬季想看看穿上聖誕老人的服裝,我一邊大大點頭肯定。

「はい。身食いって病気なんです」
「是的。是叫身噬的疾病」
「身食い!?」
「身噬!?」

 ゆったり泰然とした動きをしている神殿長が目を見開いてガッと立ち上がった。立っていた神官長はバンとテーブルに手をついて、わたしに向かって身を乗り出してくる。
 悠緩泰然動著的神殿長睜大了眼睛嘎地看了起來。站著的神官長啪地將手撐在桌子上,向我探出了身子。

「身食いだと!」
「居然是身噬!」
「は、はい。それが何か?」
「是、是的。那個怎麼了嗎?」

 血相を変えた二人に詰め寄られて、わたしは反射的に身体を引いた。何かまずいことを言ってしまっただろうか、と眉を寄せるわたしの前で、神殿長が小刻みに震える手で扉の方を指し示す。
 被臉色大變的兩個人逼近,我反射性地縮起身體。是說了什麼糟糕的事情了吧,在那樣皺起眉頭的我面前,神殿長用微幅顫抖的手指示了門扇的方向。

「神官長、あれを持ってきてくれ」
「神官長,去將那個拿過來」
「わかっています」
「明白了」

 軽く頷いた神官長が長い脚を生かした大股でスタスタと歩いていく。一見優雅なのに、ものすごく速い。よほど慌てているのか、神官長が出ていったドアは開け放たれたままだ。
 輕輕點頭的神官長以活用長腿的大步匆匆忙忙地走了出去。明明乍看之下很優雅,卻非常快。是頗為慌張著嗎,神官長出去的門依然大開著。
 呆気にとられて見送るわたしの視界の端で、神殿長が聖典の飾ってある棚の方へと身体の向きを変えた。
 在驚愕地目送著的我的視野邊邊,神殿長改變了身體的朝向往裝飾有聖典的架子的方向。

「神に祈りを!」
「向神祈禱!」

 いきなりグ○コの祈りを始めた神殿長につられて、わたしも一緒に手だけ上げてしまった。
 跟隨著突然開始固○果的祈禱的神殿長,我也一起只有手舉了起來。

「神に感謝を!」
「向神感謝!」

 流れるような動きで土下座している神殿長の背中を呆然と見ながら、一体何が起こったのか、戦々恐々とする。
 儘管發呆地看著以流暢的動作變成跪拜的神殿長的背後,但到底發生了什麼事呢,而戰戰兢兢著。
 明らかに何かまずい展開になった気がする。ここから逃げ出したいが、先程の剣幕から考えても、そう簡単に逃げ出せるとは思えない。
 感覺明顯變成有什麼糟糕的展開。雖然想要從這裡逃出去,但就算考慮到剛才的洶湧氣勢,也不認為能那麼簡單地逃出去。

 わたしは椅子に座って固まったまま、祈り続ける神殿長からゆっくりと視線を逸らした。
 我仍然做在椅上子僵住了,從持續祈禱的神殿長身上悠緩地岔開了視線。
 ドアの向こうからカツカツと足音がずいぶんと速いスピードで近付いてくると思ったら、神官長が布にくるまれた何かを持って戻ってくる。
 想著從門的對面喀喀地腳步聲以非常快的速度來到了附近之後,神官長拿著被布捲著的什麼回來了。
 テーブルの上に布を取られながら、丁寧に置かれたのは、礼拝室の石像が持っていた聖杯だった。
 一邊在桌子上將布拿走,一邊謹慎地放置著的是,禮拜室的石像拿著的聖杯。

「この聖杯に触ってみなさい」
「請試著觸碰這個聖杯」
「え? これってわたしが触っていいんですか?」
「咦? 是說這個我可以觸碰嗎?」
「あぁ、早く」
「可以,快點」

 テーブルの上に置かれた聖杯に恐る恐る手を伸ばす。ギラギラとした目で、じっと見てくる二人が怖い。
 對被置放在桌子上的聖杯慌恐地伸出了手。用閃閃發光的眼睛,目不轉睛地看過來的兩個人很恐怖。
 わたしの指先が触れた途端、聖杯が眩しい光を放った。
 我的指尖接觸到的當下,聖杯釋放了耀眼的光芒。

「わぁ!? 何これ!?」
「哇!? 這是什麼!?」

 慌てて手を引いたら、すぅっと聖杯の光が消える。自分の指と聖杯を見比べるわたしの前で、神殿長と神官長が顔を見合わせて、頷き合った。
 驚慌地縮回手後,聖杯的光芒迅速消失了。在比較著自己的手指與聖杯的我的面前,神殿長與神官長面面相覷,互相點頭了。

「マイン、君のご両親と話をしたい」
「瑪茵,想跟妳的雙親說話」

 父さん、母さん、ごめんなさい。
 爸爸、媽媽,很抱歉。
 なんか大事になったようです。
 總覺得似乎變成大事了。

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 一歩進んで二歩下がる感じです。
 是前進一步退後兩步的感覺。

 次回はベンノさんのお説教です。
 下回是班諾先生的說教。
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