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1 GP

第一部士兵的女兒 商業公會

作者:SPT草包│2017-03-09 07:44:12│贊助:2│人氣:115
本好きの下剋上~司書になるためには手段を選んでいられません~
以下犯上的書癡~為了成為圖書管理員而不擇手段~
作者:香月美夜
第一部兵士の娘 商業ギルド
第一部士兵的女兒 商業公會
原文連結

 現在、わたしはベンノに抱き上げられて、商業ギルドに向かっている。
 現在,我被班諾抱了起來,正轉往商業公會。
 最初は自分でちゃんと歩いていたのだが、わたしの歩く速度に苛立ったベンノに「遅い! 時間の無駄だ」と怒鳴られて、ひょいっと抱き上げられた。
 最初雖然是自己好好地走著,但被不耐煩於我的走路速度的班諾給「太慢了! 真是浪費時間」地怒吼了,而輕輕地抱了起來。
 そして、時間の大切さについて延々と説教されては、反抗することもできない。
 然後,關於時間的重要沒完沒了地被說教著,是連反抗也做不到的。

「そういえば、ベンノさん。商業ギルドって何ですか?」
「說起來,班諾先生。是說商業公會是什麼呢?」

 自分が知っている物とどういう差異があるかわからないことは、詳しく聞いておくのが一番だ。
 不知道跟自己所知道的東西有些什麼差異,事先詳細打聽是最優先的。

「何だ、知らんのか?」
「啥啊,不知道到嗎?」
「行ったことがないです。ルッツは知ってる?」
「從來沒有去過。路茲知道嗎?」
「商売するヤツが行くところだろ?」
「是做生意的傢伙去的地方吧?」

 この街の子供なら誰でも知っていることかとルッツに話を振ってみたが、返ってきたのは、わたしでもわかる程度のことだった。
 如果是這座城市的小孩子任誰都知道的嗎試著把話題拋給路茲,但回覆過來的,是連我也知道的程度的事情。
 ベンノが軽く溜息を吐きながら、説明をしてくれる。
 班諾一邊輕輕地嘆了一口氣,一邊做了說明。

「……まぁ、そうだ。この街で店を開く時に必要な許可証を出したり、悪質な商売をしているところに罰を与えたりするのが主な仕事だな。商業ギルドの許可なく店を開くことも出来ないし、市場で露店を広げることもできない。そして、商売に関係する奴は全員登録が必要で、登録せずに商売をすると厳罰を下される」
「算了,是啦。發出在這座城市裡開店的時候必要的許可證,對正做著惡劣生意的地方給予懲罰是主要的工作。沒有商業公會的許可是無法開店的,也不能在市場擴大露天商店。然後,由於跟生意有關係的傢伙必須要全員登記,沒有登記卻做著生意的話會被嚴厲懲罰」

 ベンノの話を聞いて、商売に関係する役所みたいなところかな? と推測する。許可をもらわなければ、店を開くこともできないし、見習いの登録もするのだから、あまり間違えてはいないだろう。
 聽了班諾的話,會不會是跟生意有關係像是官署關般的地方呢? 那樣推測著。若無法得到許可,是不能夠開店的,因為也做著實習的登記,不太會搞錯對吧。

「かなり権力のありそうな組織ですね」
「像是相當有權力的組織呢」
「そうだな。権力があって、金にがめつい。見習いを抱えたら登録料、新しい商売を始めようと思ったら拡大金、何かやったら手数料ってな」
「也是呢。有著權利,對錢唯利是圖。抱持實習的話要登記費,想要開始新生意的話要拓展費,要做什麼的話都要手續費呢」

 何をするにもお金がかかるのは、どこの世界でも同じことなのかもしれない。貧乏人にとっては嫌な世の中である。
 做什麼都是要花錢的,無論哪個世界都是一樣的也說不定。是對於貧窮人來說討厭的世間。

「どっちにしろ、洗礼式を終えて商人見習いになれば、登録される。店で働く奴は全員売買する立場になるからな。お前達の場合、洗礼式までは仮登録になるが、登録しておかないと、紙も髪飾りも……商品の売買ができないんだ」
「不論哪一種,結束洗禮式成為實習商人的話,要被登記。因為會變成在店裡勞動的傢伙全員做著買賣的立場呢。你們的情況,洗禮式之前雖然會變成臨時登記,但不先做登記的話,紙張也好髮飾也好……是無法做商品的買賣的」
「それって、今日、ベンノさんが紙を買い取るために、登録が必要ってことですか?」
「那是說,今天,班諾先生為了買下紙張,登記是必要的事情嗎?」
「そうだ」
「沒錯」

 なるほど。ベンノが急いで登録しようとするのは、試作品を買い取るためらしい。
 原來如此。班諾急忙地打算要登記,似乎是為了買下試作品。
 ほぅほぅ、とわたしが一人で納得していると、ベンノの眉がくっと険しく寄せられた。
 哦哦,地我一個人理解了之後,班諾的眉毛突然嚴峻地被擠成了一團。

「すんなり登録が終わればいいが、あのくそじじいのことだ。どうせ、また難癖付けてくるに決まっている」
「順利結束登記的話就好了,但是那個臭老頭的關係。反正,肯定是會來刁難的」
「難癖?」
「刁難?」

 何だか穏やかではない言葉が出てきた。ベンノは商業ギルドのお偉いさんだと思っていたが、違うのだろうか。それとも、派閥争いのようなものだろうか。
 總覺得發出了不平靜的話語。雖然想著班諾是商業公會的大人物,但不是嗎。還是說,像是派系鬥爭般的東西嗎。

「今、勢いがあってどんどん事業を拡大しているのが、俺の店だからな。ギルド長が少しでもむしり取りたくて仕方がないんだろ? お前ら、余計なことは言うなよ」
「現在,雖然有著氣勢而不斷地擴大著事業,但因為是我的商店呢。公會長稍微也想要拔掉是沒辦法的吧? 你們,不要說多餘的事情喔」
「はい」
「好」

 ルッツと二人で、声を揃えて返事する。やり手の商売人同士が繰り広げるだろう、狐と狸の化かし合いにくちばしを挟むような真似をするつもりはない。
 跟路茲兩個人,齊聲回答著。是幹練的生意人之間的展開吧,沒打算要像要狐狸與狸貓互相迷惑插嘴般的模仿。

「そうだ、マイン、お前が持ち込んだ髪飾りのことだが」
「對了,瑪茵,是妳帶進來的髮飾的事情」
「これですか?」
「是這個嗎?」

 わたしがトートバッグを少し開いて髪飾りを見せると、ベンノが小さく頷いた後、鋭い赤褐色の目でわたしを見た。
 我稍微打開手提包展示髮飾後,班諾微微點頭之後,用銳利的紅褐色眼神看著我。

「これはどのくらいで作れる?」
「這個要用多久來製作?」
「材料が全部揃っていて、ルッツが木の部分を作ってくれていたら、それから、わたしの体調が良い時で……えーと、この花の部分だけなら、頑張れば一日で、多分、何とか……」
「材料全部收集齊全,路茲來製作木頭的部份的話,那之後,在我的身體狀況好的時候……呃,如果只有這個花的部分,努力的話用一天,大概,好歹能……」

 小花の量にもよるけれど、わたしのスピードなら一日仕事。裁縫上手な母なら鐘二つ分もあれば、作れるはずだ。
 雖然說也要根據小花的數量,若是我的速度要工作一天。如果是擅長裁縫的母親有鐘響兩次的話,應該能做到。

「ルッツはどうだ?」
「路茲是怎樣?」
「木を削って、磨くだけだから、鐘一つ分の時間があれば作れると思うけど?」
「因為只是削切、打磨木頭,雖然我認為有鐘響一次的時間的話就能做了?」
「ふむ、いいな」
「呼唔,夠了」

 ベンノは上機嫌な声音でそう言っているが、目だけはギラギラと鋭い光を放っている。
 雖然班諾用心情愉快的聲音那樣說著,但只有眼神閃亮亮地放出銳利的光芒。

「何がいいんですか?」
「是有什麼好事嗎?」
「この後のお楽しみだ」
「是這之後的樂趣呀」

 標的を定めた肉食獣のような笑みを浮かべて、ベンノが睨んだ先には商業ギルドの建物があった。
 浮現了像是鎖定目標的肉食動物般的笑容,在班諾注視著的前方有著商業公會的建築物。


 商業ギルドは中央広場に面した角に大きく立っている建物だった。それだけでもかなりお金を持っている組織であることがわかるのに、上から下まで誰にも貸していない、全部ギルドの建物だそうだ。
 商業公會是在面向中央廣場一角上大大矗立著的建築物。明明就只是那樣也能明白是有著擁有相當金錢的組織,但從上到下都沒有借給任何人,似乎全部都是公會的建築物。

「俺が稼いだ金がここに注ぎこまれているかと思うと、腹立つだろ?」
「想到我賺的錢都被灌注到這裡了嗎後,就令人生氣吧?」
「そうですけど、ないと困るんでしょ?」
「雖然是那樣,但沒有的話會傷腦筋的吧?」
「そうだ。それがさらに腹立たしい」
「沒錯。那樣會更令人生氣」

 ドアの前には武器を持った番人が立っていて、わたし達を上から下まで見た後、用件を尋ねる。
 在門的前面正站著拿著武器的值班員,把我們從上到下看過後,詢問要件。

「どのような用件で?」
「是怎樣的要件?」
「こいつらの仮登録だ」
「是這些傢伙的臨時登記」
「どうぞ」
「請進」

 ドアを開けてもらって中に入ると、いきなり階段があったことに面食らう。やや広めの階段だが、一階が見当たらない。
 勞煩開門進入裡面後,對突然存在的樓梯驚慌起來。雖然是稍稍擴大的樓梯,但找不到一樓。

「ベンノさん、一階ってどうなっているんですか?」
「班諾先生,一樓是怎麼了嗎?」
「あぁ、一階は旅商人が馬車や荷車を置くための場所だ。大通りにずらずら並べられたら迷惑だからな。裏に回れば並んだ馬車が見えるはずだ」
「啊,一樓是商人為了放置馬車跟貨車的地方。因為連綿不斷地被排列在大街上的話會很麻煩呢。轉到背面的話應該是能看見並排的馬車」

 二階に上がると、広いホールがあった。
 爬上二樓後,有著廣大的大廳。
 その中を大勢の人が行ったり来たりしている。あまりの喧騒に、この街ってこんなに人がいたのか、と妙な感心をしてしまうほどだ。
 眾多的人在那裡面來來去去著。對相當的喧鬧,是有著在這座城市裡有著這麼多的人嗎,奇妙的佩服的程度。

「ここには用がない。奥の階段から三階に行くぞ」
「在這裡沒有用處。要從裡面的樓梯去三樓喔」

 わたしはベンノに抱えられたまま、奥の階段へと向かったので、安全だったが、ベンノの後ろをついて歩くルッツがもみくちゃにされている。
 我依然被班諾抱著,由於要轉往裡面的樓梯,雖然很安全,但跟在班諾後面走著的路茲卻被擠得亂七八糟。

「ルッツ、大丈夫?」
「路茲,不要緊嗎?」
「平気だけど……まるで祭りみたいだ」
「雖然沒事……但簡直就像祭典一樣」
「市場の露店の申し込みやこの街に着いた旅商人がここで商売するための許可をもらうところだからな。市が近付くとこういうことになる。市が終われば、しばらく静かなんだ」
「因為是市場的露天商店的申請跟到達這座城市的旅行商人為了接受在這裡做生意的許可的地方。變成稱為接近市集這種事情了。市集結束的話,就會暫時安靜了」
「へぇ」
「哦」

 奥の階段にはがっちりとした金属の柵が付けられていて、その前にはまた番人が立っていた。
 在裡面的樓梯被加裝上了作為堅固的金屬柵欄,在那前面又有值班員站立著。

「登録証をお願いします」
「請出示登記證」
「三人で上に上がる」
「三個人上到上面」
「畏まりました」
「謹遵吩咐」

 ベンノが金属のカードのようなものを取り出して渡すと、番人がそれを何かにかざした。
 班諾拿出了金屬卡片般的東西交付之後,值班員將那個不知所謂地舉了起來。
 白い光が柵を走ったかと思うと、柵が溶けるように消える。
 想說白色的光是要穿過柵欄嗎之後,柵欄就像融化般的消失了。

「えぇっ!? 何これ!?」
「咦!? 這是什麼!?」
「魔術具だ。ルッツ、俺の手を離すな。弾かれるぞ」
「是魔術具。路茲,不要放開我的手。會被彈開喔」
「お、おう」
「喔、喔」

 ベンノがわたしを片手で抱え、もう片手でルッツの手を引いて、階段を上がり始める。
 班諾用一隻手抱著我,用另一隻手拉著路茲的手,開始爬上樓梯。

「魔法ってお貴族様しか使えないんじゃなかったんですか?」
「是說魔法不是只有貴族大人能使用的嗎?」
「こういう組織の上層部はだいたい貴族と繋がっている。利があると思えば、魔術具を与えることを躊躇わない貴族も多い」
「這種組織的高層大多都跟貴族有著聯繫。想說有利的話,就毫不猶豫地給予了魔術具的貴族很多」
「初めて見ました」
「第一次看到」

 契約魔術の時にも思ったけれど、わたし、どうやら予想以上にファンタジーな世界にいるらしい。
 雖然說在契約魔術的時候也想過,我,看來似乎存在於出乎預料的幻想世界裡。

 階段を上りきると、ベンノはルッツの手を離し、わたしを下ろしてくれた。
 爬上樓梯後,班諾放開了路茲的手,把我放了下來。
 階段を上がったところからしばらく白い壁が続いていて、奥の方にカウンターらしき場所が見える。二階は市場の露店に関する仕事をしている場所で、三階が店を持っている店主に対応する場所ということで、二階の喧騒に比べて、三階は静かで人もまばらだ。
 從爬上樓梯的地方開始暫時延續著白色的牆壁,在裡面的地方看見了像是櫃檯的地方。二樓是處理著有關市場的露天商店的工作的地方,三樓是所謂對應著擁有商店的店主的地方,跟二樓的喧鬧相比,三樓很安靜人也稀稀疏疏的。

 二階は床が木で、端の方には埃も積もっているような薄汚れた場所だったのに、三階はカーペットが敷かれていて、掃除が行き届いている。家具にも維持にもお金がかかっているような雰囲気になった。一目でわかる格差社会だ。
 二樓是木頭地板,明明是在邊角的地方塵埃也像是堆積著般髒兮兮的地方,三樓卻是被鋪著地毯,清掃周延。變成了對家具跟維持都好像花了錢的氣氛。是一看就明白的差距社會。

「この壁の向こうは会議室だ。お前達が使うことはまずない」
「這個牆壁的對面是會議室。你們應該不會去使用」

 白い壁を指差して、ベンノが説明しながらカウンターの方へと向かって歩き始める。わたしもルッツと手を繋いでついていく。普段の生活では目にしない高級さに少しばかり気後れしてしまうのだ。
 用手指著白色的牆壁,班諾一邊說明一邊轉向櫃檯的方向開始走著。我也跟路茲牽起手跟了過去。對在平常的生活裡不曾入眼的高級稍微畏縮了。

 会議室を通り過ぎると、壁から壁までカウンターがあり、カウンターの中では商業ギルドに出入りしている見習いらしき子供達が、奥の方で木札を読んだり、計算機を使って計算したりしている姿があった。
 通過了會議室後,有著從牆壁到牆壁的櫃台,在櫃台裡面有著進出著商業公會像是實習的小孩子們,在裡面的地方有著又是讀著木牌、又是使用著計算機計算著的身影。

「ルッツ、冬の間に文字と計算を覚えなきゃね」
「路茲,在冬季期間必須要記住文字跟計算呢」
「……そうだな」
「……說得也是呢」

 廊下を挟んで、カウンターの反対側にはソファのような物があり、待合室というよりは応接室のように寛げる場所になっている。
 夾著走廊,在櫃檯的反方向有著像是沙發的東西,成為了比起名為等候室更像是接待室般舒暢的地方。
 ぐるりと見回すと、壁際に一つ、木札や羊皮紙が並んだ棚があった。
 環視一周之後,靠牆有著一個,排列著木牌跟羊皮紙的架子。

「あれは、もしかして、本棚っ!?」
「那個,難道是,書架!?」

 ぐぐんとテンションが上がったわたしをベンノが不思議そうに見て、首を傾げた。
 班諾不可思議似地看著迅速地提高了緊張狀態的我,歪頭不解。

「あぁ、あれは店を出すための規則やこの周辺の簡単な地図、貴族年鑑なんかが並んでいる書棚だ。……興味あるのか?」
「啊,那個是陳列著為了開店的規則跟這周邊的簡單地圖、貴族年鑑之類的書櫃。……有興趣嗎?」
「ありありですっ!」
「有非常有!」

 すぐにでも書棚に向かって突進したいけれど、ぎゅっとルッツが握っている手に力を入れて離してくれない。
 雖然說想要馬上就轉向書櫃突進,但路茲緊緊地握著的手注入了力量沒有要放開。
 そわそわするわたしを見て、ベンノが苦笑した。
 看著坐立難安的我,班諾苦笑著。

「申し込みが終わったら、見てもいい。どうせ待ち時間は長いからな」
「申請結束的話,要看也可以。反正因為等待時間很長呢」
「本当ですか!? やったー!」
「真的嗎!? 太好了!」
「マイン、落ち着け。興奮しすぎだ」
「瑪茵,冷靜點。太過興奮了」

 読んでもいい本らしきものを発見して、興奮せずにいられようか。いや、いられない。ルッツの制止を耳にしても、この心躍る感覚が止まるわけがない。
 發現了像是可以閱讀的書本的東西,能不興奮嗎。不,不能。就算聽見了路茲的勸阻,這個內心雀躍的感覺無法停止。
 そう思っていたが、ルッツの一言で、わたしはおとなしくせざるを得なくなった。
 雖然那樣想著,但因為路茲的一句話,我不得不老實待著。

「興奮しすぎたら、読む前にぶっ倒れるぞ」
「太過興奮的話,在讀之前就會趴倒下去喔」

 ……それは困る!
 ……那就傷腦筋了!

 わたし達のやり取りを面白そうに見ていたベンノが一区切りついたことを悟って、「来い」と声をかける。
 有趣似地看著我們交流的班諾領悟到告了一個段落,叫了聲「過來」。
 カウンターまで歩いて行くと、ベンノを知っているらしい職員が愛想笑いを浮かべた。
 走去到了櫃檯之後,好像認識班諾的職員浮出了假笑。

「おや、ベンノ様。本日はどのような御用件でしょうか?」
「喔呀,班諾大人。今天是怎樣的要件呢?」
「この二人の仮登録だ。マインとルッツの二人分頼む」
「是這兩個人的臨時登記。瑪茵跟路茲的兩人分拜託了」
「仮登録?……お子様ではございませんよね?」
「臨時登記?……好像不是您的小孩呢?」
「違う。が、登録が必要なんだ。さっさとしてくれ」
「不是。但,登記是必要的。趕快給我辦好」

 仮登録は、本来なら登録も仕事もできないはずの洗礼前の子供に、商人が家業を手伝わせるために編み出した法の抜け道のようなものらしい。
 臨時登記似乎是,給本來的話不管登記或工作都應該沒辦法的洗禮前的小孩子,商人為了幫助家業而編造出來像是法條的抄小路般的東西。
 洗礼前の子供を雇うことは出来ないし、そんな子供が親なしで登録を必要とするほどの売買に係わることなど普通はないので、血族でもない子供が仮登録されることはあり得ない。
 雇用洗禮前的小孩子是不行的,由於關係到那樣的小孩子因沒有父母而來做必要的登記般的買賣之類的並不普通,連血親也不是的小孩子被臨時登記是不可能的。

 職員が不審そうに目を細めながらも、わたしとルッツに質問を重ねて、カウンターの向こうで何やら書き始めた。
 職員可疑似地一邊瞇起眼睛,一邊對我跟路茲重複提問,在櫃檯的對面開始寫了些什麼。
 聞かれたのは、お役所仕事だと思えば、普通の項目ばかりだった。自分の名前、父の職業と名前、住んでいる場所、年齢など。
 認為被聽取的是,政府機關的工作的話,卻盡是些普通的項目。自己的名字,父親的職業與名字,居住的地方,年齡之類。

「大工の息子に兵士の娘が仮登録ですか?」
「為木工的兒子士兵的女兒臨時登記嗎?」

 質問を終えた職員はさらに怪訝そうな顔になって、わたしとルッツを交互に見る。商人の子供でもないのに、仮登録する意味を探っているらしく、あまり気持ちのいい目ではない。
 結束提問的職員變成更加詫異的表情,交互看著我跟路茲。明明就連商人的小孩子也不是,似乎在探聽著臨時登記的意義,用著不太舒服的眼神。

「そうだ。聞くことが終わったんだったら、登録を終わらせてくれ。こっちもそれほど暇じゃないんだ」
「對了。聽取結束了的話,就給我結束登記。這邊也並不是那麼閒的」
「えぇ、ただいま。しばらくそちらでお待ちください」
「是,馬上好。請暫時在那邊等候」

 職員が寛ぎスペースを手で指し示したので、わたしは駆けだしたいのを押さえながら、ベンノを見上げた。
 由於職員用手指示著舒暢的空間,我一邊壓抑住想開始跑出去,一邊仰望著班諾。

「待っている間、書棚見てもいいですか?」
「等待期間,看看書櫃也可以嗎?」
「あぁ。知りたいことがあったら教えてやる。持ってこい。ルッツ、マインから目を離すなよ」
「啊。有想要知道的事情的話我會教的。拿過來。路茲,不要從瑪茵身上移開目光喔」
「わかった」
「知道了」

 手を離してくれないルッツと一緒に書棚のところへと行く。並んでいる羊皮紙を広げてみたり、木札を取り出してみたりして、どのような物が並んでいるのか確認してみれば、地図や図鑑的なものや貴族年鑑、商業法、周辺の情報を集めた瓦版っぽいものなど、実用的なものばかりだった。
 跟沒有放開手的路茲一起往書櫃的地方去。一會兒試著打開陳列著的羊皮紙,一會兒試著拿出木牌,試著確認陳列著怎樣的東西的話,地圖跟圖鑑般的東西跟貴族年鑑、商業法、收集了周邊情報瓦版般的東西之類,盡是些實用的東西。

「わぁ、これ、地図だ!」
「哇,這個,是地圖!」

 かなり大雑把な地図だが、この世界でわたしは初めて見た。
 雖然是相當草率的地圖,但在這個世界上我是第一次看到。
 現在地さえわからない地図を抱えて、わたしはベンノが座っているソファに向かう。
 抱著連現在地都不知道的地圖,我轉往班諾正坐著的沙發。
 普通にソファに座るつもりで座ったら、綺麗な布張りだったのに布の下は板があるだけで、予想していたような弾力が全くなくて、お尻を打った。
 打算普通地坐在沙發上坐下的話,明明覆蓋著漂亮的布但因為布下面僅僅只有板子,完全沒有如預想般的彈性,打到了屁股。

「いたぁ……」
「好痛……」
「いくら興奮しているからって、そんなに勢い良く座るからだ、阿呆」
「就因為多少正興奮著,才會那樣氣勢十足地坐下,笨蛋」

 呆れた目でベンノに見られ、うぅ、と小さく呻く。
 被班諾用吃驚的眼神看著,嗚,地小小呻吟著。
 妙なところが贅沢なソファもどきのせいで騙されたんだもん。木目の見えるベンチだったら、こんな座り方しなかったよ。
 奇怪的地方都是奢侈的仿製沙發的錯而被騙了咩。看得見木紋的長板凳的話,才不會用這種坐法唷。
 心の中だけで言い訳しながら、板の上に布を張っただけの長椅子の上に地図を広げる。
 一邊只是在心中解釋,一邊在只是在板子上覆蓋著布的長椅子上攤開地圖。

「ベンノさん、この街ってどれですか?」
「班諾先生,這座城市是哪個呢?」
「ここだ。エーレンフェスト。領主の家名がそのまま街の名前になっている」
「是這個。艾連菲斯特。領主的家名就那樣成為了城市的名字」

 初めて街の名前を知った。ついでに、領主の名前も知った。
 第一次知道了城市的名字。順便說下,領主名字也知道了。
 外に出る必要がなければ、街の名前なんて知る必要がないし、領主に関しても「領主様」だけで事は済んでいたのだ。
 不需要出去外面的話,城市的名字之類的就沒有知道的必要,就算關於領主也只是以「領主大人」來完結。

 地図を見ると、エーレンフェストの南に農村と森が広がり、さらに行くと、小さな街があるらしい。
 看過地圖後,在艾連菲斯特的南方擴展著農村根森林,更過去的話,好像有著小小的城市。
 西は大きな川があり、隣の領地の街と比較的近く、領主同士が仲良しなので、行き来が盛んらしい。
 西邊有著大大的河川,跟隔壁領地的城市比較接近,由於領主之間很要好,好像往來很興盛。
 北は領主のいる貴族の街があるため、大きく空白が広がっていた。
 北邊為了有著存在著領主的貴族街道,而蔓延著大大的空白。
 東は街道があり、旅人が一番多いそうだ。
 東邊有著聯絡道路,旅人似乎最多。

「まぁ、お前らが買い付けなんかで出向くにしてもこの地図から出るようなところに行くことは、多分ねぇよ」
「不過,就算你們因採購什麼的而要前往也不會去到像是會從這張地圖出去的地方,大概喔」

 いくつか近隣の街の名前を教えてもらった後、地図を返して、また書棚を片っ端から読んでいく。一番下の段には、見習いが文字や数字の手習いをするための本もあった。ルッツと一緒に勉強するためにざっと目を通す。
 請教了幾個鄰近的城市名字之後,返還地圖,又再從一邊開始逐漸看起書櫃。在最下面的格子,也有著實習為了做文字跟數字的練字的書本。為了跟路茲一起學習而粗略地瀏覽。
 文字はわたしが覚えていることに加えて、商売に関する単語がたくさん出てきた。これは覚えておきたい。
 文字會加上我記住的事情,有關生意的單詞出來了很多。這個想事先記住。

「ベンノさん、ルッツの勉強用に石板と計算機が一つ欲しいんですけど……」
「班諾先生,雖然在路茲的學習用上想要一個石板與計算機……」
「あぁ、今日払う金から、代金は引いておいてやろう。しっかり勉強しろよ」
「啊,從今天支付的錢裡面,事先去扣掉貸款吧。好好地學習吧」
「ついでに、教えてください。商人の子供達の見習いって、どの程度読み書きができるんですか?」
「順便,請告訴我。要說商人的小孩子們的實習,能做到哪種程度的讀寫呢?」

 洗礼式の後は、商人の子供達と一緒に見習いの仕事をするようになる。それまでに、他の子ができることは、ある程度できるようになっておきたい。
 洗禮式之後,變成了要跟商人的小孩子們一起做著實習的工作。在那之前,其他的小孩能做的事情,想事先變成能做到某個程度。

「簡単な読み書きと計算だな。読みに関しては、商品名が主だから、その家で取り扱っている物や規模による。銅貨から銀貨程度の計算はだいたいできるな」
「是簡單的讀寫與計算。有關閱讀,因為是以商品名稱為主,根據在那個家裡處理著的東西跟規模。銅幣以上的銀幣程度的計算大概都能做到呢」

 まずい。
 糟了。
 わたしは通貨がよくわからない。大小の銅貨と小銀貨があるのは知っているけれど、両替とか相場が全然わからない。
 我不是很明白貨幣。雖然是知道有著大小的銅幣跟小銀幣,但兌換或行情完全不知道。

 だって、家で使うのって、基本的に銅貨ばかりなんだもん。
 因為,要說在家裡使用的,基本上盡是銅幣咩。

 銅貨以外の通貨を目にすることさえほとんどない。それに、門では数字の計算だけで、オットーが実際にお金を使う現場は見たことがない。
 連把銅幣以外的貨幣映入眼簾都幾乎沒有過。而且,在門因為只是數字的計算,從沒看過歐拓實際使用金錢的現場。

「お前達に一番欠けているのは、客に対する対応だと思っている。他の子供は毎日親の仕事を傍で見て、肌で知っているからな」
「對你們最欠缺的,我認為是對於客人的應對。因為其他的小孩子是每天在旁邊看著父母的工作,而知道些皮毛呢」
「それは……」
「那是……」

 わたし達には無理だ。
 對我們而言是不可能的。
 昔からわたしはサービスを受ける側で、提供する側に回ったことがない。ルッツも多分、商売人の心得なんて知っているはずがない。
 由於從以前開始我是受到服務的那邊,沒有轉到提供的那側過。路茲大概也,應該不會知道生意人的心得什麼的。

 どうしよう。
 該怎麼辦。

 思考の迷路にはまるより先にカウンターから、職員の声が響いてきた。
 比起落入思考的迷宮更優先從櫃檯,響起了職員的聲音。

「ベンノ様、ギルド長がお会いしたいそうです」
「班諾大人,公會長想要見面」
「……あのくそじじい、予想通りかよ」
「……那個臭老頭,跟預想的一樣嗎」

 わたし達にしか聞こえない程度の小さくて低い声で、唸るようにベンノが呟いて、立ち上がる。
 用只有我們能聽到的程度的小小低沉聲,班諾像是低吟似地嘟噥著,站了起來。
 ギラギラ光っている目とか、両脇で固く握られた拳とか、ベンノが全体的に戦闘態勢に入っているのがわかった。
 該說是閃亮亮地發著光的眼神嗎,還是說用兩側堅硬地被握起的拳頭呢,明白了班諾整體進入了戰鬥姿態。

「行くぞ、二人とも」
「走吧,你們兩個」
「はい」
「是」

 ベンノがカウンターに向かうと、一番端のカウンターの板がパタリと落ちて、奥へと通れるようになった。
 班諾轉向櫃檯之後,最邊邊的櫃檯板子啪嗒地掉下去,變得能進到裡面了。
 奥にはまた階段があり、階段を上がると、自動でドアが開いた。それほど広くはないが、居心地の良さそうな部屋が見える。
 在裡面又有著樓梯,爬上樓梯之後,門自動打開了。雖然沒那麼的寬廣,但看得見舒適感似乎很好的房間。

 すでに赤々と燃やされている暖炉の手前には暖かそうなカーペットが敷かれ、そのカーペットの上に執務用の机があった。
 在馬上被火紅地燃燒著的暖爐跟前被鋪上了似乎很溫暖的地毯,在那個地毯上有著辦公用的桌子。
 そこに座っていたのは少し恰幅の良い50代くらいの優しげな男性だ。ギルド長なんて役職についているのだから、お爺さんを想像していたが、まだ働き盛りを少し過ぎた程度に見える。
 坐在那裡的是體格稍微好的50歲左右的溫柔男性。因為是有關於公會長之類的職務,雖然想像著老爺爺,但看起來還稍微過於老當益壯的程度。

「やぁ、ようこそ。少し話を聞きたくてな」
「呀,歡迎。稍微有話想聽呢」

 ギルド長がニコリと笑って立ち上がった。
 公會長微微地笑著站了起來。

「さて、ベンノ。早速だが、教えてもらいたい。血族でもない、こんな子供に仮登録をさせるというのはどういうことだ? 露店の主が店番をさせるために我が子を登録しておきたいと言い出すのとではわけが違うだろう?」
「那麼,班諾。雖然太快了,但想要請教。所謂連血親都不是,給這樣的小孩子做臨時登記是怎麼一回事? 跟說出露天商店的主人為了要做為顧店員而想要事先登記我這孩子是不同意義的吧?」

 洗礼式を待たずに登録したいとベンノが言いだすということは、登録をするだけの価値がある商品をわたしとルッツが握っていると言ったのと同じことだ、とギルド長は笑みを浮かべたままで言った。
 所謂班諾說出了等不到洗禮式而想要登記這件事,就跟說著我跟路茲握著有屬於登記價值的商品是一樣的事情,公會長以依然浮現著的笑容說著。

「……目的がはっきりしない限りは、登録を許可できんな。血族でもない子供の仮登録など、このエーレンフェストでは前例がない」
「……只要目的不明確,就無法允許登記。連血親都不是的小孩子的臨時登記之類,在這個艾連菲斯特沒有前例」

 ギルド長が何を考えているのか全く読ませない笑顔で、わたしとルッツをじろじろと眺める。
 公會長用著完全讀不到是在思考著什麼呢的笑容,打量地眺望著我跟路茲。
 笑顔と雰囲気で一見優しそうに見えたけれど、全く優しくない。質問にきっちり答えないと登録はしてやらん、と脅しているのだから。
 雖然說因為笑容跟氣氛看起來乍一看好像很溫柔,但完全不溫柔。因為對提問不適當回答的話就不做登記,地威脅著。

 言いたいように言っているギルド長の様子にわたしは不安になって、ベンノの様子を伺った。
 對著好像想說就說了的公會長的情況我變得不安了,探詢著班諾的情況。
 しかし、ベンノは勝利を確信しているような黒い笑顔でギルド長を見つめて、ニヤリと笑っている。
 但是,班諾用像是確信著勝利般的黑色笑容凝視著公會長,賊賊地笑了起來。

「この子達が持ち込んだ物が何か知りたい、と?」
「這些孩子們帶進來的東西想知道是什麼,嗎?」
「まぁ、そうだ。物によっては、別の店で取り扱った方がいいかもしれん。君のところは少し手を広げすぎているからな」
「算了,對了。根據物品,在別家店裡處理會比較好也說不定。因為你的地方稍微把手攤太開了呢」

 金になりそうなら、横取りしたいってことですね。本音がちっとも隠れてませんよ?
 是說如果會變成錢,就想要搶奪的事情呢。心聲一點都沒有隱藏唷?

「この子達がウチで売りたいと言ったんだ。ウチで売るさ。なぁ、マイン? そうだろう、ルッツ?」
「這些孩子們說了想要在我家賣的。在我家賣。是吧,瑪茵? 沒錯吧,路茲?」

 ベンノに「余計なことは言うな」と目で脅されて、わたしとルッツはコクコクと頷いた。それに気をよくしたらしいベンノが笑みを深めて、わたしを見下ろす。
 被班諾用「別說多餘的事情」的眼神威脅著,我跟路茲不斷前後點著頭。而且好像心情很好的班諾加深了笑容,俯視著我。

「マイン、これから売る髪飾りを、ギルド長に見せてやってくれ」
「瑪茵,把這之後要賣的髮飾,展示給公會長看」
「……わかりました」
「……我知道了」

 どうやら紙を売ることについては、まだ隠しておくつもりらしい。
 看來關於販售紙張,好像還打算先隱藏著。
 ベンノがどういう判断でそうしているのかわからないので、余計な事を言わないように、口はなるべく噤んだまま、トートバッグに手を突っ込んだ。
 由於不知道班諾以怎樣的判斷而要那麼做呢,為了不說出多餘的事情,嘴巴盡量噤聲的樣子,把手插進手提包裡。
 トゥーリの髪飾りを取り出して、ギルド長に見えるように差し出す。
 拿出了圖麗的髮飾,就像展示給公會長看一樣遞出。

 その途端、何故かギルド長がざっと顔色を変えた。
 那個當下,不知為什麼公會長略為地改變了臉色。

======================================================================
仮登録したいのに、すんなりできませんでした。
明明是想要臨時登記,卻無法順利做到。
さぁ、これからベンノさんの反撃開始です。
來吧,這之後是班諾先生的反擊開始。

 次回はギルド長の依頼です。
 下回是公會長的委託。
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