天声人語
2013年 12月 1 日（日）付
名誉のためなら命も惜しまないのが騎士道だが、そうでない人もいたようだ。シェークスピアの劇で、戦場に赴く騎士が言う。「名誉のおかげでおれが突き刺されでもしたらどうなる？そうなったら、名誉が足をもとどおりにしてくれるか？」（『ヘンリー四世』小田島雄志訳）▼戦場での負傷はいつの時代も「名誉の」と形容されてきた。昭和の戦争でも、多くの日本兵が失明や手足を失うなどの重傷を負った。「名誉」で傷は治らない。後遺障害を抱えた人たちは、戦争が終わっても厳しい生活を強いられた▼そうした元兵士らでつくっていた日本傷痍（しょうい）軍人会が、昨日をもって解散した。会員の減少と高齢化で運営が難しくなったためという。かつて３５万人いた会員が今年は５千人に減り、平均年齢は９２歳になったそうだ▼一方で、それは戦後日本が傷痍軍人を生まなかった証しでもある。最後の会長、９１歳の奥野義章さんが言う。「戦争がなくて平和が続いたから、その結果ですよ」。不戦の歳月は６８年に及ぶ▼およそ戦争は、権力者が始めて、若者がかり出される。反戦の川柳人で知られる鶴彬（つるあきら）に〈万歳とあげて行った手を大陸において来た〉がある。腕を失った帰還兵であろう。名誉の戦死も負傷も、若い肉体の痛切な悲劇に他ならない▼戦争体験の中でも、戦場体験を語りうる人はわずかになった。会の活動に幕は下りるが、戦後生まれの世代が動かす今の日本である。あらぬ道に迷い込まぬよう、見守って頂ければと思う。
雖然有為了名譽不惜付出性命的騎士精神，但好像也有人沒有那麼偉大的想法。在莎士比亞的戲劇裡，赴趕戰場的騎士會說：「因為名譽導致我傷害的話該怎麼辦呢?難道名譽可使我的腿回來嗎?」【亨利四世】作者小田島雄志所譯。
有著在戰場上受傷被視為是「榮耀」 的時代。昭和戰爭裡有很多的日本士兵受到了如失明、失去手腳嚴重的傷害。這種「榮耀」的傷是無法醫治的。拖著殘缺身體的人們就算戰爭結束了，也被迫過著嚴峻的生活。
為了這些士兵而建立的日本傷痍軍人會，就在昨天解散了。因為會員的減少和成員們高齡問題，造成經營困難。曾經有35萬的會員今年縮減到了五千人，平圴年齡大約在92歲。另一方面也可以證明戰爭之後的日本不再有因戰爭受傷的軍人。最後一任高齡91歲的奧野義章會長說：「沒有戰爭就會持續的和平下去，就是這個結果。」迄今了68年沒有戰爭的歲月。
戰爭說穿了就是權高位重者所開創並召集年輕人。反戰的川柳人裡聞名的鶴彬先生有句「高喊萬歲舉著雙手勇赴戰場」。這是位失去胳臂的勇敢士兵。但不管是為國捐軀還是身負重傷，都只是在年輕的肉体上帶來切身之痛。
即使經歴過戰爭的人，僅僅是個可以述說戰場上的體驗的人而己。雖然已放下意味著結束的幕布，戰後所出生的人們繼續開創現今的日本。為了那群不要迷失在無知的道路上的年輕人，要有人來守護會比較好。
創作內容
天声人語 2013年 12月 1 日
天声人語 (17)