電擊徒然草 第27回 壁井ユカコさん

電撃の作家さんたちが、日頃の想いのままを書きつづるこのコーナー。今回は『キーリ』でお馴染みの壁井ユカコさんが登場だ。ではでは、さっそくど～ぞ！　 
  
第二十七回　壁井ユカコさん 
 
沖縄出身の父と北海道出身の母を持つ信州育ちの東京在住。生活・性格ともにローテンション。気を抜くと連日コンビニでチキンサラダとチキンサンドイッチを買ってしまう食生活破綻者。本に囲まれた仕事場で豆柴を飼い人並みに健康的な生活を送るのが夢。
第９回電撃ゲーム小説大賞＜大賞＞受賞作『キーリ　死者たちは荒野に眠る』でデビュー。最新刊電撃文庫『キーリIII　惑星へ往く囚人たち』絶賛発売中！ 

【電撃文庫作品】
キーリ　死者たちは荒野に眠る
キーリ II　砂の上の白い航跡
キーリ III　惑星へ往く囚人たち
キーリ IV　長い夜は深淵のほとりで
キーリ V　はじまりの白日の庭（上）
キーリ VI　はじまりの白日の庭（下）
キーリ VII　幽谷の風は吠きながら
キーリ VIII　死者たちは荒野に永眠る（上）
キーリ IX　死者たちは荒野に永眠る（下）
カスタム‧チャイルド
鳥籠荘の今日も眠たい住人たち（1）

鳥籠荘の今日も眠たい住人たち（2）
鳥籠荘の今日も眠たい住人たち（3）

【電撃文庫ビジュアルノベル】
キーリ WILD AND DANDELION

【単行本】
NO CALL NO LIFE

『子煩悩な人たち』 
 
三つ上の実姉に子供が生まれました。未熟児で帝王切開になる難産だったのですが幸い母子ともに経過は良好で、義兄のほうはといえば保育器の中で寝ているだけの赤ん坊の顔を延々と数十分写し続けたビデオを馴染みの店や会社で半ば強引に披露して、かわいいだろかわいいだろオイまだ全部終わってない目を逸らさずに最後まで見ろと迷惑きわまりない子煩悩ぶりを発揮しまくっているそうで被害に遭わなくてよかったなぁと思います。
それはそれとして、ちょうど時を同じくして私の家にもしょうゆ顔の美少年がやって来ました。
 
 
四ヶ月になるマメシバです。体高二十センチ余りにしてこれこそ由緒正しい日本犬の姿である赤毛の柴犬というだけでもう犯罪的にかわいいわけで一緒に遊びたくて仕方がないわけで、でも犬がかわいすぎて原稿が進みませんと担当編集氏に自慢半分に報告したら「気持ちは痛いほどわかりますが原・稿・頑・張・っ・て・く・だ・さ・い」と釘を刺されたので心を鬼にして仕事をしています。目が合うとてけてけと寄ってくるのにいまいち警戒心が強くて必ず一メートル手前で立ちどまるとか、そのわりに熟睡中は無防備に仰向けだったり犬のくせに寝相が悪くて寝返り一回転したりとか、大好きなひらひら（※ジーンズの裾や靴下）を追いかけまわしたりとか、恐竜のぬいぐるみの首根っこ（※急所）に噛みついて暴れまわったりとか、そういうふうに後ろでかわいさを振りまかれても無視して仕事です。集中です。トイレとか飲み物を取りに行くとか何かにつけて椅子を立っては恐竜を引っ張りあったり耳を折りたたんでミニチュアダックスとか言って遊んだりはしていません。足もとで見つめられて根負けして膝に乗せたりもしてません。今膝の上で寝息を立てていたりはしません。しませんよ？ 
 
犬の寿命は十五年ほどだそうです。人間にとって犬は大切な家族ではあってもそれだけが生活のすべてではないけれど、犬にとっては決して長くない生涯を通して、飼い主だけがすべてなのだといいます。
たくさんの幸せな時間を、どうかこの子に。 
 
さ～て次回は『Hyper Hybrid Organization』でお馴染みの高畑京一郎さんが登場するぞ！　お楽しみに！