31番目のお妃様第31位王妃殿下
作者:桃巴
31番目の妃*40第31位妃子*40
原文連結漫畫生肉「王様、お帰りください」「國王陛下,請回來」
フェリア邸の前でビンズは言い放つ。総会後にフェリアを送ったマクロンは、しきたりによりフェリア邸へ入れない。ビンズは立ちはだかっている。 賓茲在菲莉亞宅前斷言。馬庫隆在總會後送菲莉亞,根據慣例沒有進入菲莉亞宅。賓茲阻擋著。
「何を言う? すでに王妃と認められたのだ。しきたりなど構うまいに」「你在說什麼? 已經被認可是皇后了。不用在意什麼慣例」
「いいえ、お妃教育の期間は終わっておりません。残り七ヶ月中……邸に来られるのは三回でございます」「不對,妃子教育期還沒結束。剩下七個月裡……能來宅院的有三次」
マクロンのこめかみに青筋がたった。 馬庫隆的太陽穴冒出青筋。
「二週間後に来られますよ。ええ、一日中来られますように、仕事をみっちり詰めていただいても構いません。一時の逢瀬より、そちらの方がよろしいのではと思いますが?」「會在兩個禮拜後來喔。沒錯,為了讓你來一整天,就算塞滿滿工作也沒關係。比起片刻的相會,不覺得那邊更好嗎?」
確かにその通りだとマクロンは思うも、ビンズの勝ち誇ったような言い様に、素直には頷けない。マクロンはビンズの肩で腕を回すと、『ではお前も頑張ってもらおうか』と道連れにした。 馬庫隆雖然認為確實就是那樣,但卻無法坦率地對賓茲誇示勝利般的說法點頭。馬庫隆把手勾到賓茲的肩膀上後,結伴說著『那麼也要讓你努力了嗎』。
「フェリア、31日は一日中一緒に居よう。それまでは文を」「菲莉亞,31號在一起一整天吧。在那之前會寫信的」
「はい、マクロン様……」「好的,馬庫隆大人……」
答えたフェリアはもじもじとして、ちらりと上目遣いでマクロンを見ると、小さく口を開いた。 回答的菲莉亞忸忸怩怩,向上看了馬庫隆一眼後,小小的張嘴了。
「桃色と白は、どちらがお好きですか?」「桃色跟白色,你喜歡哪邊呢?」
そんなことを訊くのに、なぜ顔を染めるのかとマクロンは思った。しかし、拘束したビンズがこそっとマクロンに耳打ちする。 馬庫隆想著明明是在詢問那種事,為何臉會泛紅呢。可是,拘束中的賓茲偷偷地對馬庫隆講悄悄話。
『本日、下着商人が来られるのですよ』『今天,內衣商人來了喔』
ドックン 怦咚
マクロンの血流が騒ぎ出す。しかし、顔を崩すことはできない。マクロンはフェリアの頭から爪先までを無意識に見つめると、こちらもまた、小さく呟いた。 馬庫隆的血流開始躁動。可是,臉毫無變化。馬庫隆無意識地從菲莉亞的頭看到腳尖後,這邊也再次小小的咕噥。
「白」「白色」
そう言って踵を返す。この場にいるのは危険だとマクロンは思ったからだ。しきたりなど関係なしに腕の中に閉じ込めてしまいたいと衝動がマクロンを襲った。 如此說後轉過身去。因為馬庫隆認為待在現場很危險。與什麼慣例毫無關係想將她鎖進臂彎中的衝動襲向馬庫隆。
数歩歩いて、振り返る。 走了幾步,回過頭來。
「フェリア」「菲莉亞」
「マクロン様」「馬庫隆大人」
二人は互いに笑みを交わした。 兩人彼此交換了微笑。
***
門扉をくぐり、邸に入ると女官長がフェリアを待っていた。その顔はゲッソリと痩けている。次の間から総会へ呼ばれずに解放された後、女官長はふらふらとこのフェリア邸へ来たのだ。もちろん、騎士の監視と例の侍女がついている。マクロンとフェリアの思い通りに事は進み、女官長の出番はなかった。ただ、総会でのことは女官長の耳に届いていただろう。 穿過門扇,進入宅院後女官長在等著菲莉亞。那張臉驟然消瘦。沒被從隔壁間叫往總會而被解放後,女官長搖搖晃晃地往這座菲莉亞宅來了。當然,騎士的監視與之前的侍女都跟著。事情如同馬庫隆與菲莉亞所想的前進,沒有女官長的出場。只是,總會上的事傳進了女官長耳裡吧。
女官長と女官長の甥は罪を犯した。しかし、咎められていない。王マクロンの命であったとされたから。自身の今までの行いを見返して、女官長は悔いずにはいられない。例え、マクロンとフェリアが、女官長を単なる駒として手のひらで転がしていたとわかっていても、それでも女官長は悔いた。 女官長與女官長的外甥犯了罪。可是,沒有被究責。因為據說是國王馬庫隆的命令。回顧自己至今的行為,女官長不可能不後悔。即便就算明白馬庫隆與菲莉亞,僅僅是把女官長當棋子玩弄於股掌間,儘管如此女官長也很後悔。
斬り捨て、罰していく先王の時代であったなら、真っ先に捨てられたはずだ。不要な存在だと王城から放り出されただろう。側室らを下賜したように。いや、本来なら極刑に違いない。その方が楽なはずだ。正義の剣を振るった方が簡単なのだ。だが、マクロンとフェリアはその上をいく王と王妃になろう。女官長はフェリアの前で土下座した。その横には茶が入ったカップが置かれている。 如果是割捨掉、當作懲罰的先王時代,應該會最先被捨棄掉。不需要的存在會被從王城丟出去吧。就像賞賜側室們。不對,本來的話肯定是死刑。那方法應該比較輕鬆。揮舞正義之劍的方法是很簡單的。但是,馬庫隆與菲莉亞成為更為高超的國王與皇后。女官長在菲莉亞的面前磕頭下跪。在那旁邊被放置了裝有茶的茶杯。
「今までのご無礼並びに、私の悪しき行いは、極刑に処しても足りぬほどです! ですが、甥はどうかお助けくださいまし! 私の指示でしたことなのです。どうかご慈悲を! 私が命を差し出しますので!」「我至今的無禮、惡行就算處以死刑也不為過! 但是,還請救救我外甥! 是依照我的指示所作的。還請大發慈悲! 我願把性命交出去!」
カップを手に取った女官長は、一気にそれを飲み干した。 女官長把茶杯拿在手上,一口氣喝光它。
「……」
「……」
フェリアと女官長は無言のまま見つめあった。 菲莉亞與女官長依然無言的互相凝視。
「……な、んで?」「……為、什麼?」
微かに溢れた声は女官長である。慌てたように懐から袋を出すと、それを開けて中のものを口に入れた。開かぬように手で押さえた口から、うぐうぐと声が漏れる。限界がきたのか、ケホッと口から溢れたそれは茶葉である。 微微溢出的聲音是女官長。慌張地從懷裡拿出袋子後,把它打開將裡面的東西放入口中。從為了不張開而用手壓著的嘴巴裡,漏出了咀嚼聲。是來到極限了嗎,從嘴裡咳出來的那個是茶葉。
「ねえ女官長、お茶を飲んで、茶葉を食べて何がしたいの?」「喂女官長,喝掉茶、吃掉茶葉是想做什麼呢?」
その馬鹿にした言い様とは反対に、フェリアは穏やかに笑んでいる。 與那個犯蠢的措辭相反,菲莉亞平穩地笑著。
「ぁっ、ああぁぁ」「啊、啊啊——」
女官長は泣き崩れた。フェリアから女官長に贈られた茶葉に、毒が仕込まれているかもしれないと伝えるように言ったのはフェリアである。女官長はそれを鵜呑みにしていた。懺悔して、フェリアの前で飲んだのだ。しかし、毒など入っていない茶葉である。死ぬわけがないのだ。侍女が女官長の背を擦りいたわった。 女官長放聲大哭。說了要轉達由菲莉亞送給女官長的茶葉裡或許放了毒的是菲莉亞。女官長將它囫圇吞棗了。懺悔著在菲莉亞面前喝掉。可是,是沒有放什麼毒的茶葉。不可能會死的。侍女撫摸著女官長的背安慰著。
「あなた、疲れているのね。それでは、女官長は勤まらないわ。良い機会ね、引退なさったらどうかしら?」「妳累了呢。那樣的話,是無法勝任女官長的喔。這是個好機會呢,妳覺得引退如何呢?」
王マクロンが咎められぬから、フェリアが行うのだ。それは、なんと優しい処遇か。引退すれば良い。その程度の罰で済むことでは本来はない。フェリアに嫌がらせをし、フェリアを拐おうと荒事を起こし、フェリアに毒を盛って暗殺しようとした者に下す罰ではない。しかし、同じく毒を盛ろうと画策したサブリナは、皆の前で醜態をさらさせただけで罰せられてはいない。だが、社交界の地位は地についたも同然だ。令嬢サブリナにとっては十分な罰であろうが、きついお灸程度で済んだとも言える。よって、フェリアも女官長に甘い処分を下した。 因為國王馬庫隆沒有究責,菲莉亞就進行了。那麼多麼體貼的待遇呀。引退就好了。本來是不會以那程度的懲罰就完事。沒有對向菲莉亞找碴、引發誘拐菲莉亞的暴力行為、打算下毒暗殺菲莉亞的人下達懲罰。可是,同樣策劃下毒的薩布莉娜也只是在眾人面前曝露醜態沒有被懲罰。但是,社交界的地位穩固也一樣。對千金薩布莉娜來說雖是足夠的懲罰,但也可說是以強烈的懲戒程度就完事。因此,菲莉亞也對女官長下達輕微的處分。
「この後宮に使えない者なんていらないの。何処へなりともお行きなさい!「這座後宮不需要什麼沒用的人喔。哪裡涼快請哪裡去!
ああ、そうだわ。ガロン兄さんは死斑病の研究を続けているのよね。発病者の症状も研究したいはずよね。カロディアはいつも人手が足りないわ。リカッロ兄さんとガロン兄さんで屋敷は綺麗に保てるかしら? 芋煮会の準備だってきっと大変よねえ? あーあ、ただ働きしてくれる奇特な者はいないかしら?」啊啊,對了喔。加隆哥哥在持續研究死斑病呢。應該也會想研究發病者的症狀呢。卡羅迪亞總是人手不夠呀。里卡羅哥哥跟加隆哥哥能保持府邸乾淨嗎? 就連煮芋頭會的準備也一定很辛苦吧? 啊—啊,有沒有只是去工作的奇特人士呢?」
フェリアはわざとらしく女官長を見る。 菲莉亞特意似地看著女官長。
「あら、いやだ。私ったら、最近独り言が多くって、お恥ずかしいわ。……あなた、まだ居たの? さっさと王城を去りなさいよ。引退じゃなく、追放を命じるわよ!」「哎呀,討厭。我真是的,最近常常自言自語,好丟臉喔。……妳還在嗎? 請快快離開王城啦。我要命令不是引退、而是放逐了喔!」
フェリアはまたもわざとらしくツーンッとそっぽを向いた。 菲莉亞又特意似地愛理不理地轉向別處。
「ありがとうございます……ありがとうございます。一生(カロディアの繁栄のために)お仕えいたします」「非常感謝您……非常感謝您。我會(為了卡羅迪亞的繁榮)侍奉一生」
女官長はそう言うと、深々と頭を下げた。フェリアはツーンッとしたままだ。こんなに意図のバレた演技はないだろう。しかし、邸にいたケイト、ゾッドら騎士もそれを指摘はしない。優しい笑みで見つめるのみだ。 女官長如此說後,深深地低下頭。菲莉亞依然愛理不理。沒有這樣曝光意圖的演技吧。可是,在宅院的凱特、佐多等騎士都沒有指出那點。唯獨以溫柔的笑容注視著。
「では、失礼いたします」「那麼,失禮了」
「言い忘れたわ。牢屋の侍女もいらないから、あなたが口を塞ぐ処置をなさい。天空の孤島カロディア領なら、紡ぐ言葉はここ後宮までは届かないでしょうね。とっても良い口の塞ぎ方でしょ?」「我忘了說了。牢房的侍女也不需要了,請妳來封口處置。若是天空的孤島卡羅迪亞領,編織的話語也傳不到後宮這裡對吧。是非常好的封口方法對吧?」
フェリアはツーンッとした方向のまま発している。女官長の顔など見ないのだ。 菲莉亞依然用愛理不理的方針發言。沒在看什麼女官長的臉。
そのフェリアに、女官長は『はい……はい……そうでございますね。口を塞ぐにも答えはひとつでなく、それが長という者が持たねばならぬ手腕と度量、人としての格でございましょう。私にはないものでした……』と心の負の魂を解放した。再度深々と頭を下げてから、女官長が門扉をくぐり出ていった。 女官長對那樣的菲莉亞解放了內心負面的靈魂說著『是的……是的……就是那樣呢。封口也不只一個答案,那是為長者必須要擁有的本領與胸懷,是作為人的格吧。是我沒有的東西……』。再次深深低下頭之後後,女官長穿過門扇出去了。
フェリアはそこで、やっとツーンッを解いたのだった。 菲莉亞在那時終於解除了愛理不理。
***
「フェリア様、落ち着いてください」「菲莉亞大人,請冷靜點」
二度目の31日がきた。フェリアは朝から落ち着かない。先ほど、ビンズが王マクロンの訪問を告げてきた。もうすぐ、やって来るだろう。 第二次的31號來臨。菲莉亞從早上就冷靜不下來。剛才,賓茲來告知國王馬庫隆的訪問。馬上就要過來了吧。
「やっぱり外で待つわ」「果然要在外面等吧」
フェリアは立ち上がり邸宅から出ようと、扉に手をかけた。動かしていないのに、スーッと開く扉に持っていかれ、体が前のめりになる。フェリアの小さな悲鳴は、大きな胸板に吸い込まれた。 菲莉亞站起來打算從宅邸出去,把手搭在門上。明明沒有動作,卻被忽然打開的門帶著走,身體變得往前傾。菲莉亞的小小慘叫被吸進大大的胸膛裡。
「熱烈歓迎だな」「熱烈歡迎呢」
すっぽりとマクロンの胸におさまったフェリア。同時に扉に手をかけた結果である。フェリアはすぐに離れようとしたが、マクロンがそれを許すはずもない。 正好容納進馬庫隆胸口裡的菲莉亞。是同時把手搭在門上的結果。菲莉亞打算馬上離開,但馬庫隆應該不會允許。
「さあ、フェリア。お忍びデートに行こうではないか」「好了,菲莉亞。要不要來場微服約會呢」