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仮面、一(日文小說)

作者:monkaS│2020-09-28 16:30:22│巴幣:0│人氣:39
昔、仮面ライダーが好きだった。
血のように赤い戦闘服、クワガタムシの仮面、エフェクトに満たされた戦闘のシーン。
こんなにかっこいい人が世界を守っているんだって、幼い自分はテレビの前でそう思った。
憧れたのは、仮面の上で、正義という力で敵を倒したライダー。
でも、テレビから離れた年齢になると気付いた。人間は、立ち向かわなければならないものは、仮面の下に刻んでいる、真実という傷だ。
正直、それは非常に変わっている感覚だ。
誰かがこの言った気がする。「ひとはだれでも、こころに仮面をつけてるのさ」って。もちろん、本当に誰かの耳に掛けている糸が見えるというわけではないが、僕は確かに見えるのだ。
人たちが、かぶっている仮面。
一、
慣れて来た漂白剤のにおいがしている真っ白なカーテンに、はちみつ色の夕焼けが通り過ぎた。病床の端で座っている僕はエアコンから流れる風の音を聞きながら、夕食の時間を待っていた。
右足の骨折。別に大した怪我ではないが、お医者さんに休みなさいと言われて、結局病院にとまることになった。
あまりにもまぶしすぎる初夏の夕日から視線を包帯が巻いている足に移した。後でご飯が来ると、動きにくくなるなぁと思って、とりあえず一回トイレに行こうとした。
半身の体重を松葉杖に託し、クーラーのせいで雪のような白くて冷たい壁に支えられ、両手が震えるほどの力を使って、やっと立ち上がった。
入院したのは、今日までちょうど一週間だ。病院の漂白剤のにおいは慣れて来たが、右足のけがは今でも自らの使命を果たして、僕の生活を邪魔しているんだ。
やっと引き戸の前にたどり着いて、全力で手を扉に伸ばしている時、鋼製の扉が自動的に開いた。もちろん、自動ドアというわけではなく、ただ向こう側に誰かがいるだけだ。
「あ、外に出ますか」
目の前に現れたのは桜色のナース服を着ている、この一週間僕の面倒を見ていた看護師のお姉さん。右手に持っている薄水色のトレーから食べ物の香りが漂っている。
「はい、晩ご飯の前に一度トイレに行こうと思って」
「手伝いましょうか?」
「大丈夫です。歩くのも練習しなきゃ」
口元に微笑みを浮かべって、ピンク色の看護師さんの優しさを断った。しばらく壁に寄り掛かって、看護師さんが病室に入ると、僕は再び金属の杖が床を叩く音とともにトイレに遅い速度で進んだ。
人は皆仮面をかぶっている。君も、あの看護師の姉さんも、そして、僕自身も。
仮面というのは、入場チケットみたいなものだ。わずかな違いは、実際仮面を持っていなくてもちゃんとステージに入れることだ。しかし、気付かれた瞬間で変人だと認められ、言葉で貶められ、そしていじめられ、暴力を振るわれ、結果的にステージに生き残ったが、話しかけてくれる人は、永遠に自分しかいなくなるのだ。
そうだ。社会という広くて、残酷なステージ。
両手を冷たい水で洗って、目の前にある透明な鏡に映っている寝癖が髪の持ち主の軽率さを語っている。トイレについて五分ぐらい過ごして、ようやくミッションを完了した僕は蛇口をひねって閉めて、もう一度来た道に踏み出した。
手伝いたくないのに、関心を見せないといけない。断られるのを知っているのに、聞かないといけない。早く家に帰りたいのに、仕事をやらないといけない。仕方なく、看護師という仮面をつけて、薄水色のトレーを持って、ステージに入って来た。これは誰のせいでもない。本気で言えば、こういう状態で逆に進んでる社会が悪い。
まあ、でも社会を建てるのは、結局、私達人間だ。
自分の病室の前について、鋼の扉に手を再び伸ばしていく時、また途中で止まった。違うのは、今回扉は自動的に開かなかった。止まった理由は別にあった。誰もいないはずの病室の中に、変な音がしたから。さっきの看護師かもしれないが、さすがに夕食を運んでくれてだけで今でも病室にいるはずがない。僕はちょっと困惑しながら扉を開いた。
結論から言えば、一人の少女がいた。
肩ぐらいの長さの黒い髪で、その上に飴色のディアストーカー・ハットがかぶっている。小柄の体に同じ色のインバネスコートが着て、人形のように細くて白い手は多分似合わないコートを着ているので、手のひらの部分しか見えない。
もうちょっと簡単に言ったら、それは名探偵シャーロック・ホームズにそっくりな服装だ。
「バナナ......」
病床のテーブルに置いたトレーをじっと見つめて、少女は小さい声で呟いた。どうやら僕のことに気付いていないようだ。
「バナナがどうした?」
「うわ!」
僕の声で驚いた少女が飛び上がって、やっと後ろにいる僕を見た。
「だ、誰だ!」
ちょっと震えている声とびっくりした小犬みたいな目がいじらしい。
「あの、ここ、僕の病室ですけど...」
「え?でも、ここは....え...ここどこ?」
「いや、そんなこと言っても」
やっと周りが普通の景色じゃないことをわかって、少女は敵意を収めて、正直に謝罪した。
「あの、本当にすみませんでした」
「あ、うん、そんなに大した事じゃないですから」
「では、失礼します!」
少女がそう言いながら、後ろのトレーにあるバナナを取って、病室の扉に踏み出した。
「ちょっ待って」
「え?」
「......」
いや、そんな無邪気な顔でこっちを見てもな。
「あのさ」
「なんですか?」
「精神障害だったら、向こうのビルだよ」
「精神障害じゃないです!」
「じゃ何?バナナ怪盗?そもそもその服は何?」
「え?この服見てもわからないですか!」
何でさっきより驚いた顔しているんだよ。
「私は19世紀最強の探偵、ロンドンの救い、シャーロック・ホームズ!」
「やっぱり精神障害じゃん」
「だから違います!ちゃんと自分の行動を理解しています!」
「じゃ犯罪者だな、僕のバナナを盗んで」
「....ばれたか!」
むしろばれないと思ったのか?
「シャーロック・ホームズだからバナナ盗んでも大丈夫と思うの?」
「そ...それは...あう...」
少女は視線を床に移して、目じりに涙が出そう。
定番の誰かに見られたら、こっちのせいになるシーン。だから何?僕はため息をついて、先までずっと見過ごしてことを気付いた。
この子、仮面はかぶっていない。嘘という不純物は少しでも見えなかった。
泣きそうな顔で僕の病床に向かって、わりと素直にバナナを戻した。
さすがに立つのは疲れたから、僕は病床に座って、少女に話かけた。
「ね、君名前何?」
「... シャーロック・ホームズ?」
「いやいや、本名のこと」
「ですから、シャーロック・ホームズ」
「バナナあげるから本名教えて」
「本当ですか!」
誰かに魂を取られたような顔は一瞬で元気を取り戻し、先まで涙が出そうな目が輝いている。僕はバナナを出したら、手の動きすら見えないスピードで奪われた。視線を彼女に向けたら、すでに幸せそうな顔でバナナを食べている。
「で、名前は?」
「うん...でも...本当にシャーロック・ホームズですけど....」
バナナ返せ。
「何?ロンドンで生まれたの?」
「そうじゃないですけど」
「じゃー」
「でも、やっぱりシャーロック・ホームズの方がいいです」
「ああ!わかった、じゃシャーロックでいいよね?」
「なんか可愛くないな...シャーロって呼んでほしいです」
右足よりずっと強い痛みが頭に襲ってきた。
「って、なんで僕の病室に入ったの?」
「あ、あれは...」
彼女は恥ずかしそうに、顔が茜色になった。
「看護師の姉さんが持っているトレーにすごくおいしそうなバナナがあったから後ろについて来たら、気付いたらここにいた」
野生動物かよ。
「野生動物じゃないです!」
どうやら表情で本音を言っちゃったようだ。
「でも、君病人じゃないよね?何で病院にいるの?」
精神障害って言いたいけど、彼女はものすごく怒りそうなのでやめた。
「え!」
シャーロは困っている顔で、ちょっと首を傾けた。心の中にこんなことでもわからないのって叫んでいるよう。
「お見舞い?」
「ちがいます!このシャーロック・ホームズがここにいる理由はひとつしかないでしょう!」
「他人のバナナを盗む?」
「犯人探しです!」
ホッペを膨らまして、こっちに睨んできた。だからさ、被害者は僕だぞ、何怒ってんのよお前。
「...待って、犯人?」
「そうです!」
「何の犯人?っていうかこの病院に犯罪者がいるの?」
もしあれが本当なら、すごく大変なことになるかな。でも多分また何かバカなことを言う気がする。少女は真面目な顔でこっちを見たから、さすがに信じないけど、多分人間の防衛本能で緊張してきた。
桜の花びらのように柔らかい唇が開いて、外見にふさわしい可愛い声が聞こえた。
「この病院には、犯人がいます。」
「私の、お母さんを殺した犯人。」
「おはようございます!」
鋼鉄のビルをアイスキャンディのように溶ける熱さは病院の強化グラスの向こう側にも光っている。向こう側にもというのは、ここにも人間にはいらないほどの熱さがやって来た。
「あのさ」
「はい!なんですか?」
「精神障害だったら...」
「だから違います!もう嫌です!一週間過ごしたのに、何で今でも私のこと精神障害って思っていますか!」
プンプン!って聞こえそうで、少女は頬を膨らました。
シャーロという名の少女は相変わらずの探偵服と元気さを着ている。嫌いなら帰れよ。何で一番眠いの朝七時に僕がそんな大きい声な挨拶受けなければならないのよ。
僕はそう思ったが、少女の不満な顔を見て、仕方なく、僕は両手で上半身を支えて、病床で座るようになって、挨拶をした。
「おはよう」
彼女と出会った日から、一週間経った。七日前のあの日、彼女がそう言った。
「この病院には、犯人がいます。」
「私の、お母さんを殺した犯人。」
あれは一体本気なのか、それとも彼女の探偵ごっこの設定の一部分か、僕は今でもわからない。ただそれ以後の毎日彼女は犯人探しという名目で病院に来て、僕の病室を休憩所扱いにしている。まあ、実際に何しているのがよくわからないが、彼女のおかげで、僕はもう一週間無理矢理に早起きされて、バナナも食べていないのだ。
「今日も犯人探し?」
「そうです!他の被害者が出ると大変ですから!」
もちろん、被害者や犯罪行為などは、この一週間には全然なかった。むしろ唯一犯罪行為をやった人は目の前の少女かもしれない。バナナを盗んだからな。
「本当にいるの?そういうやつ、もう一週間経ったぞ?」
「もちろんいます!」
「わかったわかった。頑張ってね。僕は二度寝する」
もう何度も同じ会話を繰り返したから、僕は相手の反応を待たず、あくびをしながら、柔らかい枕に頭を再び置いたが。
「あ、待って、まだ寝ないで」
彼女は珍しく僕の二度寝を阻止した。
「何?」
と言って彼女の方に視線を移ったら、人形みたいな手にバナナがあった。
「こ、これを、そ、その」
「受け取ってほしい?」
「あ、うん!そうです!この一週間ずっとバナナを食べらせて、ありがとうございます!」
「そっか」
礼を言われるのはさすがに予想外のことだ。バナナはそんなに好きではないが、一応ありがたい気持ちでもらおうと思って、手を伸ばしたが、バナナは彼女の手のひらに固定されたようで、うまく取れなかった。
「あ、あう……」
「……あの」
「は、はい!ぜ、ぜひ受け取ってください!」
いやいや。
「いいよ、別にそんなにバナナ食べたくないし」
「え!?」
「気持ちだけいただくね。ありがとう」
「ほんとうでー」
彼女は舌を噛んだようで自ら話を中断して、水にかけられた小犬みたいに首を横に振った。
「だ、だめです!ち、ちゃんと受け取ってください!」
別に仮面をかぶられなくても、こんな茶番みたいなことはできるのかと僕は意味不明のことを思った。
「いいよ本当。それ持って犯人とか探しにいけ」
「じゃあ昼のバナナも食べていいですか」
「……」
あー、しんどい。そして眠い。
「わかったわかった、もう寝るね」
「本当!?ありがとうございます!」
僕はもう一度頭を枕に置いて、目線が届かないところに彼女が引き戸を開く音を聞こえた。
仮面をかぶっていない少女、僕は突然あの日彼女を引き止めた理由を思い出した。
世の中の誰とも違って、彼女は心で話しているのだ。たとえそういう姿で、そういう思考回路だとしても、あれは彼女のままだ。まぎれもなく、シャーロという少女。
僕は昔のことを思い出した。小学校の時、担任の先生はいつも仮面をかぶって、授業をしていた。表では子供が好きの振りをして、裏では吐くほど子供を嫌がっていることは、今でもはっきり覚えているのだ。
その事件がきっかけに、人間は、そういう生き物だと思っていた。仮面がないとこの社会というステージに生き続けない生き物。
では、彼女は今、ステージのどこにいるのだろう。
彼女が言っている犯人のことも、一体どういうことなんだろう。
僕が考えている最中に、病室はまた開けられた。誰だと思ったら、シャーロが帰って来た。いつもなら昼ご飯のバナナがないと帰ってこないのに、今日はあまり時間がかからずにすぐ帰って来た。
真冬の雪のように白い顔色、活力を失った目に涙があふれそうで、部屋の無機質な電灯の光を反射している。明らかにさっきと違う状態だ。彼女が怯えている ことは、すぐわかった。
「どうした?」
「あ、え?ここ...」
彼女は震えている唇で何か呟いた。
「なんかあー」
口元にたどり着いた言葉は驚いた心に引っ張られ、冷たい空気とともに再び僕の喉に飲み込まれた。
仮面が生み出した。蜘蛛のように彼女の心を縛り付ける漆黒の仮面。僕は、初めてそういう仮面を見た。
僕の視線を気付いたシャーロは、さらにパニックになった。
「いや、その、私、私は...えっと、そう、そうだ、犯人だ!」
「犯人?」
「そ、その通りです!私、このシャーロックホームズは犯人を見つけました!」
彼女は大声で叫んだ。まるでそうしないと自分も信じなくなるようで。
「はあ...」
その一瞬で表した仮面はいつの間に消えて、彼女の顔色もだんだん健康的なりんご色になっていた。僕は今が起きたについて困惑すぎて、どうやって反応するのもわからなくなった。
「...じゃ、警察とか呼ばなくていいの?」
「え?」
「犯人見つけたでしょ?その君のお母さんを殺した犯人」
「警、察?」
「……呼ばないの?」
「あ、いや、それは...そう、逃がされたから、今更警察を呼んでも」
彼女は悔しそうな顔して、左手で右手の手のひらをパンチした。僕は一瞬そっかと思ったが、すぐ決してそういうことじゃないと気づいた。
「あのー」
「ごめんなさい、今日は今後の作戦計画を作るために、先に帰ります。」
「いや待って」
僕に何かを言うチャンスを奪うように、シャーロは勝手な事情を告げて、逃げるみたいに振り向きもしないまま小走りに行った。
一体何?今の茶番。
バター色の日差しが雲からこぼれて、二度寝の意欲を失って、少女が立ち去った灰色の引き扉をじっと見ている僕の病室に射した。
それから、三日も経っていた。僕は久しぶりにバナナとちょっとだけの寂しさを味わえた。静かな朝は朧雲のせいで、今日は元気なさそうに見えた。僕は家族を頼んで持ってきてもらった小説を読んでいた。ガラスの向こう側に雨が古いテレビの雑音のような音で降り始まった。
まあ、一応病人だから、やっぱりこういう静かな環境が一番いいだろうと僕はそう思って、次のページをめくろうとした時、引き扉は開けられた。
「おはようございます!」
僕の驚いた目線を気にせず、彼女はいつもの微笑みで僕の返事を待っていた。
「おはよう」
元気な声と飴色の探偵服、間違いなくシャーロだ。僕は彼女の顔を見て、意外と少しだけ懐かしい気分になった。
「作戦計画できた?」
「作戦計画...?あ、そうそう、やっとできました!」
作戦計画のことすら覚えていない様子だけど。
「へーどんな計画?」
「ふふふー、残念ながら、それは教えてはいけないことです!」
「昼のバナナあげるから教えて」
「バナナはもともと私のです!」
なんだこいつ、それは俺のバナナだろう。
「今日こそ犯人を捕まえるのだ!」
彼女はいつものような探偵宣言をして、珍しく動きを止まった。
「どうした?」
「あの……今更なんですが、そのけがはどうして……」
シャーロの視線の先は、僕の右足だ。
「あー、これか。まあそんな大したことじゃないと思うけど」
「お願いします!ぜひ教えてください!そのけがの由来!」
「いや何そのテンション」
なぜそんなに興味津々なのか?
「これはただ道で車とぶつかっただけだけど」
「え?」
「まあとはいっても、本当にそこまでひどいことではないと思うな」
「うんうん」
「……」
「……」
「……それだけですか?」
「え?一応そうだけど」
彼女の表情は僕の言葉を聞いて、一瞬変わった。がっかりしたようで、ほっとしたようにも見える微妙な顔だった。
一体何を企んでいた?
「なんだー、それだけですか」
「お前から言うな」
自分でもそれだけって言ってるのに、他人に言われたらなんかにむかつく。
「よっかたですね。大したけがではなくて」
「まあ、ありがとう……」
「車とぶつかっちゃって、これぐらいのけがで済むのは幸運なことなんですよ」
さすがにそこまで言われたくないな。しかもこんなあほらしいやつ。
今日はこのバナナ探偵のバナナを没収しようと思った時、何かが起きた。シャーロの後ろの引き扉がもう一度開けられた。そこに立っているのは予想した看護師のお姉さんではなく、明らかに病院の関係者ではない一人の少年がいた。
彼は運動系の男の外見をしていた。できるだけ涼しくなるためにすごく短くした髪、丈夫な肩に重そうなリュックを背負って、Tシャツの下にちょっと筋肉をした体が隠されている。
振り向いて少年を見たシャーロは、この初夏にふさわしくない寒さに襲いかかったようで、動きを凍って止まった。
だが、少年はその正反対の動きをした。つまり、凍りつけた少女にこう声を張り上げた。
「やっぱりここにいるんだ!三日前お前を見た時、何その格好と思って、人違いかなって思ったけど、やっぱそうじゃないな!」
また僕の病室で何?と思ったが、彼の話に引っかかった。
三日前。僕が初めて、シャーロの仮面を見たあの日。シャーロが何かから逃げようとしたあの日。
「あの、ここ、僕の病室ですけど...」
彼はシャーロを見つけたことを興奮になって、ここは患者の病室のことを忘れたようだ。病床に座っている僕のこと今更気付いたのはその証拠だ。
「あ、すみませんでした」
「あ、うん」
なんか似たようなやり取りをやったことある気がする。
「二人は知り合いですか」
彼は言いながら、僕の病床に入って来た。
「え?いや、だいたい一週間前彼女が君みたいに僕の病室にやってきて、で...それからずっとここに来てて...?」
彼の困惑の顔を見て、僕はちょっとだけの罪悪感を感じた。今更考え始めたんだが、結局二人は一体どういう関係なのか僕にも答えがない。
「はあ...」
「まあ、完全に知らない人ではないかな」
「そう...ですか」
「うん、ごめん、それ以上うまい説明ができなくて」
「あ、いえ、教えてくれてありがとうございます」
彼は礼儀よく真面目に礼をした。
「じゃ、その、やはり君二人は知り合いですね?」
「あ、はい、実は彼女は僕ー」
「違うーーー!」
動かなかった少女は突然叫んで、二人の男を驚かせた。どうやら彼女を包んだ氷はようやく溶けたようだ。
「私はロンドンの大探偵、シャーロックホームです!」
「...はい?」
「あなたみたいな人は、一度も見たこともあったこともない!」
シャーロは彼を見つめていたまま、喉を壊そうに喚いた。その言葉は感情を満たされた。怒り、恐怖、そして、滝のような果てしない悲しみ。
彼女の発言に対して、運動少年は反論を失ったようだ。彼女の知り合いすらこの設定のこと知らなかったみたいだ。
二人は数秒間見そのまま交わして、少年はもう一度声を出した。
「でも君はー」
「私は、真犯人を探すため、この病院に来た!」
「いやいや、待っー」
「私の名前は、シャーロックホームズだ!」
彼女は力いっぱいで叫びながら、クリスタルのような涙がみずみずしい頬を伝った。二人の男の視線で涙を気付いたシャーロはすぐしゃがんで、赤らんだ顔を隠すために細い太ももの中に埋めて、両手で自分を抱きしめてしくしく泣いていた。
だが、僕が見っているのは、彼女の涙ではなかった。また出た。シャーロの心を飲み込むような、真っ黒な仮面。
僕は三日前のシャーロを思い出した。泣きそうな顔、震えていた両手、蜘蛛のような仮面。なるほど、僕はなんとなくわかった。全部、目の前にいるこの運動系少年と関わっているのだ。
「えっと...」
彼はこっちを向いたが、僕は首を振ることしかできなかった。多分彼女の涙が止まるまでは、話は進めないだろうと僕はそう思ったが、少年は僕をじっと見ているままで、予想外のことをした。
微笑みしながら、唇が動いた。
「あの、実は僕と彼女はー」
「おい」
止めようとしたが、もう手遅れだ。彼の言葉を聞いて、シャーロは怒りと絶望を混ぜた目で彼を見上げて、信じられない顔で睨んでいた。赤くなった目から溢れた涙は悲しみで輝いている。
「...さい」
本人しか聞こえない声で、少女は何かを呟いた。そして、彼女は風のような勢いで、病室から走って離れた。
僕はこっそり少年の方に見た。やはりそうだ。彼がそういう行動をした理由について僕はわからなかったが、ひとつだけはよく理解した。
この人はわざとだ。
驚いた顔をしているんだが、心にかぶった仮面はその持ち主を裏切った。彼は目の前の現実を無視し、わざとその話を続け、シャーロを傷つけようとした。
なぜだ。
「これは...どういうことかな」
彼はいつわりの苦笑をしながら、そう言った。
僕は少しだけ腹が立った。たとえ何の理由があっても、そのようで誰かを傷つくことは許さないと思う。
「言いたいだろ」
「え?」
「君二人の関係。言いたいなら言え」
「あ、うん」
彼は僕の怒りを感じたようで、ちょっと慌てて、シャーロの心を裂くまで言いたかった言葉を口にした。
「実は、僕と彼女は、幼馴染です」

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