Noir.
傍白
人生が一冊の本だと言うのなら、
僕はきっと、読み終わったページを黒く塗り潰していくでしょう。
人間は忘れることができる。それ故に愚かで、素晴らしい生き物なのだそうです。
忘れたい事を、何時迄も忘れられない僕は、
愚かなのでしょうか、
素晴らしいのでしょうか。
本に訪ねても返事が無いので、僕はインクをぶち撒けます。
黒く、黒く、塗り潰していきます。
読み返さない様に、
読み返せない様に。
黒く塗り潰します。
黒く、黒く、塗り潰します。
忘れたい事を、何時迄も忘れられない僕を。
どうか、どうか赦してくれ、と。
黒く、黒く、塗り潰していきます。
Noir.
旁白
如果說人生是一本書,
那麼我一定會將讀過的書頁全部塗黑吧。
人類會遺忘。似乎正因如此,人類才是種既愚蠢又美妙的生物。
過了多久仍然無法忘懷想要忘卻之事的我,
究竟是愚蠢、
還是美妙呢?
向書本尋求解答也無果,我便打翻了墨水。
塗黑、塗黑、要把全部都徹底塗黑。
為了讓自己不去回首,
為了讓自己無法回首。
將一切都塗上了黑色。
塗黑、塗黑、把全部都徹底塗黑。
還請、還請原諒。
原諒這個無法忘懷想忘卻之事的我。
塗黑、塗黑、要把全部都徹底塗黑。
声を出します。
息を吐きます。
飯を食べます。
足で歩きます。
手で触れます。
目を追います。
僕は今日も生きています。
誰かの言葉が、呪いが、其れ等を縛ります。
僕は今日も生きています。
生きていていいのか、曲を、歌を、吐き出すだけの僕は、
生きていていいのか、嘘を、呪いを、吐き出すだけの僕は、
わからないから、僕は今日も生きています。
呼吸の仕方すら忘れる様な不安が、恐怖が、
朝起きたばかりの僕を襲います。
それでも僕は、今日も生きています
それでも僕は、今日を生きています
發出聲音。
呼吸吐氣。
吃飯進食。
二足步行。
伸手觸摸。
目光追尋。
我今天也活著。
某人的話語、詛咒、拘束了那些行動。
但我今天仍然活著。
只是將曲子與歌謠唱出口的我,活著也沒關係嗎
只是不斷說出謊言與詛咒的我,活著也沒關係嗎
因為搞不清楚,所以我今天仍然活著。
彷彿會忘記如何呼吸一般的恐懼、不安
朝早晨剛睡醒的我襲來。
儘管如此,我今天仍然活著。
儘管如此,我今天仍會活著。
一つだけ話をさせてください。一月くらいの話です。
夢を見ました。
母親が作った料理を食べていました。
僕は泣いていました。
『なんで泣いているのだろう?』
そう考えたらなんだかもっと悲しくて、僕はもっと泣きました。
泣きながら料理を食べていました。味が全くしませんでした。
僕は何かを言ったんですが、何を言ったのか全く覚えていません。
『 』
そこで目が覚めました。
目に少しだけ涙の跡がありました。
もうあの頃には戻れない、みたいな気持ちが少しだけして、
心臓が少しだけギュッとしました。
そんな夢を見ました。
そんな夢を見ました。
請讓我說一個故事。大概是一月那時的事了。
我做了個夢。
夢裡我正吃著母親做的料理。
而我也正哭泣著。
『為什麼在哭呢?』
一這麼想後我便越發悲傷,哭得更慘了。
邊哭邊吃著料理。料理沒有任何的味道。
我那時說了什麼,但我完全不記得內容了。
『 』
就在此時我醒了。
眼睛旁有著些許淚痕。
心裡略微有著,已經回不去那些時光了的心情
感覺心臟稍稍緊縮了一下。
我做了個這樣的夢。
我做了個這樣的夢。
幻肢痛ってあるじゃないですか。
あれって心が痛くなったりするものなんでしょうか。
僕はずっと心が痛いんです。
心なんて物は存在しないのに、僕はずっと心が痛いんです。
『心が痛い』と分かるんです。
心が痛い。
不是有所謂的幻肢痛嗎?
那難道是指讓心疼痛的東西嗎?
我的心一直很痛。
明明不存在所謂的心,但我的心卻一直很痛。
我很清楚自己『心痛』。
心好痛。
「人間の言葉っていうのは、よくも悪くも『他人』に影響を及ぼす物で。
それはまるで呪いみたいな物だと思わない?
そんな呪いみたいな物を、日々聞いたり、吐いたりしている私達って
きっととっくに、とってもまともじゃないのね」
「所謂人類的話語呢,無論是好是壞都會影響到『他人』。
你不覺得彷彿就像是詛咒一樣嗎?
天天聽著、說著那詛咒一般的東西的我們,
一定早就不正常了呢。」
僕は、それでも怪物だ。
我、儘管如此仍是個怪物。
第拾陸個人的人生解釈譚
『怪物の名前』
傍白
伸ばされた君の手は届かずに透けてしまう。
あぁ、戻らないと知る。
世界に手を振った。
「ここまでだ、それじゃあ、またね」と言う。
唇を寄せて僕はまた目を閉じる。
願いが叶うならば、
『あなたを、また愛せますように』
旁白
你伸出的手並未觸及到,而是穿透了過去
清楚啊啊、已經回不去了。
朝世界揮了揮手。
說著「到此為止了。那麼、再見。」
接吻後我再次閉上雙眼。
如果願望能夠實現的話、
『我希望能夠再次愛你』
僕を殺したのは「あなた達」だ。
あなたを殺したのは他でもない「僕達」だ。
僕は今日も誰かを殺す。
あなたは今日も誰かを殺す。
あなたが望んでも、望まなくとも、だ。
僕が望んでも、望まなくとも、だ。
言葉というのは、まるで呪いだ。
殺了我的是「你們」。
而殺了你的並非他人正是「我們」。
我今天也會殺掉某人。
你今天也會殺掉某人。
不論你是否期望如此。
不論我是否期望如此。
所謂的話語,就彷彿詛咒一樣。
「安心して?先生。
神様が、世界が、時間が、私の大切な物達を奪っていくと言うのなら、
私は奪われる前に殺すわ。
だから安心して?先生。
私は先生の事が大好きだから。
だから先生が奪われる前に私が殺してあげる。
『私の大好きな先生』のまま死なせてあげる。」
少女はそう言って無邪気に笑った。
「だから、安心して?先生。」
そう言って、笑った。
「放心吧?老師。
如果神明、世界、時間要奪走我最珍視的一切
我會在被奪走前將其扼殺。
所以放心吧?老師。
因為我最喜歡老師了。
在老師被奪走之前我會先把你殺掉的。
我會讓你以『我最喜歡的老師』的姿態死去的。」
少女這麼說著,天真地笑了。
「所以,放心吧?老師。」
這麼說著、笑了。
日々は最低、他人は最悪、依然世界は醜悪で、
そして僕は怪物だ。
呪いを吐き、呪いを溜め、呪いを貪り生きている。
僕は、怪物だ。
「人間」という名の怪物だ。
糟透的每一天,差勁的每個人,這個世界仍醜惡不堪,
而我是怪物。
說著詛咒、想著詛咒、貪圖詛咒而活著。
我是、怪物。
是名為「人類」的怪物。
誰かが僕の名前を呼ぶ。
懐かしいような、聞き覚えのあるような声だった。
僕は答える。
「 」
するとその声の主は瞳に涙を浮かべて言った。
「 」
なんて言って、手を伸ばす
声が聞こえた。
声が聞こえたんだ。
だから、だから僕は、
某人呼喚了我的名字
那是道感覺很懷念、彷彿有聽過的嗓音。
我回應。
「 」
然後那道聲音的主人眼眶泛淚說道。
「 」
這麼說著,伸出了手。
聽見了聲音。
我聽見了聲音。
所以、所以我、
あなたをたまに思い出す
笑った顔、怒った顔、泣いた顔、嬉しそうな顔。
あなたは本当に表情が豊かな人でした。
あなたは本当に感情が豊かな人でした。
あなたをたまに思い出す。
伸ばされた手が届かなかった事。
怪物の僕の為に祈った事。
優しく撫でてくれた事。
あなたが、僕の為に泣いてくれた事。
あなたをたまに思い出す。
あなたをたまに思い出す。
偶爾會想起你。
你歡笑、憤怒、哭泣、彷彿很開心的表情。
你真的是個表情豐富的人。
你真的是個情感豐富的人。
偶爾會想起你。
你曾伸出手卻未觸及到一事。
你曾替怪物般的我祈禱一事。
你曾溫柔地撫摸著我一事。
你曾為了我哭泣一事。
偶爾會想起你。
偶爾會想起你。
少年は祈ります。
もう会えない人に会えますようにと。
それが叶わないのであれば、会いに行く為の翼を下さいと。
少年は祈ります。
体の傷も、か細くなった息も、
気にせずに少年は祈ります。
できる事ならもう一度、あの人に会えますように。
少年は祈ります。
気付けば祈る声は聞こえなくなっていました。
少年會祈禱。
為了見上不會再見的人一面。
如果那是無法被實現的,就請給我能去見他們的翅膀。
少年在祈禱。
不顧身上的傷、日漸微弱的呼吸
少年仍在祈禱。
如果可以的話,請讓我再見那個人一面。
少年如此祈禱。
而回過神來,連祈禱的聲音也聽不見了。
あぁ、主よ。どうか僕をお許し下さい。
僕はどうしようもなく罪人です。
この告白を、この罪を「あなたは許してくれるという事」を僕は知っているのです。
あなたの優しさが、あなたの寛容さが、あなたの偉大さが、
罪であり、罰なのです。
あぁ、主よ。どうか僕をお許し下さい。
どうか僕を罰さないでください。
あぁ、主よ。
あぁ、主よ。
啊啊,主啊。請原諒我。
我是個無藥可救的罪人。
這段告白、這份罪孽、還有「祢會赦免我一事」我都是清楚的。
祢的溫柔、祢的寬容、祢的偉大
對我而言都既是罪孽也是懲罰。
啊啊,主啊。請原諒我。
請不要懲罰我。
啊啊,主啊。
啊啊,主啊。
最低な僕をどうか、許してくれ。
還請原諒、如此差勁的我。
神は死んだ
神已死
「××××。」
そして僕はーーー、