猫ひっかき病.貓抓病.Cat scratch disease
猫ひっかき病について
■この記事は教科書的、文献的な内容についてまとめ、多くの方が参考にしていただけるよう掲載しています。必ずしも最新の知見を提供するものではなく、横浜市としての見解を示すものではありません。■なお、本件に関して専門に研究している職員は配置されていないため、ご質問には対応しかねます。また、個別の診断や治療については医療機関へご相談ください。
流行は?
猫ひっかき病(cat scratch disease: CSD)は、バルトネラ-ヘンセレ(Bartonella henselae )という細菌による人間と猫との共通感染症です。猫にひっかかれたり、咬まれたりすることで人間が感染することが多いです。特に、子猫にひっかかれての感染が多いです。猫を扱うことが多い獣医師が診察時にひっかかれたり咬まれたりしての感染も見られます。バルトネラ-ヘンセレ(Bartonella henselae )に対する抗体陽性率が、日本の健康人で4.5%に対し、日本の獣医師で11.0%-15.0%と、獣医師の抗体陽性率が高いです(参考文献6)。
犬がバルトネラ-ヘンセレ(Bartonella henselae )に感染することもあり、犬に咬まれたりして人間が感染する可能性もあります。
猫の間では猫が他の猫を咬んだり、ひっかいたりすることで、あるいは、猫の血を吸ったネコノミが他の猫の血を吸うことで感染が広がります。ネコノミについては、人間を刺すことで人間が感染する可能性もあります。
ネコノミは、猫に限らず、犬や人間にも寄生することがあります。近年、人間で検出されるノミの多くがネコノミとなっています。
猫ひっかき病(cat scratch disease: CSD)の人間から人間への感染は通常の接触ではありません。
猫ひっかき病(cat scratch disease: CSD)は世界中で発生しています。日本でも全国的に発生しています。西日本と都市部の比較的温暖な地域での発生が多いです。すべての年齢層で発生していますが、若い年齢層での発生が多いです。
「猫ひっかき病(cat scratch disease: CSD)」という病名は、主要な感染経路ではあるものの感染経路の一部を示すのみで、他の感染経路も存在することから、病原体に因んだ「バルトネラ-ヘンセレ感染症(Bartonella henselae infection)」の方が病名として好ましいとの意見もあります。なお、「バルトネラ症(bartonellosis)」では、「猫ひっかき病(cat scratch disease: CSD)」だけでなく、Bartonella bacilliformis という細菌によるCarrion病や、Bartonella quintana という細菌による塹壕熱(ざんごうねつ : trench fever )なども含んだ病名として受け取られる可能性があります。
猫ひっかき病(cat scratch disease: CSD)の発生は秋から冬にかけてが多いです。ネコノミは夏に殖えます。このネコノミによって夏から秋にかけてバルトネラ-ヘンセレ(Bartonella henselae )に感染する猫が増えます。秋から冬にかけて寒くなってくると猫は家の中にいることが多くなり、人間が猫にひっかかれたり咬まれたりして猫ひっかき病(cat scratch disease: CSD)の発生が増えると考えられます。
1999-2009年のフランスにおける猫ひっかき病患者の発生についての調査研究(参考文献7)によれば、猫ひっかき病患者の平均月間発生数(人)の推移は下の図2のとおりです。5-8月の発生は少なく、9月から4月までで全体の発生の87.5%と大部分を占め、12月の発生がピークです。なお、日本においては、9-12月の発生が年間の64%を占め11月が発生のピークとする調査研究(参考文献8)があります。
どんな病気?
バルトネラ-ヘンセレ(Bartonella henselae )という細菌を持っている猫に咬まれたり、ひっかかれたりして、傷付いた部分で、3-10日で丘疹・水疱を生じたり、化膿したり、受傷の約2週間後から数週間から2年間にわたりリンパ節が腫れて痛むことがあります。発熱や頭痛を起こすこともあります。まれな合併症として、脳症、髄膜炎、肝臓膿瘍、脾臓膿瘍などがあります。免疫を抑制するような薬剤の投与を受けている臓器移植を受けた人や癌患者、あるいはHIV感染者・エイズ患者など、免疫が弱まっている人たちでは、重症化しやすいです。エイズ患者では、細菌性血管腫(bacillary angiomatosis: BA)や肝臓紫斑病(peliosis hepatis)・脾臓紫斑病(splenic peliosis)を起こすことがあります。
なお、バルトネラ-ヘンセレ(Bartonella henselae )という細菌を持っている猫には、何の症状もありません。
人間では、自然治癒することもありますが、治療としてはエリスロマイシン、シプロフロキサシン、ドキシサイクリン等の抗生物質が用いられることがあります。猫の治療としては、リンコマイシン、ドキシサイクリン等の抗生物質が用いられることがあります。
なお、猫や犬に咬まれて感染することがある微生物は、バルトネラ-ヘンセレ(Bartonella henselae )だけではありません。パスツレラ菌や黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus )が多く、他にも、連鎖球菌、コリネバクテリウム、Eikenella corrodens 、カプノサイトファーガ-カニモルサス(Capnocytophaga canimorsus )など多数あります。破傷風や狂犬病の心配もあります。カプノサイトファーガ-カニモルサス感染症の重症例などでは死亡例も報告されていますが、受傷時に早急に医療機関を受診して消毒や抗生物質の投与等を受けていれば重症化しなかった可能性もあります。猫や犬に咬まれたら早急に医療機関を受診して、消毒や抗生物質の投与等、適切な治療を受けましょう。
病原体は?
猫ひっかき病の病原体は、バルトネラ科(the family Bartonellaceae )バルトネラ属(the genus Bartonella )に属するバルトネラ-ヘンセレ(Bartonella henselae )という細菌です。なお、少ないですが、同じくバルトネラ科バルトネラ属に属するBartonella clarridgeiae という細菌も猫ひっかき病の病原体となることがあります。バルトネラ-ヘンセレ(Bartonella henselae )は猫に感染していることが多いですが、犬が感染することもあり、犬から人間が感染したと思われる例もあります。
丸山らは、日本全国の690頭の猫について調査し、その7.2%(50頭)の猫がバルトネラ(Bartonella )属菌を保菌していたこと、3歳以下の猫で保菌率が高いこと、南の地方や都市部で保菌率が高いことなどを明らかにしています(参考文献2)。
バルトネラ-ヘンセレ(Bartonella henselae )とBartonella quintana とは、HIV感染者・エイズ患者などで、細菌性血管腫(bacillary angiomatosis: BA)を起こすことがあります。なお、Bartonella quintana については、コロモジラミが媒介する塹壕熱(ざんごうねつ : trench fever )の病原体です。塹壕熱は、第一次世界大戦中に塹壕内の兵士で多発し、百万人近くの兵士が罹患したとされます。菌名のquintana はラテン語で「5番目の」の意味です。塹壕熱は、5日熱(5-day fever あるいは quintan fever )の異名もあり、5日(4-8日のこともあります)の間隔で発熱・悪寒・発汗が繰り返されます。現代のアメリカ合衆国ではホームレスの人々に見られることがあり、都会塹壕熱(urban trench fever)と呼ばれます。
バルトネラ(Bartonella )という菌名については、ペルーの細菌学者Alberto Leopoldo Barton(1871年出生-1950年死亡)に因んでの命名です。Alberto Leopoldo Bartonは、Carrion病の病原体の研究において、1909年にバルトネラ(Bartonella )属菌のBartonella bacilliformis という細菌に関する記述をしています。Carrion病は、主にペルー・コロンビア・エクアドルのアンデス山脈の海抜600-3700mの渓谷で見られる、Bartonella bacilliformis という細菌による人間の感染症です。Phlebotomus sand flyという虫によって媒介されます。Carrion病には、ペルーいぼ(Peruvian wart あるいは verruga peruana)とオロヤ熱(oroya fever)とが含まれます。Carrion病はペルーの医学生だったDaniel Alcides Carrion(1850年出生-1985年10月5日死亡)に因んでの命名です。
1885年8月27日、Carrionは、ペルーいぼ(Peruvian wart あるいは verruga peruana)とオロヤ熱(oroya fever)の関係を明らかにするため、14歳の少年Carmen Paredesの右まゆの赤いペルーいぼから採取した血液を自分自身に接種しました。接種から3週間後の9月17日に左足首の不快と痛みとで発病しました。9月19日に発熱が始まりました。9月26日には重体となり自分で記録がとれなくなり、級友たちが付き添って替わりに記録をとりました。そして、接種から39日後の1885年10月5日午後11時30分、Carrionは、オロヤ熱のため死亡しました。Carrionは、ペルー医学に殉死した者とされ、Carrion病の病名に名を残すこととなりました。また、Carrionの栄誉を称え10月5日はペルー医学の日とされました。
なお、1926-1927年、日本の野口英世(1876年出生-1928年死亡)は、ペルーいぼ患者とオロヤ熱患者とからBartonella bacilliformis を分離培養して、ペルーいぼとオロヤ熱とが同じBartonella bacilliformis による感染であることを示しました。
バルトネラ-ヘンセレ(Bartonella henselae )のヘンセレ(henselae )については、アメリカ合衆国オクラホマ州オクラホマシティでHIV感染者・AIDS患者の血液から多くの菌株を分離培養した微生物学者Diane M. Henselの栄誉を称えての命名です。
Bartonella clarridgeiae のclarridgeiae については、最初にアメリカ合衆国テキサス州ヒューストンで分離した微生物学者Jill E. Clarridge 3.の栄誉を称えての命名です。
Bartonella bacilliformis のbacilliformis については、ラテン語で、「小さい棒(bacillus)の形(forma)をした」という意味です。
きわめて少ないですが、Afipia felis という細菌も猫ひっかき病の病原体となることがあります(参考文献3)。なお、Afipia については、Afipia felis 属の基準株がAFIP(the Armed Forth Institute of Pathology)という研究所で最初に分離されたことに因んでの命名です。felis については、ラテン語で猫を示します。
予防のためには・・・
猫を手荒に扱うのはやめましょう。手荒な扱いは、猫が咬みついたり、ひっかいたりすることを誘発しがちです。また、興奮している猫に手を出すのは止めましょう。猫に接した後には、手をよく洗いましょう。
人間の傷を猫になめさせないようにしましょう。
猫の爪は定期的に、よく切っておきましょう。
ノミは定期的に駆除しましょう。
猫ひっかき病(cat scratch disease: CSD)に対するワクチン(予防接種)については、人間のワクチンも猫のワクチンも開発されていません。
バルトネラ-ヘンセレ(Bartonella henselae )に対するモノの表面の消毒については、詳しい文献が見当たらないようですが、バルトネラ-ヘンセレ(Bartonella henselae )に近縁のBartonella bacilliformis に有効とされている、70%エタノール、1%次亜塩素酸ナトリウム、2%ホルムアルデヒドなどの使用が考えられます(参考文献5)。
参考文献
1.環境省自然環境局総務課動物愛護管理室、人と動物の共通感染症に関するガイドライン、平成19年3月。
2.丸山総一、[話題の感染症]猫ひっかき病、モダンメディア 50巻 9号 2004、p. 203-211.
3.Michael Giladi, Boaz Avidor, Yehudith Kletter, et al. ; Cat scratch disease: the rare role of Afipia felis ; Journal of clinical microbiology, Sept. 1998, Vol.36, No. 9, p. 2499-2502.
4.Myron G. Schultz; Photo Quiz: Who is this man ? : Daniel Alcides Carrion; Emerging Infectious Diseases, Vol. 16, No. 6, June 2010, p. 1025-1027.
5.Technical Factsheet(外部サイト): Cat Scratch Disease and Other Bartonella henselae Infections; Center for Food Security & Pubric Health(CFSPH), Iowa State University, May 1, 2005, p. 1-5.
6.Bruno B. Chomel, Henri-Jean Boulouis, Soichi Maruyama, and Edward B. Breitschwerdt; Bartonella Spp. in Pets and Effect on Human Health; Emerging Infectious Diseases, Vol. 12, No. 3, March 2006, p. 389-394.
7.Diane Sanguinetti-Morelli, Emmanouil Angelakis, Herve Richet, Bernard Davoust, Jean Marc Rolain, and Didier Raoult; Seasonality of Cat-Scratch Disease, France, 1999-2009; Emerging Infectious Diseases, Vol. 17, No. 4, April 2011, p. 705-707.
8.Masato Tsukahara; Cat scratch disease in Japan; Journal of Infection and Chemotherapy, 2002, vol. 8, no. 4, p. 321-325.
https://www.city.yokohama.lg.jp/kurashi/kenko-iryo/eiken/kansen-center/shikkan/na/catscratch1.html
パスツレラ症について
■この記事は教科書的、文献的な内容についてまとめ、多くの方が参考にしていただけるよう掲載しています。必ずしも最新の知見を提供するものではなく、横浜市としての見解を示すものではありません。■なお、本件に関して専門に研究している職員は配置されていないため、ご質問には対応しかねます。また、個別の診断や治療については医療機関へご相談ください。
流行は?
近年、日本ではパスツレラ症(pasteurellosis)の患者発生が増えています。犬や猫に咬まれて感染する感染症としては、患者数が多いものの一つだと考えられています。
パスツレラ症(pasteurellosis)は、人と動物の共通感染症の一つです。豚のパスツレラ症として、萎縮性鼻炎、肺炎、多発性関節炎などがあります。牛のパスツレラ症として、出血性敗血症があります。鳥のパスツレラ症として、家禽コレラがあります。ウサギのパスツレラ症として、鼻炎(スナッフル: snuffles)、肺炎、中耳炎、結膜炎、敗血症などがあります。
どんな病気?
パスツレラ症はパスツレラ菌による感染症です。犬や猫がパスツレラ菌を持っていることが多いですが、犬や猫ではほとんど症状を起こしません。まれに猫で肺炎を起すことがあります。咬まれるあるいは引っかかれるなどして、犬や猫からパスツレラ菌をもらって人間がパスツレラ症を発病することがあります。
犬や猫に咬まれてパスツレラ菌に感染した場合には、早ければ数時間で受傷部位が赤く腫れ、痛みや発熱を伴います。近くのリンパ節が腫れることもあります。パスツレラ症での受傷部位の炎症は皮下組織の中を広がり、「蜂窩織炎(ほうかしきえん)」と呼ばれます。受傷部位が関節に近いときには、関節炎を起こすことがあります。骨に達するような傷であれば骨髄炎を起こします。免疫機能が低下している人では、重症化して敗血症や骨髄炎を起こし死亡することもあります。
咬まれなくても、犬や猫との接触によりパスツレラ菌を吸い込んで、呼吸器系で感染して、肺炎・気管支炎や副鼻腔炎などを起こすこともあります。気管支拡張症患者やコントロールができていない糖尿病患者・HIV感染者・悪性腫瘍患者など特に免疫機能が低下している人では、注意が必要です。
治療としては、早期に抗生物質を投与します。抗生物質としては、ペニシリン系、テトラサイクリン系、セファロスポリン系、クロラムフェニコールなどが有効です。ただし、ペニシリン系に対しての耐性株もまれにあります。
なお、犬や猫に咬まれて感染することがある微生物は、パスツレラ菌だけではありません。パスツレラ菌や黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus )が多く、他にも、連鎖球菌、コリネバクテリウム、Eikenella corrodens 、カプノサイトファーガ-カニモルサス(Capnocytophaga canimorsus )など多数あります。Fusobacterium、Bacteroides、Porphyromonas、Prevotella、Propionibacteriumなどの嫌気性菌もあります。破傷風や狂犬病の心配もあります。カプノサイトファーガ-カニモルサス感染症の重症例などでは死亡例も報告されていますが、受傷時に早急に医療機関を受診して消毒や抗生物質の投与等を受けていれば重症化しなかった可能性もあります。犬や猫に咬まれたら早急に医療機関を受診して、消毒や抗生物質の投与等、適切な治療を受けましょう。
病原体は?
パスツレラ菌は哺乳類の上気道や消化管に存在し、猫はほぼ100%、犬は約75%が持っているとされます。パスツレラ-ムルトシダ(Pasteurella multocida )、パスツレラ-カニス(Pasteurella canis )、パスツレラ-ダグマティス(Pasteurella dagmatis )、パスツレラ-ストマティス(Pasteurella stomatis )などのパスツレラ菌が犬や猫の口の中に存在します。犬や猫に咬まれたり、引っかかれたりして人間が感染することがありますが、人間のパスツレラ症の原因としては、パスツレラ-ムルトシダ(Pasteurella multocida )が多いです。
なお、パスツレラ-ムルトシダ(Pasteurella multocida )は、さらに、subsp. multocida 、subsp. septica 、subsp. gallicida といった亜種(subspecies)に分類されます。
犬による咬傷50と猫による咬傷57とについての調査研究があります(参考文献3)。咬傷から検出された細菌として多かったのは、犬による咬傷では、パスツレラ(Pasteurella )(50%)、連鎖球菌(46%)、ブドウ球菌(46%)、猫による咬傷では、パスツレラ(Pasteurella )(75%)、連鎖球菌(46%)、ブドウ球菌(35%)、Moraxella(35%)でした。犬による咬傷でも、猫による咬傷でも、検出された細菌としてはパスツレラ(Pasteurella )が一番多かったです。なお、パスツレラ(Pasteurella )の中では、犬による咬傷では、パスツレラ-カニス(Pasteurella canis )が多く、猫による咬傷では、パスツレラ-ムルトシダ(Pasteurella multocida )のsubsp. multocida とsubsp. septica とが多かったです。
パスツレラ(Pasteurella )は、フランスの化学者・細菌学者のルイ-パスツール(Louis Pasteur ;1822年12月27日誕生、1895年9月28日死亡)に因んでの命名です。パスツレラ-ムルトシダ(Pasteurella multocida )は、1878年に家きんコレラ(fowl cholera)の鳥で発見され、1890年に家きんコレラ(fowl cholera)の病原体としてルイ-パスツール(Louis Pasteur)が分離しました。パスツレラ-ムルトシダは、犬や猫に限らず、ウサギ、牛、豚、鳥などの上気道に見られることがあります。日本では、「家きんコレラ」が家畜伝染病とされていて、鶏、あひる、うずら、および七面鳥が本菌に感染し、それらの70%以上が急性敗血症で死亡した場合に家畜伝染病の対象となります。家きんコレラは、経気道感染または経口感染します。家きんコレラは、アジア、アフリカ、中近東、欧米などで発生がみられます。家きんコレラの予防のために海外ではワクチンも使用されています。
なお、パスツレラ-ムルトシダ(Pasteurella multocida )の菌名のムルトシダ(multocida )については、ラテン語で「多数」を意味するmultusと「殺す」を意味するcidusとからなり、多くの鳥に対する家きんコレラの致死率の高さを示しています。
パスツレラ-ガリナルム(Pasteurella gallinarum )は、鳥が持っていることがあります。パスツレラ-ガリナルム(Pasteurella gallinarum )による急性胃腸炎の患者が報告されていて、その患者はバーベキューパーティーでの鶏肉の摂取により感染した疑いがありました(参考文献2)。
予防のためには・・・
犬や猫との接触に注意しましょう。
寝室に犬や猫を入れないようにしましょう。
犬や猫とベッドで一緒に寝ないようにしましょう。
犬や猫とキスしないようにしましょう。
犬や猫にエサを口移しで与えないようにしましょう。
犬や猫と接触したら手洗い・うがいをしましょう。
犬や猫に咬まれないようにしましょう。
犬については、当・横浜市衛生研究所ホームページ「犬による咬傷(こうしょう、かみきず:bite )について」をご参照ください。
犬による咬傷50と猫による咬傷57とについての調査研究があります(参考文献3)。咬傷部位として多かったのは、犬による咬傷では、手(50%)、足・脚(20%)、顔面・頭頸部(16%)、肩・腕(12%)、猫による咬傷では、手(63%)、肩・腕(23%)、足・脚(12%)でした。犬だけでなく猫にも咬まれないように注意が必要です。また、前足をなめる猫の場合には、口の中の細菌を爪に付着させることにもなるので、猫に引っ掻かれないように注意が必要です。
参考文献
1.環境省自然環境局総務課動物愛護管理室、人と動物の共通感染症に関するガイドライン、平成19年3月。
2.Yasutomo Arashima, Kimitoshi Kato, Reiko Kakuta, Toru Fukui, Kazunari Kumasaka, Toshio Tsuchiya, and Kinya Kawano; Brief Reports: First Case of Pasteurella gallinarum Isolation from Blood of a Patient with Symptoms of Acute Gastroenteritis in Japan; Clinical Infectious Diseases(CID), 1 September 1999;Vol. 29, No. 3:p. 698-699.
3.DAVID A. TALAN , M.D., DIANE M. CITRON , B.S., FREDRICK M. ABRAHAMIAN , D.O., GREGORY J. MORAN , M.D., AND ELLIE J.C. GOLDSTEIN , M.D., FOR THE EMERGENCY MEDICINE ANIMAL BITE INFECTION STUDY GROUP; BACTERIOLOGIC ANALYSIS OF INFECTED DOG AND CAT BITES; N Engl J Med, January 14,1999;Volume 340, Number 2: p. 85-92.
https://www.city.yokohama.lg.jp/kurashi/kenko-iryo/eiken/kansen-center/shikkan/ha/pasteurella1.html