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第二部神殿的實習巫女 寫字板與紙牌

作者:SPT草包│2018-09-14 16:11:59│贊助:2│人氣:81
本好きの下剋上~司書になるためには手段を選んでいられません~
以下犯上的書癡~為了成為圖書管理員而不擇手段~
作者:香月美夜
第二部神殿の巫女見習い 書字板とカルタ
第二部神殿的實習巫女 寫字板與紙牌
原文連結

 鍛冶工房を出て、木工の工房へ行く。どちらも職人通りにあるので近い。
 離開鍛造工坊,往木工的工坊去。由於哪邊都在工匠大道上而很近。
3つほど工房を通り過ぎたところにある扉――大樹を背景にのみとのこぎりが交差したデザインが彫りこまれている――を開けて、わたしを抱えたままベンノは中に入って行く。
在通過3個左右工坊的地方的打開――將大樹當背景鑿子與鋸子交錯的設計被雕刻進去著――大門,依然抱著我的班諾走進裡面去。

「ギルベルタ商会のベンノだが、親方はいるか?」
「基魯貝露塔商會的班諾,師傅在嗎?」
「すみません。親方はいなくて……って、マイン!?」
「不好意思。師傅不在……唉,瑪茵!?」
「あ、ここってジークお兄ちゃんの工房だったんだ?」
「啊,這裡是吉克哥哥的工坊啊?」

 店中にいたのは見慣れた顔だった。ルッツの二番目の兄であるジークがベンノに抱き上げられたままのわたしと丁度目の合う位置で、ぽかーんと口を開けている。
 在店裡面的是熟悉的臉。身為路茲第二個哥哥的吉克與依然被班諾抱來上的我在正好四目相交的位置,呆呆地張開著嘴巴。

「……知り合いか?」
「熟人嗎?」
「ルッツのお兄さんです」
「路茲的哥哥」

 ベンノがわたしを下ろすと、そこでやっとジークの視界にルッツの姿も入ったらしい。「……ルッツ、だよな?」と小さく呟いているのが聞こえた。
 班諾把我放下後,似乎在那裡路茲的身影也終於進入吉克的視野裡。能聽到小小嘟噥著「……路茲,是吧?」
 ルッツはギルベルタ商会で借りている部屋で着替えているので、見習い服を着て、髪を整えた姿をジークは初めて見たに違いない。森に行く普段着で籠を背負っている姿と仕事中のルッツは全然違って見えるのだ。
 由於路茲在跟基魯貝露塔商會租借的房間換衣服,吉克肯定是第一次看到穿著實習的衣服,整理著頭髮的身姿。穿著便服去森林揹著籃子的身姿與工作中的路茲看起來完全不同。

「ふぅん。ルッツの兄か。……注文したい物があるんだが、いいか?」
「哦。路茲的哥哥嗎。……有想要訂購的東西,可以嗎?」
「ちょ、ちょっと待っててくれないか? 補佐を呼んでくるから」
「能、能不能請等等呢? 因為要去呼喊助理」

 ジークが慌てた様子で奥へと駆け込み、少しするとかっちりした体格の男性が出てきた。
 吉克用驚慌的樣子往深處跑進去,稍微結實緊繃的體格的男性出來了。

「やぁ、ベンノさん。ようこそ。今回は何を作りましょうか?」
「呀,班諾先生。歡迎。這次要做什麼呢?」
「ルッツ」
「路茲」
「はい。これです」
「是的。是這個」

 フランのために作っている書字板をルッツが取り出して、テーブルの上に置いた。ベンノはその書字板を指差しながら、注文する。
 路茲將為了弗蘭製作著的寫字板拿出來,放置在桌子之上。班諾一邊用手指著那個寫字板,一邊下訂。

「これと同じ大きさで、この板の部分を作ってほしい。表にウチの店の紋章を、裏には俺の名前を彫ってくれ」
「與這個同樣大小,想要製作這個板子的部分。在正面是我家的店徽,在背面雕刻我的名字」

 補佐はメジャーを取り出し、あちらこちらを測りながら、木札に寸法を描きこんでいく。
 助理拿出了捲尺,一邊測量各個地方,一邊在木牌上逐漸描繪著尺寸。
 どの木を使うか、紋章、名前の綴り、字体などを確認しながら、打ち合わせしているのを見ていると、ルッツの様子が気になるのか、奥からジークが出てきた。
 一邊確認著要使用那種木頭呢、徽章、名字的拼寫、字體等,一邊看著商量時,是介意著路茲的樣子嗎,基克從深處出來了。

「ジークお兄ちゃん、わたしも注文していい?」
「吉克哥,我也可以下訂嗎?」
「マインが?……別にいいけど?」
「瑪茵嗎?……雖然是可以?」
「固くて薄い板が欲しいの。大きさはきちんと揃えて、大きさはこれくらいで……」
「想要堅硬的薄板子。大小要好好地統一,大小像這個樣子……」

 わたしが手で大きさを作るとジークが慌てたようにメジャーを持ってきた。縦横の大きさをきちんと決めて、厚みも決める。
 我用手製作的大小和吉克像是驚慌般將捲尺拿了起來。好好地決定了長寬的大小,厚度也決定了。

「同じ物を70枚作って」
「要做70片同樣的東西」
「70枚!? そんなにどうするんだ?」
「70片!? 那樣的是要做什麼啊?」
「うふふ~、基本文字35字で『カルタ』作るの」
「唔呼呼~,用基本文字35字做『紙牌』」

 わたしの側仕え見習いであるギルもデリアもまだ字が読めない。側仕えはフランがしているように書類の手伝いや主の手紙の代筆をすることもあるらしく、読み書きができる事は必要な事らしい。
 身為我的實習近侍的基魯和蝶莉亞都還不會唸字。近侍似乎也有做像是弗蘭在做的文書的幫忙或主人信件的代筆,能讀書似乎是必要的事。

 フランだけにプレゼントをしたら、絶対にギルが拗ねるのは目に見えている。ギルにも何かプレゼントを、と思った時に、楽しく字を覚えるための物が欲しいと思ったのだ。
 只給弗蘭禮物的話,絕對會親眼看到基魯鬧彆扭。在想著、也給基魯什麼禮物時,想到想要為了快樂記住文字的東西。
 木の板でカルタを作っておけば、孤児院の子供達も一緒に遊べるだろう。大きくなれば、どうせ覚えさせられる事なのだから、幼いころから遊び感覚で覚えるのが一番だ。
 事先用木板製作紙牌的話,孤兒院的小孩子們也可以一起遊玩吧。因為長大的話,反正也是被迫記住的事,從年幼的時候開始用遊玩的感覺記住是最好的。

「カルタ? また何か変な物を作るのか?」
「紙牌? 又要做什麼奇怪的東西了嗎?」
「うん、そう。いつまでにできそう?」
「嗯,沒錯。在什麼時候能做好?」
「……大きさを揃えて切るだけだからなぁ」
「……因為只是統一大小裁切呢」
「切るだけじゃダメだよ。表面や角が滑らかになるように、ちゃんと磨いてくれなきゃ」
「才不是只是裁切唷。表面或邊角為了能光滑,必須要好好去打磨」
「あの簪みたいにか?」
「像那個髮簪嗎?」

 わたしが大きく頷くと、ジークはガシガシと頭を掻いた。一つ一つ磨くには時間がかかるだろうけれど、カルタの板はそれほど急ぐものではない。
 我大大點頭後,吉克猛力地搔抓著頭。雖然一個一個打磨要花時間吧,但紙牌的板子並非是那麼緊急的東西。

「他に注文している物ができあがるのが十日くらい先だから、それまでにできればいいよ」
「因為其他訂購的東西完成要十天左右,在那之前能完成就好唷」
「それなら、余裕だな」
「那樣的話,很從容呢」
「料金は前に作ってもらった時の倍でどう?」
「費用是在之前製作時的兩倍如何?」
「それは、ちょっと補佐に聞いてくれよ。俺、料金の事はよくわかんねぇし」
「那個,去好好跟助理打聽唷。我,不太明白費用的事呢」

 ジークがそう言うと、ベンノとの商談が終わっていたらしい補佐はしばらく話を聞いてたようで、ひょっこりとこちらに顔を出した。
 吉克那樣說後,跟班諾的洽談似乎結束的助理好像暫時聽著談話,忽然在這邊露面了。

「前に作ってもらったと言うのは?」
「所謂在之前製作的是?」
「冬の手仕事の時に、ジークに簪を作るのを手伝ってもらったんです。中銅貨1枚で」
「在冬季的手工時,請吉克幫忙製作髮簪。用中銅幣1枚」
「ということは、今回は中銅貨2枚か。……個人に頼むなら、それでも問題はないと思うが、工房に頼むには足りないなぁ」
「所以說,這次是中銅幣2枚嗎。……若是委託給個人,我認為那樣是沒問題的,但委託給工坊就不夠了呢」

 ニヤニヤと笑いながら補佐はそう言うが、わたしはそんなに鬼畜な値段設定にしたつもりはない。紙を作る時に材木屋で木の値段も知っている。普段、職人に払われる給料も知っている。
 一邊奸笑著助理一邊那樣說,但我不打算做那麼樣鬼畜的價格設定。在製做紙張時在木材店知道了木頭的價格。平時,被支付給工匠的薪水也知道。
 ルッツも同じように感じたのだろう。わたしの隣で目を鋭くして、補佐を見つめる。
 路茲也是同樣的感覺吧。在我的旁邊目光銳利,凝視著助理。

「工房の手数料を店で扱うのと同じ3割と仮定して、木の原価や職人に払うお金を考えれば、マインが提示したのは、やや余裕があるくらいの妥当な金額だと思います。たった1枚の注文ではなくて、70枚注文ですし」
「將工坊的手續費假設為與在店裡處理同樣的3成,考慮到木頭的原價及付給工匠的錢的話,瑪茵提示著的,我認為是稍有富餘的妥當金額。並非只是1片的訂購,是70片的訂購」

 マインは見た目が洗礼前の子供に見えるから完全に舐めてますね? とルッツがマルクによく似た笑みを浮かべると、補佐が顔を引きつらせた。
 因為瑪茵外觀看起來是洗禮前的小孩子完全被小看了呢? 路茲說著浮現和馬爾克很相似的笑容後,助理讓臉痙攣了。

「ルッツ! お前、何やってんだ!?」
「路茲! 你,在做什麼啊!?」
「仕事だ」
「在工作」

 家の中でルッツを怒鳴り付ける時のような声をジークが出した。しかし、ルッツは補佐から視線を外さない。
 吉克發出像在家裡面加以怒吼路茲時的聲音。可是,路茲沒有從助理那移開視線。
 かなりベンノとマルクにしごかれているようで、ルッツは胸を張って補佐とやり取りしている。去年の今頃は市場の値札くらいしか数字が読めなくて、自分の名前がやっと書けるようになったと喜んでいたルッツの成長が著しい。
 似乎相當被班諾和馬爾克嚴格訓練著,路茲挺起胸膛與助理交流著。去年的這個時候除了讀市場的價格牌以外數字都不會唸,自己的名字變得終於會寫時喜悅著的路茲的成長很明顯。

「ジークお兄ちゃん、ルッツは補佐の人と商談中だから邪魔しちゃダメだよ。料金のことはよくわからないって言ったのはジークお兄ちゃんでしょ?」
「吉克哥,因為路茲和助理的人洽談中打擾是不行的唷。說費用的事不是很明白的是吉克哥吧?」

 わたしがジークを止めると、ジークは困ったようにわたしとルッツの間に視線を行き来させた。
 我制止吉克後,吉克像是困惑般讓視線在我和路茲之間來來回回。

「マイン……。でも、ルッツが、あんな……」
「瑪茵……。但是,路茲,那樣……」
「ルッツは商人見習いとしてすごく頑張ってるよ。ジークお兄ちゃんが職人として技術を身につけてるように、ルッツは商人としての知識や技術を身につけてるの」
「路茲作為實習商人非常努力唷。就像吉克哥掌握著作為工匠的技術般,路茲掌握著作為商人的知識及技術」

 情報伝達が口だけしかないに等しいここで、親から教えられる家業以外の職に就いて、成功する事は滅多にない。多分、家では商人としての職業を否定するだけで、ルッツが仕事している現場を見たのは初めてなのだろう。ジークは何か言いたくても言葉が出てこないような、複雑な顔でルッツを見た。
 在情報傳達相等於只能用嘴的這裡,就任被父母告知的家業以外的職業,成功的事並不多。大概,在家就只是否定著作為商人的職業,看到路茲工作著的現場是第一次吧。吉克像就算想說什麼話語卻出不來般,用複雜的表情看著路茲。

「ジークお兄ちゃん、ルッツの努力をちょっとでいいから認めてあげて?」
「吉克哥,因為稍微一點也行能認同路茲的努力嗎?」
「……」
「……」

 補佐とルッツが話し合った結果、値段は最初にわたしが提示したもので決定した。
 助理和路茲商議的結果,價格決定用我在最初提示的東西。
 ルッツの成長をニヤニヤと見守っていたベンノが片腕でわたしを抱き上げて、もう片手でわしゃわしゃとルッツの頭を掻き回して、木工の工房を出る。
 裂嘴笑地注視著路茲的成長的班諾用單手將我抱了上來,用另一隻手胡亂地來回搔抓著路茲的頭,離開木工的工坊。
 ベンノの肩越しにきつく眉を寄せたジークが映った。
 隔著班諾的肩膀映出了皺著眉頭的吉克。



 十日後には、鉄筆とカルタの元になる板ができあがった。もちろん、ベンノが注文した書字板も仕上がった。豪奢な書字板を抱えて、ベンノはご機嫌で蝋の店に行って、蝋を流し込んで完成させる。
 在十天後,鐵筆和成為紙牌的基礎的板子完成了。當然,班諾下訂的寫字板也做好了。抱著豪華的寫字板,班諾用好心情去了蠟店,將蠟灌入用以完成。

「それで、マイン。これはどうやって使うんだ?」
「因此,瑪茵。這個要怎麼使用啊?」

 ギルベルタ商会に戻って、ベンノはうきうきとした様子で書字板を取り出した。自分の書字板を抱えたルッツも興味深そうに覗きこんでくる。
 回到了基魯貝路塔商會永,班諾興致勃勃的樣子拿出了寫字板。抱著自己的寫字板的路茲也很感興趣似地觀望過來。

「これは出先で覚書をするためのものなんです。この輪に引っ掛かっている鉄筆を使って、この蝋部分に字を書きます。片面は片手で持てる大きさにしてますし、紙と違って板は固いから書きやすいでしょ? インク壺を持つ人が側にいなくても書けるというのが書字板の魅力です」
「這是為了在外頭做筆記的東西。使用掛在這個環上的鐵筆,在這個蠟的部分寫字。一面是做成能用單手拿的大小,因為和紙不同的板子很堅固很容易寫吧? 名為就算拿著墨水瓶的人不在一旁也能書寫是寫字板的魅力」

 早速ベンノが手に持った状態で、中に字を書いてみる。鉄筆で細く彫る感じで、白い跡が残った。
 班諾立刻以拿在手上的狀態,試著在裡面寫字。以用鐵筆細細雕刻的感覺,留下了白色的痕跡。

「……なるほど。蝋に筆跡が残るんだな」
「……原來如此。在蠟上會留下筆跡呢」
「はい、閉じてしまえば、石板と違って中の文字が消えることもありません。ただ、覚書のための物だから、帰ってから紙や木札の保管できる物に書き写さなきゃダメなんですけど。書き写した後は、この平たい方で蝋を均せば、また使える……はずです」
「是的,關上的話,與石板不同裡面的文字也不會消失。只是,因為是為了做筆記的東西,回去之後必須要抄寫在紙或木牌能保管的東西上就是了。抄寫之後,用這個平的一方弄平蠟的話,應該……又能使用」

 わたしが使ったことがあるわけではない。本で読んだだけだ。昔の徴税人が馬に跨ったまま、メモをするのに書字板を使っていた、と。
 並非是我有使用過。只是在書上讀過。說是,以前的徵稅人依然跨在馬上,在當便條上使用著寫字板。

「中の蝋がボロボロになっても、蝋をこそげて入れかえれば使えます。……これって、商品になりそうですか?」
「就算裡面的蠟變得破破爛爛,刮掉蠟更換的話就能使用。……這個,能成為商品嗎?」
「……読み書きができる商人や貴族専用だ。客層を考えれば、木工の彫刻ができる工房を押さえて、こんな風に枠を装飾しなければ駄目だな。だが、インクが必要なく、すぐに書けると言うのは便利だ」
「……是能讀寫的商人或貴族專用。考慮客層的話,必須推給能木工雕刻的工坊,裝飾這種風格的框架呢。但是,所謂的不需要墨水,馬上就能寫是很方便」

 自分の名前と店の紋章を撫でながら、ベンノがそう評した。
 一邊撫摸著自己的名字和店徽,班諾一邊如此評論。

「売れそうですか?」
「能暢銷嗎?」
「商人には売れると思うが、貴族は微妙だ。側仕えがいて、常にペンとインクを持っているからな。……むしろ側仕えに必要かもしれんな」
「雖然商人的話認為能暢銷,但貴族很微妙。因為近侍在,經常拿著比和墨水呢。……不如說對近侍很需要也說不定」
「わたしもフランの様子を見て思いつきましたから。側仕えが使うなら、ごてごてした装飾はそれほど必要ないので、値段が押さえられますね」
「因為我也是看到弗蘭的樣子才想到的。如果是近侍使用,由於繁雜的裝飾沒那麼必要,能壓低價格呢」
「よし、権利を買っておこう」
「好,先買下權利吧」

 わたしはベンノに権利を売り払う。鉄筆を作る必要がある以上、今のマイン工房で書字板を作るのは不可能だし、今は目先のお金が欲しい。
 我將權利賣給班諾。必須要製做鐵筆之上,在現在的瑪茵工坊製做寫字板是不可能的,現在想要眼前的錢。

「ところで、マイン。そっちの板は何に使うんだ?」
「話說回來,瑪茵。那邊的板子要用在什麼上啊?」

 バッグの中にバラバラになって入っている板を指差して、ベンノが問いかけた。ここでは袋に入れてくれるようなサービスは無い。マイバッグで持って帰るのが基本だ。カルタが完成したら、片付けやすいように父に箱を作ってもらった方が良いかもしれない。
 用手指著在包包裡面放著變得亂成一團的板子,班諾問起。在這裡沒有放進袋子裡的服務。用我的包包帶回來是基本。紙牌完成的話,為了容易整理請父親製做箱子會比較好也說不定。

「これは『カルタ』です。まだ完成してないんですよ。これから書かなきゃいけないんです」
「這個是『紙牌』。還沒有完成唷。之後必須要寫」
「書く?」
「寫?」
「この半分は絵札で、基本文字とそれを頭文字にする物の絵を書きます。例えば……」
「這一半是花牌,寫上基本的文字和將那個當頭個字的東西的圖。譬如說……」

 わたしは自分の書字板を開いて、片方に絵札、片方に読み札を即席で作ってみた。「て」の頭文字と鉄筆の絵を描き、もう半分は読み札で「鉄筆。書字板に字を書く時に使うもの」と書いた。
 我打開自己的寫字板,試著即席製做一片花牌、一片讀牌。畫著「金」的頭個字和鐵筆的圖,另一半用讀牌寫著「鐵筆。在寫字板上寫字時使用的東西」。

 どやっとベンノに見せると、ベンノはものすごく戸惑ったような顔でわたしを見た。
 終於展示給班諾後,班諾用非常困惑般的臉看著我。

「……もしかして、全部、お前が書くのか?」
「……莫非,全部,妳來寫嗎?」
「そうですけど?」
「是那樣沒錯?」

 カルタを知らない人に任せられるわけがない。ギルへのプレゼントはわたしが仕上げるつもりだ。胸を張ってそう言うと、ルッツが頭を抱えた。
 無法交給不知道紙牌的人。給基魯的禮物打算由我做完。挺起胸膛那樣說後,路茲抱頭煩惱。

「マイン、別のヤツに任せろ。特に絵。それじゃあ、何を描いているのか、わからないじゃないか。もらったギルが困る」
「瑪茵,交給其他的傢伙吧。特別是圖。那個啊,是在畫什麼呢,不是不知道嗎。收到的基魯會為難的」
「お前、字は上手いが、絵は下手だな」
「妳,雖然字很拿手,但圖很笨拙呢」

 二人の容赦ない言葉に、わたしはグッと息を呑んだ。別にイラストは苦手なわけではない。少なくとも、麗乃時代に下手だと言われた事はない。
 對兩人毫不留情的話語,我咕地喘不上氣。插圖並沒有特別棘手。至少,在麗乃時代沒有被說笨拙。

「……へ、下手じゃないもん! ちょっとデフォルメされてるから、そう見えるかもしれないけど、前衛的なだけだし! そのうち世間がわたしに追いついてくるから大丈夫」
「……才、才不是笨拙的東西! 因為稍微被變形了,雖然看起來是那樣也說不定,但只是前衛的! 因為不久社會會追上我不要緊」
「何を言っているのかわからんが、事実は認めろ。絵は別のヤツに任せるんだ。いいな?」
「不明白在說什麼,但事實是承認吧。圖交給其他的傢伙。可以嗎?」

 ……へ、下手じゃないもん。
 ……才、才不是笨拙的東西。

 ベンノとルッツの意見が正しいかどうかわからなかったので、わたしは次の日、神殿の自室で側仕え達に意見を聞いてみた。
 由於班諾和路茲的意見不知道正不正確,我隔天,在神殿的自己房間試著對近侍們打聽意見。

「……そんな風にベンノ様に言われたのですけれど」
「……雖然像這樣被班諾大人說了」

 わたしが自分の書字板に書いた絵を見せながら説明すると、デリアは目を丸くした。
 我一邊展示寫在自己的寫字板上的圖一邊說明後,蝶莉亞目瞪口呆。

「ベンノ様の言うとおり、とても見られたものではないでしょう? マイン様は絵をご覧になったことがないの?」
「如同班諾大人所言,不就是非常見不得人的東西嗎? 瑪茵大人沒有看過畫嗎?」
「神官長の部屋に行く途中に色々あるから見たことがないわけないだろう? マイン様が苦手なだけだって」
「因為在去神官長的房間的途中有著各式各樣的並不是沒見過吧? 瑪茵大人只是棘手」

 デリアとギルの言葉にぐさりと胸を貫かれて、わたしがフランに視線を向けると、苦しそうにフランが眉を寄せて、少し視線を逸らした。
 被蝶莉亞和基魯的話語正中地貫穿胸口,我將視線轉向弗蘭後,痛苦似地弗蘭皺起眉頭,稍微別開了視線。

「……そうですね。実に個性的だと」
「……說得也是呢。確實很有個性」

 礼拝室や門、回廊に置かれた宗教関係の彫像や絵、青色神官の部屋に飾られている美術品ばかりを見て育っている神殿育ちの側仕えの言葉はとても辛辣だった。写実的で繊細な物でなければ、認められないらしい。
 看著盡是被放置在禮拜室及門、迴廊的宗教關係的雕像及畫,被裝飾在藍色神官的房間的美術品成長著的神殿長大的近侍的話語非常的辛辣。若不是寫實性的纖細東西的話,似乎無法被認同。

「マイン様、絵はヴィルマに任せればいかがでしょう? 彼女は以前にいた青色巫女から絵の手解きを受けていたはずです」
「瑪茵大人,圖交給薇兒瑪如何呢? 她在以前應該接受過來自藍色神官的畫的啟蒙」
「え? 絵の手解き? 側仕えはそんなこともできるの?」
「咦? 畫的啟蒙? 近侍也要能做那種事嗎?」
「……主の求めるものによって、側仕えが必要とされる能力は様々ですから」
「……因為根據主人尋求的東西,近侍被需要的能力是各種的」

 孤児達は洗礼を終えると、礼拝室や回廊の掃除、洗濯などの下働きをする灰色見習いとなる。その時の真面目さや機転により、側仕えが自分の後継としての側仕え見習いにするかどうか決めるらしい。
 孤兒們結束洗禮後,會成為要做禮拜室及迴廊的掃除、洗滌之類的雜役的實習灰色。根據那個時候的真面目或機智,似乎決定了要不要當作為自己繼任的實習近侍。
 側仕え見習いとなれば、住居が孤児院から貴族区域に移動する。貴族区域で下働きと大して変わらない仕事をしながら、側仕えとなるために必要な事を先輩に叩きこまれる。
 成為實習近侍的話,住所要從孤兒院移動到貴族區域。一邊在貴族區域做著與雜役沒太大變化的工作,一邊被前輩灌輸為了成為近侍必要的事。

「そのため、客人を迎えるための作法だけは側仕えになれば必ず教えられますが、仕える神官や巫女によって、仕事内容が全く違います」
「為此,成為只有為了迎接客人的禮節的近侍的話必定會被教導,但根據服侍的神官或巫女,工作內容完全不同」
「花を捧げることについて教えられる巫女見習いもいれば、計算に特化した神官見習いもいるということですわ」
「是所謂被教導了關於獻花的事的實習巫女也有的話,在計算上專攻的實習神官也有喔」

 ほぅほぅ、と説明を受けたわたしはギルに尋ねる。やはり、プレゼントをもらう立場のギルの意見が一番大事だ。
 哦哦、地接受說明的我詢問基魯。果然,收禮物立場的基魯的意見最重要。

「ギル、どうする? ヴィルマに頼む?」
「基魯,要怎麼做? 拜託薇兒瑪嗎?」
「え? オレ? なんで?」
「咦? 我? 為什麼?」

 不思議そうなギルにわたしはご褒美の理由を教える。
 我告訴不可思議般的基魯獎賞的理由。

「……孤児院の子供達に毎日こっそりご飯を持って行ってくれたでしょ? あの子達のために一番頑張ってくれたギルへのご褒美なの」
「……每天悄悄帶飯去給孤兒院的小孩子們對吧? 給為了那些孩子們最努力的基魯的獎賞」
「ご褒美か。うーん……」
「獎賞嗎。嗯……」

 そう言った後、ギルは悩み始めた。
 那樣說之後,基魯開始煩惱。
 しばらく経つと、何故か、どんどん顔が赤くなっていって、頭を抱えてしまった。「嫌だ。恥ずかしくて言えねぇ」とか呟いている。うー、とか、あー、とか、その場をぐるぐるしながら唸り始めた。
 過了一段時間後,不知為何,臉不斷變紅起來,抱頭煩惱著。嘟噥著「討厭。不能說好難為情」。唔-、之類,啊-、之類,一邊當場打轉著一邊開始碎碎唸。

 もしかして、ヴィルマに何か楽しい感情でも持っているのだろうか。頼みに行くのが恥ずかしいのだろうか、とわたしが生温かい目でギルの奇行を見守っていると、一大決心したようにギルが顔を上げた。
 莫非,對薇兒瑪也持有著什麼快樂的感情嗎。去拜託會很難為情嗎,我用那樣溫和的目光關注著基魯的奇特行為後,下了大決心的基魯抬起了頭。

「……オレ、絵はどっちでもいい。マイン様に時間がないなら、ヴィルマに頼んでも良いけどさ。……字だけはマイン様に書いてほしい。マイン様の字、綺麗だから、その……あの、ぅああぁぁぁ!」
「……我,畫是哪邊都可以。如果瑪茵大人沒有時間,拜託給薇兒瑪也可以就是了。……只有字希望瑪茵大人寫。因為瑪茵大人的字,很漂亮,那個……還有、哇啊!」

 恥ずかしさに耐えきれなかったようで、ギルが一階へと駆け下りていく。バン! と乱暴にドアが閉まった音が大きく響いた。おそらく自分の部屋へ籠って、恥ずかしさに打ち震えているのだろう。
 似乎無法忍耐難為情,基魯往一樓跑下去了。磅! 地粗暴地關門的聲音大大響起。恐怕閉關去自己的房間,難為情地打顫著吧。

「……マイン様、いかがいたしますか?」
「……瑪茵大人,要怎麼做呢?」
「誰かを褒め慣れてないギルが、照れながら必死に褒めようとしているところがとても可愛かったので、全力で読み札作りに取り掛かりたいと思いました」
「由於沒有稱讚某人習慣的基魯,打算一邊害羞一邊盼拚命地稱讚的地方非常可愛,思考著想要用全力著手製作讀牌」
「では、絵札はヴィルマに頼みますね」
「那個,花牌就拜託薇兒瑪了呢」

 笑いを堪えるような顔をしているフランの言葉で、絵札はヴィルマに任せることが決まった。
 以做出忍耐著笑般的臉的弗蘭的話語,決定花牌交給薇兒瑪。
 話が一段落したので仕事に動き出そうとしたフランを、わたしは急いで呼びとめる。
 將由於話題告一個段落打算開始動作工作的弗蘭,我急忙的呼喚住。

「フラン、待って。これをフランに」
「弗蘭,等下,這個給弗蘭」
「……私に?」
「……給我?」

 わたしはフラン用の書字板を取り出す。持ちやすい手の大きさに合わせてあるので、大きさは違うけれど、お揃いだ。
 我拿出弗蘭用的寫字板。由於是配合著容易拿的手的大小,雖然大小不同,但是整組的。

「フランは一番お仕事多いでしょう? 側仕えが一人しかいないのに、わたくしが孤児院の院長まで引き受けてしまったから、毎日調整に大変ですよね? とても頑張ってくれていること、本当に感謝しているのよ。ご褒美ですわ」
「弗蘭是最多工作的對吧? 因為明明近侍只有一個人,我連孤兒院的院長都承擔了,每天的調整都很辛苦呢? 非常努力著的事情,真的是很感謝唷。是獎賞喔」

 フランに書字板の使い方を説明して、門のところで困っているフランを見て思いついたのだと言うと、フランが茶色の目を細めて嬉しそうに笑った。
 對弗蘭說明寫字板的用法,說了是看到在門的地方困擾著的弗蘭想到的後,弗蘭瞇起茶色的眼睛高興似地笑了。

「思いついたからと即座に商品を作ってくださるとは……。マイン様に応えられるよう、私も体調管理を完璧にこなしたいと存じます」
「因為想到並立即去製做商品……。為了回應瑪茵大人,我也想完美地處理身體狀態管理」
「お願いしますね」
「拜託你了呢」

 フランがそっと書字板を手に取るのを、デリアが羨ましそうにじとーっとした目で見ているのに気が付いた。相変わらずわかりやすい。
 弗蘭輕輕地將寫字板拿在手上,注意到蝶莉亞羨慕似地用目不轉睛的目光看著。依舊很容易懂。

「デリアはこちらよ。デリアは孤児院に行かなかった分、ここでギルがいない間の一階の掃除やフランがいない時の来客対応などを頑張ってくれましたから」
「蝶莉亞是這邊唷。蝶莉亞沒有去孤兒院的部分,因為在這裡努力著基魯不在期間的一樓的打掃及弗蘭不在時的訪客對應等」
「これは?」
「這個是?」
「石板と石筆ですわ。これで字の練習をしてちょうだい。側仕えは主の手紙の代筆もできるようにならなければダメなのでしょう?」
「石板和石筆喔。請用這個做字的練習。近侍必須也要能做到主人的信件的代筆對吧?」

 わたしが石板にデリアの名前を書いて渡すと、デリアは食い入るようにその字を見つめる。ギルと違って、デリアは少しくらいの文字は知っているかもしれないと思ったが、もしかしたら、神殿長のところでは全く文字を教えてもらっていなかったのだろうか。
 我在石板上寫上蝶莉亞的名字交付後,蝶莉亞像是入迷般凝視著那個字。與基魯不同,想著蝶莉亞稍微想認識文字也說不定,或許,在神殿長的地方完全沒有教授文字嗎。

「これがデリアの名前。まずは自分の名前が書けるようにならなくては。ね?」
「這個是蝶莉亞的名字。首先必須要變得能寫自己的名字。好嗎?」

 しばらく時間が立って、ようやく落ち着いたらしいギルが部屋から出てきたので、石筆を渡す。すぐさまデリアとギルが先を争うようにして文字の勉強を始めたので、わたしはギル達のお手本になるように、細心の注意を払って、カルタの字を書き始めた。読み札の内容は、神殿育ちのヴィルマが絵を描きやすいように聖典や神様に関するものばかりだ。
 經過了一段時間,由於似乎總算冷靜下來的基魯從房間出來,交付石筆。由於蝶莉亞和基魯馬上開始像是爭先般學習文字,我為了成為基魯他們的範本,給予細心的注意,開始寫紙牌的字。讀牌的內容,盡是有關為了神殿長大的薇兒瑪容易畫圖的聖典或神明大人。

 わたしが字を書き、ヴィルマが絵を描いたカルタの完成品を見たベンノは、すぐさま権利を欲しがったけれど、カルタは子供達のためにマイン工房でも作りたいと思っている。
 看到我寫字,薇兒瑪畫圖的紙牌完成品的班諾,雖然馬上想要權利,但思考著紙牌是為了小孩子們想要在瑪茵工坊製做。
 基本はベンノの独占だが、マイン工房でも作ることを盛り込んだ上、アイデア料として利益の3割をもらうことで契約した。これで、カルタが売れる度に少しずつお金が入ってくることになる。
 雖然基本是班諾獨佔,但在瑪茵工坊也能加進製做上,作為想法費以收下利潤的3成訂契約。因此,變成紙牌每當賣掉的時候一點點的錢就會進來。

 懐具合がマシになったわたしは、知育玩具や娯楽用品が結構売れるかもしれない、と先の事を考えながら軽く安堵の息を吐いた。
 手頭變好的我,一邊考慮著益智玩具或娛樂用品會相當暢銷也說不定、那樣將來的事一邊輕輕吐露安心的氣。

======================================================================
 工房ではルッツの兄ジークとバッタリ。
 在工坊與路茲的哥哥吉克巧遇。
 そして、書字板とカルタが完成しました。
 然後,寫字板和紙牌完成了。

 次回は、星祭りの準備です。
 下回是,星光祭的準備。
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