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第二部神殿的實習巫女 班諾與神官長的會面

作者:SPT草包│2018-02-07 19:02:48│贊助:2│人氣:148
本好きの下剋上~司書になるためには手段を選んでいられません~
以下犯上的書癡~為了成為圖書管理員而不擇手段~
作者:香月美夜
第二部神殿の巫女見習い ベンノと神官長の顔合わせ
第二部神殿的實習巫女 班諾與神官長的會面
原文連結

 馬車が神殿の入口に止まって、御者が台から降りたのがわかった。入口に立っている門番に声をかけているのが何となく聞こえてくる。
 能明白馬車停在神殿的入口,車夫從臺座上下來。總覺得能聽見對站在入口的門衛喊了一聲。

 外に出るために椅子から立ち上がろうとした途端、ベンノに無言で押さえつけられた。きょとんとしてベンノを見上げると、口を開かずにゆっくりと首が横に振られる。
 為了出去外面才一打算從椅子上站起來,就被班諾無言地壓住了。仰望著班諾發呆時,沒開口卻緩緩地左右搖著頭。
 喋らずに座っていろということか、と判断して、少し深く座り直せば、小さな頷きが返ってきた。
 判斷出,是別說話坐著嗎,稍微深深重新坐好的話,小小點頭返還過來了。

 うぅ、ドキドキする。
 唔,七上八下的。

 何が起こっているのか、これから先何が起こるのか全くわからなくて、身体が震える。グッと拳を握りしめたまま、わたしが馬車の中を見回すと、マルクは馬車が止まった時間を利用して、何か書き物をしていた。
 是發生了什麼嗎,完全不明白這之後發生了什麼,身體顫抖著。依然使勁地握緊拳頭,我還試著馬車之中時,馬爾克利用馬車停止的時間,在寫著些什麼的文章。

 わたしの視線に気が付いたのか、顔を上げたマルクが安心させるように笑みを見せてくれた。ちょっと顔が引きつっているのを自覚しつつ、わたしがへらっと笑い返してみたら、マルクは口元を押さえて笑いを堪え始めた。
 是注意到我的視線了嗎,抬起頭的馬爾克展現出為了讓我安心般的笑容。一面自覺臉稍微抽筋,我一面試著返還散漫的笑容,馬爾克開始捂著嘴角忍著笑。
 沈黙を崩していいのかどうかがわからず、わたしが頬を膨らませて怒っていることを示すと、ベンノが横から頬をついてくる。何だか一人だけ緊張しているのがバカバカしくなってきた。
 不知道是不是可以打破沉默,我讓臉頰鼓起表示生氣後,班諾從旁邊戳著臉頰。總覺得只有一個人在緊張著變得太無聊了起來。

 少しして、馬車が小さく揺れたことで、御者がまた乗りこんだのがわかった。マルクは素早くインクとペンを片付け、書き物をしていた紙をベンノに渡す。目を通したベンノがニヤリと笑った。
 片刻,馬車小小搖晃著,能明白車夫又乘了進來。馬爾克快速整理著墨水與筆,將寫著文章的紙交給班諾。瀏覽著的班諾賊賊地笑了。
 何が書かれているのか、覗きこもうとした瞬間、馬車はまた動き出す。馬車が音を立て始めると同時にベンノが口を開いた。
 是被寫上了什麼嗎,打算窺探的瞬間,馬車再次動了起來。與馬車開始發出聲音同時班諾開口了。

「門で来訪者は名乗りを上げて、取り次ぎを頼み、馬車を止めるための門を開けてもらう。馬車を下りる順番はマルク、俺、お前だ。俺の手を取ってゆっくり下りろ。間違っても飛び降りたり、段を踏み外したりするな」
「來訪者在門口報上姓名,拜託轉達,請打開為了停下馬車的門。從馬車下來的順序是馬爾克、我、妳。牽著我的手慢慢下來。就算搞錯也別跳下來、或踩空」

 前にギルド長の馬車に乗せてもらった時に、ルッツと一緒に「とぉっ!」と掛け声付きで飛び降りたことを言っているらしい。緊張で段を踏み外しそうだと思っていたわたしはそっと視線を逸らす。
 似乎是在說之前在接受搭乘公會長的馬車的時候,跟路茲一起隨著發出「嘿!」地跳下來的事情。想著好像會因緊張而踩空的我悄悄地岔開視線。

「今、取り次ぎを頼んだから、あっちの門にはお前の側仕えもいるはずだ。神官長付きだったヤツを先頭にお前と俺、その後に、贈り物を持ったマルクと残りの側仕えが続く形で神官長のところに向かう」
「現在,因為拜託轉達,妳的近侍應該也在那邊的門。讓神官長配給的傢伙在前頭妳與我、在那之後,拿著禮物的馬爾克與剩下的近侍以延續的形式朝向神官長的所在。」

 わたしは「はい、寄付金です」と、神官長にお金を渡すだけのつもりだったが、ずいぶんと大仰な事をしなければならかったらしい。自分で持って行ったら、どのくらいの失礼をしたのか、全く想像もできない。
 我是打算「好的,這是捐款」,那樣只是將錢交給神官長,似乎不做出相當誇大的事情不行。自己帶去的話,是做得多麼失禮呢,完全無法想像。

「寄付金の箱は、お前の要望通りに俺が運ぶから、神官長室で一度中を確かめた後、俺に労いの言葉をかけろ」
「因為捐款的箱子,是透過妳的要求由我來搬運,在神官長室確認一次內容之後,對我說出慰勞的話語」
「え? どんな? ありがとう、とか、お世話になりました、とか、そんなのでいいんですか?」
「咦? 哪種? 謝謝、之類,多謝關照、之類,那種的就可以了嗎?」
「もうちょっと貴族らしい言葉の方がそれらしいが、まぁ、そういうのでいい」
「再稍微像是貴族的話語就像是那個,也好,那樣說就可以了」

 貴族らしい労い言葉って「大儀であった」とか? いくら何でも偉そうすぎるよ。
 像是貴族的慰勞話語是「有勞您了」之類? 無論如何都太偉大了唷。

 うーん、と、考えて、騎士物語や詩集を記憶から掘り出してみるが、あまりに芝居がかっている上に、相手に本と違う言葉を返されたら、一節を覚えているだけのわたしでは太刀打ちできない。
 嗯、地,考慮著,是著從記憶裡將騎士物語和詩集挖掘出來,在太過戲劇性上,被對方返還跟書本不一樣的話語的話,只記住一段的我是敵不過的。
 商人相手だし、ビジネスマナー系の本に良さそうなフレーズがないかと思ったけれど、貴族らしいからはちょっと外れる気がする。
 雖然想著是商人對象,有沒有商務禮儀系的書本上好像很好的詞句呢,但因為是貴族而感覺有點落空。
 結局、使えるお嬢様言葉を記憶から掘り出して並べてみた。
 結果,試著羅列從記憶裡把能使用的大小姐話語挖掘出來。

「うーん、わたくしの願いを快く聞き入れ、ご足労頂きましたこと、心より嬉しく存じます……とか?」
「嗯,欣然允諾我的願望,承蒙移駕,由衷地感到高興……之類?」
「どこで覚えるんだ、そんな言葉!?」
「是在哪裡記住的呀,那種用辭!?」

 ぎょっとしたようにベンノがわたしを見た。威勢が強すぎて、合格なのか、ダメだったのか、判断できない。
 班諾像是大吃一驚般看著我。威勢太強了,是合格了嗎,還是不行呢,無法判斷。

「ダメだった?」
「不行嗎?」
「……いや、十分だ。言葉遣いは馬車に戻ってくるまで、それでやってみろ」
「……不,夠了。措辭直到回到馬車為止,用那個說看看」

 うぇっ!? と出かけた声をゴクンと呑みこんで、引きつった笑みを浮かべてみるが、多分、優雅なお嬢様には程遠い。姿勢を正して、ゆっくりと深呼吸する。
 將發出喂!? 的聲音吞下去,試著露出痙攣的笑容,大概,離優離的大小姐相當遠。端正姿勢,慢慢深呼吸。

「かしこまりました」
「我明白了」

 馬車はすぐに大きな門をくぐって、神殿の敷地内に入って止まった。
 馬車馬上穿過大大的門,進入神殿的用地內後停止。
 御者によってドアが開けられ、マルクが一番に出ていく。次にベンノ。わたしは最後にドアの前に立った。
 門被由車伕打開了,馬爾克第一個出去。其次是班諾。我最後一個站在門的前面。

 開かれたドアから見えた光景は、わたしが全く知らない神殿の入り口だった。馬車が止まるこの入り口が本当の正面玄関だったらしい。
 從被打開的門看到的景象,是我完全不知道的神殿的入口。馬車停下的這個入口似乎才是真的正面的玄關。
 貴族や富豪専用のようで、正面玄関の手前に広がる前庭には、様々な素材を生かした彫刻や緑と花の溢れる花壇があり、玄関口は礼拝室の正面の壁のように色とりどりのタイルで装飾されている。
 似乎是貴族和富豪專用的,正面玄關的跟前拓展的前庭,有著活用各種素材的雕刻和滿溢綠色與花朵的花壇,玄關口像是禮拜室的正面的牆壁被裝飾著色彩斑斕的磁磚。

 わたしが今まで使っていた大通りから真っ直ぐの入り口は、徒歩の平民専用らしく、この入り口と比べるとまるで裏口だ。白黒の世界と色彩の世界にくっきりと分かれている。目に映る光景だけで、自分が知らない明確な格差があることを思い知らされた。
 我至今所使用的來自大街的筆直的入口,似乎是徒步的平民專用,跟這個入口相比簡直是後門。擺明被分成黑白的世界與彩色的世界。只是映入眼中的景象,就被迫體認到有著自己所不知道的明確差距。
 神の家と称される神殿の入り口から分けられ、それが知られることもない。予想外の格差を目の当たりにして、心臓がぎゅっと縮む。
 從被稱為神之家的神殿的入口分開,那個也沒有被知道。親眼看到出乎預料的差距,心臟緊緊一縮。

「マイン、手を……」
「瑪茵,把手……」

 ベンノに声をかけられて、わたしはハッとしながら、手を差し伸べる。落ちないようにと思って、足元を覗きこもうとした途端、グッと手を引っ張られて抱き上げられた。
 被班諾喊了一聲,我一邊回神,一邊伸出手。想著為了不會失足,才一打算窺探腳邊,就被使勁地拉著手被抱了起來。

「下を向くな」
「別朝下看」

 ニコリと笑いながら、低い声で素早く囁かれて、わたしは冷や汗を掻く思いでニッコリと笑って頷いた。
 一邊微微笑著,一邊被用低沉的聲音快速地低語著,我以冒出冷汗的思緒嫣然一笑點著頭。
 ベンノの注意事項を「自信がなくても俯くな」と言う意味だと解釈していたが、どうやら下を向く行為全般が禁止だったらしい。
 解釋著所謂班諾的注意事項「就算沒自信也別低頭」的意義,但看來似乎朝下看的行為全盤禁止了。

 ベンノが普段では考えられないくらい丁寧な動作でわたしを下ろすと、フランが足早にやってくるのが見えた。
 班諾以宛如平時不曾考慮過的仔細動作將我放下來,看到弗蘭快步走了過來。

「マイン様」
「瑪茵大人」
「ベンノ様、わたくしの側仕えです。フラン、神官長にお目通りできるかしら?」
「班諾大人,這是我的近侍。弗蘭,能拜見神官長嗎?」

 ほんの少しだけ首を傾げて、フランを見上げると驚いたように目を見張っていたフランがスッと両手を胸の前で交差させた。
 仰望僅僅些微感到不解的、弗蘭後,像是吃驚般張大眼睛的弗蘭迅速將雙手交叉在胸前。

「準備は整っております」
「準備就緒」
「マイン様、旦那様からの贈り物はどなたに任せればよろしいでしょうか?」
「瑪茵大人,來自老爺的禮物該委任給哪一位才好呢?」

 マルクの言葉に内心びくっとしながら、振り返る。ゆっくりと辺りを見回してみたけれど、ギルとデリアの姿はない。運び手がいなくて困るべきか、いなければ余計な事はされないので安堵するべきか、悩む。
 內心一邊因馬爾克的話語打個哆嗦,一邊回頭。雖然試著慢慢環視附近,但沒有基魯與蝶莉亞的身影。該為沒有運送者傷腦筋嗎,應該為不在的話就不會被做了多餘的事情而安心嗎,煩惱著。
 どうすれば正解なのか考えられないわたしはフランに丸投げすることにした。
 沒考慮該怎麼做才是正解呢的我全權委託給了弗蘭。

「フラン、貴方が信用できる方にお願いしてくださる?」
「弗蘭,能拜託值得信任的你嗎?」
「かしこまりました」
「謹遵吩咐」

 丸投げされたのに、フランは即座に頷いて、てきぱきと対応し始めた。不満そうな顔をすることもなければ、「しかし」と声を上げることもない。主の要求に応える優秀な側仕えの姿がそこにあった。
 明明被全權委託,弗蘭立即點頭,俐落地開始對應。也沒做出不滿似的表情,也沒發出「但是」的聲音。回應主人的要求的優秀近侍的身影就在那裡。

 あれ? と首を傾げる。
 奇怪? 那樣感到不解。
 なんでいきなり態度が変わったんだろう? 午前中と今でわたしが変えたのは言葉遣いだけなのに……。
 為何態度突然改變了呢? 中午之前與現在我改變了的明明只有遣詞用字……。

 そこでハッとした。
 在那裡突然醒悟。
 フランにとっては貴族らしい言葉遣いが大事なことだったに違いない。
 對弗蘭來說貴族似的遣詞用字肯定是重要的事情。

 神官長しか見ていないフランの態度にわたしは苛立っていたが、それと同様に、フランは貴族らしさが欠片もないわたしに憤っていたのだろう。
 我對只看過神官長的弗蘭的態度不耐煩,但跟那個同樣,弗蘭對一點都沒貴族樣的我憤怒著吧。
 フランが気持ちよく仕事をするためには、主であるわたしの努力が足りない。ルッツに言われた通り、本腰を入れて貴族としての言動を身に付けなければならないようだ。
 為了弗蘭心情舒暢的工作,身為主人的我的努力不足。被路茲說中了,似乎必須要鼓起幹勁掌握作為貴族的言行。

 フランは数人の灰色神官を呼ぶと、灰色神官が手分けして贈り物を持つように指示する。忘れ物なく贈り物を抱えたことを確認すると、「こちらへどうぞ」と先頭に立って歩き始めた。嫌々という雰囲気が漂っていた午前と違って、今は水を得た魚のように生き生きとしている。
 弗蘭呼喚數位的灰色神官後,灰色神官分頭拿著禮物般指示著。確認著沒有忘記東西抱著禮物後,說「請往這邊」後就站在前頭開始走了。跟飄著名為厭惡的氛圍的上午不一樣,現在如魚得水般生龍活虎著。

 ベンノに視線で促され、わたしがフランについて歩き始めると、打ち合わせでもしていたように、ベンノの言葉通りの順番で隊列ができあがった。
 被班諾用視線催促,我跟著弗蘭開始走路後,像是協議過般,以班諾說中的順序列隊完成了。
 けれど、スタスタと大人の歩幅で歩くフランについて行くのは結構大変だった。わたしが必死に足を動かしていると、わたしの半歩後ろを歩くベンノが見兼ねたように口を開いた。
 但是,跟著以大人匆忙的步伐走路的弗蘭走是相當辛苦的。我拚命地動著腳後,走在我半步後的班諾像是看不過去般開口了。

「君、少し速いようだが?」
「你,似乎稍微快了點?」
「はい?」
「甚麼?」

 フランが振り返って、目を瞬いた。
 弗蘭回過頭來,眨著眼睛。

「マイン様は君の主だろう? 側仕えになったばかりであることは重々承知だが、歩く速さに少し気を付けなければ、そろそろ倒れる。差出口かもしれないが、もう少し気を配ってやってくれないか?」
「瑪茵大人是你的主人對吧? 雖然深知身為才剛剛當上近侍,若不稍微注意走路速度的話,差不多要倒下了。是我多嘴也說不定,但不再稍微多注意一下嗎?」
「……申し訳ありません」
「……非常抱歉」

 客人であるベンノに苦言を吐かせ、フランに恥をかかせてしまった。本来、主であるわたしが言わなければならないことだった。一瞬、謝罪の言葉が口をついて出そうになったけれど、ここでわたしがフランに謝るのは貴族として失格だ。
 身為客人的班諾吐露忠言,讓弗蘭很丟臉。本來,是身為主人的我必須要說的事情。雖然一瞬間,謝罪的話語就快要脫口而出,但在這裡我向弗蘭道歉作為貴族是失格的。

「ベンノ様、お気遣い恐れ入ります。フランは神官長に信頼されている優秀な神官ですから、すぐに覚えるでしょう。御心配には及びませんわ」
「班諾大人,很抱歉讓您擔心了。因為弗蘭是被神官長信賴著的優秀神官,馬上就會記住的吧。沒必要擔心」
「では、今日のところは扱いに慣れているマルクに運ばせよう。いつかのようにいきなり意識を失われては困る」
「那麼,今天這裡就讓接待習慣的馬爾克來運送吧。像曾經那樣突然失去意識會很困擾」

 ここまで来て、廊下でぶっ倒れるようなヘマはするな、とベンノの顔に書いてある。
 都來到這裡了,別犯蠢在走廊趴倒下去,那樣寫在班諾的臉上。
 布の包みを持っていたマルクはそれをフランに持たせ、「失礼いたします」と一言断った後、わたしを抱き上げた。
 拿著布包裹的馬爾克將那個給弗蘭拿著,說了一句「我失禮了」之後,將我抱了起來。

 うひーっ!? お姫様抱っこ!?
 嗚唏!? 公主抱!?

 いつもと違う抱き方に叫びそうになった口を慌てて押さえた。優雅、優雅と自分に言い聞かせて、優雅らしい笑みを浮かべてみる。
 慌忙壓住對跟平時不同的抱法而變得快要喊叫的嘴巴。優雅、優雅地勸告自己,試著露出優雅似的笑容。

「フラン、案内をお願い」
「弗蘭,拜託帶路」
「かしこまりました」
「謹遵吩咐」

 神官長の部屋が見えてきた辺りでわたしは下ろされ、マルクはフランから包みを受け取ると、贈り物部隊の方へと戻って行く。
 在可以看到神官長的房間附近我被放下了,馬爾克從弗蘭那領取包裹後,往禮物部隊那邊回去了。
 すぐそこに見えている神官長の部屋の前までの距離なのに、フランは何度か振り返り、わたしの速度に気をかけながら足を進めてくれる。「大丈夫だよ」という意味を込めて、わたしが笑って頷くと、フランは明らかにホッとした表情になった。
 明明是直到馬上在那裡就能看到神官長的房間的前面的距離,弗蘭回過頭來好幾次,一邊留心我的速度一邊讓腳前進。注入名為「不要緊的唷」的意義,我笑著點頭後,弗蘭明顯變成放心的表情。

 神殿長の部屋と違って、神官長の部屋の前に立つ神官はいない。誰もいない扉の前でフランが帯の内から小さなベルを取り出して、鳴らした。いつもは声をかけて、応答があった後で灰色神官が開けている扉が、小さなベル一つで開いていく。
 跟神殿長的房間不一樣,不存在站在神官長的房間前面的神官。在誰都不在地門前面弗蘭從袋子裡面拿出了小鈴鐺,鳴響了。總是發出聲音,在有回答之後灰色神官打開門扇,用小鈴鐺一個繼續打開。

 開きかけた扉に向かって足を進めようとしたら、ベンノに肩を押さえられた。
 打算讓腳往打開的門扇前進的話,被班諾壓住了肩膀。
 そっと他の人を見回すと、全員が待機態勢だった。完全に扉が開くまで、動いてはいけないらしい。足を元の位置に戻して、何事もなかったかのように澄ました顔で、わたしも扉が開くのを待った。
 悄悄地環視其他人後,全員皆待命狀態。似乎直到門完全打開,都不能動。讓腳回歸原來的位置,用像是什麼事都沒有般的清澄表情,我也等待著門扇打開。

 扉の向こうには灰色神官が二人並び、神官長は執務机の前に、アルノーを従えて待っていた。
 在門的對面兩位灰色神官並排,神官長在辦公桌前,率領阿魯諾等待著。
 部屋の中に入り、応接用のテーブルの前でフランが立ち止まる。わたしがそれを見て止まると、ベンノとマルクも止まり、贈り物部隊は壁際に整列した。
 進入房間裡面,弗蘭在接待用的桌子前面停下腳步。我看到那個停下後,班諾與馬爾克也停下來,禮物部隊在牆邊排著隊。

 スッと一歩ベンノが前に出て、わたしが誓いの儀式をした時のように、左の膝を立てて跪き、軽く首を垂れる。
 班諾迅速往前一步,像是我做宣誓儀式的時候,立起左膝跪下,輕輕低下頭。

「火の神 ライデンシャフトの威光輝く良き日、神々のお導きによる出会いに、祝福を賜らんことを。……お初にお目にかかります、神官長。ギルベルタ商会のベンノ、マイン様のご紹介により、この場に参上いたしました。以後、お見知り置きを」
「火之神 萊典夏福特的威光閃耀的好日子,根據眾神的引導而相遇,賜予祝福。……初次見面,神官長。基魯貝路塔商會的班諾,來自瑪茵大人的介紹,在這個場合來拜訪了。以後,預先認識」

 ベンノの口から当たり前のように出てきた神の名前だが、わたしはまだ神の名前を覚えていない。季節ごとに違う神の名前を覚えておかないと、貴族相手には挨拶もできないらしい。
 雖然是從班諾的口中理所當然般出現的神的名字,但我還沒記住神的名字。沒先記住每個季節都不同的神的名字,似乎也無法做到向貴族對象打招呼。
 自分が実際に挨拶する側になる事を考えて、さぁっと血の気が引いていく。聖典を覚えることが仕事だと言った神官長の言葉が身に染みる。貴族のやり取りを覚えるのは、かなり大変そうだ。
 考慮到自己實際上打招呼那邊的事情,臉色瞬間慘白。說了記住聖典是工作的神官長的話語滲入體內。記住貴族的交流,是相當的辛苦。

「心よりの祝福を与えよう。火の神 ライデンシャフトの導きがギルベルタ商会にもたらされんことを」
「給予衷心的祝福吧。火之神 萊典夏福特的引導被帶給基魯貝路塔商會」

 そう言いながら、神官長は左手で自分の心臓の辺りを押さえ、右手を斜め前、ベンノの頭の少し上に指を揃えて伸ばした。ぽわりと神官長の手の平から青い光が出て、ベンノのミルクティーのような淡い色の髪が青く染まる。光はすぐに消えたけれど、ベンノに祝福が与えられたのが誰の目にも明らかだった。
 一邊那樣說,神官長一邊用左手按著自己心臟的附近,讓右手斜向前,在班諾的頭上面一點併攏手指伸出。啵地藍光從神官長的手掌出現,班諾奶茶似的淺色頭髮染上藍色。雖然光芒馬上就消失了,但祝福被給予了班諾在誰的眼中都很明顯。

 予想外の神聖で荘厳な光景に息を呑んだ。
 對出乎意料的神聖又莊嚴的景象喘不過氣。
 あの青い光は魔力だろうか。わたしが感情的になって魔力を押しだすと、威圧にしかならないけれど、使い方を覚えたら、あんな祝福ができるんだろうか。むしろ、巫女見習いとして、できるようにならないといけないんだろうか。
 那個藍色的光是魔力嗎。我變得情緒化擠出魔力後,雖然只有威壓,但記住用法的話,那種祝福也能做到嗎。不如說,作為實習巫女,不得不做到嗎。

 脳内のやることリストがどんどん増えていく。「本を読むより先にやれ」と言っていたルッツの言葉がチクチク刺さる。
 腦內的待辦事項不斷地逐漸增加。說著「比看書先做到」的路茲的話語扎人地刺著。

「マイン様。どうぞこちらに」
「瑪茵大人。請到這邊」

 フランの声にハッと我に返ると、神官長が応接用のテーブルにすでに着いていた。ここでの身分を考えると、わたしが動かないと他の人が動けないに違いない。
 猛然因弗蘭的聲音返回自我後,神官長已經就坐到接待用的桌子。考慮到在這裡的身分後,我沒動其他人肯定不會動。

 わたしはフランに導かれるまま、椅子の前に立つ。そこまではよかった。
 我依然被弗蘭引導著,站在椅子的前面。到那裡都很好。
 体格が4~5歳のわたしは、椅子に座る時、基本的によじ登らないと座れない。普段はそれで問題なかったけれど、さすがに今日はまずい。
 體格是4~5歲的我,坐在椅子上的時候,基本上不攀登是無法坐的。雖然平時那樣是沒問題,但畢竟今天很糟糕。

 思わぬピンチ! 椅子が高すぎて優雅に座れないっ! お嬢様はこんな時どうすればいい!? 困ったわ、のポーズはここでも通用する!?
 意想不到的危機! 椅子太高無法優雅地坐著! 大小姐這種時候該怎麼做才好!? 真傷腦筋,暫停在這裡也通用!?

 椅子を見つめて途方に暮れていたわたしは、通じるか通じないかわからなかったけれど、右手の指先を揃えて頬に当て、左手は腕を組んだ時のように右手の肘に添え、フランを見上げると、少し首を傾げた。
 凝視著椅子走投無路的我,雖然不知道能不能相通,併攏右手的指尖抵在臉頰上,左手像是交叉手臂的時候擺在右手的手肘,仰望弗蘭的話,稍微感到不解。
 そして、そのまま3秒待機。
 然後,就那樣待命3秒。

「……失礼いたします、マイン様」
「……我失禮了,瑪茵大人」

 フランがわたしの脇に手を入れて、椅子に座らせてくれた。
 弗蘭將手伸入我的腋下,讓我坐到椅子上。

 おおぉぉ! 通じた!?
 喔喔! 相通了!?

 ガタンと椅子の位置を調節してくれるフランにニッコリと笑うと、苦笑に近いような笑みが微かにフランの口元に浮かんだ。
 對嘎嗒地調節椅子的位置的弗蘭嫣然一笑後,接近苦笑般的笑容微微地浮現在弗蘭的嘴角。

 わたしが視線をフランからテーブルに戻した時には、ベンノはすでにわたしの隣に座っていて、神官長の後ろにアルノー、ベンノの後ろにマルクが控えて立っているのが目に入った。わたしの後ろにはフランが立っているに違いない。贈り物を持った神官は壁際に並んだままだ。
 在我將視線從弗蘭回到桌子上的時候,班諾已經坐在我的隔壁,阿魯諾在神官長的後面、馬爾克在班諾的後面待命站立著進入眼中。弗蘭肯定在我的後面站立著。拿著禮物的神官依然排列在牆邊。

「では、マイン様。お預かりしていた物はこちらでお間違えございませんか?」
「那麼,瑪茵大人。保管的東西在這邊有沒有搞錯呢?」

 ベンノがずっと両手で持っていた彫刻がなされた木の宝石箱のような箱を開けて、わたしに見せる。
 班諾打開了一直用雙手拿著被雕刻了的木頭寶石箱般的箱子,展示給我看。
 箱の中には、きちんと小金貨が5枚入っていた。初めて見る小金貨だ。キラキラの輝きをまじまじと見つめた後、言われていた通りに、わたしはベンノに労いの言葉をかける。
 在箱子裡面,好好地放著小金幣5枚。第一次看到小金幣。目不轉睛地凝視著閃爍不已的光輝之後,如同說好的,我對班諾致上慰勞的話語。

「ベンノ様、わたくしの願いを快く聞き入れ、ご足労頂きましたこと、心より嬉しく存じます」
「班諾大人,欣然允諾我的願望,承蒙移駕,由衷地感到高興」
「もったいないお言葉です」
「勞您貴言」

 ベンノが蓋を開けたまま、テーブルの上に置き、神官長に差し出す。
 班諾依然打開蓋子,放在多子上面,遞出給神官長

「神官長、こちらがマイン様からの寄付金でございます。どうぞお納めください」
「神官長,這邊是來自瑪茵大人的捐款。還請笑納」
「……ふむ、確かに受け取った。マイン、それから、ベンノ。大儀であった」
「……呼唔。確實領取了。瑪茵,還有,班諾。有勞了」

 神官長は箱の中を軽く確認した後、蓋を閉じてアルノーに渡す。アルノーがそれをどこかに持っていった。おそらく保管場所があるのだろう。
 神官長輕輕確認箱子裡面之後,蓋上蓋子交給阿魯諾。阿魯諾將那個拿去了某處。恐怕是有保管場所的吧。

「そして、こちらは御挨拶とお礼の品でございます」
「然後,這邊是問候與感謝的物品」

 ベンノの言葉に壁際の灰色神官が進み出て、テーブルの横に並んだ。マルクが1種類ずつテーブルの上に置いて行く。
 牆邊的灰色神官因班諾的話語走上前去,在桌子的側邊排列著。馬爾克將各一種在桌子上進行放置。
 置かれる品物を見ていた神官長が、くっと眉を寄せた。
 看到被放置的物品的神官長,用力地皺著眉頭。

「挨拶はわかるが、お礼とは? 君に礼を言われるようなことをした覚えはないが?」
「雖然能明白問候,但感謝是? 我不記得有做過要讓你道謝般的事情?」
「神官長の計らいにより、マイン工房の存続が決まったと伺っております故。心から感謝いたします」
「聽聞根據神官長的安排,瑪茵工坊的存續決定了的緣故。衷心感謝」

 ベンノが両手を胸の前で交差させ、軽く目を伏せると、神官長は「なるほど」と軽く頷いた。ベンノが並んだ品物を神官長に紹介していく。
 班諾將雙手在胸前交叉,輕輕低下目光,神官長「原來如此」地輕輕點頭。班諾將排列的物品進行介紹給神官長。

「こちらは当店が取り扱う中でも最高級の品質を誇る布でございます。そして、こちらはリンシャン。現在、権利は全て私が買い取っておりますが、元々マイン工房で作られていた品物です。そして、こちらもまたマイン工房で発明され、新しく販売された植物紙でございます」
「這邊是即便是本店處理裡面也是能誇耀最高級的品質的布。然後,這邊是凜香。現在,權利我完全買下了,但原本是由瑪茵工坊製作的物品。然後,這邊也是由瑪茵工坊發明,被新發售的植物紙」
「ほぉ……」
「哦……」

 神官長が一番興味を示したのは植物紙だった。手にとって手触りを確認している。
 神官長表示最大興趣的是植物紙。拿在手上確認著手感。

「こちらを神官長、それから、この場にはいらっしゃいませんが、神殿の最高位にいらっしゃる神殿長、そして、この出会いを授けてくださったマイン様のお三方にお納めしたく存じます」
「將這邊供納給神官長、還有,沒有蒞臨現場,但位於神殿最高位的神殿長,然後授予這份相遇的瑪茵大人這三方」

 え? わたし!?
 咦? 我!?

 思わず目を見開いたが、声を上げるのは耐えきった。驚きをぐぐっと耐えるわたしに気付くことなく、二人はやり取りしている。
 不假思索地睜大眼睛,但忍耐不發出聲音。沒注意到用力忍耐驚訝的我,兩人交流著。

「これは素晴らしい品だな。感謝する」
「這真是美妙的物品呢。感謝您」
「お気に召したようで、恐悦至極に存じます」
「您能喜歡,不勝感激」
「……君達、この品物をその棚に並べてくれ」
「……你們,將這些物品給排在那個架子上」

 神官長の言葉に灰色神官が動き出す。マルクはテーブルの上の物を神官に渡したり、紙を布で包み直したりと動き始めた。
 灰色神官因神官長的話語動了起來。馬爾克又是將桌子上的東西交給神官,又是用布將紙張重新包好開始動作。

 ハァ、終わった。
 哈,結束了。

 寄付金を渡して、贈り物を受け取ってもらえたので、本日の任務は無事終了だ。ホッと小さく息を吐いた瞬間、テーブルの下でベンノの手が素早く動いて、わたしを軽く叩いた。
 因交付捐款、接受禮物,今天的任務平安結束了。放心地小小吐一口氣的瞬間,班諾的手快速地在桌子下面動著,輕輕拍著我。
 ベンノを見て首を傾げると、ベンノは呆れた目をした作り笑顔という器用な真似をして、視線を下げていく。なるべく俯かないように気を付けて、わたしも視線を下げていくと、ベンノの指先に小さな紙が挟まれているのが見えた。
 看著班諾感到不解後,班諾巧妙模擬所謂做出吃驚眼神的做作笑容,逐漸降低視線。注意著為了盡量別低頭,我也逐漸降低視線後,看到小小的紙張被夾在班諾的指尖。

 授業中によくこういうことをしている子がいたなぁ、と懐かしくなりながら、そっと手を伸ばして紙片を受け取る。女の子とは交換したことがあるけれど、男の子とはなかった。
 好像在上課中經常這麼做的孩子,一邊變得懷念,一邊悄悄地伸手接下紙條。雖然有跟女孩子交換過,但跟男孩子沒有。
 男の子と言うにはベンノは年を食いすぎてるけど、異性相手のお手紙交換なんて初めてだ。ベンノが相手でもちょっとドキドキしながら、紙を開く。
 雖然說是男孩子但班諾太年長了,但異性對象的書信交換什麼的是第一次。班諾即便是對象也一邊感到心動,一邊打開紙張。
 テーブルの下に隠すようにして目を通すと「気を抜くな、阿呆」と書かれていた。
 就像隱藏在桌子底下瀏覽的話被寫上「別鬆懈啊,笨蛋」

 わたしのドキドキを返せ!
 把我的心動還來!

 わたしが優雅を忘れそうになったのを見計らったように、神官長がこちらを向いた。慌てて笑顔を取り繕ったのがバレたのか、神官長の顔つきが変わっていく。
 像是看準我會忘了優雅似地,神官長轉向了這邊。驚慌彌補的笑容暴露了嗎,神官長的相貌逐漸改變。
 わたしが小さく息呑んで姿勢を正すと、神官長がスッと手を横に振った。それを見た灰色神官が両手を交差させて、軽く腰を落として神官長に礼をすると、次々と部屋を出ていく。
 我小小吞了一口氣端正姿勢後,神官長迅速地左右揮了揮手。看到那個的灰色神官將雙手交叉,輕輕低下腰像神官長敬禮後,一個個離開房間去了。

「この機会にベンノから聞いておきたいことが、数点ある」
「趁這個機會想先跟班諾打聽的事情,有數件」

 神官長の顔が引き締まり、嘘や誤魔化しを許さない鋭い目でベンノを見つめる。それと同時に隣のベンノの雰囲気も明らかに先程より堅くなった。
 神官長的臉繃緊了,用不容許謊言和欺瞞的銳利目光凝視著班諾。與那同時隔壁的班諾的氛圍也明顯變得比剛才還嚴肅。

 どうやら、これから先が本題らしい。
 看來,似乎接下來才是正題。
 わたしもグッと背筋を伸ばし、「気を抜くな、阿呆」と書かれたベンノの注意事項を握りしめた。
 我也使勁地挺直背部,緊緊握著被寫上「別鬆懈啊,笨蛋」的班諾的注意事項。

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 寄付金と贈り物は終わりました。
 捐款與禮物結束了。
 フランとの仲はちょっと改善できるかもしれません。
 與弗蘭的關係能稍微改善也說不定。

 次回は、本題です。
 下回是,正題。
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