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第一部士兵的女兒 閒話 我與老爺

作者:SPT草包│2018-01-15 07:18:48│贊助:2│人氣:155
本好きの下剋上~司書になるためには手段を選んでいられません~
以下犯上的書癡~為了成為圖書管理員而不擇手段~
作者:香月美夜
第一部兵士の娘 閑話 私と旦那様
第一部士兵的女兒 閒話 我與老爺
原文連結

 ギルベルタ商会で旦那様の補佐をしておりますマルクと申します。確か37歳になったばかりですね。この年になると自分の年齢などはっきりとは覚えていないものなのです。
 我是在基魯貝路塔商會做著老爺的輔助的馬爾克。確實是剛到了37歲了呢。自己的年齡到了這個年紀之類就是無法好好記住的東西了。

 私はギルベルタ商会に先代の頃から仕えておりまして、見習い期間から考えますと、30年もお世話になっています。私がこの店にダルアとして見習いに入った年に旦那様がお生まれになったのですから、月日がたつのは本当に早いものです。
 我從前代的時候開始就在基魯貝路塔商會侍奉了,從實習期間開始考慮,承蒙關照了30年。因為我在這家店作為達魯亞的實習進入的那年老爺誕生了,歲月經過真的是很快的東西。

 商人や職人の見習いには二種類ありまして、ダルアとダプラと区別されています。簡単に説明しますと、ダルアは店長との雇用契約で、ダプラは将来的に店や業務を任せるための徒弟契約という違いがあります。契約金や契約内容に大きな違いがあるのですが、ここで詳しい説明は必要ないでしょう。
 商人或工匠的實習有兩種,以達魯亞與達普拉來區別開來。簡單地說明,有著所謂達魯亞是跟店長的雇用契約,達普拉是在將來為了託付店舖或業務的徒弟契約的差異。契約金或契約內容有著很大的差異,不過沒必要在這裡詳加說明對吧。

 ギルベルタ商会では、基本的に他のお店の子弟をダルアとして預かっています。商人の子供は一定期間、余所の店で修業するのです。この期間は店と子供の親との協議で決められます。3年から4年が多いでしょうか。
 基魯貝路塔商店,基本上是讓其他店舖的子弟作為達魯亞來管理。商人的小孩一定期間,會在別處的店舖修業。這個期間被決定了店舖與小孩的雙親的協議。從3年到4年是大多數的吧。
 視野を広げるため、使われる立場を知るため、甘やかされがちな立場から引き離すため、次代の店長となる者たちとの交友を持つため、色々と理由はありますが、彼らは店と店を繋ぐ架け橋であるのです。
 為了拓展視野,為了知曉被使喚的立場,為了從容易被嬌生慣養的立場拉開,為了與成為下一代的店長的人們交上朋友,雖然有著各式各樣的理由,但他們是身為將店舖與店舖聯繫而架起的橋樑。

 私も元々は雇用期間を終えたら、実家の店へと戻るダルアとして契約しておりました。しかし、父が亡くなり、後を継いだ長兄とは商売に対する姿勢があまりにも違いすぎたため、何度かダルアとして契約更新した後、15歳の成人式を期にダプラとして契約し直したのです。
 我原本也是做了作為結束雇用期間的話,就要回到老家的店舖的達魯亞的契約。可是,父親死了,因為與繼承後續的長兄對於買賣的態度太過不同了,好幾次更新了作為達魯亞的契約後,在15歲成人式的期間重新做了作為達普拉的契約。
 ダプラの見習い期間は8年。本来ならば、他店でダルアとして修業した後、およそ10歳から12歳くらいの間にダプラとして契約することになります。20歳になった頃には旦那様の代わりに店を任されるようになるのです。
 達普拉的時間期間是8年。如果是本來的話,在別家店作為達魯亞修業之後,大概會從10歲到12歲左右的期間變成作為達普拉來契約。到了20歲的時候像是成了老爺的代替被託付了店舖。

 私は契約するのが遅かったため、成人してから8年間が更に修業期間として足されることになりました。
 因為我定契約晚了,變成從成年之後的8年裡更加被補足了修業期間。
 修業期間とは言っても、すでにダルアとして8年も仕事をしており、ギルベルタ商会での仕事を理解しておりました。先代の旦那様の計らいにより、一般的なダプラと違い、見習いとしての給料ではなく、成人雇用者に与えられるのとほぼ同じ金額のお給料をいただいていたので、8年の修業も特に辛いと感じることはありませんでした。ダルアの頃より待遇が良くなったことを喜び、仕事に励む毎日だったのです。
 就算說是修業期間,已經作為達魯亞的8年也做著工作,已理解了在基魯貝路塔商會的工作。根據前代老爺的安排,與一般的達普拉不一樣,不是作為實習的薪水,由於收到了跟被給予成年雇用者大體相同的金額的薪水,8年的修業也沒有感到特別辛苦。高興於比起達魯亞的時候的待遇變好了,只是致力於工作的每一天。

 しかし、困ったことに、私がダプラとしての修業期間を終える寸前に、先代がお亡くなりになりました。旦那様は成人したばかりで、まだ店長としては頼りないことこの上ない状態でした。先代と契約していたダルアは、旦那様との契約更新を拒んで店を去る者も少なくありません。
 可是,令人困擾,我在結束做為達普拉的修業期間之前,前代就死去了。老爺才剛成年,作為店長還不可靠的最糟狀態。跟前代做了契約的達魯亞,拒絕跟老爺的契約更新而離開店舖的人有不少。
 私はまだ修業期間が終わっておりませんでしたので、引き続きギルベルタ商会で働くため、実家に援助を申し入れてみました。ところが、店を継いでいた長兄は援助どころか先代の死を嘲笑い、ギルベルタ商店との縁を切ると宣言したのです。
 我由於還沒結束修業期間,為了接著在基魯貝路塔商會工作,試著跟老家提出援助要求。然而,繼承了店舖的長兄豈止援助了還嘲笑著前代的死,宣言了斷絕跟基魯貝路塔商店的關係。

 あの時の怒りをどう表現すればいいでしょうか。実家との決別を決心させ、何が何でもギルベルタ商会と旦那様を守り抜き、見返してやろうと心に誓ったあの瞬間を、私は今でも鮮やかに思い出すことができます。
 該怎麼表現那個時候的憤怒才好呢。讓我決心與老家的訣別,不管怎麼說都要堅守基魯貝路塔商會跟老爺,回顧過往在心裡發誓的那個瞬間,我即便是現在也能鮮明地回想起來。

 旦那様にはダプラとしての修業期間が終わった時に、実家に戻るかどうか尋ねられましたが、実家と決別している私に行く場所などありませんし、私をどこより必要としているのがギルベルタ商会でした。
 被老爺在作為達普拉的修業期間結束的時候,詢問了要不要回老家,但跟老家訣別的我沒有能去的地方之類的,比哪兒都更需要我的是基魯貝路塔商會。
 店に残ることを伝えた後、私は旦那様と共に無我夢中で働いて、店を立て直しました。すぐに勢いを取り返し、更に店を大きくしてきました。私が裏で手を回して、店を立て直すために実家を踏み台にしたことも、今となっては時効の話でしょう。
 傳達了會留在店裡後,我跟老爺一起拚命地工作,重整了店舖。馬上取回了氣勢,更擴大了店舖。我在暗地裡採取措施,為了重整店舖將老家作為墊腳石,如今已是過時的話題了吧。

 先代の末娘であるコリンナ様はご結婚されましたが、長兄である旦那様はリーゼ様を亡くされた後、結婚そのものに対する興味を失ってしまったようです。私も気付いた時には婚期を逃しておりました。なかなか思うようにはいかないものですね。
 雖然讓身為前代的小女兒的柯琳娜大人結婚了,但身為長兄的老爺失去了莉潔大人後,似乎失去了對結婚本身的興趣。我也是在注意到的時候錯過了婚期。相當隨興是不太妙的東西呢。
 仕事が充実しておりますし、店の後継ぎはコリンナ様のお子様と旦那様が決めていらっしゃいますので、今のところ店の存亡にかかわるような大きな問題はない毎日だと言えるでしょう。
 工作做得很充實,由於店舖的繼承人老爺決定了是柯琳娜大人的孩子,現在的時間點能說是沒有像是關於店舖存亡般的大問題的每一天吧。

 さて、本日は大店の店主ばかりが集まる会議のため、旦那様が不在です。そうすると、重要な判断を要する案件が次々と私の元へとやってきます。
 接著,因為今天是盡是大店舖的店主集合的會議,老爺不在。那樣的話,需要重要判斷的議案不斷地向著我身上過來。

「マルクさん、リンシャンの納品が遅れそうだと連絡が入りました」
「馬爾克先生,發來了凜香的交貨似乎延遲的聯絡」
「今回はレーブの入荷が遅かったので、仕方ありませんね。完成した分を先に納品してもらって、残りはなるべく急ぐよう親方に伝えてもらうように」
「這回因為擂卜的交貨慢了,沒有辦法。請先交貨完成的部分,請傳達給師父剩下的會盡可能加快那樣」
「あの、マルクさん。ブロン男爵令嬢からコリンナ様への依頼が届きました」
「那個,馬爾克先生。來自布隆男爵千金給柯琳娜大人的委託到達了」
「あの方が夏に依頼されるのは珍しいですね。お急ぎでしょう。すぐにコリンナ様に届けてください」
「那一位在夏季委託很稀奇呢。很緊急吧。請馬上轉交給柯琳娜大人」

 普段より少々忙しい時間を過ごしておりますと、旦那様がマインを抱えてお戻りになられました。
 度過了比平時還稍微忙碌的時間後,老爺抱著瑪茵回來了。

「マルク、話がある。来い!」
「馬爾克,有話要說。過來!」

 旦那様はずんずんと奥へと向かっていきます。目を輝かせ、やる気に溢れた旦那さまと困り果てたような顔のマインとぜいぜいと息を切らせながら二人を追いかけてきたルッツを見て、またもや無理難題が降りかかってくる予感がいたしました。
 老爺迅速地往深處過去。看到目光閃耀、滿溢幹勁的老爺與一籌莫展似的臉的瑪茵與一邊氣喘吁吁喘不過氣一邊追趕兩人的路茲,有著又降臨了不合理的要求的預感。
 リンシャンを作るための工房準備に原料の仕入れ、職人の確保に販路の開拓と奔走したり、植物紙を作るマインとルッツのために道具の材料を求めて街中を歩き回ったり、羊皮紙協会との軋轢の緩和に尽力したり、植物紙の工房の開設を丸投げされたり……。思い返せば、およそ一年の間にかなり無茶を押しつけられた気がいたします。今度は一体何でしょうか。
 在為了製作凜香的工坊準備上採購原料、確保工匠並開拓銷路與奔走著,為了製作植物紙的瑪茵與路茲尋求工具的材料全城裡來回走動,在與羊皮紙協會的不合的緩和上盡力著,被全權委託了植物紙工坊的開設……。重新考慮的話,大該在一年之間有著被強加了相當亂來的感覺。這一次到底是什麼呢。

「マルク、菓子職人の育成をするぞ! 準備しろ!」
「馬爾克,培育點心匠人了喔! 準備吧!」

 菓子職人の育成? 今までの業務と全く関係のなさそうな言葉が飛び出してきました。とても嫌な予感がいたします。この唐突さはマインが関わっていると考えておいて間違いなさそうです。
 培育點心匠人? 飛出了與至今的業務完全沒有關係似的話語。有著非常討厭的預感。這份唐突事先考慮瑪茵是有關係的準沒錯。
 旦那様の様子を伺えば、やる気に満ちたギラギラした目で、色々な木札を取り出しては、何やら確認しておられます。旦那様がお元気そうで何よりですが、周りへの影響が大変なことになりそうです。
 窺伺老爺的樣子後,以充滿幹勁閃閃發光的眼神,拿出了各式各樣的木牌,總覺得被確認了。老爺似乎很有精神比什麼都好,但對周圍的影響就會變成嚴重的事情了。

「菓子職人とおっしゃいますが、一体何を作らせるおつもりですか?」
「雖說是點心匠人,但到底是打算要做什麼呢?」
「マインに聞け」
「去問瑪茵」

 あぁ、やはりマインですか。どうやら、また難題が持ち上がってきたようです。
 啊,果然是瑪茵嗎。看樣子,好像又出現難題了。

 元々ギルベルタ商会は旦那様の曾祖母であるギルベルタ様の服飾工房から始まった店で、妻が工房で服を作り、夫が売るという形で基本的に発展してまいりました。店長は常に夫の名前で登録されていますが、実質店を担っているのは女系というのが実情です。
 本來基魯貝路塔商會是從身為老爺的曾祖母的姬露貝露塔大人的服飾工坊開始的店舖,以所謂妻子在工坊製作衣服、丈夫販賣的形式為基本發展過來的。店長經常以丈夫的名字被登記,但實際擔負著店舖的該說是女系才是實情。

 街の富裕層を相手に商売してきたギルベルタ商会ですが、旦那様の母君のデザインが下級貴族の目に留まったところから、少しずつ貴族社会にも切りこんでいくことができるようになりました。貴族階級と商いをするようになったのは、ここ10年ほどのこと。つい最近のことなのでございます。
 以城市的富裕層為對象做起生意的基魯貝路塔商會,但因為老爺的母親的設計駐留在下級貴族的眼裡,變得好像能一點點地切進了貴族社會裡。變得能跟貴族階級做買賣是,這10年左右的事情。這才不過是最近的事情。
 コリンナ様のセンスも貴族社会では一定の評価を得ているようで、ギルベルタ商会は安泰と申せましょう。
 柯琳娜大人的眼光似乎也在貴族社會上獲得了一定的評價,基魯貝路塔商會能說是安泰吧。

 つまり、ギルベルタ商会が取り扱っているのは、服飾品はもとより、装飾品、美容関係に関するものなのです。
 總之,基魯貝路塔商會經辦的是,服飾品不用說,裝飾品、有關美容關係的東西。

 マインが持ち込んだリンシャンは美容関係の品物としては、かなり良い商品となりましたし、これから先コリンナ様の工房で作ることになっている髪飾りもすでに装飾品として街では一定の人気を得ております。
 瑪茵帶進來的凜香是作為美容關係的物品,變成了相當好的商品,今後成為在柯琳娜大人的工坊製作的髮飾也已經作為裝飾品在城市裡獲得了一定的人氣。
 糸の品質やデザインを考慮すれば、貴族の奥方や令嬢にも受け入れられるだろうとコリンナ様は良い権利を手に入れたと心から喜んでいます。
 考慮到絲線的品質或設計的話,貴族的太太或千金也能接受吧對柯琳娜大人得到了很好的權利打心底感到喜悅。

 しかし、一方でマインが持ち込んだ製紙業は、ギルベルタ商会にとって少し横道に逸れた業務ですし、菓子職人を育成するというのも、今までの業務とはかなり毛色の違う仕事となります。
 可是,一方面瑪茵帶進來的造紙業,是對基魯貝路塔商會來說稍微岔開偏離了的業務,所謂培育點心匠人,也是跟至今的業務相當與眾不同的工作。
 旦那様は一体何を考えておられるのでしょうか。
 老爺到底考慮著些什麼呢。

「だーかーらっ! 砂糖がなかったら無理だって何度も言ってるのに!」
「所-以-說! 沒有砂糖是不可能的明明說了好幾次!」
「砂糖がなくてもパンは焼ける。オーブンを使う練習が先なんだろう?」
「就算沒有砂糖也能烤麵包。先練習使用烤箱吧?」
「でも、街の中にパン工房はすでにいくつもあって、パン職人の協会があるんだから、また既得権益とぶつかるじゃないですか! ただの練習で! しかも、ベンノさんはパン工房に職人の引き抜きをかけるつもりなんでしょ!?」
「但是,在城市裡面麵包工坊已經有幾個了,正因為有麵包匠人的協會,不是又會跟既得利益碰撞了嘛! 只是練習! 而且,班諾先生是打算在麵包工坊選拔匠人對吧!?」
「既得権益が怖くて、新しい事業ができるか!」
「既得利益很恐怖,新事業能成嗎!」

 椅子に座った旦那様と、椅子の上で膝立ちをして視線の高さを合わせたマインのやり取りは、旦那様とリーゼ様のやり取りを彷彿とさせます。喧嘩するほど仲が良いと言いますか、気軽に言い合いができるくらい信頼感が育っていると言いますか。
 坐在椅子上的老爺與,在椅子上半跪著對上了視線高度的瑪茵的爭辯,彷彿是老爺與莉潔大人的爭辯。該說是越吵鬧關係越好嗎,還是說宛如能輕鬆地爭吵的信賴感成長了嗎。

 商売のことについてマインと喧々諤々と言い合っている時が旦那様は一番生き生きしているような気さえいたします。口の達者なマインをやりこめるのはリーゼ様に口喧嘩で勝った時のような爽快感があるのでしょう。リーゼ様には負けっぱなしでしたから。
 關於生意的事情跟瑪茵喧喧囂囂地爭吵著的時候老爺像是生氣勃勃般平易近人。駁倒口齒伶俐的瑪茵有著在跟莉潔大人拌嘴而勝利時般的爽快感吧。因為莉潔大人老是吵輸。

「ルッツ、あの二人は後回しにして、先に前後の状況を説明いただいてもよろしいでしょうか? 何故、旦那様はいきなり菓子職人を育成するなどと言いだしたのでしょう?」
「路茲,那兩個人等下再說,可以跟我說明剛才的前後狀況嗎? 能說出為何、老爺突然要培育點心匠人之類的吧?」
「あ、はい」
「啊,好」

 二人の言い争いを遠巻きに見ていたルッツがハッとしたように姿勢を正して、説明を始めてくれました。マインに振り回され慣れているルッツは意識の切り替えも早いのです。素直で何事に関しても良く吸収するし、真面目で忍耐強く、得難い人材だと言えるでしょう。元々頭も良いようで、順序良く本日の出来事を話してくれます。
 遠遠圍住看著兩個人的口角的路茲突然地端正了姿勢,開始說明了。被瑪茵隨意指使習慣了的路茲切換意識也很快。順從也關於什麼事情都能很好的吸收,認真且忍耐很強,能說是難得的人才吧。似乎原本頭腦也很好,按著順序說著今天的事情。

 ルッツの説明によると、商業ギルドでの会議の後、カトルカールの試食会があり、そこでギルド長の料理人と一戦交える展開となったようです。菓子職人がいないなら育てればいいだろうと旦那様が啖呵を切ったという話でした。
 根據路茲的說明,商業公會的會議之後,有磅蛋糕的試吃會,在那裡似乎變成了與公會長的廚師打了一仗的展開。是所謂老爺痛罵了如果沒有點心匠人培育就好了吧的話題。
 あの負けず嫌いの旦那様に我慢しろというのが無理な話でございますね。
 說要讓那個討厭輸的老爺忍耐是不可能的話。

「マインが言うには、お菓子を作るためにはオーブンを自在に使える職人が必要らしいです。あとは、レシピの研究やおいしくするために努力を厭わない研究熱心な人。旦那様はすでにオーブンの使い方をマスターしているパン工房から引き抜くことを考えているようだけど、パン以外の物を作るんだから、新しいものを作っていきたい熱意がある人じゃないとうまくいかないかもしれないって……」
「瑪茵說了,為了製做點心似乎必須要能自如地使用烤箱的匠人。還有,食譜的研究或為了美味而不厭倦努力熱心研究的人。雖然老爺已經在考慮從學會烤箱使用方法的麵包工坊裡拉攏,但因為要做麵包以外的東西,說是若不是有想要製做新東西的熱情的人不會順利也說不定……」

 ルッツから事情を聞いたことでようやく旦那様とマインの言い争いの中心が見えてきました。
 從路茲那聽到情況總算能看見老爺與瑪茵的口角的中心。

「そのお菓子とやらは貴族に売れると旦那様が判断されたのですね?」
「那個點心看來被老爺判斷能對貴族暢銷呢?」
「はい。でも……」
「是的。但是……」
「ルッツ、でも、は厳禁です。旦那様がやる気になった以上、やるしかないでしょう」
「路茲,但是,是嚴禁的。既然老爺變得有幹勁了,就只能做了對吧」

 これは私が旦那様贔屓なだけかもしれませんが、旦那様は天性の商売勘を持っていらっしゃいます。これは売れる、と決めて、やる気になった旦那様が全力で取り組んだものが当たらなかったことがないのです。
 這只是我在關照老爺也說不定,但老爺擁有天生的買賣直覺。決定了、這個能暢銷,變得有幹勁的老爺以全力從事的東西沒有沒猜中的。
 パンパンと手を叩き、旦那様とマインの注意をこちらに向けました。
 啪啪地拍著手,讓老爺與瑪茵的注意轉向這邊。

「旦那様、菓子職人を育成するとおっしゃいますが、それは一体どのくらいの期間で育つものなのですか? 採算は採れるのでしょうか?」
「老爺,雖說要培育點心匠人,但那個到底是要用多久的期間來培養的東西呢? 核算過了嗎?」
「……採れる。ある程度オーブンを使える奴をパン工房から引き抜いて、教師役にするつもりだから、それほど時間はかからないだろう」
「……合算。因為打算從麵包工坊拉攏能使用某程度烤箱的傢伙、作為教職員,不會花那麼多時間吧」

 私の質問に旦那様は静かに頷きます。その目は自信に満ちていて、失敗することなど欠片も考えていない顔でした。
 老爺對我的問題靜靜地點著頭。那個眼神充滿著自信,是會失敗等等碎片都沒考慮過的臉。

「砂糖がなければ、お菓子が作れないとマインが言っていましたが、砂糖について目途は立っているのですか?」
「瑪茵說過沒有砂糖的話、就不能做點心,關於砂糖設立目標了嗎?」
「少し疎遠になっている親戚連中全てに声をかければ、多少の無理で手に入る。確かエーミール叔父は中央の方に少し伝手があっただろう? あとはオットーの昔馴染みの旅商人に声をかけてもらっている。職人にはしばらくの間パンを焼かせて、オーブンに慣れさせればいい」
「向稍微變得疏遠的親戚一夥全部打聲招呼的話,多少能勉強得到。的確艾弭路叔父有在中央那邊稍微牽線吧? 之後是向歐拓以前玩伴的旅行商人打聲招呼。匠人就暫時烤麵包,讓他習慣烤箱就好」
「ふむ。全く目途が立っていないわけでもないのですね」
「呼唔。並非是完全沒有設立目標呢」

 基本的に勝算もなく勝負を仕掛けることがないので、旦那様はマインから最初にお菓子の話を聞いた時から砂糖を手に入れる経路については検討されていたようです。
 由於基本上不會著手沒有勝算的輸贏,老爺似乎從聽到來自瑪茵最初的點心的話題時就在研究著關於得到砂糖的路徑。
 工房の買い取りやオーブンの手配は手続きが複雑で面倒ですが、それほど大変なことではありません。やはり、一番の問題は既得権益との軋轢や交渉でしょう。おそらく、またギルド長が文句を言ってくるに違いありません。
 工坊的買進或烤箱的安排是手續複雜又麻煩的,但不是那麼嚴重的事情。果然,最大的問題是跟既得利益的不合或談判吧。恐怕,公會長肯定又會抱怨了。
 植物紙の流通について、羊皮紙協会との間で起こった揉め事を思い返して軽く目を細めました。本業ではない製紙業や菓子職人の育成について揉めるのは、業務上とても困ることです。
 回想起關於植物紙的流通、與羊皮紙協會之間發生的糾紛輕輕地瞇起眼睛。關於不是本業的造紙業或培育點心匠人的紛爭,業務上是非常困惱的事情。

「マイン、以前に羊皮紙協会と紙の用途で利益を分けたように、既存のパン職人との軋轢を少なくする案はありませんか?」
「瑪茵,像是以前跟羊皮紙協會以紙張的用來來區分利益一樣,有沒有減少跟既存的麵包匠人的不合的方案?」
「へ!? わたしが考えるんですか!?」
「哎!? 我來考慮嗎!?」

 正面突破というか、基本的に譲ろうとしない旦那様よりは、争い事が苦手で避けて通ろうとするマインの方が妥協案を考えるのは向いています。何より、私にとっても菓子職人の育成は専門外のことで、妥協点を見出すだけの知識がないのです。
 所謂正面突破嗎,基本上傾向比起不會讓步的老爺,讓不擅長爭議事件並避開通過的瑪茵那邊來考慮妥協方案。再說了,對我來說培育點心匠人也是專業外的事情,沒有看出妥協點的知識。

「この中で菓子職人について一番詳しいのはマインでしょう? 落とし所を探るのは旦那様よりマインの方が上手いですから、ぜひ、どちらにとっても利益になるような意見がないかお伺いさせてください」
「在這之中關於點心匠人最詳細的是瑪茵吧? 因為尋找協調讓步比起老爺還是瑪茵比較擅長,請務必,讓我詢問有沒有對哪邊都能成為利益般的意見」

 洗礼式を終えたばかりの幼子に無茶な要求をしていることはわかっていますが、旦那様と同じように、私もマインを普通の子供だとは考えておりません。
 雖然知道對剛結束洗禮式的幼兒做了亂來的要求,但就像跟老爺一樣,我也沒考慮過瑪茵是普通的小孩。

「ぅえ!? えーと、落とし所? 両方に利益って言われても、うーん……」
「咦!? 呃,協調讓步? 就算說對雙方有利益,唔嗯……」
「そうですね……。今までのパンとは違うパンであるとか、パン以外でオーブンを使うものであるとか……」
「說得也是呢……。該說是跟至今為止的麵包不一樣的麵包,還是說在麵包以外要使用到烤箱呢……」

 考え込むマインに、紙の時の落とし所をパンに置き変えて提案してみました。私にはさっぱり思い浮かぶものがありませんが、妙なものを次々と持ちこむマインならば、思い当たることがあるのではないかと思ったのです。
 對深思的瑪茵,試著提案將紙張時的協調讓步置換成麵包。我沒能爽快地想起來的東西,但我認為若是一次次地將奇怪的東西帶進來的瑪茵的話,並非沒有能想到的東西。
 私の予想は正しかったようで、マインはさらりと紺色の髪を揺らしながら私を振り返ると、金色の瞳を輝かせて、左手を真っ直ぐ上に上げました。
 我的預想似乎是正確的,瑪茵一邊搖晃滑順的深藍色頭髮一邊回頭看我後,金色的瞳孔閃耀了,將左手筆直地往上抬起。

「ありますっ! わたし、『イタリアン』が食べたいです!」
「我了! 我、想吃『義式料理』!」
「……イタリアン?」
「……義式料理?」

 聞き慣れない言葉が出てきました。旦那様もルッツも首を傾げていますが、マインは全く構わず、口を動かします。
 沒聽過的話語出現了。不論老爺或路茲都感到疑惑,但瑪茵完全不介意,動起了嘴巴。

「砂糖がなくてもオーブンを使う料理なら練習になりますよね?『ピッツァ』『グラタン』『ラザニア』辺りなら大丈夫です。……あ、それから、それから、肉のオーブン焼きや『キッシュ』『パイ』もできそうですね。うわぁ、楽しみ」
「如果是就算沒有砂糖也能使用烤箱的料理能成為練習吧?如果是『披薩』『奶油焗菜』『千層麵』一類就不要緊了。……啊,還有、還有,烤箱烤肉或『法式鹹派』『烤派』似乎也能做呢。唔哇,好期待」

 うきうきと弾んだ声でマインが次々と名前を上げていくのはいいのですが、肉のオーブン焼きが入っている以上、お菓子の名前が並んでいるとは思えません。
 瑪茵以興致勃勃地高漲的聲音一個個地給出名字是很好,但既然加入了烤箱烤肉,就不認為是在列舉點心的名字。
 目をキラキラさせて、今にもよだれを垂らしそうなうっとりとした表情のマインを見ていたルッツは、私の隣で小さく呻いて頭を抱えてしまいました。
 眼神閃閃發光,現在也流著口水似地看著做著出神表情的瑪茵的路茲,在我隔壁小小地呻吟抱著頭。

「ダメだ。マインが暴走し始めた」
「不行了。瑪茵開始失控了」
「ルッツ?」
「路茲?」
「自分が欲しいものを頭に思い描いているんです。目標を決めたら、まっしぐらだから……旦那様、勝てるかなぁ?」
「正在腦袋裡想像出自己想要的東西。因為決定目標的話,就會勇往直前……老爺,能贏嗎?」

 ルッツの呻くような声から、普段からマインの暴走に振り回されている様子が容易に思い浮かべられます。
 因為路茲呻吟般的聲音,能容易地回想起從平時就被瑪茵的失控給隨意指使的樣子。
 マインと旦那様はどうやら似た者同士のようです。目標を決めたらまっしぐら。おそらく周りの苦労なんて目に入っていないでしょう。
 瑪茵與老爺看來似乎是相似者同伴。決定目標的話就會勇往直前。恐怕周圍的辛勞什麼的都不會進入眼裡吧。

「ベンノさん、もうお菓子なんてやめて、『レストラン』……えっと、ちょっと高級な食事処にしちゃえばいいと思います」
「班諾先生,點心什麼的該停止了,『西餐廳』……呃,我認為做稍微高級的餐廳就可以了」
「こら、待て! 勝手にやめるな!」
「喂,等下! 別隨意停止啊!」
「砂糖があれば、『デザート』にお菓子も作れます。大丈夫。『イタリアン』にしましょう」
「有砂糖的話,『飯後甜點』上也能做點心。不要緊。來做『義式料理』吧」
「何が大丈夫だ!?」
「什麼不要緊呀!?」

 ルッツの心配通り、旦那様の方が劣勢のようです。
 如同路茲的擔心,老爺那邊似乎居於劣勢。
 マインに振り回されるルッツの状況が、旦那様に振り回される自分の境遇と似ている気がして、私はそっと心の涙を拭いました。
 注意到被瑪茵隨意指使的路茲的狀況,跟被老爺隨意指使的自己的境遇很相似,我偷偷地擦掉內因的眼淚。

「ルッツ、強い心を育てなさい。ただ振り回されるのではなく、暴走する先を予測して、振り回される先へ事前に回っておくことができれば、心労が激減します」
「路茲,請培養強大的心。並非只是被隨意指使,要預測失控前兆,能事前預先轉到被隨意指使前方的話,操勞就會銳減」
「マルクさん?」
「馬爾克先生?」
「振り回され方にも多少のコツがあるのです」
「被隨意指使也有多少的要領」

 私を尊敬するように緑の目を輝かせたルッツの純粋さを見て、私は心に誓いました。この二人のどんな無茶振りにも耐えられるよう、ルッツには私がしっかりと教育しましょう。
 看著像是尊敬著我閃耀著綠色眼睛的路茲的純粹,我在心裡發誓。為了能承受這兩個人如何亂來的指使,路茲就由我來好好地教育吧。

 私達がひっそりとお互いの苦労を感じ合っている間も、マインの口は止まりません。旦那様を相手に次々に工房ではなく食事処にする利点を並べていきます。
 我們悄悄地互相感受彼此的辛勞期間,瑪茵的嘴巴也沒停止。以老爺為對象一個個地列舉著並非是工坊而是做成餐廳的優點。

「だって、お菓子だけじゃなく、料理もできた方が潰しは効きますよ? お客さんに提供すれば練習が無駄になることもなく、職人にやる気も出るじゃないですか。お菓子が作れるようになれば、貴族に出す前にお店でお客さんに試食してもらったり、意見をもらったりして改良もできますよ」
「因為,並非只有點心,料理也能做到的那方更有用唷? 能提供給客人的話練習也不會白費,匠人不也會拿出幹勁嗎。變得成做點心的話,在拿給貴族之前在店裡接受客人試吃,得到意見也能夠改良唷」

 本当に子供とは思えない説得力と言い回しに感心していると、ルッツが困ったように眉を下げて私を見上げてきました。
 對真的不認為是小孩子的說服力與修辭佩服著時,路茲好像很困擾地垂下了眉毛仰望著我。

「オレ、なんか……マインの熱のこもった言葉を聞いていると、何となくマインの言うとおりなのかもしれないと思ってしまうんです」
「我、總覺得……聽到充斥瑪茵熱情的話語後,不由得認為就像瑪茵說的一樣也說不定」
「客を買う気にさせるというのは、商売人にとって得難い才能ですね」
「所謂讓客人感到要買,對生意人來說是難得的才能呢」

 ふむ、と私が頷くと、ルッツは肩を竦めて小さく笑いました。
 嗯、地我點頭後,路茲聳了聳肩小小地笑了。

「……マインの場合、自分が欲しいもの以外のためには全く働かない才能だけど」
「……瑪茵的情況,就只是為了自己想要的東西以外完全不工作的才能」
「どのように伝えれば相手がその気になるのか、よく観察しなさい。周り全てがお手本ですよ」
「該怎麼傳達對方才會有那個心思呢,請好好觀察。周圍全部都是範本喔」

 相手をその気にさせる説得力は大変魅力のある才能ですが、実際に店を運営することになるので、マインの熱意に引きずられて決めるわけにはいきません。
 讓對方那麼在意的說服力是非常有魅力的才能,但由於實際上變得要營運店舖,並非是被瑪茵的熱情拖累的決定。

「それより、ルッツ。マインは大丈夫ですか? 興奮しすぎではないかと思うのですが」
「比起那個,路茲。瑪茵不要緊嗎? 不覺得太過興奮了嗎」
「わぁ! マイン! ちょっと落ち着け!」
「哇! 瑪茵! 稍微冷靜點!」

 ルッツの声に口を止めたマインは、そのままへにょりとテーブルに顔を伏せてしまいました。やはり、興奮しすぎたようです。
 因路茲的聲音而住口的瑪茵,就那樣攤在桌子上讓臉趴下。果然,太過興奮了。
 それでも、まだ言い足りないのか、マインはテーブルに伏せたまま、もごもごと口を動かし続けます。
 儘管如此,是還沒說夠嗎,瑪茵仍然趴在桌子上,持續動著閉著的嘴巴。

「ただのお金持ちと貴族の食事には雲泥の差があるんですよ。おいしい料理があれば、ちょっとくらい高くても食べに来る人はいますって、絶対」
「在只是個有錢人跟貴族的用餐上就有著天差地別唷。有美味的料理的話,就算稍微昂貴也會有人來吃,絕對」
「雲泥の差、だと? お前、どこで貴族の食事なんか……ギルド長か」
「天差地別、嗎? 妳,在哪裡知道貴族的用餐之類的……公會長嗎」
「ほーら、ベンノさんも興味持ったでしょ? ホントに違うんです。でも、勝ち目はありますよ。わたし、料理に関してはイルゼさんにまだ何も情報を渡してませんから」
「你看,班諾先生也有興趣了對吧? 真的不一樣。但是,有獲勝的希望唷。因為我、有關料理還什麼情報都沒交給依露潔女士」

 うふふん、と笑うマインの言葉に、旦那様の心が大きく傾いたのがわかりましたが、この場で、勢いのまま決定してしまうわけにはいきません。一度冷静になって、マインの提案をよく吟味してみなければならないでしょう。物事には利点があれば、必ず欠点もあるのですから。
 因唔呵呵、地笑著的瑪茵的話語,雖然能明白老爺的心大大地傾斜了,但在這個當下,不應該依氣勢而去做決定。一度冷靜下來,不試著好好玩味瑪茵的提案可不行吧。因為事物上有優點的話,必定也會有缺點。

「マインの言うとおり、本当にお菓子職人を育成する必要があるか、じっくりと考えてみた方が良さそうですね。素敵な提案をありがとうございます、マイン。本当に助かりました。今日は帰って、体調を整えた方がいいのではありませんか? 旦那様に振り回されて、疲れたでしょう?」
「就如瑪茵所說,真的有必要培育點心匠人嗎,試著踏實地考慮的那方似乎比較好呢。感謝您美好的提案,瑪茵。真是幫大忙了。今天就回去了,調整一下身體狀況比較好不是嗎? 被老爺隨意指使,累了吧?」
「うぅ、マルクさんの優しさが心に染みます」
「嗯,馬爾可先生的溫柔滲入了心中」

 テーブルに突っ伏したままのマインを送るように、とルッツに指示を出し、私は二人を店から出しました。
 為了送走依然伏趴在桌子上的瑪茵,並對路茲發出指示,我讓兩個人從店裡出來。
 子供達を見送った後、奥の部屋に戻ると、旦那様が執務机に先程のマインと同じような体勢で伏しています。
 送別了小孩子們後,回到了深處的房間,老爺在辦公桌上以像是跟剛才的瑪茵一樣的體態趴著。

「旦那様?」
「老爺?」
「ったく、マインには本当に驚かされるな」
「真是,真的被瑪茵嚇到了」
「そうですね。まさかパン協会との摩擦を避けるための妥協案があのように方向を変えるとは予想外でした」
「就是說呀。沒想到為了避免跟麵包協會的摩擦的妥協方案會像那樣改變方向讓人出乎預料」

 ぐしゃりと髪を掻きながら、旦那様がゆっくりと身体を起こしました。赤褐色の瞳を鋭く光らせて、私を見据えます。
 一邊胡亂搔著頭髮,老爺一邊緩緩地挺起了身體。讓紅褐色的眼眸放出銳利光芒,直視著我。

「……マルク、どう思う?」
「……馬爾克,你怎麼想?」
「菓子職人の育成よりは食事処の方が実現は簡単です。食事処ならば、パン協会との軋轢が生まれるはずもありません。むしろ、考えなければならないのは飲食店協会の方ですが、正当に手順を踏めば、店を出す事自体は難しくないでしょう」
「比起培育點心匠人餐廳那邊要實現比較簡單。如果是餐廳的話,應該就不會產生跟麵包協會的不合。不如說,不得不考慮的是餐飲店協會那邊,但正當地按照順序的話,開店這是本身並不難吧」
「だよな」
「也是呢」

 マインが提案したのは、高級志向の食事処です。大店が安い市場を荒らしに行くわけではないので、飲食店協会からも目立った反対はないと思われます。
 瑪茵提案的是,高級志向的餐廳。由於並非是大店舖去破壞便宜的市場,我認為也不會有來自餐飲協會的明顯反對。

「食事処は悪くはない。料理女を雇っている富裕層は多いけれど、料理女は基本的に平民だ。使える金額が多くなっても、食事の量が多くなるだけで作る料理自体には、それほどの違いはない。貴族の食事は腕の良い料理人が貴族の家でしか作らないレシピを使うから、そもそも味が違うし、品数が違う。多少値段が高くても素材と味に気を配れば、客はつくだろう」
「餐廳並不壞。雖然富裕階層雇用女廚師比較多,女廚師基本上是平民。就算使用的金額變多,對只是用餐的量變多而製做料理本身,並沒那麼不同。因為貴族的餐點是手腕高明的廚師使用只能在貴族的家裡製做的食譜,本來味道就不一樣,數量不一樣。就算價格多少昂貴也顧慮到素材與味道的話,客人會來吧」

 私自身は貴族の料理を口にしたことがないので、よくわかりませんが、旦那様は片手で数えられる程度ですが、貴族の食事に招かれたことがあります。その旦那様が言うのですから、貴族と富豪層の食事には大きな違いがあるのでしょう。
 由於我本身沒吃過貴族的料理,並不是很明白,但老爺是用一隻手就能數的程度,有被招待過貴族的餐點。因為那個老爺說了,貴族與富豪階層的用餐有著很大的不同吧。

「だが、貴族のレシピをマインが知っているのは何故だ? アレがギルド長の家にいたのはほんの数日だ。何種類もの料理のレシピを何故知っている? オーブンを使う料理が何故あんなに出てくるんだ?」
「但是,瑪茵知道貴族的食譜是為何? 那個待在公會長的家只有幾天。為何會知道幾種料理的食譜? 使用烤箱的食譜為何就那樣出現了?」
「マインですから」
「因為是瑪茵」

 旦那様の口から出てくる疑問に私は溜息で答えました。旦那様は不満そうですが、それ以外に答えなどありません。
 對從老爺的口中發出的疑問我用嘆息回答了。老爺似乎很不滿,但沒有那以外的回答了。

「マルク、お前な……」
「馬爾克,你呀……」
「余計な事を考えるのは時間の無駄です。マインが何者だろうが、商人として利用できるなら問題ないとリンシャンの時に言ったのは旦那様でしょう? 今更考えたところで何も状況は変わりません。むしろ、マインが余所へ貴重な情報を漏らさないようにする方策を考える方がよほど建設的ですよ」
「考慮多餘的事情是浪費時間。瑪茵是什麼人,如果作為商人能利用舊沒問題了在凜香時說過的是老爺吧? 在現在更該考慮的點上什麼狀況都沒改變。不如說,思考為了不讓瑪茵將貴重的情報洩漏到別處的對策是相當有建設性的喔」

 私がやれやれとこれ見よがしに肩を竦めて見せると、旦那様はバツが悪そうに視線を逸らした後、わざとらしく話を逸らそうとポンと手を打ちました。
 我呀勒呀勒地展示了容易看見的聳肩,老爺迅速地別開很不好的視線後,故意似地岔開話題碰地敲了一下手。

「あぁ、それなんだが……ルッツを俺の養子にしようと思うんだが、マルク、お前はどう思う?」
「啊,那該怎麼說呢……我想讓路茲當我的養子,但馬爾克,你怎麼想?」
「考え無しに思いつきを口にするところがマインに影響を受けているのではないかと思います」
「我認為沒考慮到就將想到的說出口的時候不就是受瑪茵影響了嗎」
「あぁん!? 失敬な! あんな考え無しと一緒にするな!」
「啊!? 真失禮啊! 別把我跟那個沒考慮的放一起!」

 旦那様は凄んで怒鳴りましたが、ルッツを養子にするなどという提案が考え無しでなければ一体何だというのでしょうか。
 老爺凶狠地怒吼著,但名為讓路茲當養子之類的提案若不是沒考慮的話到底該說是什麼呢。
 店を預かる旦那様が養子をとって養育すれば、周囲の目は跡取りとみなすでしょう。コリンナ様のお子様が生まれる前にそのような諍いの種をまかれては困ります。
 管理店舖的老爺收作養子養育的話,周圍的目光會看做後嗣吧。在柯琳娜大人的孩子誕生之前被捲入那樣的是非之種會很困擾。

「では、コリンナ様との無用な軋轢を生みそうな提案に至った理由について、旦那様の熟考した意見をお聞かせ願えますか?」
「那麼,關於到了似乎會跟柯琳娜大人產生無用的不合的提案的理由,能讓我聽聽老爺熟慮的意見嗎?」

 旦那様は軽く溜息を吐いて、「いちいち嫌味ったらしい」と文句を言いながらも、ルッツを養子にしたいと考えた理由を語り始めました。
 老爺輕輕地嘆了一口氣,儘管抱怨著「一個個都在挖苦人」,也開始說著考慮想讓路茲當養子的理由。

「まず、マインとの繋がりを保つためにルッツの確保は絶対に必要だ。それはわかるだろう?」
「首先,為了確保跟瑪茵的聯繫確保路茲是絕對必要的。那個能明白吧?」
「そうですね」
「說得也是呢」

 マイン工房で作った物はルッツを通して売るという契約魔術が交わされている以上、ルッツの確保が必要な事は私にもわかります。
 既然被交換了名為在瑪茵工坊製作的東西要透過路茲來販賣的契約魔術,確保路茲是必要的事情我也知道。
 そして、今、ルッツの立場はダルアであるため、雇用期間が終われば、本人の意思でどこにでも行くことができます。それを旦那様は阻止したいと考えているのでしょう。
 而且,現在,路茲的立場由於身為達魯亞,雇用期間結束的話,依本人的意思哪裡都能去。老爺是想阻止那個才考慮的吧。

「ダプラにすることも考えたが、どうせ店を任せることを考えるなら養子にして、強く意見できる俺の立場を作っておいた方が良いんじゃないかと思ってな」
「作為達普拉也考慮過,但反正如果考慮到要託付店舖那就當養子吧,別認為不是先創造能有強烈意見的我的立場比較好嗎」
「ダプラで十分かと思いますが? どうせなら、コリンナ様のお子様が女の子だった時には結婚相手にしてしまえばいいのではないでしょうか?」
「是想說達普拉就夠了嗎? 真要說的話,不是在柯琳娜大人的孩子是女孩子的時候作為結婚對象就好了嗎?」

 養子として育てるよりは、ダプラとして修業させ、婿入りさせる方が周りの反感も少ないでしょう。
 比起作為養子來培養,讓他做為達普拉來修業、讓他入贅周圍的反感會比較少吧。
 しかし、旦那様は肩を竦めてパタパタと手を振りました。
 可是,老爺聳了聳肩來回地揮著手。

「ルッツはダメだ。マインしか見えていない。それに、ルッツの夢は元々旅商人で、この街から出る機会を伺っているんだ。だからこそ、この店に縛り付けておくのは難しいんじゃないかと俺は思っている」
「路茲不行。只會看著瑪茵。而且,路茲的夢想原本是旅行商人,在窺伺著從這座城市離開的機會。正因為如此,我認為事先束縛在這家店裡不是很難嗎」
「……旅商人ですか? それはまた……」
「……旅行商人嗎? 那又是……」

 街で生まれ育った者にしてはずいぶんと珍しい夢に私が驚いていると、旦那様が軽く肩を竦めて唇の端を上げました。
 我吃驚於作為在城市裡誕生成長的人應該是相當稀奇的夢想時,老爺輕輕地聳了聳肩揚起了嘴角。

「抑圧された生活環境が一番の理由だと思っているが、マインという鎖がなくなれば、ルッツがここにいる意味もなくなる。マインは近い将来、間違いなくどこかの貴族に取り込まれる。この街の貴族か、余所の貴族に丸めこまれるか、はたまた、中央から出張ってくる貴族がいるか……。今の段階ではわからないが、マインがこの街を出る可能性は高い」
「我認為被壓抑的生活環境是最大的理由,但若沒有名為瑪茵的枷鎖的話,路茲就沒有在這裡的意義了。瑪茵在不久的將來,毫無疑問會被哪裡的貴族收走吧。是這座城市的貴族嗎,還是被別處的貴族攏絡嗎,又或是,有著從中央出差來的貴族呢……。在現在的階段並不明白,但瑪茵離開這座城市的可能性很高」

 今は旦那様の庇護下にある見習いで、知識も何もありません。しかし、成人し、色々な知識を身に付ければ、ルッツは自分の価値に気付くでしょう。その時にマインがこの街から離れて、契約魔術に意味がなくなっていれば、余所の街の店に行くことも考えるでしょう。
 現在是有著老爺庇護下的實習,知識什麼的都沒有。可是,成年後,掌握了各式各樣的知識的話,路茲會注意到自己的價值吧。在那個時候瑪茵從這座城市離開了,契約魔術會變得沒意義的話,也會考慮要去別處的城市的店舖吧。

「マインがこの街から動いた時に、ルッツを連れて動ける状態にしておきたいと思っている」
「我想著想要先造成在瑪茵經由這座城市行動時,連帶路茲也會行動的狀態」
「何故、旦那様がそこまで?」
「為何,老爺要做到那裡?」

 私が少しばかり目を細めると、旦那様は少し困ったようにクッと笑いました。
 我稍微瞇起了眼睛後,老爺像是稍微困擾似地咕地笑了出來。

「ギルベルタ商会の後継ぎはコリンナで、俺は中継ぎだ。マインは本を作りたいと言っているが、本作りはウチの店とは方向が違う。すぐにではないが、店をコリンナとオットーに任せて、俺は独立して別の店を立ちあげても良いんじゃねぇかと思ったんだ」
「基魯貝路塔商會的繼承人是柯琳娜,我是暫代。瑪茵說過想製做書本,但寫書跟我家的商店是不同方向。有想過並不是馬上,但將店舖託付給柯琳娜與歐拓,我是獨立的就算成立了另外的店舖不也很好嗎」

 ギルベルタ商会は女系の店なので、コリンナ様とオットー様が店を守っていくのが本来の形なので、旦那様の言葉に間違いはありません。
 由於基魯貝路塔商會是女系店鋪,柯琳娜大人與歐拓大人去守護店鋪才是很來的形式,老爺的話語沒有錯。
 それでも、独立をほのめかすのとルッツに対する行動が私の中で上手く繋がらず、私が旦那様を見ていると、旦那様は軽く溜息を吐いた後、「マルクに隠し事はできなんな」と呟き、懐かしそうな笑みを浮かべました。
 儘管如此,暗示獨立並對路茲的行動是在我份內無法好好聯繫的,我看著老爺,老爺輕輕地嘆了一口氣後,嘟噥著「無法對馬爾克隱瞞事情呢」,浮現出了令人懷念四的笑容。

「最近、マインやルッツを見ていると、昔の自分を思い出すんだ。親父が生きていて、何不自由なく暮らしていた頃の……リーゼと一緒にいた自分を、だ」
「最近,看著瑪茵或路茲,就會回想起以前的自己。父親還活著,如何不自由地生活著的時候的……跟莉潔在一起的、自己」

 ルッツとマインが二人で転げまわっている姿は、旦那様とリーゼ様が笑っていらした頃を彷彿とさせるので、私にも少し旦那様の気持ちはわかります。軽く目を伏せれば、店の裏で大人の真似事をしたり、こそこそと悪戯を企んだりしているのを横目で見ていた昔の情景が蘇ります。
 由於路茲與瑪茵兩個人團團轉的身姿,彷彿是老爺與莉潔大人歡笑的時刻,我也稍微明白老爺的心情。輕輕低下目光的話,側目看著在店舖的背面仿效起了大人、偷偷摸摸地企圖惡作劇的往昔情境復甦了。

「あの二人を見ていて思い出した。親父が死んでから店と家族を守ることに精一杯ですっかり忘れていた俺の夢のことまで……」
「看著那兩個人回想起來了。就連打從父親死了之後竭盡全力保護店舖與家人而完全忘記的我的夢想……」
「世界中に影響力を持つような商人になりたいというものでしたね」
「是名為想成為在全世界裡擁有影響力般的商人的事情呢」

 私が指摘すると、旦那様はぎょっとしたように目を見開いて、面白いほどに狼狽して私を指差しました。
 我指出後,老爺像是大吃一驚地睜大了雙眼,有趣般地狼狽不堪的指著我。

「な、なんでお前が覚えているんだ!?」
「為、為什麼你會記得啊!?」
「旦那様のことですから」
「因為是老爺的事情」

 甘く見ないでいただきたい。私は旦那様を生まれた時から知っているのです。
 想要不被低估。我從老爺出生的時候就知道了。
 私が胸を張ると、旦那様は頭を抱えて小さく呻きました。幼い頃を詳細に知っている相手は実にやりにくいですよね。わかります。
 我停起胸膛,老爺抱著頭小小地呻吟著。詳細地知道年幼時期的對手確實很難搞。我能明白。
 しばらく頭を抱えて唸っていた旦那様は恥ずかしさから脱却したようで、コホンと一度咳払いした。
 暫時抱著頭呻吟著的老爺似乎從羞恥裡擺脫了,咳哼地乾咳一下。

「マインの頭にある物を次々と実現していけば、確実に俺の夢は叶うと思わないか?」
「不認為能將存在瑪茵腦袋裡的東西一個個實現的話,我的夢想就會確實地實現嗎?」
「……壮大すぎますが、マインの言うものを全て実現できれば、確かに世界中に影響力を持つでしょうね」
「……太雄壯了,但能將瑪茵說的東西全部實現的話,的確能在全世界裡擁有影響力呢」
「手始めに、弟妹達がいる街に向かって、そこで植物紙の工房を作って、植物紙を広げてくる。……マルク、お前はどうする?」
「起始,朝向弟弟妹妹們在的城市,在那裡創造植物紙的工坊,去推廣植物紙。……馬爾克,你要怎麼做?」

 胸の前で指を組んで、椅子の背もたれに体重を預け、少しばかり首を傾げるようにして、旦那様が私を見上げました。じっと答えを待っている旦那様の姿に思わず吹き出しそうになりました。
 在胸前交握手指,靠著椅子的背寄放體重,微微歪著頭,老爺養視著我。對動也不動地在等待答案的老爺的身姿不假思索地啞然失笑。
 先代が亡くなり、私の修業期間が終わった時に店を移るのかどうか聞いてきた時と同じ恰好、同じ表情なのですから。
 因為是跟在前代死了、我的修業期間結束的時候詢問我要不要轉移店舖的時候同樣的架式、同樣的表情。

「私よりテオの方がオットー様と上手くやるでしょうからね。私は旦那様について行きますよ。ルッツの教育係も必要でしょう?」
「因為鐵歐那邊比起我跟歐拓大人能做得更好呢。我會跟著老爺走的喔。路茲的教育員也是必要的吧?」
「……そうか」
「……是嗎」

 ホッとしたように息を吐く旦那様の姿に、私は懐かしく目を細めました。
 對像是放心地吐著氣的老爺的身姿,我懷念地瞇起了眼睛。

 家族と店を守ると頑なに決心し、自分の夢など忘れ去っていた旦那様を動かし、植物紙協会を作らせ、今また新しい事業へと旦那様を押し出そうとするマインは、オットー様の言うように、旦那様にとって長い冬に終わりをもたらす水の女神なのでしょう。
 守護家人與店舖的頑固決心,讓忘卻了自己的夢想之類的老爺動起來,成立植物紙協會,現在又推著老爺前往新的事情的瑪茵,就像歐拓先生說的,對老爺來說是為漫長冬季帶來終結的水之女神吧。

 お陰で私も自分の夢を思い出すことができました。
 拜此之賜我也能回想起自己的夢想。

 マインが水の女神ならば、私は旦那様にとって、これから先も成長を助ける炎の神でありたいと思うのです。
 我想如果瑪茵是水之女神的話,我想成為對老爺來說、今後也能幫助成長的炎之神。

======================================================================
 マルクさんから見たベンノさんでした。
 從馬爾克先生來看班諾先生。
 振り回されるマルクさんは大変です。
 被隨意指使的馬爾克先生很辛苦。

 次回は、父視点の閑話で、オットーさんとのお話です。
 下回是,以父親的視點的閒話,跟歐拓先生對話。
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兩年多沒有和叫得出名字的人說話了......難受的感覺QAQ看更多我要大聲說19小時前


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