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第一部士兵的女兒 閒話 磅蛋糕的試吃會

作者:SPT草包│2017-10-24 21:36:28│贊助:2│人氣:138
本好きの下剋上~司書になるためには手段を選んでいられません~
以下犯上的書癡~為了成為圖書管理員而不擇手段~
作者:香月美夜
第一部兵士の娘 閑話 お菓子のレシピ
第一部士兵的女兒 閒話 點心的食譜
原文連結

 アタシはイルゼ。ギルド長の家のお抱え料理人だ。
 我是依露潔。是公會長家的雇傭廚師。
 はぁ? 年なんて女に聞くもんじゃないよ。
 哈? 年齡什麼的是不能跟女性打聽的唷。

 アタシが料理人としての道を目指し始めたのは、両親が飲食店を営んでいたから当然の成り行きだった。幼い頃は屋台で商売をしていたが、東門のすぐそばに小さな店を構えることができた両親の背中を見て育った。両親に仕込まれていたから、見習いになる前から料理もできたし、洗礼前の子供には珍しいくらいに金勘定だってできたんだ。
 我開始以作為廚師的道路為目標是,因為雙親經營著飲食店而理所當然的進展。雖然年幼的時候在貨攤做著生意,看著能在靠近東門開起小商店的雙親的後背成長著。因為被雙親教育著,從在成為實習之前也能做料理,即便是對於洗禮前的小孩子來說很稀奇的算帳也能做到。

 洗礼式を終えたアタシは両親の知り合いの店で見習いとして働き始め、どんどん新しいレシピを吸収していった。覚えることが嬉しくて、教えてもらったレシピ、横で見ながら盗んだレシピ、それぞれをもっとおいしくできないか、考えるのが好きだった。
 結束洗禮是的我在雙親相識的店裡開始作為實習工作,不斷地吸收著新食譜。記住就很高興,請教食譜、一邊從旁看著一邊偷取食譜、能將各個做得更好吃嗎,很喜歡思考。

 あちらこちらの店を渡り歩いて腕を磨いてるうちに、アタシは貴族の館で働かないかと声をかけられた。もう街に戻ることができなくなるかもしれないから止めておけ、と言う両親を振りきって、貴族の館に行った。
 在走遍那裡這裡的店家磨練本領的時候,我被打了聲招呼能去貴族公館工作嗎。夠了因為說不定會變得無法回到街上就先停止吧,擺脫那樣說的雙親,去了貴族公館。
 当然だろう? 貴族の館のレシピを知る機会なんて、これを逃したらないじゃないか。
 當然的吧? 知道貴族公館的食譜的機會什麼的,不是不會放跑得嗎。

 一番下っ端として下拵えや皿洗いをしながら、アタシはどんどん料理長の技を盗んでいく。貴族の食事になると使える食材も調味料も段違いだった。皿の華やかさも街の食堂では見られないような物ばかりで、何もかもが勉強になる毎日だった。
 一邊作為最小職員做著預備或洗盤子,我一邊不斷地逐漸偷取料理長的技術。成為貴族的餐點所使用的食材也好調味料也好都相差很多。盤子的華麗也盡是在城市的食堂裡沒見過的東西,變成什麼都在學習的每一天。

 だが、それはほんの数年のこと。
 但是,那真的是數年的事情。
 いくら修業を重ねても、なかなか上に上がることはできなかった。貴族の館で上に上がろうとすれば、技術だけじゃなく、血筋や縁故が必要だったのさ。
 就算重複多少修業,也相當無法攀登到上面去。打算在貴族公館攀登到上面的話,並非只有技術,血緣或親屬關係是必要的。

 くすぶっていたアタシに声をかけてくれたのがギルド長だった。本当は副料理長が引き抜かれるところだったんだが、技術はあっても上には上がれないアタシを料理長が推薦してくれたんだ。
 對悶著的我打了聲招呼的是公會長。雖然其實是副料理長被拉攏了,但料理長給推薦了就算有技術上面卻攀爬不了的我。
 成人したら貴族街に上がることになるお嬢様のために、貴族に出すのと同等の食事を作れ、と言われた。いずれ、一人で貴族街に入ることになるお嬢様が将来苦労しないように、と。
 為了成為成人的話要攀上貴族街道的大小姐,製做跟拿出給貴族一樣的餐點,被那樣說了。總歸,像是變成一個人進入貴族街道的大小姐將來不會辛苦,那樣。

 二つ返事で引き受けたね。アタシが料理長として自分の腕を振るえる機会が巡ってきたんだ。しかも、下手な下級貴族より金のあるギルド長の館だよ?
 二話不說就接受了呢。我作為料理長施展自己本領的機會輪迴過來了。而且,是比笨拙的下級貴族還有錢的公會長的公館唷?
 キッチンの設備も貴族の館と同じ様に揃えてもらったし、調味料だって、素材だって揃えてもらった。料理人としてはこれ以上なくやりがいのある仕事で、最高の仕事場だ。最高の環境に応えるために、アタシは毎日腕をふるう。こんなに楽しくて充実した毎日はない。
 廚房的設備好像也跟貴族公館一樣備齊了,不論是調味料、還是素材都備齊了。作為廚師沒有比這還值得幹的工作,是最棒的工作場所。為了回應最棒的環境,我每天施展著本領。沒有如此快樂又充實的每一天。

 アタシは自分の腕に自信があった。
 我對自己的本領有自信。
 今まで掻き集めてきたレシピには絶対の自負があった。
 至今蒐集起來的食譜有著絕對的自負。
 そう、マインが飛び込んでくるまでは。
 沒錯,直到瑪茵闖了進來為止。

 あれは衝撃だった。
 那個是衝擊。

 ギルド長の家でさえ、やっと取り入れることになった砂糖だが、中央からこちらへ回ってきたばかりの調味料で、まだ大した調理法が確立しているわけではない。色々と使ってみようと思っていたが、研究しきれていなかった。
 連在公會長家,終於變得能引進的砂糖,由於是剛剛才從中央轉到這邊來的調味料,還沒有確立了不起的烹調法。雖然想著要試著各種地使用吧,但完全無法研究。

 それなのに、マインは当たり前のようにそれを使ったお菓子を作りだした。体力も腕力もなくて、作るのは全部アタシがしたけれど、レシピがわかっていなければできない指示の出し方だった。
 儘管如此,瑪茵理所當然般地使用那個製做出了點心。無論體力跟腕力都沒有,雖然說製做全部都我做,但卻是若不知道食譜就無法做出指示的那方。

 焼きあがったカトルカールはふんわりしっとりとした生地のお菓子で、品の良い甘みがあり、口の中でほろほろと崩れていくような食感は今までのレシピにはないものだった。そう、貴族の館でも扱ったことがなかった。
 烤好的磅蛋糕是作為輕柔濕潤質地的點心,品質良好有甜味,在口中逐漸崩垮般的口感是至今的食譜所沒有的東西。沒錯,在貴族公館也沒處理過。

 だが、お嬢様に教えてもらったマインの素性は、兵士の父と染色工房で働く母を持つ平民の娘だ。お菓子なんて贅沢品にそうそうありつける家庭事情ではない。森で採ってきた果実や蜂蜜くらいしか甘味などないはずだ。
 但是跟大小姐請教瑪茵的出身,是擁有著士兵的父親與在染色工坊工作的母親的平民女兒。並不是對點心什麼的奢侈品總是能得到的家庭情況。應該只有在森林採回來的水果或蜂蜜的甜點。

 一体どこでマインはお菓子のレシピを知ったのだろうか。
 瑪茵到底是在哪裡知道點心的食譜的。

 アタシはそれからというもの、マインに教えてもらったカトルカールについて、生地の泡立て具合やオーブンの温度や焼き加減など色々と研究してみた。何度も焼いて作ることで自分でも最高傑作だと思う出来に高めることができた。お嬢様もこれを貴族に向けた商品にできないかと言いだすくらいの仕上がりだった。
 我所謂來自那個的東西,是關於請教了瑪茵的磅蛋糕,麵糊的打發情形或烤箱的溫度或燒烤程度之類試著做了各種研究。由於烤了好幾次來製做即便是自己也認為是最高傑作而能提高完成。大小姐也說出了能不能將那個作為面向貴族的商品來完成。

 マインに味見をしてもらって、うまく話を向けて、権利を買い取りたいとお嬢様は言った。身食いのマインはきっと貴族との繋がり求めてやってくる。条件の良い貴族を紹介するのと引き換えにカトルカールに関する権利を譲ってもらおう、と。
 大小姐說了請瑪茵嚐味道、好好轉向話題、想要買下權利。身噬的瑪茵一定會來尋求跟貴族的聯繫。跟介紹條件好的貴族交換請求讓渡有關磅蛋糕的權利,那樣。

 しかし、お嬢様の目論見は外れ、マインは夏が近付いても一向に姿を見せない。焦れたお嬢様が強硬策で連れてきたマインは、命の期限があることを理解していないような穏やかさで応接に入ってきた。
 可是,大小姐的計畫落空,瑪茵就算夏季接近了也沒看到一點身姿。焦躁的大小姐用強硬策略帶來的瑪茵,像是沒有理解到有生命的期限般平靜地進來了接待。

「いらっしゃい、マイン。よく来たね。カトルカールを焼いて待っていたよ。是非、感想を聞かせておくれ」
「歡迎,瑪茵。好好來了呢。烤了磅蛋糕在等著唷。務必,讓我聽聽感想」

 アタシが改良に改良を重ねたカトルカールを食べたマインは、砂糖と引き換えに更なる改善策を口にした。
 吃了我在改良上重複改良的磅蛋糕的瑪茵,跟砂糖交換後更說出了改良策略。
『フェリジーネの皮をすりおろして生地に加えると香りと味が変わっておいしくなります。他にも何か入れることで味は変わります。何をどんな比率で入れたらおいしくなるかは、自分で研究してみてください。これはおまけ情報ですけど、もし、お貴族様相手に出すようなことがあるなら、よく泡立てた生クリームや飾り切りした果物を添えると、見た目が豪華になりますよ』と。
說了『將翡里吉涅的皮磨碎加進麵糊裡香氣跟味道會改變而變得美味。其他也是味道會因放入什麼而改變。將什麼用怎樣的比例放進去的話會變得美味嗎,請自己去研究。雖然這個是附贈情報,但假如,如果有要拿出給貴族對象的情況,添加上好好打發的鮮奶油或裝飾切好的水果後,外觀就會變得很豪華唷』。

 フェリジーネの皮をすりおろしたカトルカールを作りながら、アタシはボールをつかむ手にグッと力を込める。さらりと改善点を口にできるマインは、間違いなくもっと色々なレシピを知っているはずだ。
 一邊磨碎翡里吉涅的皮製做磅蛋糕,我一邊使勁地在抓著碗的手裡灌入力量。能順暢地說出改善點的瑪茵,毫無疑問應該會知道更多各式各樣的食譜。

 欲しい。新しいレシピが。
 想要。新的食譜。
 マインが知っているレシピが欲しい。
 想要瑪茵知道的食譜。


「イルゼ、イルゼ! マインを連れて来たわ!」
「依露潔、依露潔! 我把瑪茵帶來了喔!」

 お嬢様が満面の笑顔でそう言いながらキッチンの扉を開けた。初めての試みである試食会なるものを開くことを決めたお嬢様は、ここ最近ビックリするほど精力的に働いている。家族全員を振り回し、開催に向けて、全力を尽くしていた。
 大小姐用滿臉的笑容一邊那樣說一邊打開廚房的門。決定展開作為第一次嘗試的試吃會的大小姐,就在最近嚇人般精力充沛地工作著。指揮著全體家人、朝向召開、竭盡著全力。

 お嬢様は生まれた頃から病弱で、アタシがこの家に来たばかりの頃は、基本的に部屋の中にいることが多かった。広い部屋の中で金貨を数えることを最上の趣味としていたお嬢様と同一人物とは思えないほど、マインと出会ってから変わったと思う。
 大小姐從被生下的時候開始就體弱多病,我剛才到這個家的時候,基本上待在房間裡面還比較多。不認為跟作為最棒的興趣在寬敞的房間裡面數著金幣的大小姐是同一個人物般,我認為是從跟瑪茵相遇開始改變的。
 今、この街でどんどん勢力と影響力を広げているベンノさんにも負けない商人になって、マインを引きこむのだと野望に燃えている。やる気に燃えるお嬢様に家族は協力的だ。
 現在,要成為不輸給在這座城市裡不斷地擴張著勢力跟影響力的班諾先生的商人,正燃燒著將瑪茵啦進來的野心。家人對燃燒著幹勁的大小姐是協助著的。

「では、マインは子供も範囲に入れる方が良いというのね?」
「那麼,瑪茵是說小孩子也放入範圍內比較好的吧?」

 キッチンの片隅にあるテーブルにアタシが作ったカトルカールを小さめに切り分けながら並べていく。
 我在廚房一角的桌子上一邊將做好的磅蛋糕分切成小塊一邊排列著。
 今日は試食会について意見を聞くために連れてこられたらしいマインは、キッチンの中をキョロキョロと見回しながら、お嬢様に答えを返す。
 今天似乎是為了聽聽關於試吃會的意見而被帶來的瑪茵,一邊東張西望地環視著廚房裡面,一邊回答著大小姐。

「さすがに平民の子供が買うのは無理でも、商人の子供なら商品価値がわかったり、購入するお金を持ってたりするかもしれないでしょ? 見習いになるくらいなら字も読めるだろうし……。何より、子供の頃に食べて好物になった物って、大人になっても忘れないものだよ」
「不愧是即便平民的小孩子要買是不可能的,但如果是商人的小孩子就能明白商品價值,搞不好擁有能購買的錢對吧? 如果能成為實習文字也會唸……。是比起其他,更能成為在小孩子的時候吃到好東西的東西,就算變成了大人也不會忘記的東西唷」
「そんなものかしら?」
「是那樣的東西嗎?」

 お嬢様はそう呟きながら、木札に何やら書きこんでいるが、アタシは何とも不思議な気分になった。身食いで成長が遅いマインはまだ洗礼式も終わっていないような子供にしか見えない。それなのに、まるで大人になったことがあるような言い草ではないか。
 大小姐一邊那樣嘟噥著,一邊在木牌上寫上了什麼,我化成了有些不可思議的心情。因身噬而成長遲緩的瑪茵看起來就像連洗禮式都沒結束的小孩子。可是,這簡直不就像是在說無法成為大人嗎。

「それからね、カトルカールを売る時に一本丸々だけじゃなくて、こんな風に切った分ずつ売れば、値段が下げられるから購入層が増えると思うの。恋人と二人でとか、洗礼式のお祝いにとか」
「然後呢,在賣磅蛋糕的時候並不只是一整個,像這樣分切一個個賣的話,我想因為價格被降低購買層級會增加。像是與戀人兩個人、或者洗禮式的祝賀」
「最初は貴族を中心に売るつもりなのよ。高価なお菓子として」
「最初是打算以貴族為中心販賣的唷。做為昂貴的點心」

 お嬢様は独占販売することで価値を高めたい。マインは少しでも値段を下げて、大勢の人に広げたい。同じ年頃の少女が同じ商品を売るにしても、ずいぶんと考え方に差があるようだ。
 大小姐因為是獨佔販賣而想要提高價格。瑪茵是想稍微降低價格、推廣給大量的人。同樣年紀的少女就算販賣同樣的商品,想法似乎相當有差距。

「独占販売で価値をつけるのもいいけど、これってお菓子だし、知名度を上げるならやっぱり購買層は広げた方が良いと思うけどなぁ……」
「雖然因獨佔販賣來設定價值也可以,但這是點心,雖然想著如果提升了知名度果然拓展購買層級會比較好呢……」
「わたくしの独占期間が一年ですもの。一年たてば嫌でも広がるものでしょう? 一年の間は貴族を中心に売って、できる限り価値を高めておきたいわ」
「我的獨佔期間是一年。經過一年的話即便討厭也是會拓展的對吧? 一年之間以貴族為中心販賣,想要盡可能的先提高價值喔」
「ふぅん。だったら、季節のフルーツなんかでちょっとずつ季節限定の新しい味が出せれば、他との差別化もできるし、固定客も喜ぶかもね」
「呼。可以的話,用季節的水果之類稍微一個個推出季節限定的新口味的話,也能做到與其他的差異化,固定客人可能也會高興呢」

 季節限定の新しい味だって?
 是季節限定的新口味?
 マインの零した言葉をアタシの耳が素早くキャッチする。それぞれの季節のフルーツを思い浮かべながら、アタシは首をひねった。
 我的耳朵迅速地接起瑪茵灑落的話語。一邊浮現出各種季節的水果,我一邊扭過頭去。

「冬は季節の果物がないだろう? そういう時はどうするんだい?」
「冬季沒有季節水果對吧? 那種時候該怎麼辦呢?」
「冬の甘味って言ったらパルゥじゃない? あとは『ルムトプフ』……」
「要說冬季的甜點不就是葩乳嗎? 之後是『酒釀水果』……」

 言いかけたマインがいきなりハッとした顔になって口を噤んだ。会話が突然切れたことに軽く眉を上げてマインを見ると、マインは視線をあちらこちらにやりながら、口の前で人差指を交差させた。
 說著的瑪茵突然變成想到什麼的表情三緘其口。對話突然被切斷而輕輕揚起眉毛看著瑪茵後,瑪茵一邊讓視線四處游移,一邊在嘴巴前面交叉著食指。

「……ここから先は有料」
「……從這裡後要收費」

 会話に夢中になって、貴重な情報をボロボロと零していたことにようやく気付いたらしい。気まずそうなマインの顔にお嬢様が小さく笑う。
 變得熱衷於對話,似乎總算發現將重要的情報斷斷續續地灑落著。大小姐對尷尬似的瑪茵的表情小小笑了。

「それはどんな情報ですの? マインの情報には正当なお金を払う用意がありますわ」
「那是怎樣的情報呢? 對瑪茵的情報有支付正當的錢的準備喔」

 マインは適正価格だと本人が納得すれば、大体は払った以上に価値のある情報をおまけと言いながら寄こしてくれる。
 瑪茵本人理解是合理價格的話,大概會一邊將有著支付以上價值的情報奉送說出一邊送過來。
 こちらだけが利益を得ようとケチったり、騙したりして距離を置かれるよりは、正当な値段を付けて、仲良く長く信頼関係を築いていった方がよほど得だとお嬢様が言っていた。商売人は騙してなんぼと言っていたお嬢様の変化には少しばかり目を見張るものがある。
 大小姐說過比起只有這邊獲得利益又是吝嗇、又是欺騙而被隔開了距離,設定正當的價格、建構著友好又長久的信賴關係相當合算。對說過生意人就是欺騙的大小姐的變化稍微瞪大了眼睛。

「えーと、わたしは『ルムトプフ』って言ってるけど、簡単に言うと果物の酒漬けのこと。おいしく漬かるには時間がかかるけど、冬のカトルカールの材料にも使えると思う」
「呃,雖然我是稱『酒釀水果』,但簡單說就是酒醃水果。雖然要醃的好吃要花時間,但我想能用在冬季的磅蛋糕材料上」
「大銀貨5枚でいかが?」
「用大銀幣5枚如何?」

 果物の酒漬けとまで分かれば、あとは試行錯誤でも何とかなるだろう。最悪、この商談がまとまらなくても何とかしてみせようとアタシが思った瞬間、マインがちらりと砂糖を見た。
 就連酒醃水果都知道的話,之後即便是錯誤嘗試也會設法解決吧。最壞,這個洽談就算無法統整也要試著做些什麼吧我那樣想的瞬間,瑪茵看了一眼砂糖。

「……ここで砂糖が出回ってないってことは、『ルムトプフ』の作り方も使い方も当然出回ってないよね?」
「……在這裡砂糖沒有上市,無論『酒釀水果』的作法還是使用方法當然都沒上市呢?」

 果物の酒漬けと言っておきながら、実は砂糖も使うらしい。これは聞いておいた方が良いだろう。砂糖を使う料理はまだ試行錯誤が多くて、あまりレシピが出回っていない。
 儘管先說了是酒醃水果,但其實砂糖似乎也有使用。這個先聽會比較好吧。使用砂糖的料理還有很多錯誤嘗試,食譜不太上市。
 アタシがお嬢様に視線を向けると、お嬢様も小さく頷いた。
 我將視線轉向大小姐後,大小姐也小小點了頭。

「小金貨8枚でどうかしら?」
「用小金幣8枚如何呢?」
「わかった。作り方と使い方を教えるよ。この辺りに砂糖が出回るまでは、独占できるから別に契約書はいらないよね?」
「知道了。告訴你作法跟用法吧。直到這附近砂糖上市為止,因為能獨佔不用特別寫契約書對吧?」

 ギルドカードを合わせて、お金をやり取りした後、マインはキッチンにある一つの壺を指差した。
 合併公會卡,交換了錢之後,瑪茵用手指了指在廚房的一個罐子。

「あんな感じの壺が必要なんだけど、他にもある?」
「雖然需要那種感覺的罐子,但其他也要嗎?」
「今は使ってないから使えるよ。他に必要なものは何だい?」
「因為現在沒在使用能用唷。其他需要的東西是什麼?」

 マインに言われるまま、アタシはキッチンの中を動き回って次々と準備を始めた。
 被瑪茵說了,我在廚房裡面動來動去一個個開始準備。
 季節の果物であるルトベーレをよく洗って、ヘタを切って、大きさを揃えて切って、ボウルに入れる。ほぼ半分の砂糖を入れて、しばらく放置。ルトレーベから水気が出てきて、砂糖が溶ける感じになるまで置いておくんだってさ。
 好好清洗作為季節水果的魯特貝雷,切下蒂頭,切成整齊的大小,放入碗內。放入差不多一半的砂糖,暫時放置。來自魯特貝雷的水氣出來了,砂糖直到變成融化的感覺為止先擱置。

「マインは本当に砂糖の価値を分かっているのかい? こんなに大量に砂糖を使うって、本気かい?」
「瑪茵真的明白砂糖的價值嗎? 這樣大量地使用砂糖,是認真的嗎?」
「保存のためだからね。ケチったら、果物が痛んで食べられなくなっちゃう。それから、あとで入れるお酒も蒸留してるような、すごくきついお酒じゃないと、果物が腐っちゃうから気を付けて」
「因為是為了保存呢。小氣的話,水果會受傷變得不能吃了。然後,之後放入的酒也像是要蒸餾般,因為若不是特別烈的酒的話,水果會腐敗要注意」

 権利やレシピを売って大金を稼いでいるマインの金銭感覚はどこかおかしいと思う。同じ重さの銀貨と取引される砂糖の価値がわかって、こんなにドバドバと使っているのだろうか。
 我認為販賣權利食譜賺著鉅款的瑪茵的金錢感覺有哪裡很奇怪。能明白到被跟同樣重量的銀幣交易的砂糖的價值,而像這樣大把大把地使用著嗎。

「ルトレーベから水分が出たら、この壺に入れて、お酒を加えてね。……えーと、果物がちゃんと浸かるまで入れないと、出てる部分はカビが生えちゃうよ。それから、10日くらいしたら、また別の果物を加えるの。プヒュルやブラーレがこれから出てくるよね? 夏の果物を詰め込んで、冬になってから食べるんだよ。あ、そうそう。フェリジーネみたいな果物は向かないみたい」
「來自魯特貝雷的水分出來的話,放進這個罐子裡,加入酒吧。……呃,水果不加到好好浸泡為止的話,露出的部分會發霉唷。然後,泡10天左右的話,再加入別的水果。普修魯或布拉雷這之後會出來對吧? 放進夏季的水果,變成冬季之後就能吃了唷。啊,對了對了。像是翡里吉涅的水果好像不適合」

 注意事項をせっせとお嬢様が書き留めていく。アタシも記憶に刻み込みながら、ボウルの中身をぐるりと掻き回した。少しずつ水分が出てきているのがわかる。
 大小姐將注意事項拚命地寫下來。我也一邊刻進記憶裡,一邊繞圈攪拌著碗的內容。能明白水分一點一點地出來了。

「アンタも作ってるのかい?」
「妳也有做嗎?」
「うん。前に砂糖もらったからね。わたしも初挑戦なの。カトルカールに入れることもできるし、ジャム代わりにも使えるよ。『パフェ』や『アイスクリーム』にかけてもおいしいの」
「嗯。因為有之前收到的砂糖呢。我也初次挑戰了。能放入磅蛋糕裡面,也代替果醬使用唷。就算用在『芭菲』或『冰淇淋』裡面也很好吃的」

 これを作ると冬が楽しみになるよね、とうっとりした笑顔でマインが呟いていると、お嬢様がハッとしたように、テーブルの方を見遣った。
 冬天製做這個會變成樂趣呢,瑪茵以出神的笑容嘟噥著,大小姐像是想到什麼似的,看向了桌子的方向。

「いけない。脱線してしまったわ。試食会のお話をするためにマインを連れてきたのに」
「不好。出軌了喔。明明是為了試吃會的話題才把瑪茵帶來的」
「あぁ、そうだ。その試食会ね、ベンノさんも参加したいんだって。いい?」
「啊,對啊。那個試吃會呢,班諾先生也說想參加。可以嗎?」
「なんですって?」
「妳說什麼?」

 お嬢様がギラリと目を光らせて、マインを見た。マインはポリポリと頬を掻きながら、ベンノさんとの会話を思い出すように軽く上を見上げる。
 大小姐眼神閃出光芒,看著瑪茵。瑪茵一邊咯吱咯吱地搔著臉頰,一邊回想起班諾先生的對話輕輕地仰視上方。

「えーと、試食会ってもの自体が珍しいんだってね? どんなお菓子が売り出されるか興味もあるけれど、それ以上に試食会って催し自体に興味があるみたい」
「呃,說是試吃會的本身就很稀奇呢? 雖然說有興趣會被出售怎樣的點心,但在那之上好像對試吃會召開本身有興趣」
「……そうですの。ベンノさんが」
「……那樣啊。班諾先生」

 しばらく考え込んでいたお嬢様がバッと顔を上げた。どうやら何か思いついたようだ。お嬢様はくるりと身を翻してキッチンの扉へと向かう。
 暫時沉思著的大小姐猛然抬起頭來。看樣子好像想到了什麼似的。大小姐將身體轉了一圈朝向廚房的門。

「わたくし、おじい様にお伺いすることができました。少し留守にするわ。イルゼ、マインのもてなしをお願いね」
「我,去詢問爺爺。稍微看一下喔。依露潔,瑪茵的接待拜託了呢」

 勝手に敵対意識を燃やしているベンノさんが来ることになったせいで、更に熱がこもり始めたようだ。マインをキッチンに残し、優雅な雰囲気はそのままに、お嬢様が早足でスタスタと去っていく。
 由於變成對擅自燃起敵對意識的班諾先生要來的緣故,熱氣更加開始充滿似的。將瑪茵留在廚房,優雅的氛圍就那樣,大小姐快步急急忙忙地離去了。

「……行っちゃった」
「……走掉了」
「普段はあんな行動しないんだけどね」
「雖然平常不會那樣行動呢」
「それ、イルゼさんにカトルカールの改善点を教えた時、フリーダが同じこと言ってたよ」
「那個,教導依露潔女士磅蛋糕改善點的時候,芙莉妲說過同樣的話唷」

 くすくすと笑うマインに以前の自分の行動を指摘されて、アタシは軽く溜息を吐いた。新しいレシピを知ると居ても立ってもいられなくなるのは、昔から指摘されてきたことだが、一向に直せない。
 被偷偷笑著的瑪茵指出了以前自己的行動,我輕輕嘆了一口氣。知道新食譜後就變得坐立不安,是從以前就被指正的事情,但卻遲遲改正不了。

「アンタの新しいレシピが悪い」
「是妳的新食譜不好」
「……うぅ、すみません」
「……唔,對不起」
「謝ることじゃないさ。アタシは新しいレシピを知りたいからね。じゃあ、これを食べて、感想を聞かせておくれ」
「不必道歉啊。因為我想知道新食譜呢。那麼,吃吃這個,讓我聽聽感想」

 マインが教えてくれた一番基本となるカトルカール、フェリジーネの皮をすりおろして香りと味を付けたもの、砂糖のいくらかを蜂蜜に変えたもの、胡桃を入れたものを並べる。
 成為瑪茵所教導最基本的磅蛋糕,並列著磨碎翡里吉涅的皮添加了香味與味道的東西,把多少砂糖變成蜂蜜的東西,放入胡桃的東西。
 そして、今日のカトルカールに合わせたお茶を入れて、マインの前にそっと置いた。
 然後,配合今天的磅蛋糕倒著茶,在瑪茵的面前輕輕地放著。

「どれもこれもおいしそう! いただきます」
「哪一個都好像很好吃! 我開動了」

 目を輝かせたマインはとろけるような笑顔で頬を押さえて、一口一口をゆっくりと味わって堪能する。
 閃耀著目光的瑪茵用融化似的笑容壓著臉頰,慢慢地一口一口品嚐著十分滿足。
 そのフォークを操る指先の動きや姿勢の良さは、きちんとマナーを教えられた貴族のお嬢様のようだと思う。少なくとも、甘味を食べることが少ない貧民のがっつく姿勢とは全く違うのだ。
 運用那個叉子的指尖動作或良好的姿勢,我認為好像被好好教了禮儀的貴族大小姐。至少,是跟很少吃甜點的貧民那貪婪的姿勢完全不一樣。
 マインはお茶を一緒に楽しみながら、ほぅ、と満足の息を吐いた。
 瑪茵一邊一起享受著茶,一邊呼、地吐露滿足的氣息。

「この中でわたしが一番好きなのはフェリジーネのカトルカールかな?」
「在這裡面我最喜歡的是否是斐里吉涅的磅蛋糕呢?」
「どうしてだい?」
「怎麼了嗎?」
「口の中に広がる香りが好きなの。……このお茶の葉っぱもカトルカールと相性が良さそう」
「很喜歡在口中擴散的香氣。……這個茶葉似乎也跟磅蛋糕很合得來」

 コクリとお茶を飲んで目を細めていたマインがポツリと呟いた。
 咕嚕地喝著茶瞇起眼睛的瑪茵嘟噥了一句。

「お茶の葉? 食べにくくないかい?」
「茶葉? 不是很難吃嗎?」
「……あ、言いすぎた」
「……啊,說過頭了」

 マインがしまったとばかりに口元を押さえる。どうやら貴重な情報だったらしい。
 瑪茵剛一糟糕了就壓著嘴邊。看來似乎是貴重的情報。
 アタシはフンと鼻を鳴らしながら、以前に渡した砂糖と同じ袋をドンと作業台の上に置いた。
 我一邊哼地弄響鼻子,一邊將跟以前交付的砂糖同樣的袋子咚地放在工作台上。

「砂糖一袋と引き換えに喋っちまいなよ。中途半端でこっちがもやもやする。ルムトプフを作ってるなら、砂糖もそろそろなくなるだろ?」
「跟砂糖一袋交換說出來吧。半途而廢這邊很不暢快。如果要製做酒釀水果,砂糖也差不多快沒了吧?」

 正直、お茶の葉をお菓子に入れるという発想はなかった。お菓子とは甘い物だ。高い砂糖を使うのだから、甘ければ甘いほど良いと中央では言われていると聞いた。
 老實說,沒有所謂把茶葉放進點心的發想。點心是甜的東西。正因為使用昂貴的砂糖,聽過在中央被說是越甜越好。
 お茶の葉を入れたところで甘くなるとは思えない。そして、どんな葉っぱをどんな風に使うのか自分で研究するにはちょっと時間が足りない。
 就放入茶葉而言我不認為會變甜。而且,要將怎樣的葉子做怎樣的使用呢以自己來做研究而言時間稍微不太夠。

「……砂糖一袋なら、まぁ、いいか。イルゼさんならおいしいお菓子を作ってくれるし」
「……如果是砂糖一袋,算了,也好。如果是依露潔女士會做出很美味的點心」

 うーん、とほんの少し考えこんでいたマインが口を開く。
 唔嗯、地稍微沉思著的瑪茵開口了。

「口当たりが悪くならないように、お茶の葉をよくすり潰して混ぜるの。そうすると香りの良い生地になるよ」
「為了不讓口感變壞,要把茶葉好好磨碎混合。那樣做會變成香味很好的麵糊」
「お茶って、これかい」
「說是茶,是這個嗎」

 マインに入れたお茶の葉の詰まった瓶を取り出すと、マインは大きく頷いた。しばらくビンを見つめた後、アタシはオーブンに火を付けた。
 取出被瑪茵放進去的塞滿茶葉的瓶子後,瑪茵大大點著頭。暫時凝視瓶子之後,我在烤箱裡點上火。
 マインがカトルカールを食べている隣で、ゴリゴリとお茶の葉を潰し始める。早速焼いてみようと思ったのだ。客であるマインを放り出すことになるけれど、一番に味見させてくれるなら別にいい、と楽しそうに笑いながら、マインはアタシの手元を見ている。
 在瑪茵吃著磅蛋糕的旁邊,嘎吱嘎吱地開始搗碎茶葉。是想著趕快烤看看吧。雖然說變成將身為客人的瑪茵丟出去,但如果讓她最先嚐味道也何嘗不可,那樣快樂似地一邊笑著,瑪茵一邊看著我的手邊。

「なぁ、マイン。聞きたいことがあるんだけどいいかい?」
「吶,瑪茵。雖然有件想問的事情但可以嗎?」
「はい、何ですか?」
「可以,是什麼呢?」
「アンタさ、お菓子だけじゃなくて、スープも何か秘密を持っているんじゃないかい?」
「妳啊,不是只有點心,湯是不是也擁有什麼秘密呢?」
「へ!?」
「哎!?」

 フォークをくわえた状態で、マインは金色の目を丸くしてアタシを見上げてくる。アタシは卵を泡立てながら、片方の眉を上げた。
 以啣著叉子的狀態,瑪茵圓睜著金色的眼睛仰望著我起來。我一邊打發雞蛋,一邊揚起單邊的眉毛。

「ここに泊っていた時の食事の減り方を考えると、そういう結論になるんだ。アンタ、スープだけ残していただろう? 野菜が苦手なのかと思ったが、他の料理では大体食べている。何かおいしい秘密を知っているね?」
「考慮到住在這裡的時候用餐減少的方式,就變成了那樣的結論了。妳,只有湯留下來了對吧? 雖然有想過是不擅長蔬菜嗎,但其他料理大致上都吃著。是知道什麼美味的秘密呢?」
「……鋭いですね、イルゼさん」
「……很敏銳呢,依露潔女士」

 マインはフォークを口から出して、そっと皿の上に置いた。
 瑪茵將叉子從嘴裡拿出,輕輕地放在盤子上。

「教えてくれないかい?」
「不能教嗎?」
「うーん……スープについてはちょっと悩むところですね。ちょっと以前と状況が変わってきて、嫌でも貴族と係わることになりそうなので、自衛のためにも切り札は余計に置いておきたいんですよ」
「嗯……關於湯是稍微煩惱的地方呢。狀況稍微跟以前有了變化,由於即便討厭也快要變得跟貴族牽扯上了,也是為了自衛王牌想要更多地擱置著唷」
「そうかい」
「是嗎」

 弱り切った表情にそれ以上の無理強いもできず、アタシは肩を竦めた。
 對那極度脆弱的表情是做不到那以上的相逼,我聳了聳肩。
 自分が貴族の館に勤めていたから知っている。身分差の厳しさとそこに切りこんでいく危険性を。自衛のための切り札はいくつでも持っておきたいと思っても不思議ではないし、持っていた方が良い。
 自己因為在貴族公館工作著所以知道。殺進去身分差距嚴酷的那裡的危險性。就算想著為了自衛的王牌想要先擁有幾個也沒多不可思議,擁有著會比較好。

「お菓子のレシピは、期間限定の独占販売なら相談に応じますけどね」
「點心的食譜,如果是期間限定的獨佔販賣會答應商量就是了呢」
「本当かい!?」
「真的嗎!?」

 アタシがボウルを抱えたままグッと身を乗り出すと、マインはぎょっとしたように身体を引いて、何度か頷いた。
 我依然抱著碗使勁地探出身子後,瑪茵大吃一驚般縮起了身體,點了好幾次頭。

「まずは、カトルカールが軌道に乗ってからですけど。カトルカールの独占販売が切れる頃が頃合いかなぁ?」
「首先,雖然要從磅蛋糕上軌道開始。磅蛋糕的獨佔販賣中斷的時候是否是好時機呢?」
「ベンノさんに邪魔されるんじゃないのかい?」
「不會被班諾先生妨礙嗎?」

 お嬢様が苦い表情で、「ルッツとベンノさんばかりがマインの知識を独占する」と嘆いているのを知っているアタシがそう言うと、マインはコテリと首を傾げた。
 知道著大小姐以苦悶的表情,悲嘆著「盡是路茲跟班諾先生獨佔著瑪茵的知識」的我那樣說後,瑪茵迅速歪了頭。

「うーん、どうだろう。苦い顔はすると思うけど、邪魔はできないんじゃないかな? 正直、ベンノさんにお菓子のレシピを公開しても意味がないんですよ」
「嗯,是怎樣呢。雖然我認為會做出苦悶的比情,但不會不妨礙嗎? 老實說,就算對班諾先生公開點心的食譜也沒有意義唷」
「なんでだい?」
「為什麼呢?」
「ベンノさんはまだ貴族との繋がりが浅いから、素材と技術が手に入らないんです。砂糖を手に入れるルートは開拓できていないみたいだし、イルゼさんレベルの料理人って、貴族から引き抜きでもしないといないんでしょ? ギルド長が引き抜いてきたってフリーダが言ってたから」
「因為班諾先生跟貴族的聯繫還很淺,沒有得到素材跟技術。得到砂糖的管道好像還無法開拓,說到依露潔女士等級的廚師,不從貴族那拉攏就沒有對吧? 因為芙莉妲說過是公會長拉攏過來的」

 自分の後見人と言っても過言ではないベンノさんに対するマインの分析と判断にアタシは半ば呆然としてしまう。情報を流す相手をマインなりに一応考えているらしい。これならば、マインのレシピをアタシが知るチャンスがあるかもしれない。
 我對瑪茵對於就算說是自己的監護人也不算說過頭的班諾先生的分析與判斷半途愣住了。盡瑪茵所能地流出情報的對象似乎姑且考慮過。這樣的話,就有我知道瑪茵食譜的機會也說不定。
 小麦粉をふるってボウルに入れながら、ちらりとマインの様子を伺った。
 一邊揮動小麥粉放入碗裡,一邊窺視一眼瑪茵的情況。

「レシピをアタシに公開するのは良いのかい?」
「對我公開食譜可以嗎?」
「イルゼさんくらいの腕の料理人じゃないと口で説明しただけで作れないんです。それに、研究熱心だから応援したくなるんですよね」
「若不是像依露潔女士的本領的廚師只用嘴做說明是做不了的。而且,正因為熱心研究才變得想支援呢」

 マインの言葉を聞いて、アタシは大声で意味のない言葉を叫び出したいほど嬉しくなった。
 聽到瑪茵的話語,我變得想要用大聲叫出無意義的話語般高興。
 今の言葉は、つまり、マインがアタシの腕を認めているということだ。恩があるベンノさんに公開しないレシピをアタシには公開してくれると言うのだから。
 現在的話語,也就是說,是所謂瑪茵認同了我的本領這件事。正因為說了將沒有對有恩的班諾先生公開的食譜對我給公開了。

「……でも、レシピを公開するにはお金も貰わないと、色んなところで不平等になっちゃいますから、ちょっと難しいところなんですけど」
「……但是,因為公開了食譜也得不到錢的話,在這種地方都會變得不平等,雖然稍微有點難處」

 マイン自身は利益に重きを置いていなくても、周囲はそうでない。そして、マインのレシピは色んな意味で周囲を混乱に巻きこんでしまう。多分料理以外の商品も前例がない物が多いのだろう。
 瑪茵本身就算不看重利益,周圍卻不是那樣。然後,瑪茵的食譜會以各種意義將周圍捲進混亂裡。大概料理以外的商品也是沒有前例的東西居多吧。
 溶かしたバターを混ぜながら、アタシはずっと疑問だったことをマインにぶつけてみた。
 一邊混合融化的奶油,我一邊將一直以來的疑問試著撞向瑪茵。

「なぁ、マイン。アンタ一体何者なんだい? 一体どこでそんなレシピを手に入れた?」
「吶,瑪茵。妳到底是什麼人? 到底在哪裡得到那種食譜的?」
「……うーん……夢の中です」
「……唔嗯……夢在裡面」
「あぁん?」
「啊?」

 ふざけているのか、と思わず凄んで見せたアタシに、マインは困ったように笑った。
 對開玩笑的嗎、那樣不假思索可怕地展示著的我,瑪茵像是傷腦筋地笑了。

「……本当に。今となっては夢の中でしか味わえないものばかりなんですよ」
「……是真的。如今盡是是只能在夢中品嚐的東西唷」

 懐かしそうに目を細めてフッと笑ったマインの笑顔が大人びていて、妙な不安に駆られて覗きこむ。
 懷念似地瞇起眼睛呼地笑了的瑪茵的笑容很有大人樣,被奇怪的不安驅使而窺探著。
 軽く一度目を閉じた後、マインが顔を上げて、にぱっと子供らしい笑顔を見せる。でも、それは作り笑いだとわかる下手くそな笑顔だった。
 輕輕地閉上一次眼睛之後,瑪茵抬起頭,突然展現孩子似的笑容。但是,能明白那是假笑的差勁笑容。

「できることならパパーッとレシピを広げて、イルゼさんみたいな料理上手な人にどんどん作ってほしいんですけどね」
「如果可以速速將食譜推廣,想要像依露潔女士般擅長料理的人不斷地製做就是了呢」

 あまり触れられたくない部分なのだろうと察して、アタシは生地を型に流し込みながらマインの会話に乗ってやる。
 察覺到是不太想被觸碰的部分吧,我一邊將麵糊灌入模型一邊參與瑪茵的對話。

「自分では作らないのかい?」
「不自己做嗎?」
「腕力ないし、体力ないし、道具もないし、技術が足りなすぎて、正直再現できません。技術のある料理人に作ってもらえるなら、本当はレシピなんていくらでも公開したいんです。現状ではそうもいきませんけど」
「沒有腕力、沒有體力、也沒有工具,技術太不足了,老實說無法再現。如果請有技術的廚師來製做,其實食譜什麼的多少也想要公開。現狀的話那樣也不行就是了」

 小さい手をパタパタと振りながら、マインは情けない顔で眉を下げた。
 一邊迅速地揮著小手,瑪茵一邊用可憐兮兮的表情垂下了眉毛。
 卵の泡立てどころか、小麦粉を混ぜることさえできなかった腕力と体力のなさを思い出しながら、マインの細ッこい貧弱な腕を見下ろす。アレではどんな料理もできないだろう。
 一邊回想起連打發雞蛋、混合小麥粉都做不到的腕力與體力,一邊俯視瑪茵細小瘦弱的手腕。用那個怎樣的料理都做不到吧。

「食べたくなったらいつでも言いな。レシピさえ教えてくれればいくらでも作ってあげるからさ」
「變得想吃的話隨時都能說呢。因為連食譜都給教了的話多少都會給妳做的呀」

 マインの夢の中にしか存在しないと言うレシピを再現するのは、とても心躍ることだ。
 再現說是只在瑪茵的夢中存在的食譜,是非常內心雀躍的。

 あぁ、楽しみだねぇ。一体どんなレシピがあの中に眠っているんだろう?
 啊,很享受呢。到底是怎樣的食譜沉睡在那之中呢?

 ちょびちょびとカトルカールを味わうマインを見ながら、アタシは新しいお茶の葉入りのカトルカールを熱いオーブンに突っ込んだ。
 一邊看著小口小口品嚐著磅蛋糕的瑪茵,我將新的放入茶葉的磅蛋糕塞進熱的烤箱裡。

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 マインのレシピに興味津々のイルゼさんです。
 是對瑪茵的食譜興致昂然的依露潔女士。

 次回は、ベンノ視点の閑話で試食会です。
 下回,是用班諾視點的閒話的試吃會。
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