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第一部士兵的女兒 契約魔術與工坊登記

作者:SPT草包│2017-07-27 14:32:03│贊助:2│人氣:143
本好きの下剋上~司書になるためには手段を選んでいられません~
以下犯上的書癡~為了成為圖書管理員而不擇手段~
作者:香月美夜
第一部兵士の娘 契約魔術と工房登録
第一部士兵的女兒 契約魔術與工坊登記
原文連結

「どうぞ、旦那様」
「請吧,老爺」
「あぁ」
「啊」

 マルクによって契約魔術の準備がされた。テーブルの上に並べられた契約魔術に使われる契約用紙と特殊なインクが入った変わったデザインのインク壺には見覚えがあった。
 被由馬爾克做的契約魔術準備。有對被排列在桌子上面被使用在契約魔術上契約用紙與放入特殊墨水奇怪設計的墨水瓶很眼熟。
 ベンノはインク壺にペンをつけて、すらすらと契約内容を書いていく。インクが黒ではなく青いインクなのも記憶の通りだ。契約書に書かれていく文字を眺める。
 班諾將筆沾入墨水瓶,流暢地書寫起契約內容。墨水不是黑色而是藍色的也就如記憶。眺望著被書寫在契約書上的文字。

《マイン工房で作られたものを売る権利はルッツが有すること。
代理人を置く場合はマインとルッツとベンノの了承を得た上、商業ギルドに届け出ること》

《販賣被瑪茵工坊製做的東西的權利為路茲所有。
設置代理人的情況下在得到了瑪茵與路茲與班諾的同意之上,對商業公會申報》

「この一文は何ですか?」
「這一段話是什麼呢?」

 わたしが契約書を指差すとベンノが軽く眉を上げた。
 我用手指著契約書後班諾卿卿揚起眉毛。

「保険だ。子供だけの契約なんて暴力や誘拐なんかで脅して破棄させようと考えるヤツも出てくる。少しでも不正を防ぐために俺とギルドを巻き込んでおけ。こういう契約をする時は自分の味方になりそうな第三者をなるべく巻き込んでおくんだ。覚えておくといい」
「是保險。考慮到只有小孩子的契約什麼的被暴力或誘拐或威脅讓你們廢棄的傢伙也會出來。為了多少防止不正當先將我跟公會捲進來。做這種契約的時候要事先盡量讓似乎能成為自己的同伴的第三者捲進來。先記著就好了」
「……ありがとうございます」
「……非常感謝您」

 こんな面倒な契約魔術を提案してくれるだけではなく、味方として自ら巻き込まれてくれるとは思っていなかった。
 沒想到並不只是給予提議了這種麻煩的契約魔術,還作為同伴親自給捲了進來。
 マルクが差し出してくれたペンを受け取って、わたしが署名する。次にルッツが、最後にベンノが名前を書いて、血判を押していく。
 接下馬爾克給遞出來的筆,我簽了名。接下來是路茲,在最後班諾寫下名字,逐個按下血印。

「ルッツ、お願い」
「路茲,拜託了」

 堅く目を閉じて手を出すと、ルッツがピッとナイフで指先を切ってくれた。じわりとにじんでくる赤い血を自分の署名の上にぎゅっと押しつける。
 緊閉眼睛伸出手後,路茲噼地用小刀給割開指尖。將緩慢滲出的紅色血液在自己的屬名上緊緊按壓上去。
 血を吸いこんだ瞬間、青いインクが黒に変わっていくのは以前と同じだ。そして、前回の契約魔術と同じように、全ての署名を終えた後は、インクの部分が光って、燃えるようにインクの部分から穴が開いて広がっていき、契約用紙そのものが消えていく。
 吸血進去的瞬間,藍色墨水逐漸變成黑色是跟以前一樣的。然後,像是跟上回的契約魔術一樣,結束全部的屬名之後,墨水的部分發光了,像是燃燒般從墨水的部分打開了洞擴散開來,契約用紙那種東西逐漸消失掉。
 燃えかすまでが光に解けるようにキラキラと消えていくのを見ながら、ベンノがゆっくりと息を吐いた。
 一邊看著直到成為灰燼像是解開光芒般閃閃發光逐漸消失,班諾慢慢地吐了一口氣。

「これでひとまず、マインが貴族街に連れ込まれても商品を売るために必要だという大義名分を得て、ルッツとマインが顔を合わせることができるようになる。そんなことにならないよう、マインは自衛することを覚えろ」
「就這樣暫且,獲得了所謂就算瑪茵被帶進了貴族街為了販賣商品也是必要的大義名分,造就了路茲與瑪茵能夠會面。為了不變成那種事情,瑪茵要記得自衛」
「頑張ります」
「我會加油的」

 グッと拳を握って見せたが、ベンノにも、ルッツにも、マルクにも、ものすごく不安そうな顔で首を振られた。
 雖然使勁握著拳頭,但班諾也好、路茲也好、馬爾克也好,都用非常不安似的表情搖著頭。

「ただし、このやり方が通用するのは、マインの作りだす商品に価値を見出している者だけだ」
「但是,這個做法通用的,只有在瑪茵製作出來的商品上看得到價值的人」
「え?」
「咦?」
「魔力のみを必要とする相手ならば、商品の売買など知ったことではないと言い放つだろう。……幸い、この街にいる貴族で、放っておいても大金が入る機会を無視できるほど裕福な貴族はほとんどいないと思う。それから、以前も言ったが、この契約魔術が効力を発揮するのは、この街だけだ。気を付けておけ」
「如果是需要的只有魔力的對象的話,會斷言商品買賣之類的不用去知道。……幸好,我認為在這座城市裡的貴族,幾乎沒有就算放著不管也能無視鉅款進入的機會般富裕的貴族。還有,雖然以前也說過,這個契約魔術發揮著效力,是只有這座城市。要事先留意」
「はい」
「好的」

 その後、普通の羊皮紙で同じ内容の契約書を交わした。これはギルドに報告するためと、貴族相手には大した牽制にはならないが、別の街で何かあった時にすでに契約していることを示すためらしい。
 那之後,用普通的羊皮紙交換了同樣內容的契約書。這個是為了跟公會報告,雖然對貴族對象起不了多大的牽制,但似乎是為了在其他的城市裡發生了什麼的時候為了出示已經做了契約的。

「今日のうちに手続きしてしまおう。このまま商業ギルドに向かうぞ。マイン工房を工房として登録して、マインを工房長にする。こうしておけば、商品の売買は問題ない。そして、神殿以外にも選択肢とお金稼ぐ術があると見せることで少しは強気に交渉に臨めるだろう」
「要在今天之內辦好手續。就這樣轉往商業公會吧。將瑪茵工坊作為工坊登記,讓瑪茵當上工坊長。先這樣做的話,商品的買賣就沒問題。然後,由於發現在神殿以外也有選項跟賺錢的方法而會面臨稍微強硬的談判吧」
「はい」
「是的」

 商業ギルドは帰り道なので、寄って手続きを終えることができれば、ひとまず安心できる。
 由於商業公會是在歸途上,能順道結束手續的話,暫時就能放心了。
 さっさとしろ、と急かすベンノに追い立てられて、ルッツが着替えるために物置にしている上へと駆けあがっていく。
 催促著快點做一做、地被班諾驅趕,路茲為了換衣服往當作儲藏室的上面跑了上去。
 わたしはベンノを見上げて、問いかけた。
 我仰望著班諾,詢問著。

「どうしたら交渉を有利に進めることができますか?」
「要怎麼做才能讓談判朝有利推進呢?」
「そうだな。……まずは、自分にとって最善の結果を頭に思い浮かべる。そのために相手から引き出さなければならない譲歩が何か、こちらから出せるものは何か、相手が何を欲しがっているか、見極めるんだ」
「也是呢。……首先,在腦袋裡想出對自己最好的結果。為了那個必須要從對方那引出的讓步是什麼呢,從這邊拿出的東西是什麼呢,對方想要的是什麼呢,要看清楚」

 ベンノの言葉を聞きながら、わたしは自分が欲しい物を思い浮かべてみる。
 一邊聽著班諾的話語,我一邊試著想出自己想要的東西。
 欲しい物は図書室への入室&閲覧許可だ。そのためには労働必須の灰色の巫女見習いではない立場で神殿に入りたい。こちらから出せるのは魔力とお金。相手が欲しい物も、ベンノの情報が正しければ、魔力とお金だ。
 想要的東西是往圖書室的進房與閱覽許可。為了那個想要以並非需要勞動的灰色的實習巫女的立場進入神殿。從這邊拿出的是魔力與金錢。對方想要的東西,班諾的情報正確的話,就是魔力與金錢了。

 何とか交渉できそう、かな?
 是否能想辦法談判,呢?

「……あ、そういえば、神殿長に原則として神殿へ入るには他のギルドへ所属しちゃダメだって言われたんですよ。ギルド長と交渉するって神殿長が言っていたけど、どうなったんだろう? 登録できるんでしょうか?」
「……啊,這麼說來,被神殿長說了原則上進入了神殿是不能歸屬到其他公會的。雖然說神店長說了會跟公會長談判,但會變成怎樣呢? 能登記的吧?」

 ふと神殿長の言葉を思い出したわたしに、ベンノがビシッとチョップする。
 對忽然回想起神殿長的話語的我,班諾噼地來一下手刀。

「おい、マイン。自分のことを他人に丸投げするな。きっちり間に入って自分の利益を確保しろ。どんな無茶な条件をつけられるかわからないだろう」
「喂,瑪茵。別把自己的事情全權委託給其他人。要鑽入縫隙間確保自己的利益。不知道會被施加上怎樣亂來的條件對吧」
「そうですね。ぶっちゃけ、聖杯が魔術具で、延命できるなんて思ってなかったので、あと半年くらいならどうにでもなぁれって気分だったんですよ。投げやりだったのは認めます」
「說得也是呢。坦白說,因聖杯是魔術具,由於不認為能延命之類的,是如果還有半年左右會變怎樣的心情唷。這很草率我承認」

 寿命を延ばすことはできそうだし、図書室が見つかったし、わたしのやる気はぐぐんと上がっている。
 又是好像能延長壽命,又是發現了圖書室,我的幹勁不斷地上升著。

「そのやる気が空回りしないように、頭を使え」
「為了那份幹勁不會白費,用用腦袋」
「善処します」
「我會妥善處理的」

 ルッツが階段を駆け下りてきた。ぜいぜい言っているので、相当急いだようだ。7階という高い位置を見上げて、わたしは感心してしまう。わたしがこんなところを駆けあがって、駆け下りたら、きっとぶっ倒れるに違いない。
 路茲跑下樓梯過來。由於呼呼說著,似乎相當急促。仰望所謂7樓的高處位置,我深感佩服。我跑上、跑下這種地方的話,肯定一定會趴倒下去。

「じゃあ、行くぞ」
「好了,走吧」

 ベンノがスッと脇に手を入れて、当たり前のようにわたしを抱き上げた。
 班諾迅速地將手放入腋下,像是理所當然般將我泡了上來。
 わたしの歩くスピードは成人男性にはとても耐えられない速さだとオットーに言われたので、最近はおとなしく抱きあげられるままになっている。抵抗したら疲れるだけで無駄だと諦めた。
 由於被歐拓說了我的走路速度對成年男性是非常無法忍受的速度,最近變成了被老實抱了上來。抵抗的話就只會疲勞徒勞無功地放棄了。

「神殿に入る者は他のギルドに所属してはならないなら、神殿で商業ギルドとやり取りできるのは、マインだけということになる。もうすでに登録している、で押し通せなかったら、金をちらつかせてもいいから、工房活動を認めさせろ」
「如果進入神殿的人無法歸屬到其他的公會,在神殿與商業公會交流,就會變成所謂的只有瑪茵了。因為以已經登記了,而無法堅持的話,就算亮點錢出來也可以,讓他承認工坊活動」

 商業ギルドへの道すがら、ベンノはほんの少しの時間も惜しむように、次々と対応策や交渉の仕方を述べていく。全部メモを取りたいけれど、取れないのが惜しい。じっとベンノを見ながら、少しでも多くの情報を得ようと耳と脳味噌を総動員する。
 往商業公會的沿途,班諾像是一點點的時間也很珍惜,一個個地逐步陳述對應策略或談判的方法。雖然說想要全部抄成便條,但無法抄很可惜。一邊盯著班諾看,一邊為了得到盡可能多的情報而總動員著耳朵與腦漿。

「さっきも言った通り、青の神官が減って、孤児達には仕事がなくて、寄付が減っている可能性がある。彼らに新しい道を与えたいとか、仕事を与えたいとか、生活環境を整えたいとか、適当な綺麗事をこれでもかと並べ立てて、工房の権利を認めさせろ。何をするにも金が必要な事くらいは神殿側もわかっているはずだ」
「如同剛才也說過的,藍色的神官減少,對孤兒們來說沒有工作,捐獻有減少的可能性。想要給予他們新的道路嗎,想要給予工作嗎,想要整裡生活環境嗎,這個也是恰當的漂亮事嗎列舉出來,讓他承認工坊的權利。就像不管做什麼錢都是必要的神殿那邊應該也是明白的」
「はい」
「是的」
「ついでに、当人達にも働かせるとか、体調管理をするヤツがいないと行動できないとか、1の真実を10でも20でも膨らませるような言い方をして、労働力も確保しておけ。ルッツはもう店に入っているから、週の半分は使えなくなる」
「順便說下,也要讓當事人們工作嗎,沒有做身體狀況管理的傢伙就無法行動嗎,將1個的事情即便10個20個也要膨脹的說法,勞動力也要事先確保。因為路茲已經進入店裡,一周的一半變得無法使喚」
「なるほど」
「原來如此」

 いちいち具体的でわかりやすい対策にわたしは何度も頷きながら、頭の中を整理していく。綺麗事を並べて工房の権利を勝ち取り、虚弱さを誇大して労働力を確保する。確かに、工房があってもわたしだけでは動かない。
 我一邊對一一具體且容易明白的對應點了好幾次頭,一邊逐漸整理在腦袋裡。羅列漂亮事贏得工坊的權利,誇大虛弱來確保勞動力。確實,就算有工坊只有我也無法運作。

「孤児達でも工房で真面目に働けると分かれば、他の工房でも受け入れてくれるところが出てくるかもしれない。新商品を作りだし、それを孤児達が作っているとなれば、周囲の目も少しは変わるかもしれない。その辺りはお前の腕次第だ」
「即便是孤兒們能明白在工坊認真地工作的話,即便其他的工坊也能給予接受的地方說不定會出現。製做新商品,孤兒們變得能製做那個的話,周圍的眼睛說不定也會稍微改變。那一帶要靠妳的本事了」
「わかりました。頑張ってみます」
「我明白了。會試著努力看看」

 わたしのことだけではなく、孤児のことまで考えてくれるなんて、とベンノに感動していると、ベンノは溜息を吐いて、頭を振った。
 並不是只有我的事情,就連孤兒的事情也給予了考慮什麼的,對班諾感動著後,班諾嘆了一口氣,搖了搖頭。

「ハァ……。お前、乗せられやすいのにも程があるぞ? 何でも抱え込もうとするな。優先順位はあらかじめ決めておけ」
「唉……。妳,明明容易被牽著走也該有個限度啊? 不要什麼都抱過來。優先順位要事先先決定好」
「え?」
「哎?」

 くるっと手の平を返したような意見にわたしが目を瞬いていると、ベンノは困ったように眉を寄せた。どうやら、何か試されていたらしい。
 我對好像將手掌翻轉過來的意見眨著眼睛後,班諾像是困擾似地皺起眉頭。看來,似乎被試探了什麼。

「神殿内で自分の立場を確定させるまでは、孤児達より自分の身を最優先にしろ。むしろ、孤児達を味方にして利用することを考えろ。こんなこと言いたくはないが、孤児に何かあるより、お前に何かある方が心配して悲しむヤツは多いんだからな」
「在神殿內直到讓自己的立場被確定,比起孤兒們更該最優先自己的身體。不如說,考慮將孤兒們當作同伴來利用。雖然不想說這種事情,但因為比起對孤兒發生了些什麼,對妳發生了些什麼更擔心悲傷的傢伙有很多呢」
「……わかりました」
「……我明白了」

 わたしが頷いた時には商業ギルドに到着していた。ギッとルッツが開けてくれたドアを通り抜けながら、ベンノは少し眉を寄せて不機嫌そうな顔になる。
 在我點頭的時候到達了商業公會。一邊穿越路茲嘰地給打開的門,班諾一邊變成了皺著眉頭不愉快似的臉。

「新しい商品を作ったり、困ったことができたり、何か必要な物があれば、相談に来い。もちろん、相応の金は取るが、できるだけ便宜を図ってやる」
「又是製做新商品,又是要傷腦筋的事情,有什麼需要的東西的話,過來商量。當然,雖然要拿相應的錢,但會盡可能謀求方便」
「感謝します。ありがとう、ベンノさん」
「非常感謝。謝謝,班諾先生」

 夕暮れが近付いているので、人が少なくなっている商業ギルドの2階をさっさと通り過ぎて、3階のカウンターへと向かった。
 由於接近了黃昏,快速通過人變少起來的商業公會的2樓,轉往3樓的櫃檯。
 仮のギルドカードを返し、洗礼式前からベンノが準備していた書類を提出して正式登録する。書類には売買の店にベンノ店、交渉役にルッツを指名する旨もしっかりと書かれていた。
 歸還臨時公會卡,提出從洗禮式前班諾就準備好的文件做正式登記。在文件上指名買賣的店是班諾的店、談判員是路茲的主旨也好好地被寫上了。

「あら、マイン。来ていたの?」
「啊啦,瑪茵。來了嗎?」

 ギルド長室にいたのだろうか、淡い桜色のツインテールを揺らしながら階段を下りてきたフリーダが、待合スペースの書棚を漁っているわたしを見つけて、駆け寄ってきた。
 是在公會長室嗎,一邊搖晃著淡淡櫻花色的雙馬尾一邊走下來樓梯的芙莉妲,發現了蒐羅著接待空間的書架的我,跑了過來。

「洗礼式が終わったら、登録に来ると思っていたのに、全く音沙汰ないんですもの。もしかしたら、洗礼式で倒れたのではないかと心配していたのよ」
「明明認為洗禮式結束的話,就會來登記,卻完全沒有音訊。難道說、是不是在洗禮式倒下了擔心著唷」
「ふふっ、お見通しだね。本当に倒れたんだよ。やっと回復したの」
「呵呵,就像妳想的呢。真的倒下了唷。終於恢復了」

 フリーダの予想通りだったことが少し面白くて、わたしが小さく吹き出すと、フリーダは地図を広げていたルッツを軽く睨んだ。
 如同芙莉妲的預料這件事有點有趣,我小小地校了出來後,芙莉妲輕輕瞪著正攤開地圖的路茲。

「ルッツが付いていたのに、マインが倒れるなんて」
「明明有路茲跟著,瑪茵倒下什麼的」
「今回はルッツに非は全くないから。むしろ、わたしが悪いから」
「因為這回路茲完全沒有錯。不如說,因為我不好」

 倒れた原因が腹筋崩壊と図書室見つけて大興奮なのだから、全面的にわたしが悪い。心配かけたことを土下座レベルで謝らなければならないくらいだ。
 因為倒下的原因是腹肌崩壞跟發現圖書室而大興奮,全面地是我不好。宛如必須要以跪拜來道歉讓妳擔心了。

「おい、マイン。呼ばれてるぞ」
「喂,瑪茵。被叫到了喔」

 フリーダと話をしているうちに、新しいギルドカードができたらしい。フリーダはカウンター奥の仕事に戻り、わたしは説明を受けるためにカウンターへと向かった。
 在跟芙莉妲說話的期間,新的公會卡似乎做好了。芙莉妲返回櫃檯深處的工作,我為了接受說明而轉往櫃檯。
 新しいカードは前の情報を引き継いでいるが、血判は必要だと言われて、ひっと息を呑む。
 新的卡片繼承了以前的情報,但被說了血印是必要的,唏地嚥下一口氣。

「マイン、諦めろ」
「瑪茵,放棄吧」

 手渡された針で指を突いて、じわりとにじむ血を押しつけると、カードが光って登録は完了する。登録は簡単だけれど痛い。
 用被遞交的針刺入指頭,將緩緩滲出的血按壓上去後,卡片發了光登記完成了。雖然登記很簡單但很痛。
 登録料に小銀貨5枚を払った後、仮登録と工房長としてのカードの違いについて説明を受けていると、それを聞き咎めたフリーダがわたしの手元を覗きこんできた。
 在登記費上支付了小銀幣5枚之後,接受了關於臨時登記跟作為工坊長的卡片的不同的說明後,責問著那個的芙莉妲望進了我的手邊。

「まぁ、マイン工房ですって? ベンノさんのお店で商人見習いになるのではなかったの?」
「哎呀,是說瑪茵工坊? 不是在班諾先生的店鋪裡成為實習商人嗎?」
「体力的に仕事できないから諦めたの」
「因為無法做體力的工作而放棄了」
「では、マイン工房が作った物を我が家にも卸していただこうかしら?」
「那麼,將瑪茵工坊製做的東西也批發給我家如何?」

 即座にきらりと目を光らせて商人の顔になるフリーダを見て、わたしは少し視線を逸らす。
 看到立刻變成讓目光閃閃發光的商人的臉的芙莉妲,我稍微撇開了視線。

「あ~、ごめん。マイン工房で作った物はルッツがベンノさんのお店で売ることになってるの」
「啊~,抱歉。在瑪茵工坊製做的東西是路茲要在班諾先生的店鋪裡販賣的」
「……またルッツなのね」
「……又是路茲呢」

 むぅっと不満そうにフリーダが唇を尖らせるが、決まってしまった物は仕方ない。フリーダにはカトルカールの専売権を売ったのだから、それで諦めて欲しい。
 芙莉妲唔地不滿似的嘟起了嘴唇,但已經決定的東西是沒辦法的。因為賣給了芙莉妲磅蛋糕的專賣權,希望能就此死心。

「フリーダにはカトルカールを譲ったでしょ? どう? 売り物になりそう?」
「讓給了芙莉妲棒蛋糕了吧? 如何? 能成為販售品嗎?」
「えぇ、イルゼが張り切って味の研究をしているわ。売りに出す前にマインの意見が聞きたいそうよ。ぜひ味見にいらして。明日はどう?」
「嗯,依露潔正幹勁十足地研究味道。在拿出販賣之前似乎想聽聽瑪茵的意見。務必來嚐嚐味道。明天如何?」

 食べたいけど。疲れた時に甘い物って素敵だよね、って思うけど。神殿との交渉が終わるまでは、お菓子の味見に行く余裕はない。
 雖然很想吃。在疲勞的時候甜的東西是最棒的呢,雖然那樣想。直到跟神殿的談判結束之前,沒有去嚐嚐點心的味道的餘裕。

「お誘いはありがたいけど、明後日までは予定が詰まってるの」
「雖然很感謝邀請,但直到後天都塞滿了預定」
「では、その次の日はどうかしら? よかったら、マインのお姉様も連れていらして。お姉様がいらっしゃれば、ルッツは来なくていいでしょう?」
「那麼,那個隔天如何呢? 可以的話,瑪茵的姊姊大人也帶過來。姊姊大人來的話,路茲不來也可以對吧?」

 トゥーリの存在をちらつかせて、フリーダがルッツを牽制し、ルッツは今にも噛みつきそうな顔でフリーダを睨んでいる。そういえば、前回はトゥーリを馬車に乗せて、ルッツを置いていったのだ。
 亮出了圖麗的存在,芙莉妲牽制著路茲,路茲現在也用緊咬般的臉瞪視著芙莉妲。這麼說來,上回讓圖麗乘坐馬車,將路茲放置了。

「フリーダ、そんな意地悪言わないで、みんなで食べた方がおいしいよ? イルゼさんが味の研究をしているということは、いくつかあるんでしょ?」
「芙莉妲,別說得那麼壞心眼,大家一起吃會比較美味唷? 所謂依露潔女士正在研究味道,是有好幾個對吧?」
「それはそうですけど……」
「雖然說是那樣說……」

 唇を尖らせて不満顔になったフリーダに、わたしは商品の試食という点を追及していく方向でフリーダの思考を感情的なものから、商人思考に切り替えできないか考える。
 對變成嘟起嘴唇不滿表情的芙莉妲,我考慮著因為將會去追究所謂商品試吃的點的方向的芙莉妲的思考是情緒化的東西,能不能切換成商人思考。

「商品の完成度と売れ行きを予測するためには、できるだけたくさんの人に食べてもらって、意見をもらうのが良いと思うよ。子供と大人では求める味が違うし、男性と女性でも違うからね」
「為了商品的完成度與預測銷路,盡可能讓很多人的吃,我認為接受意見是很好的唷。小孩子與大人尋求的味道是不一樣的,因為即便是男性與女性都不一樣呢」
「……たくさんの人? どのように食べていただきますの? お茶会をするにしても、なかなかたくさんの人をお招きするのは難しいですわ」
「……很多的人? 要怎麼樣吃呢? 就算舉辦茶會,招待相當多的人也很困難喔」

 フリーダの目が商人のものになってきた。ただ、思考がルッツを参加させることから、たくさんの人を招くお茶会に変わってきてしまったようだ。ルッツの参加を了承してもらいたくて、わたしは何とか言質を取ろうと言葉を重ねる。
 芙莉妲的眼睛變成了商人的東西了。只是,因為思考要讓路茲參加,似乎就變成了招待很多的人的茶會。想要讓路茲的參加獲得同意,我設法取得承諾而重複話語。

「別にお茶会じゃなくても良いんじゃない? 一口サイズに切った色んな味のカトルカールを準備して、どれが一番おいしかったか、どうしておいしいと思ったのか聞いてみるような試食会をするつもりで、ルッツも……」
「就算不特意是茶會也可以不是嗎? 打算舉辦準備好切成一口尺寸各種味道的磅蛋糕,試著聽看看哪個是最美味的呢、想著為什麼美味呢那樣的試吃會,路茲也……」
「その案、いただきますわ!」
「那個提案,我收下了喔!」

 わたしが最後まで言うより先に、フリーダがポンと手を叩いて、目を輝かせた。興奮して完全に浮かれたような表情になっている。すごく楽しそうで幸せそうな顔をしているけれど、こちらはもう完全に視界に入っていないように見えた。
 比我說到最後還優先,芙莉妲碰地敲著手,閃耀著目光。變成了興奮著完全興致勃勃的表情。雖然說做非常快樂似的幸福般的臉,但看起來這邊已經像是完全沒進入視野了。

「え? フリーダ?」
「咦? 芙莉妲?」
「試食会の日時が決まったらお知らせするわね。もちろん、お姉様もルッツも。あぁ、忙しくなるわね。では、マイン、ルッツ。ごきげんよう」
「試吃會的日期決定的話會通知妳呢。當然,姊姊大人跟路茲也行。啊,變忙了呢。那麼,瑪茵,路茲。告辭了」

 思いついたことをすぐに形にしたいとばかりに、フリーダはくるりと踵を返して、階段を駆け上がっていく。多分、ギルド長に相談に行ったのだろう。何を思いついて、どう暴走していくのかよくわからないが、フリーダが機嫌よくルッツを招いてくれる気になったのだから、結果としてはよかったのだろう。
 盡是想把想到的事情馬上塑造成型,芙莉妲迴轉腳後跟,跑上樓梯去了。大概,是去跟公會長商量吧。雖然不是很明白想到了什麼、怎麼持續暴走著呢,但因為在意芙莉妲心情很好地給招待了路茲,作為結果是很好的吧。
 交渉が終わった後なら、色んな味のお菓子を楽しむのも良いなぁ、と微笑ましくフリーダの後ろ姿を見送っていると、ルッツが軽く溜息を吐いた。
 如果談判結束之後,能享受各種味道的點心也很好呢,目送著那樣微笑著的芙莉妲的背影後,路茲輕輕嘆了一口氣。

「な? フリーダとマインって、似てるだろ?」
「看? 是說芙莉妲跟瑪茵,很像對吧?」

 ルッツの言葉にベンノはククッと笑って肯定した。
 班諾對路茲的話語咕地笑了肯定著。


 無事に手続きを終えて、商業ギルドを出ると、夏の長い日でさえも暮れようとしている時間になっていた。商業ギルドに入る時には賑わっていた中央広場も、行き交う人がまばらになってきたように感じる。
 平安無事地結束手續,出來商業公會時,已到了就連夏季的長日也正要天黑的時間。在進入商業公會時熱鬧著的中央廣場也,感覺像是變成了往來的人很稀疏了。
長い影法師を見ながら歩いていると、ルッツと繋いでいる手に少し力が込められた気がした。
一邊看著長長的人影一邊正走著時,感覺到跟路茲牽著的手稍微被灌入了力量。

「どうしたの?」
「怎麼了呢?」

 わたしが足を止めてルッツを見上げると、ルッツは怒っているような、泣きだしそうな複雑な表情に顔を歪めて、わたしを見下ろした。ぽつりと零すルッツの言葉が影に落ちていく。
 我停下腳仰望著路茲後,路茲扭曲著好像生氣著、又好像哭出來那樣複雜的表情的臉,俯視著我。一滴滴地灑落的路茲的話語落入了影子裡。

「……マインは本当に神殿に入るのか?」
「……瑪茵真的要進入神殿嗎?」
「うん、多分ね。ベンノさんの話が全部本当なら、神殿の方がわたしを離さないと思う。ベンノさんはそう予測してるでしょ?」
「對,大概呢。如果班諾先生的話全部是真的,我認為神殿那邊不會放開我的。班諾先生做了那樣的預測對吧?」

 ルッツは一度キュッと唇を引き結んだ後、不安そうにわたしを見つめた。
 路茲一度緊緊抿著嘴唇之後,不安似地凝視著我。

「交渉、できるのか?」
「談判,做得到嗎?」

 落ちていく夕日で陰影が濃くなって、一層不安そうに、泣きそうに見える。握っている手には少しずつ力が込められていくのがわかった。
 因逐漸落下的夕陽陰影變濃了,似乎越發不安,看起來快哭了。明白了握著的手上一點一滴地被灌注了力量。
 ルッツの不安を少しでも取り除いてあげたくて、わたしはニコリと笑って見せる。
 想要多少除掉路茲的不安,我微微地笑了展現著。

「貴族と交渉したことがないから、どうなるかわからない。でも、聖杯が本当に魔術具で、身食いを抑えられるなら、神殿に行った方が良いし、本を読むためには入りたいと思ってるよ。けど、灰色の巫女にはどう考えてもなれないから、交渉次第だよね。自分の環境をちょっとでも良くするために頑張ってみるよ」
「因為不是跟貴族談判,不知道為變成怎樣。但是,聖杯真的是魔術具,如果身噬被壓制,我想去神殿是最好的,為了看書而想進去唷。但是,因為灰色的巫女就算怎麼思考也當不了,就要看談判了呢。為了讓自己的環境稍微好點而試著加油唷」
「あぁ……」
「啊……」

 ほんの一瞬痛そうに顔を歪めたルッツが目を伏せて歩き始める。
 一瞬間扭曲著疼痛似的臉的路茲低下了目光開始走著。
 しばらく沈黙したまま、二人で歩く。荷馬車が通り過ぎる音を気にするふりしてルッツの顔を見上げれば、何か言いたそうなのに呑みこんでいるような表情をしていた。無言で足を進めるうちに、どんどん気になってくる。
 依然暫時沉默著,兩個人走著。假裝在意貨運馬車通過的聲音仰望路茲的臉的話,做出了明明想要說些什麼卻吞了進去般的表情。在無言地前進著腳的期間,漸漸在意了起來。

「ねぇ、ルッツ。言いたいことがあるなら言っちゃえば? 聞くよ?」
「喂,路茲。如果有想說的事情就說吧? 我會聽唷?」

 足を止めたルッツは少し口を開いて、引き結び、少し考えこんだ後、プイッと視線を逸らした。
 停下腳的路茲稍微開口、抿著,稍微沉思之後,生氣地撇開了視線。

「……カッコ悪いから言いたくない」
「……因為相當不好不想說」
「そう、わかった」
「是嗎,我知道了」

 いくら気になっても、カッコつけたい男心は尊重してあげた方が良いだろう。わたしは頷いて、再び歩きだした。
 就算多少會在意,想要加上括弧的男子氣概給予尊重會比較好吧。我點點頭,再次走了起來。

 またもや沈黙が続く。石畳に同じように帰宅を急ぐ人達の足音が響き、夕方の喧騒があちらこちらの窓から聞こえてくるのに、わたし達の周りだけは、シンと静かで空気が重い。
 又再次繼續沉默。在石板路上像是同樣急著回家的人們的腳步聲響起,傍晚的喧囂明明從到處的窗戶都能聽到,但只有我們的周圍,寂靜無聲的空氣很沉重。
 日が落ちてしまったのか、建物の長い影が重なって影を濃くしているのか、足元も少しずつ暗くなっていく。
 太陽下山了嗎,建築物的長長影子重疊了而把影子變濃了嗎,腳邊也一點一滴地逐漸變暗了。

「……一緒に紙を作って、本を作って売るって言ったくせに。マインの嘘つき」
「……明明說好要一起製做紙張,製做書本販賣的。瑪茵這個騙子」

 ガタガタと脇を通り過ぎる荷馬車の音に紛れるようなルッツの呟きだったけれど、ハッキリと聞きとれた。くるくると状況が変わっていく中で、言いたかったのに言えなかったルッツの文句が胸に刺さった。
 雖然是混進嘎嗒嘎嗒地通過兩側的貨運馬車的聲音裡般路茲的嘟噥,但能清楚地聽取到。狀況在轉啊轉地逐漸改變中,明明想要說卻說不出口的路茲的牢騷刺在胸中。

「ごめんね、ルッツ」
「抱歉呢。路茲」
「マインが謝ることじゃない。オレの力じゃ何もできないってわかってるんだ。旦那様の言ったことは正しいから、マインが少しでも危険な目に遭わないように、できるだけの協力をしたいと思ってる」
「瑪茵不需要道歉。我知道我的力量什麼都做不到。因為老闆說的事情是正確的,為了瑪茵多少不會遭遇到危險,想著想要盡可能的協助」

 ルッツはそこで言葉を切って、一度ギリッと奥歯を噛みしめた。
 路茲在那裡切斷了話語,一度緊緊咬牙切齒著。

「……でも、悔しい。マインはオレと本屋さんをするって言ったのに……」
「……但是,不甘心。明明瑪茵說過要跟我當書店老闆的……」
「そうだね。でも、わたしは本が読みたいから、作ろうと思ったの。だから、神殿に行っても本を作るのは止めないよ? むしろ、寿命が延びたんだから頑張っちゃうよ? 本を増やさなきゃ、わたしの野望は達成しないでしょ?」
「說得也是呢。但是,因為我想要看書,而想著製做。所以,就算去了神殿也不會停止製做書本唷? 不如說,正因為壽命延長了而努力著唷? 若不增加書本,我的野心是不會達成的對吧?」

 わたしの言葉にルッツが顔を上げた。泣きそうな歪んだ笑顔でルッツは肩を竦める。
 路茲因我的話語抬起了頭。用快哭似的扭曲笑臉路茲聳了聳肩。

「本に囲まれて、本を読んで暮らすっていう野望?」
「所謂過上被書本包圍、讀書的生活的野心?」
「そう。ルッツは商人になりたいんでしょ? 商人になって色んなところへ行ってみたいんだよね? わたしにも夢があるんだよ」
「沒錯。路茲想要成為商人對吧? 想要試著成為商人去到各種地方的吧? 我也有夢想的唷」

 それぞれの夢に向かって頑張ろうね、と言うと、ルッツは今度こそ泣きそうな顔になった。溢れそうな涙が薄暗がりの中でもハッキリと見えた。
 朝向各自的夢想而努力呢,那樣說後,路茲這一次才是變成了快哭了的臉。快溢出的淚水即便在昏暗的地方也看得很清楚。

「マインの夢、応援したいと思ってる。……でも、オレ、マインが一緒だから頑張れたんだ。一緒に旦那様の店で頑張りたかった。マインと一緒にもっと色んなことをしたいよ」
「瑪茵的夢想,我想著想要支援。……但是,我,因為瑪茵在一起而能努力呀。想要一起在老闆的店裡努力著。想要跟瑪茵一起做各種事情」

 そう言いながら、ルッツがわたしを抱きしめて、わたしの肩口に俯いた顔を埋めた。必死に抑えようとしている小さな嗚咽が肩に落ちてくる。
 一邊那樣說,路茲一邊緊抱著我,把低下的臉埋在我的肩頭上。正拚命地壓抑著的小小嗚咽落到了肩膀上。

「大丈夫。神殿に入ってもできるよ。絶対に本を作るから」
「不要緊。就算進入神殿也能做到唷。因為絕對要製做書本」
「違う。そうじゃない。他の誰かと作った本をオレが売るんじゃなくて、オレがマインと一緒に作りたかったんだ」
「不對。不是那樣。並不是我來販賣跟其他的誰製做的書本,我想要跟瑪茵一起製做」

 溜めに溜めていたのだろう、ルッツの不満が堰を切ったように零れてきた。駄々をこねるように首を振るルッツに、わたしまで胸が痛くなってきて涙が零れる。不満ごとルッツを抱きしめ返して、ポンポンと背中を軽く叩いた。
 是不斷積存下來的吧,路茲的不滿像是潰堤般灑落下來。對像是任性撒嬌著搖著頭的路茲,就連我也胸口變得疼痛起來而淚水滴落。連同不滿返回緊抱著路茲,碰碰地輕輕拍打著背後。

「前に決めたことは変わらないよ? わたしが考えた物は、ルッツが作ってくれるんでしょう? 何か作る時にはベンノさんより先に、誰より先に、ルッツに相談するし、協力もお願いするよ」
「在之前決定的事情是不會改變的唷? 我所思考的東西,路茲來給予製做對吧? 在製做什麼的時候比起班諾先生優先,比任何人優先,來跟路茲做商量,協助也拜託了唷」
「オレ、何もできないのに?」
「我,明明什麼都做不到?」

 ルッツが驚いたように顔を上げた。ルッツの頬の涙を手で拭いながら、わたしは小さく笑った。
 路茲像是驚到了一樣抬起了頭。一邊用手擦去路茲臉頰的淚水,我一邊小小的笑了。

「ルッツが何もできないなら、わたしなんてどうなるの? わたしにできることなんてある? それにね、何をどうするのか、何が出来上がるのかわからない状態で、わたしの作りたい物に付き合ってくれる人ってルッツしかいないから。ルッツがいなくて困るのはわたしなんだよ」
「如果路茲什麼都做不到,我什麼的會怎樣呢? 有我能做到的事情什麼的? 而且呢,以不知道什麼該怎麼辦呢、什麼能做出來呢的狀態,因為給予陪伴我的想做的東西的人只有路茲。路茲不在了困擾的會是我唷」
「……いや。もう、マインが作る物には価値があるってわかってるから、みんな手伝ってくれるさ」
「……不。因為,已經知道瑪茵所做的東西是有價值的,大家會給予幫忙的啊」

 ルッツはつまらなそうに唇を尖らせて、泣いてしまったことを恥じるように急いで涙を拭う。言いたいだけ不満を吐きだして少しはスッキリしたのか、気恥しさを振り払いたいのか、ルッツはしきりに肩や腕を動かす。
 路茲無聊似地嘟起嘴唇,像是羞於哭泣著的事情而急忙擦去眼淚。是吐出了只是想說的不滿而爽快了嗎,還是想抖落羞恥心呢,路茲頻頻動起肩膀跟手腕。

「うーん、誰かと作ることになっても、なかなかうまくいかなくて、結局ルッツを呼びだして、仲立ちしてもらう未来しか思い浮かばないんだけど、ホントに手伝ってくれる?」
「對,就算變成跟某人製做,也會相當無法順利進行,結果就呼喚了路茲,雖然說只有接受居間調和的未來想不出來,但真的會給予幫忙嗎?」

 わたしが肩を竦めると、ルッツはやっと笑ってくれた。ギュッと手を握り、どんどん暗くなっていく道を明るい笑顔で歩きだす。
 我聳了聳肩後,路茲終於笑了起來。緊緊握著手,用明朗的笑容開始走在不斷變暗的路上。

「大丈夫だって。オレが作ってやるよ」
「不要緊的。我會做的唷」

======================================================================
 契約魔術と工房登録はつつがなく終了しました。
 契約魔術與工坊登記安然無恙地結束了。
 マインが神殿入りするのが不安なルッツでした。
 是瑪茵進入神殿而不安的路茲。

 次回は招待状に驚く両親と神殿に行きます。
 下回是驚訝於邀請函的雙親跟去神殿。
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