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第一部士兵的女兒 既得利益

作者:SPT草包│2017-05-19 22:54:54│贊助:2│人氣:241
本好きの下剋上~司書になるためには手段を選んでいられません~
以下犯上的書癡~為了成為圖書管理員而不擇手段~
作者:香月美夜
第一部兵士の娘 既得権益
第一部士兵的女兒 既得利益
原文連結

 次の日は、皮の取り入れと黒皮を剥いで白皮にしなければならないので、板と鍋と桶を持っていった。
 由於隔天,必須要做皮的收穫與剝下黑皮成為白皮,而將板子與鍋子與水桶帶過去。
 火に当たりながら、時々はお湯に手を付けて温めながら、皮をナイフで剥いでいく。
 儘管就著火,但時不時一邊將手放進熱水裡溫熱,一邊用小刀把皮剝下來。

「ハッキリ言って、夏以外はやりたくないね。指先がジンジンする」
「清楚說一下,不想在夏季以外做呢。指尖麻麻刺刺的」
「そうだな。川に入るのはきついよな」
「也是呢。進入河川裡面很嚴峻呢」

 愚痴を零しつつ、手はしっかりと動かして、トロンベの白皮を完成させていく。白皮になっても、特にカビらしい斑点は見当たらず、わたしは安堵の息を吐いた。
 一面發著牢騷,手一面好好地動作著,逐漸將特隆貝的白皮完成。就算變成了白皮,也找不到似乎特別像黴菌的斑點,我吐一口安心的氣。

「……特にカビも生えてなかったみたいだね。よかった」
「……特別是好像黴菌也沒有生長呢。太好了」
「フォリンはともかく、トロンベは大丈夫だって言っただろ?」
「佛林姑且不論,說過了特隆貝是不要緊的吧?」
「危険植物だもんね?」
「是危險植物嗎?」

 皮を剥き終わったら、森で採集をする。この時期でなければ取れない薬草もあるそうなので、ルッツに教えてもらいながら一緒に拾って歩いた。
 結束剝皮的話,在森林做著採集。由於在這個時期也有必須要採的藥草,一邊請路茲教一邊一起撿著走著。

「ねぇ、ルッツ。この赤い実は拾わないの? 毒?」
「喂,路茲。這個紅色的果實不撿嗎? 有毒?」

 森に落ちている、大人の親指の第一関節くらいの大きさの赤い実をルッツが避けて通ることに気付いた。もしかしたら、危険な毒の実かもしれない。わたしは触らないように指差した状態で、ルッツに尋ねる。
 注意到路茲避開通過落在森林裡、宛如大人拇指第一關節大小的紅色果實。難道說,搞不好是危險的有毒果實。我以像是沒觸碰到手指著的狀態,詢問著路茲。

「あぁ、タウの実は触らなくて良い。これは、中がほとんど水なんだよ。食べられないし、持って帰ったら、水がなくなってカラカラになるだけで、今は使い道がないんだ」
「啊,濤的果實最好別碰。這個,裡面幾乎都是水唷。不能夠吃,帶回去的話,水會變沒有就只是變得乾燥堅硬,現在沒有用法」
「今は、って?」
「現在、是說?」
「夏になったら、拳くらいに大きくなっているんだ。タウは何かにぶつかったら水が弾けるから、ぶつけ合いをして遊ぶんだよ」
「到夏季的話,會變得宛如拳頭的大小。因為濤打到什麼的話水就會炸開,是互相扔來玩的唷」

 自然にできる水風船みたいなものだろうと見当を付けてみた。家に持って帰っても枯れるだけで、このまま放置しておかないと、大きくならないらしい。
 試著加以推測是自然做到好像水球般的東西吧。就算帶回家裡就只會枯萎,不就這樣先放置的話,似乎不會變大。

 変な実。
 奇怪的果實。

「街中で大人も子供もごっちゃになってぶつけ合うんだよ。ほら、星祭りの時がすごいだろ?」
「在城市裡大人也好小孩子也好都會變得混雜互相扔著唷。妳看,在星祭的時候很厲害對吧?」

 もう一年以上いるはずなのに、そんな祭りは全く記憶にない。
 明明應該已經在一年以上了,那種祭典完全沒有記憶。

「……ねぇ、ルッツ。星祭りなんて聞いたことないんだけど? 夏にお祭りなんてあったっけ?」
「……喂,路茲。星祭什麼的沒有聽過就是了? 在夏季祭典什麼的有嗎?」
「前の星祭りの時は、死にかけてたじゃないか。誘いに行ったら、熱が全然下がらないって、おばさんが言ってて、祭りの後、オレは竹を取りに行ったんだぜ」
「之前的星祭的時候,不是瀕死了嗎。去邀請的話,阿姨說著,說是熱完全退不下來,祭典之後,我拿竹子過去了呀」

 あぁ、あの時か。
 啊,那個時候嗎。

 ルッツの言葉で、いつの死にかけだったか判明した。木簡を焼かれて、身食いに呑みこまれそうになる感覚を初めてハッキリと自覚した時のことだ。
 依路茲的話語,判明了是何時瀕死的呢。是木簡被燒了,第一次將變成被身噬吞進去似的感覺清楚地有了自覺的時候的事。
 何日も意識が戻らなかったらしいし、その後もしばらく寝込んでいたので、祭りがあっても、それどころではなかった。多分、家族にとっても同じことだろう。
 似乎是好幾天意識都沒有回來,由於那之後暫時臥床了,就算有祭典,也不是那種時候。大概,就算對家人來說也是一樣的吧。

「トゥーリも遊びたいはずなのに、わたしのせいで行けなかったよね?」
「明明圖麗應該也想玩的,卻因為我個緣故而沒去吧?」

 もしかしたら、わたしはトゥーリの子供時代の楽しい思い出を奪っているのかもしれない。そう考えて項垂れると、ルッツは肩を竦めて首を振った。
 難道說,我奪走了圖麗小孩子時代的快樂回憶也說不定。那樣思考著垂下了頭後,路茲聳聳肩膀搖了搖頭。

「いや、マインのことはおばさんが見てたから、トゥーリは参加してたぜ。ラルフと二人で先を争うようにして、森でタウを拾ってたし」
「沒有,因為瑪茵是阿姨看著,圖麗參加了喔。與拉魯夫兩個人像是爭先恐後著,在森林裡撿拾著濤」
「あ、そうなんだ。よかった」
「啊,是那樣啊。太好了」
「今年はマインも一緒に参加できると良いな」
「今年瑪茵也能一起參加就好了呢」
「うん」
「嗯」

 今年はなるべく体調に気を付けて、星祭りに参加することを約束して、採集を終えた。
 今年盡量留意身體狀況,承諾了要參加星祭,結束了採集。
 約束してみたものの、水をぶつけ合うような祭りに両親が参加を許してくれるかどうかはわからない。
 雖然試著承諾了,但不知道雙親會不會給予允許參加互相扔水般的祭典。

 その次の日からは倉庫前での作業だ。
 從那的隔天開始是在倉庫前的作業。
 水が冷たくて、お湯に何度も手を付けながらの作業になったが、契約書サイズの簀桁で、フォリン紙を漉いていく。
 水很冰,雖然變成儘管在熱水裡將手放進去好幾次的作業,但用契約書尺寸的簀桁,抄起了佛林紙。
 数日かけて乾かしながら、その間にトロンベの白皮を使った紙も作り始めた。
 一邊花費數天弄乾,一邊在那期間也開始製做使用特隆貝的白皮的紙張。

「フォリン紙は乾いたね。今日はよく晴れてたから」
「佛林紙乾了呢。因為今天經常晴天」
「トロンベは明日丸一日自然乾燥だよな?」
「特隆貝是明天一整天自然乾燥嗎?」

 作業過程を確認し合いながら、できあがったフォリン紙26枚をルッツと半分に分けた。13枚手渡された紙を持って、ルッツが困ったように眉を寄せる。
 一邊互相確認作業過程,一邊將做出來的佛林紙跟路茲對半分。拿著被遞交的紙,路茲像是很困惑地皺起眉頭。

「なぁ、マイン。どうしてここで分けるんだよ? 旦那に渡した後、お金を半分に分ければ良いだろ?」
「吶,瑪茵。為什麼要在這裡分唷? 交給老闆之後,將錢對半分比較好對吧?」
「だって、わたし、現物が欲しいんだもん。ベンノさんに原料を買ってもらって、自分の分にするのはダメだけど、原料を自分達で準備した分なら、わたしがもらっても良いでしょ?」
「可是,我,想要現貨咩。雖然說請班諾先生買原料,做成自己的份是不行的,但如果是我們自己準備了原料的份,就算我們收下也可以對吧?」

 ベンノに売った後で紙を買おうとすれば、手数料の3割分を取られることになる。それならば、最初から売らなければいい。
 打算賣給班諾之後再買紙的話,就會變成要被收取手續費的3成的份了。若是那樣的話,從最初就不賣就好了。

「マインは売らないってことか?」
「瑪茵不賣掉嗎?」
「わたしが売るのは半分だけにする。紙を集めていって、本を作るの」
「我要賣的只有一半。收集著紙張,製作書本」

 配合もきちんと決まった上に、少しずつ手慣れてきて、失敗作が少なくなってきた。それでは本を作りたいのに困る。最近は母がいろんな話をしてくれるから、書き留めるのが大変なのだ。
 在調配也好好地決定了之上,一點一點地熟練起來,失敗作變得沒多少了。那樣的話明明想要製做書本卻很困擾。因為最近母親說起了各種故事,要記下來是很辛苦的。

 作業が終わったので、倉庫の鍵を返すついでに、できあがった紙を早速ベンノところに持っていくことにした。
 由於作業結束了,決定還回倉庫的鑰匙順便,將做出來的紙張趕快帶去班諾的所在。

「お、できたか」
「喔,做好了嗎」

 ベンノはフォリン紙をわたしとルッツからそれぞれ受け取って、枚数を数えた。ルッツが13枚で、わたしが6枚。あからさまに違う枚数に眉をひそめる。
 班諾將佛林紙從我跟路茲那各自收下,數著張數。路茲是13張而,我是6張。對明顯不一樣的張數蹙眉。

「マインの分が少ないな。どうした?」
「瑪茵的份沒多少呢。為什麼?」
「紙が欲しいので、現物をもらいました。原料を買ってもらったものならともかく、今は原料も自分で採っているからいいでしょう?」
「由於想要紙,收下了現貨。如果是請幫買原料暫且不論,因為現在原料也是自己採到的可以對吧?」
「……そうだな。原料を自分達で取った分に関しては構わんが、一体何に使うつもりだ?」
「……說得也是呢。雖然有關你們自己拿走了原料的份是不會介意,但到底打算為什麼而用?」

 少しばかり警戒した表情でベンノに問いかけられた。
 被班諾以稍微警戒著的表情詢問了。

「本を作るんです。だから、紙が欲しかったの」
「要製作書本。所以,想要紙張」
「本?……そんなものを作ってどうするんだ? 売れんぞ?」
「書?……製做那種東西是要做什麼? 賣掉嗎?」
「え? 自分で読むんですけど?」
「咦? 是自己要讀的就是了?」

 ベンノと二人で顔を見合せながら、お互いに首を傾げた。商品にならない物のために高価な紙を使うことが理解できないベンノと、利益なんてそっちのけでただ本が欲しいわたしが理解しあえるはずがない。
 一邊與班諾兩個人互相對看,一邊對彼此感到疑惑不解。無法理解為了無法成為商品的東西而使用了昂貴的紙張的班諾與,利益什麼的扔到一邊而只是想要書本的我應該是無法互相理解的。

「まぁ、いい。この大きさの紙一枚で大銀貨1枚が販売価格。手数料が3割。お前達の取り分はいくらだ?」
「算了,沒差。大銀幣1枚是這種大小的紙張一張的販售價格。手續費是3成。你們應得的份是多少?」

 ルッツはまだ割合がよくわかっていない。えーと、とルッツが慌てる横でわたしは即座に答えを出した。
 路茲還不是很明白比例。呃、地路茲在一旁慌張著而我立刻給出了答案。

「小銀貨7枚です」
「是小銀幣7枚」
「ハァ!? 小銀貨7枚!? ちょ、おま……え!? もらいすぎじゃないのか?」
「吓!? 小銀幣7枚!? 等、妳……!? 不會得到太多了嗎?」

 ルッツはどうやら全く予想していなかったようで、金額を聞いて口をパクパクさせる。
 看樣子路茲似乎完全沒有預料到,聽到金額就讓嘴巴一開一合著。

「……ルッツ、落ち着いて。今はもらいすぎって気がするかもしれないけど、わたし達が利益をもらえるのは洗礼式までだよ? ベンノさんがこれから先ずっと紙を売って手に入れる利益に比べたら、微々たるものだから気にしなくて良いから」
「……路茲,冷靜點。雖然現在感覺得到太多,但我們得到的利潤是到洗禮式之前唷? 因為相比班諾先生今後賣掉紙張得到的利潤的話,正因為是微薄的東西別介意會比較好」
「気にしなくて良いって、お前……」
「話說別介意會比較好,妳……」

 落ち着かせるつもりだったのに、ルッツは信じられないとばかりに余計に目をぐるぐるさせ始めた。
 明明是打算讓他冷靜的,路茲卻只是不可置信地開始多餘地讓眼珠轉啊轉著。

「今日はルッツが13枚売ったから、大銀貨9枚と小銀貨1枚。わたしは6枚売ったから、大銀貨4枚と小銀貨2枚」
「今天因為路茲是賣13張,大銀幣9枚與小銀幣1枚。因為我是賣6張,大銀幣4枚與小銀幣2枚」
「いや、大銀貨9枚って、どう聞いても微々たるものだなんて思えねぇからな?」
「不,是大銀幣9枚,因為就算怎麼聽也是微薄的東西什麼的不敢想呢?」
「え? じゃあ、販売価格を下げる?」
「哎? 那麼,把販售價格下降?」

 怖気づいたようなルッツを見て、わたしが少しばかり首を傾げて提案すると、正面でベンノが苦い顔をして首を振って却下した。
 看著好像害怕起來的路茲,我稍微歪頭不解的提案後,在正面的班諾做出痛苦的表情搖了搖頭駁回了。

「販売価格を下げるのはダメだ。既得権益と無用な軋轢が生じる。今は同じ値段でいい。ある程度流通するようになってから、販売価格については俺が考える。大金が怖いなら、俺が手数料を上乗せしてやろうか?」
「拉低販售價格是不行的。會與既得利益產生無用的不合。現在一樣的價錢就可以了。造成像是某程度的流通著之後,關於販售價格是我所考慮的。如果鉅款很可怕,要我做追加手續費嗎?」

 最後はルッツに向かってベンノがニヤリと笑った。
 班諾最後朝向路茲賊賊地笑了。

「値段についてはわたし達に決定権なんてないですから、値段の変更についてはベンノさんにお任せしますけど、手数料の変更は認めません。ねぇ、ルッツ。お金いらないなら、わたしがもらってあげようか?」
「因為關於價錢我們沒有什麼決定權,雖然關於價錢的變更就交給班諾先生了,但手續費的變更不同意。喂,路茲。如果不需要錢,我能收下嗎?」
「どっちにも渡すか! 大金すぎてちょっとビビっただけだ!」
「哪會交給哪一邊呀! 只是太過鉅款而稍微嚇到了!」

 自分のギルドカードを抱きしめるようにして、ルッツが吠えた。ギルドカードは血で本人認識をさせているので、本人以外が使うことはできない。かなり安全なお金の預け場所だ。
 作為像是緊抱著自己的公會卡,路茲吼著。由於公會卡是用血來讓它確認本人,本人以外是無法使用。是相當安全的存放金錢的地方。

「ギルドに預けておけば、自分で現金を見ることなんてないんだから、怖くないよ?」
「暫時存放在公會的話,因為自己不會看到現金什麼的,別害怕了唷?」
「くそぉ、変なところで図太いマインが羨ましい」
「可惡,在怪怪的地方厚臉皮的瑪茵真令人羨慕」
「図太いって、ひどーい!」
「說我厚臉皮,太過份了!」

 麗乃時代に貯金していたし、こちらの世界ですでに小金貨をもらったり、それがほとんどなくなるような魔術具に払ったりしていたので、大きな数字の金額が移動することに慣れていただけだ。決して図太いわけではない。
 是在麗乃時代存錢過,又是在這邊的世界已經得到了小金幣,由於那個支付給好像幾乎變不見的魔術具,就只是習慣了移動較大數字的金額。絕不是厚臉皮。

 わたしは、むぅっとむくれたまま、大笑いするベンノとカードを合わせて精算する。大銅貨5枚分を家族に渡すことにして、現金でもらった。ルッツも同じように家族に渡す分と、貯金分を分けて精算を終えた。
 我,仍舊不爽地膨起臉,跟大笑著的班諾合併卡片做了結算。決定把大銅幣5枚的份交給家人,以現金收下。路茲也結束了同樣地分成交給家人的份與、存款的份的結算。


 それから、数日後、倉庫の鍵を借りに行っていたルッツが手紙と大きな包みを持って帰ってきた。正確には手紙ではなく、板に書かれた招待状だ。そして、包みの中身は上から被って着るポンチョにフードが付いているような上着だった。
 然後,數天後,去借倉庫鑰匙的路茲帶回來了信件與大大的包裹。正確來說不是信件,是被寫在板子上的邀請函。而且,包裹裡面是好像在從上面覆蓋穿著的罩袍上加上兜帽的上衣。

「何だ、これ?」
「這是、什麼?」

 色違いのポンチョを持って、ルッツが眉を寄せた。わたしは招待状に目を通す。待ち合わせ場所とその理由が簡潔に箇条書きされていた。
 拿著不同顏色的罩袍,路茲皺起眉毛。我瀏覽著邀請函。會合的地點與那個理由被簡潔地分條列出著。

「服を買いに行くから4の鐘に中央広場で待ち合わせたいって」
「說是因為要去買衣服想在4之鐘在中央廣場會合」
「はぁ? 服?」
「啥? 衣服?」
「……わたし達が作った紙のことで、文句を言いに来ている人達がいるんだって。対処方法について話し合いたいけど、相手がわたし達の存在に気付かないよう立ち回りたいみたい。わたし達の恰好はあの店じゃ浮くから、これを着て来いって」
「……說是由於我們製做紙張的事情,有著來抱怨著的人們。關於應付方法雖然想協商,但好像是想要對方不會發覺我們的存在而走來走去。說是因為我們的姿態脫出那家店,要穿這個過去」
「え? 何だよ、それ!? 何か危ないことでもあるのか?」
「咦? 什麼唷,那個!? 是有什麼危險的事情嗎?」

 二人とも上から被って着るポンチョのような物を着てみる。とても温かいし、服がほとんど隠れる。ひとまず、ボロ服が隠れれば良いようだ。
 兩個人都試穿從上面覆蓋穿著的罩袍般的東西。是非常的溫暖,衣服幾乎被隱藏。姑且,破衣服似乎被隱藏會比較好。
 フードを被れば、髪も顔も隠れがちになるので、出かける時はフードを被ることにする。わたしの簪はとても目立つらしいので。
 由於戴上兜帽的話,會變得頭髮跟臉都遮蔽了,決定出門的時候戴上兜帽。因為我的髮簪似乎非常醒目。

「危ないかどうかはわからないけど、マルクさんに会うんだったら、ついでにトロンベ紙も売れるように、早目に取り入れちゃおうか? あ、でも、気付かれたくないって事は持ち歩かない方がいいのかな?」
「雖然是不是很危險我不知道,但見到馬爾克先生的話,為了特隆貝紙也順便賣掉,先早點收下嗎? 啊,但是,說是不想被發現的事情是不是帶著走會比較好呢?」

 トロンベ紙の出来具合を確認するわたしに、ルッツがくわっと怒った。
 對確認著特隆貝紙做好狀況的我,路茲猛然生氣了。

「マイン、なんでそんなに呑気なんだよ!?」
「瑪茵,為什麼那麼樣地悠閒著唷!?」
「え? でも、新しいことを始めたら既得権益とぶつかるのは予想の範囲内だったもん。思ったより反応が速いとは思うけど……」
「哎? 但是,開始新的東西的話會與既得利益碰撞是預料範圍內的東西。雖然我認為反應比想得還要快……」
「既得権益?」
「既得利益?」

 ルッツが眉を寄せて、あまり馴染みがない言葉を舌の上で繰り返す。
 路茲皺著眉頭,將不太熟識的話語在舌頭上重複著。

「すでに利益を得る権利を持っている団体のこと。ベンノさんが言ってたでしょ? 値段を下げると既得権益とぶつかるって。今回は多分、羊皮紙を作ってる人達だと思う」
「擁有著已經得到利益的權利的團體的事情。班諾先生說過了對吧? 說是拉低價錢與既得利益碰撞。我想這次大概,是製做著羊皮紙的人們吧」
「羊皮紙を作ってる人が何だよ? オレ達の紙は木から作るから関係ないだろ?」
「製做羊皮紙的人是什麼唷? 我們的紙張因為是從樹木做的沒有關係對吧?」

 作り方から考えれば、全く関係がなさそうだが、用途や客層は完全に同じものだ。今までは自分達の利益を脅かす存在が全くなかったはずなので、相手は見知らぬ紙の存在にパニックに陥っていると思う。
 從作法去考慮的話,雖然似乎完全沒關係,但用途或客層卻是完全相同的東西。我想由於至今應該完全沒有威脅我們自己的利益的存在,對方因沒見過的紙張的存在陷入了恐慌。

「えーとね、自分達しか紙を作れなかったから、どんなに高くても、みんな契約書の時は羊皮紙を買うしかなかったでしょ? でも、別の紙が出てきたら、そっちに今までのお客さんを取られるよね?」
「那個呢,因為我們自己無法製做紙張,就算多麼貴,大家在契約書的時候就只能買羊皮紙了對吧? 但是,別種的紙張出來了的話,就會被那邊奪走至今的顧客了呢?」
「まぁ、そうだな」
「是呀,沒錯呢」

 納得したようにルッツが頷く。用途が同じ品物が出れば、当然そちらに目を向ける客がいるのは当たり前だ。
 路茲像是理解了點了頭。用途相同的物品出現的話,會有當然將目光轉往那裡的客人是理所當然的。

「そうしたら、今までと同じ売り上げにはならないでしょ? それが嫌なんだよ。それにね、たくさん売られるようになったら、物の値段って下がっていくものなの」
「那樣的話,會造成與至今不同的銷售額的對吧? 那樣很討厭唷。而且呢,變得像是被賣掉很多的話,東西的價錢是會降下去的」
「そうなのか?」
「是那樣嗎?」

 わたしは石板に一つの図を書く。X軸とY軸の二本の直線と、二本の曲線で表した簡潔な需要と供給のラインを引いて、関係性を説明する。
 我在石板上畫了一個圖。X軸與Y軸的兩條直線後,以兩條曲線拉出表示簡潔的需求與供給的線,說明著關係性。

「これね、『需要』と『供給』の関係を示してるの。こっちが『需要曲線』で、こっちが『供給曲線』ね。『需要』はある商品を欲しいって思っている人で、『供給』はある商品だと思ってね」
「這個呢,表示著『需求』與『供給』的關係。這邊是『需求曲線』,這邊是『供給曲線』呢。我是認為『需求』是想著想要某商品的人,『供給』是某商品呢」
「あぁ」
「啊」
「欲しい人が多くて、売ってる商品が少ない場合は、商品の値段は上がるの」
「想要的人很多,賣的商品很少的的情況,商品的價錢會提高的」

 二本の曲線の先頭を示して言うと、ルッツは「品薄の時は何でも高くなるもんな」と理解を示した。
 說了表示兩條曲線的前頭後,路茲表示理解說「缺貨的時候不管什麼都會變貴呢」。

「それで、売ってる商品が増えたら、欲しいと思っている人はどんどん手に入れていくから、欲しいと思っている人が減ってくるでしょ? だから、値段が下がっていく」
「因此,賣的商品增加的話,因為想著想要的人不斷地得到了,想著想要的人就會減少了對吧? 所以,價錢降下去了」

 説明しながら、わたしは二つの曲線が交差する場所まで指を滑らす。
 一邊說明,我一邊滑動手指到兩個曲線交叉的地方。

「欲しいと思う人より商品が多くなると、今度はいくら商品を準備しても売れなくなるでしょ? そうすると値段はどんどん下がるよね?」
「商品變得比認為想要的人多的話,這次就算準備多少商品也會變得賣不完對吧? 那樣做的話價錢就會不斷下降了呢?」

 どんどん指を動かしていくと、需要曲線と供給曲線の上下関係は完全に逆転している。
 不斷移動手指之後,需求曲線與供給曲線的上下關係完全逆轉了。

「わかる? わたし達が紙を作れば作っただけ、こんな風に紙の値段は下がっていくの。羊皮紙を作っている人は羊皮紙の値段は下げられたくないし、今までの利益はきっちり確保しておきたいから、新しい紙に文句をつけに来るんだよ」
「懂嗎? 我們只要越製做紙張,像這樣紙張的價錢就會降下去的。因為製做羊皮紙的人不想要羊皮紙的價錢被拉低,至今的利益想要先好好做個確保,而來對新的紙張抱怨的唷」
「なぁ、それってまずくないか?」
「吶,要是那樣不是很糟糕嗎?」

 不安そうなルッツにわたしは笑って首を振った。
 我對不安似的路茲笑著搖了搖頭。

「ベンノさんがわたし達の存在を隠そうとするってことは、その人達の相手はベンノさんに任せておけばいいってことだよ。ルッツが心配しなくても大丈夫。詳しい話は聞いてみないとわからないけどね」
「要說班諾先生打算隱藏我們的存在這件事,就是說對方那些人們暫且交給班諾先生就可以了這件事唷。路茲就算不擔心也不要緊。雖然不試著去問詳細情形就不知道呢」

 招待状で指定された待ち合わせの時間までにトロンベ紙が24枚できたけれど、相手の出方を見るためにも倉庫に置いておくことにした。
 雖然說在被邀請函指定的會合時間到之前特隆貝紙做好了24張,但為了觀察對方的態度決定先放置在倉庫。

「一応ルッツもフードを被って、髪の色や顔立ちがわからないようにしていてね」
「姑且路茲也戴上兜帽,要做到像是頭髮的顏色或容貌都不知道呢」

 ベンノが服を送ってくるほど警戒しているということは、危険な事に巻き込まれる可能性もないわけではない。
 所謂班諾送了衣服來般做了警戒的事情,並非沒有被捲進危險事情裡的可能性。
 少しばかり緊張しながら中央広場で待っていると、4の鐘が鳴った後でマルクがやって来た。
 一邊稍微緊張著一邊在中央廣場等候著,在4之鐘鳴響之後馬爾克過來了。

「お待たせしました。お約束通り、見習いに必要な服を買いに行きましょう」
「久等了。按照約定,去買在實習上必要的衣服吧」
「はい、よろしくお願いします」
「好的,拜託您了」

 わたしは見習いにならないから服は必要ないけれど、ベンノさんの店に出入りするのに、目立たないような服を買った方がいいかもしれない。
 雖然說因為我沒有要成為實習衣服沒有必要,但要進出班諾的店的話,買下不顯眼般的衣服會比較好也說不定。
 それは無駄遣いになるのかどうか考えながら歩いていると、体調が良くないと勘違いしたマルクにひょいっと抱き上げられてしまった。
 那個會不會變成浪費錢一邊思考一邊走著時,被誤解了身體狀況不好的馬爾克輕輕地抱了上來。

「自分で歩けますけど!?」
「我自己能走的!?」
「いえ、何やら唸っていたので、不安になってしまっただけです。わたしの安心のためにこうさせてください」
「不,因為總覺得在呻吟著,只是變得不安了。為了我能放心請讓我這樣做」
「ちょっと考え事をしていただけです。健康上は何の問題もありませんから!」
「只是稍微在思考事情。因為健康上什麼問題都沒有!」

 笑顔を崩さずに、マルクは少しだけ歩くスピードを上げる。わたしの意見を聞き入れる気は全くないようだ。
 保持著笑容,馬爾克只是稍微提高了走路速度。似乎完全無意將我的意見聽進去。

「どうぞ、存分に考え事をなさってください」
「請吧,請盡情思考事情」
「ルッツ~!」
「路茲~」
「その方が速いから、そのままいろよ」
「因為那個方法很快,就那樣待著唷」

 ルッツに助けを求めても却下されたので、わたしは抵抗を諦めた。
 由於就算向路茲尋求幫助也會被駁回,我放棄了抵抗。

 むぅ、四面楚歌って感じ!
 唔,感到四面楚歌!


 三人で洋服を扱う店に入ると、店主がにこやかに出迎えてくれた。店員も客も上品できちんとした服を着ている。わたしとルッツだけで来たら、門前払いされそうな店だ。
 三人進入了處理西服的店後,店主笑容滿面地來迎接了。不論店員或客人都穿著著用優良品好好做成的衣服。只有我跟路茲來的話,是會被掃地出門似的商店。

「あら、マルクさん。いらっしゃい。見習いさん?」
「啊啦,馬爾克先生。歡迎。實習生嗎?」
「えぇ、そうです。服の注文を二人分、お願いします」
「對,沒錯。下訂衣服兩人份,拜託了」

 見習いの服はここであつらえているのか、マルクの簡潔な注文に店主は微笑んで頷いた。
 實習的衣服是在這裡訂做的嗎,店主對馬爾克簡潔的下訂用微笑點頭。

「え? 二人分って、わたしも?」
「咦? 是說兩人份,我也要?」

 ルッツはともかく、わたしは見習いになるわけではない。しかし、マルクは笑みを崩さずに頷いた。
 路茲姑且不論,我並沒有要成為實習。可是,馬爾克保持著笑容點著頭。

「その恰好で店に出入りすると、どうしても目立ちますから。申し訳ないですが、作っていただきます。マインは見習いにならなくても、店に出入りするのですから、一つ持っておくと便利ですよ」
「因為以那副姿態進出店裡的話,無論如何都會很醒目。雖然很過意不去,但還請製做吧。就算瑪茵不成為實習,因為要進出店裡,先拿一個會很方便喔」
「……それもそうですね」
「……那樣說也對呢」

 見習いにはならないけれど、新しい商品を開発したり、利益のことや在宅仕事のことでベンノに相談に行く機会は今と変わらないはずだ。それなのに、ルッツは見習いの綺麗な服で、わたしはボロというのも悲しい。今のわたしには出せるお金があるのだから、服を作っておいた方が良いかもしれない。
 雖然說不會成為實習,開發新的商品,因利益的事情或在宅工作的事情去跟班諾商量的機會應該是跟現在毫無改變。儘管如此,是說路茲是實習的漂亮衣服,我是破爛的也很可悲。因為現在的我有出得起的錢,先製做衣服比較好也說不定。

 わたしより先に店の奥へと引っ張っていかれたルッツは下着姿になるまで服を剥かれて全身を測られ始めていた。
 被比我先拉進去店裡面的路茲被脫掉直到變成內衣姿態的衣服開始被測量全身。
 わたしも別の部屋へと引っ張られ、服を剥かれていく。あっちもこっちも測られただけで、すごく疲れる。
 我也被拉到其他房間,被逐漸脫掉衣服。就只是被測量著各處,卻非常累。

「前金は小銀貨一枚になります」
「訂金會是小銀幣一枚」
「はい」
「好」

 見習いが着ているような服を上から下、靴まで注文して、ギルドカードで小銀貨一枚の前金を払った。ベンノの言っていた通り、最終的に払う値段は小銀貨10枚弱。それで見習い服が揃うらしい。
 將實習會穿著般的衣服從上到下、直到鞋子做了下訂,用公會卡支付小銀幣一枚的訂金。如同班諾說過的,在最終支付的價錢是小銀幣10枚不到。就這樣實習衣服似乎備齊了。

 服の注文を終えた後、マルクによってわたし達はベンノのところへ連れていかれた。ちょっとだけ難しい顔をしたベンノが紙を睨んでいたが、わたし達を見て表情を和らげる。
 結束衣服的訂下之後,我們被由馬爾克帶去了班諾的所在。雖然有點面有難色的班諾正盯著紙張,但看到我們就緩和了表情。

「おぅ、来たか。面倒なことになったみたいだから、やり過ぎかとも思っているが、警戒している。お前達もなるべく警戒だけは怠らないでくれ。利権が絡むと何をするかわからんヤツはどこにでもいるんだ」
「喔,來了嗎。因為好像變成了麻煩事,也正想著幹過頭了,但警戒著。你們也盡量只有警戒不要給我懈怠了。牽涉到專利權不知道會做什麼的傢伙無論在哪都存在喔」

 ベンノにとっても過剰警戒らしいが、利権が係わるだけに油断はするな、と言った。わたし達は洗礼前の子供だから、見習いの服を着ていれば、店の周りをうろついていても目を付けられることはないと思う、と付け加える。
 雖然對班諾似乎非常警戒過剩,但說著,只有在專利權關連上別大意了。正因為我們是洗禮前的小孩子,我認為穿著實習的衣服的話,就算徘徊在店的四周也不會被矚目,那樣附加著。

「板に書かれてた既得権益って、やっぱり羊皮紙関係の人ですか?」
「話說被寫在板子上的既得利益,果然是羊皮紙關係的人嗎?」
「そうだ。羊皮紙協会から商業ギルドに文句が入ったらしい」
「沒錯。似乎來自羊皮紙協會的抱怨給了商業公會」
「商業ギルドに?」
「給商業公會?」

 羊皮紙協会と商業ギルドの関係性がよくわからなくて首を傾げると、ベンノは既得権益を守ったり、新しい事業との軋轢を解消したり、仲立ちするのも商業ギルドの仕事だ、と簡単に説明してくれた。
 不太明白羊皮紙協會與商業公會的關係性而疑惑不解時,班諾將守護既得利益、消解與新事業的不合,居中調解也是商業公會的工作,給簡單地做了說明。

「昨日の夕方に羊皮紙協会に加入せず、金も払わずに自分達以外で紙を作っているヤツがいる、って商業ギルドに文句が入ったらしい。勝手な事をする無法者を取り締まれって要請が入ったと連絡があったんだ」
「似乎在昨天傍晚說了有著不加入羊皮紙協會,也不給錢就透過他們自己以外在製做著紙張的傢伙,抱怨給了商業公會。說了要取締做了擅自的事情的非法者的請求來了後有了聯絡」
「はぁ、それで?」
「吓,所以?」

 ベンノがおとなしくやられているはずがない。適当な落とし所を見つけているはずだ。大した心配もせずにわたしが続きを促すと、ベンノは勝ち誇る肉食獣のように唇の端を上げた。
 班諾應該不會老實地被幹掉。應該是發現了適當的妥協點。沒多大擔心的我催促著後續後,班諾像是誇耀勝利的肉食動物般揚起了唇邊。

「きっちり反論はしておいた。これは動物の皮で作った紙じゃねぇから、羊皮紙協会には一切関係ない。引っ込んでろってな」
「好好先做了反駁。因為這不是用動物的皮製作的紙張,跟羊皮紙協會統統沒有關係。斥退了呢」

 あまりにも好戦的なベンノの態度にさぁっと血の気が引いていく。
 對相當好戰的班諾的態度一下子臉色逐漸發白。
 落とし所を見つけるどころか、既得権益に正面から喧嘩を売っていませんか?
 豈止是發現了妥協點,不就是從正面跟既得利益大吵了一架嗎?

「え? えーと、落とし所を探り合うとか、しなかったんですか?」
「咦? 呃,互相試探妥協點之類,沒有做嗎?」
「馬鹿。最初から下手に出たら、舐められるだろ? 実際、向こうの作り方を盗んだわけでもなければ、技術料を払ういわれもない。動物の皮から作る紙と植物で作る紙が同じようにできているわけがないし、上下関係があるわけでもない。ヤツらは、ただ、紙に関する全ての権利を独占して、できれば、こっちの利益も吸い取りたいだけだ」
「笨蛋。從最初就低聲下氣的話,會被輕視的吧? 實際上,沒有偷對方的作法的話,也就不需要支付技術費。從動物的皮製作紙張與用植物製作紙張並不是相同般地做成的,並沒有上下關係。那些傢伙,只是,獨佔著有關紙張的全部權利,可以的話,只是想吸取這邊的利益」

 ここにはここの、ベンノにはベンノのやり方があるので、文句を言っても仕方がないとは思っているが、もう少し穏便にはできないのだろうか。
 雖然想著由於這裡有這裡的,班諾有班諾的做法,就算抱怨也毫無辦法,但不能再稍微穩當點嗎。

「うーん、羊皮紙は動物の皮が原料だから、どうしてもいきなりの増産はできないと思うんです。商業ギルドが間に入ってくれるなら、正式な契約書の紙は羊皮紙に限る、という取り決めをして、今までの販路と利益をある程度確保させてあげればどうですか?」
「嗯,因為羊皮紙是動物的皮為原料,我想無論如何也不可能突然增產。如果商業公會給介入了,就做所謂正式契約書的紙張限定為羊皮紙、的規定,至今的銷路與利潤讓給它某程度的確保的話如何呢?」
「お前は、相変わらず甘いな」
「妳呀,依然很天真呢」

 ベンノはフンと鼻を鳴らした。
 班諾讓鼻子哼了一聲。
 販路と利益を確保してあげて、羊皮紙が正式な紙だと認定されれば、大人しくしてくれると思うのだけれど、ダメだろうか。
 雖然說我認為將銷路與利潤給做了確保,羊皮紙被認定是正式的紙張的話,就會老實點了,不行嗎。

「無駄な争いは嫌いなんです。それに、わたし、できれば、紙の流通量を増やして、色んなことに紙を使えるようになってほしいんですよ。契約書じゃなくて、本とかメモ帳とかお絵かき帳とか折り紙とか……子供でも気楽に使えるようなものにしたいんです」
「討厭無謂的紛爭。而且,我,可以的話,希望增加紙張的流通量,變得像是能在各式各樣的事情上使用紙張唷。並非是契約書,書本之類記事本之類繪圖本之類摺紙之類……想做到就連小孩子也能輕鬆地使用般的東西」
「それは、予想以上に壮大な夢だな」
「那個是,超出預期的雄偉夢想呢」

 ベンノが呆れたように目を見開いて呟いた。
 班諾像是嚇呆了睜大了眼睛嘟噥著。

「え? 壮大ですか? 大量に作れるようになれば、実現すると思いますけど。だから、フォリン紙は思い切って羊皮紙よりも安い値段にして、契約書以外のことに使うようにすればいいんじゃないかと思うんです。例えば、そこの報告書。紙にすればかなり運びやすいし、保存もしやすいですよ。板よりも書きやすいし……」
「咦? 雄偉嗎? 變得像是能被大量製做的話,我認為會實現就是了。所以,我認為佛林紙毅然決定為比羊皮紙便宜的價錢,做到像是使用在契約書以外的事情上的話不是很好嗎。譬如說,那邊的報告書。做成紙張的話相當容易搬運,抱存也很容易唷。也比板子容易書寫……」
「なるほど、紙によって用途を分けるか……。一応提案してみよう」
「原來如此,根據紙張來區分用途嗎……。姑且試著提案吧」

 今度は甘いとは言われず、ベンノは何かを企むように目を細めた。何かが心の琴線と脳内の利益計算に触れたらしい。
 這一次沒被說天真,班諾像是有所企圖般瞇起了眼睛。似乎有什麼被觸動了心弦與腦內的利益計算。

「紙によって用途を分けるなら、トロンベ紙は高級路線でしょうか? 正直、羊皮紙より質が良いと思うんです」
「如果根據紙張區分用途,特隆貝紙是高級路線對吧? 老實說,我認為比羊皮紙品質還好」
「そうだな。トロンベは羊皮紙よりも値段設定はかなり高くするつもりだ」
「沒錯呢。特隆貝是打算做比羊皮紙還相當高的價錢設定」
「え? かなり?」
「哎? 相當?」

 ベンノの言葉を聞き咎めてわたしが目を見開くと、ベンノは逆に軽く目をすがめて、わたしとルッツを交互に見る。
 責問著班諾的話語的我睜大了眼睛後,班諾反過來輕輕瞇著眼睛,互相看著我與露茲。

「……お前ら、もしかして気付いてないのか?」
「……你們,難道沒注意到嗎?」
「え? 何に、ですか?」
「咦? 是、什麼呢?」
「ルッツ、トロンベの特徴は?」
「路茲,特隆貝的特徵是?」

 いきなりの質問にルッツはビクッと身体を跳ねさせた後、トロンベの特徴を思いつく限り並べ始めた。
 路茲面對突如其來的質問嚇到讓身體跳了起來之後,盡可能想出特隆貝的特徵開始列舉。

「へ? 特徴? 辺り一面の土の栄養を一気に吸いあげて、ものすごい勢いで成長していく木で、燃えにくい」
「咦? 特徵? 一口氣吸走附近一片土地的營養,以非常可怕的氣勢成長著的木頭,且難以燃燒」
「あ、もしかして!……トロンベで作った紙って燃えにくいんですか?」
「啊,莫非!……用特隆貝製做的紙張難以燃燒嗎?」

 そういえば、父もトロンベで作った家具は燃えにくくて火事でも残っていることがあると言っていた。若くて柔らかい木は家具にはならないと言っていたが、紙にはなっている。
 說起來,父親也說過用特隆貝製做家具是很難燃燒的即便火災也會有殘留下來。雖然說過年輕又柔軟的樹木是無法成家具,但能成為紙張。

「あぁ、そうだ。普通の紙に比べて、圧倒的に燃えにくい。さすがに全く燃えないわけではないが、国家機密や国レベルの公的文書に使うのが望ましい紙だ。燃えにくい紙なんて高価に決まってる」
「啊,對了。跟普通的紙相比,壓倒性地難以燃燒。雖然畢竟並不是完全不會燃燒,但使用在國家機密或國家等級的公家文書上是最好的紙張。難以燃燒的紙張什麼的昂貴決定了」

 それは確かに特殊な紙だし、高価になって当たり前だ。
 那個的確是特殊的紙張,變得昂貴是理所當然的。
 日本でも全ての紙が同じ値段なわけではなかった。手がかかっていたり、希少だったり、特殊だったりすると、一枚が驚くように高価な紙もあった。
 在日本也並非全部的紙張都是同樣的價錢。做為又是花費精力、又是稀少、又是特殊的話,一張像是吃驚般昂貴的紙張也是有的。

「納得しました。……で、トロンベの紙はいくらですか?」
「瞭解了。……是說,特隆貝的紙張是多少錢呢?」
「契約書サイズで大銀貨5枚にする」
「以契約書尺寸要大銀幣5枚」
「うわぁ……」
「嗚哇……」

 あまりに強気な値段設定にわたしは頭痛さえしたし、ルッツは声も出せないくらい驚いていたけれど、ベンノは「燃えにくい上に滅多に採れない希少価値のある紙なら、こんなものだ」と当たり前の顔で言いきった。
 我對過於強硬的價錢設定連頭痛都出現了,雖然說路茲宛如發出不聲音般的驚訝著,但班諾用理所當然的表情「如果在難以燃燒上有著並不常被採集且價值稀少的紙張,就是這種東西」斷言了。

「それから、羊皮紙協会との話し合いが終わるまで、しばらくは店に顔を出すな。お前達を隠したいのには理由があるんだ。紙の作り方が漏れて妙な流通をすると、下手したら死人が出る」
「然後,與羊皮紙協會的協商到結束為止,暫時別在店裡出面。想隱藏你們是有理由的。紙張的作法被走漏而奇怪流通著的話,搞不好會死人的」
「え?」
「哎?」

 いきなり物騒な話になって目を瞬いていると、ベンノはわたしがすっかり忘れていた契約魔術の話を出してきた。
 突然變成危險的話題而眨著眼睛後,班諾將我完全忘記了的契約魔術的話題提出來了。

「契約魔術で紙を作る相手はマインが決めて、ルッツを通して売ることになっているはずだ。契約の存在を知らないヤツが勝手に作って勝手に売ったら、何が起こるかわからない」
「用契約魔術應該是變成決定製做紙張的對象是瑪茵,透過露茲販賣吧。不知道契約存在的傢伙擅自製做擅自販賣的話,不知道會發生什麼」
「えぇぇ!? 契約魔術ってそんなに危険なものなんですか!? 何も知らない人も範囲に入っちゃうんですか?」
「咦!? 話說契約魔術是那麼危險的東西嗎!? 什麼都物知道的人也進入範圍裡嗎?」

 想像もしていなかった事態にわたしは頭を抱える。自分達の職の安定を求めた契約魔術が、まさかこんな危険な方向に作用するとは思わなかった。
 我對從沒想像過的事態擔憂不已。尋求我們自己職業安定的契約魔術,沒想到怎麼可能會在這樣危險的方向上起作用。

「貴族相手に権利を確約するものだぞ? 契約を知らないヤツでも違反した時点で何かの罰が下る。だから、ルッツやマインの存在は隠しておいて、ウチが作って売るという契約魔術があるというふうに商業ギルドには宣言しておいて、羊皮紙協会を牽制しておくんだ」
「是對貴族對象約定權利的東西吧? 即便是不知道契約的傢伙在違反了的時間點上會降下某種懲罰。所以,路茲或瑪茵的存在要先隱藏,說著像是有所謂我家製做並販賣的契約魔術般跟商業公會先做宣言,先去做牽制羊皮紙協會吧」

 もしかしたら、職の安定ではなく、自分達への危険を呼びこむ契約魔術だったのかもしれない。植物の紙を作る相手を決められる権利を持っているわたしも、売る権利を持っているルッツも、実はかなり危険な立場にあるのではないだろうか。
 或許,並不是職業的安定,而是喚進給我們的危險的契約魔術也說不定。擁有著有能決定製做植物紙的對象權利的我也好,擁有販賣權利的路茲也好,其實並沒有相當危險的立場嗎。

「権利を持っているのがお前達だということは隠しておきたい。倉庫の鍵は預けておくから、しばらく店に出入りするな。話し合いが解決したら、オットーを通じて連絡する」
「想要先隱藏所謂擁有權利的是你們這件事。因為倉庫的鑰匙要先寄放,暫時別進出店裡。協商解決的話,會透過歐拓做聯絡」

 頼もしいベンノの言葉に、わたしとルッツは一も二もなく頷いた。
 對可靠的班諾的話語,我跟路茲二話不說地點著頭。

======================================================================
 少しきな臭い状況ですが、ベンノさんが頑張ってくれます。
 雖然是稍微有火藥味的狀況,但班諾先生給努力了。
 ベンノさんは先行投資をしただけで、まだ紙の利益を取ってませんから、契約解除なんて、考えてません。
 雖然說班諾先生做了先行投資,但因為還沒取得紙張的利潤,解除契約什麼的,沒考慮過。

 次回は紙作りの工房選びです。
 下回是選擇造紙的工坊。
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