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第一部士兵的女兒 路茲的家庭教師

作者:SPT草包│2017-05-02 16:19:22│贊助:2│人氣:199
本好きの下剋上~司書になるためには手段を選んでいられません~
以下犯上的書癡~為了成為圖書管理員而不擇手段~
作者:香月美夜
第一部兵士の娘 ルッツの家庭教師
第一部士兵的女兒 路茲的家庭教師
原文連結

 手仕事の髪飾りを作っていると、トントンと玄関のドアをノックする音が聞こえた。
 製做著手工的髮飾時,聽到了咚咚地敲著玄關的門的聲音。
 顔を見合わせた後、トゥーリが様子を伺いに行く。
 互相對看之後,圖麗去探聽情況了。

「はい、どなた?」
「是,哪位呢?」
「オレ、ルッツだけど。簪部分、持ってきた」
「是我,路茲而已。髮簪部分,帶過來了」
「わかった。今開けるね」
「知道了。現在開門」

 トゥーリが鍵を開けてギギッとドアを開けると、ひやりとした外気と一緒に雪を落としきれていないルッツが入ってきた。
 圖麗打開鑰匙嘰嘰地打開門後,與急寒的戶外空氣一起下個不停的雪路茲進來了。

「うわぁ、寒そう」
「嗚哇,好像很冷」
「吹雪はひどいの?」
「暴風雪很厲害嗎?」
「井戸への道が結構塞がってたけど、今はまだマシ」
「雖然往水井的路相當堵塞了,但現在還好些」

 そう言いながら、ルッツは入ったばかりのところで、完全に雪を落としてしまう。
 儘管那樣說,在路茲剛進來的地方,完全下著雪。

「これ、簪部分。兄貴達が3個ずつ作ってたから、9個ある」
「這個,髮簪部分。因為大哥們各製做了3個,有9個」

 ルッツが髪飾りの簪部分をテーブルの上に並べた。ずらりと簪部分が並べられると、トゥーリが立ち上がって、できあがっている髪飾りの部分を持ってくる。
 路茲將髮飾的髮簪部分排列在桌子上。髮簪部分一大排地被排列著後,圖麗站了起來,將做完了的髮飾部分拿了過來。

「あ、じゃあ、できてる分を完成させちゃおうか? そうしたら、簪部分がいくつ足りないかわかるでしょ?」
「啊,那麼,要先把做好的份完成嗎? 那樣的話,髮簪部分知道還不夠幾個呢對吧?」

 わたしが熱で寝ている間に、たくさんできていたようだ。テーブルの上に並んだ飾りを見て、わたしはルッツに問題を出す。
 在我因燒而睡著的期間,似乎做好了很多。看著羅列在桌子上的裝飾,我出問題給路茲。

「飾り部分が12個。ルッツが持ってきた簪部分は9個。足りない簪部分は何個でしょう?」
「裝飾部分是12個。路茲帶過來的髮簪部分是9個。不夠的髮簪部分是幾個的說?」
「あ? えーと、3個」
「啊? 呃,3個」
「正解。よくできました。よく勉強してるね。髪飾りを作るのはトゥーリと母さんでお願い。わたし、ルッツの勉強見るから」
「正解。做得很好。有好好在學習呢。製做髮飾就拜託圖麗跟媽媽了。因為我,要看著路茲的學習」

 ルッツのもう片手には石板と計算機の入ったバッグがあるのを見つけて、わたしはそう言った。
 發現路茲另一隻手上有著放入石板與計算機的包包,我那樣說著。
 トゥーリは目を何度か瞬いた後、首を傾げる。
 圖麗眨了好幾次眼之後,疑惑不解。

「門で計算してるって聞いたけど、本当にマインに教えられるの?」
「雖然聽過在門做著計算,但真的要被瑪茵教嗎?」
「文字や計算を教えるくらいできるもん」
「能做到類似教文字或計算咩」

 あまりの信頼の無さにわたしがむぅっとむくれて見せると、ルッツが横で苦笑した。
 我因相當不值得信賴而板起不爽的表情展示後,路茲在一旁苦笑著。

「マインは文字や計算はすげぇよ。まぁ、力の無さもすげぇけど」
「瑪茵文字或計算很厲害唷。不過,沒有力量也很厲害就是了」

 どうせなら、前半だけで止めておいてよ。
 可以的話,只在前半就先停下唷。

 ルッツを睨んでみても、母もトゥーリも笑っているので、全く意味がない。
 就算是著瞪著路茲,由於母親也好圖麗也好都在笑著,完全沒有意義。
 バッグからルッツが石板と石筆を取り出したので、わたしも失敗作の紙から使える部分だけを切りだして束ねたメモ帳と煤鉛筆を自分の木箱から取り出すために寝室へと駆けだした。
 由於路茲從包包裡拿出來了石板與石筆,我也為了從自己的木箱裡拿出將只有從失敗作的紙張上能使用的部分裁下來綑紮的記事本與煤炭筆開始跑向臥室。

 ルッツに勉強を教えるという名目で、本作りをしようと考えたのだ。
 是以所謂教路茲學習的名義,來寫書而考慮的。
 普段、母とトゥーリがせっせと手仕事をしている横で本作りをするのは、自分だけさぼっているようで居心地が悪いけれど、ルッツに教えながらだったら、二人とも書いているという動作に違いはないので、それほど目立たないはずだ。
 雖然說平時,在母親與圖麗一個勁地做著手工的一旁寫書,就像是只有自己在偷懶著而心情很不好,但一邊教著路茲的話,由於兩個人都是所謂書寫著的動作而沒有不同,應該不會那麼突兀吧。

 さぁ、本作りの続きだ。
 來吧,繼續寫書吧。

 暇を見つけては時々書いているので、少しずつ束ねられたメモ帳に母の寝物語は溜まってきたが、まだ本と言えるほどは書けていない。
 雖然由於發現空閒就不時書寫著,在一點一點被綑綁的記事本上母親的睡前故事積存了起來,但還不能說是書本般書寫著。
 うきうきでメモ帳と煤鉛筆と石板と石筆を抱えて、わたしが台所へと戻ろうとした時、母の声が聞こえてきた。
 喜不自勝地抱著記事本與煤炭筆與石板與石筆,我打算往廚房回來的時候,聽見了母親的聲音。

「ねぇ、ルッツ。カルラも家族も商人になるの、反対しているんでしょ? このままでいいの?」
「喂,路茲。卡露菈也好家人也好對成為商人,都是很反對著的對吧? 這樣下去好嗎?」

 いきなり始まった真面目な話に息を呑んで、わたしは足音を立てないように気を付けながら、そぉっと台所に戻る。
 由於對突然開始的認真話題喘不過氣,我一邊注意像是不發出腳步聲般,一邊輕輕地回到廚房。
 質問をする母の隣には固まって動けなくなっているトゥーリが、正面には強張った顔で母を見るルッツがいる。
 在提出疑問的母親隔壁變得僵住不動的圖麗,在正面有著板著張臉看著母親的路茲。

 わたしがルッツの隣に座ると、母はゆっくりと息を吐いて、ルッツとわたしを交互に見ながら、口を開いた。
 我坐在路茲的隔壁後,母親緩緩地呼了一口氣,一邊交互看著路茲與我,一邊開口了。

「わたしはね、もしかしたら、ルッツが商人になると言いだしたのはマインのせいじゃないかと思ってるの。マインがなりたいと言って、面倒見が良くて優しいルッツがそれに付き合っているんじゃないかって」
「我呢,認為難道說,路茲說出要成為商人是不是瑪茵的緣故呢。是說瑪茵說了想要當,照料又好又體貼的路茲是不是附和了那個呢」
「そんなことない! オレが商人になりたくて、マインに紹介してもらったんだ。オレがマインを巻き込んだんだよ、おばさん」
「沒有那種事! 是我想成為商人,請瑪茵介紹的。是我把瑪茵捲進來的唷,阿姨」

 ルッツが即座に否定した。ルッツが旅商人になりたいと思っていて、話を聞いて、市民権という存在を知って、商人になることを決めた。その決心した過程にわたしは正直関係ない。
 路茲立刻否定了。路茲有想過想成為旅行商人,聽了談話,知道了名為市民權的存在,決定成為商人。老實說我跟那個下定決心的過程沒有關係。
 母は小さく頷きながら、ルッツを静かに見つめる。
 母親一邊小小點著頭,一邊靜靜地凝視著路茲。

「そう。商人になりたいのはルッツなのね。でも、マインと同じところに見習いに行けば、今までと同じようにルッツはマインの面倒を見ようとするでしょう? マインの面倒を見ながら、仕事ができるほど見習いという立場は甘くない。マインの面倒を見ることに気を取られて仕事が中途半端になるわよ」
「是嗎。想成為商人的是路茲呢。但是,去跟瑪茵一樣的地方實習的話,路茲打算就像是跟至今為止一樣照料著瑪茵對吧? 所謂一邊照料著瑪茵,一邊能做到工作般的實習的立場可不輕鬆。工作被照料瑪茵給分心是會變得半途而廢的喔」

 母の忠告はルッツの胸に刺さったのだと思う。思いもよらぬことを言われたとばかりに、ルッツが息を呑んだのが隣に座っていたわたしにはわかった。
 我想母親的忠告是刺進了路茲的胸口的。光是被說了想法毫無憑據,路茲就喘不過氣是座在隔壁的我能明白的。
 そして、その言葉はわたしの胸にも刺さった。母の言葉は間違いではない。
 然後,那話語也刺進了我的胸口。母親的話語毫無疑問。
 わたしが奥歯を噛みしめていると、ルッツがグッと頭を上げた。
 我咬牙切齒著後,路茲使勁地抬起頭。

「……オレ、どうしても商人になりたいって思ってる。マインがいたから、商人になれるようになったんだ。だから、できる限りマインの役に立ちたいと思ってるけど、オレが商人になりたいのはマインのためってわけじゃない」
「……我,想著無論如何都想要成為商人。是因為有瑪茵在,而變得好像能成為商人。所以,雖然想著盡可能想幫瑪茵派上用場,但我想要成為商人並非是為了瑪茵」

 そう、ルッツは自分の夢がある。自分がやりたい事のためには職人ではなく、商人の方が都合良くて、ベンノやマルクと接することでどんどん心を固めていった。
 沒錯,路茲有著自己的夢想。在為了自己想做的事情上並非是工匠,商人還比較方便,與班諾或馬爾克接觸而不斷地鞏固了內心。
 わたしと一緒に行動するのが、商人になるためには一番近道だったけれど、別にわたしのために商人になるわけではない。
 雖然說與我一起行動,在成為商人上是最近的道路,但並不是特別為了我而要成為商人。

「では、ルッツはマインがいなくても、例えば、体が弱って仕事を辞めることになっても、商人を続けられるのね?」
「那麼,路茲就算瑪茵不在了,譬如說,就算變得身體衰弱而辭去工作,也會繼續商人吧?」

 テーブルの上でグッと強く両手を組み合わせたルッツが、母の目をじっと見つめたまま、ゆっくりと頷いた。
 在桌子上使勁地用力交握著雙手的路茲,仍舊目不轉睛地看著母親的眼睛,緩緩地點頭。

「続けるよ。当然だ。母さんも父さんも職人になれとしか言わないけど、やっと自分で切り開いた道だから諦めたくない。今、マインに止めろって言われても、オレは商人になる」
「會繼續唷。當然呀。雖然媽媽也好爸爸也好都只說要成為工匠,但因為是自己終於劈開的道路不想要放棄。現在,就算被瑪茵說住手吧,我也會成為商人」
「そう。……だったら、いいの。カルラから話を聞くだけで、ルッツときちんと話をしたことがなかったから、気になっていたの。きちんと話してくれてありがとう」
「是嗎。……這樣的話,好吧。因為就只有從卡露菈那聽說過,沒有跟路茲好好地說過話,很在意著。肯好好地說說話謝謝你」

 カルラおばさんにとっては、わたしがルッツを付き合わせているように見えるのだろう。
 對卡露菈阿姨來說,我看起來就像是讓路茲來附和的吧。
 わたしの体調の都合で振り回しているのは確かだから、完全に間違えているとは言えないけれど、だからこそ、ルッツの話は半分くらいしか聞いていないのかもしれないし、厳しく言えばルッツは意思を曲げると思いこんでいるのかもしれない。
 因為依我身體狀況的情形來驅使著是確實的,雖然說完全不能說是搞錯了,但正因為如此,路茲的話只能聽一半左右也說不定,嚴格來說的話確信路茲會曲解意思也說不定。

 この間、「止めてくれ」って言われたけど、断っちゃったし……。
 最近,雖然被說了「給我住手」,但卻拒絕了……。

 カルラおばさんから母がどんな言い分を聞いたのか知りたいけれど、何となく話してくれない気がする。気になるなら自分で聞きなさい、と言われそうだ。
 雖然說想知道母親從卡露菈阿姨那聽到了怎樣的主張呢,但總覺得感覺不會給說的。如果在意就請自己去問,似乎被那樣說著。

「エーファおばさん、オレも聞きたいことがあるんだ」
「艾法阿姨,我也有想要問的事情」
「何かしら?」
「是什麼呢?」

 ルッツの声に母は少し首を傾げた。静かにルッツを見つめる目は、真面目に答えることを約束しているのがわかる目だ。
 母親因路茲的聲音稍微疑惑不解。靜靜地凝視著路茲的眼神,是知道約定了要認真回答的眼神。
 安心したように、小さく息を吐いたルッツが口を開いた。
 像是放心般,吐了小小一口氣的路茲開口了。

「エーファおばさんは、どうしてマインが商人になることを反対しないんだ? 父さんや母さんが言うように、本当に商人が周りの人に嫌われる嫌な職業なんだとしたら、何故?」
「艾法阿姨,為什麼不反對瑪茵成為商人呀? 像是爸爸或媽媽說的,商人真的是作為會被周圍的人討厭的討厭職業的話,為何?」

 まぁ、手数料を取って、利益をピンはねしていくのが商人だから、職人からはあまり良く思われていないのはわかるけど……。周りの人に嫌われる職業って言い方は、ちょっとひどくない?
 也是,因為收取手續費,抽佣利潤的就是商人,雖然明白從工匠來說是被認為不太好的……。被周圍的人討厭的職業這說法,不會太過份嗎?

 わたしの心の声が聞こえたように母はわたしを見て苦笑した後、困ったように眉を下げた。
 母親像是聽到了我的心聲看著我苦笑了之後,傷腦筋般地垂下了眉毛。

「商人に対するイメージは人によって違うから、職業については何とも言えないわ。でも、そうね……。反対しないのは、マインはずっと身体が弱かったから、かしら?」
「因為對於商人的印象是根據人而不同的,關於職業什麼都不會說喔。但是,也是呢……。不反對的是,因為瑪茵身體一直很弱,嗎?」
「え? 身体が弱かったから?」
「咦? 因為身體很弱?」

 わけがわからないと言うように、首を傾げるルッツを見て、母は小さく笑った。
 像是說著不明所以般,看著疑惑不解的路茲,母親小小笑了。

「正直、マインに仕事ができるなんて思っていなかったの。他の人がマインを必要とすることがあるなんて、考えられなかった。だから、マインが得意なことで誰かの役に立てるなら、その仕事をマインが一生懸命できるなら、わたしは反対なんてしないわ」
「老實說,我不認為瑪茵能工作什麼的。有其他人需要瑪茵去做的事情什麼的,不曾思考過。所以,如果瑪茵用拿手的事情幫某人派上用場,如果瑪茵拚命地做那個工作,我不會去反對什麼的喔」

 母の言葉に胸がぎゅっと締めつけられる。自分に向けられた母の愛情を感じて、じんと目の奥が熱くなってくる。
 胸口被母親的話語緊緊地勒住。感受到被針對自己的母親的愛情,大受感動的眼神深處變熱了起來。

「そっか。……オレも一生懸命頑張るから、許してもらえねぇかな」
「對吼。……我也拚命努力了之後,是不是能受到允許呢」

 隣で零れた苦い響きの言葉にわたしはルッツの手を握る。
 我因在隔壁撒落苦澀聲響的話語而握著路茲的手。

「許してもらえると良いね」
「受到允許就好了呢」
「あぁ」
「啊」
「そのためには、まず、お勉強だよ」
「為了那個,首先,要學習唷」
「そうだな」
「說得也是呢」

 ルッツが笑ったことで、ふっと雰囲気が緩んだ。
 由於路茲笑了,忽然氛圍舒緩了。
 真面目な話をしていた空気が霧散していき、息を詰めて座っていたトゥーリがハァと息を吐いて動きだした。裁縫箱を手にとって、髪飾りを簪部分に縫いつけていく。
 做著認真談話的空氣煙消雲散了,屏息凝神坐著的圖麗哈地呼了一口氣開始動了。將針線盒拿到手上,把髮飾逐漸縫到髮簪部分上。
 それを横目で見ながら、わたしはルッツの石板をトントンと軽く指先で叩いた。
 一邊用斜眼看著那個,我一邊咚咚地輕輕用手指敲著路茲的石板。

「最初は基本文字の復習からね。全部覚えているか、書いてみて」
「因為最初是基本文字的複習呢。全部記住了嗎,試著寫吧」
「わかった」
「知道了」

 ルッツに課題を出した後は、メモ帳に母から聞いた物語を書きとめて、本作りの続きをする。煤鉛筆は擦ると鉛筆より真っ黒になるけれど、インクと違ってお金がかからないところがいい。
 出課題給路茲之後,在記事本上記下從母親那聽到的故事,繼續寫書。雖然說煤炭筆擦了後會變得比鉛筆還漆黑,但與墨水不同不用花錢的地方很好。
 物語の続きを書きながら、時折ルッツの石板に視線を向ける。ためらうことなく、文字を書いている姿が見えた。
 一邊寫著故事的後續,一邊不時把視線轉向路茲的石板。看起來絲毫沒有猶豫,書寫著文字的身影。

 ルッツの勉強は順調すぎるくらい順調だ。
 路茲的學習宛如太過順利的順利。
 勉強できる機会が限られていて、これからベンノの店で一緒に仕事をすることになる見習いの中で、ルッツが一番不利な状況であることを理解しているので、食らいつくように知識を呑みこんでいる。
 能學習的機會被限制著,在今後要成為在班諾的店裡一起工作的實習裡面,路茲由於理解到作為最不利的狀況,像是咬住不放般理解著知識。

 ギスギスしていて、商人になることを許してくれない家庭での雰囲気から、ルッツは最悪の場合、家を出ることさえ考えている。だからこそ、一層焦って少しでも知識を詰め込もうとしているのがわかる。
 因為在很不融洽、不允許成為商人的家庭裡的氛圍,路茲最壞的情況,連離家出走都在考慮內。正因為如此,明白越發焦急越該打算多少也要把知識裝填進去。

「基本文字はもう完璧に全部覚えたね。字も丁寧に書けてる。すごいよ、ルッツ」
「基本文字已經完美地全部記住了呢。字也寫得很仔細。好厲害唷,路茲」
「マインのお手本がいいんだ」
「是瑪茵的範本很好」

 何度も線を引いて、書き慣れなければ、文字を綺麗に書くことは難しい。前世の記憶があるわたしとは違う。そう考えると、ルッツの努力には本当に頭が下がる。
 畫好幾次線,若寫不習慣的話,要把文字寫漂亮是很難的。跟有前世記憶的我不同。那樣思考的話,對路茲的努力真的很敬佩。

「基本文字が書けるようになったから、次は単語を覚えていこうね。一番よく使いそうな発注書の書き方で練習しよう」
「因為基本文字變得好像能寫了,接下來要來記住單字了呢。以似乎最常使用的訂貨單寫法來練習吧」

 わたしは自分の石板に、材木の発注書を書いてみた。紙を作る時にわたしは何度も発注書を書いたので、すらすらと書ける。書きながら、その過程で知ったベンノがお付き合いしている工房の名前や親方の名前も一緒に教えていく。
 我在自己的石板上,試著寫木材的訂貨單。由於在製做紙張的時候我寫了好幾次訂貨單,而能流利地書寫。一邊寫著,一邊因那個過程而知道的班諾有所交際著的工坊名字和師傅的名字也一起教導著。

「これが材木屋さんの名前ね。ここが発注する人。わたし達の時はベンノさんが買って、わたし達に届けてくれていたから、ベンノさんの名前が入ってたの。これが材木の名前……」
「這個是木材行先生的名字呢。這裡是訂貨的人。因為我們的時候是班諾先生買的,送達給了我們,填入的是班諾先生的名字。這個是木材的名字……」

 ルッツはわたしの石板を見ながら、一生懸命自分の石板に書き写していく。
 路茲一邊看著我的石板,一邊拚命逐漸抄寫在自己的石板上。

「春になって、紙を作るために注文する時はルッツが発注書を書いてみる?」
「到了春天,為了製做紙張而下訂的時候路茲要試著寫訂貨單嗎?」
「えっ!?」
「咦!?」
「書けるように練習してね」
「為了能寫而練習吧」
「おう」
「喔」

 目標を定めるとかなりやる気が出るようで、真剣に綴り間違いがないか確認しながら練習し始めた。
 訂下目標後好像拿出相當的幹勁了,一邊認真地確認著拼寫沒有錯誤一邊開始練習著。
 その様子をしばらく見た後、わたしはメモ帳を広げて、母の物語を書きとめていく作業を始めた。母の寝物語集が完成するまでにはまだまだ時間がかかる。
 暫時觀察那個情況之後,我攤開記事本,開始逐步記下母親的故事的作業。在母親的睡前故事集完成之前還要花些時間。

「次は計算の練習をしようか?」
「接下來要做計算的練習嗎?」

 物語を一つ書き終えたわたしは大きく伸びをして、隣のルッツに声をかけた。
 寫完一個故事的我打了個大大的呵欠,對隔壁的路茲喊了一聲。
 石板に何度も単語の練習をしていたルッツが顔を上げて頷き、石板を片付けてバッグから計算機を取り出した。
 在石板上做著好幾次單字練習的路茲抬起頭點了點,整理石板從包包裡拿出了計算機。

「じゃあ、今日はこれ」
「那麼,今天是這個」

 わたしの石板に問題を書いていく。今日は3桁の足し算と引き算だ。8問書いた後はルッツが計算機を使う様子を見ていた。
 在我的石板上寫上問題。今天是3位數的加法與減法。寫好8題之後看著路茲使用計算機的情況。
 前と違って、ほとんど迷いなくルッツの指は計算機を弾いていく。
 與之前不同,幾乎毫無迷惘的路茲的手指彈起了計算機。

「計算機を使うの、速くなったね」
「使用計算機,變快了呢」
「マインが覚えろって言った、一桁の足し算を覚えたら、かなり楽に使えるようになった」
「瑪茵說過要記住,記住一位數的加法的話,變得好像使用得相當輕鬆了」
「うん、覚えてるわたしより速いよね……」
「對,比記住的我還快呢……」

 ルッツに教えているような簡単な計算では、わたしの場合、どうしても暗算ですぐに答えが出てしまうので、計算機を使う指のスピードがなかなか上がらない。計算機を使うより、筆算の方が速いのは相変わらずだ。
 能夠教路茲的簡單計算,依我的情況,由於無論如何都能用心算馬上得出答案,使用計算機的手指速度怎麼也無法上升。比起使用計算機,筆算仍舊很快的。

 ルッツの練習のために計算機を貸しっぱなしだからね。
 因為是為了路茲的練習而出借計算機個沒完呢。

 そう自分に言い訳をしてみる。触る時間が短いので、上達しないのは仕方ない。自分の手元に計算機があったからといって、ルッツほど真剣に練習するのかと聞かれれば、ちょっと答えられないけれど。
 試著對自己做那樣的辯解。由於接觸時間很短,無法進步是沒辦法的。說過因為計算機在自己的手邊,被問了路茲有在認真地練習嗎的話,就有點無法回答就是了。

「足し算も引き算も大丈夫そうだね。桁が大きくなっても、やり方は一緒だから」
「不論加法或減法似乎都不要緊了呢。因為就算位數變大了,做法是一樣的」
「数字が大きくなるとちょっと混乱するけどな」
「雖然數字變大後有點混亂呢」

 ルッツはそう言って頬を掻いたけれど、計算機を使い始めて一月くらいなのだから、十分な成果だ。
 雖然說路茲那樣說著搔著臉頰,但因為開始使用計算機才一個月左右,是十足的成果。

「掛け算や割り算のやり方はわたしも知らないから、どうしようもないんだよね」
「因為乘法或除法的做法我也不知道,毫無辦法了呢」

 計算機の使い方がわからないので、ひとまず、掛け算や割り算の考え方と九九を教えてみることにした。九九の読み方は「いんいちがいち」ではなく「いちいち いち」のようにこちらの数字の読み方を適当に当てはめる。多少言いにくくても、数字が並んだ時に答えがさっと出てくれば問題ない。
 由於不知道計算機的使用方法,暫且,決定試著教乘法或除法的思考方式與九九乘法表。九九乘法表的讀法並不是「一一得一」而像是「一一 一」適當地套用這邊的數字的讀法。就算多少很難說,在數字並列著的時候答案一下子就給出來的話沒有問題。

 大きい数字も読めるようになったし、お金に換算することも間違わずにできるようになってきた。
 大的數字也變得能讀了,為金錢換算也沒搞錯而變得能做到了。
 ルッツの吸収力なら、新人教育の間に頑張れば何とかなると思う。
 如果是路茲的吸收力,在新人教育期間努力的話我想總能做到。

 ……わたしは、どうしようかな?
 ……我,該怎麼做呢?

 さっき母が言っていた『マインの面倒を見ながら、仕事ができるほど見習いという立場は甘くない。マインの面倒を見ることに気を取られて仕事が中途半端になるわよ』という言葉がわたしの胸にも深く刺さっていた。
 剛才母親說過所謂『所謂一邊照料著瑪茵,一邊能做到工作般的實習的立場可不輕鬆。工作被照料瑪茵給分心是會變得半途而廢的喔』的話語也深深地刺進了我的胸口裡。

 ルッツが仕事をするうえで、わたしは間違いなく足手まといになる。体力がなくて、腕力がなくて、基本的には役立たずだ。
 在路茲工作上,我毫無疑問會變成累贅。沒有體力、沒有腕力,基本上是個廢物。
 商品開発には多少役に立てるだろうけれど、こちらの常識がいまいち分かっていないので、事情を知っているルッツがいないと困ることが多い。
 雖然說在商品開發上多少派得上用場吧,但由於這邊的常識根本就不明白,知道內情的路茲不在的話困擾的事情很多。

 そういえば、ベンノさんにも心配されたな。
 說起來,也被班諾先生擔心了呢。

 この体調で本当に働けるのか、と聞かれたことを思い出し、わたしはうーんと考え込む。思い悩む時間だけはたっぷりある冬の間に、きちんと考えておかなければならない。
 回想起被問了,以這個身體狀況真的能工作嗎,我嗚嗯地陷入了沉思。能煩惱的時間只有在綽綽有餘的冬季期間,必須要事先好好地考慮。

 ルッツの、そして、店のみんなの足手まといにならずに仕事ができるのだろうか。
 不會變成路茲的,還有,店的各位的累贅而能做著工作嗎?
 わたしはどうすればいいんだろうか。
 我該怎麼做才好呢?


 次の日になっても良い答えが出なくて、考えながらかぎ針を動かしているわたしに父が声をかけてきた。
 就算到了隔天也沒得出好的答案,父親對一邊思考著一邊動著鉤針的我喊了一聲。

「マイン、体調が良いなら、門に行くか? 今日は吹雪が止んでいるんだが」
「瑪茵,如果身體狀況可以,要去門嗎? 雖然今天暴風雪停止了」
「うん、行く!」
「嗯,要去!」

 わたしはガタッと立ち上がって、すぐに出かける準備を始めた。トートバッグに石板と石筆を入れて、寒い外に出るために何枚も服を着込む。
 我嘎嗒地站了起來,馬上開始出門的準備。將石板與石筆放入手提包內,為了出去到寒冷的外頭而重複穿了好幾件衣服。
 門にはオットーがいる。オットーなら、商人の視点で、そして、身内ではない第三者の視点で、厳しい意見をくれるに違いない。
 在門有歐拓在。如果是歐拓,能用商人的視點,還有,能用不是自己人的第三者的視點,肯定會給出嚴厲的意見。

 オットーさんに相談してみよう。
 試著跟歐拓先生商量吧。
 わたしがこのままベンノさんのお店の見習いになっても大丈夫かどうか。
 就算我就這樣成為班諾先生的店鋪實習是不是也不要緊呢。

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 意外と真面目な話が長くなったので、門での話は次にします。
 由於意外地認真的談話變得很長,在門的故事下次再說。

 次は門で真面目な話。オットー相談室です。
 下次是在門認真的談話。是歐拓商量室。
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