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第一部士兵的女兒 趕快試做看看

作者:SPT草包│2017-04-10 07:02:36│贊助:0│人氣:91
本好きの下剋上~司書になるためには手段を選んでいられません~
以下犯上的書癡~為了成為圖書管理員而不擇手段~
作者:香月美夜
第一部兵士の娘 早速作ってみた
第一部士兵的女兒 趕快試做看看
原文連結

 夕飯を終えるとすぐに、父は朝番なので寝てしまう。父の睡眠を邪魔しないように、台所で静かに作業ができる手仕事は、自分達が寝るまでの時間潰しにもピッタリだ。
 結束晚餐後馬上,父親就因為早班而去睡了。為了不打擾父親的睡眠。在廚房能安靜地作業的手工,也吻合我們自己打發直到睡覺前的時間。
 父が寝室へ行って、寝る準備を始めたので、わたしはトゥーリと母に冬の手仕事の話を切りだした。
 因為父親往臥室去、開始準備睡覺,我對圖麗跟母親開口說了冬季手工的話題。

「今日ね、フリーダに作った髪飾りが評判良くて、欲しいって人がいるから、冬の手仕事を前倒しにできないかってベンノさんに相談されたの。トゥーリの髪飾りと同じやつが欲しいんだって」
「今天呢,為芙莉妲製做的髮飾評價很好,因為有想要的人,被班諾先生商量了能不能提前冬季的手工呢。想要跟圖麗的髮飾一樣的東西」
「……できなくはないけど」
「……雖然不是做不到」

 母とトゥーリは一度顔を見合わせた後、疑わしそうに眉を寄せた。できなくはないけれど、冬の手仕事を前倒しにするのは手間がかかりすぎる、と顔に書いてある。
 母親跟圖麗互相對看了一次後,可疑似地皺起了眉頭。雖然說不是做不到,但要提前冬季的手工太費工夫了,都寫在臉上了。
 予想通りの反応に、わたしはトートバッグに手を入れて、証拠とばかりにチャリチャリンと中銅貨を2個、テーブルの上に並べた。
 對如同預想的反應,我把手伸入手提包裡,將只作為證據鏗鏘作響的中銅幣2個,排列在桌子上。

「少しだけど前金を預かって来たから、一つ出来たら、ちゃんと料金払うね」
「因為稍微將預付款保管了起來,做好一個的話,會好好地支付費用呢」

 次の瞬間、母とトゥーリがガタリと立ち上がって、少しでも明るい竈の側に二人がテーブルを寄せた。
 下個瞬間,母親跟圖麗嘎嗒地站了起來,兩個人將桌子靠近稍微明亮的爐灶一側。

「え? あれ?」
「咦? 奇怪?」

 わたしは、間抜けにも椅子に座ったまま取り残されて呆然とするしかない。
 我,仍舊癡呆地坐在椅子上被剩了下來只能發呆。
 その間に、トゥーリは裁縫箱から三人分の細いかぎ針を取ってきて、母は物置から糸が詰まった籠を運んでくる。
 在那期間,圖麗從針線箱裡拿出了三人份的細小鉤針,母親從儲藏室搬來了塞了絲線的籃子。
 あまりにも息が合った動きに、わたしは圧倒されながら、椅子から下りた。椅子をテーブルのところに移動させようとガタガタ引っ張ると同時に、母の声が飛んでくる。
 對過於步調一致的行動,我一邊被壓制,一邊從椅子下來。在打算將椅子移動到桌子的地方而嘎嗒嘎嗒地拉扯的同時,母親的聲音飛來。

「マイン、参考にする見本はどこ?」
「瑪茵,作為參考的樣本在哪?」
「え? トゥーリに返したけど?」
「哎? 雖然還給圖麗了?」

 わたしの言葉に反応したトゥーリがササッと動いて、自分の木箱から髪飾りを出してくる。
 對我的話語起反應的圖麗唦唦地動著,從自己的木箱拿出了髮飾。
 トゥーリが髪飾りを探してごそごそと動く音に「何だ? どうした?」と父の声が聞こえてきたが、「何でもないわ。おやすみなさい、ギュンター」と母の声が台所から飛んだ。
 雖然聽到了父親對圖麗尋找髮飾而東翻西找的動作聲「什麼呀? 怎麼了?」的聲音,但母親「什麼都沒有喔。晚安,君泰」的聲音從廚房飛出。
 わたしがテーブルのところに自分の椅子を移動させて、よいせっと座り直した時には、すっかり手仕事の準備は整っていた。
 我將自己的椅子移動到桌子的地方,在奮力地重新坐下時,整個手工的準備已就緒。

「マイン、何色で作ればいいの?」
「瑪茵,要用什麼顏色來做才好呢?」

 糸の籠の中を漁りながら母が尋ねてきたけれど、指定された色はない。トゥーリの髪飾りとデザインを揃えろと言われているだけだ。
 雖然說母親一邊物色絲線籃子裡面一邊探詢,但沒有被指定的顏色。雖然被說了匯集圖麗的髮飾跟設計。

「お客様の髪の色や好きな色がわからないから、色違いでたくさん作ってほしいって言われてるの。トゥーリの髪飾りと同じになるように三色選んで、花の数も同じで作って」
「因為不知道顧客的髮色或喜好的顏色,但被說希望能以不同的顏色來製做很多的呢。以像是變得跟圖麗的髮飾一樣選擇三色,並也用相同的花朵數量來製做」
「わかったわ。白と黄色と赤でどう?」
「我知道了。用白色跟黃色跟紅色如何?」
「可愛くて良いね」
「很可愛很好呢」

 わたしの答えを聞くと同時に母は猛然と編み始めた。トゥーリの髪飾りを編んでいたので、作り方も知っているから、速い、速い。わたしが作ると一つにだいたい15分くらいかかる小花を5分ほどで編み上げるのだ。
 在聽到我的回答的同時母親猛然地開始編織。因為由於編織過圖麗的髮飾,知道作法,好快、好快。將我製做一個大致花費15分鐘左右的小花用大約5分鐘就編織好了。
 それぞれの色で4つずつ小花を作って、ブーケを作ることになる。
 變成了以各自不同的顏色製做各4個小花、並製做成花束。

「色々あると選べて嬉しいもんね? わたしは白と黄色と青にしようかな? 自分の髪飾りと一緒の色。マインは何色にするの?」
「有各式各樣能選擇很高興呢? 我是否該用白色跟黃色跟藍色呢? 跟自己的髮飾一樣的顏色。瑪茵要做什麼顏色的?」

 たくさんある色の中から、好みの色を選り分けて、うふふっ、とトゥーリが笑う。わたしが作った髪飾りをとても気に入ってくれているようで、わたしも嬉しい。
 從有很多的顏色裡面,挑選喜好的顏色,圖麗唔呵呵、地笑著。似乎非常中意我所製做的髮飾,我也很高興。

「わたしはピンクと赤と緑にしようかな。緑の小花が葉っぱみたいになって可愛いと思うんだよね」
「我是否該做粉紅色跟紅色跟綠色呢。我認為綠色的小花變得像葉子似的很可愛呢」
「うん。可愛い。……ねぇねぇ、マイン。どうやって作るの?」
「嗯。很可愛。……喂喂,瑪茵。要怎麼做呢?」

 わき目もふらず編んでいる母には聞けないと思ったらしいトゥーリが、ガタガタとわたしの隣に椅子を寄せてきた。見本になっている髪飾りはトゥーリのために作っていたので、トゥーリは作っていないのだ。
 似乎不想讓沒轉看旁邊且編織著的母親聽到的圖麗,嘎嗒嘎嗒地把椅子靠近來我的隔壁。由於成為樣本的髮飾是為了圖麗而製做的,圖麗沒做過。

「そんなに難しくないよ。こうやって、こうやって……」
「沒有那麼難唷。這樣做、再這樣做……」

 トゥーリに編み方を見せながら、小さな花の作り方を教えると、フリーダのバラよりよほど簡単なので、トゥーリはすぐに作れるようになってしまった。
 一邊展示編織法給圖麗看,一邊教導小花的作法後,由於比芙莉妲的玫瑰還相當簡單,圖麗變得馬上就會製做了。

「わかった。ありがとね」
「知道了。謝謝呢」

 ガタガタと椅子を元の位置に戻すと、トゥーリも静かにもくもくと編み始める。
 嘎嗒嘎嗒地將椅子回歸原來的位置後,圖麗也安靜且一聲不響地開始編織。
 しばらく編んでいたが、3個の小花を編み終えて、わたしが視線を上げれば、できている小花には圧倒的な差があった。
 雖然暫時編織著,但編完了3個小花,我抬起視線的話,做好了的小花有著壓倒性的差距。
 母はもう少しで1個の髪飾りになりそうな数の小花があり、トゥーリの前には6個の小花が転がっている。
 母親是有著再稍微一下就能成為1個髮飾般的數量的小花,在圖麗的面前是6個小花在滾動著。

 おおぅ、さすが、裁縫美人。
 喔喔,不愧是,裁縫美人。

 母もトゥーリも手の動きがわたしとは比べ物にならないくらい速い。あっという間にできていく。
 不論母親或圖麗手的動作是跟我無法相比擬的快。轉眼間就完成了。
 おかんアート出身のわたしでは、スピードでも出来上がりの美しさでも勝てるはずがない。せめて、髪飾りを二人の物と比べた時に、一目で出来が悪いと思われないように丁寧に作ろうと決めて、かぎ針を動かしていく。
 對老媽藝術出身的我,即便是速度或者是做好的美麗都應該無法取勝。至少,在把髮飾跟兩個人的東西相比時,為了不被看一眼就認為完成得不好而決定仔細地製做,持續動著鉤針。

 普通の冬の手仕事なら、雪に閉じ込められて、暇で、暇で、仕方ない時にするので、和やかにお喋りしながらするものだ。しかし、今夜はテーブルの上に並んだ現金のせいで、お喋りが口から出ることなく、二人とも一心不乱に編んでいる。
 如果是普通的冬季手工,由於是被雪關住了,很閒、很閒,而在沒辦法時做的,是一邊和睦地聊天一邊做的東西。但是,今晚由於排列在桌子上的現金的緣故,聊天沒有脫口而出,兩個人都是聚精會神地編織著。

「できた! この後はどうするの?」
「做好了! 這之後要怎麼辦呢?」

 喜色に輝くトゥーリの声にハッとして顔を上げると、トゥーリの前には12個の小花が並んでいた。
 對圖麗喜形於色的聲音突然抬起了頭後,在圖麗的前面排列著12個小花。

「トゥーリ、速いね。すごいよ。えーと、この後は端切れに縫い付けて……って、あ、端切れ! 原価計算に入ってない!」
「圖麗,好快呢。好厲害唷。呃,這之後是縫到碎布……上,啊,碎布!」
「手仕事の材料なんて、自分で準備するのがほとんどなんだから、ウチにあるのを使えばいいわよ」
「因為手工的材料什麼的,幾乎都是自己做準備的,使用家裡有的就可以了喔」

 母はすでにウチにある端切れで、小花を縫い付けて、ちゃんと髪飾りの形に仕上げていた。
 母親用家裡已經有的碎布,縫上小花,好好地完成了髮飾的形狀。

「……後でベンノさんに料金請求するか、布を請求するかどっちかするよ」
「……之後要跟班諾先生請求費用嗎、請求布嗎該做哪一個呢」
「これ一つに中銅貨2枚ももらえるのだから、そこまでしなくていいわよ」
「因為這一個能收到中銅幣2枚,不用做到那裡也可以喔」

 ……え? 普段やってる手仕事って、どれだけひどいの。
 ……哎? 平常做的手工,是多過份啊。

 冬から本格的に始まる手仕事では、端切れの原価も入れて計算し直してもらおうと心に決めると、トゥーリが物置から取ってきた端切れを一つ手に取った。
 對從冬季正式地開始的手工,在心裡決定碎布的原價也請加入重新計算後,將一個圖麗從儲藏室裡拿來的碎布拿在手上。

「母さんが作ってるから参考にして、同じ色の花が固まらないように縫い付けていってね。あまり下の布が見えないように縫い付けていくと、小花が集まって花束っぽく見えるから」
「從媽媽所製做的作為參考,同色的花像是不結成團般縫上吧。因為像是看不太到下面的布般縫上後,看起來就像小花所集結的花束般」
「うん、わかった」
「嗯,知道了」

 トゥーリが作り始めた髪飾りが完成したところで、今日は終わりにして寝ることにする。
 以圖麗開始製做的髮飾完成的時間點上,今天就此結束決定去睡了。
 結局、寝るまでにわたしは半分くらいしかできなかったけれど、トゥーリは1個作り上げ、母は2個目が8割方できていた。
 結果,雖然說我直到睡覺為止只能做好一半左右,但圖麗做成了1個,母親第2個做了8成。

「じゃあ、今日の支払いをしまーす」
「那麼,來做今天的支付」
「わぁい!」
「哇咿!」

 わたしは二人に中銅貨を2枚ずつ支払って、できた飾りはわたしの木箱に片付ける。
 我各支付2枚中銅幣給兩人,做好的的裝飾整理到我的木箱裡。

「じゃあ、二人とも寝なさい」
「那麼,妳們兩個都去睡吧」
「母さんは?」
「媽媽呢?」
「この中途半端なものを仕上げてから寝るわ」
「完成這個不完整的東西之後就去睡喔」

 八割方終わっている髪飾りを指差して母が困ったように笑う。
 母親指著完成了八成的髮飾困擾似地笑了。
 母のスピードならすぐに終わるだろう。わたしはトゥーリと二人で父を起こさないように気を付けながら寝室にそっと入った。
 如果是母親的速度馬上就會結束吧。我跟圖麗兩個人為了不吵醒父親一邊小心翼翼一邊悄悄地進入臥室。

 なのに、なんで朝起きたら、テーブルの上に仕上がった髪飾りが2個も置かれているんだろう?……夜なべしたね、母さん。名残惜しい気分で寝たトゥーリが怒ってるよ。
 可是呢,為什麼早上起來之後,在桌子上面被放置了2個完成的髮飾對吧?……熬夜了呢,媽媽。以依依不捨的氣氛睡著的圖麗生氣了唷。

「母さんだけ夜中にこっそりやるなんてずるいっ!」
「只有媽媽在夜間偷偷做什麼的好狡猾!」
「ごめんね、トゥーリ。気を付けるわ。さぁ、お仕事に行っておいで」
「抱歉呢,圖麗。會小心的。來吧,過來去工作了」

 ぷくぅっと膨れるトゥーリに母が謝りながら、仕事に行くように促す。納得できていないような表情のまま、トゥーリは「帰ってきたら、わたしだっていっぱい作るんだから」と言って飛び出していく。
 母親一邊對噗咕地鼓著臉的圖麗道歉,一邊為了去工作而催促著。依然是沒能理解的表情,圖麗說著「因為回來之後,我也要製做滿滿一堆」跳了出去。
 トゥーリが行ったので、わたしは母が作った2個の飾りを片付けて、代わりに中銅貨4枚を取り出した。
 因為圖麗走了,我整理母親製作的2個裝飾,做為代替將中銅幣4枚拿了出來。

「忘れないように母さんが仕事へ行く前にお金を渡しておくね。それから、今日もベンノさんのところに行ってくる。ルッツの簪と合わせて髪飾りを完成させて、お金もらって来なきゃ二人に渡せないから」
「為了不要忘記在媽媽去工作之前要先交付錢呢。還有,今天也要去班諾先生的地方。將跟路茲的髮簪合起來的髮飾完成,因為是說收錢必須要交給來的兩個人」
「わかったわ。気を付けていってらっしゃい。ベンノさんによろしくね」
「我知道了。小心慢走。向班諾先生問好呢」

 中銅貨を財布に片付けた母は、笑顔で「今夜も頑張るわ」と張り切って出かけていった。
 將中銅幣收拾進錢包的母親,以笑容鼓足幹勁「今晚也要加油喔」出門去了。
 バタンとドアが閉まって、鍵が閉まる音がする。足音が小さくなるまで笑顔で手を振っていたわたしは、ハァ、と溜息を吐いた。
 叭嗒地關上了門,發出鑰匙上鎖的聲音。直到腳步聲逐漸變小都用笑容揮著手的我,唉、地嘆了一口氣。

 まずい。現金の威力、強すぎ。
 糟了。現金的威力,太強了。
 ここまでスピードアップすると思わなかった。
 沒想過到了這裡會提升速度。
 母さんが夜なべまでするなんて予想外すぎる。
 就連媽媽熬夜什麼的也太出乎預料了。
 髪飾りを完全に仕上げて売って、現金の補充をしなきゃ、今夜いきなり困るよ。
 完全將髮飾完成賣掉,必須要補充現金,今晚突然傷腦筋了唷。

「まぁ、今日は先にトロンベの皮剥きだけど」
「算了,雖然今天要先特隆貝的剝皮」

 ルッツがいつ迎えに来るかわからないので、いつでも出られるように準備をしておこう。
 由於不知道路茲幾時會來迎接,為了無論何時都能出門而先做準備吧。
 まず、じゃが芋もどきのカルフェ芋を2個。
 首先,2個酷似馬鈴薯的卡魯菲薯。
 それから、蒸している間に勉強できるように石板と石筆と計算機。ベンノのところに行く予定なので、発注書セットも忘れずに入れておいた。
 然後,在蒸煮期間為了能學習的石板跟石筆跟計算機。由於預定要去班諾的地方,訂貨單組也不能忘而先放進去。
 さらに、わたしが作っている途中の髪飾りを完成させるためのかぎ針と糸。出来上がっている小花を7つと端切れ。それから、端切れや簪に縫いつけるための針と糸。
 再來,為了將我製做到一半的髮飾完成的鉤針與絲線。7個製做完成的小花跟碎布。還有,碎布跟為了縫到髮簪上的針與線。

 ルッツが来るまで、小花を作りながら待っていようと、ちまちまかぎ針で編み始める。
 到路茲來為止,一邊製做小花一邊等待著,連續不斷用鉤針開始編著。
 小花が2つできたところで、ドンドンとドアを叩く音がして、「マイン、いるか?」とルッツの声が響いてきた。
 在做好2個小花的時間點上,發出了咚咚地敲門聲,響起了「瑪茵,有在嗎?」的路茲的聲音。

「おはよう、ルッツ。ねぇ、簪部分って、できてる分ある?」
「早,路茲。喂,是說髮簪的部分,有做好的份嗎?」
「一応5つ作ったけど?」
「姑且做了5個就是了?」
「それ、全部持ってきて。わたし、針と糸を持って行くから。蒸している間に完成させて、ベンノさんのところに売りに行かなきゃダメなの」
「那個,全部帶過來。因為我,要帶針跟線過去。在蒸煮期間讓它完成,不去賣到班諾先生的地方不行的」

 昨夜のうちに4つはできちゃったんだ、と呟くと、ルッツが目を見開いた。
 嘟噥著、在昨晚的我家完成了4個後,路茲睜大了眼睛。

「ちょ、速すぎないか!? あの花って、作るのが大変で時間がかかるって……」
「等、不會太快了嗎!? 是說那個花,製做是辛苦而花時間的……」
「ん、まさかここまで速くなると思ってなかったから、実はわたしが焦ってる」
「嗯,因為沒想到難道到了這裡變快了,其實我很著急」
「……わかった。簪部分だけ持ってくればいいか? 他にいる物は?」
「……知道了。只有髮簪的部分拿過來就可以了嗎? 有其他的東西嗎?」

 今日、ルッツが絶対に忘れてはいけない物は一つだけだ。
 今天,路茲絕對不可以忘記的東西只有一個。

「バターは? 準備できてる?」
「奶油呢? 能準備嗎?」
「聞き間違いじゃなかったのか……。取ってくるよ。戸締りして下に向かっててくれ」
「並不是聽錯了嗎……。我去拿唷。關上房門往下面去吧」

 どうやら準備していなかったらしい。危うくじゃがバターを食べ損ねるところだった。
 看來似乎沒有準備。差點吃不成奶油馬鈴薯了。
 ルッツが身を翻して階段を下りていくのを見送って、わたしは準備していた荷物を持って、外に出た。
 目送路茲轉過身下樓梯去,我拿著準備好的行李,出來到外面。

「寒いねぇ」
「好冷呢」

 人の気配がない倉庫はキンキンに冷えていて、外の方が太陽の光がある分暖かいと感じるほど寒い。倉庫の中には火を使えるような場所はないので、倉庫前で鐘一つ分ほどトロンベを蒸して、黒皮を剥く作業をすることになる。
 毫無人煙的倉庫確實地變冷著。外面還比較有太陽光的部分感覺很溫暖般的寒冷。因為在倉庫裡面不是能使用火的地方,變成在倉庫前面從事蒸煮鐘響一次左右的特隆貝,剝下黑皮的作業。

 荷物を倉庫に置いて外に出ると、ルッツは石を積み上げて、鍋の準備をしていた。
 將行李放到倉庫出來外面後,路茲堆疊著石頭,正準備著鍋子。
 わたしは蒸し器にトロンベを並べていく。蒸し器の中はあっという間にいっぱいになった。
 我將特隆貝逐漸排列到蒸籠裡,蒸籠裡面轉眼間就變滿了。

「ルッツ。蒸し器、もう一段いるみたい」
「路茲。蒸籠,再一層試看看」
「持ってくる」
「我去拿

 前に作った時は試作品だったので、それほど多く蒸す必要なかったが、今回はここにある素材を全部蒸してしまわなければならない。最初から二段で蒸せるように蒸し器は準備してあったので、ルッツに倉庫からもう一つを持ってきてもらう。
 由於之前製做的時候是試作品,沒有蒸那麼多的必要,這次必須要將在這裡的素材全部蒸煮好。因為有準備好能從最初就用兩層蒸煮的蒸籠,就請路茲從倉庫再拿一個過來。

「もう鍋を置いていいか?」
「已經可以放鍋子了嗎?」
「うん、木を並べるのはすぐに終わるよ」
「嗯,排好木頭馬上就結束了唷」

 ルッツが鍋を固定している間に残りのトロンベを並べる。
 在路茲固定鍋子的期間排列著剩下的特隆貝。
 そして、持ってきた芋も火が通りやすいようにナイフで十字に切り込みを入れて、一緒に並べて蓋をした。これで20分くらい蒸せば、おいしいじゃがバター――正確にはじゃがではないけれど――が食べられるはずだ。
 然後,帶過來的芋薯也為了容易燒透而用小刀加上切成十字的刻痕,一起排列蓋上蓋子。就這樣蒸20分鐘左右的話,好吃的奶油馬鈴薯――雖然說正確來講不是馬鈴薯――應該是能吃的。

 鍋の前で火にあたりながら、わたしは小花を作り始めた。わたしが髪飾りの小花を作るのに、大体15分くらいかかるので、片付ける時間も考えると、じゃがバターの待ち時間に丁度いい。
 在鍋子前面一邊烤著火,我一邊開始製做小花。在我製做髮飾的小花上,由於大致上要花費15分鐘左右,收拾的時間也考慮的話,在奶油馬鈴薯的等待時間上剛剛好。

「ルッツは倉庫に残ってる竹で細い竹ぐし作っててね。先を尖らせたヤツ」
「路茲用留在倉庫的竹子做成細竹籤吧。讓前頭尖尖的東西」
「は? なんで?」
「啥? 為什麼?」
「なんでって、『じゃがバター』ができたか確認するのにいるから」
「要說為什麼,因為有需要在確認『奶油馬鈴薯』好了沒上」
「え? マイン、お前、何やってんの?」
「咦? 瑪茵,妳,要做什麼呢?」
「蒸し器使うなら食べたいなって……ルッツはいらない?」
「是說如果使用蒸籠就想吃呢……路茲不要嗎?」
「食うに決まってるだろ! ジャガバターって食い物かよ!?」
「必定會吃的吧! 是說乃由馬零蜀是食物嗎!?」

 あぁ、そうか。じゃがバターじゃ通じなかったんだ。
 啊,對喔。奶油馬鈴薯是不通的。
 芋のバターソテーみたいな料理はあるから、普通に食べられるだろうけど。
 因為有像是芋薯的奶油煎肉料理,所以能被普通地吃掉的吧。。

 蒸し器の中に食べ物があるとわかった途端、ルッツが張り切って竹ぐしを作りだした。
 在明白了蒸籠裡面有食物的當下,路茲鼓足幹勁做起了竹籤。

「なぁ、マイン。そのジャガバターってうまいのか?」
「吶,瑪茵。是說那個乃由馬零蜀好吃嗎?」
「わたしは結構好きだよ。ルッツも多分食べ慣れた味だと思うけど?」
「我相當喜歡唷。我認為是路茲大概也吃習慣的味道就是了?」

 鍋が大きいので湯気が出始めるまでに予想以上に時間がかかったので、わたしは2個の小花を作り上げることでだいたいの時間を計った。
 由於鍋子很大而直到開始出現熱氣為止花了超出預期的時間,但我以做成2個小花計算大致的時間。
 そろそろ芋の様子を見てみよう。
 差不多要試著看芋薯的情況了。

「いいよ、ルッツ。蓋、開けて!」
「好了唷,路茲。蓋子,打開!」

 ラルフが作った何かの失敗作を台にして立ち、できたての竹ぐしを右手に構え、左手には菜箸をつかんで、わたしはルッツが蓋を開けるのを待つ。
 將拉魯夫所製做什麼的失敗作當作檯桌站著,在右手上架著做好的竹籤,在左手上抓著長筷子,我等待著路茲打開蓋子。

「マイン、顔をあんまり近付けるなよ!」
「瑪茵,別把臉靠得太近唷!」

 ルッツが蓋を開くと同時に、ぶわっと白い湯気が一気に飛び出してきた。熱くて白い湯気をやり過ごして、視界が開けると、トロンベの中に少し黄色が濃くなった芋が湯気を立てている。
 在路茲打開蓋子的同時,噗哇地白色熱氣一股腦飛了出來。讓又熱又白的熱氣通過去,視野開闊後,在特隆貝裡面黃色稍微變深的芋薯冒著熱氣。
 わたしは右手の竹ぐしをそっと芋に刺してみる。スッと通って形も崩れないし、いい感じに仕上がったようだ。
 我試著將右手的竹籤輕輕地刺入芋薯中。嘶地通過形狀也沒有崩掉,似乎感覺不錯地完成了。
 右手の竹ぐしと左手の菜箸を入れ替えて、今度は菜箸を構えた。
 更換右手的竹籤與左手的長筷子,這一次架起長筷子。

「ルッツ、お皿がいる!」
「路茲,有盤子嗎!」
「そんなもん、ここにあるか!」
「那種東西,這裡會有嗎!」
「そこの平たい板でいいから取って。それから、バターの準備がいるよ」
「因為用那邊平的板子就可以了拿來。還有,需要準備奶油唷」
「飾り作るより先に準備しておけよ!」
「比起做裝飾在剛才就要先準備吧!」
「ぬぅ、面目ない」
「呶,好丟臉」

 芋を菜箸で取り出して板の上に乗せると、すぐ蒸し器に蓋をしてもらう。
 將芋薯用長筷子拿出來裝到板子上後,馬上請在蒸籠上蓋上蓋子。
 わたしは台から飛び降りると、十字の切れ込みをナイフでこじ開けて、すぐにバターを挟みこんだ。熱でとろりと溶けていくバターの匂いがたまらない。
 我從檯桌上跳下來後,用小刀將十字的切痕撬開,馬上夾進奶油。因熱而逐漸黏糊融化的奶油的味道讓人受不了。
 がんがんテンションの上がっていくわたしとは対照的に、ルッツのテンションは蒸し器から出てきた芋を見た瞬間から、だだ下がりだ。
 對比緊繃情緒不斷逐漸攀升的我,路茲的緊繃情緒從看到芋薯從蒸籠出來的瞬間開始,就下降了。

「……なんだ、カルフェ芋かよ。マインの料理だから期待したのに」
「……什麼呀,是卡魯菲薯唷。因為是瑪茵的料理很期待地說」

 食べ慣れすぎてガッカリらしい。
 似乎吃太習慣而失望了。
 この辺りではよく栽培されているので、カルフェ芋は食卓にはよく出てくる食材だ。食べ飽きているのだろう。手の込んだ料理ならともかく、皮までついている状態では、期待できないのはよくわかる。
 因為在這附近很常被栽培著,卡魯菲薯是經常出現在餐桌上的食材。是吃膩了吧。如果是繁雜的料理姑且不論,以附帶著皮的狀態,無法期待是很能明白的。

「うんうん。確かにカルフェ芋をバターで絡める料理なんて、いっぱいあるもんね? ルッツはいらないってことでいい?」
「嗯嗯。確實用奶油裹著卡魯菲薯的料理什麼的,是有一堆的東西呢? 路茲說不要可以嗎?」
「……食うよ」
「……會吃唷」

 むぅっと脹れっ面のルッツは放置しておいて、わたしは上の方だけペロッと皮をめくると、手を火傷しないようにエプロンで包んで、芋を持つ。そのまま、湯気がほこほこと立っている芋に大きく口を開けて噛みついた。
 唔地鼓起臉頰的路茲先放著不管,我捲起只有上方撕下的皮後,為了不燙傷手而用圍裙包著,拿著芋薯。就這樣,對熱氣熱騰騰地冒著的芋薯張開大口咬了下去。

 外の冷気で表面だけが程良く冷めているが、中は熱くて、ほろほろと口の中で解けていく。トロンベと一緒に蒸したせいで、まるで燻製のように木の香りがついていて、それがバターの風味に合わさって、家では食べることができない味になっている。
 因外面的冷氣而只有表面適當地變冷了,中間很燙,不斷咀嚼地在口中逐漸鬆開。由於跟特隆貝一起蒸的緣故,簡直附帶著像是燻製般的木頭香氣,那個很適合奶油的風味,變成了無法在家吃到的味道。

 ん~、と頬を押さえて、美味しさに身悶えていると、ルッツが横で溜息混じりの白い息を吐きながら、カルフェ芋にかじりついた。
 嗯~、地按著臉頰,好吃到扭動著身體時,路茲在一旁一邊吐露混雜著嘆氣的白色氣息,一邊咬住卡魯菲薯。
 直後、カッと目を見開いて、芋をじっと見る。騙されているような奇妙な表情でわたしと芋を見比べた後、首を傾げながらもう一口食べる。
 緊接著,忽然睜大了眼睛,直直盯著芋薯看。用像是被騙了一樣奇妙的表情比較著我跟芋薯後,一邊疑惑不解一邊再吃一口。

「……うまいっ! なんでだ!? 家で湯がいた芋と全然味が違う!」
「……好吃! 為什麼呀!? 味道完全跟家中湯裡的芋薯不一樣!」
「蒸したからだよ。蒸すと栄養も旨みもぎゅうっと閉じ込めるからね。今回はトロンベと一緒に蒸したから、まるで燻製みたいな香りまでついて、すごく贅沢な気分になれるよね」
「是因為用蒸的唷。因為蒸的話不論營養或美味都緊緊地鎖在裡面呢。這次因為是跟特隆貝一起蒸,簡直像燻製似的就連香氣都附帶了,變成了非常奢侈的氣氛呢」

 ほくほくうまうまカルフェ芋を食べながら、わたしは昨夜の飾りを作っていた時のことをルッツに話した。
 一邊興高采烈津津有味吃著卡魯菲薯,我一邊將昨晚製做裝飾時的事情跟路茲說了。

「……そんな感じで、昨日の夜は母さんもトゥーリもすごかったよ。今夜もやる気満々なの。1個も仕上げられなかったわたしの役に立たなさを改めて実感したね」
「……以那種感覺,昨天晚上不論母親或圖麗都很厲害唷。今晚也幹勁滿滿的。重新體會到了一個都完成不了的我派不上用場」
「威張るなよ」
「別自大了唷」
「ルッツは? どうだったの?」
「路茲呢? 是怎樣呢?」

 カルフェ芋を全部食べ終わったルッツは、名残惜しそうに指をなめた後、渋い顔をして頭を振った。
 將卡魯菲薯全部吃完的路茲,依依不捨似地舔著手指後,做出苦澀的表情搖了搖頭。

「みんな、オレのやってることに興味なんて全くなさそうで、手伝ってくれないかって、言っても知らんぷりされた」
「大家,似乎對我做的事情都完全沒有什麼興趣,是說要不要幫忙呢,就算說了也被裝做不知道」
「そっか。じゃあ、今日はルッツの家に魔法をかけに行こうか?」
「是喔。那麼,今天要去路茲的家裡施展魔法嗎?」
「魔法?」
「魔法?」
「そ。ベンノさんのところでお金を受け取ったら、ルッツの家に行くから楽しみにしてて」
「對。在班諾先生的地方收到錢之後,因為要去路茲家裡期待著吧」

 食べ終わったので、ルッツに井戸から水を汲んでもらい、手を洗って口をすすぐ。
 因為吃完了,請路茲從水井打水,洗洗手漱漱口。
 そして、持ってきていた計算機を持って戻り、ルッツの前に置いた。
 然後,將帶過來的計算機拿了回來,放在路茲的前面。

「えーと、今日出来上がった髪飾りが4つ。昨日、ベンノさんに1つ分前払いしてもらったから、今日もらえる報酬は3つ分で、髪飾りの報酬は1つ中銅貨11枚です。さて、いくらもらえるでしょうか?」
「呃,今天製做完成的髮飾是4個。因為昨天,請班諾先生預付了1個份,因為今天能得到的報酬是3份,髮飾的報酬是1個中銅幣11枚。那麼,能得到多少錢呢?」

 計算機を前に問題を出すとルッツが真剣な顔で、指を使い始めた。
 讓計算機在前面提出問題後路茲用認真的表情,開始使用手指。

「33枚だ!」
「是33枚!」
「はい、正解。よくできました! じゃあ、ルッツが作らなければならない簪は20個です。昨日5個作りました。あと何個作ればいいでしょう?」
「是的,正確解答。做得很好! 那麼,路茲必須要製做的髮簪是20個。昨天製做了5個。還要製做幾個才可以呢?」

 やはり、繰り上がりや繰り下がりがある計算は、計算機を使ってもすぐにはできないようで、ルッツが困り果てている。一桁の足し算が暗算で反射的にできるようにならなければ、計算機を使うにも時間がかかるので、計算機は一度置いておいて、石板に数字を書いて、足し算の練習から始めることにした。
 果然,似乎有提前或推遲的計算,就算使用計算機也無法馬上做到,路茲一籌莫展著。由於一位數的加法若不能變得能用心算反射性地做到,就算使用計算機也很花時間,計算機先放置一次,在石板上寫上數字,決定從加法的練習開始。

「これだけは覚えてね。言われたらすぐに答えが返せるように覚えなきゃダメだよ」
「只要記住這個呢。為了被說了之後馬上就能返還答案必須要記住唷」

 ルッツがブツブツ言いながら覚えている横で、わたしは髪飾りを完成させていく。
 路茲在一旁一邊喃喃自語說著一邊記住著,我將髮飾逐漸完成。
 わたしの髪飾りが完成した時にはもうお昼を過ぎていて、トロンベも程良く蒸し上がっていた。
 在我的髮飾完成的時候已經過中午了,特隆貝也適當地蒸好了。

 「ルッツ、お水が入ったら一回退いて」
 「路茲,水進去的話就退出來一次」

 盥に張った井戸水の中に、わたしが菜箸で一つ一つ摘まんでトロンベを入れていく。ざっと冷水にくぐらせたら、ルッツが取り上げて横の板に置いていく。川の流水ではないので、盥の水はすぐに温くなってしまう。
 在覆蓋於盆子裡的水井水中,我用長筷子將一個一個掐起的特隆貝逐漸放入。唰地鑽過冷水之後,路茲拿了上來放到了一旁的板子上。由於不是河川的流水,盆子的水馬上就變溫了。

「水が温くなってきた。ちょっと待て」
「水變溫了起來。稍微等一下」

 ルッツが井戸から水を汲んで盥の水を張り直すまで、わたしは座りこんで黒皮を剥きながら待つ。水が入ったら、またトロンベを取り出す。その繰り返しだ。
 路茲從水井打水到重新覆蓋盆子的水為止,我坐著不動一邊剝下黑皮一邊等待。水進去的話,再次將特隆貝拿出來。重複著那個。
 全部蒸し器から取り出したら、わたしは冷めないうちに黒皮をどんどん剥いでいき、ルッツはその間に鍋や蒸し器の片付けをする。
 全部從蒸籠裡拿出來之後,我在沒變冷之前將黑皮連續不斷地剝下來,路茲在那期間做著鍋子或蒸籠的整理。
 そして、倉庫の中の釘に引っ掛けるようにして黒皮を干したら、今日の作業は終了だ。
 然後,像是掛在倉庫裡面的釘子上乾燥黑皮之後,今天的作業就結束了。

「終わったぁ!」
「結束了!」
「よし、片付けも終わった!」
「很好,整理也結束了!」

 熱い黒皮を剥いでいたので、黒皮を干した後もまだ指先が熱さでヒリヒリしている。冷たい空気が心地良いほどだ。
 因為要剝下熱的黑皮,乾燥黑皮後指尖也因熱而火辣辣著。冷冽的空氣感覺很好般。
 わたしは肺いっぱいに冷たい空気を吸い込んだ。
 我將冷冽的空氣滿滿地吸進肺裡。

「……あ?」
「……啊?」

 何かに絶望したわけでもない。何かを不安に感じているわけでもない。
 並沒有對什麼絕望。並沒有感覺到有什麼不安。
 仕事が終わった安堵感と解放感を覚えただけだ。
 只記得工作結束的安心感跟解放感。
 それなのに、身体の中を身食いの熱が暴れようとしている。
 儘管如此,身噬的熱打算在身體裡面胡鬧著。
 わたしは反射的に身食いの熱を押さえようと、身体中に力を入れた。
 我反射性地打算壓住身噬的熱後,在身體裡面注入力量。

「おい、マイン!?」
「喂,瑪茵!?」

 ルッツの前で固まったせいか、ルッツが焦ったように、わたしを揺さぶった。
 是在路茲的前面僵住的緣故嗎,路茲好像很著急,搖晃著我。
「集中が切れるから、揺らさないで」と言いたいけれど、歯を食いしばったままでは言葉にならない。
雖然想說「因為要完全集中,別搖了」,但以咬緊牙根的樣子是說不成話的。
 右手を前に出して、ルッツの手をつかむとルッツは両手でわたしの右手を握ってくれる。
 將右手拿到前方,抓住路茲的手後路茲用兩隻手握住了我的右手。

「何だよ、これ? いきなり熱が上がったぞ!? マイン、大丈夫か!? 聞こえてるか!?」
「什麼呀,這個? 突然發燒了喔!? 瑪茵,不要緊嗎!? 聽得見嗎!?」

 きつく握られた手に集中して、何度もしてきたように熱を何とか抑え込もうとした。
 在被緊緊握住的手中集中著,像是做了好幾次般打算將熱設法壓制住。
 周りを包囲して中心に追いやっていくイメージで今までは何とかなっていたのに、今回は包囲網を突破する小さな熱が出てきた。
 在包圍著周圍的中心以追趕著的印象至今明明都能設法做到,但這次突破了包圍網的小熱出來了。

 さっさと戻って!
 快點回去!

 ちろちろと出てこようとする熱の全てを中心に押し込むのに、今までで一番時間がかかった気がする。
 明明將打算涓涓流淌地出來的熱的全部壓進去,感覺是至今最花時間的。

 熱が引いた後には口も利きたくないほどの疲労感がどっと押し寄せてきた。力が抜けて立っていられなくなって、その場に座り込むと、手を繋いだままだったルッツも引っ張られるように隣にしゃがみこんだ。
 在熱退下後嘴巴也不想動般的疲勞感蜂擁而至。脫力而變得站不住,當場坐著不動後,依然牽著手的路茲也像是被拉住般蹲在了旁邊。

「え? 熱が下がった? 何だよ、これ? おい! マイン、大丈夫なのか!?」
「咦? 退燒了? 什麼呀,這個? 喂! 瑪茵,要不要緊啊!?」
「……身食いだよ。フリーダが前に言ってたでしょ?」
「……是身噬唷。芙莉妲之前說過的吧?」

 ハァ、と大きく息を吐きながら答えると、ルッツが困ったように眉を寄せた。
 一邊哈、地大大吐了一口氣一邊回答後,路茲困惑似地皺著眉頭。

「ちょっと待てよ。だって、体調が悪くなる時の前兆が全然なかったぞ?」
「稍等一下。因為,完全沒有身體狀況變壞時的前兆喔?」
「急に来るんだよ。今までは結構激しい感情に左右されてたんだけど、最近は大したことがない感情の揺れにも反応するようになってきちゃって……あぁ、ビックリした」
「突然來的唷。雖然說至今是被相當激烈的感情給左右,但最近不是很大的感情波動也會變得像是有反應起來……啊,嚇了一跳」

 本当はビックリしたなんて、簡単な言葉で済ませられるような衝撃ではなかったけれど、今にも泣きそうな顔で、未だにわたしの手を握っているルッツを少しでも安心させてあげたくて、わたしは目を細めて唇の端を上げる。
 真的嚇了一跳什麼的,雖然說不是用簡單的話語就能來結束的衝擊,但稍微讓現在也用著快哭了似的臉、依然握著我的手的路茲放心,我瞇起了眼睛揚起了唇邊。

「それ、何とかならないのか?」
「那個,不能想點辦法嗎?」
「……フリーダが言ってたでしょ? すごくお金がかかるって。ベンノさんも同じこと言ってた」
「……芙莉妲說過的吧? 要花非常多的錢。班諾先生也說了同樣的話」

 さっとルッツの顔から血の気が引いて、蒼白になっていく。
 唰地血色從路茲的臉褪去,逐漸變得蒼白。

「そういうわけだから、ちょっとでも稼ぐためにベンノさんのお店に行こうか?」
「因為是那種理由,所以為了多少賺點錢而要去班諾先生的店嗎?」

 これ以上威力が大きくなられると正直きついよ、という本音は胸に秘めて、わたしは笑ってみせる。
 在胸口隱藏著名為這之後的威力變大的話老實說很嚴峻唷,的心聲,我展現著笑。
 ルッツはグッと歯を食いしばって、手を離すと、くるりと背中を向けた。
 路茲使勁地咬緊牙根,放開了手後,將後背轉了過去。

「店まで背負ってやる。……オレにはそれくらいしかできないから」
「我來揹到店吧。……因為我只能做到那點事」
「それくらいしかって、ルッツはわたしに色んなことしてくれてるよ?」
「要說那點事,路茲為我做了各式各樣的事情了唷?」
「いいから、早くしろよ!」
「都可以啦,快點上來唷!」

 わたしを急かすルッツの声が揺れて聞こえた。
 聽見了催促著我的路茲的聲音動搖著。
 知らないふりで背中に寄りかかってみたものの、ルッツの肩から前に出しているわたしの腕にポツポツと滴が落ちてくる。
 雖然試著假裝不知道倚靠到後背上,但在我從路茲的肩膀探出到前面的手腕上滴滴答答的水滴滴了下來。。

 まいったなぁ、と心底思う。
 真傷腦筋呢,在心底想著。
 本だけに視線を向けて生きてきた麗乃時代に、こんな風に泣いてくれる友達なんていなかった。なんて声をかければ正解なのか、あんなに本を読んできたのに、わからない。
 在將視線只轉到書本上而活著的麗乃時代,沒有什麼會像這個樣子哭泣的朋友。打了聲什麼招呼的話會是正確解答嗎,明明那樣地讀著書,卻不知道。

 優しすぎるんだよ、ルッツは。
 太過溫柔了唷,路茲。
 どんなに役立たずで足手まといでも、一緒にいてくれるし。
 即便是怎樣的廢物又累贅,也會在一起。
 わたしが本当のマインじゃないって、知ってるくせに赦しちゃうし。
 我並不是真正的瑪茵,雖然知道卻原諒了。

「もし、身食いでわたしが倒れたとしても、ルッツが責任を感じることないんだからね。これ、本当に、突然来るから。……それに、まだ負けないよ。わたし、本を作ってないから」
「假如,因為我就算因身噬而倒下了,路茲也不要感覺到有責任喔。因為這個,真的是,突然來的。……而且,還沒輸唷。因為我,還沒有製做書本」

 ぐすっと鼻をすする音が聞こえたけれど、ルッツは返事をしなかった。
 雖然說聽到了咕嘶的吸鼻聲,但路茲並沒有回答。

======================================================================
 身食いの熱が危険な状態になってきました。
 身噬的熱變成了危險的狀態。
 ルッツが動揺しまくって、そんなルッツにマインが動揺してます。
 路茲動搖了,瑪茵對那樣的路茲動搖了。

 次回はルッツ視点の閑話です。
 下回是路茲視點的閒話。
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