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第一部士兵的女兒 路茲的瑪茵

作者:SPT草包│2017-02-27 07:27:38│贊助:2│人氣:122
本好きの下剋上~司書になるためには手段を選んでいられません~
以下犯上的書癡~為了成為圖書管理員而不擇手段~
作者:香月美夜
第一部兵士の娘 ルッツのマイン
第一部士兵的女兒 路茲的瑪茵
原文連結

「ここで話をする? 倉庫に入る?」
「在這裡說話嗎? 還是進入倉庫呢?」
「ここでいい」
「這裡就可以了」

 込み入った話をすることになるのだから、人目を気にした方がいいかと思ったが、ルッツは首を振った。
 因為變成了複雜的談話,而認為在意他人目光會比較好,但路茲搖了搖頭。

「それで、話って何?」
「那麼,要說什麼呢?」

 ルッツの緑の瞳が怒りに燃えている割には、態度が落ち着いているように見えた。いきなり激昂するわけでもなく、ルッツは腹の底に煮えたぎるものを隠しているような低い声で、第一声を放った。
 比較了路茲正燃燒著憤怒的綠色瞳孔,態度看起來似乎冷靜許多。也沒有突然激揚起來,路茲以似乎在隱藏著沸騰於心底的東西的低沉聲音,放出了第一聲。

「……お前、誰だよ?」
「……妳,是誰呀?」

 いきなり難しい質問をされた。誰と言われても困る。
 突然被提了困難的提問。就算被說是誰都會很困擾。
 わたし自身は本須 麗乃だと今でも思っているけれど、どこからどう見てもマインでしかない。そして、この身体と約一年間付き合って、この世界で生活してきたわたしは、もう本須 麗乃でもなかった。
 雖然我本身至今都還認為是本須 麗乃,但不管從哪裡怎麼看都只是瑪茵。而且,跟這個身體相處一年了,在這個世界生活著的我,已經不再是本須 麗乃了。

 麗乃は本を読む以外、自分から何かをすることはほとんどなかった。大学も自宅からの通学だったため、親元を離れたことはなかったし、基本的に家事は全て専業主婦の母親任せで、やろうと思ったら出来たけれど、積極的にやったことはない。
 麗乃除了讀書以外,幾乎不自己做任何事。大學也是從自家通學,從來沒有離開過父母家,基本上家事全部交給家庭主婦的母親,雖然說想做就能做到,但從來沒有積極地做過。

 こんな風に毎日のように森に出かけて採集したり、少しでも食生活を豊かにしようと味付けに凝ってみたり、本を読むために紙を作ったりする必要なんて全くなかった。自分の気が向くままに、辺りにある本を読んでいれば、それだけでよかった麗乃と今のわたしは全く違うのだ。
 像這樣去為了每天出去到森林裡採集,或是即便些許也要讓飲食生活豐富而試著對調味講究,又或者為了看書而製造紙張完全沒有做的必要。依憑著自己的心情,能讀到附近有的書本的話,只要那樣就可以了的麗乃跟現在的我是完全不一樣的。

 何と答えたらいいのか悩んでいるのを、答える気がないと判断したらしいルッツは、じろりと睨む目に更に力を加えながら、口を開く。
 似乎將煩惱著該回答什麼才好,判斷為沒有回答的心情的路茲,一邊讓凶狠地瞪視著的眼神更加地用力,一邊開口了。

「こんな紙の作り方を知っていて、作ったこともあるって言ったよな?」
「深知這種紙張的作法,也說過曾經做過呢?」
「……前に作ったのは、かなり違うやり方だったけどね」
「……雖然以前做過的,是相當不一樣的做法呢」
「そんなの、マインじゃない」
「那樣的,才不是瑪茵」
「……うん」
「……嗯」

 誤魔化し損ねて、すでに確信を持たれている以上、嘘を重ねても何にもならない。わたしは正直に答えた。
 欺瞞失敗,既然已經帶有確信了,就算重複撒謊也什麼用。我老實地回答了。

「マインが知っているはずがない。あいつは家から出ることも滅多になかったんだ」
「瑪茵不應該會知道的。那傢伙從家裡面出來也很少見」

 マインが滅多に家から出なかったことはわたしもマインの記憶から知っている。おかげで、情報が全くなくてどれだけ苦労したか。
 瑪茵並不常從家裡面出來這件事我也是從瑪茵的記憶裡知道的。託此之福,完全沒有情報是多麼地費勁啊。
 家の中しか知らないマインの記憶では、この世界の常識を垣間見ることもできず、自分の常識とこちらの常識を擦り合わせるのは本当に大変だ。今でもよく失敗したな、と自分で思う時が多々ある。
 就只知道家裡面的瑪茵的記憶來說,是做不到窺視這個世界的常識,要契合自己的常識與這邊的常識是非常辛苦的。至今也是經常失敗呢,自己有很多時候會那樣想。

「そうだね。マインは本当に何も知らない子だった」
「說的也是呢。瑪茵真的是什麼都不知道的孩子」
「じゃあ、お前は誰だよ!? 本物のマインはどこに行った? 本物のマインを返せよ!」
「那麼,妳是誰呀!? 真正的瑪茵去哪裡了? 把真正的瑪茵還來唷!」

 カッとしたようにルッツが怒鳴る。
 就像被刪除了一樣路茲怒吼著。
 でも、ルッツに投げつけられた言葉より、自分の想像の方がずっとひどかったせいか、紙ができあがった時にくると覚悟していたせいか、自分がずっと落ち着いているのを感じる。自爆した直後のうろたえぶりとは大違いだ。
 但是,比起被路茲丟過來的話語,還是自己的想像比較過分的關係嗎,或者是紙張完成的時候到來了而有所覺悟的關係呢,感覺自己一直都很冷靜。跟緊接著自爆後的不知所措不一樣。

「本物のマインを返すのはいいけど……ここじゃなくて、家に帰ってからの方がいいよ?」
「雖然把真正的瑪茵還來是可以……但不是在這裡,回到家之後比較好唷?」

 わたしが応じると思っていなかったのか、ルッツの目が驚きに見張られた後、訝しげに眉が寄せられた。
 是沒想過我會回應嗎,路茲的眼睛因驚恐而睜開後,懷疑地眉頭被皺了起來。

「なんでだよ?」
「是為什麼呢?」
「だって、死体を担いで帰るのって大変じゃない? わたしが消えたら、多分、死体しか残らないから。ルッツが殺したと思われたら困るでしょ?」
「因為,扛著屍體回去不是很糟糕嗎? 因為我消失了的話,大概,只剩下屍體了。被認為是路茲殺了的話很傷腦筋對吧?」

 この倉庫を使っているのは、わたしとルッツで、今日だってルッツと出かけることは家族もベンノの店の人も知っていることだ。
 因為使用著這個倉庫的,是我跟路茲,就連今天跟路茲出去是不論家人或班諾的店裡的人都知道的事情。
 わたしが倉庫で意識を失って、そのまま死んでしまったら、全ての責めがルッツに向かうことになる可能性が高い。責められなくても、ルッツ自身が罪の意識を持ってしまわないだろうか。
 我在倉庫失去意識,就那樣死了的話,造成全部的責難都轉向路茲的可能性很高。就算沒有被責備,路茲自己不會帶有罪惡意識嗎。

 わたしとしては、ルッツを思いやって「家に帰ってからの方がいいよ」と提案したつもりだったのだが、ルッツにとっては寝耳に水の言葉だったらしい。
 雖然在我看來,是打算建議路茲「回到家之後比較好唷」而提案的,但對路茲來說似乎是晴天霹靂的話語。

「お、おま、な、ななな、何言ってるんだよ!?」
「妳、妳、在、在在在、說什麼呀!?」

 わたしの言葉にぎょっとしたルッツが、強張った顔でうろたえ始めた。わたしが消えてもマインが戻ってこないというのは、ルッツにとって想定外だったようだ。
 被我的話語嚇了一跳的路茲,用僵硬的臉開始慌張了。是說就算我消失了瑪茵也不會回來,對路茲來說似乎是在預測外。

「それって、マインはもういないってことか!? 戻ってこないってことか!?」
「那是說,瑪茵已經不在了嗎!? 不會回來了嗎!?」
「うん、多分……」
「嗯,大概吧……」

 多分としか言いようがない。
 只能說是大概。
 わたし自身はマインの記憶を探るしかできない。マインと話をしたこともなければ、身体を返せと訴えられたこともない。
 我本身只能搜尋瑪茵的記憶。沒有跟瑪茵說過話的話,也就不會被申訴要把身體還來了。

「これだけは答えろ!」
「只要回答這個!」

 ルッツがキッと強くわたしを睨む。まるで悪を憎む正義の味方だ。
 路茲強硬地瞪著我。簡直像是憎恨邪惡的正義夥伴。
 そう考えて、小さく笑ってしまった。ルッツにとってはまさにその通りなのだろう。幼馴染の病弱な妹分を乗っ取った悪者がわたしで、ルッツ自身は何とか助けだそうとしている正義の味方に違いない。
 那樣想著,小小的笑了。對路茲來說確實是那樣的吧。因為把青梅竹馬體弱多病的小妹妹奪走的壞人是我,路茲本身肯定是打算想辦法要去幫忙的正義夥伴。

「あの時、オットーさんやベンノの旦那に熱の話、してたよな? お前が熱で、マインを食べたのか!?」
「那個時候,對歐拓先生跟班諾老闆說過,熱的話題的吧? 因為妳是熱,而把瑪茵吃掉了嗎!?」

 わたしが体内に巣くう熱で、マインを食べてしまったというルッツの仮定に、少しばかり感心した。マインが熱に食べられたという部分は、多分間違っていない。
 對因為我是在體內築巢的熱,而把瑪茵吃掉了的路茲的假設,稍微感到佩服。是說瑪茵被熱給吃掉的部分,大概沒有錯。

「半分正解で半分は違うよ。わたしも本当のマインは熱に食べられたんだと思ってる。最後の記憶は熱い、助けて、苦しい、もう嫌。そんなのばっかりだったから。でも、わたしがその熱じゃないし、熱にはわたしも食べられそうなんだよね」
「一半正確而一半不一樣唷。我也認為真正的瑪茵被熱給吃掉了。最後的記憶是好熱、救救我、好痛苦、已經夠了。因為都盡是那種的。但是,我不是那個熱,我也差點被熱給吃掉了呢」
「どういうことだよ!? お前が悪いんだろ!? お前のせいでマインが消えたんだよな!? そう言えよ!」
「這說的是什麼呀!? 妳很抱歉對吧!? 都是妳的錯瑪茵消失了呢!? 妳那樣說呀!」

 ガシッとルッツがわたしの肩をつかんで、揺さぶった。
 路茲緊緊地抓住我的肩膀,搖晃了起來。
 自分の考えが覆されて、興奮しているのだろうが、「わたしが悪い」「わたしのせいでマインが消えた」という言葉を何度も繰り返されて、カチンときた。
 自己的思考被推翻,而興奮了起來了吧,將所謂「我很抱歉」「都是我的錯瑪茵消失了」的話語重複了好幾次,觸怒了我。

「わたしだって好き好んでここにマインとしているわけじゃないよ! 死んだはずなのに、気が付いたらこんな子供になってたんだから。もし、わたしが選べる立場だったら、本がいっぱい読める世界を選んだし、この世界でも本が読める貴族階級を選んだし、こんな虚弱で病弱な身体じゃなくて、もっと健康な身体を選んだ。いきなり熱が広がって呑みこまれそうな難病を患った身体なんて選ばなかったよ」
「我也並不是因為喜歡才在這裡作為瑪茵的呀! 因為我明明應該死了的,注意到後就變成這種小孩子了。假如,我有能選擇的立場的話,就會選擇能看滿滿的書本的世界,在這個世界也會選擇能看書的貴族階級了,不是這種因虛弱而體弱多病的身體,而是選擇更加健康的身體。不會選擇罹患了熱會突然擴散且好像要被吞噬下去的難治之症的身體呀」

 マインになりたくてなったわけじゃないとぶちまけた瞬間、ルッツが虚をつかれたような表情になり、肩をつかんでいた手が緩んだ。
 傾吐完並非是想成為瑪茵的瞬間,路茲化作了空洞般的表情,鬆開了抓住了肩膀的手。

「お前、マインになりたくなかったのか?」
「妳,不想成為瑪茵嗎?」
「ルッツなら、なりたいと思う? 最初なんて、家から出るだけで息が切れて、次の日は寝込むような身体だよ? やっと森に行けるようになったけど、成長は遅いし、今だって、ちょっと油断したら熱出るし……」
「如果是路茲,你認為會想當嗎? 最初什麼的,只是從家裡出去就喘個不停,隔天就會臥床般的身體唷? 雖然終於變得能去到森林了,但成長很遲緩,就連現在也是,稍微疏忽大意的話熱就出來了……」

 しばらく考え込んでいたルッツがゆるく首を振った。わたしにつかみかかってきた勢いが消えて、困ったように視線がさまよい始める。
 暫時沉思著的路茲緩緩地搖了搖頭。揪起了我的氣勢消失了,困擾似地視線開始徬徨。

「……お前も、マインと同じように熱に呑みこまれるのか?」
「……妳也,會跟瑪茵一樣被熱給吞噬掉嗎?」
「うん、そうなると思う。抑え込む力を緩めたら、一気に熱が広がって、食べられそうな感じがするの。熱に呑みこまれていくというか、溶けて消えていく感じがするというか……説明するのは難しいんだけど」
「嗯,我認為會那樣。鬆懈了抑制住的力量的話,熱就會一口氣擴散,有著快被吃掉的感覺。該是說被熱給吞噬了下去呢,還是該說有著逐漸融化消失掉的感覺呢……很難去做說明就是了」

 わたしの説明で想像するのも難しいのだろう、ルッツは眉を寄せて考え込んでいる。
 依我的說明去想像也很難的吧,路茲皺起了眉頭沉思著。

「だから、マインの身体を使ってるわたしが気に入らなくて、ルッツが消えて欲しいと思うなら、言ってね。すぐに消えることはできるから」
「所以,看不過使用著瑪茵的身體的我,路茲如果認為希望我消失,就說吧。因為馬上就能消失」

 本物のマインを返せと言っていたはずのルッツが何故か愕然とした表情でわたしを見つめる。何を言っているんだ、とでも言いそうなルッツの顔に、わたしの方が困惑した。
 應該說過把真正的瑪茵還來的路茲不知何故用愕然的表情凝視著我。對著即便像是在說,在說什麼呀的路茲的表情,我困惑了。

「……消えた方がいいんだよね?」
「……消失比較好是吧?」

 確認してしまったわたしにルッツはグッと柳眉を上げて、逆切れしたように叫んだ。
 路茲對確認著的我使勁地揚起了柳眉,像是被激起似地大叫著。

「オレに聞くな! なんでオレにそんなこと聞くんだよ!? オレが消えろって言ったら消えるなんて変だろ!」
「別問我! 為什麼要問我那種事情呀!? 我說消失的話就消失什麼的很奇怪的吧!」
「変かもしれないけど、ルッツがいなかったら……わたし、もっと前に消えてたから」
「雖然很奇怪也說不定,但因為路茲不在的話……我,更早就消失了」
「はぁ!?」
「啥!?」

 わけがわからないという顔になったルッツにわたしは、事の発端を思い出しながら、以前に消えかけた時の話をする。
 我對呈現了所謂不明白理由的表情的路茲,一邊回想著事情的開端,一邊說起了以前要消失時的話。

「ルッツは覚えてない? 母さんに木簡を燃やされた時に、倒れたでしょ?」
「路茲不記得了嗎? 在木簡被媽媽燒掉的時候,倒下了對吧?」
「あぁ……」
「啊……」

 そういえば、そんなこともあったな、とルッツが呟く。ルッツにとってのそんなことがわたしにとっては結構大きな分岐点だった。
 這麼說來,也有那種事情呢,路茲那樣嘀咕著。對路茲來說的那種事情對我來說是相當大的分歧點。

「あの時、わたしは熱に呑みこまれてもいいかなって思ってた。あれで、本当は消えちゃうつもりだった。本のない世界に未練なんてなかったし、どんなに頑張っても完成しなかったし、もういいやって思ってた」
「那個時候,我認為是不是被熱給吞噬掉比較好。那個是,真的打算要消失。對沒有書本的世界沒有什麼好留戀的,就算如何努力也無法完成,我認為已經夠了」

 ゴクリとルッツが唾を飲み込んだ音が聞こえた。
 聽得到路茲咕嚕地吞下口水的聲音。
 視線だけで続きを促されたわたしは軽く目を閉じて、思い出す。熱いものに呑みこまれながら、ぼんやりと映っていた家族の顔の中に、突然ルッツの顔が浮かんだ時のことを。
 只是被用視線敦促著繼續的我輕輕地閉上眼睛,回想著。一邊被灼熱的東西給吞噬,一邊在模糊地映照著家人的臉裡面,突然浮現了路茲的臉的時候的事情。

「熱に呑みこまれてる途中で、家族の顔の中にいきなりルッツの顔が見えて、なんでいるんだろうって思った。ルッツをよく見ようとして、身体中に力を入れたら、熱が引いて意識が戻ったの。本当にルッツがいたから、ちょっとビックリしたんだよ?」
「在被熱給吞噬的途中,在家人的臉裡面突然看到了路茲的臉,想著為什麼會在。打算好好地看看路茲,把力量加入身體裡面之後,被熱拉走的意識回來了。因為路茲真的在,而稍微嚇了一跳唷?」
「そんなの……家族じゃない顔だったからビックリしただけで、オレがいたから意識が戻ったわけじゃないだろ?」
「那種的…只是因為不是家人的臉而嚇了一跳,並不是因為我在才返回意識的吧?」

 眉をひそめて溜息を吐いたルッツにわたしは軽く首を振った。
 我對緊蹙眉頭嘆了一口氣的路茲輕輕地搖了搖頭。

「意識が戻った初めのきっかけは、ルッツにビックリしたことだけど、その時にルッツが燃やされないように竹を取ってきてくれるって言ったでしょ? あれで、もうちょっと頑張って熱に抵抗しようかなって思ったの」
「最初取回意識的契機,雖然說是被路茲給嚇了一跳,但路茲在那個時候說過會把不會被燒掉的竹子給拿回來對吧?」
「竹も、おばさんに燃やされたよな?」
「竹子也,被阿姨燒掉了呢?」

 ルッツの言葉にわたしは頷く。怒りや悔しさを突き抜けた、あの虚脱感は今でもはっきりと思い出せた。思い出すだけで、自分の中の熱が力を得ていくような感覚が未だにするほどだ。
 我對路茲的話點頭。穿透憤怒與懊悔,那個虛脫感現在也能清楚地回想起來。只是想起來,自己體內的熱就像是逐漸獲得力量般的感覺再次蠢動般。

「ホントに何もかも嫌で、もうどうでもいいや、って思ったら、ぐわっと熱が襲いかかってきてね。もう抵抗する気もなかったから、あのまま死んでも良かったんだけど……ルッツとの約束、思い出しちゃったんだよ」
「真的是因為什麼都討厭,而已經無所謂了,那樣想的話,猛然地熱就襲擊了過來呢。因為已經沒有抵抗的心情了,雖然說即便就那個樣子死掉也可以……但跟路茲的約定,回想了起來了唷」
「約束?」
「約定?」

 ルッツは「約束なんてした覚えがない」と呟いた。本当に覚えていないようで、少し上を向くようにして記憶を探っている。
 路茲嘟噥著「做了什麼約定記不起來了」。似乎真的記不得了,像是稍微往上仰般尋找著記憶。
 やっぱりね、とわたしは小さく笑った。ルッツにとっては早く元気になれ、という程度の言葉だったとわかっている。それでも、わたしをここに繋ぎとめる大事な言葉だった。
 果然呢,我小小地笑了。明白了對路茲來說只是所謂快點變得有精神,這點程度的話語。儘管如此,卻是將我維繫在這裡的重要話語。

「オットーさんに紹介するって約束だよ。竹は前払いだから元気にならなきゃダメだって言ったでしょ?」
「是介紹給歐拓先生的約定唷。說了因為竹子是預付款所以必須要變得有精神的吧?」

 わたしの言葉を聞いて、ルッツ自身は思い出したくないことでも思い出したのか、まるで黒歴史でも指摘されたように恥ずかしそうな呻き声を上げて、頭を抱えた。
 是聽了我的話,即便路茲本身不想想起來也會想起來的嗎,簡直像是即便黑歷史被指出般發出了害羞似的呻吟聲,抱頭煩惱。

「あ、あれはっ! 別にお前に恩をきせようとして言ったことじゃなくて……あぁぁ、くそぉ」
「那、那個是! 並沒有打算要特別要施恩給你才說的……啊、可惡」
「じゃあ、どういうつもりで言ったの?」
「那麼,是有什麼打算才說的?」
「聞くな! 流せ! 忘れろ!」
「別問了! 不算數! 忘了吧!」

 ルッツの思わぬ反応に、つっこんでいじりたかったけれど、今のわたしは糾弾される立場だ。ルッツの要望通り我慢して、見て見ぬ振りをした。
 對路茲意想不到的反應,雖然深入玩弄著,但現在的我是被譴責的立場。如同路茲所要求的忍耐著,看到了卻假裝沒看見。

「えーと、そんな感じで約束も思い出したし、ルッツには色々してもらったのに、一つも恩返ししないまま消えちゃうのはダメだって思って、頑張って熱を抑え込んだんだけど……」
「呃,以那種感覺的約定也想起來了,明明請路茲幫了各式各樣的忙,我認為一個恩情都不報就那樣消失掉是不行的,而努力把熱給抑制下來就是了……」
「……」
「……」
「オットーさんとベンノさんに会って、約束も果たしたし、紙も作れたし、できれば、本を作りたいけど、ルッツが消えて欲しいなら消えてもいいんだよ?」
「見過了歐拓先生跟班諾先生,約定也完成了,紙張也做好了,可以的話,雖然想製作書本,但如果路茲想要我消失的話也可以唷?」

 ルッツは苦虫を噛み潰したような顔で、わたしを見つめる。ほんの小さな嘘も見逃すまいとするような目がわたしを上から下まで見た後、項垂れた。
 路茲用著一副苦瓜臉,凝視著我。似乎不打算放過一丁點謊言的眼神把我從上到下打量後,垂下了頭。

「いつから……」
「何時開始……」
「うん、何?」
「嗯,什麼?」

 俯いたままこぼされた言葉が聞き取れなくて、わたしは首を傾げて聞き返した。
 聽不見依然低著頭所洩露的話語,我疑惑不解地反問著。
 ルッツは顔を上げて、じっとわたしを見据える。
 路茲抬起頭來,死命地直盯著我看。

「いつから、お前がマインだったんだよ?」
「何時開始,妳就是瑪茵了唷?」
「……いつからだと思う? いつからルッツの知っているマインじゃなかったと思う?」
「……你認為是何時開始? 你認為什麼時開始就不是路茲所知道的瑪茵了?」

 質問に質問で返したけれど、ルッツは怒るでもなく、真剣な顔で虚空を睨んで考え込んだ。わたしを見て、小さく何かを呟き、下を向いて足元の土を蹴る。
 雖然說對問題用問題反問回去,但路茲也沒有生氣,用認真的臉龐直視著虛空沉思著。看著我,小小嘟噥著些什麼,朝向下踢著腳下的泥土。
 しばらく考え込んでいたルッツが、ハッとしたように顔を上げた。
 暫時沉思著的路茲,像是突然地抬起了頭。

「……これ」
「……這個」

 ルッツがわたしの簪を指差した。
 路茲用手指著我的髮簪。

「これを付けるようになったくらいか?」
「大概是變得能插上這個嗎?」

 まさかピッタリ当てられるとは思っていなかったけれど、確かに、簪挿している人ってわたしの他にいない。わたしだって、いくらきつく縛っても解けてくるような、さらさらの真っ直ぐストレートでなかったら、普通に紐で縛っていたはずだ。
 雖然說沒想過怎麼可能會被剛好命中,但確實,要說插著髮簪的人沒有我以外的人了。因為我,無論怎麼綁緊都會散開般,若不是乾爽的筆直過頭的話,普通應該用繩子就能綁住了。

「……正解」
「……正確答案」
「ほとんど一年じゃねぇか!」
「這不幾乎都一年了嗎!」

 カッと目を見開いたルッツが唾を飛ばすような勢いで怒鳴った。
 忽然睜大了眼睛的路茲以口沫橫飛般的勢態努吼著。
 そういえば、マインになったのは秋の終わりだった。今が秋の真ん中なので、そろそろ季節が一巡しようとしている。
 這麼說來,成為瑪茵已是秋季的終了。由於現在是秋季的正當中,差不多季節正打算要過一輪了。

「そうだね。熱出してぶっ倒れてた記憶ばっかりだけど、そろそろ一年だよね」
「說得也是呢。雖然說盡是發燒而趴倒下去的記憶,但差不多要一年了呢」

 ここでの生活の記憶の半分以上が、倒れて熱を出している状態だが、これでも大半を寝込んで過ごしていたマインに比べればずいぶん活動的だ。
 在這裡生活的記憶一半以上,雖然都是倒下發著燒的狀態,但即便如此跟大半臥床度過的瑪茵相比的話已是相當活動的了。

「……家族は気付いてないのか?」
「……家人沒有注意到嗎?」
「よくわからない。変なことには気付いてるけど、マインじゃないとは考えたくもないんじゃないかな?」
「我不是很明白。雖然有注意到奇怪的事情,但是不是不想考慮不是瑪茵呢?」

 特に、家に籠っていたマインの面倒をずっと見てきたトゥーリと母が全く気付いていないとは思えない。けれど、何も言われないので、こちらからも言わない。それで生活が成り立っているのだから、別にいいと思っている。
 特別是,我不認為一直照料著關在家裡面的瑪茵的圖麗跟母親完全沒注意到。不過,因為什麼都沒說,也不會從這邊說了。正因為就那樣生活得以成立,我認為沒什麼不好。

「それに、父さんは元気になっているだけで嬉しいって言ってた」
「而且,爸爸說過了只要能變得很有精神就很高興了」
「……そっか」
「……這樣啊」

 ハァ、と溜息を吐いたルッツが話は終わりだとでも言うように、わたしに背を向けた。板に張り付いている紙を指先で触って、乾き具合を確認し始める。
 唉、地嘆了一口氣的路茲好像即便結束了談話也有話要說般,轉身背對著我。用手指觸摸著張貼在板子上的紙張,開始確認乾燥狀況。
 消える覚悟もしたのに、結論が出ないまま会話が終わってしまっては、身の振り方に困る。
 明明消失的覺悟也做了,卻提不出結論那樣就結束對話,對身體的處置方法感到困擾。

「ねぇ、ルッツ……」
「喂,路茲……」
「……オレじゃなくて、マインの家族が決めることだと思う」
「……我認為並不是我,而是瑪茵的家人該決定的事情」

 全てを聞く前にルッツに遮られた。
 在全部問完之前就被路茲給蓋了過去。
 わたしが消えた方がいいかどうかを決めるのは、家族だと言う。でも、それだとわたしには何の変化もないことになる。
 說了決定我消失掉是不是比較好的,是家人。但是,那樣就變成對我來說什麼變化都沒有的事情了。

「じゃあ、しばらくこのまま?」
「那麼,暫時就這個樣子?」
「そうなる」
「就是那樣」

 こっちを見ないルッツの真意がわからない。
 不知道沒看著這邊的路茲的本意。
 マインじゃないわたしがこのまま生活をしていてもルッツは構わないのだろうか。
 是指就算不是瑪茵的我就這樣生活著路茲也不會介意的嗎?

「それでいいの?」
「那樣好嗎?」
「だから、オレが決めることじゃねぇって……」
「所以說,說了這不是我能決定的事情了……」

 あくまでこっちを見ようとしないルッツの腕をわたしはつかんだ。
 我抓住了徹底不打算看著這邊的路茲的手臂。
 わたしが聞きたいのは、マインではないわたしをルッツがどう思っているか、だ。あれだけ怒って話を持ちかけてきた結果が、現状維持でルッツに不満はないのだろうか。
 我想聽的是,不是瑪茵的我路茲是怎麼想的,呢。帶著只是那樣的氣話而來的結果,因維持現狀而對路茲沒有不滿嗎。

「ルッツは、わたしが消えちゃわなくていいの? 本当のマインじゃないんだよ?」
「路茲是說,我可以不用消失嗎? 我不是真正的瑪因唷?」

 ピクリとルッツの腕が動いた。わたしがつかんでいるルッツの腕が小さく震えているのだと思っていたが、本当に震えているのはわたしの手の方だった。
 路茲的手臂微微顫抖地動著。我認為我正抓著的路茲的手臂的正微微震動著,但真正在震動的是我的手。

「……いい」
「……可以」
「なんで?」
「為什麼?」

 重ねて問いかけると、やっとルッツがわたしを見た。
 重複提問後,路茲終於看了我。
 困ったような、呆れたような顔で、ピシッとわたしの額を指先で弾く。
 困擾似的,用吃驚般的臉,噼地用手指彈了我的額頭。

「お前が消えてもマインは戻ってこないんだろ? それに、一年前からずっとお前だったんなら、オレが知ってるマインって、ほとんどお前なんだよ」
「就算妳消失了瑪因也回不來了對吧? 而且,如果從一年前就一直是妳,要說我所知道的瑪茵,就幾乎是妳了唷」

 そんなことを言いながら、ルッツは金髪をガシガシと掻いた。そして、わたしとしっかり視線を合わせた。
 一邊說著那種事情,路茲一邊持續用力地搔抓著金髮。然後,跟我好好地對上了視線。
 わたしを見る薄い緑の瞳は凪いでいて、最初の怒りも剣幕も霧散してしまっている。わたしが知っているいつものルッツの目だった。
 看著我的淡綠色瞳孔變得風平浪靜,不論是最初的憤怒或兇猛氣勢都煙消雲散了。是我所知道平常的路茲的眼神。

 前は身体を鍛えようなんて考えてなくて、もっと虚弱だったから。
 因為以前鍛鍊身體什麼的都沒考慮過,而更加的虛弱。
 ルッツやラルフと顔を合わせたのも、実は両手で事足りるくらいの回数だけだったから。
 因為跟路茲或拉魯夫會面,其實只是用兩隻手大概就夠用了的次數。

「……だから、オレのマインはお前でいいよ」
「……所以說,我的瑪茵是妳就可以了唷」

 ルッツの言葉にわたしの心の奥底で何かがカチャリとはまった。
 對路茲的話語在我的內心深處有什麼喀嚓地鑲嵌上了。
 ふわふわしていたものがストンと落ち着いた。
 浮躁不已的東西嘶咚地沉著了下來。
 それは、目には見えない小さな変化だったけれど、わたしにとっては大事な変化だった。
 那個,雖然是眼睛所看不見的微小變化,但對我來說卻是重要的變化。

======================================================================
 目には見えない変化を含みつつ、現状維持です。
 一方面包含了眼所看不見的變化,一方面維持現狀。

 次回は、ベンノに紙を提出に行きます。
 下回是,去把紙張提交給班諾。
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