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第一部士兵的女兒 路茲最重要的任務

作者:SPT草包│2017-02-01 08:43:28│贊助:2│人氣:144
本好きの下剋上~司書になるためには手段を選んでいられません~
以下犯上的書癡~為了成為圖書管理員而不擇手段~
作者:香月美夜
第一部兵士の娘 ルッツの最重要任務
第一部士兵的女兒 路茲最重要的任務
原文連結

 帰ってからもルッツの言葉がぐるぐると頭を回っていた。
 回去之後路茲的話語也在腦袋中不停地打轉著。
 ルッツが言いにくそうに、でも、ハッキリと言葉にしたということは、かなり不審に思われているはずだ。
 路茲好像很難說出口,但是,是說清楚地表達出話語的事情,應該被認為相當的可疑吧。

 わたしがマインじゃないとわかったら、どうなる?
 知道我不是瑪茵的話,會變怎樣?

 マインを返せとか、お前のせいでマインがいなくなったとか、混乱と怒りと恐怖の混じった罵詈雑言を浴びせられるのは確実だろう。
 是把瑪茵還來,還是都是妳的錯瑪茵才會變不見了,會被混亂與憤怒與恐怖混雜的大肆謾罵是確實的吧。
 ルッツがそれを家族にも言ったら、わたしのいる場所は消える。
 路茲把那個跟家人說了的話,我能待的地方就消失了。

 家から追い出されるくらいならまだしも、最悪の場合、ここが魔女狩りをしているような宗教の世界の場合、悪魔憑きなんて思われて、拷問の末、殺されるかもしれない。
 要是被從家裡趕出來還算好,最壞的情況,這裡有著狩獵魔女般的宗教世界的情況,被認為是惡魔附身之類的,拷問完了,被殺掉也說不定。
 本で読んだ魔女狩りの数々の拷問描写が脳内に浮かんで、ぞっとした。
 因在書本上讀過狩獵魔女的無數拷問描寫浮現腦內,而打了個冷顫。

 ……痛いのは嫌だ。怖いのも嫌だ。
 ……我討厭疼痛。害怕也很討厭。
 拷問なんてされるくらいなら、死んだ方がマシだ。
 要是被拷問什麼的,死了還比較好。

 追い出されるのも、拷問も嫌だけれど、その前に自分の熱に食われてしまえば、熱に浮かされるだけの苦しさで死ねる。死のうと思えば、わたしは誰にも邪魔されることなく、簡単に命を投げ出せる術を持っている。
 雖然說被趕出去、還是拷問都很討厭,但在那之前被自己的熱給吃掉的話,就能因神智不清的痛死而死了。想要死的話,我是持有不會被任何人打擾,簡單就能拋出性命的方法。

 拷問される前に死ねばいい。
 在被拷問前死掉就好了。

 短絡的だが、拷問よりは熱に浮かされて食われる方がよほど楽だ。そう考えたら、ちょっと呼吸が楽になった。
 雖然很簡單,但比起拷問還是神智不清地被吃掉比較輕鬆吧。那樣考慮的話,呼吸稍微變輕鬆了。

 それに、よくよく考えてみれば、熱に呑みこまれないように、この世界に踏みとどまったのは、ルッツに謝るためだった。ルッツとの約束を守らなければ、と思って、熱から逃げ出して来たのだ。
 而且,好好試著思考的話,為了不被熱給吞噬,而駐足在這個世界,是為了跟路茲道歉。我認為,必須要遵守跟路茲的約定,而從熱裡逃了出來。

 ルッツには謝ったし、オットーと引き合わせて約束は果たしたし、一応、心残りが消えたとも言える。
 又是跟路茲道歉,又是完成引介歐拓的約定,姑且,可以說遺憾消失了。
 ベンノと会ったことで、紙作りが目前に見えてきたから、紙を作りたいし、本を作りたくなったけれど、この世界自体にはあまり執着はないのだから。
 因為由於跟班諾見面,而造紙就在眼前可見了,雖然說變得想要製做紙張、想要製做書本,但因為對這個世界本身不太有執著。

 ルッツがマインじゃないわたしを気味悪がって避けるのは簡単だけれど、避けてしまったら、紙作りは成功しない。
 雖然說路茲厭惡不是瑪茵的我而避開是很簡單的,但避開的話,造紙是不會成功的。
 きちんと説明すれば、紙作りが成功して、商人見習いになれることが確定するまでは、ルッツもおとなしくしていてくれる確率が高い。
 好好說明的話,造紙是會成功的,直到確定能成為實習商人,路茲也老實地去做的機會會很高。

 紙ができるまでは何とかなるだろうし、死のうと思えばいつでも死ねる。
 直到紙張完成前都要設法做到的吧,想死的話無論何時都能死去。

 そう腹をくくったら、かなり気が楽になった。結論らしい結論ではないけれど、自分の中で折り合いがついた。
 那樣把心一橫的話,心情就變得相當輕鬆。雖然說是不像結論的結論,但是在自己心中已有妥協了。
 わたしがどういう行動をとるにしても、ルッツの出方を見るしかない。
 就算我要採取怎樣的行動,都必須要看路茲的態度。

 いつ死ぬ時が来てもいいように、後悔しなくていいように、紙作りに全力を尽くすしかない。
 為了什麼時候死時來臨都可以,為了不要去後悔就好,必須要對造紙竭盡全力。


 腹をくくったなんて、言ってみても、ルッツに会うことに全く抵抗がないわけではない。
 把心一橫什麼的,就算是著說了,跟路茲見面也並非沒有抵抗。
 次の日の朝、わたしは多少びくびくしながら、ルッツと顔を合わせた。
 隔天早上,我多少一邊戰戰兢兢,一邊跟路茲碰頭了。

「今日はオレ、森に行くから。薪拾ってこないとダメなんだ」
「因為今天,我要去森林。不撿拾木柴不行了」

 ルッツの言葉にわたしは顔を輝かせた。
 我對路茲的話語喜出望外。
 わたしは残りの発注書を出して、簡易ちゃんリンシャンの作り方を教えるためにベンノの店に行かなければならない。
 我為了要提出剩餘的訂貨單、教導簡易潤洗劑的做法必須要到班諾的店裡去。
 ルッツがいない間に、できるだけ多くの不審行動を終わらせて、バレるまでの時間を稼ぐ絶好のチャンスだ。
 在路茲不再的期間,要結束盡可能多的可疑行動,爭取到直到暴露為止的時間的機會。

「わかった。わたしはベンノさんのところに行くよ。簀の発注書、出さなきゃいけないし、荷物が届く場所も相談しないとダメだから」
「知道了。我到班諾先生的地方去了唷。因為必須要提出,簀的訂貨單,貨物送達的地方也不商量不行」
「……一人で行くのか?」
「……一個人去嗎?」
「うん。そうだけど?」
「嗯。就是那樣?」

 ルッツが一緒に行けないなら、一人で行くしかないし、今日も大人とのやり取りが主だから、身近な人はいない方が、わたしにとって都合がいい。
 如果路茲不能一起,就必須要一個人去了,因為今天也是跟大人的交流為主,親近的人不在,對我來說還比較方便。

「……一人で行けるのか?」
「……一個人能去嗎?」
「大丈夫だよ」
「不要緊的唷」

 グッと拳を握りしめると、ルッツは何か言いたそうな顔になった。それでも、何も言わず、「じゃあな」と言って、森に向かって行った。
 使勁地握緊拳頭後,路茲變成好像要說什麼的表情。儘管如此,什麼都沒說,說著「拜了」,就往森林裡去了。

 ベンノの店には一回行っている。オットーの家も合わせれば二回だ。一人で行くくらい何でもない。
 班諾的店去過一次。歐拓的家也算上的話是兩次了。甚至一個人去也沒什麼。
 わたしも石板と石筆と発注書セットが入ったいつものトートバッグを持って、ベンノの店に向かって歩き始めた。
 我也帶著放入石板跟石筆跟訂貨單組的平常的手提包,開始往班諾的店走去。

 よーし、じゃあ、今日一日で出来るだけたくさんの用事を終わらせよう。
 很好,那麼,用今天一天盡可能地來結束很多的事情吧。


「おはようございます。あ、マルクさん。ベンノさん、いらっしゃいますか? 発注書、持ってきたんですけど」
「早安。啊,馬爾克先生。班諾先生,有在家嗎? 訂貨單,雖然已經帶來了」

 業者の出入りが激しいのか、ひっきりなしに客が出入りしているベンノの店に入って、顔を知っているマルクのところへと駆け寄った。
 同業的往來很激烈嗎,進入接連不斷地有客人進出的班諾的店裡,往熟悉面孔的馬爾克那裡跑過去。

「旦那様は忙しいので、私が承ります」
「由於老爺很忙,而由我來受理」

 そう言って手を差し出すマルクにわたしはバッグから出した発注書セットを手渡す。書き込みが終わった発注書とインクとメジャーだ。
 對那樣說著且伸出手的馬爾克我遞交從包包裡拿出來的訂貨單組。是寫進結束的訂貨單跟墨水跟捲尺。

「この発注書なんですけど、昨日も言っていたように、できれば作ってくれる方に直接お話したいんです。お話できる日を決めてもらっていいですか?」
「雖然是這份訂貨單,但就像昨天也說過的,可以的話想要直接跟製做方對話。可以決定對談的日期嗎?」
「材木屋は午前中の方が時間に余裕があるので、今から行きましょうか?」
「因為木材行整個上午都還時間充裕,要從現在就去嗎?」
「お店、忙しそうですけど、大丈夫ですか?」
「店鋪,似乎很忙的樣子,但不要緊嗎?」

 次々と入ってくる客をさばいている従業員のみなさんを見回すと、マルクはオットーと同じような少しばかり黒いオーラを放つ笑顔で言い切った。
 環視正處理著不斷進入的客人的工作人員眾人後,馬爾克用像是跟歐拓一樣釋放些微黑色光環的笑容斷言。

「私一人が少し席を外したところで、泣き言を言うような教育はしていません」
「因為我一個人稍微離席了,就叫苦般的教育可沒做過」

 今にも泣きそうな顔をしている従業員はいますけど?
 雖然現在就有似乎要哭了的表情的工作人員在?

「それに、旦那さまにも言われた通り、貴女の依頼は特殊ですから。他に任せず私が対応するのが適当だと判断しました。お気になさらず」
「而且,如同也被老爺說過的,因為您的委託很特殊。做出了不託付給其他人而交由我來應對的判斷。別放在心上」
「えーと、では、お世話になります」
「呃,那麼,請多關照了」

 マルクと一緒にベンノの店を出て歩き始める。
 跟馬爾克一起開始走出班諾的店。
 目的地である材木屋は市場がある西門の方にあるらしい。川が近いので、大きな物は西門から運搬されてくるから、西門に近い場所に店を構えるのが材木屋にとっては便利なのだそうだ。
 作為目的地的木材行似乎在有市場的溪門方向。由於靠近河川,因為大宗物件是從西門被搬運的,所以在靠近西門的地方修築店面對木材行來說似乎是很方便。

「ベンノさんにお願いしたいことがあったんですけど、忙しそうならマルクさんから伝えてもらってもいいですか?」
「雖然有想要拜託班諾先生的事情,但如果好像很忙可以透過馬爾克先生去轉達嗎?」
「何でしょうか?」
「是什麼呢?」

 まず、中央広場に向かって大通りをポテポテと歩きながら、店で話せなかった用件を話し始めた。
 首先,一邊悠閒漫步在面向中央廣場的大街上,一邊開始談說沒能在店裡說的要件。

「発注した荷物を置いておく倉庫というか、作業場も貸していただきたいんです」
「是稱為暫時放置訂購貨物的倉庫嗎,作坊也想請借來一用」

 欲しい物を次々と発注したのは良いけれど、置き場所がない。
 雖然不斷地訂購想要的東西是很好,但沒有放置的地方。
 まさか作業場がないと思っていなかったようで、マルクは目を瞬いた。
 似乎是沒想過怎麼可能沒有作坊,馬爾克眨著眼。

「今まではどうするおつもりだったのですか?」
「至今都是怎麼做打算的呢?」
「ウチとルッツの家に道具は分けて置いて、森の川辺や井戸の周りに道具や材料を持ち寄って作業するつもりだったんですけど……」
「工具在我跟路茲的家分別放置,然後是打算各自帶來工具與材料在森林的河邊或水井的周圍作業的……」

 当初は鍋を借りるつもりだったし、家の中や森にある物で何とか代用できないか考えるつもりだった。灰も母達に拝み倒してもらうつもりだったし、木も森で切ってすぐに使うつもりだった。
 當初是有打算借用鍋子,也是有打算考慮能不能用家裡面或森林裡有的東西想辦法來代替呢。底灰也是打算再三懇請母親們,木頭也是打算在森林裡砍一砍就馬上使用的。
 注文してしまうと代用品を考える手間は省けるが、荷物が一気に増えるし、その日に使うものばかりではないので、一旦置いておく場所が必要になる。
 雖然下訂的話思考代替品的功夫能省卻,但貨物卻一口氣增加了,因為不光只有在那一天要使用的東西,就變得需要暫且事先放置的地方。
 しかし、余分な部屋がないウチやルッツの家では生活に関係ない物はそれほど置かせてもらえない。
 但是,沒有多餘房間的我或路茲的家是無法接受放置那些跟生活沒關係的東西的。

「分散して置くにしても限度があるし、作業がしにくいんですよね。屋根のある作業場を貸してもらえるなら、それに越したことはないので、ダメでもともとと思って、相談してみました。これも初期投資に入りますか?」
「就算分散放置也是有限度的,難以執行作業呢。如果能請出借有屋頂的作坊,而且沒有隔間,我認為不行也不過是重來,而試著商量看看。這個也能算進初期投資嗎?」

 わたしがそう言うと、マルクはこめかみを押さえて、信じられないと呟いた。
 我那樣說了之後,馬爾克壓著太陽穴,不可置信地嘟噥著。

「予想以上に無茶をするつもりだったんですね」
「都是超出預期的胡鬧打算呢」
「今までは大人の協力者がいなかったので」
「因為至今都沒有大人的協力者」

 大人の協力がない子供にできる範囲は本当に小さいのだ。
 沒有大人協力的小孩子能做到的範圍是真的很小。
 簡易ちゃんリンシャンの作り方と引き換えに得られたベンノという協力者は最大限利用させていただく。この機会を逃したら、二度と紙を作ることなんてできそうにないのだから、こちらも遠慮なんてしていられない。
 請讓我把被與簡易潤洗劑的作法交換而得來的名為班諾的協力者做最大限度的利用。因為放掉這個機會的話,再次製作紙張什麼的似乎就辦不到了,這邊也是不會客氣的。

「ふむ、倉庫に関しては、私からも交渉してみましょう」
「哼,關於倉庫,試著透過我來交涉看看吧」
「ありがとうございます。マルクさんが味方になってくれたら、絶対に倉庫を貸してもらえる気がします」
「非常感謝。馬爾克先生變成夥伴的話,感覺絕對會出借倉庫的」

 前回のやり取りを見ていても、マルクはベンノの右腕とか、懐刀とか、そういう関係の人だと思う。見るからにセバスチャンだし。
 就算看過上回的交流,我也認為馬爾克是班諾的親信、又或是心腹,那種關係的人。因為看起來就是賽巴斯欽。
 マルクが交渉してくれれば、間違いない。きっと倉庫は借りられる。
 馬爾克去交涉的話,毫無疑問。倉庫一定能借到的。

「倉庫に何か条件はありますか?」
「倉庫有些什麼條件嗎?」
「えーと、森に行って作業することが多いので、南門に近いほど嬉しいです。後は発注した荷物を置いておける屋根のある場所なら、それで十分です」
「呃,因為要去森林作業的事情很多,靠近南門附近就很高興了。如果是之後要暫時放置訂購的貨物有屋頂的地方,那樣就足夠了」
「わかりました。……あぁ、そろそろ見えますよ。あの材木屋です」
「我明白了。……啊,差不多能看見了喔。那個木材行」

 マルクがそう言って前方を指差したが、わたしの身長では見えない。ぴょんこぴょんこ飛び跳ねてみても見えない。
 馬爾克手指著那樣說著的前方,我的身高是看不見的。就算試著跳來跳去也看不見。
 マルクの手をとって、わたしは足を速めた。
 牽起馬爾克的手,我加快腳步。

「じゃあ、急ぎましょう」
「那麼,快點吧」

 そして、意気揚々と材木屋に向かって、やや小走りになった瞬間、突然、膝がガクンとなって、一瞬息がつまって意識が暗転した。
 然後,得意洋洋地轉往木材行,稍稍變成小跑步的瞬間,突然,膝蓋彎了下去,一瞬間喘不過氣來意識轉暗。


 気が付いたら、全く知らない場所にいた。
 注意到了之後,是在完全不認識的地方。
 ベッドが厚手の布で覆われているお陰で、藁布団のチクチクがほとんどしなくて寝心地がいいベッド。シンプルだが、天井まで掃除が行き届いている部屋には全く見覚えがなかった。
 託床被用厚厚的布覆蓋的福,幾乎沒有稻草棉被的扎刺感而躺著很舒服的床。直到天花板都打掃得無微不至的房間完全都很陌生。

「……ここ、どこ?」
「……這裡,是哪裡?」

 起き上がって周りを見回すと、同じ部屋で針仕事をしているコリンナの姿があった。わたしの声が聞こえたようで、手を止めて駆け寄ってくる。
 爬起身來環視周圍後,在同樣的房間有著做著針線活的柯琳娜的身影。似乎聽到我的聲音,停下手跑了過來。

「マインちゃん、気が付いたのね? 突然倒れたと言って、ベンノ兄さんが運び込んできた時にはビックリしたわ。前にオットーから門まで来たら昼まで動けないって聞いたことがあったから、疲れからきた熱じゃないかと思って、寝かせておくことにしたんだけど」
「小瑪茵,醒來了呢? 說是突然倒下了,班諾哥哥在搬進來的時候嚇了一跳喔。因為在之前透過歐拓有聽說來到門後直到中午都無法動彈,想說是不是因為疲勞而發燒了,雖然讓妳先睡了」
「お、お世話おかけいたしました。本当に申し訳ないです」
「勞、勞煩您照顧了。真的很對不起」

 ひいぃぃっ、と息を呑みながら、わたしはベッドの上で土下座した。
 一邊唏咿、地停止呼吸,我一邊在床上跪拜了起來。
 材木屋に向かう途中で、ぶっ倒れて、ベンノによってコリンナの家に運び込まれて、面倒をかけていたらしい。
 在往木材行的途中,趴倒下去,由班諾搬進了柯琳娜的家裡,似乎添麻煩了。
 母やトゥーリに知られたら、叱られるなんてもんじゃない。
 被母親或圖麗知道的話,就不只是被責罵之類的了。

 ああぁぁ、マルクさんにも土下座しなきゃ。普通に会話していたわたしがいきなりぶっ倒れるなんて、心臓が止まるほど驚いたに違いない。
 啊啊,也必須要跟馬爾克先生跪拜。普通地對話著的我突然趴倒下去了什麼的,肯定心臟是會停止般的受驚嚇。

 倒れた原因が今ならわかる。
 倒下的原因現在是知道的。
 まず、ルッツの発言に考え込んで少しばかり寝不足だった。
 首先,因為深思著路茲的發言而稍微睡眠不足。
 そして、ルッツのいない間に交渉事を済ませようと、ちょっと張り切り過ぎた。
 而且,在路茲不在的期間搞定交涉事宜時,稍微太過緊繃了。
 そのうえ、紙作りが順調に行きそうなことに興奮していて、やる気に満ちていたため、自分の体調を考える心の余裕が全くなかった。
 再者,興奮於造紙似乎進行順利,而充滿了幹勁,完全沒有考慮自己身體狀況的思緒餘裕。
 ついでに、わたしの体調を心得ていて、無茶を止める身近な人がいなかった。
 順便說下,沒有能掌握我的身體況狀、能阻止我胡鬧的親近的人。

 やる気だけはあっても、身体が全くついてこない。
 就算只擁有幹勁,身體卻完全跟不上。
 わたしの体、マジでポンコツ。
 我的身體,真的很破爛。

「マインちゃん、いきなりどうしたの? そんなことしなくても大丈夫よ。ベンノ兄さんには連絡しておくわね。ご家族へも連絡したかったのだけれど、すぐに連絡がつかなかったみたいで……」
「小瑪茵,突然是怎麼了嗎? 就算不做那種事情也不要緊喔。事先聯絡班諾哥哥了呢。雖然說也想要跟妳的家人聯絡,但好像無法立刻聯絡上……」

 今日、ウチには誰もいないはずなので、連絡がつかなくても仕方ない。しかも、家族はルッツと行動していると思っている。
 今天,在我家應該是誰都不在的,就算無法聯絡上也沒辦法。而且,家人是認為我跟路茲在行動著的。
 まさか、わたしが一人でベンノの店に行って、ぶっ倒れているなんて思いもしないだろう。
 沒想到,我是一個人去班諾的店,沒想過會趴倒下去之類的吧。
 心配のあまり怒り狂う父の姿を想像しただけで怖いし、コリンナに迷惑かけたことを知った母の怒りは想像さえしたくない。
 只要一想到擔心而相當大發雷霆的父親的身影就很可怕,知道給柯琳娜添麻煩的母親的憤怒連想像都不敢想。

「あのぅ、コリンナさん。か、家族に内緒ってできませんか?」
「那個,柯琳娜小姐。能、能對我家人保密嗎?」
「マインちゃん?」
「小瑪茵?」
「家族はルッツと行動していると思ってるから、ルッツが怒られたら……」
「因為家人認為我是跟路茲行動著,所以路茲會被罵……」

 ルッツを盾に、何とか家族の怒りから逃れられないか、交渉してみたが、コリンナはにっこりと女神のような綺麗な微笑みを浮かべてこう言った。
 以路茲為盾,能不能設法從家人的憤怒中逃離呢,雖然試著交涉,但柯琳娜浮現出微微地女神似的美麗微笑這麼說著。

「ダメよ。怒られてらっしゃい」
「不行喔。請被罵吧」
「のおおぉぉ……」
「不要啊……」

 盛大に叱られる予想に打ちのめされていると、ベンノに連絡がついたようで、ドカドカという大きな足音と共にベンノが部屋に入ってきた。
 被隆重的責備預料給搞得焦頭爛額時,班諾似乎連絡上了,與名為咚喀咚喀的大腳步聲一起班諾進入了房間。
 赤褐色の鋭い瞳がじろりとわたしを睨み、低い声で呼びかける。
 紅褐色的銳利眼神凶狠地瞪視著我,用低沉的聲音呼喊著。

「嬢ちゃん」
「小姑娘」
「ふぁいっ!」
「嘩咿!」

 びしっと背筋を伸ばして、ベッドの上で正座する。
 受驚嚇而伸直背脊,在床上正襟危坐。

「俺の寿命が縮んだぞ」
「我的壽命縮短了啊」

 ベンノの剣幕に寿命が縮んだわたしは、条件反射のように、ベッドの上でまたしても額を布団に擦りつけた。
 壽命因班諾的氣焰而縮短的我,就像條件反射,在床上又用棉被擦拭著額頭。

「大変申し訳ありませんでした」
「非常的對不起」
「……なんだ、それは?」
「……啥啊,那個是?」
「わたしの中で一番誠意を示す謝罪方法、『土下座』です」
「我在心中表示最有誠意的謝罪方法,『跪拜』」
「そうか」
「那樣啊」

 ベンノはボスッとベッドに腰掛けて、ぐしゃぐしゃとミルクティーのような色合いの髪を掻き回す。
 班諾噗嘶地坐到了床上,亂七八糟地來回搔抓著好像奶茶色色調的頭髮。

「オットーから一応身体が弱いとは聞いていたが、ここまでとは思わなかったな」
「雖然從歐拓那姑且聽過身體很虛弱,但沒想到弱成這樣呢」
「わたしもです」
「我也是」
「ぅん?」
「嗯?」

 ルッツがいない間に何とかしようと欲張りすぎた。このくらいなら大丈夫と無意識に考えた基準が昔の自分だった。マインの身体でこなしたら、倒れても当然だ。
 在路茲不在的期間設法做得太過貪心了。下意識地考量著如果是這點程度不要緊的基準是以前的自己。運用瑪茵的身體的話,倒下也是當然的。

「やる気だけではどうにもできない問題でした」
「這是光有幹勁卻怎麼都無法解決的問題」

 ベンノは「まぁ、いい」と呟いて、わたしを見た。
 班諾嘟噥著「好了、夠了」,看著我。

「今後は坊主と一緒に来るように。一人での行動は認めん」
「今後為了跟小夥子一起來。不承認妳一個人的行動」
「……はい」
「……好的」

 ペースメーカーをしてくれるルッツがいないだけで、ぶっ倒れるなんて予想外だった。ちゃんと森まで歩けるようになっていたし、街の中なら大丈夫だろうと高をくくっていた。
 只是因為作為陪跑員的路茲不在,就趴倒下去了是預料之外。

「今日はもう帰れ。心配しまくっているマルクをつける」
「今天該回去了。跟著擔心不已的馬爾克」
「えぇっ!? そんなの申し訳なさすぎます。マルクさんに『土下座』でお詫びしたら一人で帰りますからっ!」
「咦!? 那樣太不好意思了。因為跟馬爾克先生『跪拜』道歉後我一個人能回去!」

 ベンノの言葉に大きく目を見開いて、わたしはバタバタと手を振って辞退する。これ以上、マルクに迷惑をかけるようなことはできない。
 對班諾的話語大大地睜開了雙眼,我迅速揮舞著手辭退掉。不能再給、馬爾克添太多麻煩了。
 しかし、ベンノはひくっと頬を引きつらせて、わたしを睨む眼光を鋭くする。
 但是,班諾忽然抽搐著雙頰,注視著我的眼光很銳利。

「一人での行動は認めんと言ったのが、聞こえなかったのか?」
「說過了不承認一個人的行動,沒聽到嗎?」
「……聞こえてました。わかりました。マルクさんに怒られながら帰ります。えーと、でも、せっかくベンノさんに会えたから『簡易ちゃんリンシャン』の作り方を……」
「……聽到了。明白了。會一邊被馬爾克先生罵一邊回去。呃,那麼,因為難得見到班諾先生『簡易潤洗劑』的作法……」

 今日、ここに来た目的を果たしてしまおうと口を開いたら、恐ろしい形相をしたベンノに、ぐわしっと頭を片手で鷲掴みにされた。
 今天,要結束來到這裡的目的而開口的話,被做出恐怖樣子的班諾,用單手五爪似地將頭猛抓住。

「お・ま・え・は!」
「我・說・妳・啊!」
「はいっ!?」
「是的!?」
「今日は帰れ、と言っただろう!」
「今天回去了,說過的吧!」
「ひゃんっ!」
「吓嗯!」

 頭を掴まれて、大きな声で怒鳴られて、びくぅっと身体が震えた。反射的にぶわっと涙が飛び出した目でベンノを見上げながら、脳味噌の片隅では至極どうでもいい感想が浮かんだ。
 被抓住了頭,被用很大的聲音怒吼,驚嚇到的身體顫抖著。反射性地一邊用鼓起的淚水飛出的眼睛仰望著班諾,一邊在腦海的角落浮現極為無關緊要的感想。
 なるほど、これは確かに雷を落とされるって感じだ。
 原來如此,這確實是被降下雷的感覺。

「今後、坊主を連れずに一人での入店は禁止だ! 記憶力があるなら、きっちり覚えろ!」
「今後,不帶小夥子一個人進入店裡是禁止的! 如果有記憶力,著實地記住!」
「覚えた! 覚えました! いたたたたたっ!」
「記得! 記得了! 好痛痛痛痛痛!」

 その後、歩いて帰るか、マルクが抱いて帰るかで、少しばかりの問答があったけれど、「わたしの心臓を止めたくなければ、おとなしくしていてください」とマルクに優しく脅され、「先程の謝罪は口先だけですか?」と駄目押しされれば、わたしが勝てるはずなんてなかった。
 那之後,走回去的嗎,馬爾克抱著回去的嗎,雖然稍微有些問答,「如果不想讓我的心臟停止,請老實待著」被馬爾克溫柔地威脅,「剛才的道歉只是口頭上的嗎?」被再三囑咐著,我應該無法取勝。

 無駄な抵抗は諦めて、マルクに抱き上げられたまま、家まで運ばれる。
 放棄徒勞的抵抗,就這樣被馬爾克抱著,被送到家裡。
 そして、マルクに抱えられたわたしを見て、マルクから本日の行動を報告された家族は、案の定、怒った。長時間にわたるお説教の間に、本格的に熱を出して、わたしが二日寝込むくらい怒っていた。
 而且,看到被馬爾克抱著的我,透過馬爾克被報告了今天的行動的家人,果然,生氣了。在經過長時間的說教期間,真的發燒了,我睡了兩天左右的生氣著。

 熱が下がったらお詫びのための土下座行脚が必要かもしれない。
 退燒後為了道歉的跪拜出巡是必要的也說不定。
 そうトゥーリに話したら、「謝ることは大事だけど、マインはおとなしくしていた方がいいよ」と言われてしまった。
 那樣跟圖麗說了的話,被說了「雖然道歉是很重要,但是瑪茵還是老實地待著比較好唷」


「そんなわけで、みんなに迷惑かけて怒られたので、今日は一緒に行ってください」
「因為那種理由,因為給大家添麻煩而被生氣,今天請跟我一起去」

 熱が下がった翌日、わたしはルッツに事情説明をして、ベンノの店に同行してくれるようにお願いする。
 退燒後的第二天,我跟路茲做了情況說明,為了同行去班諾的店而拜託著。
 ルッツは呆れかえった顔でわたしを見て、大きな大きな溜息を吐いた。
 路茲用嚇呆的表情看著我,大大的大大的嘆了一口氣。

「ハァ~……だから、言ったろ? マイン一人で行けるのかって。全然大丈夫じゃなかったじゃないか」
「哈……所以,我說過了吧? 說過瑪茵一個人能去嗎。這不是並非完全不要緊嗎」
「あ、あれって、そういう意味だったんだ? もう道は覚えてるから大丈夫って、思ってて……ルッツ?」
「那、那個,是那種意思啊? 我還以為是,因為已經記住路了所以不要緊了……路茲」
「ハハハハハハ……どこをどう考えたら、そんな意味になるんだよ? マインの心配は体力だけに決まってるだろ!?」
「哈哈哈哈哈哈……是要怎麼考慮之後,才會變成那種意思的唷? 瑪茵要擔心的肯定只在體力上的吧!?」

 屈みこんで笑い始めたルッツにわたしが、むぅっと唇を尖らせると、ルッツが吹っ切れたような笑顔で見上げてきた。
 我對蹲下去開始笑的路茲,不爽地噘起嘴唇後,路茲用甩去陰霾般的笑容仰望了起來。

「こんなにすぐにぶっ倒れるようじゃあ、マインにはオレが付いてないとダメだな」
「才這樣就馬上趴倒下去了啊,瑪茵沒有我跟著就不行了呢」
「うん。ルッツがいなかったら、入店禁止ってベンノさんに言われた」
「嗯。被班諾先生說了路茲不在的話,就禁止進入店裡」
「ハハハ……入店禁止って、お前」
「哈哈哈……說是禁止進入店裡,妳啊」

 自分のダメダメ加減を思い知らされて、わたしが落ち込んでいるのに、何故かルッツは機嫌がいい。
 被迫體會自己的不行狀態,明明我是消沉著的,但不知為什麼路茲的心情很好。
 機嫌が悪いよりは良いけれど、何だか釈然としない。
 雖然說比起心情不好還好,但總覺得無法釋懷。

 わたしはルッツの言葉に悩んで睡眠不足になったり、顔を合わせづらいと思ったりしてたのに、なんでルッツはいつも通りなの!?
 明明我對路茲的話語煩惱到睡眠不足,又或是認為難以會面,為什麼路茲會跟以往一樣呢!?

「さぁ、マイン。脹れっ面してないで、行こうぜ」
「好了,瑪茵。別鼓著臉了,該走了」

 いつも以上にご機嫌でお兄さん風を吹かせるルッツと並んで、わたしはベンノの店に向かって歩き始める。
 跟用比平常還好的心情裝出大哥哥風範的路茲並肩,我開始往般諾的店走去。

「ルッツはあの日、森で何を採集したの?」
「路茲那一天,在森林裡採集了什麼?」
「薪と竹。竹を削って、どういうものがいるか、職人に見せるってマインが言っただろ?」
「木柴跟竹子。削了竹子,要給工匠看看,到底是個什麼樣的東西呢瑪茵說過的吧?」
「そういえば、そうだった。忘れてた」
「這麼說來,就是那樣。我都忘了」

 口で説明したり、石板に描いたりしてもわからなかった時のために、現物を用意するつもりだったのに、すっかり忘れていた。
 為了就算用嘴說明、或是畫在石板上都還不明白的時候,打算準備實物的說,卻忘得一乾二淨了。

「おいおい、しっかりしろよ」
「喂喂,振作一點唷」
「わたしの代わりにルッツがしっかりしているから大丈夫だよ」
「因為代替我的路茲很可靠所以不要緊的唷」

 メモ用紙もないところで全てを覚えていられるわけがない。わたしはメモ魔だった。何でもかんでも忘れないように手帳にメモしていた。メモすれば忘れても大丈夫だったので、手帳に頼り切っていたわたしには、大した記憶力が備わっていない気がする。
 在沒有便條紙的地方不可能全部都記住。我可是便條魔。不管是什麼都會為了不要忘記而筆記在記事本上。因為作筆記的話就算忘了也不要緊,對依靠著筆記本的我來說,感覺不具備多了不起的記憶力。

 二人で覚えていれば忘れることは少なくなるよ、とわたしがルッツに言えば、ルッツは泣きそうに顔を歪めた。
 兩個人來記住的話忘記的事情就驗少了唷,我跟路茲那樣說的話,路茲快哭了似的歪著臉。

「……オレさ、マインが文字を書いて、計算もできて、大人とわけのわからない話もできるのを見て、悔しかったんだ」
「我呀,看著瑪茵會寫文字、也能做計算、還能跟大人做著不知道意義的談話,很不甘心」
「え?」
「哎?」
「オレなんか必要ないんじゃないか。あの店でオレが役に立つことなんてないんじゃないかって思ってた」
「我是不是不需要的呢。想著說在那家店裡我是不是派不上用場呢」

 洗礼前の子供にいきなり役立てなんて、店の誰も言わないだろう。ルッツが自分の名前を書けて、真面目に勉強に取り組んだことで、かなり評価は上がっていた。
 要洗禮前的小孩子突然有用處什麼的,商店的誰都不會說的吧。因為路茲會寫自己的名字,認真地致力於學習,評價相當提升了。
 ルッツはそれに気付いていなくて、わたしと自分を比べて落ち込んでいたということだ。
 路茲沒注意到那點,是所謂的把自己跟我相比而消沉的吧。

 わたしと比べる必要はないよ、と慰めようとしたら、ルッツが今度は小さく笑いながら顔を上げた。
 沒必要跟我比較唷,那樣安慰的話,路茲這一次一邊小小地笑著一邊抬起頭來。

「でもさ、マインはすぐにぶっ倒れるし、頭は良いのに抜けてるし、腕力ないし、ちっこいし、よく考えたら出来ないことの方が多いんだよな。オレがいなかったら入店禁止とか……」
「但是呢,瑪茵馬上就會趴倒下去,明明頭腦很好卻少根筋,沒有力氣,個子又小,仔細考慮的話做不到的事情還比較多呢。」
「ひどい、ルッツ! わたしだって、たまには役に立つよ!」
「好過份,路茲! 就算是我,偶爾也是派得上用場的唷!」

 あまりの言い様に抗議したら、何故かルッツはお腹を抱えて笑い始めた。
 抗議過分的表達方式的話,不知為什麼路茲抱著肚子開始笑了。
 しばらく笑った後、ルッツがポンとわたしの頭に手を置いて、ぐりぐりと撫で回す。
 暫時笑過了之後,路茲砰地把手放在我的頭上,強押地來回撫摸著。

「この間はマインがマインじゃないみたいで、意地悪言った。悪かったな」
「因為最近瑪茵好像不像瑪茵了,開玩笑說了。不好意思呢」
「……なんだ。意地悪、だったんだ」
「……什麼啊。是,開玩笑啊」

 気が抜けた。
 鬆了一口氣。
 わたしはルッツの言葉をものすごく深刻にとらえていたのに、ルッツにとってはただの意地悪だった。微妙な緊張が残っていた身体から、力が抜ける。
 我明明非常深刻地體會著路茲的話,對路茲來說卻只是開玩笑。因為是微妙的緊張還殘留著的身體,所以脫力了。

「……ルッツに嫌われたかと思ってたから、よかった……」
「……因為我以為被路茲討厭了,太好了……」
「嫌ってねぇよ。ほら、早く行こうぜ」
「才不會討厭唷。好了,快點走吧」

 ルッツが差し出した手をとって、そのまま繋いで歩きだす。わたしにとっての日常が戻ってきた気がした。
 牽起路茲伸出來的手,就那樣牽著走了起來。感覺對我來說的日常回來了。

「おはようございます」
「早安」

 ベンノの店に入ると、わたし達を見つけたマルクが奥のベンノの部屋へと案内した。
 進入班諾的店後,看見我們的馬爾克帶領我們到深處的班諾房間。
 こめかみを押さえながら、ベンノが相変わらず鋭い目でわたしを睨む。
 一邊按著太陽穴,班諾一邊用依舊銳利的目光盯著我。

「坊主、そこの無茶な嬢ちゃんのお守は、最優先にしなければならないお前の仕事だ。お前にしかできない最重要任務だと思え。いいな? 街中を歩いて、前触れもなく、いきなり目の前でぶっ倒れられたら、心臓がいくつあっても足りん」
「小夥子,那邊胡鬧的小姑娘的護符,必須是最優先的你的工作。我認為這是只有你才能做到的最重要任務。可以嗎? 走在城市裡,毫無預告,突然就在眼前趴倒下去的話,心臟有幾個都不夠用」

 不機嫌そうなベンノからの命令にルッツは目を瞬いて、自分を指差した。
 路茲對來自心情不好的班諾的命令眨了眨眼,手指著自己。

「……マインのお守はオレにしかできない?」
「……瑪茵護符只有我才能做到嗎?」
「そうだ。お前以外にこんな無茶な嬢ちゃんの面倒みられるヤツがいるか? 家族以外で今までいたか?」
「沒錯。除了你以外有能照顧如此胡鬧的小姑娘的傢伙嗎? 除了家人以外目前為止有嗎?」
「いない」
「沒有」
「この店にいると思うか?」
「你認為這家店裡有嗎?」
「いない」
「沒有」

 ベンノの言葉にルッツは即座に首を振った。顔が輝いて、薄い緑の瞳が何だか誇らしげに見えるのは気のせいではないと思う。
 路茲對班諾的話語立即搖了搖頭。喜出望外、淡綠色的瞳孔看起來得意洋洋我想不是錯覺。

 ぬぅ、誇らしげなルッツのほっぺをぐにぐにしてやりたい。
 唔,想要把得意洋洋的路茲的臉頰捏來彈去的。

「さて、坊主に聞きたい。今日、この嬢ちゃんは南門まで歩けそうか?」
「好了,想跟小夥子打聽。今天,這個小姑娘能走到南門嗎?」
「歩く速さに気を付ければ大丈夫だ。南門なら家も近くになるから、気持ち悪くなってもすぐに帰れる」
「注意走路速度的話是不要緊。因為如果是南門家也變得很近,就算變得難受也能馬上回去」

 いつものことだが、わたしの体調を家族やルッツの方が詳しく知っていることが情けない。少しずつ鍛えているつもりだが、どうにもスタミナが伸びないのだ。
 雖然是很平常的事情,不過家人或路茲把我的身體狀態知道得如此詳細真是丟臉。雖然打算一點一滴地鍛鍊,但不管怎樣耐力都不怎麼延長。

 子供ってぐんぐん成長するはずなんだけどな。
 雖然說小孩子應該是要不斷地成長的呢。

 鍛えても成長率が良くない自分の体を見下ろしていると、ベンノが机の上のベルを一振りする。
 俯視著就算鍛鍊但成長率也不好的自己的身體時,班諾搖了一下桌子上的鈴。
 ギッと扉が開いて、マルクが入ってきた。
 嘰地門打開了,馬爾克進來了。

「お呼びですか、旦那様?」
「您叫我嗎,老爺?」
「歩く速さに気を付ければ行けるそうだ。案内してやってくれ」
「注意走路速度的話似乎就能去。帶領他們去吧」
「かしこまりました」
「謹遵吩咐」
「え? どこに行くんですか? 材木屋は西門ですよね?」
「咦? 要去哪裡呢? 木材行在西門的吧?」

 南門に向かわなくてはならないような用件はなかったはずだ。わたしが目を瞬くと、ベンノは軽く肩を竦めた。
 應該沒有非得要去南門的要件吧。我眨了眨眼後,班諾輕輕地聳聳肩。

「マルクから話は聞いた。南門に近い倉庫をお前達に貸してやる」
「從馬爾克那聽說了。借給你們靠近南門的倉庫」
「いいんですか? ありがとうございます」
「可以嗎? 非常感謝您」

 わたしが飛び上がって礼を言うと、ベンノが軽く溜息を吐いた。
 我跳了上來道謝後,班諾輕輕地嘆了一口氣。

「嬢ちゃんのためじゃない。坊主のためだ。嬢ちゃんの面倒を見ながら、道具も運ばなきゃならんなんて、大変すぎるからな」
「不是為了小姑娘。是為了小夥子。因為要一邊照顧小姑娘,一邊必須要搬運工具什麼的,太辛苦了」
「えぇ!? わたしだって、ちゃんと運びますよ!? ちょっと腕力だってついてきたんですから」
「哎!? 就算是我,也能好好搬的唷!? 因為稍微有點力氣起來了」

 わたしが自分の腕を叩いて主張したら、三人が異口同音に反論した。
 我拍拍自己的手腕主張之後,三個人異口同聲地反駁了。

「余計なことしなくていいから、おとなしくしてろ」
「因為不要做多餘的事情比較好,老實點」
「力を使うことはオレがするから、倒れるようなことはするな」
「因為出力的事情我來做,不要做像是會倒下的事情」
「運ばなくていいので、体調管理をしてくださいね」
「由於不要搬比較好,所以請做好健康管理」

 だが、断る。
 但是,我拒絕。
 おとなしくなんてしていられない。
 老實待著什麼的才不需要。
 わたしはトゥーリと約束しているんだ。出来ることからやっていく。出来ることを増やしていくって。自分のことは自分でするし、今はできなくてもできるように頑張るんだ。
 我跟圖麗約定過。要從能做的事情去做。逐漸增加能做的事情。自己的事情自己做,就算現在做不到也要像能做到般努力著。

 神妙な顔で頷きながら、決意していると、ルッツがぐにっとわたしの頬をつかんで、顔を覗きこんできた。
 一邊用老老實實的臉點頭,一邊下定決心後,路茲捏起了我的臉頰,望進了我的臉。

「マイン、その顔……ちゃんと聞いてるふりして、言うこと聞く気ないだろ?」
「瑪茵,那個表情……是假裝好好聽著,卻不在意聽到了什麼對吧?」

 何故バレたし!?
 為啥會暴露了!?

 びくっとしながら頬を押さえてルッツを見上げるわたしを見て、ベンノとマルクが視線を交わしあって頷きあう。
 看著一邊嚇了一跳一邊仰望著壓著我的臉頰的路茲的我,班諾跟馬爾克互相交換視線互相點頭。
 この日以降、ルッツは「マイン係」として、ベンノの店で重宝されるようになった。
 那天以後,路茲作為「瑪茵專員」,在班諾的店裡變得被器重著。

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 予告詐欺かましました。すみません。
 是預告詐欺嗎增加了。對不起。
 考えていた話が長くなりすぎたので、半分にしたら、道具集めは次回になりました。
 因為考慮起來的話變得太長了,寫到一半後,工具收集變到了下回。

 次回こそ道具集めで。
 下回才是工具收集。
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