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2 GP

第一部士兵的女兒 契約魔術

作者:SPT草包│2017-01-30 08:04:19│贊助:4│人氣:124
本好きの下剋上~司書になるためには手段を選んでいられません~
以下犯上的書癡~為了成為圖書管理員而不擇手段~
作者:香月美夜
第一部兵士の娘 契約魔術
第一部士兵的女兒 契約魔術
原文連結

 わたし達のテーブルを女性従業員に片付けさせたマルクが、色々な物を乗せたお盆をもってきた。
 讓女性工作人員整理了我們的桌子的馬爾克,端著放上各式各樣物品的盤子過來。
 トレイと言った方が、セバスチャンっぽいマルクには合うかもしれないけれど、木を削って作られている平たい円は、お盆としか表現できなかった。
 是所謂的托盤嗎,跟滿滿賽巴斯欽風的馬爾克很適合也說不定,被削切木頭做成平的圓形,只能表現出盤子而已。

 マルクがテーブルの上に、持ってきた物を並べていく。何枚か重ねられた板、インク壺、細い竹のような葦のような植物でできたペン、石板、石筆、布。
 馬爾克在桌子上,將帶來的東西逐漸排列。好幾塊被重疊的板子、墨水瓶、用細竹般蘆葦似的植物做成的筆、石板、石筆、布。
 全てを歪みなく、ピシッと置いて、マルクは顔を上げた。
 將全部毫無歪斜、整齊劃一地放置著,馬爾克抬起頭。

「では、発注書の書き方を教えます」
「那麼,來教訂貨單的寫法吧」
「よろしくお願いします」
「請多多指教」
「お、お願いします」
「拜、拜託你了」

 マルクはわたしとルッツを見比べた後、ルッツに声をかけた。
 馬爾克比較了我跟路茲後,對路茲發出了聲音。

「ルッツ、字は書けますか?」
「路茲,會寫字嗎?」
「……オレ、自分の名前しか書けない」
「……我,只會寫自己的名字」

 粘土板を作っている時にわたしが教えた名前の書き方をルッツはしっかりと覚えていたらしい。しかし、ここで使われるのは自分の名前だけではないだろうと、困ったように顔を伏せる。
 路茲似乎將我在製做黏土板的時候所教的名字寫法好好地記住了。但是,被用在這裡的不會只有自己的名字吧那樣,困擾似地低下了頭。
 ルッツの話を聞いたマルクは、ふむ、と一つ頷いて、石板を取り上げて、ルッツの前に置いた。
 聽到路茲的話的馬爾克,呼唔、地點一個頭,拿起石板、放在路茲前面。

「自分の名前が書けるのですか? 商人の子ではないと聞いていたのですが……驚きました。契約には問題ありません。ですが、文字は見習いになれば全員が覚えることです。マインが発注書を書く間に基本文字の練習をしましょう」
「會寫自己的名字嗎? 雖然聽說過不是商人的小孩……還是很驚訝。契約上沒有問題。不過,文字是成為實習的話全體人員就都要記住的。在瑪茵寫訂貨單的期間來做基本文字的練習吧」

 商人の子ではないルッツが自分の名前を書けるとは思っていなかったようで、契約までに覚えさせる予定になっていたようだ。
 好像不認為不是商人小孩的路茲會寫自己的名字,似乎變成在契約之前被記住的預定。
 予定を変更したマルクは石板に基本文字を5つほど書いて、ルッツに練習させ始める。見習いの教育係だろうか。教え方や進め方が非常に手慣れているように見えた。
 變更預定的馬爾克將5個左右的基本文字寫在石板上,讓路茲開始練習。是實習的教育人員吧。教法跟步驟看起來都非常地熟練著。

「マイン、貴女は書けますか?」
「瑪茵,您會寫嗎?」
「わからない単語があるかもしれませんが、単語を教えてもらえれば書けます」
「有不知道的單字也說不定,但告訴我單字的話就會寫了」
「よろしい」
「很好」

 マルクがわたしの前に板を二つ並べた。
 瑪克在我面前並列兩塊板子。
 全く何も書いていない板と、文字がすでに書かれた板だ。お手本だろう。わからない単語もあるが、7割方読める。
 全部什麼都沒寫的板子跟、已經被寫上文字的板子。是範本吧。雖然有不明白的單字,但看得懂7成左右。

「これが発注書という文字です」
「這就是稱為訂貨單的文字」

 一番上に書かれた文字を指差して、マルクが言う。
 用手指著被寫在最上方的文字,瑪克說著。
 そして、発注書の書式を教えてもらう。発注主、発注品、品数など、教えてもらえば、それほど難しいものではない。
 然後,指導著訂貨單的格式。訂購人、訂購品、物品數量等,有指導的話,並不是那麼難的東西。

「では、発注する道具や材料はわかりますか?」
「那麼,知道要訂購的工具跟材料嗎?」
「はい」
「是的」

 大きく頷いて書き始めたのだが、ガタガタしている板の上に書くのが思ったよりも難しい。そして、使い慣れないペンが更に書きにくくて、嫌になる。
 雖然大大地點頭後開始書寫了,但寫在不平穩的板子上比所想的還難。然後,用不慣的筆更難書寫,變得很討厭。
 このペンなら、わたしが作った煤鉛筆の方がよほど書きやすい。ちょっと擦ったら字が崩れて真っ黒になって、読めなくなるけどね。
 如果是這種筆,我製做的煤炭筆還相當容易書寫。稍微擦到的話字就毀了變得全黑,造成無法閱讀就是了呢。

「うぅ、石筆と違って書きにくいですね」
「嗚,跟石筆不一樣很難寫呢」
「初めてにしては、よく書けている方ですよ」
「第一次做,已經算寫得很好了喔」

 褒められているので、調子に乗って頑張る。
 因為被誇獎了,所以順勢努力著。
 カリカリと書いていると、マルクが発注書を見て、やや眉を寄せた。
 振筆疾書的時候,瑪克看著訂貨單,微微皺起眉頭。

「……マイン、鍋とありますが、大きさは?」
「……瑪茵,雖然有鍋子,但大小呢?」
「えーと……ウチの二番目に大きいくらいの鍋がいいかなって思っていたんだけど……」
「呃……雖然我認為大約我家第二大的鍋子就可以了……」

 マルクが更に眉を寄せた。その説明ではわかりません、と顔に書いてある。
 馬爾克更加地皺起了眉頭。無法理解那個說明,那樣地寫在了臉上。

 うん、そうだよね。ウチの鍋なんて言われてもわからないよね?
 嗯,是那樣的吧。就算被說是我家的鍋子什麼的也無法理解的吧?
 でも、鍋の大きさを表す単位がわからないんだよ。センチじゃないと思うんだけど、なんて説明すればいい?
 但是,我不知道表示鍋子大小的單位喔。雖然我認為不會是公分,但要怎麼說明才好?

「ねぇ、ルッツ。ルッツが水を入れて運べる鍋の大きさってどれくらい?」
「喂,路茲。路茲能搬動裝了水的鍋子的大小大概多大?」
「あ? うーん、これくらい」
「啊? 嗯,大概這樣」

 ルッツが自分の腕で丸を作る。
 路茲用自己的手腕做了個圓。
 この世界の子供に説明を丸投げして正解……げふんげふん、一番使うことになるルッツに意見を聞いて正解だったようで、マルクが即座にメジャーのようなものを取り出して、さっとルッツが作った丸を測った。
 將說明全盤委託給這個世界的小孩子是正確解答……咳呵咳呵,聽到變成最好用的路茲的意見就好像是正確解答般,馬爾克立即拿出捲尺般的東西,迅速地測量路茲所做的圓。

「深さは?」
「深度呢?」
「ルッツ、どれくらい?」
「路茲,有多深?」
「これくらい」
「大概這樣」

 またもや、マルクがさっと測る。
 又再一次,馬爾克迅速地測量著。
 身の回りにメジャーなんてなかったし、今までは大体の目分量で何とかなっていた。正確な長さを知る必要がなかった。
 身邊沒有捲尺之類的,至今都是用大致的目測然後去想辦法的。沒必要知道正確的長度。
 しかし、自分達で作るならともかく、他のところに発注するなら曖昧では話にならない。
 但是,我們自己做的姑且不論,如果要在其他地方訂購曖昧不清是無法對話的。
 わたしは頭を抱えて、小さく呻いた後、マルクに向かって手を上げた。
 我抱著頭煩惱,小小的呻吟了之後,對馬爾克舉起了手。

「……マルクさん、発注書を書く前に長さの単位、教えてもらっていいですか?」
「……馬爾克先生,在寫訂貨單之前,可以教我長度的單位嗎?」
「もちろんです」
「當然可以」
「それと、今日、帰ってから長さを測らないと発注できない物もあるので、メジャーを借りてもいいですか?」
「還有,因為今天,回去之後也有不測量長度就不能訂購的東西,可以借用捲尺嗎?」

 すでに作ってしまった桁の長さを測らなければ、簀が作れない。
 不去測量已經做好的桁的長度的話,簀是做不了的。

「メジャーも発注しておきましょう。これから必要になるでしょう」
「捲尺也事先訂購吧。今後會變得需要的吧」

 試作品を作る段階では葉書くらいのサイズで、木の種類や混ぜる割合など色々と試すつもりだが、最善が決まったら、もっと大きい紙を作る。
 由於在製做試作品的階段是宛如明信片的大小,所以木頭的種類跟混合的比例等等打算各種嘗試,最佳的決定了的話,就製做更大的紙張。
 そうすると、当然、道具も大きい物が必要となる。メジャーは必須だ。
 那樣的話,當然,工具也變得必須是要大的東西。捲尺是必要的。

 マルクからメジャーを借りて、測り方を教えてもらいながら、発注書を書いていく。
 從馬爾克那借來捲尺,一邊請教測量方法,一邊繼續寫訂貨單。

 蒸し器、鍋、角材、灰、たらい、簀桁、紙床、重石、平たい板。そして、原料、トロロ。
 蒸籠、鍋子、角材、底灰、盆子、簀桁、紙床、重石、平的板子。然後,原料、黏劑。

 できるだけ早く紙作りを始めたいので、全てを書こうと思ったが、鍋が来ないと蒸し器の大きさはわからない。そうすると蒸し器を作るのに必要となる木の大きさもわからない。
 由於想要盡可能早點開始造紙,所以想要將全部寫上,但鍋子不來就不知道蒸籠的大小。那樣的話在製做蒸籠上變成必要的木頭的大小也就不知道了。

 角材はこれくらいで、こうやって使って、とマルクに説明して、大きさや重さを決めていく。灰も一度紙を作ってみなければ、必要な量がわからない。ひとまず小さい袋一つ分を注文してみる。
 角材大概是這樣、像這樣使用著,這樣的對馬爾克說明著,逐漸決定大小跟重量。底灰也是不試做一次紙張看看的話,是不知道所需要的量的。暫且試著下訂小袋一份。
 何を注文するにも、どう説明すればいいのかわからなくて、頭を抱えた。
 下訂了什麼,也是不知道該怎麼說明才好,而抱著頭煩惱。

「あぁ、難しい。簀に関しては、すでにできている桁を持っていって、直接職人さんと話したいです」
「啊,好難。關於簀,想要帶著已經做好的桁去,直接跟工匠說」
「そうですね。この簀というものについては、その方がいいかもしれません。石板に描かれた図を見ても、よく理解できないので」
「說得也是呢。關於這個名為簀的東西,那個方法說不定是最好的。因為就算看到被畫在石板上的圖,也不是很能理解」

 マルクもお手上げだった簀以外の物については、何とか発注書を書くことができた。
 關於就連馬爾克也束手無策的簀以外的東西,好歹能寫訂貨單了。

 わたしが発注書と格闘している間、ルッツも頑張って字を練習していた。座って長時間書くことには慣れていないはずなのに、ビックリするほど長い集中力を見せた。
 我跟訂貨單格鬥著的期間,路茲也努力地練習著字。明明應該是不習慣長時間做下書寫的,卻展現出令人吃驚般的長久集中力。
 門にやってくる兵士見習いとは全然違った。やはり自分にとって必要だと思うものに関しては、集中力も変わってくるのだろう。
 跟在門做著的實習士兵完全不一樣。果然是關於認為對自己來說是必要的東西,而集中力也跟著改變了吧。
 しかし、集中しすぎたのか、どことなくルッツが無表情になっているのが気になる。
 可是,是太集中了嗎,總感覺說不上來的路茲變得面無表情了起來嗎。

「では、時間もあるようなので、次は計算も覚えましょう。ここでは計算機を使って、計算します」
「那麼,因為好像也還有時間,接下來計算也記住吧。在這裡要使用計算機,來做計算」

 少しの休憩をはさんだ後、ルッツは計算機の使い方を教えてもらうことになった。
 夾著稍微的休息之後,變成路茲請教著計算機的使用方法。
 ここの計算機の使い方を知らないわたしも隣で一緒に聴く。そろばんに似ているなと思いながら、計算機をいじっているとマルクが不思議そうに首を傾げた。
 不知道這裡的計算機的使用方法的我也在隔壁一起聽著。一邊想著跟算盤很相似,一邊撥弄著計算機時馬爾克不可思議似地疑惑不解著。

「マインは計算をするのでしょう? 旦那様からそう伺っていますが?」
「瑪茵是會計算的吧? 是從老爺那裡那樣偷學來的嗎?」
「わたし、実は、計算機が使えないんです」
「我、其實,不會使用計算機」
「では、どうのように計算をするのですか?」
「那麼,是怎樣般地做著計算的?」
「石板を使ってます」
「使用石板」

 石筆で筆算をして、マルクに出された計算問題を解いていく。
 用時筆做著筆算,逐漸解開被馬爾克提出的計算問題。
 計算機もなく大きな数の計算をするのが信じられないと言われ、何故かわたしがマルクに筆算の仕方を教えることになった。
 被說不敢相信沒有計算機卻能做大額數字的計算嗎,不知何故變成我教導著馬爾克筆算的方法。

「計算機が使えれば、『筆算』を覚える必要はないですよ?」
「會使用計算機的話,就沒必要記得『筆算』了唷?」
「計算機がない時には必要です。それに、計算機の使い方は知っていますが、どうしてその数字が出てくるかは知りませんでした。実に興味深い」
「在沒有計算機的時候是必要的。而且,雖然知道計算機的使用方法,但不知道那個數字怎麼會出來。實在很有興趣」

 小学生向けの算数講座でマルクが満足している姿を見ると不思議な感じがする。
 看到用小學生向的算數講座讓馬爾克滿足著的身影時感到不可思議。
 自分にとっては当たり前のことが当たり前ではない。改めて、日本の義務教育のすごさを思い知った。
 對自己來說理所當然的事情卻不是理所當然。再次,體會到日本義務教育的厲害。

 こういうのって、下手に広げない方がいいんだっけ?
 就像這樣,不要不小心地擴散會比較好吧?

 知識の共有はした方がいいと個人的には思うけれど、それがここの常識と噛み合うのかがわからない。もしかしたら、余計な事をしてしまったかもしれない。
 雖然說個人上認為知識的共享會比較好,但是不知道那個跟這裡的常識是否契合。或許,做了多於的事情也說不定。


「そろそろ旦那様が戻られる時刻です。契約魔術の準備をしますね」
「差不多是老爺要回來的時刻了。要做契約魔術的準備了呢」
「契約魔術って何ですか?」
「契約魔術是什麼啊?」

 初めて聞いたファンタジーっぽい言葉に胸が高鳴るのを止めることができない。
 對第一次聽到幻想風的話語而無法停止胸中的激烈心跳。
 わたしにとっては、本の中にしか出てこないような不潔で不便な昔の世界だったのに、まさか魔術なんてものがあるファンタジーな世界だったとは。
 對我來說,明明是個只出現在書本裡般不乾淨又不方便的古老世界,沒想到是存在著魔術之類的東西的幻想世界。

 もしかして、わたしも魔法が使えるかも? 転生チート!?
 難道,我也能使用魔法? 轉生作弊!?

 うきうきしながら、マルクの答えを待っていると、くすりと笑われた。
 一邊喜不自勝,一邊等待著馬爾克的答案時,被噗哧地嘲笑了。

「魔力は知っての通り、貴族だけが持つ力です」
「魔力是眾所周知,只有貴族才擁有的力量」
「……貴族だけ?」
「……只有貴族?」
「えぇ、そうです。普段は目にしませんから、我々にはよくわからない力ですけれど」
「是的,沒有錯。因為通常是看不到的,所以是我們不太明白的力量就是了」

 魔法がある世界にドキドキわくわくした気分は一瞬で打ち砕かれた。
 對存在魔法的世界心跳不己歡欣雀躍的氣氛被一瞬間打碎了。

 貴族だけが持つ力って、何それ。
 是說只有貴族擁有的力量,那算什麼。
 本ばかりか魔力まで持っているなんて、お貴族様め。
 不光是書本嗎就連魔力都擁有著什麼的,可惡的貴族大人。

「契約魔術はもともと横暴な貴族に対して拘束力を持たせるための物でした。そのため、魔力のこもった特殊なインクと紙が必要になります。これで契約すると魔力による縛りができます。強力で契約者の同意なしに解約できない契約になります」
「契約魔術本來就是做為為了擁有對蠻橫的貴族有約束力的東西。為此,就變得需要充滿魔力的特殊墨水與紙張。用這個訂下契約就能因魔力而加以束縛。因為強大而變成契約者不同意就無法解約的契約」
「へぇ、便利ですね」
「哦,好方便呢」

 魔力で縛られて、勝手に破棄できない契約は違反やずるを考えない場合はとても役に立つと思う。
 我認為被用魔力束縛,無法擅自取消的契約不考慮違反跟耍詐的情況是非常派得上用場的。

「便利ですが、紙やインクが魔術具でとても高価で珍しいので、よほどの利益が見込める契約でなければ使われません」
「雖然很方便,但由於紙張跟墨水因為是魔術具而非常昂貴稀奇,沒有預期到相當利益的契約是不會被使用的」

 なるほど。
 原來如此。
 どうやら、簡易ちゃんリンシャンにはよほどの利益が見込まれているらしい。
 看來,簡易潤洗劑似乎被預期著有相當的利益。

 確かに、日常で使う消耗品は強い。なくなったら、次が必要になるし、一度つやつやさらさらの髪を知ってしまえば、無かった時代に戻れる女性は少ない。特にお金があって、見栄えを気にする貴族女性なら尚更だ。
 確實,在日常使用的消耗品是很強大。用完的話,下次就變得需要了,知道過一次光滑乾爽的頭髮的話,能回到沒有的時代的女性沒多少。特別是有錢、在意美觀的貴族女性的話就更是如此。

 ……もしかして、安売りしすぎたかな?
 ……難道,廉價過頭了嗎?

 一瞬頭の中をそんな考えが過ったが、欲張ったら碌なことにならない。
 雖然一瞬間在腦袋中那樣考慮過的錯誤,但是貪心的話就太不像樣了。
 わたし達に必要だったのは、安心と安定と先立つものだ。それで満足しておこう。
 我們所需要的就只有,安心與穩定與基金。事先那樣就滿足了。

「すまない。待たせたな」
「不好意思。久等了」

 ベンノが早足で部屋に入ってきた。
 班諾快步進入了房間。
 わたし達を待たせているのを気にしてくれていたようだ。
 似乎很介意讓我們等待。

「発注書は書き終わったか?」
「訂貨單寫完了嗎?」
「今書ける分は書けました」
「現在能寫的份都寫好了」

 わたしが積み重なった板を示すと、ベンノが「ずいぶんあるな」と呟いた。
 我表示堆積起來的板子後,班諾「有相當多呢」地嘟噥著。
 まだ測れていないものがあるから、もっと増えるけれど、よろしくね。
 雖然說因為有還沒被測量的東西,所以會增加更多,但請多關照呢。

「ルッツはどうだ?」
「那路茲如何呢?」

 ベンノの言葉に、マルクが胸に手を当てて答える。
 對班諾的話語,馬爾克把手貼到胸口回答。

「最初から自分の名前は書けたので、それ以外の勉強に時間を費やしていました。彼はなかなか覚えがいいです」
「由於從最初就會寫自己的名字,所以把時間花費在那以外的學習上。他記憶相當的好」
「そうか」
「這樣啊」

 マルクに褒められても、ルッツは何かを考えているような顔で小さく頷いただけだった。
 就算被馬爾克稱讚,路茲也只適用像是在思考什麼的表情悄悄地點著頭。
 半日を勉強に費やしたので、かなり疲れたのかもしれない。慣れないことをすると疲労感がすごいからね。
 因為花費了半天在學習上,相當疲累了也說不定。因為做不習慣的事情的疲勞感是很厲害的呢。

「マルクからも説明があったと思うが、これが契約魔術に使われる契約用紙と特殊なインクだ。貴族の御用達と認められた商人だけに与えられるものだ」
「雖然我認為經由馬爾克也說明過,但這是被使用在契約魔術上的契約用紙跟特殊墨水。是貴族的御用品而只有被認可的商人才能被給予的東西」

 ベンノが取り出したのは、変わったデザインのインク壺だった。中身は一見普通のインクに見えるが、全く違うものらしい。
 班諾拿出來的是,設計怪異的墨水瓶。內容猛一看雖然看起來像普通的墨水,但似乎是完全不一樣的東西。
 興味津々で見つめるわたしの前で、ベンノが丁寧に契約用紙を広げた。
 在因興致昂然而凝視著的我面前,班諾謹慎地攤開契約用紙。

「……そんな高価そうで、希少なもの、使って大丈夫なんですか?」
「……因為是那麼樣昂貴、稀少的東西,用掉不要緊嗎?」
「契約の価値があると思わなければ使わないから気にするな」
「很在意因為不認為有契約的價值而去使用呢」

 ……気にするなって言われても、気になるよ。
 ……就算被說變得很在意,也的確很在意唷。

 ベンノはインク壺にペンをつけて、すらすらと契約内容を書いていく。インクが黒ではなく青いインクだ。書き慣れた流暢な字が書かれていく様子をじっと見つめる。
 班諾把筆沾入墨水瓶哩,流利地寫起了契約內容。墨水不是黑的而是藍色的墨水。直盯著熟練流暢的字被寫出來的樣子。

《マインは簡易ちゃんリンシャンに関する権利を全てベンノに譲ること。
《瑪茵把關於簡易潤洗劑的權利全部轉讓給班諾。
 代わりに、洗礼式までの間、マインとルッツが作る紙の制作にかかる費用は全てベンノが出すこと。
 作為交換,直到洗禮式之間,瑪茵跟路茲花費在製做紙張的製作上的費用全部由班諾來出。
 紙を作る相手を決める権利をマインが、紙を売る権利をルッツが持つこと。
 瑪茵持有決定造紙對象的權利,路茲持有販售紙張的權利。
 しかし、値段や利益に関する権利は二人とも有しないこと》
 但是,關於價錢跟利潤的權利兩個人都沒有》

 そんなことが書かれている契約書をマインは端から端までよく読んだ。
 瑪茵把被寫了那些事情的契約書從頭到尾好好看過。
 何か変なことが書かれていないかの確認のためという名目で、インクの匂いを胸いっぱいに吸いこむ。
 以所謂為了確認沒有被寫上什麼奇怪的事情為名義,將墨水的氣味滿滿地吸進胸中。

 あぁ、早く紙を作って、本が作りたいなぁ。
 啊,好想快點製做紙張、製做書本呢。

「……何か問題があったか?」
「……有什麼問題嗎?」

 ベンノの怪訝そうな声にハッと我に返った。ベンノの訝しげな目とルッツの呆れたような目がわたしに向かっている。何となくルッツにはインクの匂いにうっとりしていたのがバレている気がする。
 突然因班諾詫異般的聲音而回神。班諾懷疑的眼神與路茲吃驚般的眼神面向了我。總覺得就路茲看來陶醉於墨水的氣味中而感覺暴露了。

「へわっ!? だ、大丈夫です! 話しあった通りのことが書かれているので、これで問題ないです」
「嘿哇!? 不、不要緊! 因為如同討論過的事情都被寫上了,這樣就沒有問題了」
「……オレもそれでいい」
「……我也那樣就可以了」

 ルッツの言葉にベンノは頷いて、ペンをインクにつけた。
 班諾對路茲的話與點點頭,將筆沾上墨水。

 契約書の最後にベンノが名前を書く。
 班諾在契約書的最後寫上名字。
 くるりと回したペンを差し出され、ちらりとルッツと視線を交わした後、わたしが受け取った。
 轉了一圈的筆被遞了出來,撇一眼跟路茲交換視線後,我接受了下來。

 わたしが知っている紙より少し柔らかい羊皮紙を指先でそっと撫でて、感触を堪能しながら、ペンを構えた。
 用手指輕輕地撫摸著比我所知道還稍微柔軟的羊皮紙,一邊滿足於觸感、一邊拿好了筆。
 そっとインク壺に入れて、インクをつけて、ペン先に少し引っ掛かりを感じながら、ベンノの下に自分の名前を書く。板に書いた発注書と違って、とても書きやすい。
 輕輕地放入墨水瓶中,沾上墨水,一邊感覺在筆尖上稍微沾附,一邊在班諾的下方寫著自己的名字。跟在板子上寫訂貨單不一樣,非常容易書寫。

 やっぱり板じゃなくて、紙に書く感覚はいいなぁ。
 果然不是板子,而是書寫在紙張上的感覺真好呢。

「はい、ルッツ」
「好了,路茲」

 唇を引き結んだルッツが緊張したようにペンを受け取って、インクをつけて名前を書く。
 緊閉嘴唇的路茲緊張似地接下了筆,沾上墨水寫上名字。
 まだ書き慣れていないのが一目でわかる字だが、間違うことなくちゃんと書けている。
 雖然是一目瞭然就知道還寫得不熟練的字,但並沒有搞錯正好好地寫著。

「じゃあ……」
「那麼……」
「ひゃあっ!? ベンノさん!?」
「呀啊!? 班諾先生!?」

 ベンノが突然ナイフを取り出して、自分の指を傷つけた。
 班諾突然拿出小刀,劃傷自己的手指。
 ぎょっとしているわたしとルッツの前で、ぷくりと盛り上がった血を別の指でなじませるようにしてベンノが自分の名前に被せるように血判を押す。
 在嚇了一跳的我跟路茲面前,將膨脹鼓起的血用別隻指頭抹開般的班諾蓋上覆蓋住自己名字般的血印。
 ぎゅっと押しつけた赤い血を吸いこんだ瞬間、青いインクが黒に変わった。
 吸入緊緊蓋上的鮮紅鮮血的瞬間,藍色的墨水變成了黑色。

 こんな怖い魔法、嫌っ!
 這樣可怕的魔法,討厭!

「じゃあ、次は……」
「那麼,下一位……」

 ベンノがわたしに視線を向けてきた。
 班諾將視線轉向了我。
 ベンノのナイフと指から滴る赤い滴に怖気づいて血の気が引いているわたしを見て、ルッツが溜息と共にナイフを取り出した。
 看著恐懼著從班諾的小刀跟手指滴下來的鮮紅血滴而臉色發白著的我,路茲與嘆氣一起拿出了小刀。

「手ぇ出せ、マイン」
「伸手,瑪茵」
「うひぃっ!」
「嗚唏!」

 思わず自分の手を後ろに引っ込める。
 不假思索地將自己的手縮到身後。

「どうせ、自分でできないんだろ?」
「反正,妳自己做不到的對吧?」
「そ、そうだけど……」
「雖、雖然是沒錯……」

 自分で自分の指に傷をつけるのも怖いけれど、誰かにしてもらうのも怖い。
 雖然說自己弄傷自己的手指也很可怕,但是請某人來做也很可怕。
 痛いのは嫌いなの。
 疼痛是很討厭的。

「契約するって決めたのは誰だ?」
「說決定要契約的是誰啊?」
「わ、わたし……」
「是、是我……」

 覚悟を決めて、ぎゅっと目を閉じたまま、恐る恐る手を前に出すと、ルッツがわたしの左手の小指をスッと切った。ジンと熱くて痛い感覚と共に血がにじんで滴ってくる。
 下定覺悟,緊緊閉上眼睛,戰戰兢兢地把手伸到前面後,路茲迅速地割了我的左手的小拇指。麻刺地灼熱且疼痛的感覺與血一起滲出滴了下來。

「その血を親指につけて押すんだ」
「將那個血沾上大拇指蓋下去」
「ぅうっ……えいっ」
「嗚……好」

 泣きそうになりながら、親指に血をつけて自分の名前のところにぐっと押しつけると、ベンノと同じようにインクの色が変わった。
 一邊變得快要哭了,一邊將血沾到大拇指上在自己名字的地方使勁地按壓上去後,就跟班諾一樣墨水的顏色改變了。
 マルクがわたしの小指を止血して、布を巻いてくれている間に、ルッツはさっさと自分の指を切って同じように血判を押した。
 在馬爾克為我的小姆指止血、包捲著布的期間,路茲快速地割了自己的指頭蓋上一樣似地血印。

 どうして躊躇いもなく切れるの!? 怖くないの!?
 怎麼會毫無猶豫就割了下去!? 不害怕嗎!?

 ルッツが手を離すと同時にインクの部分が光って、燃えるようにインクの部分から穴が開いて広がっていき、契約用紙そのものが消えていく。
 在跟路茲放開手的同時墨水的部分發光了,燃燒似地從墨水的部分打開洞穴擴張開來,契約用紙那樣東西逐漸消失。
 目の前で起こっているのに、まるでCGで構成された映画でも見ているようだ。
 因為是在眼前發生的,簡直像是正看著用CG所構成的電影。

 ぅわぉ、ファンタジー。
 哇,幻想呢。
 まさか自分がいるのが、こんなファンタジーな世界だったとは!
 沒想到自己所在的,居然是這種幻想的世界啊!

 常識外の契約方法に呆然としながら、わたしは契約書が消えてしまうのを見ていたが、はたと我に返った。
 一邊茫然於常識外的契約方法,我一邊看著契約書消失不見,猛然回神。

 契約書の控えってどうするの?
 是說契約書的存根該怎麼辦?

「これで契約は完了だ。契約違反の度合いによっては命に係わるから、違反するなよ」
「這樣契約就完成了。因為根據違反契約的程度關係到性命,不要違反了喔」
「命!?」
「性命!?」

 恐ろしい言葉にビクッと飛び上がったが、ベンノはびくつくわたしをニヤニヤと愉しそうに見下ろすだけだ。
 被恐怖的話語嚇到跳了起來,但班諾只是獨自傻笑且愉悅似地俯視著我。

「違反しなきゃいいんだよ。でも、これで嬢ちゃんが望んだ保障は得られたぞ?」
「只要不違反就可以了喔。但是,這樣小姑娘所期望的保障就能得到了喔?」
「……ありがとうございます。お世話になりました」
「……非常感謝您。多謝您的關照」

 結局、契約書に控えなんてものはなかった。
 結果,沒有契約書存根之類的東西。


 契約魔術を終えてベンノの店を出ると、かなり日が傾いていて、赤みを帯びた金色の太陽がゆっくりと沈んでいくのが見える。
 結束契約魔術走出班諾的店時,日頭已相當傾斜了,帶著赤紅的金色太陽看起來慢慢地沉了下去。
 昼間とはまた違った顔を見せる夕暮れの街を、来た時と同じようにわたしはルッツと二人で歩き始めた。
 看著跟白天時又不一樣的表情的黃昏街道,我就跟來的時候一樣跟路茲兩個人開始走著。

「思ったより遅くなったね。急いで帰ろう」
「變得比所想得還晚了呢。趕快回去吧」

 周囲の人達も忙しなく帰宅しているようで、心もち足早に歩いているように見える。そんな人々の波に乗って、夕暮れの街の中をわたしはルッツと並んで歩く。
 周圍的人們似乎也變得匆忙起來回家去,看起來稍微快步地走著。我跟路茲隨著那樣的人群、並肩走在黃昏的城市裡面。

「今日は疲れたよね?」
「今天很累了呢?」
「……あぁ」
「……啊」

 書き足さなければならない発注書がいくつかあるけれど、今日、わたしが一生懸命に書いた発注書が処理されて、材料が届いたら、紙作りに専念できる。
 雖然說必須要補寫的訂貨單還有幾個,但今天,我拚命寫好的訂貨單被處理著,材料抵達的話,就能專心造紙了。
 それに、契約魔術でわたしとルッツの権利も保障されたので、紙さえ完成すれば、店を放り出されることはなくなった。
 而且,由於因契約魔術我跟路茲的權利都被保障了,連紙張都完成的話,就不會被扔出店鋪了。
 大変だったけれど、実りの多い一日だったと思う。
 雖然說很辛苦,但我認為是成果很多的一天。

「後は紙だけ作れば、安泰だねぇ、ルッツ」
「之後只要製做紙張,就妥當了呢,路茲」
「……ん」
「……嗯」

 喧騒に掻き消されて聞こえないくらい隣を歩くルッツの口がひどく重い。
 宛如被喧囂完全消除而聽不見地走在旁邊的路茲的嘴巴非常沉重。
 普段は足が遅いわたしの気を紛らわせようと話をしてくれるルッツの反応が鈍いことが気になった。
 感覺通常為了替腳程慢的我解悶而說話的路茲的反應很遲鈍。

 森に行くよりも疲れたのだろうか?
 是比去森林還累嗎?
 文字を覚えたり、計算をしたりするのが嫌になったのだろうか?
 又是記住文字,又是做計算而變得討厭了嗎?

 隣を歩くルッツを見た。
 看著走在旁邊的路茲。
 夕日に照らされ、金髪が眩しいほどに赤く染まって見えるのに、ほんの少し見上げる位置にあるルッツの顔が影になって見えない。
 明明被夕陽照耀,讓金髮看起來炫目般地染上了赤紅,但在稍微抬頭一點的位置的路茲的臉變成了陰影而看不見。

「ねぇ、ルッツ。どうしたの?」
「我說,路茲。怎麼了嗎?」

 問いかけても、ルッツは何も答えない。
 就算詢問,路茲也什麼都沒回答。
 何か言いかけたように少し開いた口はすぐに閉ざされ、ぎゅっと引き結ばれた。そのまま、何か考え込んでいるように、やや俯いて、黙って歩き続ける。
 像是要說什麼似地稍微張開口就又馬上被閉上,緊緊地緊閉著。就像那樣,好像在沉思什麼似地,微微低頭,持續沉默地走著。

 いつもわたしのペースメーカーをしてくれているルッツの本来のスピードなのだろう。今は小走りにならなければ追いつけない。
 變成總是當著我的陪跑員的路茲原來的速度了吧。現在不變成小跑步就追不上了。
 常とは違うルッツの姿に、嫌な予感がして心がざわつく。
 對與平常不同的路茲的身影,有著討厭的預感而內心忐忑不安。

「待って、ルッツ」
「等下,路茲」

 中央広場で足を止めたルッツがくるりと横を向いた。
 在中央廣場停下腳步的路茲轉向打橫。
 唇を引き結んで、真剣な眼で、ルッツがわたしを見据えている顔が半分くらい夕日に照らされて浮かび上がる。
 緊閉的嘴唇、認真的眼神,路茲盯著我看的臉有一半左右被夕陽所照耀而浮現上來。
 覚悟をしたように開かれた口から、少しかすれた声が出てきた。
 從像是做了覺悟而被打開的口中,發出了稍微嘶啞的聲音。

「お前さ……マインだよな?」
「妳呀……是瑪茵嗎?」
「え?」
「咦?」

 喉の奥がヒュッと鳴った。心臓を鷲掴みにされたようで、一瞬、身体中の血が止まったように感じた。
 喉嚨深處嗖地響起。似乎被猛抓住了心臟,一瞬間,感覺身體中的血液就好像停止般。
 周囲のざわめきが耳鳴りに掻き消されて、バクンバクンと血の流れる音が耳の中で響くように大きく聞こえる。
 周圍的嘈雜聲因耳鳴而被消除,怦咚怦咚地血液流淌聲像是在耳朵裡面響起般大得聽得見。

「マインなら……なんで、あんな話ができるんだ?」
「如果是瑪茵……為什麼,能做到那樣的談話呢?」
「あんな話?」
「那樣的談話?」
「今日の旦那さんとの話だよ。オレには半分もわからなかった。オレの知らないことを、大人と対等に話せるマインなんて……変だ」
「是跟今天的老闆先生的對話唷。對我來說有一半都聽不懂。我不知道的事情、跟大人對等地說話的瑪茵什麼的……很奇怪」

 耳の奥で耳鳴りが続いている。
 耳鳴在耳朵深處持續著。
 ゴクリと唾を飲み込みながら、ルッツの言葉を聞いた。
 一邊咕嚕地吞下口水,一邊聽著路茲的話語。

「お前、本当にマインだよな?」
「妳,真的是瑪茵嗎?」

 確認するようなルッツの声に、ヒリヒリとする喉を何とか動かす。
 對像在確認似地路茲的聲音,想辦法讓刺痛不已的喉嚨動作。
 わたしは何もわからない風を装って、こてりと首を傾げた。
 我裝作什麼都不知道的樣子,非常疑惑不解。

「それって……ルッツには、わたしがマイン以外に見えるってこと?」
「那是說……對路茲而言,說得是我看起來像瑪茵以外這件事嗎?」
「……悪い。変な事言った。……大人と対等に話すマインに、ちょっと、ビックリしたんだ」
「……抱歉。說了奇怪的事。……對跟大人對等說話的瑪茵,稍微,嚇了一跳」

 ルッツは何とか笑みらしきものを顔に浮かべて、歩き始めた。
 路茲設法在臉上浮現好像在笑的東西,開始走了。

 立ち止まっていたら変に思われる。
 停下來的話會被認為很奇怪。
 少しずつ小さくなるルッツの背中を見て、わたしも足を動かし始めた。
 看著一點一滴地變小的路茲的背影,我也開始動起腳來。

 ……失敗、したなぁ。
 ……失敗、了呢。

 そう思った。
 我是那樣認為。
 今までは接する人が少なかった。腕力も体力もないわたしが役に立つこともほとんどなかった。
 至今接觸的人很少。力氣與體力都沒有的我派得上用場的事情也幾乎沒有。
 門でオットーの仕事を手伝ってきたが、それだって、せいぜい他よりちょっと計算が得意な子供程度のものだったし、その場には普段わたしと接する子供がいなかった。
 雖然在門幫忙著歐拓的工作,但那不過,頂多只是比其他還稍微擅長計算的小孩子程度的東西,在那個當下不存在跟普通的我接觸的小孩子。

 ルッツと一緒にしてきたのは、粘土を掘ったり、木を削ったりした程度だ。目的はともかく、していることは子供でもできること、子供がしてもおかしくないことばかりだった。
 跟路茲一起做過的是,挖掘黏土、或削切木頭的程度。目的姑且不論,所做的事情是小孩子也能做到的事情,盡是些小孩子做也不奇怪的事情。

 だが、今日はベンノの良いように振り回されないように、自分とルッツの位置を確保するために、頑張ってしまった。頑張りすぎてしまった。
 但是,今天就像是不會被班諾的好處給蠱惑般,為了確保自己跟路茲的位置,而努力了。太過努力了。
 きっとルッツにとって、今日のわたしは病弱で守ってあげなければならない妹分のマインじゃなかった。
 一定對路茲來說,今天的我不是因體弱多病而必須給予保護的小妹妹瑪茵。

 これから先、紙を作る過程で、大人とやり合うことが必然的に増えるはずだ。道具を集めるにも、作ってもらうにも提案や指示が必要になる。
 不久之後,在製做紙張的過程,跟大人爭論的事情應該必然會增加的。不管是收集工具、還是請人製做也變得需要建議跟指示。
 明らかに子供じゃない言動が増えるけれど、紙を手に入れるためには手段を選んでいられない。
 雖然明顯不是小孩子的言行會增加,但為了得到紙張而不擇手段。

 ルッツの知っているマインからはどんどん離れていくことになるだろう。
 會從路茲知道的瑪茵不斷地變得越離越遠了吧。
 わたしがマインではないと、一緒に行動するルッツが確信を抱くのは、きっとそう遠くのことではない。
 我不是瑪茵,一起行動的路茲抱持著此確信,一定不是那麼遙遠的事情。

 ルッツがそれを知ったらどう思うんだろう?
 路茲知道那個後會怎麼想的呢?
 マインじゃないわたしをどうするんだろう?
 會把不是瑪茵的我怎麼樣呢?

 ルッツの顔が見えない夕暮れの帰り道、わたしにはルッツの隣に並んで帰ることができなくなった。
 看不見路茲的臉的黃昏歸途,對我來說變得無法在路茲的旁邊並肩回家了。

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 ちょっと痛そうなファンタジー。
 好像有點疼痛的幻想。
 貴族しか魔力がないと知ったマインはがっかりです。
 知道只有貴族才有魔力的瑪茵很失望。

 さすがにルッツもここまで来るとおかしいと思いますよね?
 畢竟路茲也來到了這裡並認為很奇怪了呢?
 さて、紙作りはどうなっていくでしょう?
 那麼,造紙會逐漸變成怎樣了的吧?

 次回は紙作りのための道具集めに奔走します。
 下回是為了收集造紙的工具而奔走。
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