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第一部士兵的女兒 通往會晤的道路

作者:SPT草包│2016-12-28 07:09:00│贊助:2│人氣:120
本好きの下剋上~司書になるためには手段を選んでいられません~
以下犯上的書癡~為了成為圖書管理員而不擇手段~
作者:香月美夜
第一部兵士の娘 会合への道
第一部士兵的女兒 通往會晤的道路
原文連結

 竈で竹が爆ぜた後、ただ一本だけ残った竹を握ったまま、わたしは高熱にうなされて、またうごめく熱の中にいた。
 竹子在爐灶理炸裂後,依然握著僅僅只有一片殘留下的竹子,我被高燒所壓制不能動彈,又在蠢動的熱之中。

 自分が作った物を燃やされた怒り。
 被燒掉了自己所製作之物的憤怒,
 怒りを全く理解してくれなかった悔しさ。
 完全沒有去理解憤怒的後悔。
 何度挑戦しても、わたしの手に本が残ることはない現実への絶望。
 就算挑戰了好幾次,對沒有書本殘留在我手上的現實絕望。
 全てを突き抜けた向こう側には、何もかもを手放したくなる無気力が広がっていた。
 在穿透一切的對面那邊,變得想放棄所有一切的有氣無力逐漸擴散。

 何もする気になれない。
 變得什麼都不想做了。
 抗う気力がなかった。
 沒有反抗的精力。

 母に木簡を燃やされ、ルッツが持ってきてくれた竹簡になるはずのものを燃やされたのに、もう怒りさえ湧いてこない。
 明明木簡被母親燒掉了、路茲所帶來應該成為竹簡的東西被燒掉了,卻已經連憤怒都湧不出來了。

 この身体が健康で腕力も体力もある大人だったらよかったのに。
 這副身體是健康而有力氣跟體力的大人的話就好了的說。

 わたしが大人だったら、パピルスも粘土板も木簡も全部すっ飛ばして、和紙が作れた。
 我是大人的話,無論是紙莎草或黏土板或木簡都能全部拋諸腦後,製做和紙了。
 せめて、トゥーリやルッツのように健康で、ある程度の仕事ができる腕力と体力があれば、挑戦できた。
 至少,以圖麗或路茲般健康,有著能做到某程度工作的力氣與體力的話,就能挑戰了。
 こんな病弱で貧弱な子供の手では、紙を作るのに必要な木を切ることさえできやしない。
 用這樣體弱多病又瘦弱的小孩子的手,就連對製做紙張所必要的裁切木頭都無法做到。

 もしかしたら、大人になるまで待てば、解決する問題かもしれない。
 或許,等待到長大成人後的話,就能解決問題了也說不定。
 でも、それはあまりにも長い時間に思えた。
 但是,我認為那時間也太長了。
 それに、大人になったからと言って、わたしが人並みに成長するだろうか。腕力や体力が付いて、身体は大きくなるのだろうか。
 而且,要說長大成人,我能一般地成長嗎。力氣或體力會增加、身體會變大的吧。

 希望が持てるはずもない。
 應該不帶有希望的。

 何もかも無駄なら、もういっそ、身体の中で暴れる熱に身を委ねてしまってもいいんじゃないだろうか。
 如果所有一切都是徒勞,乾脆就這樣,就算將身體託付給在身體裡面胡亂的熱也是可以的不是嗎。
 努力しても本が手に入らない場所で、不便で汚い環境と折り合いをつけて、我慢を重ねながら、生きていくことに、何か意味はあるんだろうか。
 因為就算努力也沒有取得書本的地方,與因不便而骯髒的環境妥協,一邊重複忍耐,一邊活下去,有什麼意義嗎。

 もう、消えちゃってもいいんじゃないかな。
 夠了,是不是就算消失也是可以的呢。

 ちらっと考えただけでも、身体の中の熱はわたしを呑みこもうと動きを活発にする。何もかも考えるのを止めて、呑みこまれてしまえ、と熱が誘うように広がっていく。
 即便只是一閃而過的思考,身體裡面的熱將我吞噬進去並活躍了起來。停止思考所有一切,被吞噬下去,然後熱像邀請似的擴散開來。

 心残りはひとつだけだ。ルッツに謝ってない。
 留戀只有一個。沒跟路茲賠罪。

 せっかく燃やされない素材を一生懸命考えて準備してくれたのに、竹簡がダメになったことを謝ってない。
 明明難得拚命地考慮著不會被燒掉的素材而準備來的,但無法對竹簡不行的事情賠罪。
 竹を取ってくると言っていた時のルッツの声が脳裏に蘇る。
 說著會將竹子拿來時的路茲的聲音在腦海裡復甦。

「これは、オットーさんに紹介してもらうためだからな! 先払いしてるんだから、マインは絶対に元気にならないとダメだ! いいな?」
「這是,為了要請妳介紹給歐拓先生才做的呢! 因為是預付的,所以瑪茵絕對沒變精神是不行的! 可以嗎?」

 そんな約束が残ってた。
 遺留了那樣的約定。
 あれだけ手伝ってもらって、約束したのに、しらばっくれて、この熱の中に逃げ込んでもいいのだろうか。
 明明給予了那些幫助、約定好了,卻裝糊塗,即便逃進了這場熱之中也可以嗎。

 確かにルッツは前払いしてくれた。
 確實路茲預付了。
 熱に呑まれて消えるのは簡単だけれど、竹簡を受け取ってしまったわたしは、元気になってオットーを紹介しなければならない。
 雖然說被熱給吞噬而消失是很簡單的,但接受了竹簡的我,若不變精神去介紹歐拓是不行的。

 ルッツのためだ、と自分に言い聞かせて、熱を押し込めていく。熱に食われるにしても、ルッツとの約束は果たしてからの方がいい。
 是為了路茲,這樣對自己說,將熱壓下去。就算被熱給吃了,跟路茲的約定還是完成比較好。
 身辺整理は大事だ。前は突然過ぎて、そんな時間はなかったのだから。
 處理身邊事物是很重要的。因為之前突然經歷過了,沒有那樣的時間。

 そうそう、地震で死んだ時は、全然整理できてなかっ……ああぁぁぁぁ! あの黒歴史の固まり、どうなったんだろう!? のおおおぉぉぉっ! 気になる、気になるよ! やばい! 死んでる場合じゃない!
 沒錯沒錯,因地震死掉的時候,完全沒有整理……啊啊! 那一坨黑歷史,變怎麼樣了呢!? 不要啊! 好在意、好在意唷! 慘了! 不是該死的情況啊!

 きっちりと処分しておきたかった前世での黒歴史が次々と浮かんできて、「死んでも死にきれないっ!」と飛び起きた時には、何故か身体の中の熱がかなり小さくなっていた。
 在前世想適當地處分起來的黑歷史不斷地回想了起來,在因「即使死了也死不乾淨!」而一躍而起的時候,不知為什麼身體裡面的熱變得相當地小了。


 黒歴史を頭の隅に押しやって、考えないようにしようと心に決めてから二日後。
 從將黑歷史推進了腦袋的一角,打算不再思考般地在心中決定了的兩天後。
 やっと父同伴で門までなら、と外出を許されたわたしは、宿直室でオットーと顔を合わせていた。
 終於若是以父親當同伴到門為止,而被允許外出的我,在值班室跟歐拓會面了。

「オットーさん、すみません。こちらからお願いしたのに、熱出しちゃって……」
「歐拓先生,對不起。明明是來自這邊的請求,卻因為發燒……」

 そう、熱を出して倒れている間に、約束していた休日は過ぎてしまい、オットーとルッツを会わせることはできなかった。
 沒錯,在發燒而倒下的期間,約定好了的休息日已經過去了,沒能讓歐拓跟路茲見面。

「5日も熱が下がらなかった、って班長から聞いたよ。もう大丈夫なのか?」
「說是5天都沒退燒,從班長那聽到了唷。已經不要緊了嗎?」
「はい、おかげさまで」
「是的,托您的福」

 笑って見せても、オットーは少し眉を寄せたまま、じっとわたしの顔を見る。
 就算笑給他看,歐拓也是稍微皺著眉頭般,目不轉睛地看著我的臉。

「本当に大丈夫か? 顔色、よくないぞ?」
「真的不要緊嗎? 臉色,不是很好喔?」

 顔色が悪く見えるのは、熱のせいではない。
 臉色看起來不好,不是熱的緣故。
 むしろ、頑張っても作れそうにない紙のことだ。
 不如說是,就算努力也做不了紙張這件事。

「あ~、解決しない悩み事がありまして。……オットーさんならどうするか、聞いてもいいですか?」
「啊~,有解決不了的煩惱的事情。……如果是歐拓先生會怎麼做呢,可以聽一下嗎?」
「え? その悩み事、俺が聞いていいの?」
「咦? 那個煩惱的事情,我可以聽嗎?」

 オットーが目を丸くして、わたしの顔を覗きこんだ。
 歐拓嚇到目瞪口呆,望向了我的臉。
 旅商人として、わたしには想像もできないような経験を積んでいるだろうオットーなら、わたしには考えつかない答えを返してくれないだろうか。
 若是作為旅行商人,累積著我無法想像般的經驗的歐拓,會不會回答出我意想不到的答案呢。

「はい。わたし、今すぐに欲しい物があるんですけど、力も体力もない今のわたしじゃ作れないんです。大人になったらできるかもしれないけど、こんな体じゃあ、本当に健康になれるかわからないし、人並みに大きくなれるかわからない。そもそも、そんな長い時間待てない。オットーさんなら、こういう時どうしますか?」
「是的。我,雖然有馬上想要的東西,但力量跟體力都沒有的現在的我是做不了的。雖然長大成人的話搞不好能做到,但這種身體,我不知道真的能變健康嗎。再說了,我等不了那麼長的時間。如果是歐拓先生,這種時候該怎麼做呢?」

 ふんふんと頷きながら聞いていたオットーは、ほとんど考えることもなく、軽く眉を上げて答えを出した。
 嗯嗯地一邊點頭一邊聽著的歐拓,幾乎沒有思考,輕輕地揚起了眉毛給出了答案。

「自分でできないなら、できるヤツを雇えばいいだろ? 悩みってそれだけ?」
「如果自己做不到,雇用做得到的傢伙不就好了嗎? 煩惱就只有那個?」
「!?」
「!?」

 目から鱗がポロポロ落ちた。
 當頭棒喝似的恍然大悟。
 自分が欲しい物を手に入れるために他人を雇うという発想はなかった。さすが元商人だ。
 沒有所謂為了得到自己想要的東西而去雇用他人的構思。不愧是原商人。
 何故だろう。わたしが誰かに雇われて働くことは考えられても、自分が誰かを雇うことを考えたことはなかった。
 是為什麼呢。就算我考慮過被某人雇去工作,卻沒考慮過自己該雇用誰。

「……すごく名案だと思うんですけど、先立つ物がないんですよ」
「……雖然我認為是非常好的提案,但是我口袋沒有錢唷」
「まぁ、その年で持ってるはずがない。そうだな。俺なら、できるヤツを誘導して、自主的にやるように仕向ける。簡単なことじゃないが、相手が自分からやればこっちの懐は痛まない」
「也對,在那個年紀應該不會有的。說得也是呢。如果是我,就去誘導能做到的傢伙,促使他能自主地去做。不是很簡單的事情嗎,若是對方自己去做就不會傷到這邊的荷包了」

 さすが、元商人さん。爽やかで柔和な笑顔なのに、黒くて素敵です。
 不愧是,原商人先生。明明是爽朗又溫柔的笑容,卻黑到發亮。
 わたしも間違いなく誘導されてますよね? 計算能力が高いのに、石筆で雇える助手は予算に優しいって言ってましたもんね?
 我也毫無疑問是被誘導的呢? 有被明明計算能力很高,卻是用石筆雇來的助手對預算很友善這樣說過呢?

「……参考にしてみます」
「……我會參考看看」

 やってくれそうな誰かを巻き込んで、相手に自主的にやらせる……か。
 要將好像能做到的某人捲入,驅使對方自主地去……嗎。
 わたしにはかなり難しそうだ。
 對我來說好像相當困難。

 ふんぬぅ、と悩んでいると、オットーがポンと肩を叩いて、石板を差し出してきた。お喋りは終わり。黙って勉強しましょう、の合図だ。
 糾結地、煩惱著時,歐拓碰地敲了肩膀,遞出了石板。聊天結束了。是沉默地學習、的信號。

「あ、そうそう。マインちゃんが元気なら、明後日の休日に会えないか? 場所は、そうだなぁ……。中央広場がいい。中央広場で三の鐘の頃でどうだい?」
「啊,對了對了。如果小瑪茵有精神,能在後天的休息日見面嗎? 地點、也是呢……。中央廣場可以。在中央廣場三之鐘的時候如何?」
「こちらからお願いしようと思っていたんです。わざわざありがとうございます」
「考慮到是來自這邊的請求。如此特意真的非常感謝」

 忘れるとは思わないが、何となく癖で石板の隅に中央広場で三の鐘とメモしておく。
 雖不認為會忘記,但因不自覺的習性而在石板的一角事先筆記著在中央廣場三之鐘。
 視線を上げると、オットーが顎をゆっくりと撫でながら、目を細めてニコリと笑っていた。
 抬起視線時,歐拓一邊慢慢地撫摸著下顎,一邊瞇起眼睛微微地笑了起來。
 何故か背筋がぞわりとするような危険を感じさせる笑顔で、思わず背筋を伸ばしてオットーを凝視する。
 不知為什麼對感受到了背脊發涼般危險的笑容,不假思索地挺直身軀凝視著歐拓。

「あぁ、マインちゃんが紹介してくる子だから、面白い子だろうな。楽しい休日になるのを期待してるよ」
「啊,因為小瑪茵介紹來的孩子,是很有趣的孩子吧。期待能成為很快樂的休息日喔」

 今の言葉が「つまらんヤツを紹介するなよ。貴重な休日を潰すんだからな」って聞こえたんですけど、気のせいですよね? あれ? 旅商人の話を聞くって気軽な会合じゃないんですか?
 雖然現在的話聽起來像是「不要介紹無趣的傢伙喔。因為會讓寶貴的休息日報銷呢」,是錯覺的吧? 奇怪? 是說聽取旅行商人的話不是輕鬆愉快的會晤嗎?

 わたしは内心の動揺を抑え込んでニッコリと笑って頷くと、石板に視線を落とした。
 我抑制住內心的動搖微微地笑著點頭後,將視線落到了石板上。
 ぶわっと冷や汗が吹き出してくる。
 漲起的冷汗冒了出來。

 まずい。時間がないのに、会合の意味がわからない。
 糟了。明明沒時間了,卻不知道會晤的意義。

 準備する時間の少なさに歯噛みした。明後日が会合なら、時間はほとんどない。ルッツを紹介するわたしが、会合の意味を理解していないなんて、言えない。
 對準備時間很少而咬牙切齒著。如果後天要會晤,時間幾乎沒有。要介紹路茲的我,沒能理解會晤的意義什麼的,不能說。
 石板にカツカツと単語を練習しながら、必死で意味を考える。
 一邊在石板上緊張僵硬地練習著單字,一邊死命地思考著意義。

「マイン、今日はもう帰れ」
「瑪茵,今天已經要回去了」
「父さん」
「爸爸」

 帰るには早い時間だったが、父が呼びに来たので帰り支度をして、宿直室を出た。
 是對回去還算早的時間,但由於父親來呼喚而做了回去準備,離開了值班室。

「ねぇ、父さん。ルッツがオットーさんに紹介してほしいって言ったんだけど、この紹介って、何か意味がある?」
「喂,爸爸。雖然路茲說希望被介紹給歐拓先生,但這個介紹,有什麼意義嗎?」
「今の時期なら、見習い先を探してるってことか? 兄達と同じような仕事につくと思っていたが、ルッツは商人になりたいのか?」
「如果是現在的時期,是在說尋找實習地點嗎? 是在想著要跟哥哥們一樣般的去工作嗎,路茲想成為商人嗎?」

 就職の斡旋!? いやいや、そんな重大なことじゃないはず! だって、わたしみたいな子供がコネになるはずがない。
 就業斡旋!? 不不,應該不是那麼重大的事情! 因為,像我這樣的小孩子應該不可能成為門路的。

「ちょっと話を聞きたいって……」
「說是稍微想要聽些談話……」
「じゃあ、間違いなく見習い先を紹介してほしいってことだな。マインの友人じゃあ厳しいだろうが」
「那麼,毫無疑問是希望能介紹實習地點的呢。瑪茵的朋友是會很嚴格的吧」
「厳しい?」
「嚴格?」
「当たり前だ。見習いを抱えるっていうのは、一人の面倒をずっと見るっていうことだ。独立しても完全に縁は切れないんだからな」
「那是當然的啦。所謂擔負起實習,指的是一直關照著一個人喔。因為就算獨立也完全切不斷關係呢」

 思っていたより大変な事態だった。話を聞くだけではなかった。ルッツは旅商人になりたくて、元旅商人だったオットーに誰かを紹介してほしいということらしい。
 是比所想的還嚴重的事態。不是只是聽取談話。路茲想成為商人,似乎是所謂希望介紹某人給是原旅行商人的歐拓這件事。

 あ~、つまり、明後日の会合って、就職の面接みたいなものってことだよね!? そんな重大な会合のセッティングをわたしがしていたなんて!
 啊~,也就是說,後天的會晤,就好像是就職面試般的東西這件事吧!? 由我來做那樣重大的會晤的設定什麼的!


 家に帰ってから、父や母に仕事見習いの話を詳しく聞いて、事の重大さを理解した次の日、わたしは大量の荷物を籠に入れて、森へとやって来た。
 回到家之後,對父親跟母親仔細打聽著實習工作的話,理解了事關重大的隔天,我將大量的行李放進籃子哩,往森林過來了。
 森までの道中でルッツには竹簡の末路を話して謝罪し、会合の日が明日に決まったことを伝えてある。竹簡については「バニヒツか。間違えることもあるよな」と溜息を吐き、会合については「ありがとな、マイン」と素直に喜んでいた。
 在到森林之前的途中對路茲說了竹簡的下場並謝罪,傳達著會晤的日子決定在明天了。關於竹簡是「巴尼希止嗎。也會有搞錯的情況呢」地嘆了一口氣,關於會晤是「謝了呢,瑪茵」地坦率地歡喜著。

 森に着くと、みんなが採集に散っていく。わたしはルッツの手を取って、川へと向かった。
 到達森林後,大家為採集而散開。我拉起路茲的手,朝向了小河。

「じゃあ、ルッツ。ここでいいから、全身綺麗に洗おうね」
「那麼,路茲。在這裡就可以了,要將全身洗乾淨呢」
「は?」
「啥?」

 オットーは元商人だったせいか、結構身綺麗にしている。初対面の相手に与える印象の大切さを知っているせいだと思う。
 歐拓是原商人的關係嗎,相當地衣著整潔。我認為是知道給予初次見面的對象印象的重要的關係。
 仕事を手伝っている間にちょこちょこ見えるオットーの商人らしい計算高さを知っているわたしとしては、万全の状態で臨みたい。
 作為在幫忙工作的期間知道了看起來匆忙的歐拓商人似的算計的我,想以萬全的狀態面對。
 一度会う価値がないと判断されてしまえば、ルッツは旅商人どころか、商人へ紹介されることもないはずだ。
 被判斷為沒有見一次面的價值的話,路茲不用說旅行商人了,應該也不會被介紹給商人了。

「人と会うのに第一印象って大事なんだよ。準備する時間があるなら尚更ちゃんとした方がいい。わたし、見た目だけでルッツが低く見られるのは嫌なの」
「對跟人見面第一印象是很重要的唷。如果有準備的時間能做得更好就好了。我,討厭只因外表就看不起路茲。」
「洗ったところで、大して変わらないと思うけどな」
「我認為即使洗了,也不會有多大的改變呢」

 ラルフの晴れ着を借りることができれば、一番だけど、貸してもらえるかどうかはわからない。
 雖然能借到拉魯夫的盛裝的話,是最好的,但不知道是否能出借。
 大した服なんて、わたしもルッツも持っていないので、普段のままでも仕方がないけれど、整えることができる部分だけでも整えたい。
 因為了不起的衣服什麼的,我跟路茲都沒有。雖然說即便是平時的樣子也是沒辦法的,但是能整理的即使只有部分也想要整理。
 見た目のもたらす影響について諭しながら、往生際の悪いルッツを、簡易ちゃんリンシャンで洗っていく。
 一邊施教著關於外觀所造成的影響,一邊將不輕易死心的路茲、用簡易潤洗劑洗了起來。
 ピカピカに磨き上げるつもりで、重たい思いをして、桶や布や櫛を持参したのだ。頭だけじゃなくて、絶対に全身洗う。
 對打算擦亮到閃閃發光,而有著沉重的心情,並自備了桶子跟布跟梳子。並不是只有頭,絕對要清洗全身。

 桶に川の水と簡易ちゃんリンシャンを入れて、普段トゥーリにしているように何度も何度も髪にかけて、洗っていく。
 在桶子裡放入河水跟簡易潤洗劑,就像平時對圖麗所做的一樣好幾次好幾次對著頭髮,洗了起來。
 何となく美容師気分で、わたしは髪を洗いながらルッツに話しかけた。
 不自覺地用美容師的氣氛,我一邊洗著頭髮一邊對路茲說話。

「ねぇ、ルッツ。旅商人の話が聞きたいってことは、旅商人になりたいってことでいいんだよね? 旅商人の見習いになりたくて、紹介してほしいんだよね?」
「喂,路茲。說是想要聽旅行商人的談話,就說想成為旅行商人不就好了嗎? 想成為旅行商人的實習,希望能夠介紹的吧?」
「ん? あぁ」
「嗯? 啊」

 ルッツの髪は布で拭けば拭くほど、金髪の艶が増していく。髪の色を取り変えてほしいくらい綺麗な金だ。
 路茲的頭髮用布越是擦拭,金髮的光澤就越增加了起來。是宛如希望能替換髮色的漂亮的金色。
 櫛を入れて、さらに輝きが増すのを、少しばかり妬ましく思いながら、わたしは質問を重ねた。
 一邊梳著梳子,更加地增加了光輝,而稍微有些忌妒的情緒,我一邊反覆提問著。

「じゃあ、ルッツは旅商人になって、何がしたいの? あちこちに行くだけ?」
「那麼,路茲成為了旅行商人,想做什麼呢? 只是到處走走?」
「何だよ、急に」
「怎麼了,這麼突然」
「ちゃんと考えないとダメだよ」
「不好好考慮是不行的唷」
「なんで?」
「為什麼呢?」
「オットーさんは、ルッツのことを全く知らない人だよ。親とか親戚みたいによく知っている人が紹介してくれるわけじゃないから、自分で全部考えておかなきゃ」
「歐拓先生是,完全不知道路茲的事情的人唷。因為並不是介紹給父母或親戚般很認識的人,必須要靠自己事先考慮」

 昨日、両親に話を聞いたところ、この街の子供達は基本的に親や親戚の紹介で、見習い仕事を始めるらしい。そのため、大体は親の仕事に関連した職種につく。
 昨天,從雙親那聽來的話的重點,這座城市的小孩子們基本上似乎是靠父母或親戚的介紹,而開始實習工作。大致是關於跟父母的工作有關聯的職業類別。
 例えば、トゥーリが染色をしている母の紹介で、母の友人の職場で針子見習いになったように。
 譬如說,圖麗因為從事著染色的母親的介紹,而在媽媽的朋友的職場成為了實習女裁縫。
 甘えが出やすいので、同じ職種でも親の仕事場に行くことは少ないらしい。ただ、似たような職種の仕事について、目の届く範囲にいれば、親も安心だし、周りに縁者の目があるので、子供達も真面目に取り組む。
 因為很容易撒嬌,即便是同樣的職業類別也似乎沒多少能去到父母的工作場所。只是,關於相似般的職業類別的工作,存在於舉目所及的範圍內的話,父母也能安心,因為在周圍有親屬的眼目,小孩子們也會很認真地從事著。
 ルッツのように親から反対される職業につきたくて、他の人に紹介してもらうことは、かなり少数だ。
 想要就關於像路茲一樣被父母反對的職業,請其他人介紹是,相當少數的。

「オットーさんは今回義理で会ってくれるけど、そんなに優しくないよ。元商人だから、損得勘定をしっかりする人なの。ルッツが何も考えてなかったら、二度目は会ってくれないと思う」
「雖然歐拓先生這次是因人情而見面,但不會那麼親切唷。因為是原商人,是損益結算做得很精明的人。路茲什麼也不考慮的話,我認為不會有第二次見面了」

 明日の会合は、就職活動の面接だ。
 明天的會晤,是就職活動的面試。
 就職活動なら、身だしなみを整えて、志望動機と自己アピールの内容くらいは考えておかないと、相手にされない可能性もある。
 如果是就職活動,整理儀容,志願動機與自我訴求的內容之類不事先考慮的話,有不會被當成對象的可能性。

「……マインは?」
「……瑪茵呢?」
「え?」
「哎?」
「マインは商人になって何するかって、そんなこと聞かれて、すぐに答えられるのかよ?」
「是說瑪茵成為商人的話要做什麼,聽到了那種事情,能馬上回答嗎?」

 すぐに答えが浮かんでこなかったのか、悔しそうに唇を尖らせたルッツがわたしを睨んできた。
 無法馬上浮現出回答嗎,後悔般噘起嘴唇的路茲注視起我來了。

「うん。紙を売りたい。商人見習いになったら、誰かに紙の作り方を教えて、作ってもらいたいと思ってる」
「嗯。想賣紙。成為實習商人的話,我想教給某人紙張的作法,請他製做」

 本は自分が欲しい、自分のための物だ。なるべく他人に頼まないで、自分でできる範囲内で本の代わりになる物を作ろうと思っていた。
 書本是自己想要的,是為了自己的東西。想著盡量不依靠他人,靠自己在能做到的範圍內製做能當作書本的代替的東西。
 けれど、ぶっちゃけ、もう限界だ。何やっても全部ダメになる。
 但是,坦白說,已經是極限了。變成就算做什麼也全部都不行。
 もう、知識だけ出して、作るのは最初から最後まで誰かに丸投げしたい。情報料を取って利益を譲ったら、作ってくれる人はいると思う。
 夠了,想只拿出知識,製做則從最初到最後都全權委託給某人。取得情報費用讓渡利益的話,我想會有製造的人吧。

「紙? 本じゃないのか?」
「紙? 不是書本嗎?」
「本を作るのに必要なの。本はね、ここじゃあ、わたし以外欲しいって思う人がいないんだよね」
「對製作書本是必要的。書本呢,我想在這裡,除了我以外想要的人是不存在的呢」
「欲しいのがマインだけなら、それ、売れないだろ?」
「如果想要的只有瑪茵,那個,賣不掉的吧?」

 呆れたようにルッツが言った言葉をわたしは笑って肯定した。
 我笑著肯定著愣住般的路茲所說的話。

「うん、本はそう簡単に売れないと思う。でも、紙なら……羊皮紙より値段抑えられると思うし、売れると思う。少なくとも作り方を知ってるわたしを拾ってくれる、利に敏い商人はいるよ」
「嗯,我認為書本不是那麼簡單就能賣掉的。但是,若是紙張……我認為比羊皮紙更能抑制住價錢,我認為是能賣的。至少會挑走知道作法的我,有對利益敏銳的商人唷」
「……そっか。マインはちゃんと考えてるんだな。オレもちょっと考える」
「……那樣啊。瑪茵好好地考慮過了呢。我也稍微考慮下吧」
「オットーさんの助手の友人って繋がりは、断られる方が多いんだって。でも、ルッツが自分のしたいことをはっきり言って、それが相手にとって利益になると思えば、商人はルッツの面倒を見てくれるんじゃないかな?」
「以歐拓先生的助手的朋友聯繫上,被拒絕是會比較多。但是,路茲要把自己想做的事情說清楚,那個對對方來說認為能成為利益的話,商人不就是會關照路茲了嗎?」

 水面を睨んで考え込むルッツを川に追い立てて、全身を綺麗に洗わせた。
 把注視著水面沉思的路茲趕到河中,將全身洗乾淨。
 考えながら手も動かさないと、時間がないんだよ。
 一邊思考著一邊手卻沒有動作的時候,沒有時間了唷。


 できるなら、ラルフの晴れ着を借りておいで、と話をしておいたが、汚されたら困ると晴れ着は貸してもらえなかったらしい。
 如果可以,去借來拉魯夫的盛裝吧,雖然事先那樣說著,但似乎被弄髒的話就傷腦筋了而不能出借盛裝。
 三の鐘が鳴るよりもずっと早い時間に、わたしは普段通りの服で、しかし、いつもよりずっと綺麗になったルッツと二人で中央広場へと向かって歩いた。
 在比三之鐘響起還早很多的時間,我們穿著一如既往的衣服,但是,跟變得比平常還漂亮的路茲兩個仁往中央廣場走去。

「おい、三の鐘だろ? 早すぎねぇ?」
「喂,三之鐘對吧? 不會太早嗎?」
「いいの。遅れる方が致命的だから。座って話でもしていれば、時間なんてすぐにすぎるよ」
「可以的。因為遲到是比較致命的喔。即使是坐下聊天的話,時間什麼的馬上就過去了唷」

 時間は2~3時間くらいの間隔で響く神殿の鐘で判別する。
 時間是以大約2~3小時的間隔而響起的神殿的鐘來辦別的。
 時計がないこの街では、遅刻にそれほど厳しくないのかもしれないが、お願いする立場のわたし達が遅れるのは、相手の心証を考えるとどうしても避けたい。
 在沒有時鐘的這座城市,遲到說不定沒有那麼嚴格,但請求立場的我們遲到的話,考慮到對方的印象就無論如何都想避開。

「そういえば、昨日、母さんにこの髪、どうしたんだ? って聞かれて大変だったんだぞ」
「這麼說來,昨天,被媽媽以這個頭髮,怎麼做到的? 那樣打聽著而很糟糕啊」

 ルッツは艶々になった金髪を情けない顔で引っ張った。
 路茲將變得美艷細緻的金髮用丟臉的表情拉了起來。
 カルラおばさんの気持ちはわかる。息子の髪がたった一日でつるつる艶々になっていたら、気になるだろう。
 我明白卡露菈阿姨的心情。兒子的頭髮僅僅一天就變得光滑艷麗的話,會在意吧。

「女にとって美容は一番心惹かれる話題だからね」
「因為對女人來說美容是最感興趣的話題呢」
「マインにしてもらったって、言っておいたからな。聞きたいことはマインに聞けって」
「是給瑪茵弄的,因為事先那樣說了呢。想聽的事情跟瑪茵打聽吧」
「えぇ!?」
「咦!?」

 押しが強くて、声が大きくて、一度捕まったら放してくれないカルラおばさんの質問攻めに遭うことを考えたら、頭が痛い。
 想到會遭遇按得很大力、聲音很大、抓到一次就不會放掉的卡露菈阿姨的提問攻擊,頭就很痛。

「作り方教えるから、自分で作ってよ。わたしもあまり持ってないんだから」
「因為會告訴你作法,自己做吧。因為我有的也不多」
「……あ、悪い。大事なもん、使わせたんだな?」
「……啊,不好意思。重要的東西,使用掉了呢?」
「いいよ。ルッツにはお世話になってるから」
「沒關係唷。因為受路茲關照了」

 ずっとわたしを手伝ってくれたルッツに使う分は惜しくないが、カルラおばさんに使うのは惜しい。わたしだって、基本は水洗いで、簡易ちゃんリンシャンを使って頭を洗うのは五日に一度で我慢しているのだ。
 被一直給予我幫助的路茲使用掉的份不可惜,但被卡露菈阿姨使用掉會很可惜。就連是我,基本是用水洗,使用簡易潤洗劑洗頭是以五天一次在忍耐著的。

「でもさ……」
「但是呀……」
「そんなに気になるなら、わたしの分も作ってくれればいいよ。わたし、力無さ過ぎて、油がうまく搾れないんだよね」
「如果那麼在意,我的份也去製做就好了唷。我,太過無力了,油無法順利榨取呢」
「なんだ、そんなことか」
「什麼呀,就那點事啊」

 そんな話をしているうちに、オットーが中央広場に現れた。
 在談著那樣的話的時候,歐拓在中央廣場出現了。
 入口に立ったオットーがぐるりと広場を見回し、わたし達の姿を見つけて、ニヤッと笑ったのが遠目からでもはっきりとわかった。
 站在入口的歐拓轉著圈環視著廣場,發現了我們的身影,賊賊地笑著是即使從遠處看也能清楚明白的。

 あぁ、やっぱり試されてた。
 啊,果然被測試了。

 鐘が鳴る頃という曖昧な指定に、あの危険そうな笑顔を向けられた時から用心していたが、やはり鐘が鳴る以前に来られるかどうか、試されていたらしい。
 對所謂鐘響的時候那曖昧的指定,從被那種危險般的笑容面對了的時候就有所留意了,如何還是能在鐘響以前來嗎,似乎被那樣測試了。
 ほぅ、と小さくオットーの口が動いた後、別方向に向けて手を振ると、もう一人男性が現れて、オットーと一緒にこちらに向かって歩いてきた。
 歐拓吼,地小小的動著嘴巴後,轉往其他方向揮著手時,另一個男性出現了,跟歐拓一起轉向這邊走了過來。
 たらりと冷や汗がわたしの背筋を伝う。無意識に隣のルッツの手をぎゅっと握った。
 滴答地冷汗順著我的背部。無意識地緊緊握著旁邊的路茲的手。

「来たよ、ルッツ。まずは挨拶からね」
「來了唷,路茲。首先是從打招呼開始呢」
「お、おう」
「喔、喔」

 話をしながら歩いてくる二人の親しげな様子から、オットーの友人の商人だとわかる。その友人がちらりとこちらを見た目が、値踏みをするように鋭く光った。
 因為一邊說著話一邊走過來的兩人的親密樣子,明白了是歐拓的商人朋友。那個友人一掃而過這邊的外觀,像是估價般銳利地發著光。

 面接官がオットーさん以外にもいるなんて、聞いてないよ!
 面試官除歐拓先生以外也還有什麼的,沒聽過唷!
 うぅ、ルッツの面接なのに、わたしの方が緊張してきた!
 嗚,明明是路茲的面試,我卻緊張了起來。

======================================================================
 オットーさんの黒さにガクブルのマインです。
 這是被歐拓先生的黑給驚到的瑪茵。
 一応知っているオットーさんとの面接に備えたマインでしたが、敵は二人いました。
 對姑且知道是要跟歐拓先生面試而做準備的瑪茵來說,敵人有兩個人。

 次回は商人との会合です。オットーさんの昔の話も出てくる予定です。
 下回是跟商人的會晤。歐拓先生以前的故事也會出來的預定。
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