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第一部士兵的女兒 圖麗的洗禮式

作者:SPT草包│2016-12-15 20:38:57│贊助:2│人氣:243
本好きの下剋上~司書になるためには手段を選んでいられません~
以下犯上的書癡~為了成為圖書管理員而不擇手段~
作者:香月美夜
第一部兵士の娘 トゥーリの洗礼式
第一部士兵的女兒 圖麗的洗禮式
原文連結

 粘土板が焼いて保存さえできたら、よかったんだけどな。ハァ。
 燒製黏土板就能保存起來的話,那就太好了呢。唉。
 まさか爆発するとは思わなかったよ。
 從沒想過怎麼可能會爆炸了唷。
 せめて、トゥーリみたいにナイフがあれば、木簡ができるのに。
 至少,像圖麗一樣有小刀的話,就能完成木簡了說。

 竈で小爆発を起こして、粘土板作りが禁止され、本作りが行き詰ってしまい、次の方法を考え込んでいるうちに、トゥーリが7歳になった。
 在爐灶引發小爆炸,被禁止製作黏土板,寫書來到了絕境,在深思下個方法的時候,圖麗7歲了。

 ここでは7歳の誕生日を盛大に祝う習慣がある。
 在這裡有著盛大地慶祝7歲的生日的習慣。
 正確には誕生日じゃなくて、誕生季だ。季節ごとに神殿で洗礼式が行われ、7歳になった子供は全員神殿に行って洗礼式を受ける。
 正確來說並不是生日,而是誕生季。對每個季節在神殿進行洗禮式,7歲了的小孩子全體去到神殿接受洗禮式。
 この後から見習いとして働くことができるので、街の一員として数えられるようになるということだろうか。
 由於從那之後就能作為實習去工作,是所謂變成了像是被算做是城市的一員了嗎。

 宗教儀式って考えると何となく苦手な感じがするのに、七五三のようなものだと思えば、平気な気がする。不思議。
 考慮到是宗教儀式的話明明總覺得是難以應付的感覺,但想成是七五三那樣的東西的話,就不會在乎了。真是不可思議。

 神殿には7歳未満の子供は入れないので、わたしと父は不参加だ。
 由於神殿是未滿7歲的小孩子不能進去的,所以我跟父親不能參加。
 ちなみに、わたしは年齢的に不参加決定だが、父は強制的不参加だ。なんと運が悪いことに、父はトゥーリの洗礼式当日にどうしても抜けられない会議があるそうだ。
 順帶一提,我是因年齡而決定不能參加,父親是強制的不能參加。多麼地厄運,父親在圖麗的洗禮式當天好像有著無論如何也不能脫身的會議。
 しかも、この会議は上級貴族から召集を受けて決定したもので、行かなければ物理的に首が飛ぶらしい。
 而且,這個會議室是受到來自上級貴族的召集而決定的東西,若不去的話似乎頭會物理性地飛走。

 怖ッ!
 好可怕!

 それなのに、この父は朝早くからうだうだと文句を言って、なかなか仕事に行こうとしない。
 儘管是那樣,這個父親從早上很早就囉囉嗦嗦地發著牢騷,仍然不打算去工作。

「嫌だ。会議なんか行きたくない。トゥーリの洗礼式だぞ? なんでそんな重要な日にどうでもいい会議があるんだ?」
「討厭啦。會議什麼的真不想去。是圖麗的洗禮式喔? 為什麼要在那麼重要的日子裡有著無關緊要的會議啦?」

 確かに洗礼式は重要な日だ。貴族にも子供はいるはずだし、洗礼式に出るなら多少日取りに配慮があると思う。
 的確洗禮式是重要的日子。貴族應該也有小孩子的,如果是要去洗禮式我想多少會顧慮到日期吧。

「あれ? もしかして、お貴族様の子供達は洗礼式がないの?」
「奇怪? 難道,貴族大人的小孩子們沒有洗禮式嗎?」
「……神殿に行くんじゃなくて、神官を家に呼ぶと聞いたことがある。だから、お貴族様には下々の気持ちがわからんのだ」
「……並不是去到神殿,有聽說過是把神官叫到家裡來。所以,貴族大人是不會明白一般庶民的心情的」

 まぁ、家の中で愚痴を言うだけで気が済むならいいか、と昨日の夜から聞き流してきたけど、しつこい。子供の運動会や七五三と仕事が重なった、娘ラブな父親の悲哀と鬱陶しさは、全世界共通なのだろうか。
 算了,如果只是在家裡面抱怨就能滿意就好了,雖然從昨天的晚上就充耳不聞,真是嘮叨。小孩子的運動會或七五三與工作重疊了,深愛女兒的父親的悲哀與鬱悶,是全世界共通的吧。
 わたしはトゥーリの髪を丁寧に梳いて、真ん中で分けながら、溜息を吐いた。
 我仔細地梳著圖麗的頭髮,一邊在正中間分開,一邊嘆了一口氣。

「父さん、一緒に行ってあげるから、お仕事行こうよ。途中まではトゥーリと一緒に行けばいいじゃない。どうせ、神殿の中に入れるのはトゥーリ達子供だけで、大人は神殿の広場で待つんでしょ?」
「爸爸,因為會一起去的,所以去工作吧。到中途為止與圖麗一起去的話不就好了嗎。反正,能進入神殿裡面的只有圖麗他們那些小孩子,大人是在神殿的廣場待著不是嗎?」

 途中まで行列に交じって、トゥーリの晴れ姿を見れば少しは気も晴れるだろう。そう思って、提案してあげたのに、父はまだうだうだと言う。
 到中途為止列隊會交雜,看見圖麗的盛裝之姿的話也能稍微釋懷吧。那樣想著,而提議的說,父親還是囉囉唆唆地說著。

「広場で待つのが、父親としての役目で……」
「在廣場等待,是作為父親的任務……」
「仕事に行って稼いでくるのが父親の役目と思うけど?」
「雖然我認為去工作賺錢回來才是父親的任務?」
「ぅぐっ!」
「咕!」
「わたしとお仕事に行くのがそんなに嫌なら、父さん一人で行けば?」
「如果跟我去工作是那麼樣地討厭,那爸爸一個人去的話呢?」

 もう構ってられないよ、と突き離せば、哀願を込めた今にも泣きそうな目でこっちを見てくる。
 已經不被理會了唷,地刻意冷落的話,用此刻注入哀求就快哭的眼神看著這裡。

「……マインと仕事に行く。会議が終わったら、すぐに帰るからな。今夜のお祝いは絶対にみんなでするんだからな」
「……與瑪茵去工作。因為會議結束的話,就能馬上回去呢。因為今晚的慶祝絕對要大家一起來呢」

 わたしが髪の編み込みをしているので、トゥーリは頭を動かさないように視線だけ父に向けてニコリと笑った。
 由於我在做著頭髮的編髮,圖麗就像無法轉動頭般而只有視線轉向父親微微地笑著。

「もう、父さんったら。わかってるよ。みんなでお祝いしてくれるんだよね? 楽しみにしてるから早く帰ってきてね」
「夠了,爸爸真是的。知道了啦。大家一起來慶祝的是吧? 因為期待著所以早點回來呀」
「あぁ」
「啊」

 でれっと笑って、応じる父の機嫌が急上昇したのを見て、わたしは心の中で「さすがトゥーリ。ウチの天使」と拍手する。
 看著散漫地笑著、應承著而讓父親的情緒急遽上升,我在心中拍手著「不愧是圖麗。我家的天使」。
 そんな天使は笑顔のままで、わたしにもお願いをした。
 那樣的天使用依然的笑容,也對我拜託了。

「マイン、父さんがちゃんとお仕事するように見張っててね」
「瑪茵,為了讓爸爸好好地工作要監視著呢」
「任せて! トゥーリが心配しないで洗礼式に出られるように、わたし、頑張るよ」
「交給我吧! 為了讓圖麗不會擔心地去洗禮式,我,會加油唷」
「おい、マイン!?」
「喂,瑪茵!?」

 情けない父の姿にトゥーリがとうとう声を立てて笑った。
 圖麗終於對可憐兮兮的父親的身影發出聲音笑了。

 うん、いい笑顔だ。
 嗯,美好的笑容啊。
 これだけ暑苦しく愛されていることがわかれば、父親が洗礼式に来られなくてもトゥーリは寂しくないだろう。
 明白被這樣悶熱地愛著的話,父親就算不來洗禮式圖麗也不會寂寞的吧。

「はい、完成。……うん、トゥーリ、可愛い」
「好了,完成。……嗯,圖麗,很可愛」
「ありがと、マイン」
「謝謝,瑪茵」

 髪を半分に分けて、左右から編み込みのハーフアップにすると、仕上げに簪を挿した。
 將頭髮分成一半,做成從左右編髮的公主頭後,插上髮簪就完成了。
 冬にレースの小花で作ったもので、晴れ着に使われている刺繍と同じ色の花が小さなブーケのようだ。色とりどりの小さな花が集まった髪飾りはトゥーリの朗らかで柔らかい雰囲気によく似合っている。
 因為在冬季用蕾絲小花製作的東西,是與使用在盛裝上的刺繡同樣顏色的花朵就像是小花束般。色彩斑斕的小花所聚集的髮飾是很相稱於圖麗明朗又柔和的氣氛的。

「まぁ、トゥーリ。綺麗にしてもらったのね」
「哇,圖麗。弄起來很漂亮呢」
「え……母さん?」
「咦……媽媽?」

 トゥーリと一緒に神殿へ向かう母も、今日は一張羅を着て、おめかししていた。靴がギリギリ見えるくらいの足首丈までのシンプルなドレスは薄い青で涼しげに見える。
 與圖麗一起向著神殿的母親,今天也穿起了最好的衣服,畫上了妝。直到宛如勉強看得見鞋子的腳踝的簡單禮服是用淡藍色的看起來很涼爽。
 ちょっと服を変えて、赤い草の実を潰しただけの紅を引いただけで、ここまで美人になると思わなかった。
 就只是稍微改變一下衣服,拉引一下只是弄碎的紅草的果實的紅色,沒想到至此就變成了美女。

 ウチの母さん、素材良すぎ。マジ美人。
 我家的媽媽,素材太優秀了。著實是個美女。

「母さんもここに座って」
「媽媽也坐在這裡」
「わたしはいいわ。マインが結うと、とても豪華に見えるもの。主役の子供達より飾るわけにはいかないから」
「我就不用了。瑪茵綁的,都是看起來非常豪華的東西。因為不可以比主角的小孩子們更加裝飾」
「そっか」
「這樣啊」

 別に飾りをつけるわけでもないので、大して豪華になるとも思えなかったが、母がそう言うなら仕方ない。この辺りの晴れ姿がどんなものか知らないので、確かにやりすぎる可能性はある。
 由於不能另外加上裝飾,也沒想過會變得太過豪華,如果母親那樣說就沒辦法了。由於不知道這附近的盛裝之姿是怎樣的東西,確實會有做過頭的可能性。
 わたしは髪を結うために上がっていた椅子から降りた。
 我從為了綁頭髮而爬上去的椅子上下來。

「じゃあ、行くわよ」
「那麼,我們走吧」

 着飾ったトゥーリと一緒に、わたしも門に行くためのトートバッグを持って家を出る。トゥーリに付き添う母と仕事着を身につけた父も一緒だ。
 與打扮的圖麗一起,我也帶著為了去門的手提包從家裡出去。陪伴圖麗的母親與身著工作服的父親也是一起。
 いつもならどんなに荷物を抱えていてもスタスタと歩く母が、スカートを引きずらないよう、手で裾を上げて、しずしずと下りていく。トゥーリもそれを真似して、スカートを軽く持ち上げて、一段一段下り始めた。
 若是平常就算抱著怎樣的行李也急急忙忙地走著的母親,像是不讓裙子拖地般,用手拉起下擺,安安靜靜地走下去。圖麗也模仿著那個,輕輕地拿起裙子,開始一階一階走下去。
 普段着のわたしの方が珍しく二人より速くて、一足先に外に出た。
 日常穿著的我比罕見的那兩個人還快,早一步出去外面了。

「うわ……」
「嗚哇……」

 井戸のある広場には、たくさんの人達がいた。どうやらこの洗礼式は街全体で祝うものらしい。今日の洗礼式には関係ないはずなのに、ラルフやルッツの姿も見えた。辺りの人達みんなが出てきて、今日の主役に祝福の言葉をかけている。
 在有水井的廣場,有著很多的人們。看來這個洗禮式似乎是城市全體都在慶祝的東西。明明應該跟今天的洗禮式沒有關係,卻也看得見拉魯夫與路茲的身影。附近的人們大家都出來了,對今天的主角獻上祝福的話語。
 冬も春も洗礼式があったはずだが、外に出られる体調ではなかったので、わたしにとって今日が初めて見る洗礼式だ。
 雖說冬天與春天都有洗禮式,但由於不是能外出的身體狀況,對我來說今天是第一次看見洗禮式啊。

「フェイ、おめでとう」
「斐,恭喜你」
「男っぷりが上がったな」
「男子氣概上升了呢」

 ピンク頭のフェイも今日が洗礼式らしい。トゥーリと同じように白が基調で縁に刺繍のある上下に緑のサッシュを締めているのが見える。
 粉紅頭的斐今天似乎也是洗禮式。用像是跟圖麗一樣的白色做基調看得見在上下的邊緣有著刺繡還綁著綠色的腰帶。

 ……あぁ、なるほど。大事だね。裁縫の腕って。
 ……啊,原來如此。很重要呢。縫紉的本領。

 全部手作りだから、腕の差が顕著に出る。日本では裁縫の腕なんて特に必要なかったし、ここでもボロばかり着ているから、裁縫上手が美人の条件と言われても、いまいちピンとこなかった。
 正因為全部是手製的,本領的差距就顯著地出來了。在日本縫紉的本領什麼的不是特別必要的,因為在這裡也盡是破爛的穿著,就算被說了擅長縫紉是美女的條件,也一點都沒領悟到。
 けれど、こうして新調したばかりの服を着ていると差が明確だ。
 不過,像這樣穿著剛剛新作的衣服的話差距就很明確了。

 今まで比較対象がなかったからわからなかったけど、母さんの裁縫の腕、すごいよ。自慢するわけだよ。わたし、ここでも恋人や結婚できないの、決定だね。
 雖然因為至今沒有比較對象而不明白,但媽媽的縫紉本領,好厲害唷。是很能自誇的唷。我,在這裡也不會有戀人或是去結婚的,決定了呢。

「まぁ、トゥーリ! なんて可愛いの!」
「哇,圖麗! 多麼地可愛啊!」

 トゥーリが出てきたのを見つけたカルラおばさんが感激したように頬を押さえながら、広場中に響くくらい大きな声で、トゥーリを褒めた。
 發現圖麗出來的卡露菈阿姨一邊感激似地按著臉頰,一邊在廣場中用響徹般的巨大聲音,稱讚著圖麗。
 その途端、トゥーリが注目されて、方々から祝福の言葉が飛んでくる。
 那個當下,圖麗被注目著,來自各方的祝福話語飛了過來。

「トゥーリ、おめでとう」
「圖麗,恭喜妳」
「髪まで綺麗に結って、お姫様みたいよ」
「就連頭髮都綁得很漂亮,好像公主大人唷」

 カルラおばさんに褒められたトゥーリが恥ずかしそうに頬を染めて笑った。母自慢の白い晴れ着に、他の子にはないキューティクルな天使の輪がある青緑の髪がふわりと揺れる。
 被卡露菈阿姨稱讚的圖麗害羞似地染紅了臉頰在笑著。在母親豪的白色盛裝上,有著其他的小孩子所沒有的表皮般的天使之輪藍綠色的頭髮輕飄飄地搖曳著。

 ウチのトゥーリ、マジ天使。父さんが親馬鹿になるの、わかるわ。
 我家的圖麗,真的是天使。爸爸變成了笨蛋父母,我明白的。

「マインが一生懸命に結ってくれたの」
「是瑪茵拚命綁的」
「まぁ、マインが? 変わった料理以外にも取り柄があったのねぇ」
「哇,瑪茵嗎? 怪異料理以外也有可取之處呢」

 カルラおばさん、ひどい。
 卡露菈阿姨,好過分。
 でも、ちょっとホッとした。わたし、一応この世界でも認められる取り柄があったんだ。
 但是,稍微放心了。我,姑且在這個世界也有被認可的優點了。

「すごく複雑よ、これ。どんな風に結うの?」
「非常複雜喔,這個。是綁成怎樣的風格呢?」
「どれどれ?」
「哪個哪個?」

 年齢を問わず女性陣がトゥーリの頭を覗きこむ。
 不論年齡的女性陣容都望向了圖麗的頭。

 ひぃぃ、ただの編み込みだから、あんまりじっくり見ないで! ちゃんとしたコームがなかったから、分け目がちょっとガタガタなところがあるのよぉ。
 咿,只不過是個編髮,不要看得太過仔細呀! 因為沒有好好地梳髮,分界線稍微有著鬆鬆散散的地方唷。

「いいなぁ、トゥーリ。わたしも冬に洗礼式があるから、あんな風にしてほしいわ」
「好好喔,圖麗。因為我也在冬季有洗禮式,好想做成那種風格喔」

 女の子が一人、羨望の溜息を吐きながらそう言うと、同じような意見が上がった。「わたしも、わたしも」って、誰かが追従すると、そこから先は切りがない。
 一個女孩子,一邊吐露羨慕的嘆息一邊那樣說後,揚起了同樣的意見。說著「我也要、我也要」,效法了某人後,從那之後就沒完沒了了。

「みんなマインにやってほしいって言ってるよ? やってあげたら?」
「大家都說希望瑪茵能去做唷? 要去做嗎?」

 トゥーリが嬉しそうに笑って提案したが、わたしは即座に首を振って拒否する。
 圖麗很高興似地笑著提案,但我立刻搖著頭拒絕了。

「無理だよ」
「不可能的唷」
「なんで?」
「為什麼呢?」
「いつ熱が出るかわからないから。わたし、洗礼式を見るのも、今日が初めてなんだよ?」
「因為不知道何時會發燒。我,看到洗禮式,今天也是第一次唷」

 妹を自慢するように笑っているトゥーリには悪いけれど、洗礼式の度によく知らないよその子の髪を結うなんて、わたしにはできない。
 雖然說對為了自誇妹妹而笑著的圖麗不好意思,但幫每次的洗禮式上都不是很認識的那些孩子綁頭髮什麼的,我做不到。
 だって、絶対にトゥーリのようにはならないと断言できる。
 因為,我能斷言絕對不會像圖麗那樣。
 彼女達の髪は、昔のトゥーリと一緒で、手入れなんて全くされていない。手入れから始めなければならない髪なんて、今更触りたくない。
 她們的頭髮,就跟以前的圖麗是同樣的,完全沒有被保養過。必須要開始保養的頭髮什麼的,現在才不想摸。

「そっか。ちょっと元気になってきたけど、いつ熱が出るかわからないもんね? マインはすごいんだよって、自慢したかったんだけどな」
「這樣啊。雖然變得有點精神起來了,但不知道何時又會發燒呢? 說著瑪茵很厲害唷,而很想要自誇呢」

 基本的に役立たずで足手まといなので、トゥーリのお願いを聞いてあげたい気はするけど、生理的に無理。
 由於基本上是廢物又累贅,雖然有想要聽圖麗的願望,但生理上是不可能的。

「……トゥーリの髪を編んでいるところを見せてあげるくらいなら、できる。けど、その子の髪を結う約束は、したくない」
「……如果是展示將圖麗的頭髮編織起來的地方之類的,是可以。但是,綁那些孩子的頭髮的約定,不想做」
「うんうん、守れない約束はするなって、父さんもこの間言ってたもんね? みんな、マインがわたしの髪の結い方を見せて教えることならできるって!」
「嗯嗯,不要做不能遵守的約定,是爸爸最近也說過的東西呢? 各位,如果是展示並教授瑪茵綁我的頭髮的方法是可以的!」

 わたしが出した妥協点に満足したトゥーリの発案で、後日、井戸の広場で髪結い教室が開催されることになった。
 因滿足於我所給出的妥協點的圖麗的提案,日後,造成了被迫在水井的廣場舉辦美髮教室。

 まさか、編み込みがこんなに注目されるとは思わなかった。母が髪を結うのを辞退するわけだ。
 怎麼可能,從沒想過編髮會被如此注目。是母親辭退綁頭髮的理由啊。

「じゃあ、この髪飾りは? これは誰が作ったの?」
「那麼,這個髮飾是? 這是誰做的?」
「マイン」
「瑪茵」
「違う、トゥーリ。家族みんなだよ! 花はわたしと母さん。簪の部分は父さんだもん」
「不是的,圖麗。是家族全員唷! 花是我跟媽媽。髮簪的部分是爸爸咩」
「あ、そうだったね」
「啊,是那樣呢」

 裁縫上手な母が知らなかったくらいだ。レース編みはやはりここでは珍しいものらしい。こちらはおばさん達の食い付きがすごい。
 就連擅長縫紉的母親都不知道。似乎蕾絲編織果然在這裡是稀奇的東西。咬住這點的大嬸們好厲害。

「ねぇ、マイン。作り方、教えてあげたら?」
「喂,瑪茵。作法,能告訴我們嗎?」
「教えるのは簡単だけど、細いかぎ針を作らなきゃできないよ? それに、髪飾りの作り方は、母さんが教えればいいと思う。わたしより上手だし」
「雖然說要教很簡單,但必須要製作細小的鉤針唷? 而且,髮飾的做法,我想媽媽要教的話也可以。比我還擅長喔」

 わたしは知らない人が苦手だし、ここの常識わからなくて変な事言うかもしれないし、この辺りのおばちゃんと何を話していいかわからない。距離を取るのが一番良好な近所付き合いになると思う。
 我不擅長應對不認識的人,沒有這裡的常識而說了奇怪的事情也說不定,不知道要跟這附近的大嬸說什麼話才好。我認為造就了保持距離是最良好的鄰里交往。

 カランカラン……と神殿の鐘が鳴り響いた。中央の神殿が鐘を鳴らすと、こだましながら、街中に鳴り響く。
 噹噹……地神殿的鐘鳴響著。中央的神殿鳴起鐘後,一邊迴響著,一邊在全城裡鳴響著。
 井戸の広場で騒いでいた人々が一瞬ぴたりと口を噤んだ。
 在水井廣場上吵鬧著的人們一瞬間突然閉口不談了。
 次の瞬間、歓声が上がって誰かが叫ぶ。
 下個瞬間,揚起了歡呼聲的某人叫喊著。

「出発だ! 大通りへ行くぞ!」
「出發了! 往大街上去吧!」

 洗礼式を受ける子供達を先頭にぞろぞろと大通りへと出ていけば、あちらこちらの路地から大通りへ出てくる子供達と見物人が同じように出てきていた。
 在前頭接受洗禮式的小孩子們絡繹不絕地往大街出去的話,觀眾像是與從四面八方的巷道裡往大街出去的小孩子們一樣地出去了。
 街の端から中央の神殿に向かって、白い服を着た子供達を先頭に行列が大通りを歩いて行く。行列は洗礼を受ける子供とその付き添いで構成されていて、それ以外の人達は大通りから見送ることになる。
 從城市的一端往中央的神殿。在前頭穿著白色衣服的小孩子們列隊走在大街上。列隊是由接受洗禮的小孩子與那些陪伴所構成的,變成了那以外的人們要從大街上送別。

 この光景って、アレに似てる。
 這副光景,跟那個很像似。

 沿道で手を振ったり、祝福の言葉をかけたりする人がいて、その間を行列が進んでいく感じや、歓声が段々近づいてくる様子で、行列の進度がわかるところが、お正月の駅伝っぽい。
 有著在沿途揮手、獻上祝福的話語的人。那期間列隊持續前進的感覺,因歡呼聲漸漸地接近著的樣子,而知道列隊的進度到哪,像新年的接力賽跑般。

 遠くの方から、わぁっという歓声が段々近づいてくる。
 從遙遠的地方,名為哇地歡呼聲漸漸地接近著。
 すぐ隣にいるトゥーリの様子を伺えば、緊張しているようで、少し顔が強張っていたので、わたしはできるだけ背伸びして、トゥーリの頬を人差指でツンと突いた。
 偷看就在旁邊的圖麗的樣子的話,就好像在緊張著,由於臉有點僵硬了,我盡可能地踮起了腳尖,用食指戳著圖利的臉頰。

「え? 何?」
「哎? 什麼?」
「笑顔だよ。笑ってれば、トゥーリが一番可愛い。ホントだよ?」
「笑容唷。笑起來的話,圖麗是最可愛的。真的唷?」

 一度目を丸くした後、ゆっくりと目を細めたトゥーリの顔にいつもの笑顔が浮かんだ。
 傻了一次眼後,在慢慢地瞇起眼睛的圖麗的臉上浮現的是平常的笑容。

「もうマインったら」
「夠了瑪茵真是的」
「そうだ。笑ってなくてもトゥーリが一番可愛いだろう」
「沒錯。就算不用笑圖麗也是最可愛的吧」

 どうしよう、この父親。
 該怎麼辦呢,這個父親。

 そんなやり取りをしているうちに、行列が見えてきた。大きな歓声や拍手、口笛が鳴り響く中、同じような白い晴れ着に身を包んだ子供達が、晴れやかな笑顔、ちょっと強張った顔、得意そうな表情、不安そうな顔、それぞれの顔で歩いてくる。
 在做著那樣的言論交流時,看得見列隊了。在巨大的歡呼聲與拍手、口哨的響徹中,用像是同樣白色的盛裝將身體包裹住的小孩子們,開朗的笑容、稍微僵硬的臉、得意般的表情、不安般的臉、用各式各樣的面貌走了過來。

 トゥーリとフェイが大通りに並んだ見物客から一歩前に進み出た。行列の流れを見ながら軽い足取りで進み出て、子供達の一番後ろに加わる。行列に入った二人を確認して、フェイの家族とわたし達も後ろの親の列に加わった。
 圖麗與斐從排列在大街上的觀眾中前進一步走上前去了。一邊看著列隊的流動一邊用輕盈的腳步走上前去,加入到小孩子們的最後方。確認到兩個人進入了列隊,斐的家人與我們也加入了後面的親屬隊伍。

 大通りで曲がり角がある度に、少しずつ子供の数が増えていく。街の中央にあるらしい神殿に着くころには、一体どれだけ人数が増えているのか見当もつかない。
 每次在大街上有拐彎時,就一點一滴地增加著小孩子的數量。到達了似乎在城市中央的神殿的時候,已無法估計到底增加了多少人數了。
 行列に並んで歩いているだけで、すでに感動で涙ぐんでいる保護者もいる。たとえば、父とか。
 就只是排進列隊中走著,就已經感動到含著淚光的保護者也有。譬如說,父親啦。

 行列に遅れないようにやや小走りになりながら、大きな歓声の中をわたしも歩く。
 一邊為了不慢於列隊而稍微變成了小跑步,一邊我也在巨大的歡呼聲中走著。
 色んなところから声が飛んでくるので、きょろきょろと辺りを見回せば、大通りの両脇に並ぶ家々の窓から見ている人達や、どこかで摘んできたのか小さな白い花を投げて祝福する人が見えた。
 由於聲音從各種地方飛了過來,東張西望地環顧著周邊的話,看得見從排列於大街兩旁的家戶窗戶看著的人們與,投放在哪裡採摘來的呢的小小的白色花朵並祝福著的人。
 高い部屋の窓から投げられた白い花は、まるで青い空から降ってくるようだ。行列の子供達から嬉しそうな声が上がる。
 被從高處房間的窗戶投下的白色花朵,簡直像是從藍天裡降落下來的。從列隊的小孩子們那揚起高興似的聲音。
 周囲に比べてかなり背が低いわたしからは、花を取ろうと天に向かって伸ばしている子供達の手しか見えなかった。
 因為跟周圍相比還相當矮的我,就只能看見為了拿花而向上天伸長著的小孩子們的手。

 大通りと大通りが交差する噴水のある交差点で、一度行列が止まる。別の通りから進んできた子供達と合流して行列が一気に増えた。
 在大街與大街交叉有著噴泉的交叉路口,列隊停了一次。與從別的街道前進的小孩子們匯合的列隊一口氣增加了。
 わたしと父が一緒に歩けるのはここまでだ。
 我跟父親能一起走的就到此為止了。

「父さんはこっちだよ」
「爸爸是這邊唷」

 すっかり行列と一緒に神殿に向かう気分になっている父の手を引いて、一度行列から出た。行列の邪魔をしないように、大通りの端へと寄って、見物客と一緒に行列を見送る。
 拉著完全變成與列隊一起朝向神殿的心情的父親的手,從列隊中出來過一次。為了不阻礙列隊,而往大街的一端靠近,與觀眾一起送別著列隊。

「トゥーリ……」
「圖麗……」
「もう! 父さんはこっちだって」
「夠了! 爸爸是這邊才對」

 行列が過ぎると見物客もぞろぞろと帰宅を始める。そんな人波と一緒に南門の方へと曲がった。
 列隊過去後觀眾也一個接一個地開始回家了。與那樣的人潮一起往南門的方向拐過去。
 名残惜しそうに何度も行列を振り返っているが、会議の時間は大丈夫なのだろうか。
 依依不捨似地好幾次回頭看著列隊,會議的時間是不要緊的嗎。

「班長! 遅いですよ!」
「班長! 你很慢喔!」

 門に着いた時には目を吊り上げているオットーがいた。父を会議室に送りだして、わたしはいつもどおり石板で字の練習をする。
 在到達門的時候豎起眼睛的歐拓就在那。把父親送到會議室。我則與平常一樣用石板練習著文字。
 なんと、今日から商人の荷物表が読めるように、出入りの激しい品物から名前を覚えていくことになった。
 竟然,從今天起為了能讀懂商人的行李表,而變成要從進出激烈的物品中去記住名字。
 オットーに習う、初めての日常単語である。今日の単語は全部この季節の旬の野菜だ。
 向歐拓學習,做為初次的日常單字。今天的單字全部是這個季節的當季蔬菜。
 ポメ(黄色のパプリカに見えるトマト)、ヴェル(赤いレタス)、フーシャ(緑の茄子)などの普段の料理で使われる野菜は覚えやすいけれど、食卓に出ない野菜は品物を想像することができないので、覚えるのに時間がかかる。
 雖然說柏梅(看來像黃色彩椒的蕃茄)、葳露(紅色萵苣)、弗夏(綠色茄子)之類被使用在普通料理上的蔬菜很好記,但沒出現在餐桌上的蔬菜由於無法想像出物品,所以記住要花點時間。

 一度市場へ行って、現物と単語を結び付けたいなぁ。でも、肉屋はまだ苦手なんだよね。
 想去一次市場,把實物與單字做聯繫呢。但是,肉攤還是很難應付呢。

 一人でコツコツと文字を練習していると、比較的若い兵士が書類を持って、飛び込んできた。
 一個人奮力不懈地練習著文字的時候,比較年輕的士兵帶著文件,飛奔近來。

「オットーさん、知りませんか?」
「歐拓先生,知道在哪嗎?」
「今日は会議に出てますけど?」
「今天去參加會議了喔?」
「あぁ、そうだった! どうしよう……」
「啊,是那樣啊! 該怎麼辦呢……」

 今日の門番は書類の文字がよく読めないらしい。
 今天的門衛似乎看不太懂文件的文字。

「読みましょうか?」
「看不懂嗎?」
「は? お前が?」
「什? 妳嗎?」
「一応オットーさんの助手なんです」
「我姑且算是歐拓先生的助手」

 ものすごく胡散臭そうに見られた。まぁ、こんな見た目で字が読めるようには見えないだろうから、仕方ない。こういう視線には慣れた。
 被非常地可疑似地看著。算了,因為這種外觀看起來也不像會閱讀文字,所以是沒辦法的。已經習慣這種視線了。
 親切心で言いだしたことなので、別に見せる気がないならそれでいい。
 由於是好意說出來的事情,如果沒有特別表示那那樣就可以了。
 反応がないので、わたしは視線を石板に向けて字の練習を続けることにした。
 因為沒有反應,我決定將視線轉向石板繼續文字的練習。

「……読めるのか?」
「……妳看得懂嗎?」

 絶対に読めるかというと、書類の種類によって自信はまちまちだ。まだ完全に覚えたとは言えない。
 絕對是要說妳會看嗎的,根據文件的種類自信是形形色色的。還說不上完全記住。

「えーと、人物照会票と貴族の紹介状なら問題なく読めます。商人の荷物表は数字が読めても項目があまり自信ないです」
「呃,如果是人物查詢表與貴族的介紹信毫無問題看得懂。商人的行李表就算看得懂數字但項目就不太有自信了」
「じゃあ、貴族の紹介状だから、頼む」
「那麼,因為是貴族的介紹信,拜託妳了」

 貴族の紹介状は面倒くさい言い回しが多いけれど、装飾的な文章を取り払うとそれほど難しいことは書いていない。
 雖然說貴族的介紹信麻煩的修辭很多,拿掉裝飾用的文章後寫得就不是那麼困難的東西了。
 要は、誰が誰を紹介しているのか、誰の印章が必要かだけ読みとればいいのだ。
 關鍵,只有誰介紹了誰呢,誰的印章是必要的呢領會的話就可以了。
 羊皮紙とインクの匂いを胸一杯に吸い込んで、堪能しながら目を通した。
 將羊皮紙與墨水的氣味滿滿地吸進胸中,一邊滿足著一邊瀏覽著。

 ……あ~、士長も会議中だよね。下級貴族の紹介だから、会議が終わるまで待った方がいいかな?
 ……啊~,士長也在會議中呢。因為是下級貴族的介紹,是否等待到會議結束比較好呢?

「えーと、ブロン男爵からの紹介で、グラーツ男爵のところに行くそうです。士長の印章が必要ですね」
「呃,是來自布隆男爵的介紹,好像是要去古拉茲男爵的地方。士長的印章是必要的呢」

 オットーの仕事ぶりを思い出しながら、わたしは羊皮紙を返す。対応マニュアルが頭に入っていれば、わたしにだってこれくらいはできる。
 一邊回想起歐拓的工作風範,我一邊將羊皮紙返還。應對手冊進入腦袋的話,就連我也能做到這麼點事。

「これを持ってきた商人さんを下級貴族用の待合室に案内してください。今日の会議は上級貴族の招集だから士長の印章は会議終了までお待ちくださいって、ちゃんと理由説明すれば、グラーツ男爵のお客様は無理を言う人ではないと思います」
「請將帶著這個的商人先生帶領到下級貴族用的等候室。說因為今天的會議是由上級貴族所召集所以士長的印章請等待到會議結束,好好地說明理由的話,我認為古拉茲男爵的賓客是不會為難人的」
「ありがとう。助かった」
「謝謝妳,得救了」

 胸を二回叩いて敬礼されたので、わたしも椅子から飛び降りて、敬礼を返す。オットーの助手をしているうちに当たり前のようにできるようになってきた。
 因為被敲了兩次胸口敬禮,我也從椅子上跳下去,回以敬禮。在做為歐拓的助手當中變得理所當然似地能夠做到了。

 うーん、このままだったら、わたし、ここの事務員として就職させられそうだなぁ。
 嗯,就這樣下去的話,我,就快要被迫做為這裡的事務員就職了呢。

 来年の見習い仕事が始まるまでに、紙を作って、本屋さんになろうと思っていたが、先が見えなくて、挫けそうだ。
 想著要在明年開始實習工作之前,製造紙張、成為書店老闆,卻看不見前方,倍感受挫。

 石板で引き続き文字の練習をしていると、会議を終えた父が飛び込んできた。
 在石板上接續著做文字的練習時,結束了會議的父親飛奔了進來。

「帰るぞ、マイン」
「回去囉,瑪茵」
「あ、さっきね……」
「啊,剛剛呢……」
「話は帰りながら聞くからな。トゥーリが待ってる」
「談話會一邊回去一邊聽著呢。圖麗在等著」

 父は石板や石筆をトートバッグに入れると、ひょいっとわたしを抱き上げて、荷物を持って歩き始めた。
 父親將石板與石筆放進手提包後,輕輕地將我抱起來,拿著行李就開始走了。

「父さん!? あのね! 報告が……」
「爸爸!? 那個呢! 有報告……」
「オットーに捕まる前に出るぞ」
「在被歐拓抓到前出去吧」
「待って! オットーさんに報告があるんだって!」
「等下! 有要跟歐拓先生報告的!」

 言い合っているうちに、オットーが追いついてきた。
 在爭論的當下,歐拓追了上來。

「あ、オットーさん。ブロン男爵からグラーツ男爵への紹介状を持った商人さんが来ています。士長も会議中のため、下級貴族用の待合室で待機中なので、至急対応お願いします」
「啊,歐拓先生。帶著來自布隆男爵給古拉茲男爵介紹信的商人先生來了。由於為了士長也在會議中,而在下級貴族用的等候室裡待命中,希望能緊急應對」
「さすが俺の助手。よくできたな」
「不愧是我的助手。做得很好呢」
「俺の娘だ」
「是我的女兒」

 父の言葉にオットーがこめかみを押さえて、溜息を吐いた。
 歐拓先生對父親的話語按住了太陽穴,嘆了一口氣。

「優秀な助手に重要な任務を命じる。この班長とすぐに帰れ。会議中そわそわして落ち着かない班長のせいで、上級貴族に睨まれて俺の寿命が縮んだ」
「給優秀的助手命令重要的任務。跟這個班長立刻回去。因在會議中心神不寧冷靜不下來的班長的緣故,被上級貴族盯著的我的壽命都縮短了」
「……父さん、命は大事にしなきゃ」
「……爸爸,必須要珍惜生命啊」
「オットーもこう言ってることだし、帰るぞ」
「歐拓也這樣說過啊,回去囉」

 完全に心は家に帰ってしまっている父に抱きかかえられたまま帰宅すれば、その夜は家族でトゥーリの誕生祝いだ。
 完全是被滿心只有回家的父親環抱著回家後,那個夜晚是只有家人的圖麗的生日祝賀。
 わたしの中ではお祝いと言ったらケーキが付きものだったけれど、そんなものはウチにない。使える食材を見て、わたしに準備できた代用品は、フレンチトーストもどきだった。
 雖然說在我心中帶有蛋糕才是能稱得上是祝賀的東西,但那種東西我家沒有。看著能使用的食材,我能準備的替代品,就只有仿製法國吐司。
 かなり固い雑穀パンを母にスライスしてもらって、ルッツのところからレシピと交換でもらってきた卵と牛乳に付け込む。母にバターで焼いてもらって出来上がり。蜂蜜や砂糖がないので、木苺っぽい果実のジャムをちょっと添えてみた。
 將相當堅硬的雜糧麵包請母親切成薄片,趁機利用從路茲那裡與食譜交換帶回來的雞蛋與牛奶。請母親用奶油煎到好。由於沒有蜂蜜或砂糖,就試著稍微加上木莓般果實的果醬。

 わたしがトゥーリのためにできたのは、もう一つ。スープの野菜の飾り切りだ。ハートや星に切った野菜をトゥーリは可愛いと喜んでくれた。
 我能為圖麗所做的,還有一個。是湯的蔬菜切花。切成愛心或星型的蔬菜圖麗會感到可愛與歡喜吧。

「ほら、トゥーリ。プレゼントだ」
「看啊,圖麗。是禮物喔」
「わぁ、父さん、母さん、ありがとう」
「哇,爸爸、媽媽,謝謝妳們」

 トゥーリが仕事着と仕事道具をもらった。7歳になって洗礼を受けると、見習いの仕事につく。住み込みの仕事場もあるが、トゥーリが行く針子の見習いは通いだ。
 圖麗得到了工作服與工作用具。7歲了而接受洗禮後,就有見習的工作了。也有要住宿的工作場所。圖麗去女裁縫的實習是通勤的。

 裁縫上手になって、美人を目指すんですね。
 變得擅長縫紉,而以美女為目標呢。
 ラルフに「トゥーリってホントいい女」って言われたいんですね、わかります。
 是想被拉魯夫說「圖麗真的是個好女孩」呢,我明白的。

「毎日お仕事するんじゃないよね?」
「不用每天都去工作嗎?」
「まぁ、最初は大した仕事ができるわけでもないし、週に半分ほどだな」
「是呢,最初是做著算不上多了不起了工作,是一周的一半左右呢」
「見習いの面倒をずっと見ていると仕事がはかどらないからね」
「因為一直照料著實習的話工作是不會有進展的呢」

 確かに。兵士見習いに文字や計算を教える日は、わたしの勉強ははかどらないし、オットーの仕事が増えていたような記憶がある。
 確實。教導實習士兵文字或計算的日子,我的學習毫無進展,也有好像增加了歐拓的工作的記憶。

「それから、これがマインのだ」
「然後,這個是瑪茵的」

 両親が布で包まれた細長い物をゴトンとテーブルに置いた。
 雙親將用布包裹的細長物品叩咚地放在桌子上。
 目を瞬いて、わたしは首を傾げる。洗礼式でもないわたしが何故贈り物をされるのかわからない。
 眨著眼睛,我疑惑不解。不明白也不是洗禮式的我為什麼被送了禮物。

「わたし、洗礼式じゃないよ?」
「我,還不到洗禮式唷?」
「仕事を始めるトゥーリの代わりに、今度から薪拾いはマインがするからな。必要になる」
「因為要代替開始工作的圖麗,從這一次開始撿拾木柴要瑪茵來做了呢。變得必須了」

 包まれた布を開くと、そこには鈍く輝くナイフがあった。刃には厚みがあって、手にずしりとした重みがかかる。
 打開包裹的布後,在那裡有著又鈍又閃耀的小刀。刀刃有著厚度,在手上沉甸甸地有所份量。
 こんな鋭い危険そうなの、子供に渡すなんて危険だ、と日本では言われるかもしれないが、こちらの常識では、このくらい持っていないと自分の身を守ることさえできない。手伝いも何もできない赤ちゃん扱いだ。
 這種尖銳又危險似的、交給小孩子什麼的很危險,在日本搞不好會被這麼說,但在這裡的常識是,不帶著這類東西的話連自己的身體都保護不了。是會被當作幫忙或什麼都做不到的小嬰兒。

 ナイフ、もらっちゃったよ。
 小刀,得到了唷。

 今までわたしは完全に赤ちゃん扱いだった。お手伝いをするトゥーリのお手伝い。むしろ、余計なことばかりする足手まとい?
 至今我完全是被當作小嬰兒。是幫忙家務的圖麗的幫手。不如說,淨做著多餘的事情礙手礙腳著?
 だが、トゥーリが見習いを始めることで、わたしにもナイフを渡さざるを得なくなったのだろう。
 可是,因為圖麗開始實習了,而造成不得不將小刀交給我了吧。

 でも、これで木簡が作れるよ!
 但是,這樣就能製做木簡了唷!
 木簡作るよ!
 製作木簡吧!

======================================================================
ナイフ、GETしました。
小刀,獲得了。
これで、次からは木簡作りに入ります。
這樣,從下次進入製作木簡。
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