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第一部士兵的女兒 黏土板不行呀

作者:SPT草包│2016-12-13 18:03:13│贊助:2│人氣:179
本好きの下剋上~司書になるためには手段を選んでいられません~
以下犯上的書癡~為了成為圖書管理員而不擇手段~
作者:香月美夜
第一部兵士の娘 粘土板はダメだ
第一部士兵的女兒 黏土板不行呀
原文連結

 わたしは熱にうなされながら、フェイ達をいかに恐怖に落としいれるか考えていた。
 我一邊被熱給壓制不能動,一邊考慮著該給斐他們落下怎樣的恐怖。

 もうちょっとだったのに!
 明明再一下下就好!
 もうちょっとで本が手に入るところだったのに!
 明明再一下下就能得到書本了!
 森に行けず、粘土も持ち込みを禁止されれば、もう本が手に入ることはないだろう。
 不能去森林,黏土也被禁止帶進來的話,書本已經不可能得到了吧。

 ここはやはり、日本式恐怖にご招待するのが、一番トラウマになる気がする。
 這邊果然,該招待一下日本式恐怖嗎,感覺能造成最大的創傷。
 この世界の人達が何を怖がるのか全くわからないけど、わたしが髪を下ろして貞子っぽい装いで恨み辛みを言い続けるとか、番町皿屋敷のように粘土板を数えていくとか……どうよ? 怖くない?
 雖然完全不知道這個世界的人們害怕什麼,我該放下頭髮用貞子般的服裝持續說著怨恨痛苦嗎,還是像數盤子的阿菊一樣持續數著黏土板呢……怎樣呢? 不可怕嗎?

 せっかく考えたのに、熱が下がって起き上った朝、父は何とも複雑な顔で、何故か森禁止令を取り消してきた。
 明明特意思考著,退燒起來的早上,父親用實在複雜的表情,不知為什麼取消了森林禁止令。

「……明日」
「……明天」
「ん?」
「嗯?」
「明日は森に行ってもいい」
「明天去森林也是可以的」
「へ? 森に行ってもいいの? なんで?」
「哎? 去森林也可以嗎? 為什麼?」
「……不満そうだな」
「……好很不滿呢」

 森へ行けるのは嬉しいけど、せっかくノリノリで考えた日本式恐怖計画が台無しだ。
 雖然可以去森林是很高興,但難得心癢難耐地考慮著的日本式恐怖計畫就糟蹋了。
 ぽそぽそと恨み事を並べる練習もしたし、幽霊っぽく見える服も考えた。後は舞台とかシチュエーションに凝ろうと思っていたところだった。井戸の辺りにするか、路地から出てくるか……。
 碎碎唸著地安排著怨恨之事的練習也做了,看起來像幽靈般的衣服也考慮了。之後是舞台了嗎就在思考著該講究的場景那時。要在水井附近做嗎,還是從巷子裡出來呢……。

「不満はないけど……」
「雖然沒有不滿……」
「けど、何だ?」
「雖然、是什麼?」
「……せっかく色々計画考えたのにぃ……もったいなくない?」
「……難得思考了各式各樣的計畫了說……太可惜了?」
「もったいなくないっ! そんな計画はすぐに捨てるんだ!」
「太可惜了! 那種計畫馬上給我丟掉!」
「ちぇ……」
「呿……」

 まぁ、森に行って、粘土板を完成させることができるなら、計画なんて必要ない。フェイ達相手に遊んでいる時間がもったいないので、森に行ったら自動的に計画をポイすることになるのは目に見えている。
 算了,如果能去到森林、將黏土板完成,什麼計畫都不需要。由於以斐他們為對手來玩樂的時間太浪費了,所以能去森林的話就變成自動地將計畫給突然捨去是可以預見的。

 それにしても、いきなり意見を変えるなんて、一体何があったんだろう?
 儘管如此,突然改變意見什麼的,到底是有什麼發生了吧?

「体調を見てからだから、明日にするんだ。これは譲らん!」
「因為要從看身體狀況開始,明天再做吧。這是不可退讓的!」
「はぁい」
「是」

 さすがに病み上がりでいきなり森に行くような無茶はしない。この身体のポンコツ具合はわたしが一番よく知っている。
 畢竟才不會病才剛好就突然去到森林裡那樣亂來的。這個身體的破爛狀態我是最清楚不過了。

 今日一日、熱が上がらなかったら森に行ってもいいと言われたので、心躍らせながら、明日の準備を始めた。
 今天一天,由於被說了沒發燒的話去森林也是可以的,而一邊內心雀躍,一邊開始明天的準備。
 物置の中にあった何に使うかわからない板を籠の中に下敷きとして入れる。そして、母が掃除の雑巾にするために取り置いているボロ布をごっそりと持ちだして籠へ入れた。これで粘土板を包んで持ち帰るのだ。
 將在儲藏室裡不知道用來做什麼的木板作為樣本放進籃子裡。然後,將母親為了作為打掃的抹布而保留的破布全部拿起放進籃子。用這個將黏土板包起來帶回來吧。

 さぁ、粘土板、作って作って作りまくるよぉ!
 好了,黏土板,製作製作製作個不停吧!

 気合を入れて起きると、大雨だった。
 鼓起勁後,就是大雨。
 それも、この辺りでは記録的な豪雨。まるで台風のような嵐だ。
 那也是,在這一帶創紀錄的豪雨。簡直就好像是颱風的暴風雨。
 窓の板戸を閉めていても、風と雨の音が聞こえる。
 就算關閉窗戶的木板窗,也能聽見風與雨的聲音。

「のおおぉぅっ! 雨っ!?」
「不要啊! 下雨了!?」

 天気予報のない世界で天気にまで気が回らなかった。正確には、熱出して倒れている方が多いし、家族が「今日は出ても大丈夫」と判断しなければ、外に出してもらえなかったので、天気なんて今まで気にしたことがなかった。
 在沒有天氣預報的世界只有天氣是考慮不周的。準確來說,發燒而倒下的狀況比較多,若不是家人做了「今天出去也不要緊」的判斷的話,是無法出到外面的,天氣什麼的至今都沒有在意過。

 大雨にでろんと崩れる粘土板の映像が脳内を駆け巡る。いくら低木のかげに隠しておいたと言っても、この嵐では無事にはすまないだろう。
 因大雨而泥化崩潰的黏土板影像亂竄於腦內。就算說過多少先隱藏在灌木的影子裡,也不會因這場暴風雨而平安無事的吧。

 にぎゃああぁぁっ!
 呢呀啊啊!
 わたしの粘土板がぁっ! でんでろりんになっちゃうっ!
 我的黏土板呀! 變成爛泥巴了!

「ちょっと、マイン! どこに行く気!?」
「等下,瑪茵! 妳要去哪裡!?」
「森!」
「森林!」

 思わず外に飛び出そうとしたが、母に羽交い絞めにされて阻止された。
 不假思索地打算要飛奔出去外面,被母親從腋下撈起阻止了。

「ただでさえ、熱を出しやすいのに、こんな嵐の中を外に出るなんて、何考えてるの!? 井戸に行くことさえできない状態なのよ!?」
「本來就、很容易發燒了說,還要在這種暴風雨中出去什麼的,妳在想什麼!? 都已經是連去水井都辦不到的狀態了喔!?」

 締めきっていても板戸に当たる雨と風の音が家の中によく響き、どれだけ激しい嵐かを物語っている。
 就算緊閉著門窗打在木板窗上雨與風的聲音也非常響亮,講述著這是多麼激烈的暴風雨。
 普通の人が井戸に行くことさえためらう時に、わたしが外に出られるわけがない。ガックリとその場に崩れるようにして座り込んだ。
 在就連普通人去水井都會猶豫的時候,我更是不可能出去外面。頹然地像是當場崩潰而坐了下去。

「わたしの『粘土板』が……あうぅ」
「我的『黏土板』……啊嗚」
「マイン、大丈夫だよ。今度はみんなが手伝ってくれるって言ったんだから、前よりずっと楽に速くできるよ」
「瑪茵,不要緊唷。因為這一次大家都說會幫忙了,會比以前還輕鬆快速的做完唷」

 トゥーリが落ち込むわたしの頭を撫で撫でしながら、慰めてくれる。ホントにトゥーリはいいお姉ちゃんだ。
 圖麗一邊不斷撫摸著失落的我的頭,一邊安慰著。真的圖麗是個好姐姐啊。

 珍しい大雨は二日続き、子供達が森へ出かけることを許可されるのはさらに二日後だった。
 罕見的大雨持續了兩天,小孩子們被允許出去到森林更是在兩天後了。

 よく晴れた朝、久し振りに森へ行けるということで、どの子ども達の顔も輝いて見える。
 晴朗的早晨,是久違地能夠前往森林,哪個小孩子們的臉上都看起來光彩耀人。
 今日は、見習いの仕事がない日なので、大きい子供達が多くて、いつもよりずっと人数が多い。ルッツの兄のラルフも一緒に森に行くようで、大きな籠を背負って、弓矢を持っていた。
 由於,今天是沒有實習工作的日子,大的小孩子們很多,比平常的人數還多得很。路茲的哥哥拉魯夫好像也會一起去森林,揹著大大的籃子,拿著弓箭。

「よぉ、マイン。熱下がったのか?」
「喲,瑪茵。退燒了嗎?」
「おはよう、ラルフ。もう大丈夫って、父さんが言った日から嵐になったの」
「早,拉魯夫。已經不要緊了,從爸爸說的那天起就變成暴風雨了」
「それは災難だったな」
「那還真是個災難呢」

 ぐしゃぐしゃとわたしの頭を撫で回して、ラルフはトゥーリのところへと向かった。
 亂七八糟地將我的頭摸來摸去,拉魯夫轉往了圖麗的所在。

「よぅ、トゥーリ」
「喲,圖麗」
「ラルフ、なんか久し振りだね」
「拉魯夫,總覺得好久不見了呢」

 仕事見習いを始めたせいか、顔つきがしっかりしてきたように見えるラルフ。そして、洗礼式に向けてわたしが磨きをかけているトゥーリの輝く笑顔。
 是開始工作實習的關係嗎,樣貌看起來好像穩健起來的拉魯夫。然後,面向洗禮式而磨練著我的圖麗的閃耀笑容。

 ちょっと奥さん、やっぱりこの二人、結構イイ感じだと思いません?
 等下太太,果然這兩個人,不覺得感覺相當好嗎?
 ラルフもトゥーリも面倒見がいいし、お似合いだと思うんだよね。
 無論是拉魯夫或圖麗都很照顧周到,我認為是很相配的呢。

 わたしが二人をニヨニヨしながら眺めていたら、ルッツに腕をぐっと引き寄せられた。
 我一邊癡癡傻笑兩人一邊凝望著,被路茲使勁地將手臂拉了過來。

「わっ!?」
「哇!?」
「マイン、ぼんやりするなよ。お前、遅いんだから一番先頭で出発だぞ?」
「瑪茵,別再發呆了唷。妳,因為很慢所以要在最前方出發的吧?」
「あ、ごめん」
「啊,抱歉」

 森に向かう子供達は集団で歩き、門を通り抜ける。緑が広がっているはずの景色には、嵐の爪痕が残り、農地がところどころひどい有様になっていた。
 向著森林的小孩子們集團地走著,通過了門。在翠綠應該擴展開來的景色裡,殘留著暴風雨的爪痕,農地到處都變成了嚴重的景況。

 そういえば、この世界、災害に対する補償はあるのかな?
 這麼說來,這個世界,是否有對災害的補償呢?

 ぼーっと風景を見ながら足を動かしていると、ルッツがパタパタとわたしの目の前で手を振った。
 一邊呆呆地看著風景一邊動著腳的時候,路茲輕輕揮拍地在我的眼前揮著手。

「え? 何?」
「哎? 什麼?」
「いや、ちゃんと見えてるのかなと思って。なぁ、マイン。今日も作るんだろ、あのネンドバン? あれ、何だ?」
「不,在想說有沒有好好地在看路。吶,瑪茵。今天也要做吧,那個年土坂? 那個,是什麼?」

 日本語で書いていなくても、ルッツは字が読めないから、何が書いてあるかわからない。それ以前に、家の中に文字や紙がない生活なのだ。粘土板という記録媒体の素晴らしさを知らないに違いない。
 因為就算不是用日文寫,路茲也看不懂字,寫了什麼也不知道。那個在以前,是在家裡面沒有文字與紙張的生活的。肯定不知道名為黏土板的記錄媒介的美妙之處。
 これはぜひ布教しなければ、と妙な使命感に駆られたわたしは、ルッツに語り始めた。
 這裡必定是要傳教的,被這奇怪的使命感驅使的我,開始對路茲談論。

「あれはね、忘れたくないことを書いておくものなの。きちんと書いておけば、忘れないでしょ? それをちゃんと保存しておけば、いつでも見られるでしょ?『記録媒体』はそのためにあって、あの『粘土板』は『記録媒体』の一つなの。粘土こねればできるし、書き間違っても、指で均せば文字が消せるし、焼けば保存もできるんだよ。すごいと思わない?」
「那個呢,是將不想忘記的事情寫起來的東西。整齊地寫下來的話,就不會忘了對吧? 將那個好好地保存起來的話,無論什麼時候都能看了不是嗎?『記錄媒介』就是為了那個而存在的,那個『黏土板』是『記錄媒介』的一種。捏黏土就能做成,就算寫錯了,也能用手指抹平擦掉文字,燒製的話就能做到保存了唷。你不認為很厲害嗎?」

 立て板に水の説明だったせいか、ルッツはぽかんと口を開けて、わずかに首を傾げた。
 是說明得太過流暢的關係嗎,路茲木然地張開了口,微微地歪頭不解。

「……よくわかんねぇ。で、マインは何を書いたんだ?」
「……不是很明白。但,瑪茵要寫什麼呢?」
「お話をね、書いたの。母さんが話してくれたお話。書いておけば忘れないでしょ? ホントは本が欲しいんだけど、ここにはないから。わたしが作るの」
「故事喔,要寫的。媽媽講述過的故事。寫起來就不會忘了不是嗎? 雖然說真的想要的是書本,因為這裡沒有。我就做啦」
「ふぅん。それがマインのやりたいことなのか?」
「嚄。那個是瑪茵想要做的事情嗎?」

 ルッツに問われて、はたと考えた。
 被路茲詢問,而突然思考著。
 今は周囲に一冊の本もないので、何とか本を作ろうと考えているが、本当にわたしがやりたいことは本を作ることではない。
 由於現在在周圍一本書也沒有,而考慮著設法製作書本,真正的我想做的事情並不是製作書本。

「うーん、ちょっと違うね。わたしが本当にやりたいのは、本に囲まれて暮らすことだから。一月に何冊も新しい本ができて、それを全部手に入れて、読みふけって暮らしたいんだよね」
「嗯,有點不一樣呢。因為我真正想做的是,過著被書本給包圍的生活。一個月完成幾本新書,將那些全部拿到手,想要過著沉溺閱讀的生活唷」
「えーと、つまり、本が欲しいのか……?」
「呃,也就是說,想要書本嗎……?」
「そう! 切実に、今すぐ欲しい。でも、高くて、全然買えないし、手が届かないから、自分で作るしかないでしょ? 紙も高くて買えないから、粘土板を作って、お話を書いて、焼いてみるつもりなの」
「沒錯! 迫切地,馬上就想要。但是,因為很貴、完全買不了、手搆不到,就只能自己製作了不是嗎? 因為紙張也很貴而買不了,打算製作黏土板、寫上故事、試著燒製的」

 そこで、あぁ、とルッツは納得したように手を打った。
 在那裡,啊,路茲像有所領悟似地敲著手。

「マインは今、本の代わりを作ってるんだな?」
「瑪茵現在,是在製作書本的代替嗎?」
「うん! この間は失敗しちゃったから、今度こそ絶対に成功させるんだ」
「對! 因為前幾天失敗了,所以這一次絕對要成功啊」
「あぁ、オレも協力する」
「啊,我也會協助的」

 何となく思いついて作ってあげた料理で、ここまで協力してくれるルッツには、わたしも協力してあげたくなる。
 總覺得對想起了我所製作的料理,而到此為止也想協助的路茲,我也變得想給予協助了。

「じゃあ、ルッツのやりたいことは? わたしに聞くくらいだから、ルッツもやりたいことがあるんでしょ?」
「那麼,路茲想做的事情是? 因為甚至都問了我,所以路茲也有想要做的事情對吧?」
「オレは……そうだな。別の街にも行ってみたい。旅商人や吟遊詩人は色んなところに行ってて、いろんな話を知ってるだろ? オレも色々見てみたい」
「我……也是呢。想要去到別的城市看看。旅行商人或吟遊詩人是去過各式各樣的地方,知道各種的話語對吧? 我也想要見識各種看看」
「いいね、それ」
「很好呢,那個」

 そういえば、わたしも色んな国の色んな図書館に行って、本を読みふけりたいと思っていた。
 這麼說來,我也想過去到各種國家的各種圖書館,想要沉溺於閱讀書本。
 もう叶うことがない夢を脳裏に描いて、そっと視線を伏せる。
 將已經無法實現的夢想在腦海裡描繪,悄悄地低下視線。

「……本当にそう思うか? この街を出たいってことだぞ?」
「……妳真的那麼想嗎? 是出去這座城市喔?」
「あ~、旅もいいよね。あっちこっち行くの、楽しそう。わたしね、『世界各国』の『図書館』巡るの、夢だったんだよ、ずっと……」
「啊~,旅行也很好呢。四處走走,好像很快樂。我呢,巡迴『世界各國』的『圖書館』,是夢想唷,一直都是……」
「ハァ、悩んだ自分がバカバカしくなる。……マインなら、絶対やりたいことやるんだろうな」
「哈,煩惱的自己顯得可笑至極。……如果是瑪茵,絕對是想做的事情就會去做呢」
「ルッツだってやればいいじゃない」
「路茲不也是去做就好嗎」

 麗乃だった頃の夢や、やりたかったことで、頭が埋め尽くされてされていたわたしは、この時ルッツがどんな表情をしていたか、全く見てはいなかった。
 被還是麗乃時代的夢想與、想做的事情,給掩埋了腦袋的我,這個時候的路茲做著什麼樣的表情呢,完全沒有看見。

 ようやく乾いた道を歩いて、森に向かう。
 終於走在乾燥的路面,朝向森林了。
 森に入ってすぐの少し開けた場所が集合場所だ。
 進入森林就近的稍微開拓過的地方就是集合場所。

「じゃあ、それぞれ採集してくるんだ。小さい子はあまり遠くに行くな。必ずこの集合場所が見えるところでいるように。いいな?」
「那麼,各自去採集吧。小的孩子別去得太遠了。必定要待在像是這個集合場所看到的地方。可以嗎?」

 大きい子供達はそう言うと、弓矢を持って、森の奥へと駆けていった。
 大的小孩子們那樣說後,拿著弓箭,跑進了森林的深處。
 小さい子供達はちらちらとわたしの方を見てくる。
 小的小孩子們隱隱約約地看向了我。
 森に到着するだけで、すでにへろへろのわたしだが、粘土板がどうなったかだけでも、すぐにでも調べたくて視線を巡らせた。
 雖說只是到達森林,就已經虛脫無力的我,即便只是黏土板變成了怎樣,即便馬上巡迴著想要調查的視線。

「ねぇ、誰か。『粘土板』がどこにあったかわかる?」
「喂,有誰。知道『黏土板』在哪裡嗎?」

 目印を付けてくれていた木が見つからない。もう何日も前のことなので、わたしが忘れてしまっただけかと思ったが、誰もが困ったようにきょろきょろと辺りを見回した。
 沒看到做了記號的樹木。由於已經是好幾天前的事情了,我想我只是忘記了,任誰都好像很傷腦筋的東張西望地環顧著四周。

「あの辺りの木に印を付けたんだよな?」
「那邊的樹木有加上印記嗎?」

 フェイの言葉に子分達が揃って頷く。フェイが指差した辺りはわたしも見当を付けていたところで、嵐で木が何本かなぎ倒されているところだった。
 黨羽們對斐的話語整齊地點頭。斐所指示的附近是我也在猜測的地方,是因暴風雨而有好幾棵樹木橫倒的地方。

「場所の見当はついてるから、とにかく探すしかないな」
「因為推測地點是靠運氣,總之就只能找了」

 ルッツが低木の陰を探し始めると、みんながわらわらと動き始めて、一緒に探してくれることになった。
 路茲開始尋找灌木的樹蔭時,大家四處散亂地開始行動,變成了一起在尋找。

 フェイ達だけじゃなくて、みんなが手伝ってくれるなんて……ちょっと、みんなイイ子すぎる。
 並不是只有斐他們,大家都在幫忙什麼的……有點,大家都太好孩子。

「なぁ、これじゃねぇか?」
「吶,是不是這個呢?」

 目印が折れていて探すことに苦労したが、フェイがしゃがみこんだままでブンブンと手を振った。
 辛苦於尋找已折損的記號,斐用蹲下的樣子搧來搧去地揮著手。
 わたしが精一杯の速さで駆けつけて覗きこむと、崩れて字が読めなくなっている土くれがあった。予想していた通り、ぐちゃぐちゃになっていて、刻んだ文字はもう見えない。粘土板が土くれに戻ってしまった。
 我用拚盡全力的速度跑過去望進去時,有著崩毀的字已變得無法閱讀的土壤。如同所預料的,變得糊糊爛爛,刻上的文字也看不見了。黏土板變回了土壤。

 あぁ、また振り出しに戻っちゃったな。
 啊,又回到原點了。

「こ、今回はオレが壊したわけじゃないからな!」
「這、這次並不是我弄壞的喔!」
「……うん」
「……嗯」

 フェイが慌てたように弁解するが、それくらいわざわざ言われなくてもわかる。周囲が気遣うように声をかけようか、どうしようか、とざわめいているのもわかる。気を使わせていることがわかるけれど、出てくる涙は止められない。
 斐驚慌似地辯解著,就算不用刻意那麼說也明白。周圍關心似地發出了聲音,該怎麼辦呢,的嘈雜聲也是明白的。雖然說明白是在擔心著,但湧出的淚水無法停止。

 わたしがうぅ~っと嗚咽を漏らしていると、足音が近付いてきた。すぐそばで足音が止まったかと思うと、ペチッと軽く頭を叩かれた。
 我流露著嗚地嗚咽時,腳步聲靠過來了。才想著腳步聲在附近停止了時,啪地輕輕地被敲了頭。

「マイン、泣いてる暇があるなら、もう一回作ろうぜ」
「瑪茵,如果有哭泣的空閒,那就再做一次吧」

 ルッツの声に意識がぐわっと浮上してくる。
 因路茲的聲音而意識猛然地浮現。
 そうだ、ルッツの言うとおりだ。せっかく協力してくれるフェイ達がいるうちにもう一回作り直した方がいい。
 是呀,就像路茲說的。難得要協助的斐他們在這裡再重新做一次就好了。
 ズビッと鼻水を拭って、わたしは顔を上げた。
 猛吸地擦拭鼻水,我抬起頭。

 負けるもんか!
 我才不會認輸的!

 第一の失敗原因がフェイ達の人災。
 第一個失敗原因是斐他們的人禍。
 第二の失敗原因が閉門までの時間。
 第二的失敗原因是直到關門的時間。
 第三の失敗原因は嵐。
 第三個失敗原因是暴風雨。
 もう人災も天災も経験した。これ以上の失敗原因なんてないだろう。何が何でも完成させるんだ。
 已經天災人禍都經歷過了。不會再有其他的失敗原因什麼的了吧。不管怎麼說都要完成。

 粘土自体は固まりになってその場にあったので、こねて、粘土板にすれば、書き始められるし、足りなくなってもどの辺りに粘土があったか覚えている。土を探すところから始めた前回と比べると、スタート地点で雲泥の差だ。
 由於黏土本身變成了塊狀在那個地方,揉捏它,做成黏土板的話,就能開始書寫了,就算變不夠了也還記得黏土在哪個附近。與開始從泥土找起的上次相比的話,開始的地點可是天差地別。

 大丈夫。まだ振り出しまでは戻ってない。
 不要緊。還沒回到原點。

 これまでの失敗で、晴れた日に一気に仕上げるか、屋根のあるところで作業しなければダメだと学習した。
 目前為止的失敗,是在晴朗的日子一口氣完成它嗎,學到了若不在有屋頂的地方作業是不行的。
 今日は天候にも恵まれているし、涙と怒りをフル活用したことで、罪悪感に訴えることに成功したのか、勢いにのまれたのか、力と元気があり余る助手が3人も増えている。
 今天也是受惠於天氣,力氣與精神很有餘裕的助手增加為3個人。
 これだけ手伝ってくれる人数が増えたら、きっとそれほど時間をかけずに、作れるだろう。
 增加了這些幫忙的人數的話,一定花不了那麼多時間的,能做到了吧。

「手伝いはルッツとフェイ達だけいればいいよ。トゥーリは採集してきて」
「幫忙的有路茲與斐他們就可以了唷。圖麗去採集吧」
「わかった。……頑張ってね、みんな」
「知道了。……加油吧,大家」
「うん!」
「好!」

 トゥーリの応援にわたしは気を取り直して、粘土板作りにもう一回挑戦する。
 我因圖麗的鼓舞而重振精神,再一次挑戰製作黏土板。
 フェイと子分その1に粘土を掘り出してもらって、ルッツと子分その2には粘土をこねて、成形までしてもらう。
 請斐與黨羽的其中一個挖出黏土,請路茲與黨羽的其中兩個揉捏黏土,直到成形為止。
 わたしがするのは細い木の先で文字を刻むだけだ。
 我所做的只有用細木枝的前端刻下文字。

 うんうん、イイ調子。
 很好很好,狀況不錯。

「お話を書くのに必要だった『粘土板』は10枚だったから、それだけ作ったら、採集に行って。ありがとね」
「因為要寫故事而必須的『黏土板』只要10片,做完那些的話,就去採集吧。謝謝了呢」
「お、おぉ」
「喔、喔」

 次々と成形された粘土板が並べられていき、手早く10枚の粘土版を完成させたフェイ達は先を争うように採集へ向かった。
 不斷地被成形的黏土板被排列起來,迅速地完成了10片黏土板的斐他們爭先恐後似地轉向去採集。
 それなのに、ルッツはまた粘土を掘り始める。
 儘管是那樣,路茲又開始挖掘黏土。

「ルッツは行かないの?」
「路茲不去嗎?」
「今日はラルフがいるから、俺はマインの手伝いをしてやるよ」
「因為今天有拉魯夫在,我就作為瑪茵的幫手唷」
「ふぅん。じゃあ、粘土はもういいから、これ、地面に書いて練習する?」
「嚄。那麼,因為黏土已經夠了,這個,要在地面練習書寫嗎?」

 わたしは雨に濡れたことで柔らかくなっている地面に、粘土板に字を刻んでいた木の棒を突き刺して、ここの文字で「ルッツ」と書いた。
 我在因雨淋濕而變得柔軟的地面,插進在黏土板上刻字的木棒,用這裡的文字寫上「路茲」。

「何だ、これ?」
「這是、什麼?」
「ルッツの名前。自分の名前くらい書けるようにならないと他の街には行けないでしょ?」
「路茲的名字。不會書寫自己的名字之類的是去不了其他城市的不是嗎?」

 この街の人間がこの街の門を出入りするのは、基本的に顔パスだが、他の街に入る時には名前を聞かれたり、書かされたりするらしい。元旅商人のオットーがそう言っていた。
 這座城市的人們要進出這個城市的門,基本上是靠臉的,要進入其他城市時似乎要就名字被聽過,不然就是被寫上。原旅行商人歐拓是那樣說的。
 実際、門の出入りもこの街の人間と他の街の人間では並ぶ列が違って、他の街の人間にはチェックが厳しい。
 事實上,門的進出對這個城市的人們與其他城市的人們所排列的隊伍是不一樣的,對其他城市的人們確認是很嚴格的。
 ルッツがいつか他の街に行きたいなら、自分の名前くらいは書けた方がいい。
 如果路茲某天想到其他城市去,會寫自己的名字之類的是最好的。

「なぁ、マイン。これが、オレの名前?」
「吶,瑪茵。這個是,我的名字嗎?」
「そう、色んなところに行きたいなら、ちゃんと字を練習しておいた方がいいよ」
「沒錯,如果想要去各種地方,事先好好地練習文字是最好的唷」

 ルッツが目を輝かせながら地面に名前の練習をしている間、わたしはせっせと粘土板を作り続けた。
 路茲一邊閃耀著眼神一邊在地面做著名字練習的期間,我一股勁地持續製做年土坂。
 この世界で初めて聞いたお話を、日本語で刻み続ける。絶対に本を完成させるんだ、と心の中で何度も唱えながら。
 將在這個世界第一次聽到的故事,用日文持續刻著。絕對要完成書本呀,地在心中唱誦著好幾次。

「できた!」
「做好了!」

 母から聞いた民話の一つが完成した。
 從母親那聽到的民間故事之一完成了。
 この調子で「母の民話集」を作りたい。わたしにとっては、この世界に来て初めて知ったお話の数々が詰まった本になる。
 想照這個狀態製作「母親的民間故事集」。對我來說,變成了塞進了數十個來到這個世界第一次知道的故事的書籍。

 出来上がった粘土板を持ってきたボロ布に包んで、崩れたり、文字が消えたりしないように、そっと籠の中に積み重ねていく。
 拿起做好的黏土板用破布包起,為了不會崩壞、文字不消失,而輕輕地在籃子裡推疊起來。
 全てを籠に入れ終わると、はふぅ、と大きく息を吐き出した。目が熱くなって、じわりと涙が浮かんでくる。
 將全部放進籃子裡結束後,哈呼、地大大吐出一口氣。眼睛變熱了,緩緩地眼淚浮現了出來。

 初めての完成だ。
 是初次完成啊。
 粘土板なんて、とても本と呼べるような物ではない記録媒体だけれど、わたしにとって誰が何と言おうと初めて手に入れた本だ。
 黏土板什麼的,雖然說不是很能稱呼為書本般的東西的記錄媒介,但對我來說不管是誰說了什麼都是初次得到的書本啊。

 この世界で生活するようになったのが、秋の終わりで、今が春の終わり。最初の本を手にするまで、ずいぶんと長い時間がかかった。
 變成在這個世界生活,是在秋天的結束,而現在是春天的結束。到拿到最初的書本為止,花費了相當長的時間。
 でも、本が作れると実感したことで、やっと地に足が付いたような気がする。
 但是,體會到了製作書本,而終於覺得像是腳踏實地了。

「この世界でも、本は読めるんだ。……だったら、大丈夫」
「即使是這個世界,也能讀書了。……這樣的話,就不要緊了」

 高価すぎて貧民には本が読めない世界で、何かしたらすぐに熱を出す病弱な身体への転生だったから、多少無茶しても、死んでしまっても、別によかった。
 在太昂貴而貧民無法讀書的世界裡,因為就只是轉生到了做什麼都會馬上發燒的體弱多病的身體,就算多少有點亂來、就算死過了,也真是太好了。
 こんな病弱な子供の体が自分の体と思えなかったし、本がない世界を自分が生きる世界だなんて考えられなかったし、愛着なんて欠片も持てなかった。
 從沒想過這麼樣體弱多病的小孩子的身體是自己的身體,也沒有將沒有書本的世界考慮為自己所生存的世界什麼的,不帶有留戀之類的碎片。

 けれど、本が一つ手に入ったことで、ここでも大事にしたいものができた。ちゃんとこの世界で生きていこうと思える、自分の生きる道を見つけた気がした。
 不過,因為得到了一本書,即使是這裡也能完成重要的想做的東西。我想可以好好地在這個世界活下去了,感覺發現了自己的生存之道。

「マイン、出来たの?」
「瑪茵,做好了嗎?」
「うん、出来た。トゥーリとルッツのおかげだよ」
「嗯,做好了。托圖麗跟路茲的福唷」

 トゥーリとルッツが向ける感情が、わたしじゃないマインに向けられたものだとしても、この本を作る上で助かったのは事実だ。
 圖麗與路茲所發出的感情,就算並非是我而是向瑪茵發出的東西,但在製作這本書上有所幫助也是事實。
 一番上の布を取り払って、トゥーリとルッツに出来上がった粘土板を見せる。
 拆下最上面的布,向圖麗與路茲展示做出來的黏土板。

「ねぇ、マイン。これ、何が書いてあるの?」
「喂,瑪茵。這個,寫著的是什麼呢?」
「これはね、星の子供達のお話だよ。最初の夜、母さんが話してくれたやつ」
「這個呢,是星光的小孩子們的故事唷。最初的夜晚,媽媽所說的東西」
「最初?」
「最初?」

 トゥーリが怪訝そうに眉を寄せる。
 圖麗詫異般地皺起了眉。

「そう。わたしが覚えてる最初のお話」
「沒錯。我所記得最初的故事」

 熱が高くて寝られなかったわたしに母さんが低い声で語ってくれた話だ。愛情のこもった声は自分だけれど、自分ではない存在に向けられたもの。言葉も感情もわたしを素通りしていくようで、受け入れられなくて、わたしの精神だけ切り離されて孤独感を深める愛情がこの上なく不愉快だった。
 是媽媽對燒太高而睡不著的我低聲訴說著的話。雖然說充滿愛情的聲音是對著自己,但對不是自己的存在發出的東西。話語與感情都像是通透過了我,沒有被接受,加深著只有我的精神被切離的孤獨感的愛情是無比地反感的。

 それなのに、ここで本を作ると決めた時に、本の内容がこれしか浮かばなかった。母の寝物語がわたしにとって大事な本になれば、寝物語にこもった愛情を受け入れられる気がした。
 儘管是那樣,決定在這裡製作書本的時候,書本的內容指浮現了這個。母親的睡前故事對我來說變成了重要的書本的話,感覺能接受充滿在睡前故事裡的愛情了。

「わたしね、母さんが話してくれたお話を忘れないように全部記録しておきたいの」
「我呢,為了不要忘記媽媽所說過的故事而想要全部記錄起來」
「でも、また消えちゃうんじゃない?」
「但是,不是又會消失了嗎?」

 不安そうなトゥーリに笑って答える。
 對不安似的圖麗笑著回答。

「このままだったら消えちゃうから、焼いて固めるの。そうしたら、いつでも母さんのお話が読めるでしょ?」
「因為就這樣的話是會消失的,所以要燒到固定。那樣的話,無論何時都能讀到媽媽的故事了不是嗎?」

 ここで生活を始めて、約半年。
 開始在這裡生活,約半年。
 やっと自然に笑えた気がした。
 感覺終於能自然地笑了。



 ……ここで綺麗に終われたら感動的だったが、終わらなかった。
 ……在這裡美麗地結束的話就會很感動的,不過沒結束。

 帰って早速粘土板を焼いてみたら、爆発した。
 回去趕快試著燒製黏土板的話,它爆炸了。
 いや、ホントに。
 不,是真的。
 何を言っているかわからないかもしれないが、嘘じゃない。
 不知道在說什麼也說不定,但並沒有說謊。

 竈で焼いたら、ボン! って。
 在爐灶上燒製的話,就砰! 地。
 わたしの作った初めての本は、土煙と土の破片になって飛び散った。
 我製作的最初的書本,變成煙塵與土的碎片飛濺開來。

 原因を究明する暇もなく、呆然としたまま、とりあえず、母にしこたま叱られて、二度と粘土板を作らないと約束させられた。
 沒有查明原因的空閒,就這麼呆愣著,總而言之,被母親多方責罵了,被迫承諾不再製作黏土板了。

 あれ? 完全に振り出しに戻っちゃった?
 奇怪? 完全回到原點了嗎?
 あ、いや、でも、一回完成して気分的に余裕ができたから、三歩進んで二歩下がった感じ?
 啊,不,但是,因為完成過一次在心情上是有餘裕的,所以是前進三步退後兩步的感覺?

 ……次、どうするよ?
 ……接下來,該怎麼辦呢?

======================================================================
 一瞬成功はしたように見えたけれど、粘土板爆発。
 雖然說看起來像是一瞬間的成功,但是黏土板爆炸了。
 ……うん。乾燥してなかったら、ダメだよね?
 ……嗯。沒有乾燥的話,是不行的呢?

 小学生の時に楽焼を作ったけれど、土をこね足りない、乾燥が足りない、粘土以外の不純物が混ざっているなどの理由で、素焼きの段階で割れていることが多々ありました。
 雖然在小學生的時候做過粗陶器,但由於土捏得不夠、乾燥的不足、混進了黏土以外的不純物質等理由,有很多在素燒的階段就破裂了。

 次はトゥーリの洗礼式です。
 下次是圖麗的洗禮式。
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