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第一部士兵的女兒 歐拓先生的幫手

作者:SPT草包│2016-11-30 16:59:56│贊助:2│人氣:230
本好きの下剋上~司書になるためには手段を選んでいられません~
以下犯上的書癡~為了成為圖書管理員而不擇手段~
作者:香月美夜
第一部兵士の娘 オットーさんのお手伝い
第一部士兵的女兒 歐拓先生的幫手
原文連結

 どうやら、この街では冬の晴れの日はパルゥ拾いに行く日と決まっているらしい。前回は仕事の休みと重なっていたので、父とトゥーリがパルゥ拾いに行ったが、今日は父が仕事の日だ。
 看來,在這座城市的冬季晴朗日似乎早已決定是去撿拾葩乳之日。由於上次是與工作休息重疊,而由父親與圖麗去撿拾葩乳,今天是父親工作的日子啊。
 さすがに今回はパルゥを諦めるのかと思っていたら、母がコートに手をかけた。
 正想著到底這次是該放棄葩乳了嗎的時候,母親將手放到外套上。

「今日はわたしがトゥーリと行くわ」
「今天是我跟圖麗去喔」

 パルゥは冬の貴重な食料で、わたしにとっては、とろっとしたココナッツミルクとオリーブオイルとちょっと甘みのあるオカラが取れる実だ。
 由於葩乳是冬天的寶貴食物,但對我來說,是作為濃稠的椰奶與椰子油與有甜味的豆渣而被取得的果實。
 油を取った後の搾りかすが、オカラ代わりに使えるとわかってからは、ちょっとだけメニューが増えた。おかげで母が今まで以上にやる気らしい。
 因為知道取油之後的果渣,能使用來代替豆渣,菜單些許的增加了。托此之福母親似乎比至今以來更有幹勁了。

 そうそう、この間ルッツの家で作ったオカラホットケーキは、わたしにとって久し振りのお菓子だった。ルッツの家は鶏を飼っていて、卵が絶対にあるし、卵と交換しているので牛乳も常備されているらしい。羨ましい。
 對了對了,這陣子在路茲家做的豆渣熱蛋糕,對我來說是好久不見了點心。路茲的家飼養著雞,絕對會有雞蛋,由於跟雞蛋交換而牛奶似乎也是常備著。令人羨慕。
 ルッツの家は材料がウチよりは豊富だし、男の子がいっぱいで労働力も多いし、とても料理しやすい環境だった。
 路茲家材料比我家還豐富,因為滿是男孩子勞動力也很多,烹飪非常容易的環境啊。
 オカラホットケーキ、あ、パルゥケーキって名前にしたんだっけ? パルゥケーキも感激してもらえたし、パルゥ油と卵黄と塩で作らせたマヨネーズも、マヨネーズと塩で味付けしたポテトサラダもどきも好評だった。
 豆渣熱蛋糕,啊,還是該稱作葩乳蛋糕這個名字? 葩乳蛋糕也很讓人感激,用葩乳油與蛋黃與鹽製作的美乃滋與、用美乃滋與鹽調味的仿製馬鈴薯沙拉都備受好評啊。

 ……どうせ転生するなら、ルッツの家の子が良かったかも。
 ……反正轉生的話,作為路茲家的小孩也許很好。

 使い道が結構あるので、パルゥはウチでもできるだけ欲しい。なので、外出に関してはかなり役立たずのわたしとしては応援だけでも精一杯したい。
 由於相當有用處,葩乳在我家也是盡可能地想要。因此,作為關於外出相當廢物的我即便只是加油也想要竭盡全力。

 頑張れ、頑張れ、トゥーリ! 負けるな、負けるな、母さん!
 加油、加油,圖麗! 別輸了、別輸了,媽媽!

 しかし、母とトゥーリが森へ行くとなると、家族が困るのがわたしの扱いだ。なにしろ、体力がなくて、病弱で、役立たず。冬の森になんて連れてはいけない。おまけに、一人にしておくと何をしでかすかわからないそうで、留守番を任せることもできやしないらしい。
 但是,變成母親與圖麗去森林時,家人困擾的是我的處置啊。畢竟,沒有體力、又體弱多病,是個廢物。冬天的森林什麼的是不可能帶去的。再加上,不知道放任一個人在又會惹出什麼來那樣,似乎也不能委任當看家者。

 ちょっとひどくない?
 不覺有點殘酷嗎?

 朝食を食べながら、うーんと考え込んでいた父が、仕事に出かける準備をしながらポンと手を打った。
 一邊吃著早餐,一邊嗯地深入思考的父親,一邊準備外出工作一邊砰地敲著手。

「……そうだ! マイン、父さんと門で待つか?」
「……對了呀! 瑪茵,要跟爸爸在門等待嗎?」

 父がわたしを連れて門に行く。母とトゥーリはパルゥを採りに森に行く。そして、帰りにわたしを門で引きとって帰る。そうすれば、二人は心配なく森へ行けるし、わたしが一人で留守番することもない。
 父親帶我到門去。母親與圖麗是為採摘葩乳去森林。然後,回去時在門將我領出來回去。那樣的話,兩個人既可不用擔心地往森林去,我也不用一個人當看家者了。

「それ、いいわね。そうしましょう! じゃあ、マインは父さんに任せて行くわよ、トゥーリ」
「那樣,很好呢。就那麼辦吧! 那麼,瑪茵就託給爸爸去了唷,圖麗」
「うん! じゃあ、後で迎えに行くからね、マイン」
「好! 那麼,稍後會去迎接的呢,瑪茵」

 母が名案だと父をべた褒めしながら、あっという間に必要な物を準備し、トゥーリを連れて出かけてしまった。
 母親一邊全面稱讚父親的好主意,一邊在轉眼間準備好必要之物,帶著圖麗出去了。
 パルゥの採集はお昼くらいまでしか採れないから、なるべく早く行かないとダメなんだって。
 因為葩乳的採摘好像只能採摘到中午,不盡量早點去是不行的。
 多分、あっという間に採り尽くされるってことだと思う。あんなにおいしくてお役立ちの実なんだから。
 我想大概,在轉眼間就被採摘完了了吧。因為是那麼樣美味又有用的果實呢。

「じゃあ、門まで行くか?」
「那個,去到門為止吧?」

 門で留守番かぁ。
 在門當看家者嗎。
 まぁ、家でいるよりは気分転換になるかもね。オットーさんがいたら新しい文字も教えてもらえそうだし……。
 也好,比起在家裡或許也能轉換氣氛呢。歐拓先生在的話好像也能請教新的文字呢……。

 はっきり言って、わたしだって、家にいるのに飽きてきた。パピルスもどきを作るのに失敗したわたしが家でできるのは、石板で遊ぶか、籠を作るかどちらかだけだ。まさか、本がないだけでこれだけ時間をもてあますとは思わなかった。
 明白的說,我已經,厭倦在家了。製作仿造紙莎草失敗的我能待在家,只有用石板遊玩,或製作籃子二擇一了。難道,從沒想過只是沒有書本就應付不了這些時間了。

 ちなみに、最近、わたしの頭の中でよく流れる歌は「春よ来い」と「ラジオ体操」だ。早く春になってくれないと粘土板を作りに外へ出かけることもできない。
 順帶一提,最近,在我腦中經常流出的歌是「春天唷來吧」與「廣播體操」喔。春天不早點來的話就沒辦法出去外面製作黏土板了。

 そして、外に出られるように体力づくりのために毎日ラジオ体操を始めた。家族にはちょっと変な目で見られるけれど、体力増加のためにできることからコツコツとするのが大事だと思う。
 然後,為了能夠出去外面的體能訓練開始了每天的廣播體操。雖然說被家人用有點奇怪的眼神看著,但因為是為了增加體力而做的事情我認為按部就班地做是很重要的。
 本当のことを言ってしまうと、日本でもあまり健康には気を配っていなかったので、何から始めればいいのかわからない。
 說句老實話,由於在日本也不太注重健康,該從什麼開始才好我也不知道。

「そうだ、父さん。今日って、オットーさんいる?」
「對了,爸爸。今天,歐拓先生在嗎?」
「あぁ、いたはずだが?」
「啊,應該是在的?」
「やったぁ!」
「太好了!」

 門で留守番をする楽しみができた。わたしもいそいそと準備する。お出かけの必需品は石板だ。服を着こんでコートを羽織って、冬の間に自分で編んだトートバッグに石板を入れたら、わたしのお出かけ準備は終了だ。
 能夠享受在門當看家者。我高高興興地準備著。外出的必需品是石板。穿上衣服披上外套,將石板放進在冬季期間自己編織的手提包的話,我的外出準備就結束了。

「父さん、行くよー!」
「爸爸,出發了唷!」
「……マイン、お前、そんなにオットーが好きなのか?」
「……瑪茵,妳,那麼喜歡歐拓嗎?」
「うん、大好き」
「嗯,最喜歡了」

 だいたい、石板をくれて、文字を教えてくれる先生(勝手に決定)をわたしが好きにならないはずがないでしょ?
 大致上,我應該不可能不喜歡給了石板、教授文字的老師(擅自決定)的吧?
 ぶっちゃけ、父より好きですよ? 本当にぶっちゃけたら、人間関係にひびが入るので、お口にチャックですけどね。
 坦白說,比父親還喜歡喔? 真要坦白說的話,若人際關係產生裂痕,還是閉緊嘴巴好呢。

「寒っ!」
「好冷!」

 外に出ると、空気自体がものすごく冷たくて、ほんのちょっとの風が当たっただけで、肌が切れそうなほど痛い。
 出到外面時,空氣本身非常地冰冷,只是碰上一點點的風,就好像割裂肌膚般的疼痛。
 基本的無精者のわたしが、今日、パルゥの油が採れたら、保湿クリームっぽいものを作らなければ、と考えるくらい顔がピリピリする。
 基本上是個懶惰軌的我,今天,像是在思考若不拿點葩乳的油、製作像是保濕霜類的東西的話,的臉火辣刺痛著。

 しかも、雪が深くて歩けない。歩き方にコツがあるのかもしれないが、もともと雪国育ちではないわたしは、雪の上での歩き方を知らない。
 而且,雪很深無法行走。搞不好有走路方法的訣竅呢,原本就不是生長在雪國的我,不知道在雪上行走的方法。
 たった二歩、足を動かしたところで、子供の短い足が埋まって動けなくなってしまった。次にどうしていいのかわからない。
 只有兩步,在動著腳的地方,小孩子的短腳就埋住而無法動彈了。接下來該怎麼辦我不知道。

「父さーん! どうやったら歩けるの?」
「爸爸! 該怎麼做才能走呢?」
「……もういい。マインは倒れないように気をつけろ」
「……夠了。瑪茵注意別跌倒了」

 足が埋もれたまま、ビシッと両腕を伸ばしてバランスを取っていると、先を歩いていた父が呆れた顔で戻ってきた。
 因雙腳被埋住,而直直地伸直雙手在取得平衡時,走到前方的父親用驚愕的臉回來了。
 父がわたしのトートバッグを自分の手首に引っかけて、わたしの脇に手を入れる。そのままグーンと高い位置まで持ちあげられ、父の肩に座らされた。
 父親將我的手提包掛到自己的手腕上,將手放入我的腋下。就那樣一口氣地被舉到了很高位置,坐到了父親的肩膀上。

「高い。すごーい」
「好高。好厲害」

 ラルフに背負われた時よりずっと視界が高い。それでも、あまり恐怖を感じないのは、兵士なんて仕事をしている父の肩が広くてごつくて、安心感と安定感があるからだろうか。記憶にある営業系サラリーマンだった麗乃の父とは全く違う。
 比被拉魯夫背著的時候還要高的視野。盡管如此,卻不覺得太過恐怖,是因為做著士兵之類工作的父親的肩膀寬大又強健,有著安心感與安定感吧。與記憶中是營業系上班族的麗乃父親完全不一樣。

「自分の力でちゃんとつかまっていろよ?」
「用自己的力量好好抓緊喔?」
「はーい」
「好」

 肩車なんて久し振りすぎて、ちょっとドキドキする。父の頭にしがみつくと父が雪の上を歩き始めた。雪かきがあまりされていない細い路地は、人の足跡をなぞるように一歩一歩慎重に歩き、大通りに出ると普通に歩き始めた。
 騎肩膀什麼的隔太久了,有點忐忑不安。緊緊抓著父親的頭時父親開始走在雪上。不怎麼被鏟雪的小巷道,像是描摹人的腳印般一步一步慎重地走著,出到大街時開始普通地走著。

「マイン、オットーはもう結婚しているからな?」
「瑪茵,歐拓可是已經結婚了呢?」

 無言で歩いていた父がいきなり口を開いたかと思えば、言った言葉がこれだった。
 想說無言走著的父親突然開口了嗎,所說的話卻是這個。

 え? わたし、オットーさんの嫁になりたいなんて言ったっけ? 別に父さんの嫁になりたいなんてことも言ったことはないけどさ。
 咦? 我,說過想成為歐拓先生的新娘嗎? 雖然並不會去說想成為爸爸的新娘什麼的。

「えーと……だから、何?」
「呃……所以說,什麼意思?」
「あいつは嫁のことしか頭にない男だからな?」
「那傢伙可是腦袋只有老婆的男人啊?」

 5歳の娘に対して一体何の牽制だ、このバカ親!……って、父の頭をチョップしながらツッコミいれていいですか?
 對5歲的女兒到底要牽制什麼啊,這個笨蛋爸爸!……這樣,可以一邊劈父親的頭手刀一邊吐槽嗎?

「それがどうしたの?」
「那又怎麼了嗎?」
「……」
「……」

 あぁ、もう! ここで無言!? 面倒くさい!
 啊,夠了! 這樣就無言了!? 好麻煩!
 ここは、あえて空気読まない。こんな面倒な父に「父さんの方が素敵」とか「父さんの方が好き」なんて、絶対に言ってやるもんか。
 這裡,就勇於無視氣氛了。對這麼麻煩的父親說「爸爸比較帥」或「比較喜歡爸爸」什麼的,才絕對不會說呢。

「つまり、オットーさんは自分の嫁を大事にする一途な男で、素敵だよね、ってこと?」
「也就是說,歐拓先生是重視自己的老婆且專一的男人,非常帥氣呢,這樣嗎?」
「……違う」
「……不是」

 父は完全に拗ねてしまったようで、その後、ずっと無言で歩いていく。実に面倒な父に肩車してもらったまま、わたしは門へと着いた。
 父親好像完全鬧起彆扭來了,那之後,一直無言地走著。事實上就這麼被麻煩父親扛在肩上,我到達門了。

「おはようございます」
「早安」

 門のところで立っていた兵士に何となく癖で頭を下げた。一瞬、妙なものを見る目で見られて、そういえば、ここでは挨拶の時に頭を下げる習慣はなかったなぁと思い出す。
 對站在門的地方的士兵不由得習慣性的低下頭。一瞬間,用看到奇怪東西的眼神被看著,這麼說來,回想起這裡在打招呼時是沒有低下頭的習慣的。
 それとも、父の肩の上で挨拶をしたから妙な顔をされたのだろうか。
 還是說,因為是在父親的肩膀上打招呼而被給了奇怪的表情嗎。

「リヒト、娘のマインだ。パルゥを採り終わったら、妻が連れて帰るから、昼過ぎまで宿直室に置いておく」
「里希特,我女兒瑪茵。採摘葩乳結束的話,我老婆就會帶回去了,所以先放到值班室裡到午後」
「了解しました」
「了解了」
「マインは宿直室だ。オットーもいるし、そこでいいな?」
「瑪茵在值班室。歐拓也在,在那裡可以嗎?」

 うわぁ、何か声が尖ってる気がする。あれ? もしかして、オットーさんにおとなげないレベルでヤキモチ焼いてる? 人間関係こじれた?
 嗚哇,聲音怎麼這麼不高興。奇怪? 莫非,是用孩子氣的等級忌妒著歐拓先生? 人際關係變糟了?

「わたしね、オットーさんに新しい文字を教えてもらうの、楽しみなだけだよ」
「我呢,只是請歐拓先生教導新的文字,很快樂唷」
「……オットーじゃなくてもいいだろうに」
「……就算不是歐拓也是可以的吧」

 ごめん、オットーさん。フォローしたつもりなのに、さらに面倒なことになったみたい。
 抱歉,歐拓先生。沒打算補刀的說,但好像變成更加麻煩的事情了。

 もともと新しい文字を教えてもらえることに浮かれていただけなのに、父の思考がどこをさまよっているかわからない。
 明明原本只是對請教新的文字而興高采烈著,但父親的思緒飄盪到了何處我不知道。

「入るぞ」
「進入囉」

 父が軽くノックして宿直室の扉を開ける。
 父親輕輕地敲著打開了值班室的門扇。
 宿直室は赤々と暖炉で火が燃えていて、机の上にはランプがあって、ウチよりずっと明るい。暖炉に比較的近いところに机があって、そこでオットーさんが書類仕事をしていた。
 值班室有火焰在火紅的壁爐裡燃燒著,在桌子上有著油燈,比我家還明亮。相對靠近壁爐的地方有張桌子,在那裡歐拓先生正做著文書工作。

「オットー」
「歐拓」
「班長……とマインちゃん? どうしたんですか?」
「班長……與小瑪茵? 是怎麼了嗎?」
「パルゥ採りの間、ここで待っていることになった。お前、面倒見ておけよ」
「變成採摘葩乳的期間,要待在這裡了。麻煩你,照料了喔」

 簡潔に、というか、横暴な感じでそう言って、父はわたしを肩から下ろす。
 簡潔地、或者說,以蠻橫的感覺那麼說著,父親把我從肩膀上放下。
 突然の子守り仕事追加に、当然だが、オットーは目を見開いて困り果てたように書類と父の顔を交互に見た。
 對突然追加了照顧小孩的工作,當然了,歐拓張大了眼睛像是束手無策般交互看著文件與父親的臉。

「へ? いや、でも、俺……会計報告と予算の……」
「咦? 不,但是,我……會計報告跟預算的……」
「マイン、ここは温かいからな。風邪を引かないように気を付けるんだ」
「瑪茵,因為這裡很溫暖呢。要注意點別罹患了感冒」
「はぁい」
「好的」

 全くオットーの言葉を聞く気がないように出ていく父を、わたしは手を振って見送り、オットーに向き直った。
 像是完全沒聽到歐拓的話而出去的父親,我揮著手送別,轉過身來對著歐拓。

「ごめんね、オットーさん」
「抱歉呢,歐拓先生」
「へ?」
「咦?」
「わたしね、石板もらって嬉しくて、今日もオットーさんに会えると思ったら、もっと嬉しくなって」
「我呢,得到石板而很高興,想到今天也能見到歐拓先生的話,變得更高興了」
「それはよかった。俺もマインちゃんに会えて嬉しいけど……」
「那太好了。雖然我見到小瑪茵也很高興……」

 少しだけ照れくさそうに笑った後、「謝ることじゃないよな?」と不可解そうな表情になった。
 像是些許難為情般地笑了之後,變成了「並不需要道謝呢?」那樣無法理解的表情。

「実は、オットーさんを褒めたら、父さんが拗ねちゃって……」
「其實是,稱讚歐拓先生的話,爸爸就鬧彆扭了……」
「……あちゃぁ~……」
「……哎呀……」
「母さんが迎えに来るまでおとなしくしてるから、新しい字を教えて?」
「因為直到媽媽來迎接我為止都要乖乖的,所以教我新的文字?」

 机の上に羊皮紙とインクが出ているのを見れば、書類仕事中だったことがわかる。仕事の邪魔をする気はないけれど、新しい文字を教えてもらえそうな機会を逃すつもりもない。
 看到在桌子上擺出來的羊皮紙與墨水的話,就能知道是在文書工作中。雖然說不會去打擾工作,但也沒打算讓請教新文字那樣的機會溜掉。

「まぁ、いいか。マインちゃんなら、おとなしく練習するだろうし……」
「算了,也好。若是小瑪茵,肯定會乖乖練習的……」

 さっと石板を取り出すと、オットーさんはそう呟きながら、カツカツと文字を書いてくれた。石板をもらった時に、何時間も石板で一人遊びができた子なので、変な意味で信用があるようだ。
 迅速地拿出石板時,歐拓先生一邊如此嘀咕著,一邊嘎滋嘎滋地書寫上文字。由於在拿到石板時,是能夠用石板一個人玩上好幾個小時的孩子,似乎在奇怪的意義上有著信用。

「マインちゃん。熱出したら、班長が今以上に不機嫌になりそうだから、ここに座りな」
「小瑪茵,發燒的話,班長似乎會變得比以往還要不愉快,坐到這裡吧」

 オットーは苦笑しながら、机の上のものを少しずつずらして、暖炉の前の席を譲ってくれる。
 歐拓一邊苦笑著,一邊慢慢地挪動桌上的東西,讓出了壁爐前的座位。
 その意見には全面的に賛成なので、わたしは余計な遠慮をせずに暖炉前の席へ座った。
 由於全面贊成那個意見,我毫不客氣地坐到了壁爐前的位子上。

「ありがとう。これで練習できるね」
「謝謝你。這樣就能練習了呢」

 ここで使われている文字はアルファベットのようなものだろう。平仮名のように表音文字ではなく、漢字のように表意文字でもない。綴りで発音も意味も変わる感じの文字だ。
 在這裡被使用著的文字是如同羅馬字母的東西吧。沒有像是平假名的表音文字,也沒有像是漢字的表意文字。依拼寫發音與意義都會改變的感覺的文字。

 しばらくはカツカツという石筆が動く音とシュルシュルというペン先が羊皮紙を走る音だけが響いていた。
 暫時只有所謂嘎滋嘎滋的石筆動作聲與所謂啾嚕啾嚕的筆尖遊走在羊皮紙的聲音響著。

 ある程度書かれた文字を覚えたわたしが顔を上げると、オットーは羊皮紙に向き合って、真剣な眼差しで計算していた。
 記住書寫到某個程度的文字的我抬起頭時,歐拓面向著羊皮紙,以認真的眼神計算著。
 オットーの傍らには一応そろばんのような計算用の道具があるけれど、それをどう使うのかはよくわからない。
 雖然說在歐拓的旁邊姑且有個像是算盤的計算用工具,但該怎麼使用那個呢我不是很明白。
 わたしはそろばん自体、小学校の授業で足し算引き算の練習しかしてないので、たとえ、使い方がそろばんと同じでも使えないと思うけれど。
 由於我對算盤本身,只有在國小上課的加法減法的練習而已,雖然說我認為,就算使用方法與算盤一樣我也用不了。

 計算が一度区切りのついたところを見計らって声をかける。
 看準計算告了一個段落的地方發出聲音。

「オットーさん、これ何?」
「歐拓先生,這是什麼?」
「会計報告と予算の作成だよ。冬の間に一年間の予算を組んで、春までに提出しなければならないんだけど、兵士って計算苦手な人が多くてね。一番金勘定が得意な俺が会計報告と予算表を作成することになってるんだ」
「會計報告與預算的編制喔。在冬季期間列好一整年的預算,然後必須要在春天之前提出來,但士兵裡不擅長計算的人很多呢。就變成了金錢算帳最得意的我來編製會計報告與預算表了」
「面倒なこと押しつけられてるんだね」
「被強加了麻煩的工作呢」

 羊皮紙を見てみると、読めないけれど、文字が並んだ項目の横に数字が3つ並んでいる。単価と個数と合計だろう。前の2つが掛け算で計算されているから、多分。
 看著羊皮紙時,雖然不會唸,但在文字並列的項目旁邊並列著3個數字。是單價與個數與總計吧。因為前面2個用乘法被計算著,所以大概是。
 備品の申請かな? と思いながら見ていると、計算間違いを発見した。
 會是常備品的申請嗎? 一邊想著一邊看著時,發現了計算錯誤。

「オットーさん、これ、間違えてない?」
「歐拓先生,這個,沒搞錯嗎?」
「え?」
「哎?」
「ここね、75と30でしょ? だったら、2250と思うんだけど?……あ、こっちも違うね」
「這裡呢,是75跟30對吧? 這樣的話,我覺得應該是2250?……啊,這裡也錯了呢」

 数字は読めるが、掛け算の式をここで何と言うか知らないので、非常に遠まわしな言い方になってしまった。
 由於會念數字,但卻不知道在這裡乘法算式要怎麼說,所以變成了非常委婉的說辭。

「え? 字が読めないんじゃないのか? なんで計算が?」
「哎? 不是不會唸字嗎? 怎會計算呢?」
「うふふ、数字は市場で母さんが教えてくれたの。だから、こっちの数字を見て、計算はできるけど、この辺りは全然読めない」
「呵呵,數字是在市場媽媽告訴我的。所以,雖然可以看懂這邊的數字,做到計算,但是這一帶完全不會唸」

 項目が書かれた文字が読めないと言うと、オットーが何やら考え込んでしまった。「いや、でも」なんて小さな呟きが零れている。
 說著不會唸被寫成文字的項目時,歐拓正在沉思著些什麼。「不,但是」之類的小小嘀咕洩露出來。

「……マインちゃん、恥を忍んで頼む。手伝ってくれないか?」
「……小瑪茵,我低聲下氣拜託妳。能不能來幫忙呢?」

 これは引き受けてもいいものなんだろうか?
 這算是承攬下來也可以的東西嗎?
 部外秘とか機密漏洩とか以前に、こんな子供に手伝わせるって、相当やばくない?
 在對外保密或者機密洩漏以前,讓這樣的小孩子幫忙,不是相當危險嗎?
 むしろ、こんな子供でも計算能力があるなら手伝ってもらわなきゃいけないほど切羽詰まってる?
 不如說是,如果連這樣的小孩子也有計算能力而必須要懇請幫忙般的迫不得已?

 オットーが「恥を忍んで」と言っている以上、子供に手伝いを頼むのはやっぱり普通ではないのだろう。オットーが敢えて頼んでくるのだから、できれば、引き受けてあげたいとは思う。
 既然歐拓都說是「低聲下氣」了,拜託小孩子幫忙果然並不普通吧。因為是歐拓無奈地拜託了,我認為可以的話,我想承包下來。

 それに、わたしにはどうしても欲しい物がある。せっかくなので、交換条件を付けて引き受けることにした。
 而且,對我來說也有無論如何都想要的東西。由於很難得,我決定附上加換條件來承包。

「わかった。石筆の補充と文字の先生で手を打つよ」
「知道了。不過要用石筆的補充與文字的老師來協商唷」
「は?」
「啥?」

 いきなり幼女に条件を突きつけられるとは思わなかったのだろう。オットーが目を丸くしている。予想通りの反応に、小さく笑いながら、わたしの現状を説明した。
 是沒想過會突然被小女孩提出了條件吧。歐拓嚇傻了眼。對如我所料的反應,一邊小小的笑了,一邊說明我的現狀。

「さっきも言ったけど、母さんが教えてくれたから、数字はわかるの。でも、文字はわからないから、オットーさんに先生になってもらいたい」
「雖然剛才也說了,因為媽媽有教過,所以知道數字。但是,因為不知道文字,所以想請歐拓先生當老師」
「それは別にいいけど……石筆って? 石筆は別に高いものじゃないだろう?」
「雖然那樣也可以……但石筆? 石筆並不是特別高價的東西吧?」

 オットーの言うとおり、石筆は市場の雑貨屋でも売っている。実際、母に買ってもらったことはある。だから、買おうと思えば簡単に買えるものだ。
 就如歐拓所言,石筆在市場的雜貨店有賣。事實上,有請母親買過。所以,是想買就能簡單買到的東西。
 けれど、わたしが手に入れるのは難しい。
 但是呢,我要得到是很難的。

「前は買ってくれたんだけど、母さんに言ってもなかなか石筆を買ってくれなくなってきちゃって……」
「之前雖然會買,但就算跟媽媽說也變得不太容易買給我了……」
「なんで?」
「為什麼?」
「多分、わたしが石板でずっと遊んでいるせいだと思う。買ってもらってもすぐになくなっちゃうから……」
「我想大概,應該是我一直用石板在玩吧。因為就算買給我也會馬上就沒了……」
「あははははは……」
「啊哈哈哈哈哈……」

 一日に何時間も遊んでいれば、石筆なんてすぐに小さくなってしまう。お小遣いなんてもらえないわたしにとって、石筆の補充先は死活問題と言ってもいい。
 一天玩上好幾個小時的話,石筆什麼的馬上就變小了。對不會有什麼零用錢的我來說,石筆補充的當頭說是生死問題也對。

「と、とにかく! 何のご褒美も無しに働くほど、わたし、安い女じゃないんです」
「總、總而言之! 沒有任何獎勵的勞動,我、可不是那麼廉價的女孩」
「……かなり安いと思うけど」
「……雖然我認為相當便宜」

 苦笑しながらオットーが正式にわたしの先生になってくれることになった。
 變成了一邊苦笑歐拓一邊正式成為了我的老師。
 書類は備品の申請で間違っていなかったようで、別の人が作った書類の確認作業中だったらしい。
 文件好像是常備品的申請沒錯,似乎對其他人所作的文件做著確認工作。

「わたし、何したらいい?」
「我、要做什麼才好?」
「ここの計算があってるかどうか確認してもらっていい? とにかく、計算間違いがどこに潜んでいるかわからなくて、確認に時間がかかって仕方ないんだ」
「請確認這裡的計算是否洽當可以嗎? 反正,我也不知道計算錯誤是隱藏在哪,要花時間在確認上也是沒辦法的」

 当たり前だが、ここにはパソコンなんてないんだから、ちょっとした書類作成にも時間がかかるのに、全ての計算確認まで一人でしなければならないというのは、人材不足にも程がある。
 理所當然的,因為在這裡沒有什麼個人電腦,明明做一點文件編制也要花上時間的,但就連全部的計算確認都只靠一個人是說,人才不足也要有限度啊。

「もうちょっと計算できる兵士がいるね」
「想要再多點會計算的士兵呢」
「……それはそうだけど、俺はこれができるから拾ってもらえたって理由もあるからなぁ……」
「……雖然是那樣說,但因為我能做到那些可是也有撿來做的理由呢……」

 どうやらオットーさんが兵士になったのは、何やら事情があるらしい。情報や知識に飢えているわたしとしては、詳しいことを聞いてみたくてうずうずする。
 看來歐拓先生會成為士兵,似乎有什麼內情呢。作為飢渴於情報與知識的我,想聽看看詳細情形而坐立不安。
 けれど、確認作業が膨大な量なので、ぐっと我慢して、無駄話は次回にすることにした。
 但是,由於確認工作是很龐大的量,使勁地忍耐著,決定閒聊是下回的事。

「マインちゃん、計算機使う?」
「小瑪茵,要使用計算機嗎?」
「ううん、使い方わからないからいい。わたしには石板があるし」
「不了,因為不知道使用方法不用。我還有石板」

 書いては消せる石板は計算用紙代わりに使うにはとても都合がいい。石板を使って、筆算で計算の手伝いをしていく。
 使用能寫能擦的石板代替計算用紙可是非常方便的。使用石板,用筆算能做到計算的幫忙。
 数字に関しては完全に頭に入っているようで、わたしが9という数字を思い浮かべると、ちゃんとここの数字が書けるようになっている。
 關於數字就像完全進入了腦袋,我回想起9這個數字時,就變得好像能好好地書寫這裡的數字。

「すげぇ、楽。感動した。マジで助かった。まさかこんなに早く確認作業が終わるとは思わなかった。これだけ計算できるんだから、マインちゃんは商人に向いてるかもしれないなぁ。商人になるなら、商業ギルドに紹介できるよ?」
「好強、好輕鬆。好感動。真的幫大忙了。沒想到怎麼會這個早就完成了確認工作。因為能做到這些計算,小瑪茵說不定很適合商人呢。如果成為商人,我能介紹給商業公會喔?」

 ここ数年、会計報告も予算編成も一人でしなければならなかった仕事だったらしく、計算確認しただけなのに、オットーに途轍もなく感謝された。
 這幾年,似乎會計報告與預算編列都必須一個人做的工作,而我明明只是做計算確認,卻被歐拓毫無道理的感謝了。
 本が大量に作れるようになったら、本屋になるために商業ギルドに紹介してもらうのもいいかもしれない。思わぬところでコネを手に入れた。
 變得能大量製作書本的話,為了變成書店搞不好介紹給商業公會也可以。在意想不到的地方獲得了門路。
 それと同時に、わたしはオットーの貴重な助手として認識してもらえたようだ。
 與那個同時,我好像作為歐拓的寶貴助手而被認識著。

「マインちゃん、文字を覚えたいなら、本気で叩きこんであげようか? そうしたら、来年は書類作成も手伝えるようになるな」
「小瑪茵,如果想記住文字,會認真牢牢記住嗎? 那樣的話,明年像是文件編制也能幫忙了」
「ホントに!? やったぁ!」
「真的嗎!? 太好了」
「え? 喜ぶところ?」
「咦? 喜悅哪點?」

 オットーがビックリしたように目を丸くしたが、本気で文字を教えてくれるなら、喜ぶところでしょ? 書類作成のお手伝いって、羊皮紙に触れるってことでしょ? インクで字が書けるってことでしょ?
 歐拓像是嚇了一跳般目瞪口呆,但如果認真教我文字,是很值得喜悅的對吧? 文件編制的幫忙,是能碰到羊皮紙的事情對吧? 是能用墨水寫字的事情對吧?
 それって、とても嬉しいことでしょ?
 那可是,非常高興的事情對吧?


「マイン、お待たせ」
「瑪茵,久等了」
「帰るわよ」
「回家了喔」

 今日は久し振りに大量の計算をして、脳味噌の運動ができた。大量の本を読んだ後のように、ジーンと頭の奥の方が痺れるような疲労感が心地良い。
 今天久違地做了大量的計算,能夠運動到腦子。就好像讀了大量的書本之後,麻麻地在腦袋深處麻痺般的疲勞感心情非常舒暢。
 とても充実した日になった。
 成為了非常充實的一天。

「オットーさん、ありがとう。お世話になりました」
「歐拓先生,謝謝你。多謝關照」
「こちらこそ。助かったよ」
「這邊也是。幫大忙了喔」
「じゃあね、父さん。お仕事頑張って」
「再見了,爸爸。工作要加油」
「ん」
「嗯」

 時間はたったのに、父の機嫌が悪い。むしろ、朝より悪化してない?
 時間都經過了說,父親的心情卻不好。不如說,是不是比早上更惡化了?
 なんで?
 為什麼?

======================================================================
 文字を教えてくれて、商業ギルドのコネにもなるオットーは、これから先の大事なキーパーソンです。
 教我文字、也成為商業公會的門路的歐拓,是不久之後的重要關鍵人物。
 仲良くしたいけど、父のヤキモチが頭抱えるレベルになりました。
 雖然想保持友好,但卻變成了為父親的忌妒煩惱不已的等級。

 次回はトゥーリの晴れ着を完成させます。
 下回是完成圖麗的盛裝。
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