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第一部士兵的女兒 書本,不可能得到

作者:SPT草包│2016-11-09 18:00:32│贊助:4│人氣:283
本好きの下剋上~司書になるためには手段を選んでいられません~
以下犯上的書癡~為了成為圖書管理員而不擇手段~
作者:香月美夜
第一部兵士の娘 本、入手不可能
第一部士兵的女兒 書本,不可能得到
原文連結

「じゃあ、後はお肉ね。そろそろたくさん買って、塩漬けや燻製にしておかなくちゃ」
「那麼,之後是肉了呢。差不多該買很多了,必須要醃製或煙燻起來放了」

 野菜や果物を買い終えた母が市場の奥の方へと入っていく。肉を売っているのは外壁に近い辺りに並んでいるらしい。
 買完了蔬菜與水果的母親往市場最裡面的地方進去了。賣肉的好像排列在靠近外牆一帶。

「なんでたくさん買うの?」
「為什麼要買很多呢?」
「冬支度しなくちゃいけないでしょ? この時期は、どの農家でも冬が越せるだけの家畜を残して、他を潰すから、一年で一番肉がたくさん売られる時期なのよ。動物達も冬籠りに向けて栄養を付けるから、脂の乗った美味しい肉が手に入るわ」
「不做過冬準備是不行的對吧? 這個時期,不論哪個農家都只留下能夠過冬的家畜,而把其他的宰掉,是一年裡最棒的肉大量被賣掉的時期唷。因為動物們帶有為了冬眠的營養,所以能入手帶有脂肪的美味的肉哇」
「……えーと、冬って、市場もなくなるものなの?」
「……呃,冬天,市場也會沒有東西嗎?」
「当たり前でしょ? 冬に採れる野菜なんてほとんどないじゃない。市場が開かれる回数はぐっと減るわよ」
「這不是理所當然的嗎? 在冬天幾乎無法採集蔬菜不是嗎。市場開放的次數大幅地減少唷」

 考えてみれば当たり前だけれど、全く思いつかなかった。
 雖然說仔細思考的話是理所當然的,但完全沒有想到。
 日本だって、ハウス栽培が盛んになるまでは、野菜は季節のものだったし、流通が発達するまでは地産地消が当たり前だった。冷蔵庫や冷凍庫ができて、新鮮な状態での保存ができなかった時代には、保存食は自分の家で準備する物だったはずだ。
 就連日本,直到溫室栽培興盛以前,蔬菜是季節之物。直到流通發達以前在地生產銷售是理所當然的。冷藏庫與冷凍庫的出現,在無法用新鮮狀態保存的時代,加工食品應該是在自己家做準備的東西。

「……冬支度なんて、したことないよ」
「……過冬準備,不曾做過唷」
「何か言った?」
「妳說了什麼嗎?」
「ううん」
「沒什麼」

 自宅で保存食作りかぁ。あの狭い家のどこに保存するんだろう? 物置だってそれほど広くないよね?
 在自家製作加工食品嗎。要在那個狹小的家的哪裡保存呢? 就連儲藏室都沒那麼寬敞呢?
 お手伝いがろくにできない足手まといでも、それほど叱られることはないだろう幼女で、ホントによかった。
 即便是無法好好做家務事的累贅,也不會因那種程度而被斥責的小女孩,真的是太好了。

「……く、臭い」
「……好,好臭」
「肉の匂いよ」
「是肉的味道唷」

 肉屋が近付くにつれて、異臭が強くなってくる。鼻を押さえながら歩くわたしの一歩前では当たり前のような顔で母が歩いていた。
 隨著靠近肉攤,異味變得強烈起來。在一邊壓著鼻子一邊走的我的前方一步是以理所當然般地表情走著的母親。

 肉ってこんなに臭かったっけ? うぅ、なんか嫌な予感がする。
 肉是這麼臭的嗎? 嗚,有種討厭的預感。

 鼻を押さえて口で息をしていても、口からはいりこんでくる空気が臭くて涙目になる頃、肉屋が立ち並ぶところにたどり着いた。
 就算壓著鼻子用嘴巴呼吸,從嘴巴進去的空氣也臭到淚眼汪汪的時候,到達了肉攤林立並列的地方了。
 肉屋にはベーコンやハムの他に、爪先の部分がまだ動物さんの形を残しているもも肉が並べられていた。店の奥には血抜きしている動物がぶら下がっていて、白目を剥いて舌がだらーんと出ているうさぎや鳥が並んでいる。
 肉攤除了培根與火腿,還陳列著去掉了爪子部分還殘留著動物型態的大腿肉。店內還懸掛著被放血的動物,翻著白眼舌頭軟趴趴地伸出來的兔子與鳥排列著。

「ひぎゃあああぁぁぁ!」
「咿呀啊啊啊!」
「どうしたの、マイン!?」
「怎麼了嗎,瑪茵!?」

 正直、完全に解体されて、下手したら一口サイズに切れているパック入りの肉しか見たことがなかったわたしには、この世界の肉屋は刺激が強すぎた。
 說實話,只看過完全被支解、切成差不多一口大小被包裝好的肉的我,這個世界的肉攤刺激太過強烈了。
 全身に鳥肌が立って、ぶわっと涙がこみあげてくる。目を閉じて見ないようにしたいのに、一度見開いた眼はそのまま固定されて、閉じ方を忘れてしまったように動かない。
 全身起了雞皮疙瘩,鼓起的淚珠湧現上來。明明想要閉上眼睛盡量不去看,但睜開一次眼睛就那樣被固定住了,彷彿忘記了閉上的方法而無法動彈。

「マイン!? マイン!?」
「瑪茵!? 瑪茵!?」

 母がゆさゆさとわたしの方を揺さぶる。
 母親用力搖著搖搖晃晃的我。
 その時、豚が悲鳴を上げながら解体されるところが目に飛び込んできた。周囲には、楽しそうな笑顔の人々が集まっていて、豚が殺されるのを今か今かと待っている。
 那個時候,豬一邊發出悲鳴一邊被支解的地方飛進了眼簾。在周圍,聚集著彷彿很快樂的笑容的人們,迫切期待著待宰豬隻。

 なんでみんなそんなに楽しそうなの?
 為什麼大家看起來都那麼樣地快樂呢?
 ニヤニヤ笑ってるの?
 面目猙獰地笑著?
 やめてやめてやめて! 怖いっ!
 不要不要不要! 好恐怖!

「ひぅっ!?」
「咿!?」

 小さく悲鳴を上げて、わたしは豚に最後の一撃が加わるより先に、その場で気絶した。
 發出小小的悲鳴,我比補上最後一擊的豬更早,當場昏厥了。



 何かが口の中に流れ込んできた。
 有什麼流進了口中。
 結構刺激的でえぐいほどアルコール臭のする液体だ。自分で意識して飲みこんだものと違って、予期しなかったアルコールが気管に入った。
 是相當刺激又嗆辣般有酒味的液體。與自己所意識到喝下的東西不同,非預期的酒進到了氣管中。
 咳き込んで、目を白黒させながら、わたしは飛び起きる。
 咳個不停,一邊激烈地轉動著眼珠,我一邊跳了起來。

「ぅえほっ! げほっ! ごほっ!」
「咳! 咳! 咳!」

 酒ですか!? いたいけな幼児に、どぎつい酒飲ませた馬鹿はどこのどいつでございましょうか!?  急性アルコール中毒になったらどうしてくれる!?
 是酒嗎!? 給稚嫩的幼童,喝下烈酒的笨蛋是哪邊的哪位啊!? 急性酒精中毒的話要怎麼辦啊!?

 くわっと目を開けると酒瓶を抱えた母親の姿があった。
 猛然睜開眼睛看到抱著酒瓶的母親的身影。

「マイン、気が付いた? よかった。気付けが利いたのね」
「瑪茵,醒過來了嗎? 太好了。喚醒是有效的呢」
「こほっ!……母さん?」
「咳!……媽媽?」

 ホッとしたような顔で抱きしめてくれるから、ちょっと口に出しにくいけれど、心の中では言っていい?
 因為用放心了般的表情給緊抱著,雖然說有點難以說出口,但在心中說可以吧?

 幼児にこんな強い酒飲ませるな! それも、ただでさえ病弱なのに、高熱で死にかけてやっと熱が下がったばっかりの病み上がり幼児だよ!? 殺す気!? 馬鹿なの!? 死ぬの!?
 別讓幼童喝下如此強烈的酒啊! 而且,還是因體弱多病,差點死於高燒而終於退燒的病剛好的幼童唷!? 想殺人嗎!? 笨蛋嗎!? 去死吧!?

「さぁ、マイン。気が付いたなら、お肉を買いに行くわよ」
「好了,瑪茵。如果醒來了,那就去買肉吧」
「ぅえっ!?」
「欸!?」

 思わず首をぶるぶると振った。さっきの光景が完全に脳裏に焼き付いている。しばらくは夢に見そうな光景で、思いだすだけで鳥肌が立つのに、そんなところに行きたくない。
 不假思索地哆嗦著搖著頭。剛才的光景已經完全烙印在腦海裡了。暫時連作夢都會夢到的光景,只是回想起來就雞皮疙瘩的說,不想去那樣的地方。
 病み上がり幼児の気付けにえぐい酒を使ったり、肉屋の前で昏倒した娘をまた肉屋に連れて行こうしたり……。この母、もしかして結構鬼畜ではなかろうか。
 為喚醒病剛好的幼童而使用嗆辣的酒,再次帶在肉攤前昏倒的女兒去肉攤……。這位母親,難道說相當的殘忍嗎。

「……えぇっと、まだ気持ち悪くて……ここで座ってる。母さん、行ってきて」
「……可是,感覺還不舒服……我在這裡坐著。媽媽,妳去吧」
「え? でも……」
「欸? 但是……」

 渋る母を横目に、わたしはくるりと振り向いて、店のおばさんに頼みこむ。母に力づくで連行される前に、居場所の確保だ。
 斜視不願意的母親,我轉過頭去,懇求店家阿姨。在被媽媽強行帶走之前,確保所在地。

「あの、おばさん、ここで待たせてください。迷惑かけないように、じっと座ってます」
「那個,阿姨,請讓我待在這裡。不會給妳添麻煩的,會乖乖地坐著」
「小さいのにしっかりしたお嬢ちゃんだねぇ。酒も買ってもらってるし、いいよ。早く買い物を終わらせておいで。気持ち悪いと言ってる子供を連れ回して、また倒れたら大変だろ?」
「明明很小卻又很可靠的小姑娘呢。承蒙買了酒,可以唷。早點結束購物回來。將說著感覺不舒服的小孩帶回去,又倒下的話就不得了了吧?」

 おそらく母が気付け用の酒を買ったのだろう、お酒の屋台のおばさんが、カラカラと笑いながら軽く請け負ってくれる。
 恐怕是母親買了喚醒用的酒了吧,酒攤的阿姨,一邊聲音宏亮地大笑一邊輕易地承擔下來。
 隣の雑貨屋のおじさんも、気の毒そうにわたしを見て、手招きしてくれた。
 隔壁雜貨店的大叔也,憐慈似地看著我,招了招手。

「店の中の方に入っていれば、さらっていくような奴もおらんじゃろうし……」
「進入店裡的話,也不會有誘拐似的傢伙了吧……」

 おじさんが裏側に入れてくれたので、遠慮なく座りこませてもらおう。
 因為大叔讓我進到背面,我就豪不客氣地坐下了。
 さっき口に入れられた強いアルコールが身体の中でぐるぐるしているような気がする。今、動き回るのは危険だ。たとえ急性アルコール中毒で倒れても、誰も原因に気付いてくれない、という意味で。
 感覺剛才被放進嘴裡的烈酒在身體裡面到處翻滾打轉。現在,轉來轉去很危險的。譬如就算因急性酒精中毒而倒下,任誰都不會發現原因,這種意思。

 座り込んだまま、二つの店の商品をぼんやりと眺めていると、酒屋の方は丁度新しい果実酒が入荷される季節のようで、小さい樽に買っていく客が次々と現れる。それに対して、雑貨屋の方は客足も鈍い。
 就那樣坐了下來,呆呆地望著兩家店的商品,酒店那邊似乎正好是新的水果酒進貨的季節,買小木桶酒的客人一個個地出現。另一方面,雜貨店那邊客流量就緩慢。

 この世界の雑貨屋って一体何を売ってるんだろう?
 這個世界的雜貨店到底賣些什麼呢?

 雑貨屋に並ぶ商品を見てみると、大半がどうやって使うのか、わからないものだ。目の前にごちゃごちゃと並んでいる品物を指差して、おじさんに聞いてみる。
 試著看向陳列在雜貨店上的商品,多半該如何使用呢,都是些不知道的東西。用手指著眼前雜亂無章陳列著的物品,試著向大叔打聽。

「おじさん、これ、なぁに?」
「大叔,這個,是什麼?」
「嬢ちゃんはまだ使ったことがないか? 布を織る時に使うものじゃな。これは狩りに使う仕掛けじゃ」
「小姑娘還沒有使用過嗎? 不就是織布的時候使用的東西。這個是狩獵時使用的裝置」

 客がいなくて暇らしいおじさんは、わたしが指差す一つ一つに答えをくれる。この街では日用品に数えられる品物はわたしが知らないものばかりだ。マインの記憶を探ってみても、あまり興味がなかったのか覚えは薄い。
 沒有客人而閒得發慌的大叔,對我所指的一個一個給予了答案。在這城市裡算得上是日用品的物品淨是我所不知道的東西。就算試著尋找瑪茵的記憶,是不太有興趣嗎記憶很稀薄。
 へぇ、と感心しながら商品を眺めていると、ごちゃごちゃと並んだ雑貨の隅の方に、たった一冊だが、きっちりと装丁された分厚くて大きな背表紙が見えた。
 哦,一邊欽佩一邊望著商品,在雜亂無章陳列著雜貨的角落處,雖然只有一本,看見了整齊地被裝釘著又厚又大的書背。
 図書館でもガラスケースに入っていそうな装丁で、皮の表紙に金で四隅に細かい細工がされている。パッと見た感じ高さが40センチくらいありそうな大きさだ。今のわたしでは持つことさえできないだろう。
 用著似乎會被圖書館放入玻璃櫃中的裝訂,皮製封面上用黃金在四角雕上精細的工藝。瞬間看到感覺高度有40公分左右那樣的大小。甚至是現在的我所無法持有的東西吧。

 本じゃない!? あれ、もしかして、本じゃない!?
 不就是書嗎!? 那個,難道說,不就是書嗎!?

 本らしきを装丁を見つけた瞬間、ぱぁっと視界が薔薇色に染まっていく。どんよりと暗い雨雲が一気に払われたように、心が一気に明るく晴れ渡った。
 發現書本似的裝訂的瞬間,啪地視野逐漸染成了玫瑰色。就像混濁的黑暗雨雲被一口氣撥開一樣,內心一口氣明亮地放晴了。

「お、おじさんっ! これは!? これは何!?」
「大、大叔! 這個!? 這個是什麼!?」
「あぁ、本じゃよ」
「啊,是書唷」

 やったー! とうとう見つけた! あったよ、本! たった一冊だけど、あった!
 太好了! 終於找到了! 存在的唷、書本! 雖然就只有一本,但存在的!

 この世界には存在しないかもしれないと絶望していた中で見つけた本。わたしは感動に打ち震えながら、背表紙を見つめる。
 在不存在於這個世界裡也說不定的絕望之中發現了書本。我一邊打顫著,一邊凝視著書背。
 かなり大きくて重そうで、ごてごてと装飾された本だ。どこからどう見ても高そうで、どんなにおねだりしても買ってもらえる気がしない。
 是相當大又笨重般,被過分裝飾的書本。無論從哪怎麼看都好像很貴,就算再怎麼央求也不覺得買得下來。
 けれど、本が存在するのだから、もっと小さくて持ちやすい本もあるに違いない。わたしはおじさんに食らいつくような勢いで尋ねた。
 不過,因為書本是存在的,肯定也會有更小又容易攜帶的書本。我用像是要吃掉大叔的氣勢訊問著。

「おじさん、本を売ってるお店ってどこにあるか知ってる?」
「大叔,你知道賣書的店家在哪裡嗎?」
「店? 店などないよ」
「店家? 沒有店家唷」

 おじさんに「何を言っているんだ、この子は」みたいな目で見られて、わたしのテンションが一気に下がる。
 被大叔用好像「在說什麼呀,這孩子」的眼神看著,我的情緒一口氣降了下來。

 えーと、本があるのに、本屋がないとはどういうこと?
 呃,明明有書,卻沒有書店是怎麼一回事?

「……え? なんで? ここに売ってるのに?」
「……唉? 為什麼? 明明在這裡賣著?」
「本は著者から借りて書き写すもので、高価すぎてそうそう売り物になどならないからなぁ。これも、借金が返せなくなったお貴族様の質草で、まだ売り物じゃない。まぁ、もうじき売り物になるだろうが、こんなものを買いたいと思うのはお貴族様くらいじゃな」
「因為書是從作者那借來抄綠的東西,早就知道太過昂貴而無法成為商品啊。這個也是,借錢還不出來的貴族大人的典當品,還不是商品。反正,就快成為商品了吧,我想會想買這種東西的也就只有貴族大人了」

 お貴族様めっ! 異世界転生のテンプレ通り、貴族に生まれていれば、本が読めたのにっ! なんでわたし平民なのっ!?
 可惡的貴族大人! 如同異世界轉生的模板,被生為貴族的話,就能看書了的說! 為什麼我會是平民啊!?

 軽くお貴族様に殺意が湧いた。生まれた時から本に囲まれているなんて恵まれ過ぎだ。どうしてくれよう。
 輕易地對貴族大人湧現了殺意。從出生之時就被書本給包圍太過得天獨厚了。該怎麼辦呀。

「嬢ちゃんは本を見たのは初めてかい?」
「小姑娘看到書是第一次嗎?」

 おじさんの言葉に、わたしは本から目を離さず、何度も頷いた。
 對於大叔的話,我無法將目光從書上移開,點了好幾次頭。
 この世界で本を見たのは初めてだ。そして、売り物ではなく、本屋もない以上、これが最後の邂逅になるかもしれない。
 在這個世界看見書是第一次。然後,既然不是商品,也沒有書店,這很有可能是最後的邂逅了。
 ……だったら!
 ……這樣的話!

「お、おじさん! お願いがあります!」
「大、大叔! 我有一個請求!」

 グッと拳をきつく握り、一度立ち上がって姿勢を正した後、その場に跪いた。
 使勁地緊緊握住拳頭,站起來一次端正姿勢後,當場跪了下來。

「なんじゃ? 突然どうした?」
「什麼? 突然怎麼啦?」

 いきなり地面に膝と両手をついたわたしに、おじさんがぎょっとして目を見開く。
 對突然將膝蓋與雙手貼在地面上的我,大叔大吃一驚地張大了眼睛。
 こちらからお願いする以上、誠意を見せるのは、基本中の基本。
 既然要從我這裡請願,展現誠意是,基本中的基本。
 誠意の形といえば、土下座。
 要說誠意的形式的話,就是跪拜。
 ビシッと頭を下げて、自分の気持ちを正直に伝えるんだ。
 深深地低下頭,將自己的心情老實地傳達。

「買えないのはわかりきっているから、せめて、あの本、触らせてください。頬ずりしたい。せめて、くんかくんかして、インクの匂いだけでも満喫したいんですっ!」
「我已十分明白不能購得,但至少,那本書,請讓我摸一下。想蹭下臉頰。至少,讓我嗅一下,即便只是墨水的味道也想要飽餐一頓!」

 と、誠心誠意お願いしたが、シーンと痛いほどの沈黙が満ちるだけで、何の返事も返ってこない。
 如何,誠心誠意地請求著,只有扎人般疼痛的沉默充斥著,什麼回應都沒有回覆。
 恐る恐る顔を上げてみると、何故かおじさんは苦虫を噛み潰したような、信じられない変態を間近で見たような、驚愕と嫌悪の混じった目でわたしを見ていた。
 戰戰兢兢地試著抬起頭,為什麼大叔會一臉極不痛快般,像是在眼前看到不可置信的變態那樣,用驚愕與嫌惡混雜的眼神看著我。

 あれ? なんか誠意が伝わってない感じ?
 啊勒? 有種誠意沒傳達的感覺?

「な、何を言っているのか、理解できんが……。嬢ちゃんに触らせるのは危険じゃな」
「妳、妳在說些什麼呢,不能理解……讓小姑娘觸摸是很危險的」
「そ、そんなっ!?」
「怎、怎麼這樣!?」

 もう一度頼みこもうとしたところに、時間切れの声がかかった。
 打算再懇求一次的時候,響起了時間了的聲音。

「マイン、お待たせ。行くわよ」
「瑪茵,久等了。要走了唷」
「母さん」
「媽媽」

 母の声を耳にして、わたしは思わず泣きそうになった。
 聽見母親的聲音,我不由自主地快哭了。
 本がすぐそこにあるのに、まだ触ってない。匂いも嗅いでいない。
 明明書本就在那裡,還沒摸到。味道也沒聞到。

「どうしたの、マイン? 何かされたの!?」
「怎麼了,瑪茵? 被怎麼了嗎!?」
「ち、違う、違う!」
「不、不是的,不是的!」

 いきなり店主に剣呑な視線を向ける母の姿に、わたしは慌てて首を振った。
 對突然將危險的視線朝向店主的母親的身影,我驚慌地搖著頭。
 急いで誤解を解かなければ、せっかく肉屋へ行くことから匿ってくれて、本について教えてくれたのに、恩を仇で返すことになる。
 若不快點解開誤會的話,特意隱瞞前往肉攤的事情,還告訴了我關於書的知識,會變成恩將仇報的。

「この辺が気持ち悪いの。母さん、さっき何飲ませたの? 起きてからずっと変なの」
「這邊感覺不舒服。媽媽,剛剛讓我喝的是什麼? 從起來後一直怪怪的」
「……あぁ、気付けの酒が利きすぎたのかもしれないねぇ。家に帰ったら水を飲んでおとなしくしてれば大丈夫よ」
「……啊,很有可能是喚醒的酒太過有效了呢。如果回家肯乖乖地喝水的話就會不要緊了唷」

 母は納得したように頷くが、子供に酒を飲ませたことには何も思っていないらしい。グイッと手を引いて、わたしに帰るように促すだけだ。
 母親理解似地點了點頭,對給小孩喝酒這件事好像什麼都沒想過。只是用力地拉著手,催促我回家般。
 わたしはくるりと振り返って、酒屋と雑貨屋の二人に向かってニッコリと笑った。
 我回過頭去,向酒店與雜貨店的兩人微微地笑著。

「座らせてくれてありがとう」
「謝謝讓我坐下來」

 お礼は忘れずにしないと精神的に落ち着かない。わたしの記憶から頭を下げる習慣はなかったようなので、ひとまず笑顔を振りまいておいた。
 不忘了致謝的話精神上就會不穩定。我的記憶裡面似乎沒有低頭的習慣,那就暫且先散播笑容吧
 円滑な人間関係に笑顔は必須。二人も笑顔で見送ってくれたので、笑顔の効果はあったらしい。
 對於圓滑的人際關係笑容是必要的。因為兩人也是用笑容目送,笑容似乎很有效果。

「マイン、まだ気持ち悪い?」
「瑪茵,還感覺不舒服嗎?」
「……うん」
「……嗯」

 言葉少なに母と手を繋いでポテポテと家に向かって歩いて行く。帰宅途中の通りの店にも、やはり本屋は存在しない。
 鮮少對話地與母親牽起手緩步地朝向家裡走過去。回家途中街道的商店裡,果然書店是不存在的。
 今日は母に子供向きの絵本をねだって、ちょっとずつ字を覚えようと思っていたが、無駄に終わってしまった。
 今天向母親央求兒童向的圖畫書,想著稍微能夠逐字記住,徒勞無功地結束了。

 一応領主の城があり、立派な石造りの門がある街なのに、この街には本屋というものが存在しなかった。本は売り物ではないと言われたのだから、もしかしたら、この街だけではなく、世界に本屋がないのかもしれない。
 明明基本上是有領主的城堡、有華麗石造大門的城市,但是這個城市裡卻不存在著名為書店的東西。正因為被告知了書本不是商品。難道說,不只這座城市沒有,很有可能世界上也沒有書店。

 絶望した。
 絕望了。
 一日二日ご飯を抜いたところで、本さえあれば満足していた本狂いの麗乃に本なしの生活をしろというのは酷だと神様は思わなかったのだろうか。
 神明大人不認為給即使一兩天不吃飯、只要有書的話就能夠滿足的書狂麗乃這種所謂沒有書本的生活是很苛刻的嗎。

 せめて、貴族に転生できていれば……。くぅっ! 平民に転生なんて……神様、わたし、何か悪いことしましたか?
 至少,能轉生成為貴族的話……。咕! 轉生成平民什麼的……神明大人,我,我做了什麼不好了事情嗎?

 親に本が買える貴族になりたいなんて言っても、夢見る子供の可愛い呟きとして軽く流されるだろう。この家族に生まれたくなかったなんて言えない。
 就算說了什麼想要成為父母能買書的貴族,也會當作是作夢的小孩可愛的嘟噥而輕易地被作罷的吧。不會說什麼不想生在這個家。
 でも、貴族になりたい。貴族になれなくても、せめて、没落貴族の質草を買い漁れるだけの財力が欲しかった。
 但是,想要成為貴族。就算無法成為貴族,至少,想要能夠搜購沒落貴族的典當品的財力。

 あまりにひどい環境に打ちひしがれるが、泣いていても本が手に入ることはないとさすがに学習した。本屋が存在しないのに、手に入るわけがない。
 對於太過份的環而境意志消沉,就算是哭泣也無法得到書本算是學到了。書店不存在的話,沒有得到的理由。

 手に入らないなら、どうする?
 如果無法得到,該怎麼辦?
 自分で作るしかないでしょ?
 就只能自己做了對吧?

 本当は、この世界の本が欲しけれど贅沢は言えない。手っ取り早く自分の要求を叶えるため、こちらの文字を覚えるのはちょっと後回しにして、まだ覚えている日本語で本を作ろう。
 其實,雖然說想要這個世界的書本但不能說是奢侈。為了迅速地實現自己的要求,記住這邊的文字就要稍微延後了,用還記得的日語來做書吧。

 こうなったら、手段は選ばない。
 變成這樣的話,只能不擇手段。
 絶対に本を手に入れる!
 絕對要將書拿到手!

======================================================================
 やっと巡り合えた本も触れませんでした。残念。
 終於邂逅到的書本也無法觸摸。好可惜。
 マインが本を手に入れられるのは、いつになるかしら?
 瑪茵將書拿到手會是,在何時達成呢?

 次回は閑話で、トゥーリ視点のお話です。
 下回是閒話,圖麗視點的故事。

※誤字脱字等あれば、ぜひ教えてください。
※有錯字漏字之類的話,務必請要告訴我。
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