「うっ……何が起こったんだ……? ヘクトルが……赤い石を沼に投げて、それから……--っ!? ウィンタラーが光ってる!?」
「唔……發生什麼事了……?賀托勒他……把紅色的石頭丟到沼澤,之後……──!?冬霜劍在發光!?」
「あ、あああああぁぁぁぁぁぁ……」
「啊、啊啊啊啊啊啊啊……」
「っ!? ……ーーっ!?」
「!?……──!?」
崩れた階段を登った先、そこにいたのは巨大な怪物だった。
爬上崩塌的階梯,站在那裡的,是頭巨大的怪物。
「ウルオウゥゥゥゥゥッーーー!」
(吼叫聲)
二メートルをゆうに超える漆黒の巨体。黒く、鋭いかに爪を持つ手足。そして、体を覆い隠そうと大きな翼。
超過兩公尺高的漆黑的龐大身軀,有著黑色且尖銳爪子的手足,還有那似乎能將身體掩蓋住的巨大翅膀。
それが、異界の怪物ゴルモダフだった。
那就是異界的怪物──紅眼惡魔。
「逃げろ、ヘクトル!!」
「快逃,賀托勒!!」
「あ、あぁ……月の女神様っ!!」
「啊、啊啊……月之女神大人!!」
「ウルオウゥゥゥゥゥッーーー!」
(吼叫聲)
「うわあああぁぁぁぁーー!!」
「唔哇啊啊啊啊啊──!!」
「はっ! ……っ。今だ、逃げろ!!」
「哈!……!趁現在,快逃!!」
「ダフネン……ーーっ!」
「達夫南……──!」
(打鬥)
「この巨体で、ここまで速く動けるとは……ーーこの技っ!」
「這般龐大的身軀,卻能這麼快速地移動……──那麼用這招!」
(打鬥)
「四方向からの攻撃!? --っ、避けきれないっ!」
「從四面八方過來的攻擊!?──沒辦法完全避開!」
シャキーン!
鏗!
「っ! ダフネン、怪我は?」
「!達夫南,有沒有受傷?」
「イソレット!? それに、その二つの剣は?」
「伊索蕾!?而且那兩把劍是?」
「わたしは二刀流なの。そんなことを気にしている余裕があるなら、大丈夫そうね」
「我是二刀流哦。還有閒情逸致在乎這種事,看來是沒問題了。」
「グルゥゥゥ……」
(低吼聲)
「「っ!?」」
「「!?」」
「怪物の様子がおかしい!」
「怪物的樣子有點詭異!」
「飛んだっ!?」
「飛起來了!?」
「イソレット逃げてっ!!」
「伊索蕾快逃啊!!」
「っ!」
「!」
「イソレット!! --っ、お前の相手は僕だっ!」
「伊索蕾!!──你的對手是我!」
(打鬥)
「っ! はぁ……はぁ……」
「!哈啊……哈啊……」
(左腕……痛くはない。けど、痺れて動かない。……死ぬんだなんて、恐ろしくないと思ってた。そんなことより、他人に依存してしまう方が怖かった。今だって、ここへ来たのはわたしを庇ってくれたダフネンに、その借りを返すため。なのに……どうして、ダフネンが戦っているのを見ると心が……千切れそうでっ)
(左腕……不會痛,但是卻麻到不得動彈。……本來以為,死亡是沒什麼好怕的,反而是依賴著他人會讓我恐懼,就像現在,我來到這裡就是為了還包庇我的達夫南人情。但是……為什麼看到達夫南在戰鬥的樣子,我的心……像是被刀割一樣……!)
「っ! はぁ……はぁ……」
「!哈啊……哈啊……」
(ダフネンの剣には、あの怪物を切る力がある。けど、怪物の素早い動きにはついて行けない。……私には右手がある。まだ、戦える!)
(達夫南的劍裡,有著能夠斬傷那頭怪物的力量,可是他卻跟不上那頭怪物神速的動作。……我還有右手,我還能,戰鬥!)
「イソレット!?」
「伊索蕾!?」
「わたしが相手よっ! はあああぁぁぁっ!!」
「我來當你對手!哈啊啊啊啊阿!!」
「イソレット!!」
「伊索蕾!!」
(打鬥)
(僕は、また失うのか……? また誰かの死を踏み台にして生き残るのか……? 兄さん……--っ!! もう、あんな思いはしたくない。今度こそ……今度こそは、僕が助けるんだっ!)
(難道,我又要失去了嗎……?又要將誰的死作為踏板存活下去嗎……?哥哥……──!!我已經,不想在有那種回憶了,這次……這次就換我,來拯救!)
「ダフネンっ!?」
「達夫南!?」
「はああぁぁぁぁっ!! はあっ!」
「哈啊啊啊啊!!哈啊!」
「グルオウゥゥゥゥゥッーーー!」
(嘶吼聲)
ドカンッ!
咚!
「待っていろ、イソレット。今治してやるからなっ。」
「等著我,伊索蕾,現在就將妳給治好!」
「赤き心臓。異界の怪物に受けた傷を治すには、異界の怪物の心臓を使うより方法はない。」
「紅色的心臟。要治療被異界的怪物所傷的傷口,只有用異界的怪物的心臟才能夠治療。」
根源に戻る眠りの中、夢の元聞こえるべし。母なる月の光はその胸を叩き、心の奥底を刻み込むべし。
在欲歸還於根源的睡眠之中,在夢裡必須聽著。將身為母親的月之光芒打進汝之胸口,烙印在汝的內心最深處。
「すぅ……すぅ……」
「呼……呼……」
「これが、お前とイリオス様に返すことのできる儂の最後の借りだ……」
「這是老朽,能夠還給你和伊利歐斯大人最後的人情……」
この事件は、秘密裏に処理された。ヘクトルと僕の決闘は島の別の場所で行われ、和解したということになっている。
這件事情,最後在秘密之中被處理掉了,跟賀托勒的決鬥也變成是在島上的別的場所舉行,以和解作為完結。
そして、ウィンタラーは島の司祭たちによって封印された。
而冬霜劍,被島上的祭司們給封印起來了。
「あの剣には、どうしてあんな力があるの?」
「那把劍裡,為何會有那種力量呢?」
「……わかりません。ただ、あの剣は家宝なんです。僕が生まれた家の……」
「……我不曉得。只不過,那把劍是傳家之寶,我出生的家裡的……」
「ジンネマン家の家宝なのね」
「貞奈曼家的傳家之寶對吧。」
「どうして知っているんですかっ?」
「為什麼您會知道?」
「あなたが叫んだのよ、僕はボリス・ジンネマンだって」
「是你叫喊的哦,『我是波里斯・貞奈曼』。」
「あ……そうでしたね」
「啊……是這樣呢。」
「くす。素敵だったわよ」
「呵呵。當時的你,很棒哦。」
「……」
「……」
「わたし、あの時考えていたの。ヘクトルにひどいことを言われているのに、どうしてわたしはヘクトルに向かっていかないのかって……」
「我當時,思考過了,為什麼被賀托勒說了那般羞辱的話,我卻站在原地一動也不動……」
「……」
「……」
「でも、ヘクトルと決闘の場所へ向かうあなたの姿を見て、わかったわ。わたしに代わって、あなたがこの問題を解決してくれるんだって思ったのよ。わたしではなく、あなたが。どうしてだと思う?」
「但是呢,看著跟賀托勒前往決鬥場所的你的背影,我知道答案了。因為我認為,你會代替我幫我把問題給解決掉,不是我,而是你。你覺得是為什麼呢?」
「……わかりません」
「……我不知道。」
「……あなたが、婚約者のように思えたの」
「……因為我,把你當作是婚約者來看待。」
「……えぇ?」
「……欸欸?」
全てを失った僕にとってナウプリオン、そしてイソレットは心を許せる数少ない存在だった。
對失去了所有事物的我而言,奈武普利溫和伊索蕾,是我能夠放下心防的極少數的存在。
だけど、僕はこの後彼女たちと別れ、月の島を離れることになる。
但是,我在之後卻得和她們別離,進而離開月之島。
何故そうなってしまったのか、いずれまた語る時が来るだろう。
為什麼會變成那樣呢?我想,訴說的時機總有一天會到來的吧。
「着いたわ、ボリス。月の島よ」
「到了哦波里斯,是月之島。」
「ああ、行こう。もう一度倒すんだ、異界の怪物ゴルモダフを!」