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轉載文章‧シンフォニック=レイン(交響樂之雨):Falsita

作者:Abner‧Angelo│交響樂之雨 中文版│2007-12-20 19:19:57│巴幣:2│人氣:684
(※注意:日文、文長注意)




 学院のコンサートホールは、学生と来賓で溢れかえっていた。
年に二回、春と夏に行われるこの定期演奏会は、演奏する生徒と聴きに来る生徒、
そしてここの学生の出来を見に来る音楽会の関係者で、いつもこんな状態だった。
外は夏の盛りだったが、人の多さにも関わらず、優秀な空調設備におかげで驚くほど過ごしやすい。

 定期演奏会は、学年ごと、各科ごとに日にちが分かれ、全てが終了するまでには一週間以上の期間が必要となる。
今日は、フォルテール科の三年生が中心となっていた。
そして次は、私の担当する最後の生徒の順番だった。


「コーデル先生、次はあなたの生徒の番ですね。名前は……」
「クリス・ヴェルティンです」
「彼の音は良いですね。去年初めて聞いたんですが、まだ印象に残っていますよ」


 隣に座る声楽科の講師が、私に話しかけてきた。
講師としては私の同期にあたる男性だったが、年も近く音楽の趣味などが合うせいか、
普段からよく話もするし、こうした席では隣り合わせに座ることも多い。
 個人的にではあったが、私もクリスには普通以上の期待を抱いていた。
彼のフォルテールが出す音色には、不思議な魅力がある。
魔力を音に変換する装置、とも言えるこの楽器は、演奏者の資質を如実に現してくれる。
それがこの楽器の特色であり、また利点でもあった。
ただし、その利点は逆に欠点ともなりえるほど、個人の資質を明確に音にしてしまう。
 魔力をもつ人間なら誰でも憧れるフォルテール奏者は、この世界では引く手も数多に思われがちだが、
有名で、かつ実力の伴っている奏者は私の知る限り、数えるほどしかいない。
もっとも、そこまで厳しい評価をしているのは、私くらいのものだろうが。


「先生も期待しているのでしょう?」
「……ええ。ただし、問題も山ほどありますが」


 それも本当だった。クリスの音には、まだまだむらがある。
そもそもフォルテールにはつきものの問題ではあったが、彼の場合は、許容範囲を超えてしまっている感があった。
それも含めてレッスンを進めているが、クリス自身に直す気がないのか、一向に変わる気配はない。
とはいえ、それでも私は彼を高く評価していた。


「始まりますよ、コーデル先生」


 その言葉で改めて舞台に目をやると、クリスが自分のフォルテールをセッティングしているところだった。
外からの人間も多く来るこの会では、たかだた生徒発表の場とはいえ、きちんと製本されたプログラムが配られている。
それにもう一度目を通し、これが終わったら特に見るものもないことを、暗がりの中で確認した。
 プログラムから目を離すとほぼ同時に、会場内のざわめきが止む。
クリスはフォルテールの鍵盤に指をかけ、呼吸を整えていた。
そして――心待ちにしていた彼の演奏が始まった。

クリスの演奏が終わり、午後のプログラムの約半分が終了した。
これから十分ほどの休憩が入るため、場内の照明が一気についた。
同期の感想を聞くこともなく、席から立ち上がる。


「それでは、私はこれで失礼します。これから彼に会って、軽く説教でもしてきましょう」
「あはは。指が追いついていない箇所がありましたね。
まあそれを差し引いても、やっぱり私は好きですね。先生の教え子には、本当に良い子が多い」
「いえ、ぎりぎり及第点といったところですね。まだまだ教えたいことはあるのに、彼ももう三年生です」


 そうは言ってみたものの、あと一年時間があったところで、クリスの基本的な所は変わらないのかもしれない。


「先生はまだ、ここでお聴きになるんですか?」
「ええ。うちの三年でも、卒業演奏でフォルテール科と組みたいって生徒が結構いるんですが、その下調べにね」
「さすがに、彼はお勧めできませんが」
「ええ、癖がありますからね。でも逆に癖のない声と合わせれば、彼のフォルテールが引き立つかもしれませんよ」
「一応、考えておきましょう」


 そう告げて、今度こそ外に出ようと横を向くと、女生徒が一人、こちらを向いて立っていた。
 失礼、と声をかけて通路に出ると、後ろで、さっきの同期の講師となにやら話しかけているのがかすかに聞こえた。
女生徒の方にもなんとなく見覚えがあったので、振り返って確かめてみる。
すると、講師が私の方になにやら手招きをしているのが見えた。


「どうかしましたか?」
「ちょっと、彼女の話を聞いてくれませんか?」


 会場内だからか、小さな声で彼が言った。その女生徒が丁寧にお辞儀をして、私の側に寄る。


「彼女がさっき言ってた、フォルテール科と組みたいって言ってた子なんですが、ちょっと先生に話があるみたいなんです」
「あの……」
「ああ、君は確か……ファルシータ君だったかな」


 声をかけられ、ようやくその名前を思い出す。
今年の春まで生徒会で会長を務めていた、才女と言ったところか。
音楽の才能についても申し分無い、と言うのがたいていの周りの評価だった。


「あ、はい。ファルシータ・フォーセットです。
もしよろしければ、少しお話出来ないかと思ったのですが」
「私にか?」
「ええ」


 彼女の言葉とほぼ同時にブザーが鳴り、次のプログラムがそろそろ始まることを場内に告げた。


「わかった。ここではなんだから、外に出よう」


 声楽科の講師が私に向かって軽く頭を下げ、彼女もまた丁寧に頭を下げた。
ぎりぎりのところで会場の外に出ると、ドアのすぐ横に立っていた係員がドアを閉めた。


「それで、聞きたいこととは?」
「あの、今ちょうど先生に聞いたんですけど、コーデル先生は、今演奏してたクリス・ヴェルティンさんの担当をなさっているそうで」
「ああ、確かに彼は私の教え子だ。不肖の、ではあるがな」
「良かった。彼について、少しお聞きしたいんです」


 クリスのフォルテールが気に入ったんだろうか?
その気持はわからなくもないが、同時に、少し不釣り合いな気もした。


「答えられる範囲なら、どうぞ。
長くなるようだったら、場所を変えても構わないが。ちょうどこれから彼に会うところだ」
「いえ、そんなに大したことじゃないんです。
ただ、卒業演奏のお相手とか、もう決まってたりするのか、それだけ確認したかったんです」
「……気に入ったのか?」
「ええ」
「決して良い出来ではなかったと思うが」
「はい。そう思います」
「結構はっきり言うんだな。まあ、反論する気はないが」
「あ……ごめんなさい」
「いや、気にしなくて良い。でも、それならなぜ?」


 もっともな疑問を投げかけてみると、彼女は少し目を逸らし、物思いに耽るように少しの間、口を閉ざした。


「気になったんです」


 というのが、しばらくして出した彼女の答えだった。


「とはいっても、一昨日からずっとフォルテール科の演奏を聴いてみて、今日までにいろんな人にも声をかけてるんです。
パートナーがまだ決まっていない良い人がいないかと思いまして」
「まあ、その質問に対する答えなら、すぐにでも答えられる。クリスのパートナーは、まだ決まっていない」
「そうでしたか。ありがとうございます」


 ずいぶんと積極的なことだが、その姿勢には好感がもてた。
そういえば、講師の間でも受けがよく、将来はプロになるのが確定しているという噂もあった気がする。
 こうして何人に声をかけているかは知らないが、他のフォルテール科の講師なら、喜んで自分の生徒を紹介したくなるだろうな。
ただし私の場合は、紹介する生徒に癖がありすぎる。
両方の生徒のことも考えて、少し慎重に考えざるを得なかった。


「何が気になったのかはわからないが、彼は喜んで勧められる生徒でないことだけは、最初に言っておこうか」
「ええ、それでもいいんです。今日はちょっと、その確認だけしておきたかっただけですので」
「そうか。一応話しておこうか?」
「いえ。その時になったら自分で話してみます。他の方とも色々お話ししないといけないので」
「わかった、一応君のことは覚えておこう。なにかあったら、私のレッスン室に来なさい。
平日はだいたいそこにいる。レッスンの時間帯でなければいつでも構わない」


 レッスンの時間帯は、三年になるとほとんど変わることはない。
一、二年の頃は他の科の基礎を習ったり、様々な講義を受けなくてはならないが、三年になるとほぼ個人レッスンが中心となる。
特別講義などがたまにあるが、直接単位に影響することはなく、生徒の自主的な判断に全てが委ねらていた。
 だからこそ、生徒数も限られ、講師の数も普通の学校に比べ、格段に多くなっている。
今の私の仕事は、受け持ちの生徒のレッスンだけだ。毎日決められた時間に生徒がレッスン室に来て、個人授業を繰り返す。
そしてそれは、声楽科も同じだった。


「ありがとうございます。機会がありましたら、お世話になることもあるかと思います」
「ああ、是非来なさい」


 彼女はまた、丁寧すぎるお辞儀をして、その場を去っていった。
根が生真面目なのか、その仕草も堂に入ったものだ。
これなら、ピオーヴァ音楽学院の名だたる講師達も気に入るわけだ。
 学院の特色でもあるが、ここの講師には、世界で活躍している現役の音楽家も数多くいた。
だいたいは、現役を退いた元音楽家であったが、中には一線で活躍している者も、非常勤講師として在籍していたりする。
 そして、基本的に音楽家は自尊心が強く、おだてに弱い。
彼女は知って知らずか、気に入られる術を身につけているようだった。
 私のように、学院を卒業してそのまま講師になるケースは、本当に稀だった。
教えるほうが性にあっていると学生の頃に気づき、その判断は間違っていなかったようだ。
講師としての実力は学院内でもそれなりに認められ、現状に満足もしている。
だからかもしれないが、こうした卒のない生徒よりも、基本的になにかが欠落した、いわゆる手の掛かる生徒の方が好きだった。
 とはいえ、彼女の音楽に対する姿勢や、はっきりとした物言いには好印象を抱いていた。
あのクリスも、彼女のような生徒と組めば、少しは変わるだろうか。


「……さて」


レッスン室に待たせている当の本人が、そろそろしびれを切らしている頃か。
時計を確認して、歩き出す。
機会があったら、彼女の方からまた会いに来るだろう。その時には、一度その歌声も聴いてみたいものだ。
不肖の弟子のため、彼女の名前を一応記憶に留めておいた。

初めてファルシータ・フォーセットに出会ってから、三カ月以上が過ぎていた。
出会ってすぐに、声楽科の講師や、顔見知りの講師、彼女のことを知る生徒などに話を聞いてみたこともあった。
  皆一様に絶賛するばかりで、あまり当てにはなりそうもなかったが、
そういう評価をもらえるということだけでも、聞いた価値はあったと思う。
 礼儀正しく、才能もあり、努力もしている。
非の打ち所が無いところがかわいげがないが、嫌味も感じさせないほど、さわやかでもあった。
かくいう私も、話してみて気に入っていたので、そんな風に地道に聞いてもみたものだ。
クリスのパートナーとしては、出来すぎな気もする。
 あれから三ヶ月も音沙汰がなく、さすがにそのときのことも忘れかけていた。
それが今朝、彼女を私に紹介した当人である声楽科の講師から、
今日話を伺いに行くかもしれないと聞き、ふと思い出したのだ。
そしてついでに、来るのなら午後の授業の前にでも、と彼に伝言を頼んでおいた。


 卒業演奏の本番が一月の半ばで、暦ももうすぐ、十二月に入ろうとしている。
残された時間があまりないというのに、当のクリスはまだお気楽に考えているようだ。
彼女の話を聞く機会を設けておくのは、クリスのためにもなるだろう。


 街に出て急いで昼食を終え、昼休みの時間がまだ半分以上も残っている状態で校舎に戻る。
レッスン室の鍵は開けておいたから、もうすでに彼女なら待っている頃かもしれない。
 第一校舎の廊下を急いで歩いていると、前から私の師でもある人物が歩いてくるのが見えた。
急いではいたが、礼を欠かすわけにもいかず、私は脇にずれ、立ち止まって彼がこちらに気づくのを待った。


「コーデルか」
「こんにちは。グラーヴェ先生」


 威厳すら漂わせる重々しい口調で、彼は私の方を一瞥した。
彼は名だたる貴族でもあり、かつこの世界では有名すぎる音楽家である。
身に付いた威厳というものは、こんな何気ないところまで出てしまうのだと、妙な感心をいつも覚える。
 かつてはここの講師も務め、私の担当でもあった。
今はもう、生徒に直接教えることはないが、年に何回かはピオーヴァ学院長自らの願いで、特別講師として招かれている。
それほどまでに、この世界では力を持った人物だった。


「また、特別講師として呼ばれたのですか?」
「ああ。学院長の奴が、またお願いすると言ってきたのでな」
「参考になりますので、ご見学させていただく機会がございましたら、そのときはよろしくお願いします」


 儀礼的になりすぎないように、かといって、非礼になってはいけない。
上に立つ立場になったとしても、やはり人間関係は難しい。


「いや、君なら大丈夫だろう。フォルテールの才能はなかったようだが、教える方の才能は、私よりもありそうだ。噂は聞いている。正しい道に進んだようだな」
「……いえ。私などまだまだです」


 彼に才能がないと言い切られてしまったら、返す言葉もない。
悔しい、という気持も起きない。例え口が悪くとも、彼が偉大な音楽家であることには間違いなかった。
それに、私もあまり人のことは言えはしないだろう。
グラーヴェ先生を毛嫌いしている昔からの知り合いには、口の悪さが移ったなどと言われる始末だ。


「では、失礼する。なにかと忙しい身分でな」
「はい……あ、ひとつ、よろしいですか?」
「ん? なんだ?」
「ファルシータ・フォーセットという生徒をご存じですか?」


 彼の専攻はフォルテールであったが、こと音楽に関しては幅広く手を広げている。
名前だけでも知ってはいないかと軽く訊ねてみると、意外にもその反応は良かった。


「ん? ああ、もちろん知っている。彼女は良い」
「は……はあ」
「なにかあったのかね?」
「いえ……そろそろ卒業演奏の時期なので」
「ああ、担当の生徒と組ませたいのか。気持ちは分かる。彼女がまだ一年だったなら、是非組ませたい者がいたんだが」
「そうでしたか。ありがとうございます」


 忙しい身分だったのは知っていたから、これ以上の話は無理だろうと判断する。
深く一礼をして、彼が歩いていくのを見送った。
 しかし……ここでもまた、絶賛か。彼女はよほど、素晴らしい人物らしい。
これならクリスの心配よりも、彼女の方を心配した方がいいかもしれない。
彼女にとってプラスになればいいんだが。
 グラーヴェ先生を見送り、待たせているファルシータに会いにレッスン室へ向かう。

「待たせたな」


 ドアを開けると、予想していた通り、彼女はすでに来ていた。
やることがなかったのか、ピアノの前で、発声練習でもしていたらしい。
部屋に入るなり、美しい歌声が耳に届いた。


「あ、いえ。時間より少し早く来てしまっただけですから。
それと、勝手にピアノに触ってしまってごめんなさい」
「気にしなくて良い。それより、なにか一曲歌ってみないか?きちんと聞いてみたいんだが」
「え? いいんですか?」
「こちらがお願いしてるんだが」


 苦笑しながら、備え付けのフォルテールの前に座る。
ドアを開けた瞬間に、声をこぼれ聴いただけだが、それでもきちんと聴いてみたいと思った。
音楽家としての血が、私の中にもまだ残っているのだろうか。


「発声は済んでいるな?」
「はい、朝のレッスンで済ませています。曲はなににしますか?」


 物怖じしない、良い態度だ。
歌うと決まった瞬間に、講師としてではなく、音楽家として私を見るようになった。
礼儀正しいだけの生徒ではなく、思ったより芯も強そうだ。


「曲はなににする?楽譜を用意している時間はなさそうだから、そらで歌える曲から選んでくれるか?」
「なんでも良いですよ。フォルテールとのアンサンブルで有名な曲でしたら、だいたい歌えますから」
「クリスにも聞かせてやりたい言葉だな」


 彼女はにっこりと微笑んで、私の目を見た。
意地悪をするつもりもなかったので、記憶の中から有名な曲を選び、初めの一小節を弾き始めた。



 フォルテールの余韻と、歌声の余韻が程良く混ざり合い、空気に溶けるようにゆっくりと消えていった。
歌い終わった彼女が満足げな顔で、ありがとうございます、と言った。


「いや、たいしたものだな」
「いえ」


 自信にあふれた声だった。その否定の言葉はあきらかに謙遜だったが、とても自然で、嫌味がない。
そしてその歌声は、今まで聞いた他人の評価と、寸分違わぬものだった。
「……念のために聞いておくが、他にも候補はいるんだろうな?」
「はい、もちろんです。他の人とも色々合わせている最中です。
あ……でもだからといって、いい加減な気持ちで選んでいるわけでは……」
「いや、そんな懸念はしていない。その中から一番良いと思える人を選ぶといい。
かえって君の方を心配したいくらいだ」
「クリスさんのことですか?」
「ああ。会ったことは? もうなにか話したりはしたのか?」
「いえ、まだです。最近ちょっと忙しくて……それで、お聞きしたいことがあったんです。
パートナーはもう、決まってしまったんでしょうか?」
「いや、まだだ。午前のレッスン前に聞いたから、確かだ。
ついでに会っておけばよかったんじゃないか?」
「いえ、私も色々と忙しいので。時間がとれたときにでもお会いして話してみます」
「そうか。で、今日の用事はそれだけだったか?」
「はい。それだけ聞ければ大丈夫です」
「済まなかったな。余計な時間を取らせて」
「いえ、楽しかったですから。上手い人とアンサンブルするのは、良い勉強にもなりますし」


 歯の浮くような言葉を笑顔で言い残し、本当に忙しいのか、彼女はすぐにもレッスン室を出ていった。
私は苦笑しながら、これからのことを考える。
 あまり真剣に相手を捜そうとしないクリスのために、パートナーの候補をこちらからも用意するつもりだったが、彼女も良い候補になるかもしれない。


 久しぶりに有意義な時間を過ごせたと満足していたら、いつの間にか昼休みも終わっていたらしい。
背後でドアを開けた音がする。


「では、失礼します」


 ドアの前で話していたのか、アーシノが誰かにそう話しかけたのが聞こえた。


「はい、失礼します」


 続いて聞こえた女性の声に、当たり前だが聞き覚えがあった。


「おはよう、アーシノ」
「おはようございます」
「今のは、ファルシータ君か?」
「あ、はい。そこで会ったので、少し話を」


 彼もまた、不肖の弟子とも言えた。
同じくパートナーが決まっていないような状態なのに、なぜか今も笑顔で、不安な様子などみじんも感じられない。


「知り合いか?」
「一応、そうなりますかね。知らない生徒の方が珍しいんでしょうけど」
「それもそうか」


 生徒会の会長を務めるほどだ。私よりは生徒の方がよく知っているのも当然か。
 クリスとは違い、アーシノは社交性について、心配する必要が全くなかった。
パートナーに関しては、彼に任せておいても大丈夫だろう。
 ただし、フォルテールの実力はまだまだだった。
それに焦りを感じていないのが問題なのだが、どうも私のその心配は、伝わってはくれない。


 そのときちょうど、昼休みを終えるチャイムが鳴り響いた。


「さて。それではレッスンを始めようか」


 心配することは山ほどある。どうしてこう、手の掛かる生徒ほどかわいくなってしまうのだろうか。
親の心子知らずとはよく言ったもので、アーシノもクリスも、私の気苦労には気づいてもいない。
 その事実に苦笑しながら、講師もなかなか大変なものだと実感した。


End
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留言共 2 篇留言

Painful D
哦哦哦哦哦哦!!(熱血)
無意間闖進這個部落閣
沒想到竟然看到這種好物......啊,奇蹟啊(淚)

雖然我日文不怎麼好(啥?)
交響樂之雨萬歲~~~~~~

這一部真的是很經典呢,令人極度憂愁的作品

12-28 18:56

Abner‧Angelo
確實是憂愁美的佳作代表,不過該遊戲卻也有頗黑的劇情路線(汗)
在下是聽過音樂後,而決定將遊戲敗來玩的。岡崎律子大好!
不過在製作完樂曲之後不久後過世了......(淚目)

話說這款遊戲有打算作前傳性質的作品,據某消息指出,劇情可能會黑......(抖)

另外,在下是日文苦手Orz
是基於不明的怨念而PO此文的(炸)

翻譯機救我啊~~~~(拉長音)12-28 19:36
假柏斯
好久不見了朋友 還記得我嗎 最近我有想玩天堂m 你要和我一起玩嗎 http://lineage-m.cf

12-06 13:34

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